年金運用における運用会社の
フィデューシャリー・デューティーとスチュワードシップ
2016年11月16日
三井住友アセットマネジメント株式会社
今井 真吾
Ⅰ. フィデューシャリー・デューティー
フィデューシャリー・デューティーとは(1)
フィデューシャリー・デューティーとは
一般的には、 「英米法において信認を受けた者が履行すべき義務を指す。「受託者責任」とはこれを翻訳した言葉である。 元々は信託受託者が信託委託者および受益者に対し負う義務を指す概念である。」 (企業年金連合会 用語集) 最近では、 「顧客本位の業務運営」 (日本再興戦略2016) 「インベストメント・チェーンに含まれる全ての金融機関等が、顧客のベスト・インタレストのために行動するとの プリンシプル」 (金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第3回)資料) 「投資信託・貯蓄性保険商品等の商品開発、販売、運用、資産管理それぞれに携わる金融機関等が、 真に顧客のために行動しているか」 (金融庁「平成27事務年度 金融行政方針」)フィデューシャリー・デューティーとは(2)
出所:平成28年7月6日金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第3回)事務局説明資料
3 巻末の注記をご覧ください。
運用会社のフィデューシャリー・デューティー
運用会社におけるフィデューシャリー・デューティ実践のための5つのテーマ
・投資家の利益優先、利益相反行為の禁止 ・自己の運用方針や運用に対する考え方を明確にして、それに応じた運用体制や運用能力を構築保持 ・投資家の利益との適合性 ・投資家の利益最大化の追求する観点から、適切な運用方法により運用を行うこと ・適切なリスク管理 (「金融庁が語る資産運用の高度化とフィデューシャリー・デューティー」The Financeより)年金運用におけるフィデューシャリー・デューティー
SMAMの取組み
運用会社が最低限果たすべき受託者責任(以下)に止まらず、お客さまの資金の性格を踏まえ、 運用技術を駆使し、常にグローバル水準で優れた運用を提供することで、年金のお客さまに対する 運用責任を全うします。運用会社が最低限果たすべき受託者責任
「厚生年金基金 受託者責任ハンドブック(運用機関編)」(2000年4月 厚生年金基金連合会発行) 「資産運用・資産管理プロセスにおける受託者責任(43項目)」で不適切と考えられる事項(例示) 巻末の注記をご覧ください。 項目7※:運用機関の選定・契約時の母体企業に対する干渉 新規参入やシェア変更等について、母体企業との取引関係、資金の融資、持ち株関係等を理由に、母体企業に対し、 基金の意思決定に影響を及ぼすような干渉を行う。 項目33:株主議決権の行使 議案について、株式価値の増大という基金の利益以外の目的で判断を行う。例えば、株式持合関係等運用機関あるいは その関係会社との取引関係に配慮した株主議決権の行使を行う。 項目35:資産管理体制の整備 運用と資産管理を行う部署が同一であるため、運用担当者の行動のチェックが十分に行われていない。 ※項目7に関し、忠実義務違反のおそれがある年金基金の理事の行為(「厚生年金基金 受託者責任ハンドブック(理事編)」より) 事業主と運用受託機関又は資産管理機関との間に緊密な資本関係、取引関係又は人的関係がある場合において、適正な 評価や契約条件が不利でないこと等の確認を行わないまま、これら機関との間で基金の積立金の管理および運用に関する契約 を締結すること。SMAMのフィデューシャリー・デューティー(FD)とは
(1)自然な経営行動としてのFD宣言 企業の存立は、社会的使命を果たすことが大前提 資産運用会社は投資のプロとしての専門性を発揮し、お客さまの利益を最大化することが社会的使命 真剣かつ合理的に自社の企業価値を考えた時、お客さまの利益の上にしか持続可能な成長は無いことは明らかであり、お客 さまの利益を徹底して守ることが自己の利益を守ることになる 受益者の年金受給権の保護を最大目的とする米国エリサ法の精神と共通 金融庁の規制とは一切関係なく、自然な経営行動としてFD宣言に到達する (2)「高潔な常識 Integrity」がベース FD宣言は努力目標でも精神規定でもない 違反することなど有り得ず、お客さまと広く社会に対し確実な実行を確約するもの、いわば自己規律に履行強制力を付与する もの ベースとなる考えは「高潔な常識 Integrity」 (3)運用責任を全うする お客さま、社会、社員にわかりやすい言葉でFDを表現する為、「運用責任を全うする」とした 運用のパフォーマンスのみならず、ニーズに合った商品設計、事務処理の正確性・速さ、トレーディングの効率性、資料のわかり やすさ等、質の向上が使命 お客さまと社会にご信頼頂く為、肌理細かな改善の努力を続けるとともに大胆な発想と実行力で資産運用業の変革に挑戦 するお客さまと社会 の利益を守る お客さまと社会から 末永くご信頼を得る 企業が持続的に 成長できる お客さまの利益の下で成長し、 業界の発展、日本の成長に貢献 フィデューシャリー・デューティーの実践 高潔な常識=Integrityをベースとする 企業の社会的使命と成長 資産運用業においては 運用会社が広く認知され、 社会に必要とされる存在となる
please refer to the end of this note
SMAMのFD宣言の狙いと内容
(1)FD宣言の狙い ① お客さまと社会に対するコミットメント: 投資のプロとしての専門性を発揮し、お客さまの利益を最大化すること を表明 ② 「貯蓄から資産形成へ」の流れ創出: 資産形成初心者をはじめとする幅広いお客さまに役立つ情報と資産 形成の機会の提供を約束 ③ 社員の意識改革: 全社員が高いレベルで目標を達成する意識改革を促す (2)FD宣言の内容 ① SMAMスピリッツの「先義後利」がベース: SMAMスピリッツの「先義後利」(社会の公器として、社会貢献、 お客さまの利益を最優先とする)が宣言のベース ② わかりやすい言葉でFDを表現: 「先義後利」を踏まえ、FDを「運用責任を全うする」のわかりやすい言葉 で表現 ③ 分野毎に基本方針を策定: 「運用」、「商品開発」、「お客さまサービス」、「経営インフラ」の業務分野毎に基 本方針を策定 ④ アクションプランで有言実行: 各分野の基本方針に基づく35項目の具体的施策をフィデューシャリー・アクショ ンプランとして期限付きで明示 ⑤ 今後も進化し続ける: 分野毎の基本方針、アクションプランとも、内容を見直し、進化し続けるSMAMのFD宣言
~わたしたちは運用責任を全うします~(1)
運用 ・運用技術を駆使し、お客さまの資産形成に貢献します ・お客さまの資金の性格に沿った運用を行います ・お客さまにとってわかりやすい運用方針・状況の説明を行います ・日本を含むアジアの運用力で世界トップを実現します ・SRI、ESG投資(※)で日本のトップランナーを目指します 商品開発 ・常にグローバル水準で優れた商品を提供します ・お客さまのニーズを的確に捉えた商品開発を行います ・お客さまにご納得いただける合理的な手数料を設定します 巻末の注記をご覧ください。SMAMのFD宣言~
わたしたちは運用責任を全うします~(2)
お客さまサービス ・末永くご愛顧賜るため、最大限の真心でお客さまサービスを行います ・お客さまのお役に立つ適切な情報と資産形成の機会を提供します ・お客さまにとって適切と判断できない商品は決して提供しません ・常にお客さまにとってのわかりやすさを優先します 経営インフラ ・経営全般における透明性を確保します ・人材、システム、内部統制の全てでグローバル水準を実現します ・業務全般の品質改善に取り組み、クオリティNo1を実現します ・常に生産性の向上を追求します※SRI: Socially responsible investment(社会的責任投資)
SMAMのガバナンス
運用会社のガバナンスに対する懸念 「運用受託機関は、監査役会設置会社または指名委員会等設置会社のいずれかの形態を取り入れているが、 親会社またはグループ会社出身の独立性のない社外取締役が複数選任され、更に指名委員会等設置会社に おいて各委員会の委員を務めている事例も見られ、機関投資家としてのガバナンスについて懸念がある。」 (GPIF 平成27年日本版スチュワードシップ・コードへの対応状況について) SMAMのガバナンス体制(次ページの図をご参照下さい) (社外役員) 2016年6月より、三井住友グループと関係のない独立した社外取締役2名と独立した社外監査役2名を招聘。監査役は 6名中、4名が社外。 (FD第三者委員会) 2015年10月より、3名の外部有識者を招聘し、利益相反関係等、フィデューシャリー・デューティー全般をチェックする「FD 第三者委員会」を設置し、四半期ごとに開催。外部委員による提言と対応を半期ごとに開示。 巻末の注記をご覧ください。SMAMのガバナンス体制
各20%出資 60%出資 SMAM(監査役会設置会社) 代表取締役社長(CEO) 株主総会 SMAM各部署 任意の委員会 人事委員会 (社内4名、社外2名) 報酬委員会 (社内1名、社外2名) 住友生命 三井住友海上 FD第三者委員会 (社外有識者3名、CEO) 業務執行 SMFG 経営会議 その他の任意の委員会 (リスク管理委員会等) 取締役会 (社内4名・・・常勤) 監査役会 (社内2名・・・常勤1名、 非常勤1名) (社外2名・・・非常勤) (社外4名・・・常勤1名、 非常勤3名) 経営・監督Ⅱ. スチュワードシップ
スチュワードシップ責任とは
スチュワードシップ責任とは
「スチュワードシップ責任」とは、機関投資家が、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく 建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的 成長を促すことにより、「顧客・受益者」(最終受益者を含む)の中長期的な投資リターンの拡大を図る 責任。 機関投資家は、顧客・受益者と投資先企業の双方を視野に入れ「責任ある機関投資家」としてスチュワード シップ・コードに沿って、スチュワードシップ責任を果たすことが期待されている。 (金融庁「責任ある機関投資家の諸原則 ≪日本版スチュワードシップ・コード≫」よりSMAM作成)ガバナンス改革の経緯(1)
ガバナンス改革に関連する政策
巻末の注記をご覧ください。 安倍政権下での主な政策(2012年12月以降) 日付 決定・実行された政策 2012年12月 第2次安倍政権発足 2013年 6月 「日本再興戦略」を閣議決定 10月 「成長戦略実行国会(第185回臨時国会)」開催 2014年 1月 JPX日経400指数の算定開始 1月 「産業競争力強化に関する実行計画」を閣議決定 2月 スチュワードシップ・コード施行 6月 「日本再興戦略」改訂2014を閣議決定 8月 経済産業省「伊藤レポート」発表 2015年 5月 改正会社法施行 6月 コーポレートガバナンス・コード施行 6月 「日本再興戦略」改訂2015を閣議決定 8月 スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議設置 2016年 6月 「日本再興戦略2016」を閣議決定 (出所)首相官邸・金融庁・経済産業省ホームページ、新聞報道等よりSMAM作成ガバナンス改革の経緯(2)
1.スチュワードシップコード(2014年2月、金融庁) (1)「持続的成長」「企業価値向上」を投資先企業に促す機関投資家の行動原則 (2)企業の持続的成長を促し、顧客・受益者の中長期的な投資リターン拡大を図るための7原則 2.伊藤レポート(2014年8月、経済産業省プロジェクト) (1)「持続的成長への競争力とインセンティブ、企業と投資家の望ましい関係構築」についての提言 (2)12項目について「論点」「議論と現状・エビデンス」「提言・推奨」から構成 3.コーポレートガバナンスコード(2015年3月、金融庁・東京証券取引所) (1)会社の持続的成長と中長期的な企業価値向上を図るための企業の行動原則 (2)株主・その他のステークホルダーに対する企業の責任に関する5原則 (3)東証上場企業は11項目について「Comply or Explain」の開示義務。2015年6月適用開始 (2015年5月施行の改正会社法においても、ガバナンス基準は厳格化) (金融庁・経済産業省・東京証券取引所資料等よりSMAM作成)日本版スチュワードシップ・コードの概要
1.枠組み (1)機関投資家が各自の置かれた状況に応じて対応できるような枠組みを設定(この点は英国コード同じ)。 (2)機関投資家がコードを受け入れるかどうかは任意。ただし、金融庁でコードの受入れを表明した「機関投資家の リスト」を公表(3ヶ月毎に更新)する仕組みを通じて、コードの受入れを促す。 (3)機関投資家が取るべき行動について、詳細に規定するのではなく、プリンシプルベース・アプローチ(原則主義) を採用。自らの活動が、形式的な文言・記載ではなく、その趣旨・精神に照らして真に適切か否かを判断する との意義。 (4)法令のように一律に義務を課するのではなく、機関投資家に対して、個別の原則ごとに「原則を実施するか、 実施しない場合には、その理由を説明するか」を求める手法(コンプライ・オア・エクスプレイン)を採用。 2.概要 機関投資家は、 (1)「基本方針」を策定し、これを公表すべき。 (2)「利益相反」を適切に管理すべき。 (3)投資先企業の状況を的確に把握すべき。 (4)建設的な対話を通じて投資先企業と認識を共有し、問題の改善に努めるべき。 (5)「議決権行使」の方針と行使結果を公表すべき(議案の主な種類ごとに整理・集計して公表)。 (6)顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべき。 (7)投資先企業に関する深い理解に基づき、適切な対話と判断を行うべき。 (金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」第1回資料よりSMAM作成) 巻末の注記をご覧ください。スチュワードシップ・コード/コーポレートガバナンス・コードの概要
スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードの関係図
金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」第1回資料よりSMAM作成
スチュワードシップ・コード受入れ表明の投資家
1.現在のスチュワードシップ・コード受入れ表明の投資家数(2016年9月2日更新) ・信託銀行等 7 ・投信・投資顧問会社等 151 ・生命保険会社 18 ・損害保険会社 4 ・年金基金等 26(公的年金等16・企業年金基金等10) ・その他(議決権行使助言会社他) 7 合計 213 (金融庁発表資料よりSMAM作成) 2.受入れ表明の社数を増やすフェイズはおおむね終了、次の課題は質的向上を継続的に促すこと 「実質的に適切な活動を行っているかをモニタリング出来る公表内容が重要」 (「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」メンバーの冨山 和彦氏による意見)SMAMのスチュワードシップ活動への対応(体制)
巻末の注記をご覧ください。 21 実務担当 経 営 会 議 議決権行使部会 エンゲージメント部会 企業調査グループ ・セクター担当アナリスト ・スチュワードシップ推進室 エンゲージメント運用グループ 株式運用グループ 受 託 者 責 任 ◆エンゲージメント ◆議決権行使 ◆ESG etc スチュワードシップ責任SMAMのスチュワードシップ責任の考え方(基本方針)
スチュワードシップ責任を果たすための方針(原則1への対応)
1.顧客・受益者の利益のため、投資先企業との強い信頼関係を基盤に目的を持った対話 (エンゲージメント)を行い、株主としての視点を伝え、中長期投資を目的に投資先企業の 企業価値(株主価値)最大化を目指す 2.エンゲージメントは中長期視点で幅広く行うが、対話を通じて持続的成長、企業価値向上 に貢献できると判断する投資先企業については、対話の頻度を高め内容を深化 3.持続的成長に資する経営戦略の妥当性や実現可能性について分析。資本コストを上回る 期待リターンの投資計画を有する場合、株主還元よりも再投資による持続的成長を強く促す 4.積極的対話、議決権行使により、①顧客・受益者の保有資産の着実かつ安定的な成長 (資産形成)と②経済成長に結びつくマネーの適切な供給を通じて産業の発展と企業の 持続的成長に貢献し、資産運用会社としての社会的使命を果たす ⇒「顧客・受益者の利益」「社会的使命(エクイティ・ガバナンス)」を強く意識 ⇒ESG・資本コスト等への造詣を深めてリサーチ能力強化を図り、「エンゲージメント」 「議決権行使」を行うSMAMのスチュワードシップ責任の考え方(エンゲージメント)
企業の状況把握に関する方針(原則3への対応)
および目的を持った対話(エンゲージメント)に関する方針(原則4への対応)
1.リサーチ力を強みとして投資先企業と実効性のある対話を行い、状況を把握 2.KPIとして資本効率(ROE)を重視 3.財務情報に加えESGなど非財務要素の分析にも積極的取組み 4.深い対話を通じて企業価値向上に貢献、投資リターン獲得につなげる 企業との目的を持った対話 企業情報 の管理 (1)幅広い企業との一般的な対話 低 多 投資戦略・資本政策・株主還元など経営戦略全般、議決権行使についての対話 (2)的を絞った企業との深い対話 持続的成長、企業価値向上、それらをサポートする議決権行使についての深い対話 (3)企業価値向上への提案 企業価値向上策等をプロアクティブに提案。必要に応じ重要提案行為に該当する提 案を行う 高 少 未公表の重要事実に該当しない情 報を想定した管理、 重要提案行為は行わない 未公表の重要事実に該当しない情 報を想定した管理、必要に応じ重要 提案行為を行う 企業との対話形態 対話の深度 =企業価値への影響度 対象銘柄数 巻末の注記をご覧ください。SMAMのエンゲージメント活動(理念)
社会的使命(エクイティ・ガバナンス)
投資家の保有資産の着実かつ安定的な成長(資産形成)と、経済の成長に結びつくマネー (成長マネー)を適切に供給し産業の発展と企業の持続的成長に貢献するリサーチ能力の向上
1.スチュワードシップ活動を通じて、コーポレート・ガバナンス・コードを貫く 「攻めのガバナンス」を後押しし、持続的成長が可能な企業を見極める銘柄 選択能力を着実に高める 2.長期分析力の強化により、「企業の中長期方向性」を見極めることが、 現状主流である短期投資の運用力向上にも結び付く顧客・受益者利益(フィデューシャリー・デューティー)
1.投資先企業の企業価値向上は、その企業の株式を組み入れているファンドの 顧客・受益者の利益となる 2.スチュワードシップへの積極的な取り組みは、SMAMの調査運用能力の向上 につながり、その結果、幅広い顧客・受益者の利益となるSMAMのエンゲージメント活動(2015年度の実例)
2015年度(2015年4月-2016年3月)のエンゲージメント活動実績
企業とのミーティング件数等 企業コンタクト件数 延べ約5,600件 うち個別ミーティング 約3,600件 (うち取締役・執行役員とのミーティング 約 920件) (実例1:東証1部 建設) 売上・利益は伸び悩んでいるように見えるが、会社内部には依然強い利益成長志向があることを確認。 中長期の成長戦略、経営計画のあり方について議論するとともに、過去積極的に行ってきた株主還元の 今後の考え方についても再確認。 (実例2:東証1部 食料品) コーポレートガバナンスのあり方について投資家の意見を述べ、企業価値向上を主軸にした経営への転換 をいかに進めてきたか、さらに買収を一段の企業価値向上にどう結び付けるかについて集中的に議論。 目標達成のためにトップ自らが変革を率先する姿勢を確認。 巻末の注記をご覧ください。SMAMのスチュワードシップ責任の考え方(議決権行使)
議決権行使、行使結果の公表に関する方針(原則5への対応)
1.顧客・受益者の利益のため、企業価値最大化を目的に議決権を行使。議決権行使は 企業価値向上のためのエンゲージメントの一環として位置付け 2.「深い対話」実施先への議決権行使については、中長期視点で議案を精査。対話内容 を踏まえ、議決権行使ガイドラインをより柔軟に適用、個別実態に則して判断 3.長期的な企業価値向上のために企業が社会的責任を果たす必要があると考える。 従って、反社会的行為/社会的信用失墜行為は企業価値を毀損する可能性が高いと認識し、 議決権行使で厳しい姿勢で臨む 4.議決権行使ガイドラインの主な考え方 ①業績・ROEなど経営結果への評価(ROEが5%もしくは上場企業平均値を3年連続下回った場合は 取締役の再任に原則反対、等) ②役員の選任(取締役の人数は15名上限、独立性基準は一般的基準より厳しく臨む、等) ③配当など株主還元や役員報酬の評価(配当は総還元性向、投資計画や財務戦略、成長性等を踏まえ、 内部留保とのバランスを考慮して総合的に判断。反社会的行為/社会的信用失墜行為があった場合の 1人当たり取締役報酬増額に反対、等)SMAMのスチュワードシップ責任の考え方(ESG)
1.ESG評価の位置付け
長期投資のためのリサーチの根幹2.ESG評価で目指すもの
(1)変化対応力に優れ、持続的成長を実現できる企業の発掘 (2)ESGが経営理念に深く浸透し、社会変革を実現できる企業の見極め (3)投資家として、投資先企業の長期的な企業価値(株主価値)増大に貢献3.ESG評価の基本方針
(1)公開情報とSMAM独自のアナリスト情報に基づいたESG評価 (2)アナリストが行うESG評価に将来変化への洞察を織り込み 巻末の注記をご覧ください。 27SMAMのESG評価の概念図
4.ESG評価のイメージ
財務情報など確認し易い部分 →「幹の太さや方向性」 (=戦略や事業展開) →「気象状況」 (=外部環境) →「枝葉の広がり、果実の数」 (=業績) ESGを含む非財務要素の部分 →「根の広がり」 (=経営の持続性・安定性) →「根が正常かどうか」 (=経営全般の健全性・企業統治) →「根の働きの阻害要因はないか」 (=環境・社会的課題等)投資先企業を
数段深く理解
企業のサステイナビリティを洞察 ①持続的成長力 ②外部環境変化への対応力 ③課題対応力・イノベーション力 根が地上部分を支える (=非財務要素が土台)SMAMのESG評価の内容(1)
1.ハイブリッド型評価
⇒公開情報による基礎評価と、SMAMアナリストによる定性評価の組み合わせ (1)基礎評価 ⇒外部ESG評価機関等の第三者情報をベースに スチュワードシップ担当アナリストが評価 (2)アナリスト評価 ⇒SMAMの独自収集情報・分析や対話等を通じて得た定性情報から セクター担当アナリストが評価2.ボトムアップ評価
⇒E・S・Gにおける詳細項目を企業ごとに評価 巻末の注記をご覧ください。SMAMのESG評価の内容(2)
3.ESG評価作成フロー
基礎評価 アナリスト評価 ・実績を示す公開情報がベース ・対話等で得た情報がベース ・客観性のある第三者情報を活用 ・アナリストによるサステイナビリティの洞察 ・情報開示の度合いを測る ・将来変化への可能性を折り込む ESG評価 ・各詳細項目ごとに5段階評価を行い精緻な点数表を作成 (優れた評価の企業) ・持続的成長力に優れ、サステイナビリティが高い ・外部環境変化への対応力に優れる ・課題対応やイノーベーション主導など、望ましい変化を起こす可能性が高い 企業との対話・投資判断への活用SMAMのESG評価の内容(3)
4.調査対象となる主なサステイナビリティ要素
巻末の注記をご覧ください。 E 環境 E1 環境リスク E2 環境マネジメント E3 環境製品・サービス S 社会 S1 従業員 S2 顧客・取引先、地域社会 S3 社会的課題に対応する製品・サービス G ガバナンス G1 ESG戦略と行動 G2 リスクマネジメント G3 企業統治体制PRI(国連の責任投資原則)
1.SMAMは2010年にPRIに署名
国連の責任投資原則(PRI(Principles for Responsible Investment))とは、機関投資家が 環境・社会・ガバナンス(ESG)の課題を投資の意思決定や所有慣習に組み込み、受益者のために長 期的な投資成果を向上させることを目的とした原則で、2006年4月にアナン元国連事務総長によって公表 されたものです。SMAMはPRIの趣旨に賛同し、2010年3月にPRIに署名しております。