鳴門教育大学研究紀要 (自然科学編) 第18巻 2003
四国中央部黒瀬川帯下部白亜系産の“テチス"
“テチス北方"の混在型群集
香 西
武 ぺ 石 田 啓 祐 * *
(キーワード:下部白亜系,古生物地理,非海生二枚貝,テチス,太平洋,西南日本外帯,黒瀬川)1
.はじめに
四国秩父累帯白亜系から産する二枚員類の種構成は, 黒瀬川構造帯を境に北側の白亜系(物部川層群)と南側 の白亜系(南海層群)で大きく異なることが指摘されて いる(田代, 1985; Tashiro and Kozai, 1994)。これら2 つの異なる群集は“テチス型動物群"および、“テチス北 方型動物群"と命名されている(田代, 1994, 2000)。 これら 2つの動物群の種構成の違いは 九州および、東北 日本でも同様に指摘されており (Tanaka,1989 ;田代・ 香西, 1989),両動物群では汎世界的に分布する種を除 いて,ほとんどの種が異なるとされる。その異なる動物 群の成立要因には,緯度差によるとする考え(田代1985, 1994,2000)と海流に起因するとする考え(松川・江藤, 1987)があり,白亜紀の古生物地理と古環境の視点か ら議論が重ねられてきた。 最近,両動物群の混在する動物群が 高知市北方の物 部川層群とされる海成層 (Barremian)から報告され,そ の混在型動物群は物部川層群と南海層群それぞれの堆積 域の漸移部で形成されたものとみなされている(近藤ほ か, 1999)。このBarremianの混在型動物群が検出され た地層は,田代 (1985)により物部川層群の“やや沖合 型"に相当する地層群とみなされている。 筆者らは高知市一宮の物部川層群とされる地域(四国 地方土木地質図編纂委員会, 1998)で,非海生二枚貝類 の産出を確認した。前期白亜紀非海生二枚貝群集は,4
つのフォーナに区分される (Kozaiet a,.l2002)。今回確 認した二枚貝類は,物部川層群の立川層および、その相当 層から産出する立川型フォーナと,黒瀬川構造帯の南側 に位置する竹ヶ谷層群菖蒲層(石田・香西, 2003)およ びその相当層から産出する菖蒲型フォーナの混在フォー ナである。 本報告では,高知市一宮から産出した非海生二枚貝類 の特徴を略記し,混在状況を記載するとともに,混在型 群集の産出意義についての概要を報告する。 *鳴門教育大学自然系(理科)教育講座 **徳島大学総合科学部地球物質科学教室2
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地質概要
高知市北部は秩父累帯に属し 鴻ノ森付近にはシルル ーデボン系および花闘岩質岩類が広く分布し,その南側 に白亜系が東西に長く分布する (Fig.1)。これらの分布 より南は秩父南帯および四万十帯に属する。白亜系は, シルルーデボン系を不整合に覆い基底磯岩層中には黒 瀬川構造帯から由来したと考えられる蛇紋岩源砂磯岩が 挟在する(土谷, 1982)。平田 (1971)は,白亜系を下 位より長柴層,和田層に区分し,長柴層からは植物化石 および、貝化石の産出を報告した。甲藤ほか (1976)は, 白亜系最下部の蛇紋岩砂磯岩を含む磯岩層およびその上 位の赤色 緑色泥岩層を領石層に対比した。さらに,そ の上位に整合で重なる海成層から多くのアンモナイトお よび貝化石の産出を報告し,海成層の地質時代を Early Barremianとした。領石層相当層および海成層は平田 (1971)の長柴層に含まれる。和田層からは,二枚貝類, アンモナイト類が産出し, Aptianに対比される(平田, 1971) . これらの白亜系各層の層群への帰属をめく守つては,一 部物部川層群,一部南海層群に帰属させる考え (Tashiro and Kozai, 1984)や,全てを物部川層群に帰属させる考 え(四園地方土木地質図編纂委員会, 1998)がある。今 回報告する化石の産出地点は,高知市の東方に位置し, 蛇紋岩が広く露出する逢坂峠南西斜面にあり (Fig.2), 白亜系最下部層にあたる。3
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前期白
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紀二枚貝群集について
秩父累帯下部白亜系から産する二枚貝については, Tashiro and Kozai (1984, 1986, 1988, 1989, 1991, 1994) によって総括的な古生物学的研究がなされ, ほぼその 全容が明らかにされるとともに,同時代の動物群の中に 種構成の異なる群集が存在することが明らかにされた。 田代 (1985)は,杉田構造線を境に白亜系を北側の物部これによって現在の位置に再配置したと考えた。両層群 のフォーナの違いは,非海生二枚貝属の Costocyrenaおよ びEomiodonにおいても顕著で,前者は物部川層群に特徴 的な属で,後者は南海層群に特徴的な属であるとされて いる (Tashiro,1987)。 その後,両層群のフォーナは,テチス型動物群(南海層群 のフォーナ),テチス北方型動物群(物部川層群のフォー ナ)と呼称され(田代, 1994),内帯と外帯のフォーナも含 めて議論がなされた(田代, 2000)。これらの論文の中で非 海生フォーナに関しては,テチス型動物群独特の属として, Eomiodon, Crenotrapezium, Aguilerellα( YoshimopsisJカtあ げられ,テチス北方型動物群独特の種として,Costocyrena があげられている。また種のレベルにおいて両動物群で 川層群と南側の南海層群に区分し,両層群のフォーナの 違いを議論した。そして両者の比較において,その類似性 から 3つのカテゴリーに依分した。これらのカテゴリー の一つに,両層群の共通種があげられている。それらは,
Gervillia forbesianad' Orbigny, Pinna robinaldinad' Orbigny
など下部白亜系から汎世界的に産出する種と,今後古生 物学的検討が必要とされる Gervillariaharadae(Yokoyama) の 3種である。その他の要素(化石種)は,両層群で異 なり,南海層群のブオーナには厚歯二枚貝やネリネヤな ど熱帯・亜熱帯を示相する化石が含まれることから,南 海層群が物部川層群より南方で形成されたと考えた。そ して異なる環境で形成された地層群が隣接するにいたっ た理由を,両層群聞の断層に沿う左横ずれ運動に求め,
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330 33' 40" N Fig. 1. Geological map of the Kochi area.四国中央部黒瀬川帯混在型群集 異なる属として,Isodomella, Tetoria, Hayaminaがあげら れている。非海生二枚貝類は,限られた環境・水域で生 息するものであり 両動物群に共通するものはなく,汎 世界的に分布するとされた二枚貝類は全て海生のものに 限られている。 四国東部では,喰田構造線を境として,北側に物部川 層群,南側に竹ヶ谷層群が分布する(Ishida,1999) 0 Kozai et al.(2002) は,これらの地層群から産出する非海生化 石と外帯,内帯,韓国との関連をあわせて検討し,それ らの分布と構成から,前期白亜紀の非海生フォーナを Hauterivianの菖蒲型フォーナおよび立川型フォーナ, Late Barremianの瀬林型フォーナ, Aptianの 日 比 原 型 フォーナに区分した。これらの中で竹ヶ谷層群のフォー ナは菖蒲型で,残りの 3フォーナは物部川層群のフォー ナ で あ る 。 菖 蒲 型 フ ォ ー ナ に は ,Eomiodonn伊'ponicus Ohta, Isodomella matsumotoi Ohta, Hayamina carinata Tashiro and Ohnishi, Pulsidis nagatoensis Ohta, Tetoria yoshimoensis Ohta,などが特徴的である。一方,立川型 フ ォ ー ナ に は,Cpstocyrena otsukai (Yabe and Nagao), Isodomella shiroiensis (Yabe and Nagao) , Hayamina naumanni (Neumyr), Pulsidis antiqua (Koza,)i Tetoria sanchuensis (Yabe and Nagao) , Protocardia . ibukii Nakazawa and Murat aが含まれる。四国東部では,杉田-喰田構造線を境に南側に菖蒲型フォーナが,北側に立川 型フォーナが確認される (Fig.3)。、前者の二枚貝類は, 田代 (2000) のテチス型動物群にj後者の二枚貝類はテ チス北方型動物群と関連が深い。
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産出化石
化石産地の高知市一宮付近の北側には,断層に沿って 蛇紋岩が分布し,白亜系との層序関係がみられる場所は ない。当地域の白亜系の下部は砂岩泥岩互層からなり, 化石はまだ産出していない。砂岩泥岩互層の上位には砂 岩および、含磯砂岩からなる粗粒岩相が重なる。非海生貝 化石は,組粒岩相の下部の細粒砂岩部層から産出する。 識 別 で き た 貝 化 石 種 は,Protocardia ibukii Nakazawa and Murata, Isodomella matsumotoi Ohta, Tetoria sanchuensis (Yabe and Nagao), Costocyrena otsukai (Yabe and Nagao), Eomiodon matsumotoi Ohta, Pulsidis antiqua (Kozai)の非海生二枚員類 6種である (Table1)。以下に 産状およびその特徴を述べる。 Protocardiaibukii Nakazawa and Murata (Pl.1. Figs.15 -17) 産出個体数は少ない。全ての標本が離弁状態で,大き い標本は破片化している。外形は亜三角形で,殻頂がや や突出する。殻表には大まかな同心円肋があり,後半部 には弱い放射肋がある。後稜は強く角張り,強い放射肋 がある。これらの特徴は Nakazawa and Murata (1965) によって岩手県猫川層から記載されたProtocardiaibukii の特徴と一致する。本種は猫川層のほか,山中地域の白 Fig.2. Fossil locality. Topographic map is part of 1 :25,000井層,四国東部の立川層のほか,静岡県の伊平層からも 産出が報告されている(田中ほか, 2000a)。これら産地 は物部川層群およびその相当層に対比され,本種は立川 型フォーナの構成種とされている (Kozaiet a,.l2002)。 Isodomella matsumotoiOhta (Pl.l. Figs.5 -10) 産出個体数は多い。多くは離弁状態で産出するが,希 に合弁のものもある。殻表には弱い成長線があるのみで, ほとんどは平滑である。外形は亜三角形で, H/Lは0.7 -0.8と横長である。殻頂は突出し,前方に位置する。こ れらの特徴は, Ohta (1975) によって山口県吉母層から 記載された Isodomellamatsumotoiの特徴と一致する。本 種は吉母層のほか,四国東部の高蒲層,熊本県の川口層 から産出し,三重県松尾層群からも産出が報告されてい る(田中ほか, 2000b)。本種は菖蒲型フォーナの構成種 とされる(Kozaiet a,.l2002) 0 Tetoria sanchuensis (Yabe and Nagao) (Pl.l. Figs.12 -14) 産出化石は,小型から大型のものまであるが,小型の ものが多い。全て離弁状態で産出する。殻表には細かい 同心円肋がある。殻頂は小さくほぼ中央に位置し,あま り突出しない。前側歯,後側歯とも外縁にそって円形に 湾曲し,後側歯は前側歯より長い。これらの特徴はYabe, Nagao and Shimizu (1926) によって記載された Tetoria sanchuensisの特徴と一致する。本種は白井層のほか領石 層から産出し,船河原層群からも産出が報告されている (Kozai and Tashiro, 1993)。菖蒲層からは産出が報告さ れていないが,立川型フォーナの構成種とみなされてい る (Kozaiet a,.l2002)。 Costocyrena otsukai (Yabe and Nagao)(Pl.l. Figs.l8 -25) 産出個体数は,非常に多い。多くの場合離弁状態で産 出するが,ごく希に合弁のものもある。外形は横長のも のが多い。後稜は強く角張り,殻表の同心円肋は明瞭で, 肋上の刻みは弱く,保存されていない標本が多い。希に 保存のよい標本があり,同心円肋の下側に放射肋がみら れる。これらの特徴は,Yabe, Nagao and Shimizu (1926)に よって,山中地域から記載された Costocyrenaotsukaiに同 定できる。本種は,模式地の山中地域白井層のほか 立 ]11層,領石層からも産出し,立川型フォーナの構成種と さ れ て い る ほozaiet a,.l2002)。宮崎県の戸川層(問中 ほか, 1997),大分県の腰越層からも産出が報告されて いる (Tanaka,1989)。 Eomiodon matsumotoiOhta(Pl.l. Figs.1 -4) 産出個体数はあまり多くない。外形は亜三角形で,殻 頂は中央またはやや前方に位置する。殻表には7'"'-'10本 の同心円肋があり,後稜はあまり角張らない。これらの 特徴は, Ohta (1973) によって川口層や本地域の標本を もとに記載された Eomiodonmatsumotoiに類似する。本種 の完模式標本は川口層産のものであるが,副模式標本に は本地域の標本が含まれている。本種は,川口層の他に 菖蒲層から知られ,菖蒲型フォーナの構成種とみなされ て い る ほozaiet a,.l2002)。これらの他に,大分の山部 層 (Tanaka,1989),松尾層群からも知られている(田中 ほか, 2000b)。 Pulsidis antiqua (Kozai)(Pl.l. Fig.l1) 右殻が
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同体のみ得られた。殻の膨らみは強く,殻の 内側にsuportingbuttressがある。後端はあまり伸びない。 これらの特徴は, Kozai (1987) によって立川層から記載 さ れ た んlsidisantiqua (=Caestocorbla antiqua)に一致する。 本種は模式地以外からの報告はないが,標本が小さいた n H n μ H U H U n u n u VE ・ V ・ -F u n u n H H ua
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2Okm Fig.3. Distribution map of the faunal types in Shikoku.四国中央部黒瀬川帯混在型群集 めに見過ごされている可能性もある。立川型フォーナの 構成種とされているほozaiet a,.l2002)。
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産出層準の地質時代
菖蒲型フォーナの年代に関しては,菖蒲型フォーナに 含 ま れ る Isodomellamatsumotoi, Tetoriayoshimoensis, Eomiodon matsumotoiが四国の菖蒲層から産出し,その上 位に整合で重なる紅葉川層からBarremianを示す放散虫 が産出することから, Hauterivianと推定されている(香 西ほか, 2001)。また,九州の川口層は,この3種を産 し,上部に整合で重なる八竜山層から多くのアンモナイ トの産出が知られ,それらはBarremianを示す(村上, 1996)。川口層中部からは放散虫の産出が報告されてお り,それらはValanginian-Hauterivianを示す(柏木ほか, 2002)。以上のことから,川口層で二枚貝化石が化石が 産出する上部の層準は, Hauterivianと考えられる。した がって菖蒲型フォーナはHauterivianの群集であると考え られる。 立 川 型 フ ォ ー ナ に 含 ま れ る Protocardiaibukii, Costocyrenαotsukai, Pulsidis antiqua, Tetoria sanchuensisは, 四国の立川層から産出する。立川層の地質時代は, Barremianの下部羽ノ浦層に整合で覆われることから, Hauterivianと考えられている(石田ほか, 1992)。また 関東山地の白井層はこれらのうちの3
種を産し,その上 位に整合に重なる石堂層からBarremianのアンモナイト が報告されており (Matsukawa,1998),白井層の地質時 代はHauterivianと考えられる。これらのことから,立川 型フォーナに含まれる4種はHauterivianの群集に属する と考えられる。 以上のことから,今回確認された立川型フォーナと菖 蒲型フォーナの混在型群集は, Hauterivianの群集とみな せる。 混 在 型 群 集 産 出 層 準 の 上 位 か ら は,Astarte costataYabe and Nagao, Scittila japonicaHayamiなどのBarremian
に 特 徴 的 な 二 枚 貝 が 産 出 し , さ ら に 上 位 か ら は Pterotrigonia moriana (Yehara)が産出する(平田, 1974)。 従って,混在群集の産出層準はHauterivianと考えられ,非 海生化石の対比から推定される産出層準の地質時代と矛 盾はない。
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混在型群集の意義
前期白亜紀二枚貝群集が特徴的な 2つのグループPに区 分されることが田代 (1985)によって明らかにされて以 来,その成因についての議論がなされてきた。前章で示 したように立川型フォーナの構成種は,田代 (1994)に よる“テチス型動物群"に,菖蒲型フォーナは“テチス 北方型動物群"に比較される。テチス型動物群とテチス 北方型動物群の国際種以外の要素が同所に出ることはな い(田代, 2000)とされたが,近藤ほか (1999)およ び今回の報告は,両動物群のそれぞれに固有とみなされ た属種が同一層準から産出する事例を示している。 前述の通り,今回の調査では,同一層準で両動物群に 固有とされる属種の混在が確認できた。もしこの混在が 二次化石に起因するものとするならば,混在する両動物 群の生息時代に差があるはずである。しかし,両動物群 はともにHauterivianの群集であり,異なった時代の要素 が二次化石として混入した可能性はない。ただ,離弁状 態の殻や,殻片がレンズ状の密集層として産出すること は,これらの貝が死後に生息地から運搬されたことを示 している。従って,両動物群が同所で共存し,生息して いたかどうかについては不明である。しかし,どちらか が運搬されたとしても,両者が運搬されたとしても,運 搬経路上で,至近の距離に両群集が生息していたことは 間違いない。このことは,両動物群が完全に異なった古 生物地理区を形成していたのではなく,両動物群の問に 漸移部が存在することを意味する。 Barremianの海成層からは,両動物群のそれぞれに固有 の種が混在することが既に報告されている(近藤ほか, 1999)。そしてこの混在型群集は同一化石層からの産出 であるとされている。従って, Hauterivianの時代の非海 Table 1 . Distribution of the bivalve species of the Hauteriviai1mixed faunaHONSHU
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The data from the Koshigoe, Togawa, Idaira and Yamabu formations, Matsuo Group compiled from Tanaka (1989, 1997, 2000a, 2000b).
Ta: Tatsukawa fm.',Ryo: Ryoseki Fm., To: Togawa Fm., Ko: Koshigoe Fm., Ida: Idaira Fm., Si: Shiroi Fm., Sho: Shobu Fm..,
生二枚貝類に関しても,またBarremianの浅海生二枚貝類 に関しでも,共に両動物群のそれぞれの固有種が至近の 距離で生息していた地域が存在した可能性が高い。両動 物群の生息地の中心に1000kmオーダーの隔たりがあっ たとするならば,これらの混在型動物群は,両動物群の 中間的な位置で生息していた動物群である可能性も考え られる。現在の太平洋岸における貝類の分布からみても, 同一海流の中で緯度差による動物群の違いだとする“テ チス型動物群"と“テチス北方型動物群"の中間に混在 型動物群が存在することは当然あり得る。だとすると, 混在型が確認された本地域より北東の地帯から産出する 動物群は,混在型もしくは“テチス北方型"の動物群で あろう。しかしながら,産出層準の帰属については,物 部川層群・南海層群どちらに属するか見解が分かれてお り,北方への延長については検討が必要である。 今後は産出層の帰属が重要な課題であり,その調査進 展とあわせて本地域以北の動物群を吟味することになろ フ。
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. まとめ
四国中央部,高知市東部の黒瀬川帯斜面海盆堆積相か ら産する白亜紀前期非海生二枚貝類を検討した。その結 果, Hauterivianの立川型フォーナおよび菖蒲型フォーナ のそれぞれに固有とされる6種が識別された。立川型 フォーナは“テチス北方型動物群"に,また菖蒲型フォー ナは“テチス型動物群"に属するとされるものである。 従って,今回検討した二枚貝群集は,両動物群の混在型 動物群であり,このようなHauterivian非海生二枚貝群集 における“テチス型動物群"と“テチス北方型動物群" の混在型動物群の報告は,本報告が初めてである。両動 物群は同一層準から産出しないとされていたが,今回の 調査では,混在型動物群は同一層準から産した。既に報 告されているBarremianの混在群集の存在と合わせて,こ れら混在型動物群の存在は,今後白亜紀の二枚貝古生物 地理を考える上で また白亜紀およびそれ以降の構造運 動を考える上で非常に重要である。特にHauterivianの時 代の非海生二枚貝類に関しても,またBarremianの時代の 浅海生二枚貝類に関しでも,共に“テチス型"と“テチ ス北方型"の両動物群が古地理的に共存あるいは至近の 距離で生息していた地域の存在していた可能性が高い。引用文献
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Fig. 5: internal mould of left valve, NU-・39-0023,X 2.
Fig. 6: lateral view of right valve, NU-39-0026, X 1.6. Fig. 7: internal mould of right valve, NU-39-0019, X 2. Fig. 8: internal mould of left valve, NU-39-0025, X 1.8. Fig. 9: internal mould of right valve, NU-39-0018, X 2. Fig.lO: inner view of left valve, gum cast of internal mould,
NU-39-0021, X 1.4.
Pulsidis antiqua(Kozai)
Fig.ll: internal mould of right valve, NU-39-0004, X 4.5. Tetoria sanchuensis(Yabe and Nagao) Fig.12: lateral view of right valve, NU-39-0013, X 1.5. Fig.13: internal mould of left valve, NU-39-001O, X 3. Fig.14: lateral view of left valve, gum cast of external mould,
NU-39司0009,X 1.
Protocardia ibukii Nakazawa and Murata Fig.15: internal mould of right valve, NU-39-0007, X 2. Fig.16: internal mould of left valve, NU-3与0005,X 4. Fig.17: lateral view of left valve, gum cast of external mould,
NU-39-0006, X 1.8.
Costocyrena otsukai(Yabe and Nagao) Fig.18: lateral view of right valve, gum cast of external
mould, NU-39-0030, X 2.
Fig.19: lateral view of left valve, gum cast of external mould, NU-39-0036.X 2.6. Fig.20: lateral view of right valve, gum cast of external mould, NU-39・・0034,X 2.2. Fig.21: lateral view of right valve, gum cast of external mould, NU-39-0031, X 2. Fig.22: lateral view of right valve, gum cast of external mould, NU-39-0028, X 2.5. Fig.23: lateral view of right valve, gum cast of external mould, NU-39・・.0037,X 6. Fig.24: lateral view of right valve, gum cast of external mould, NU-39-0033, X 2.2.
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KOZAI
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ISHIDA
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(Key words: Lower Cretaceous, paleobiogeography, non-marine bivalves, Tethys, Pacific, Outer Zone of SW Japan, KurosegawaJ
Abstract: The Early Cretaceous bivalve fauna from the. Kurosegawa Belt in Central Shikoku was studied with respect to the faunal affinity. In the Kurosegawa Belt, two faunal-types of Hauterivian bivalves have been recognized (Kozai et a,.l2002). The one, Tatsukawa-type from the Monobegawa Group is distributed in the Northern Kurosegawa Belt. Another one, Shobu-type from the Nankai and Takegatani groups is distributed in the southern Kurosegawa Belt. Based on the specific compositon, the former is regarded as“Tethyan. fauna", and the later is regarded as“northern Tethyan fauna" of Tashiro(1994, 2000). The specific compositions of these two faunas are quite di百'erentexcept for the cosmopolitan species. A transitional fauna between the Tatsukawa-type and Shobu四typewas newly discovered in Hauteriviansandstone bed of brackish facies in the north-south
intermediate part of the Kurosegawa Bel Among tt. he six local species, Protocardia ibukii, Costocyrena otsukai, Pulsidis antiqua and Tetoria Sanchuensis are the Tatsukawa-type elements. Isodomella matsumotoi and Eomiodon matsumotoi are the Shobu-type elements. In addition to the .finding of the marine Barremian“Tethyan'¥“Northern Tethyan" transitional bivalve-fauna, new discovery of the Hauterivian brackish trasitional-fauna is significant for the analysis of paleobiogeography and tectonics during and after the Early Cretaceous. Especially, the existence of the transitional fauna indicates that the“Tethyan" and “Northern Tethyan" faunas are paleobiogeographicaly closer. キLabGeosciences, Faculty of Science Education, Naruto University of Education. 日 Lab.Geology, Faculty IAS, Tokushima University. ishida@ias. tokushima-u.ac.jp