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野菜作経営の展開と産地の再編に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

野菜作経営の展開と産地の再編に関する研究( 内容の要旨 )

Author(s)

原, 任利

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第359号

Issue Date

2005-03-14

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2700

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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名(本(国)籍) の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 原 任 利 (中華人民共和国) 博士(農学) 農博甲第359号 平成17年3月14日 学位規則舞4条第1項該当 連合農学研究科 生物生産科学専攻 岐阜大学 野菜作経営の展開と産地の再編に関する研究 主査 岐阜大学 教 授 今 井 健 副査 岐阜大学 助教授 荒 井 聡 副査 信州大学 教 授 佐々木 隆 副査 静岡大学 教 授 小 嶋 睦 雄 論 文 の 内 容 の 要 旨 国内の野菜産地は近年の野菜消費の低迷、輸入野菜の増加による価格の低下などに より打撃を受け販売額が下落し、生産が減少したところもー部もみられる。とりわけ、 施設野菜作は他の農業部門より高い収益が得られるため1960年代後半から作付面嶺 と農家数が急速に伸びつづけてきたが、1985年以降生産農家数の増加が止まり、1995 年以降には面積、農家数とも減少に転じている。そして、施設野菜作も例外なく1990 年代以降には担い手の減少と高齢化とが併進する傾向が強まっている。そうした中、 園芸技術の発達を背景に高度化した施設と機械化による規模拡大をし、他産業並みの 所得の確保を図る大規模経営が出現している。その典型は養液栽培である。このよう に、施設野菜作は専業化・大規模化と兼業化・零細化への分化が進行し、野菜産地に

おける生産構造が大きく変化した。そこで、本研究は産地再編の視点から以下の課題

すなわち①生産構造の変化の要因、②こうした生産構造の変化に対し、いかに産地の 維持を図るべきかが課題であると考える。研究方法は野菜作の生産構造を把握するう えで、調査地域の農家アンケートと実態調査により産地の内在的変化の構造を分析し た。分析の結果は以下のとおりである。 第1施設野菜作は規模拡大を果した少数の経営と減少する多くの小規模経営へ分 化し、施設面積が1995年以降減少した。2000年農業センサスによれば、1990年との 比較で50a以上層のみ面積と農家数が増加するのに対し、他の階層特に5∼10aと10 ∼20a層は面積、農家数ともに大きく減少し、施設野菜作の展開は大規模と小規模へ の両極に向かっての分化が進行していることになる。その結果、施設野菜作の生産面 積は1995年の458baから2000年の418baへ1割近く減少した。このように、施設

(3)

面積の減少による生産の後退が供給量の低下とこれを埋めるための輸入野菜の増加を もたらし、野菜の自給率は1990年の91%から2000年の82%まで低下している。し たがって、野菜産地にとって小規模経営も抱えながら産地の供給力を確保するのが当 面の最大の課題となっている。 第2

調査地域の神戸町下宮地区は岐阜県の典型的な都市近郊園芸産地である。85

戸の野菜生産農家を調査したところ、中心栽培作物による経営類型の分類と施設面積 の大きさ・にしたがって、比較的規模が大きく基幹男子のいる割合が高い「小ネギ型」 経営と比較的規模の小さい女性や高齢者を中心とする「小松菜型」経営とに分化し、 全体の21%と67%を占めていることが明らかになった。将来の農業経営に対し、現状 維持と答えたのは61戸74.4%である。そして、現在の経営主の平均年齢は60歳とな り、高齢化が進んでいる中、後継者を確保した農家は32戸38%となり半数に達して いない。こうした状況に対して、産地としての競争力を強化するための方法として、 品質管理の向上と出荷調製作業に軽減により個別経営の規模拡大を図るために、一共同 選果体制の導入が一部の専業的経営を中心として検討されたが、産地を構成する大半 の小規模農家から賛成を得られず、産地としての集出荷体制の再編は困難となった。 かつては均一的であった施設園芸は今日では生産農家の就業・所得構造の変化により、 経営規模や形態が規定され分化しているといえる。しかし、経営目的が分化した経営 類型によって異なるが、産地として維持・発展することは共通の利害となっている。 そこで、都市近郊における土地拡大の制約条件のもとで、農家間の矛盾を回避しつつ 産地としての一体性を維持し専業的農家の経営の発展を実現するために、専業的農家 の共同管理による雇用型経営という新たな経営方式が考え出された。 第3 共同管理による雇用型経営「健康やさい村」の形成は、個別経営では調達困 難な資本金が共同出資と公的助成により可能となり、まとまった土地を確保できたこ とが主要因となっている。その経営成果について個別経営と対比したところ、土地生 産性は当雇用型経営の施設の団地化と機械化による作目の年間作付回数が増加したた め個別経営の単収をはるかに上回っている。1人の1日当り出荷量は専業的個別経営 より劣るが、開設し■た当時より40%も向上し作業効率が大きく向上している。ただし、

当雇用型経営の出荷価格は産地平均と比較してまだ低く、品質の向上が課題として残

されている。 以上のように、専業的生産者の共同管理による雇用型経営の形成は、構成員の異質 化した施設野菜産地の課趣解決に方向性を示したものとして評価される。第1に、価 格低下傾向が強まる中で専業的農家が雇用型経営に参画することによって実質的な経 営規模の拡大を実現し、第2に、高齢・兼業農家の野菜生産を排除せずに共販体制の もとで産地の競争力を維持・強化できたこと。第3に、産地の後継者育成、高齢者農 家への支援及び土地管理に重要な役割を果すことができることである。

(4)

審 査 結 果 の 要 旨

本研究は、都市近郊地域に立地している野菜小規模産地を対象として、産地を構成

している生産農家の経営的分化の構造と、そこに新たに出現した雇用型経営の経営内

容を調査分析し、野菜小産地の発展方向について研究したものである。 日本の野菜作経営と産地構造は、野菜需要の変化に伴って大きく変化してきてい

る。野菜件経営はこの間、規模の拡大とともに新品種や施設園芸技術の導入などの技

術的革新によって多様な経営発展の条件が得られた。しかし、全国的な流通網の整備

と大滑費地の形成に対応して、国内では遠隔大規模産地が形成され、さら'に国外から

低価格で生鮮野菜が輸入され、従来からの都市近郊の小規模野菜産地は立地条件の変

化とともに衰退するか縮小再編されることを余儀なくされている。だが経済の低成長

下で都市地域の農業が、土地利用や就業構造および生鮮農産物の供給基地として再評

価され、都市近郊農業の維持発展のために小規模野菜産地もその再編方向が問われて

本研究では岐阜県下の都市近郊地域に点在する小規模野菜産地の1つである神戸

町の施設野菜産地を対象として、産地再編の方向を実証的に明らかにした。

第1に、土地価格の上昇や兼業機会の拡大など都市近郊条件の変化に対応して、露

地野菜から施設野菜への転換、そして重量野菜から葉菜類への転換と、この間2度に

渡る転換を遂げ、産地としての一体性を維持してきた過程を分析し、地域的な産地と

しての技術的集積と協同出荷体制などを求心力として維持されてきたことを解明し

た。

第2に、農家の兼業化が進展する過程で、離職就農者や女性経営者が増加し、産地

の中でも専業的な大規模コネギ生産農家と、女性主体のコマツナ生産農家に分化し、

経営目的と経営形態が分化してきたことを実証的に明らかにした。このような経営分

化は従来のような農家の土地や世帯員規模ではなく、農家世帯員個々の就業選択の結

果として生じていることを解明した。

第3に、野菜の価格低下と産地間競争の激化いう新たな条件下で、産地の生産農家

を脱落・減少させずに産地としての一体性を維持し、かつ専業的農家の経営発展を実

現する方法として、新しい共同管理型の雇用型経営の形成要因について分析した。.マ

ネジャー方式と雇用労働力による効率的な管理方法と専業農家の経営方法の蓄積が、

労働生産性を高めて農業経営の法人化を可能とすると同時に、産地の中核的経営とし

て他の小経営の改善や支援組織としての役割を果たすことを解明した。

以上のように本研究の成果は、都市近郊地域の農業構造の再編と、経済環境の変化

に対応して持続的に発展する農業経営と産地の方向に重要な示唆を与えるものとし

て高く評価できる。また、研究方法においては既存の統計賓料の分析だけでなく、現 地での調査結果と資料をもととした分析方法であり、実証的方法において優れた研究 といえる。

以上について,審査委員全員一致で本論文が岐早大学大学院連合農学研究科の学位

論文として十分価値あるものと認めた。

(5)

学位論文の基礎となる学術論文は以下の通りである。

1.厘塵剋、呉雪峰、李豊、荒井聡、今井健「都市近郊地域における野菜作経営の分

化と課題」『農業・食料経済研究』49・2、48-59、2003

2.昼生剋、今井健「都市近郊地域における野菜園芸産地の再編方向一共同管垣によ

る雇用型経営形成の意義について-」(『農業市場研究』14・1、2005掲載予定、受理

通知2004.12.1) 既発表学術論文は以下の通りである。

1.呉雪峰、昼珪型、李豊、荒井聡、今井健中国における輸出向けネギ生産農家の経

営分析-L山東省青州市のK村を対象として一1農業・食料経済研究50・2、P21・31、2004

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