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IEEE 802.21を利用したAndroidスマートフォンのハンドオーバに関する基礎的実験

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Academic year: 2021

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(1)Vol.2015-DPS-163 No.4 Vol.2015-MBL-75 No.4 2015/5/28. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. IEEE 802.21 を利用した Android スマートフォンの ハンドオーバに関する基礎的実験 大久保 陽平1,a). 鈴木 秀和1,b). 内藤 克浩2. 渡邊 晃1. 概要:仮想 IP アドレスとトンネリング技術により移動透過性を実現する技術として,NTMobile(Network Traversal with Mobility)が提案されている.NTMobile では,NTMobile 搭載端末がルーティングテーブ ルの変化により,無線インタフェースの切り替えを検知することでハンドオーバ処理を実行している.し かしこの手法は,ハンドオーバ処理の実行が無線インタフェースの切り替え後となるため,ハンドオーバ に伴う通信断絶時間が発生してしまうという課題がある.本稿では,NTMobile をハンドオーバの支援技 術である IEEE 802.21 と連携させることでシームレスハンドオーバを実現する手法を提案する.この手法 は,IEEE 802.21 の機能を利用し,端末の接続するネットワークが切り替わる前に事前にハンドオーバ処 理を行うことで,通信断絶時間を削減するものである.提案手法の一部を実装して基礎的な動作検証実験 を行った結果,通信中にネットワークが切り替わっても通信が継続され,IEEE 802.21 と NTMobile の連 携機能が正しく動作していることを確認した.. 1. はじめに スマートフォンやタブレット端末の普及により,Wi-Fi のアクセスポイントを利用できる場合は Wi-Fi に接続し,. の主流である IPv4 環境に適応できないなど,実用上の課題 があった.そこで筆者らは,IPv4/IPv6 混在環境において 移動透過性を実現できる技術である NTMobile(Network. Traversal with Mobility)[3, 4] を提案している.. それ以外では LTE に接続するなど,Wi-Fi や LTE など. NTMobile は Linux OS での実装を完了しており,Linux. の異なるネットワークを切り替えて通信する機会が増加. ベースである Android 端末へ実装することができる.An-. している.しかしインターネットで主に利用されている. droid 端末の多くが Wi-Fi の無線インタフェースと 3G や. TCP/IP ネットワークでは,端末に割り当てられた IP ア. LTE などの携帯電話網の無線インタフェースを搭載して. ドレスとポート番号を用いて通信を行っているため,例え. おり,Android OS を搭載した NTMobile 搭載端末(NTM. ば端末が LTE のネットワークから Wi-Fi のネットワーク. 端末)では,Wi-Fi と携帯電話網を切り替えて通信を行う. へ接続を切り替えた場合,ネットワークの切り替えにより. ケースが多数発生することが予想される.しかし従来の. IP アドレスに変化が生じ,移動前に行っていた通信が移動. NTMobile は,NTM 端末がハンドオーバする際に発生する. 後に継続できないという課題がある.そこで,このような. 移動先ネットワークからの実 IP アドレス取得処理や NTM. 課題を解決できる技術である移動透過性技術が必要とされ. 端末間のトンネル再構築処理に伴って数秒の通信断絶時間. ており,これまでに Mobile IPv4 [1] や Mobile IPv6 [2] な. が発生してしまう.そのためリアルタイム性が要求される. ど様々な移動透過性技術が提案されてきた.しかし Mobile. アプリケーションの利用を考慮して,この通信断絶時間が. IPv4 では,移動透過性を実現するために常に HA(Home. 課題となっている.. Agent)を経由するため,通信経路が冗長となってしまう課. 本稿では,NTMobile の実用化における課題である NTM. 題があり,また Mobile IPv6 では,現在でもネットワーク. 端末がハンドオーバする際に発生する通信断絶時間を削減 し,シームレスなハンドオーバを実現する手法を提案する.. 1. 2. a) b). 名城大学大学院理工学研究科 Graduate School of Science and Technology, Meijo University 愛知工業大学情報科学部 Department of Information Science, Aichi Institute of Technology [email protected] [email protected]. c 2015 Information Processing Society of Japan ⃝. ハンドオーバ支援技術であり,ネットワーク切り替え前に 移動先のネットワークのハンドオーバ処理の実行を可能 とする技術である IEEE 802.21(MIH:Media Independent. Handover)[5] と NTMobile を連携させることにより,シー ムレスハンドオーバを実現する.提案手法では,IEEE. 1.

(2) Vol.2015-DPS-163 No.4 Vol.2015-MBL-75 No.4 2015/5/28. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 802.21 の機能を利用して定期的に通信中のインタフェー. Dual-Stack Network. スの電波強度を測定し,電波強度の劣化を検出するとハン. RS. ドオーバ処理を開始する.ハンドオーバ処理では,IEEE. DC 一般端末 GN. 802.21 の機能を利用して切り替え先の無線インタフェー スをネットワークに接続させ,その後に NTMobile による. NTM端末A. NTM 端末間のトンネル再構築処理を行う.ハンドオーバ. IPv4 Global Network. NTM端末B (移動後). NAT. 処理を行っている間は,切り替え前の無線インタフェース を用いて通信を維持し,ハンドオーバ処理が完了した後に 通信を行う無線インタフェースを切り替えることでシーム. NTM端末C. IPv6 Network Handover. NTM端末A-B間の通信経路 NTM端末C-一般端末GN間の通信経路. NTM端末B (移動前). IPv4 Private Network. レスハンドオーバを実現する. 図 1. 以下,2 章で NTMobile の概要,4 章で提案手法の動作. NTMobile の概要. について述べる.また 5 章で実装と提案手法の評価につい て述べ,最後に 6 章でまとめる.. MN. 2. NTMobile 2.1 システム構成 NTMobile のシステム構成を図 1 に示す.NTMobile は, NTM 端末に対して端末の位置に依存しない通信識別子で ある仮想 IP アドレスの割り当てや NTM 端末間の通信に利. Wi-Fi. eNodeB (LTE基地局). DC. CN. LTE. Wi-Fi 切断. Wi-Fi側で 通信. NTMobileに基づくトンネル通信. LTE 接続処理開始. 接続処理 IPアドレス取得処理. 用される UDP トンネルの構築指示を行う機能を持つ DC. 通信断絶 MNの実IPアドレス登録処理. (Direction Coordinator),通信を行う端末の一方が IPv4. トンネル再構築処理. ネットワークに接続し,もう一方が IPv6 ネットワークに. NTMobileに基づくトンネル通信. 接続する場合など,直接通信ができない場合に通信の中継. LTE側で 通信. を行う機能を持つ RS(Relay Server)と NTMobile を実装 した端末である NTM 端末で構成される.また DC および. 図 2. Wi-Fi から LTE へのハンドオーバ時の処理. RS は IPv4/IPv6 ネットワーク混在環境であるデュアルス MN. タックネットワークに接続し,ネットワーク上に複数台設. AP. DC. CN. 置することが可能である. LTE. 2.2 ハンドオーバ処理 Wi-Fi ネットワークに接続された NTM 端末 MN が LTE ネットワークにハンドオーバする際の処理を図 2 に示す. また LTE ネットワークから Wi-Fi ネットワークにハンド オーバする際の処理の概要を図 3 に示す.NTM 端末にお けるハンドオーバ時の処理は,通信インタフェース切り替. NTMobileに基づくトンネル通信 Wi-Fi AP検索開始 AP検索 接続可能な AP発見. 接続処理 LTE切断. IPアドレス取得処理 MNの実IPアドレス登録処理. ドレスの取得処理,DC へのアドレス情報の登録処理と MN. 通信断絶 トンネル再構築処理. と CN 間でのトンネル再構築処理からなる.以下,これら. NTMobileに基づくトンネル通信. の処理の詳細について述べる.. Wi-Fi側で 通信. 2.2.1 ネットワーク接続処理 図 2 および図 3 のように,接続するネットワークが切り替. LTE側で 通信. Wi-Fi 接続処理開始. えなど L2(レイヤ 2)のハンドオーバ処理,基地局や AP (アクセスポイント)へのネットワーク接続処理,実 IP ア. Wi-Fi. 図 3. LTE から Wi-Fi へのハンドオーバ時の処理. わった場合,移動先のネットワークへの接続処理が発生す る.このとき MN は携帯電話網の基地局や Wi-Fi の AP へ. 場合,ネットワークプレフィックスと IPv6 ネットワーク. 接続処理を行い,その後,IPv4 プライベートネットワーク. 内において一意となる値であるインタフェース ID により. であれば DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol). IPv6 アドレスを自動生成し,端末に設定する.端末の実. により移動先のネットワークから実 IPv4 アドレスを取得. IP アドレスは接続先のネットワークから割り当てられるた. する.接続先のネットワークが IPv6 ネットワークである. め,端末の接続するネットワークの切り替えに伴い,端末. c 2015 Information Processing Society of Japan ⃝. 2.

(3) Vol.2015-DPS-163 No.4 Vol.2015-MBL-75 No.4 2015/5/28. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. の実 IP アドレスが変化する.なお DC から割り当てられ た仮想 IP アドレスは,MN の接続するネットワークが切 り替わっても変化しない.. IPv4 Network. Dual-Stack Network. MN(). DCCN. DCMN. MN(移動後) NATMN Keep Alive. 2.2.2 アドレス登録処理. NATCN. CN. Keep Alive. Registration Request/Response. NTMobile では,NTM 端末に搭載される NTMobile の. NTM Information Request/Response Route Direction. 機能を実行するプログラムである NTM デーモンが常に端. Tunnel Request/Response. 末のルーティングテーブルを監視する.NTM デーモンが. UDP Tunnel. ネットワークへの接続や移動に伴うルーティングテーブル.   . の変化を検知すると,NTMobile のハンドオーバ処理を開 始する.NTM 端末は,端末起動時や接続するネットワー. IPv4 Network. handover. 図 4.

(4)  . ハンドオーバ時のトンネル構築シーケンス. クが切り替わり,移動先のネットワークから実 IP アドレ スを取得すると,自身のアドレス情報を DC に登録する処 LTE→ Wi-Fi. 理である Registration Request を実行する.NTM 端末が 常に最新のアドレス情報を自身を管理する DC に登録する ことで,NTM 端末に対する通信到達性を確保する.. Wi-Fi → LTE 通信可能 通信断絶. Wi-Fi. 2.2.3 トンネル再構築処理 図 2 および図 3 のように,MN の接続するネットワーク. LTE. が切り替わり,IPv4 プライベートネットワークへ接続さ. time. れた場合の動作を図 4 に示す.MN は接続するネットワー クが切り替わると,自身を管理する DC である DCMN へ. Registration Request を送信し,実 IP アドレス情報の登. APとの接続開始 IPアドレス取得完了. 図 5. Wi-Fi切断. LTE UP. LTE DOWN. Android OS におけるハンドオーバ時の動作. 録を行う.DCMN は,登録された MN のアドレス情報と. CN のアドレス情報に応じて最適なトンネル通信経路を指. 側から通信を開始する.そのため NTM 端末では,端末が. 示し,トンネルを再構築する.MN と CN 間でトンネルを. Wi-Fi へハンドオーバする場合は,実 IP アドレス取得後. 再構築した後,NTMobile に基づく通信を再開する.なお. のトンネル再構築処理およびアドレス登録処理の時間だけ. MN と CN で動作しているアプリケーションの通信はネッ. 通信断絶時間が発生する.. トワークが移動しても変化しない仮想 IP アドレスに基づ. 一方で Wi-Fi から携帯電話網へハンドオーバする場合,. いて行われているため,MN の接続するネットワークの移. Android 端末では,Wi-Fi 接続時は携帯電話網の無線イン. 動に伴い実 IP アドレスが変化しても,通信の継続が可能. タフェースをダウンしてしまうため,Wi-Fi 接続中に携帯. である.. 電話網から実 IP アドレスを取得することができない.そ のため NTM 端末では,端末が携帯電話網へハンドオーバ. 2.3 検討課題. する場合は,実 IP アドレスの取得,トンネル再構築処理. 2.3.1 NTMobile における課題. およびアドレス登録処理の時間だけ通信断絶時間が発生す. 従来の NTMobile は,NTMobile の機能を実行するプロ. る.また携帯電話網からの実 IP アドレスの取得には数秒. グラムである NTM デーモンが,NTM 端末のルーティン. 程度必要であることが判明しており [4],Wi-Fi から携帯電. グテーブルを監視し,ルーティングテーブルの変化を検. 話網へのハンドオーバでは,多くのパケットロスが発生し. 知することで,DC への実アドレスの登録処理とトンネル. てしまうことが予想される.よって NTMobile により移動. 再構築処理を実行していた.しかしこの手法では,ネット. 透過性が実現できても,ハンドオーバに伴う通信断絶時間. ワーク接続処理が完了した後でないとネットワークの移動. が発生してしまうため実用的とはいえず,解決しなければ. を検知できず,ハンドオーバに伴う通信断絶時間が発生し. ならない課題の一つとなっている.. てしまうという課題がある.. 2.3.2 Android における通信インタフェース切り替え動 作の課題 図 5 に,Android 端末における無線インタフェース切り. 3. 関連研究 3.1 Fast Handover Mobile IPv6 FMIP(Fast Handover Mobile IPv6) [6] は,Mobile IPv6. 替え時の動作を示す.Android 端末では,携帯電話網から. を拡張し高速ハンドオーバの機能を追加したものである.. Wi-Fi にハンドオーバする場合,携帯電話網で接続してい. Mobile IPv6 のハンドオーバ処理は,AP の切断検出,通. る間に Wi-Fi から実 IP アドレスを取得する.その後,端. 信リンク確立,移動先ネットワークから割り当てられる. 末は携帯電話網の無線インタフェースをダウンさせ,Wi-Fi. IP アドレスである CoA(Care of Address)の取得と HA. c 2015 Information Processing Society of Japan ⃝. 3.

(5) Vol.2015-DPS-163 No.4 Vol.2015-MBL-75 No.4 2015/5/28. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. と通信相手 CN への移動完了通知からなる.FMIP では, MIH User. 端末は AP から切断される前に近隣の接続可能な別の AP を検索し,移動先で利用する CoA を取得する.これによ. L3以上. CS. ES. IS. り,ハンドオーバ時の CoA の取得にかかる通信断絶時間 を削減する.また Mobile IPv6 では,移動後の CoA であ. MIH Function. る NCoA(New Care of Address)を HA に登録して利用 できるようになるまで通信が断絶してしまうが,FMIP で. L2以下 ES. は,その間は移動前の CoA である PCoA(Previous Care. IS. L2 (Wi-FiやLTE等の無線I/F). of Address)を利用して通信を行うことで,シームレスハ ンドオーバを実現する.. CS. 図 6. IEEE 802.21 のフレームワーク. しかし FMIP の実現には AP 同士の連携処理が必要であ り,端末と AP の両方が FMIP に対応していなければなら. における課題である無線インタフェースごとの仕様の違い. ない.既存の AP は基本的には FMIP に対応できず,全て. を吸収する機能を持つ.IEEE 802.21 の導入により,上位. の機器を FMIP に対応させることは難しい.さらに FMIP. のレイヤは,複数の無線インタフェース を統一的に扱うこ. では,LTE や Wi-Fi など異なる無線ネットワーク間のシー. とが可能になる.. ムレスハンドオーバが考慮されていないという課題がある.. 図 6 に IEEE 802.21 のフレームワークを示す.IEEE. 802.21 は,MIH User,MIH Function,SAP の 3 つの要 3.2 MIMO を活用したシームレスハンドオーバ手法. 素から構成される.MIH User は,L3 に位置する機能で. スマートフォンや AP の多くは IEEE 802.11n に対応し. あり,異種無線ネットワーク間の移動管理を行う機能を. ており,無線インタフェース内に複数のアンテナを搭載し,. 持つ.MIH Function は,L2 と L3 の間に新たに定義され. それぞれのアンテナが通信を行うことで伝送速度を向上さ. るレイヤであり,無線インタフェース ごとの仕様の違い. せる MIMO(Multiple Input Multiple Output)が使われ. を吸収する機能を持つ.また Link SAP は,MIH SAP と. ている.IEEE802.11n において,本来は伝送速度を向上さ. MIH Link SAP に分けられ,上位または下位のレイヤと. せるためのアンテナのうち,ハンドオーバ時は一つを通信. MIH Function 間でメッセージの伝達を行う機能を持つ.. 継続用として利用し,もう一つをハンドオーバ用として利. IEEE 802.21 では,MIH User が複数の無線インタフェー. 用することで Wi-Fi の AP 間におけるシームレスハンド. ス を統一的に扱うために ES(Event Service) ,CS(Com-. オーバを実現する手法 [7] が提案されている.. mand Service),IS(InformationService)の 3 つのサービ. この手法では,通信中のネットワークの通信品質が劣化. スを定義している.ES は,リンクの確立や切断などリン. したら,IEEE 802.11n の省電力モードを用いることによ. クの状態に関する情報を扱い,L2 から MIH User へ送信さ. り,通信用アンテナを一本にすることで,ハンドオーバ用. れるサービスである.CS は,電波強度の測定要求,リン. のアンテナを確保する.これにより,通信用のアンテナで. クの確立要求やリンクの切断要求などハンドオーバに関す. 通信を継続しながら,ハンドオーバ用のアンテナで他の接. る情報を扱い,MIH User から L2 へ送信されるサービス. 続可能な AP を検索し,ハンドオーバ処理を行うことがで. である.また IS は,ネットワークの最大伝送レートなど. きる.ネットワーク側の装置に改造を加えることがなく. の静的な情報を扱い,MIH User と L2 の間で相互に送受. Wi-Fi の AP 間のシームレスハンドオーバを実現できるこ. 信されるサービスである.IS で伝達される情報は,ハンド. とから,Wi-Fi の AP 間のハンドオーバであれば有用な手. オーバ先のネットワークを選択する際に用いられる.これ. 法であるといえる.しかし Wi-Fi と携帯電話網間のシーム. らの統一されたサービスを用いることにより,MIH User. レスハンドオーバが考慮されておらず,スマートフォンで. は,複数の仕様の異なる無線インタフェース を統一的に扱. の実用には課題がある.. うことが可能となる. 文献 [8] では,IEEE 802.21 と IPv6 ネットワークにお. 3.3 IEEE 802.21 IEEE 802.21(MIH:Media Independent Handover)は,. いてネットワーク単位の移動透過性を実現する技術である. NEMO(Network Mobility)[9] の連携によるシームレス. IEEE によって 2008 年に標準化された規格である.IEEE. ハンドオーバ手法の提案がされており,実機による動作検. 802.21 は,L3(レイヤ 3)など上位レイヤのプログラムが. 証が行われている.動作検証ではマルチホーム環境の構築. 無線インタフェースの規格によらず,統一的に無線イン. のために PC が用いられているが,本稿でターゲットとし. タフェースを扱えるようにすることで,異種無線ネット. ている Android 端末では 2.3.2 項に述べた課題のために,. ワーク間のシームレスハンドオーバを実現する技術である.. PC のようにマルチホーム環境を構築することはできない.. IEEE 802.21 は,異種無線ネットワーク間のハンドオーバ. c 2015 Information Processing Society of Japan ⃝. 4.

(6) Vol.2015-DPS-163 No.4 Vol.2015-MBL-75 No.4 2015/5/28. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. NTM daemon. 4. 提案手法. 3.. 4.1 概要 NTM 端末は異なる無線ネットワークへハンドオーバす. MIH User. L3以上. 1.. る際に通信断絶時間が発生してしまうという課題があった.. で Android OS のアプリケーションフレーム層内に存在す. 6.. L2以下. Wi-Fi. LTE. 5.. るサービスに改造を加えることで通信インタフェースの切 り替え動作の課題を解決し,IEEE 802.21 と NTMobile を. 1. 電波強度の監視 (通信品質劣化を確認後2へ) 2. リンク確立指示 リンク確立メッセージ 3. ハンドオーバ処理指示 4. NTMobileハンドオーバ処理 5. 通信I/Fの切替 6. リンク切断指示. 2.. MIH Function. さらに NTM 端末が Android スマートフォンの場合は,通 信インタフェースの切り替えにおける課題があった.そこ. 4.. 切替後の通信. 切替前の通信. 連携させることにより,端末側のみの実装で Wi-Fi と携帯 図 7 提案手法のハンドオーバ処理の概要. 電話網といった異なる無線ネットワーク間でシームレスハ ンドオーバを実現する手法を提案する.. L2. L3. 4.2 IEEE 802.21 と連携した NTMobile のハンドオー. NTM daemon. MIH User LTE MIH Function MIH_Link_Get_Parameters Link_Get_Parameters. バ時の動作. MIH_Link_Parameters_Report. 従来の NTMobile はルーティングテーブルの変化により, ネットワークの移動を検知してハンドオーバ処理を実行し ていたため,通信断絶時間が発生していた.提案手法では,. トンネル 再構築/切り替え処理. ハンドオーバ処理 完了通知. Link_Action. MIH_Link_Up. Link_Up. MIH_Link_Action. Link_Action. MIH_Link_Down. Link_Down. シームレスハンドオーバを実現するために,NTM デーモ ンと MIH User に連携機能を追加する.IEEE 802.21 の機 能を利用して無線通信の品質を監視し,無線インタフェー ス を切り替える前に移動先のネットワークのハンドオーバ 処理と NTMobile のトンネル再構築処理を行うように変更 することで,シームレスハンドオーバを実現する.提案手 法の動作の概要を図 7 に示す.また提案手法の動作シーケ ンスを図 8 に示す. 無線インタフェース の管理には,ES に定義されているリ ンク確立を示すメッセージである MIH Link Up とリンク切 断を示すメッセージである MIH Link Down,さらに CS に 定義されているリンク確立命令やリンク切断命令を示すメッ セージである MIH Link Action を用いる.またハンドオー バ処理の実行判断には,CS に定義されている電波強度の測 定命令を示すメッセージである MIH Link Get Parameters と ES に定義されている電波強度の測定結果を示すメッ セージである MIH Link Parameters Report を用いる. 提案手法では,接続しているネットワークの電波強度を ハンドオーバのトリガとして用いる.MIH User は,接続し ているネットワークの電波強度測定のために,定期的に通信 中の無線インタフェースへ MIH Link Get Parameters を 送信する.そして,無線インタフェースから送信される電波 強度の測定結果を記載した MIH Link Parameters Report を MIH User が受信することにより,MIH User は,接続し ているネットワークの電波強度を得る.電波強度の測定を 行った結果,電波強度が閾値以下であった場合,異なる無 線ネットワーク間のハンドオーバ処理を開始する.ハンド オーバ処理では MIH User が,端末に搭載されている通信を. c 2015 Information Processing Society of Japan ⃝. 図 8. Link_Parameters_Report. MIH_Link_Action リンクイベントの通知. Wi-Fi. 提案手法の動作シーケンス. 行っていない無線インタフェース へ MIH Link Action を 送信する.MIH Link Action を受信した無線インタフェー ス は,リンク確立を行い MIH User へ MIH Link Up を送 信する.これにより MIH User は,無線インタフェースの リンク確立を確認する.. MIH User がリンク確立を確認した後,MIH User は, NTM デーモンへリンクイベントの通知により NTMobile のハンドオーバ処理の実行を指示する.NTM デーモンは, このメッセージをトリガに新しくリンクを確立した無線 インタフェース側からハンドオーバ処理を行う.これによ り,NTMobile に基づく通信は,新しく接続されたネット ワーク側に切り替わって継続される.ハンドオーバ処理の 完了報告を受けた MIH User は,ハンドオーバ前に使用し ていた無線インタフェースに対して MIH Link Action を 送信することで,リンク切断指示を行い,ネットワークか ら切断させる. 提案手法を導入した NTM 端末 MN が,Wi-Fi ネット ワークから LTE ネットワークにハンドオーバした場合の処 理を図 9 に示す.また LTE ネットワークから Wi-Fi ネッ トワークにハンドオーバした場合の処理を図 10 に示す.図. 2 と図 3 に示した従来手法と異なり,提案手法では,IEEE 802.21 の機能を利用し,通信断絶前に事前にハンドオーバ 処理を行う.ハンドオーバ処理が終了するまでハンドオー バ処理開始前に使用していた無線インタフェースで通信を 行うことで通信断絶時間は理論上発生せず,シームレスハ ンドオーバを実現できる.. 5.

(7) Vol.2015-DPS-163 No.4 Vol.2015-MBL-75 No.4 2015/5/28. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. MN. Wi-Fi. eNodeB (LTE基地局). NTM daemon DC. CN. 3.. LTE. 電波強度の 劣化を検知. L3以上. LTE 接続処理開始. MIH User. ・実装完了 2. リンク確立メッセージ 3. ハンドオーバ処理指示 4. NTMobileハンドオーバ処理. 2.. NTMobileに基づくトンネル通信. MIH Function L2以下. 接続処理. Wi-Fi. LTE. 切替前の通信. 切替後の通信. Wi-Fi側で 通信. IPアドレス取得処理 MNの実IPアドレス登録処理 トンネル再構築処理. 図 11. NTMobileに基づくトンネル通信 LTE側で 通信 Wi-Fi切断. ODTONE. 4.. ・未実装箇所 1. 電波強度の監視 (通信品質劣化を確認後2へ) 2. リンク確立指示 5. 通信I/Fの切替 6. リンク切断指示. 基礎的実装による動作. モンのプログラム変更を加え,提案手法の基礎的実装を行っ た.基礎的実装では,NTM 端末を異なる無線ネットワー ク間でハンドオーバさせ,ODTONE と NTMobile の連携. 図 9 提案手法の Wi-Fi から LTE へのハンドオーバ時の処理. た.基礎的実装における提案手法の動作を図 11 に示す.. MN AP LTE. 機能が正常に動作しているか確認できるよう実装を行っ. DC. IEEE 802.21 のリンクイベントは,通常であれば MIH. CN. Function を経由して MIH User や Link SAP へ伝達され. Wi-Fi. る.しかしデフォルトの ODTONE は,端末を機内モード NTMobileに基づくトンネル通信. に切り替えるなど完全に無線インタフェースが切断され. Wi-Fi AP検索開始. ないと MIH Function から MIH User へ MIH Link Down. AP検索 接続可能な AP発見. メッセージが送信されず,また端末を機内モードから復 帰させた場合でないと,MIH Function から MIH User へ. Wi-Fi 接続処理開始 接続処理. LTE側で 通信. IPアドレス取得処理. はないため,電波が届かなくなり Wi-Fi ネットワークか. MNの実IPアドレス登録処理. ら切断される場合や Wi-Fi の AP を発見して Wi-Fi ネッ. トンネル再構築処理 NTMobileに基づくトンネル通信 LTE切断. MIH Link Up メッセージが送信されないという不具合が あった.機内モード時のみ動作することは実用的な動作で. トワークに接続する場合など,ネットワークが自動的に Wi-Fi側で 通信. 切り替わった際に MIH Link Up や MIH Link Down が送 信されるように ODTONE の MIH Function のプログラム. 図 10. 提案手法の LTE から Wi-Fi へのハンドオーバ時の処理. 4.3 Android 端末における通信インタフェース切り替え 動作の改善. 2.3.2 節で挙げた通信インタフェースの切り替え動作の. に修正を加えた.さらに ODTONE の MIH User に,MIH. Function から MIH Link Up を受信すると,UNIX ドメイ ンソケットを生成し,NTM デーモンへハンドオーバ指示 メッセージを送信するよう拡張を加えた.. 課題については,Android OS のアプリケーションフレー. NTM デーモンには,MIH User から伝達されるハンド. ム層内に存在するサービスである端末の通信管理を行う. オーバ指示メッセージの受信機能を UNIX ドメインソケッ. Connectivity Service に改造を加えることで解決すること. トを利用して追加した.さらに,そのメッセージをトリガ. ができる [10].Connectivity Service を改造することで,通. に DC へ自身の実 IP アドレス情報の登録処理と端末間の. 常の Android OS と異なり,Wi-Fi の実 IP アドレスを取. トンネル再構築処理を行うよう変更した.. 得しても携帯電話網の無線インタフェースをダウンさせな. シームレスハンドオーバを実現するためには,Android. いようにし,Android スマートフォンにおいてマルチホー. OS の改造と提案手法の全ての実装が必要である.しかし. ム環境を実現することができる.. 5. 実装と評価 5.1 実装. 現行の Android OS に対して Connectivity Service の改造 が完了しておらず,Android OS における通信インタフェー ス切り替え時の課題を解決できていない.また ODTONE の通信品質の変化に応じてハンドオーバ指示を行う部分. IEEE 802.21 の実装として,IEEE 802.21 のオープンソー. の実装が完了しておらず,完全にシームレスハンドオーバ. ス実装である ODTONE(Open Dot Twenty One)[11] を. を実現することができていない.今後は,現行の Android. 利用した.ODTONE は,Linux OS,Android OS と Win-. OS に対して改造を行い,また通信品質の監視を行うよう. downs で動作が確認されている.ODTONE と NTM デー. ODTONE の実装を進める必要がある.. c 2015 Information Processing Society of Japan ⃝. 6.

(8) Vol.2015-DPS-163 No.4 Vol.2015-MBL-75 No.4 2015/5/28. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 5.2 評価. DC(Direction Coordinator). RS(Relay Server). 5.2.1 概要 提案手法の基礎的実装を行い,ハンドオーバに関する実 験を行った.実験では IEEE 802.21 と NTMobile の連携. Internet (Dual-Stack Network). が正しく動作するか検証した.さらに端末が Wi-Fi から. LTE にハンドオーバする場合と,端末が LTE から Wi-Fi にハンドオーバする場合の通信断絶時間の測定を行った.. 5.2.2 測定環境. IEEE802.11n. b-mobile 4G. AP. 図 12 および表 1 に検証環境の構成と機器仕様を示す.. eNodeB. Handover. DC と RS は,それぞれ IPv4/IPv6 グローバルネットワー クに接続した.MN と CN は,Android 4.4.2 を搭載した. CN. MN. MN. IPv4 Private Network. Nexus 5 を利用した.またそれぞれを IEEE 802.11n によ り IPv4 プライベートネットワークに接続させ,さらに MN. 図 12. IPv4 Private Network. 測定環境. は IPv4 プライベートネットワークの LTE ネットワークに 表 1. も接続できるように設定した.MN は Wi-Fi から切断され た際に,自動的に LTE ネットワークへ接続処理を行うよ う設定した.. 5.2.3 評価方法. 装置仕様. DC, RS. MN, CN. Hardware. Dell PowerEdge R415. LG Nexus 5. OS(Kernel). Ubuntu 10.04(Linux 2.6.32). Android 4.4.2(Linux 3.4.0). CPU. AMD Opteron Processor 4180. Qualcomm Snapdragon 800. 2.6GHz(仮想 1 コア). MSM8974 2.26GHz. 512MB. 2GB. Memory. 提案手法の基礎的実装を行った ODTONE と NTM デー モンを 2 台の Android スマートフォン Nexus 5(MN と CN). Wi-Fi へハンドオーバした際の通信断絶時間の最大値と最. に導入した.MN から CN への Ping 実行中に MN を手動. 小値を図 16 に示す.. で Wi-Fi と携帯電話網間をハンドオーバさせ,ODTONE. 測定の結果から,提案手法の基礎的実装の段階では,通. と NTMobile の連携機能が正常に動作するか確認を行った.. 信断絶時間が発生してしまっていることが分かった.端. 通信断絶時間の測定には,CN に導入した tcpdump を使用. 末が Wi-Fi から LTE へハンドオーバした場合の通信断. してパケットをキャプチャし,Wireshark を使用して解析. 絶時間の平均値は,提案手法の基礎的実装が 2.37 秒,従. した.ここで,MN 側でなく CN 側でパケットキャプチャ. 来の NTMobile が 2.44 秒であり大きな差は発生しなかっ. を行っている理由は,2.3.2 節で述べたように,Android 端. た.LTE から Wi-Fi へハンドオーバした場合の通信断絶. 末では,Wi-Fi 接続時に携帯電話網の無線インタフェース. 時間の平均値は,提案手法の基礎的実装が 0.73 秒,従来. が強制的にダウンしてしまうため,MN が携帯電話網にハ. の NTMobile が 0.51 秒であり,提案手法の基礎的実装の. ンドオーバした際のパケットを MN 側でキャプチャするこ. 方が通信断絶時間が長いという結果となった.またそれ. とができないためである.そのため MN がハンドオーバす. ぞれの分散は,端末が Wi-Fi から LTE へハンドオーバし. る直前に送信したパケットを CN が受信した時刻と,MN. た場合,提案手法の基礎的実装が 1.78,従来の NTMobile. と CN 間でトンネルを再構築し,通信が再開されるまでの. が 1.93 であった.LTE から Wi-Fi へハンドオーバした場. 時刻の差分からハンドオーバ時の全体の通信断絶時間を明. 合は,提案手法の基礎的実装が 0.09,従来の NTMobile が. らかにした.. 0.08 であった.図 13 から図 16 までに示した結果を見る. 本実験では,通信断絶時間の測定を 15 回行いその平均. と,通信断絶時間の多くがトンネル再構築が完了するまで. を求めた.また通信断絶時間を MN がハンドオーバをし. の時間が占めていることが分かる.この時間については,. てからトンネルが再構築されるまでの時間と,トンネルが. 過去に行った実験 [12] により,ネットワークへの接続処理. 再構築されてから通信が再開されるまでに分け,内訳を. が大半を占めていることが確認されている.また通信断絶. 明らかにした.さらに提案手法を導入していない従来の. 時間はばらつきが大きく,今後ハンドオーバのトリガとな. NTMobile を導入した端末で同様の実験を行い,通信断絶. る電波強度を決定する際に,通信断絶時間のばらつきを考. 時間の測定と比較を行った.. 慮する必要があると考えられる.. 5.2.4 測定結果と考察. 今回の実験を行うことで,今後 2.3.2 項に示した Android. MN を Wi-Fi から LTE へハンドオーバさせた際の通信. OS の通信インタフェース切り替えの課題の解決と 5.1 節. 断絶時間の 15 回の平均値を図 13 に示す.また MN を LTE. に示した今回未実装となっている ODTONE の処理の実装. から Wi-Fi へハンドオーバさせた際の通信断絶時間の 15. を行う必要があり,またハンドオーバのトリガとなる電波. 回の平均値を図 14 に示す.また Wi-Fi から LTE へハン. 強度を適切に定め,再度実験と評価を行う必要があること. ドオーバした場合の最大値と最小値を図 15 に,LTE から. が分かった.. c 2015 Information Processing Society of Japan ⃝. 7.

(9) Vol.2015-DPS-163 No.4 Vol.2015-MBL-75 No.4 2015/5/28. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. いう課題が残る.この課題を解決する手法として,ハンド 提案手法(基礎的実装). 1.87. 0.50. 従来手法. 1.89. 0.55. オーバのトリガとして電波強度とパケット到達間隔の両方. 2.37. をトリガとする手法 [13] や電波強度と Goodput(アプリ. 0.00. 1.00. トンネル再構築が完了するまでの時間. ケーションが達成するスループット)の両方をトリガとす. 2.44. 2.00. 3.00. [s]. トンネル再構築から通信再開にかかる時間. る手法 [14] などが提案されている.今後は,電波強度だけ でなく回線の混雑状況やスループットを考慮しハンドオー バのトリガとするなど,より利便性の高いシームレスハン. 図 13. 通信断絶時間の測定結果(Wi-Fi から LTE). 提案手法(基礎的実装). 0.12 0.73. 0.61. 従来手法. 0.39 0.00. ドオーバシステムを検討する必要がある.. [1]. 0.12 0.51. 0.20. 0.40. 0.60. 0.80. [s] トンネル再構築が完了するまでの時間. 参考文献. [2]. トンネル再構築から通信再開にかかる時間. [3] 図 14. 通信断絶時間の測定結果(LTE から Wi-Fi) 0.89 0.11. 提案手法(最小). 1.00. [4]. 0.85 0.12 従来手法(最小). 0.97. 3.91. 提案手法(最大). 0.99 4.90. 3.86. 1.57. 従来手法(最大). [5]. 5.43. 0.00. 1.00. 2.00. トンネル再構築が完了するまでの時間. 3.00. 4.00. 5.00. 6.00. [s]. トンネル再構築から通信再開にかかる時間. [6] 図 15. 通信断絶時間の最大値と最小値(Wi-Fi から LTE). 提案手法(最小) 従来手法(最小). [7]. 0.21 0.09 0.30. 0.06 0.15 0.21. 0.96. 0.30. 提案手法(最大). 1.26. 1.26. 0.00. [8]. 0.40. 従来手法(最大). 1.66. 0.50. トンネル再構築が完了するまでの時間. 1.00. 1.50. 2.00. トンネル再構築から通信再開にかかる時間. [s]. [9] 図 16. 通信断絶時間の最大値と最小値(LTE から Wi-Fi). 6. まとめ. [10]. 本稿では,IEEE 802.21 と NTMobile を連携させること で従来の NTMobile の課題であった通信断絶時間を削減 し,シームレスハンドオーバを実現する手法を提案した.. [11]. 提案手法の基礎的実装を行い,実機で動作検証を行うこ とで,IEEE 802.21 と NTMobile の連携が正常に動作して いることを示した.また今回の実験を行うことで,今後は. 2.3.2 項に示した Android OS における通信インタフェー. [12]. ス切り替えの課題の解決と 5.1 節に示した未実装部の実装 を行い,シームレスハンドオーバを実現する必要があるこ とが分かった.さらにハンドオーバのトリガを,実験結果. [13]. として得られた通信断絶時間のばらつきを考慮して決定す る必要があることが分かった. また本提案のハンドオーバトリガは電波強度のみを想定 しているが,電波強度のみをハンドオーバのトリガとする と,例えばネットワークの混雑などによりスループットが 低下しても,電波強度さえよければ接続を続けてしまうと. c 2015 Information Processing Society of Japan ⃝. [14]. C. Perkins, E.: IP Mobility Support for IPv4, Revised, RFC 5944, IETF (2010). C. Perkins, E.: Mobility Support in IPv6, RFC 6275, IETF (2011). 鈴木秀和,上醉尾一真,水谷智大,西尾拓也,内藤克浩, 渡邊 晃:NTMobile における通信接続性の確立手法と 実装,情報処理学会論文誌,Vol. 54, No. 1, pp. 367–379 (2013). 上醉尾一真,鈴木秀和,内藤克浩,渡邊 晃:IPv4/IPv6 混在環境で移動透過性を実現する NTMobile の実装と評 価,情報処理学会論文誌,Vol. 54, No. 10, pp. 2288–2299 (2013). IEEE 802.21 Standard, ”Local and Metropolitan Area Networks - Part 21: Media Independent Handover Services”, IEEE Computer Society (2009). R. Koodli, E.: Mobile IPv6 Fast Handovers, RFC 5568, IETF (2009). 出水達也,相田 仁:IEEE 802.11n に基づくシームレ スなハンドオーバの実験的実装と評価,電子情報通信学 会技術研究報告. NS, ネットワークシステム, Vol. 112, No. 463, pp. 95–100 (2013). 三屋光史郎,北地三浩,長澤知津子,守田空悟,横田知 好,湧川隆次,村井 純:IEEE802.21 を用いたスムース な異種メディア間ハンドオーバシステムの実現,情報処 理学会論文誌,Vol. 49, No. 1, pp. 335–349 (2008). Devarapalli, V., Wakikawa, R., Petrescu, A. and Thubert, P.: Network Mobility (NEMO) Basic Support Protocol, RFC 3963, IETF (2005). 福山陽祐,上醉尾一真,鈴木秀和,旭 健作,内藤克浩, 渡邊 晃:Android 端末における Wi-Fi/3G 間のシーム レスハンドオーバの提案と実装,情報処理学会研究報告. MBL, [モバイルコンピューティングとユビキタス通信研 究会研究報告], Vol. 2013, No. 27, pp. 1–8 (2013). Corujo, D., Guimares, C., Santos, B. and Aguiar, R. L.: Using an Open-Source IEEE 802.21 Implementation for Network-Based Localized Mobility Management, IEEE Communications Magazine, Vol. 49, No. 9, pp. 114–123 (2011). Kamienoo, K., Suzuki, H., Naito, K. and Watanabe, A.: Development of mobile communication framework based on NTMobile, Mobile Computing and Ubiquitous Networking (ICMU), pp. 27–32 (2014). 北爪竜馬,山本 潮,小野里好邦:パケット到着間隔によ るハンドオーバトリガを用いた異種無線システム切替方 式,電子情報通信学会技術研究報告,Vol. 111, No. 261, pp. 49–56 (2011). Busanelli, S., Martalo, M., Ferrari, G. and Spigoni, G.: Vertical Handover between WiFi and UMTS Networks:Experimental Performance Analysis, International Journal of Energy, Information and Communications, Vol. 2, No. 1, pp. 75–96 (2011).. 8.

(10)

図 5 Android OS におけるハンドオーバ時の動作 側から通信を開始する.そのため NTM 端末では,端末が Wi-Fi へハンドオーバする場合は,実 IP アドレス取得後 のトンネル再構築処理およびアドレス登録処理の時間だけ 通信断絶時間が発生する. 一方で Wi-Fi から携帯電話網へハンドオーバする場合, Android 端末では, Wi-Fi 接続時は携帯電話網の無線イン タフェースをダウンしてしまうため, Wi-Fi 接続中に携帯 電話網から実 IP アドレスを取得することができない.そ
表 1 装置仕様

参照

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