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【巻頭言】社会福祉学研究をすすめるために 利用統計を見る

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【巻頭言】社会福祉学研究をすすめるために

著者

秋元 美世

雑誌名

東洋大学社会福祉研究

12

ページ

1-1

発行年

2019-07

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00011102/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

1 【巻頭言】 【巻頭言】

社会福祉学研究をすすめるために

秋元 美世

社会福祉学に限らないことだが、研究にとって、物事を分析することが重要な意味を持つの は言うまでもない。とりわけ、社会の現実に根ざした事象を取り扱う社会福祉学においてはそ うであろう。近年の社会福祉学研究において、調査をベースにおいた研究が主流をなしている のもそうした意味では歓迎すべき流れと言えるのかもしれない。だがそのことを確認した上で、 いくつか別途踏まえておいた方が良いように思うことがある。ひとつは、事象を問題にした分 析には、Positive AnalysisとNormative Analysisの2つがあるということである。前者は、日 本語で「事実解明的分析」と訳されたりしているものであり、「現実がどうなっているのか?」 「どのようなメカニズムでそのような事象が発生しているのか?」という観点からの分析を指 す。それに対して後者は「規範的分析」と訳されているものであり、ある問題との関わりで「ど のような方法を選択すべきか」「どのような仕組みを用意すべきか」という観点から分析を行う ことを言う。両者の関係は、たとえば社会で生起している問題に対して、Positive analysisで現 状を把握し、Normative analysisで現状の評価と対応のための方針を分析し、その結果をまた Positive analysisで分析するというような関わり方をすることになる。つまり、研究においては、 上記の2つのレベルでの分析を適切な仕方で行っていくことが求められるのである。言うまで もなく、調査はPositive Analysisのための有用かつ主要な方法である。現実がどうなっている のかの分析をすることを研究目的にしているのであれば、Positive Analysisとしての調査で話 を完結させることに不都合はないのかもしれないが、社会福祉学研究においては問題解決のた めの規範的なレベルでの分析が求められていることが多いことも忘れてはならないだろう。 もう1つ、「客観的で信頼性がある」ということと「妥当性がある」ということとは別のこと であるという点も踏まえておくべきであろう。確かに検証可能なデータに基づき結果を導き出 す技法は客観的で科学的に見える。きちんとした手法でなされた調査はそのようなものとして みなされている。ただその際、留意しておく必要があるのは、客観的で科学的な(その意味で 信頼性が保証できる)方法は、必ずしも本来問題にしようとしていることをとらえているかど うか、つまり問題を適切に捉えられているかどうかという意味での「妥当性」があるかどうか の保証にはならないという点である。もしかしたら見当違いの別の何かにあたるデータを検証 可能な形ではじき出しているだけかもしれないのである。客観的で科学的であることは、前提 とされるべき必要条件であることは確かだが、それと同時に妥当性の問題を意識しておかない と、「何のための研究なのか」という問題に突き当たることになるだろう。

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