ソーシャルワーク実践における「ソーシャルワーカ
ー-クライエント関係」 : 「非対称性」が存在する
中での「利用者主体」に向けた実践とは
著者
久保田 純
雑誌名
東洋大学大学院紀要
巻
51
ページ
95-113
発行年
2014
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00007302/
<要約>
ミクロレベルでの「利用者主体」を目指すソーシャルワーク実践において、「ソーシャル ワーカー―クライエント関係」は「対等な関係性」が求められ、かつ同時に「非対称性」 が存在している。社会構成主義から改めて「ソーシャルワーカー―クライエント関係」の 構造を見ると、「非対称性」は前提条件として内包されており、さらには社会的・文化的領 域と機関・制度施策領域との3重の循環構造における交互作用によって強固に構築されてい ることが明らかとなった。またクライエントの「意味の世界」や「人間:環境:時間:空 間」の交互作用をも関係性の範疇にいれる必要があり、その複雑で多種多様な交互作用のす べてを理解することが不可能であることから、「複雑性」を持った不確実な関係性であるこ とも明らかとなった。 「ソーシャルワーカー―クライエント関係」の目指すべき方向性としては、「複雑性」を 持つミクロレベルでの「合意形成過程」を通してクライエントの「自己決定」を形成してい くことが求められ、それは決定論的ではない「よりよい関係性」と呼ぶことが妥当であり、 その方法論を検証するためにはLuhmannの「社会システム理論」や「複雑系」の援用が有 効となる可能性が示唆された。<キーワード>
利用者主体、ソーシャルワーカー―クライエント関係、非対称性、よりよい関係性、複雑 性ソーシャルワーク実践における
「ソーシャルワーカー―クライエント関係」
―「非対称性」が存在する中での
「利用者主体」に向けた実践とは―
福祉社会デザイン研究科社会福祉学専攻博士後期課程2年
久保田 純
<目次>
Ⅰ はじめに Ⅱ 「利用者主体」と「ソーシャルワーカー―クライエント関係」 1 「利用者主体」概念 2 「自己決定」に至る過程での「ソーシャルワーカー―クライエント関係」 Ⅲ 「ソーシャルワーカー―クライエント関係」についての先行研究 1 「対等な関係」 2 「非対称性」 3 「ソーシャルワーカー―クライエント関係」における自己矛盾 Ⅳ 社会構成主義から検討する「ソーシャルワーカー―クライエント関係」 1 日常生活における二者関係 2 社会制度のもとでの二者関係 3 社会構成主義における「ソーシャルワーカー―クライエント関係」 Ⅴ 「利用者主体」を目指す「ソーシャルワーカー―クライエント関係」 おわりに 引用文献Ⅰ はじめに
ミクロレベルでの実践現場において、日々ソーシャルワーカーはクライエントと出会い、 ソーシャルワークを実践している。その中でソーシャルワーカーは、「人間:環境:時間: 空間の交互作用」(佐藤豊道 2001)に着目し、ソーシャルワーク理論に裏付けされた価値・ 倫理・技術・知識などを用いながら、クライエントと向き合い実践を行っている。 ソーシャルワークの根幹をなすソーシャルワーク理論においては、1970年代からシステム 理論が導入されソーシャルワークの枠組みをシステム的理解により読み解き、クライエント を「生活者」と位置づけることにより「主体」としての役割を持たせたライフモデルへの転 換への道筋をつけることとなった。さらに1990年代からポストモダンパラダイムがソーシャ ルワーク理論にも援用され、援助者・利用者ともに社会的に構成された存在であり作用しあ う関係とする社会構成主義アプローチとして導入された。これらの理論は「利用者主体」を 中心概念とした実践理論と言うことができ、現代社会におけるソーシャルワーク実践の中で は、「利用者主体」は最も重要な目指すべき方向性の一つと言える。またInternational Federation of Social Workersは2014年に改めてソーシャルワークの定 義について公表し、「ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々 のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。社会正義、 人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。ソーシ
ャルワークの理論、社会科学、人文学、および地域・民族固有の知を基盤として、ソーシャ ルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に 働きかける。」「ソーシャルワークは、できる限り、『人々のために』ではなく、『人々ととも に』働くという考え方をとる。」(IFSW 2014)と位置づけ、ソーシャルワーカーとクライエ ントとの関係性の重要性を示唆した。 このように現代社会においてソーシャルワークは関係性に根ざした「利用者主体」を目指 すことが求められているにも関わらず、ミクロレベルでのソーシャルワークの実践現場にお いては岡田(2010)が述べているように専門的支援が必要であるにもかかわらず支援者との 間に安定的な人間関係を築くことができない「支援困難事例」や複雑で絡み合った多くの課 題を抱えている「多問題家族」が数多くみられ、どのように「利用者主体」に向けた支援を 行えばいいのかわからないという現場のソーシャルワーカーの声も多い。また北川が「実際 には『ワーカー中心主義』ともいえるような視点が払拭できないままにあり、そのため、や やもすると、ワーカーは意のままに利用者を『操作する>あやつる』ような状況を常態化さ せた」(北川 2007:16)と述べたように、「パターナリズム」などのソーシャルワーカーとク ライエントの関係構築における課題も存在している。 本稿では、このような現状をふまえ、ミクロレベルのソーシャルワーク実践において「利 用者主体」を目指す中で、ソーシャルワーカーとクライエントの関係性(以下、「ソーシャ ルワーカー―クライエント関係」と表記)に着目し、先行研究から「ソーシャルワーカー ―クライエント関係」の現代社会における目指すべき方向性と課題を明らかにする。そし て社会構成主義の理論をもとにあらためて「ソーシャルワーカー―クライエント関係」の 構造を明らかにすることで、「利用者主体」を目指した「ソーシャルワーカー―クライエ ント関係」に向けての方法論を検証していくための視座を明らかにする。
Ⅱ 「利用者主体」と「ソーシャルワーカー―クライエント関係」
まずこれまでの先行研究をもとに、「利用者主体」の概念を概観しながら、「利用者主体」 と「ソーシャルワーカー―クライエント関係」の関係性を整理する。 1 「利用者主体」概念 まず岡村(1983)は、「利用者主体」概念について、社会関係には「主体的側面」と「客 体的側面」という二重構造があり、ソーシャルワークとはソーシャルワーカーがクライエン トの「主体的側面」を援助することが「利用者主体」の実践であるとし、「利用者主体」に おけるクライエントの「主体的側面」の重要性を説いた。 またこの「主体的側面」については、佐藤は「人間の独特な位置は、『意味の世界』に住 んでいることであり、『意味』を媒介とした『生活世界』を持っていることである。具体的、 個別的な人間は各人各様の意味の世界を持っている。・・・・・人間は物理的世界に住んでいる以上に、意味の世界に住んでいる。・・・・・・ここに、人間性の主体性の存在基盤が ある。」(佐藤豊道 2001:166-167)と定義づけ、「主体的側面」においては個別な「意味の 世界」が大きな意味を持つとしている。さらに基本的に人間は「人間:環境:時間:空間」 という客体的側面からの影響を受け、主体的側面と客観的側面が相互に作用し合いながら主 体的統合を行う瞬時の歴史的結節点に位置する存在としているとしており、「利用者主体」 において個別な「意味の世界」(主体的側面)と社会における「人間:環境:時間:空間」 (客体的側面)の交互作用における「主体」の統合が大きな意味を持つとした。つまり人間 の「主体的側面」とは独自の「意味の世界」で価値付けられている特別な存在という側面 と、一方で開放システムとして広狭の社会関係を結びつつ全体性を維持している側面とが、 交互作用しながら統合することによって初めて統合的主体として存在することとなる。 また小山(2004)はソーシャルワークの目的が「クライエントの自己実現」「クライエン トの福祉」という人間の主観的側面を強く持つ目的である以上、クライエントにとって何が 幸せで何が不幸せかを決めることを他人ができないならば、本人の「自己決定」を最大限に 実現していくことが「自立」につながり、さらにクライエントの「主体性」の尊重にもなる とし、「利用者主体」概念の重要な要素として「自己決定」を主張している。 つまりソーシャルワークにおける「利用者主体」とは、実践主体であるソーシャルワーカ ーがクライエントの持つ独自の「意味の世界」に住むという主観的側面と「人間:環境:時 間:空間」からの影響を受けるという客体的側面の相互作用における主体的統合を支えなが ら、そこから導きだされるクライエントの「自己決定」を最大限尊重していく援助であると いうことが言える。 2 「自己決定」に至る過程での「ソーシャルワーカー―クライエント関係」 さらにこのような「自己決定」に関して、小山(2004)は他者から独立した「自己」を前 提とした「自己決定」論ではなく、関係性の中で「自己」を捉えていくべきであるとし、ク ライエントの内面においての「自己決定」ではなく、他者との交流の中での「自己決定」が 必要であるとした。 加えて加茂(2007)は「自己決定」は他者とのメッセージ交流の中で構成されることによ ってしか具現化しない非決定論的決定であるとし、ソーシャルワーカーがクライエントに関 わりを持つ中で行われる「自己決定」にむけた支援がソーシャルワーク実践の目指すべき 「利用者主体」であるとした。 つまりは「意味の世界」を持つクライエントと、「人間:環境:時間:空間」の交互作用 の場に、ソーシャルワーカーが新たに介在しソーシャルワーカーとクライエントとの関係性 が構築され「ソーシャルワーク」が生じた際に、「ソーシャルワーク」の場におけるクライ エントの新しい「主体的統合」から導きだされた「自己決定」が生じてこそ、ソーシャルワ ークにおける「利用者主体」が実践できると言える。
よって新保(2014)が述べているように、ソーシャルワーカーとクライエントが、環境条 件も踏まえたうえで望ましいと共有できる、多様な価値を包含する協働に基づく検討が「利 用者主体」を実現するためには必要であると言え、「利用者主体」を目指した「ソーシャル ワーク」においては、「自己決定」に至る過程での「ソーシャルワーカー―クライエント 関係」という二者関係を主要な要因として捉える必要があると考えられる。
Ⅲ 「ソーシャルワーカー―クライエント関係」についての先行研究
次にソーシャルワークにおける「ソーシャルワーカー―クライエント関係」に関する先 行研究を検証する。 1 目指すべき方向性 まず渡部(2003)は1990年代以降の日本におけるソーシャルワークでのキーワードとし て、「対等な関係性」があるとし、クライエントとの対等な関係の基礎にはソーシャルワー クがもっと大切にしてきた「自己決定尊重」を含む職業価値が存在するとした。 同様に狭間(2001)は、日本における1990年代以降の社会福祉基礎構造改革による措置制 度から契約制度への移行をふまえ、質の高いサービス、利用者に選択されるサービスとは、 クライエントのニーズに的確に応じたサービス提供であり、そのサービスの質はクライエン トの生活の質に相関し、生活の質はクライエントの主観的要素に左右されるものであるか ら、クライエントと共に活動するという「対等な関係性」が必要とした。 またその「対等な関係性」を構築するための手法として、佐藤(2001)は「参加の原則」 を取り上げ、ワーカーとクライエントが共同で問題解決に当たることが重要であり、そのた めにクライエントを可能な限り最大限に問題解決過程への参加が求められ、その中でクライ エントとワーカー間で最大限の合意を目指し、そのための方策が共同作業という体験過程で あるとした。 さらに加茂(2003)はソーシャルワークの目的の一つにクライエントの日常生活を変化さ せることによる新たな現実の生成があるとし、それを達成するための要素として①ソーシャ ルワーカーの特権的現実構成力を否定し、クライエントのパートナーとして自己定義してい ること②既存の制度の拘束力に対抗して、クライエントたちとの共変化の過程から次の現実 を共生起させる戦略を創り出すことが目指されていることとし、「ソーシャルワーカー― クライエント関係」における「対等な関係性」に「パートナーシップ」という概念を持ち込 んだ。 2 「非対称性」 一方で稲沢(2002)は「援助関係の非対称性」に着目し、「ソーシャルワーカー―クラ イエント関係」のような援助関係は非対称的な立場性をもつ二者によって構成されている対 人関係とした。そして時系列の中において「ソーシャルワーカー―クライエント関係」は「非対称性」がある状態から始まると指摘している。 また大谷(2012)はソーシャルワーカーがクライエントを評価し、サービスを分配するの で、ソーシャルワーカーによってクライエントの生活は制限されることとなり、ソーシャル ワーカーが善しとする目的に向けてクライエントを評価し、不均衡な関係を強化することに なるとした。加えてソーシャルワーカーとクライエントの間には、教育や社会的承認による 力の違いが厳然としてあり、ソーシャルワーカーはクライエントに対して権力を持つ存在で あるとした。 新保(2014)はこのような「ソーシャルワーカー―クライエント関係」について、クラ イエントが自律的に決定する時期と、ソーシャルワーカーの積極的な支援に基づいて決定す る時期があり、それぞれは排他的な関係ではなく、「支援と自律の連続性」に着目する必要 性があるとした。その上でNeison-Beckerらの類型を参考にソーシャルワーク領域での当事 者—専門職関係について、①完全な権威としての専門職・②当事者の選好をふまえた専門職 の強制・③当事者と専門職の合意・④専門職による特定の制限に基づく当事者の決定・⑤当 事者主導モデルの5段階を連続した関係性があるとした。 そして久保(2014)は「ソーシャルワーカー―クライエント関係」がそもそもクライエ ントが他者の支援なしで生活を継続することが困難な状況になっている以上ソーシャルワー カーとクライエントは対等とはいえないが、クライエントによって定義される問題と目標に 取り組む協働作業の過程を通して、ソーシャルワーカーがクライエントと一緒に新しい知の 構築に取り組むことで、社会正義が実現される実践が行えるとした。 3 「ソーシャルワーカー―クライエント関係」における自己矛盾 これらの議論を表としてまとめたものが表1である。これまでの先行研究をまとめると、「ソ ーシャルワーカー―クライエント関係」は、1990年以降の社会福祉構造改革により制度的 にも「利用者主体」を主軸にすえるようになったことにより、目指すべき方向性として「対 等な関係性」がこれまで以上に強調されるようになってきたと言える。この「ソーシャルワ ーカー―クライエント関係」において「対等な関係性」を目指していく方向性は生態学的 視座による生活モデルや社会構成主義による社会構成主義アプローチなどソーシャルワーク 理論とも合致している方向性であり、理論的にも実践現場においてもソーシャルワークの目 指すべき方向性として「ソーシャルワーカー―クライエント関係」における「対等な関係 性」は位置づけられていると考えられる。 しかしながら、現実の「ソーシャルワーカー―クライエント関係」においては、そもそ も「支援する者」と「支援される者」という現存たる「非対称性」があり、さらには「力の 不均衡」ともいえる権力構造が存在しており、「対等な関係性」と対をなすとも言える関係 性をもつ。 つまり「ソーシャルワーカー―クライエント関係」は、目指すべき方向性として「対等
な関係性」があるにも関わらず、現実の「ソーシャルワーカー―クライエント関係」の中 には「非対称性」が存在するため、「ソーシャルワーカー―クライエント関係」は方向性 と現実が対立するという自己矛盾した要素を持っていると言える。 この自己矛盾した要素に対して、「支援と自律の連続性」をもとに段階的に「対等な関係 性」と「非対称性」の強弱をつけながら支援を行っていく視点や、協働的関係から新しい知 の構築への取組みを行うことで「利用者主体」に向けた支援を実現する視座が検討されてい る現状であるが、さらなる検証が必要な状況であると言える。 表1 「ソーシャルワーカー―クライエント関係」における主要な議論
Ⅳ 社会構成主義からみた「ソーシャルワーカー―クライエント関係」
次に自己矛盾した要素を持つ「ソーシャルワーカー―クライエント関係」をさらに検証 していくにあたり、改めて社会構成主義をもとにしながら「ソーシャルワーカー―クライ エント関係」の構造を読み解いていく。 1 日常生活における二者関係 まずミクロレベルの「ソーシャルワーカー―クライエント関係」は「ソーシャルワーカ ー」と「クライエント」という二者関係が基軸にあるため、基本的な二者関係を社会構成主 義から検討する。二者関係においてはそれぞれが社会的に構成された存在(行為者)と位置 づけられ、その中での関係性は主に言語を通した社会的交互作用のもとに社会現象として構 築されることと捉えられる。 BergerとLuckman(1966)は、社会現象である二者関係に対して「社会的に構成された 主観性」という考えを主張し、日常生活の現実に「外在化、客体化、内在化の循環」「社会的過程と個人的視点の統合」という概念を導入した。行為者は主観的側面・自然的態度・自 発性をもとに行為をしているものの、社会(言説)が人間の産物であり、社会(言説)が客 観的現実として経験され、人間が社会(言説)の産物であるというように循環しながら構築 されており、日常生活の二者関係が個人の主観的側面と社会的な客観的側面が社会との間 で、言語を通して外在化・客体化・内在化を循環させながら構成・再構成をし維持されてい るという考えを示した。同様にSchutz(1970)は社会現象に対して、「日常生活の自然的態 度」という概念を用い、自らの周囲にある理解可能な世界についての感覚や認識、つまり意 識的経験が客観的な世界からだけにのみもたらされているのではなく、社会(言説)におけ る社会的な相互作用の産物であることを主張した。 ここまでの議論を図式化したものが図1である。日常生活・社会的行動における二者の関 係性は、それぞれの行為者の主観的側面・自然的態度・自発性を主にしながら、言語による 相互作用・意味づけを行い、その関係性自体がさらに社会の中で外在化され、その中で慣習 から制度へ転換し客体化されていくことで社会現象となり、さらにそれが内在化されるとい う循環的な関係性であると言える。 【筆者作成】図1 二者関係の構造 2 社会制度のもとでの二者関係 日常生活での二者関係は図1のように位置づけられるが、「ソーシャルワーカー―クライ エント関係」のような社会制度のもとでの二者関係にはまた別な要素が入り込む。 岡田は「個々の行為から成り立っている場である制度は、当然、それを構成している社会 的行為から独立させて同定することはできない。同様にこれは、個々の社会的行為を、それ が埋め込まれている社会的場から独立して、適切に同定することもできない」(岡田
2001:101)としている。つまり社会制度のもとで行われる二者間の相互作用についても、日 常生活の現実の一つとして社会制度における行為者の相互作用を捉えることができると考え られるが、社会的な場・制度からの影響が一般的な日常的相互作用によりも多大な影響を受 けることとなり、これらの概念で整理し相互作用を捉えることが大きな意味を持つ。実際、 社会制度の元で行われる二者間の相談場面である医療・看護・教育・司法分野の相互作用に おいて多くの研究が行われており、特定の制度化における相互作用の定式が発見されている。 (医療・看護関係ではMaynard, D. W. 2003、樫田 2004など。教育関係では秋葉 2001など。 司法関係では樫村 2002など。) その中でGarfinkel(1970)は、会話に代表される社会制度のもとでの二者間での相互作 用を通じて達成されるものを「共通意味の社会的生成」とし、会話分析をもとに現実構成の 方法として「成員のカテゴリー化装置」の概念を発見している。「成員のカテゴリー装置」 とは、会話の過程において話し手はお互いにあるカテゴリー(例えば「医師」と「患者」な ど)を当てはめ認識しており、この成員カテゴリー化は会話の過程において相互反映的に 個々人が共同で構成していくものであるとされる。 そしてPomerantz(1984)が相談関係の「成員のカテゴリー化」について、相談関係が 「助言者」「相談者」というカテゴリーを持っていることから、「助言者」が正しい知識を持 ち「相談者」はそうした知識を持たないという前提が存在し、「相談者」と「助言者」は非 対称な存在となる。これらは会話の過程においても双方がそのカテゴリーを構築していくこ ととなり、「助言」に対しては「不同意」より「同意」、「拒絶」より「受諾」が好まれるこ ととなり、「拒絶」は「助言者」の資格に対する疑義になり得ることなることを明らかにし た。加えてHopper(1995)は「相談者」の能力の低さの提示が「相談者」としての資格と なり、能力が充分にあることの提示は「相談者」としての不適格性に結びつくと指摘した。 このことにより、会話の過程において「相談者」と「助言者」の「非対称性」はさらに強化 されていくこととなる。この過程においてさらに「助言者」の「役割限定の呈示」が行われ 役割の強化が行われるとされる。 これらを図式化すると図2のようになると考えられる。社会制度の下での二者の相互作用 においては、現実の構成方法である「成員のカテゴリー化装置」において、一般的な会話に はない「非対称性」が生じ独特な特徴を持って「共通意味の社会的生成」が行われ現実が構 成される。社会制度という社会的文脈からの影響をより直接的に受けることにより、制度の 影響を強く受ける一方の行為者(例えば医師、教師、助言者など)と受けない一方の行為者 (例えば患者、生徒、相談者など)という役割があらかじめ強く設定され「非対称性」が生 じ、さらには関係が継続するにつれ役割が強化されていき「非対称性」自体も強化されてい く。この強化された関係性の中で、「権力関係」が構成されていると言える。
【筆者作成】図2 社会制度における二者関係の構造 3 社会構成主義からみた「ソーシャルワーカー―クライエント関係」 図2を参考にすると、「ソーシャルワーカー」は社会福祉制度の文脈に依存して構成されて いる行為者であり、「クライエント」はその「ソーシャルワーカー」から支援されることで 社会的に「クライエント」という行為者になり、その二者間で生じる「ソーシャルワーク」 が社会現象となり、そこには独自の「成員のカテゴリー化装置」が構成されている構造とい うことが想定される。そしてそこでの「共同意味の社会的生成」においては、「強いア・プ リオリな性質」を持ち、さらには「相談者」「助言者」という「非対称性」が強化されてい く性質を持つ構造であると考えられる。 しかし、同じ社会制度の下での二者関係とは言え、ソーシャルワークにおいては他分野と は目指すべき根源的な価値が異なる。「ソーシャルワーカー―クライエント関係」におい ては、「意味世界」をも範疇に捉える生活に根ざした「利用者主体」を目指すというソーシ ャルワークの独自の価値を持っており、それゆえ二者関係においても個別の特徴も存在する と考えられる。社会構成主義に依拠したソーシャルワークの先行研究から「ソーシャルワー カー―クライエント関係」の構造の独自性を明らかにする。 Payne(2012)はソーシャルワークとはソーシャルワーカー・クライエント・社会的文脈 によって社会的に構成されるとし、ソーシャルワークを「ソーシャルワーカー」と「クライ エント」という特別な社会的役割を持った人々が相互反映的に作用する特別な場での特別な 活動であるとした。またそのソーシャルワークの社会的構造は、それぞれが影響し合う社会
構造と個人的な関わりの複合体であり、社会的・文化的領域、機関・制度施策領域、ワーカ ー・クライエント領域という3つの領域において構成されるとしている。この社会的・文化 的領域とは多義的で社会的文化的コンテクストと交互作用をする場であり、機関・制度施策 領域とは制度・施策、それらを実施するワーカーが所属する機関との交互作用をする場、ワ ーカー・クライエント領域とは「ソーシャルワーカー―クライエント関係」における言語 による相互作用を行い構成されている場とされる。つまり、ソーシャルワークは図2の社会 における慣習から制度に客体化される過程の際に社会的・文化的領域、機関・制度施策領域 という2つのレベルがあることを意味している。 さらにHallら (2006)は、ソーシャルワークにおける交互作用については、行動を起こし て人々の生活に介入するソーシャルワーカーの力がソーシャルワーカーとクライエントのミ クロレベルの相互作用だけではなく、メゾ・マクロレベルからの政治的な力と法律法規に基 づくものであるとし、その上でミクロレベルにおける「ソーシャルワーカー―クライエン ト関係」における話し合い・コミュニケーションが「共通意味の社会的生成」を生み出して いるとしている。さらにその際のソーシャルワークにおける交互作用の特徴的な点として、 道徳的な性格をあげており、ソーシャルワーカーもクライアントも交互作用の際「道徳的な アイデンティティ」を保護しながら役割を維持しており、ソーシャルワーカー自身の意思決 定を支えているものも道徳的概念が強いとしている。ソーシャルワーカーとクライエントは、 他の社会制度における交互作用における役割よりは役割がはっきりしておらず、成員カテゴ リー化は交互作用の中で道徳的概念を元に曖昧に維持される傾向があると述べている。 これらの議論を参考とすると、ソーシャルワーク実践構造における「ソーシャルワーカー −クライエント関係」は他の制度との共通点は多く、「非対称性」が前提条件として存在し ていると考えられるが、「ソーシャルワーカー―クライエント関係」の独自の特徴として は、①図1・図2においても当然のことながら機関・制度施策領域は存在し影響を与えている と考えられるが、ソーシャルワークにおいては機関・制度施策領域の影響が他の社会制度に 比べると影響力が強く、改めて社会的・文化的領域、機関・制度施策領域という2つの領域 を分けて認識する必要があること、②他の制度に比べソーシャルワーカーの役割についての 不確定要素が多く「成員カテゴリー化」において「道徳的アイデンティティ」が重要な意味 合いを持つこと、という2点があると言える。これらのソーシャルワークにおける特徴を網 羅し図式化すると図3のようになる。
図3 ソーシャルワーカー―クライエント関係」における二者関係の構造 【筆者作成】
Ⅴ 「利用者主体」を目指す「ソーシャルワーカー―クライエント関係」
ここまでで明らかになったように、「ソーシャルワーカー―クライエント関係」の構造 における「非対称性」は、社会制度における二者関係という時点ですでに前提条件として内 包されており、さらにはソーシャルワークの独自性から社会的・文化的領域と機関・制度施 策領域という3重の循環構造における交互作用によって強固に構築され強化されている。 このようなソーシャルワークにおける「非対称性」に関して、Mullaly(2003)がクライ エントの問題が現在の社会秩序において固有・絶対的な存在として構成されている側面が強 いため、異なる社会的集団における権力構造を変化させていく必要があるとしているとした ように、社会的・文化的領域や機関・制度施策領域へのソーシャルアクションを行い、権力 構造の変化から「非対称性」を解消させることにより、クライエントが「利用者主体」を実 現させていく方法論が有効となる。これはいわゆるマクロレベル・メゾレベルでのソーシャ ルワーク実践であり、ソーシャルワーカーとしては代弁者としての機能といえ、当然のこと ながらこれもソーシャルワーカーの重要な責務であり実現させなければいけない。しかしこ の実現に向けては、当然多大な時間とマンパワーが必要となる。 一方でミクロレベルでのソーシャルワーク実践においては、ソーシャルワーカーは今その 瞬間に目の前にいるクライエントに対して支援を行う必要があり、マクロレベル・メゾレベ ルにおけるソーシャルアクションのみでは時間軸の問題から「利用者主体」を実現できない 場合も多い。ミクロレベルでの「ソーシャルワーカー―クライエント関係」においても、内包される「非対称性」が「対等な関係性」の構築を困難にしていると言え、「支援困難事 例」「多問題家族」などのクライエントとの関係構築の障壁となり、またソーシャルワーカ ーの「パターナリズム」を導く大きな要因になっていることが推察される。 ではミクロレベルでの実践において、社会や機関・制度の変革を待たなければ、前提条件 として存在し強固に構築されている「非対称性」がある限り、ソーシャルワーカーはクライ エントとの「対等な関係性」は構築できず「利用者主体」に向けた実践は行えないのだろう か。しかしこれまで現実のミクロレベルでのソーシャルワーク実践において、「ソーシャル ワーカー―クライエント関係」を構築し「利用者主体」を実現した事例も数多く報告され ているのもまた事実である。 ここでポイントとなるのは、「ソーシャルワーカー―クライエント関係」においては、 ソーシャルワーカーとクライエントそれぞれが「不確定な役割」や曖昧な「道徳的アイデン ティティ」を持ちながら「共通意味の社会的生成」を行っているという点であろう。「不確 定な役割」や「道徳的アイデンティティ」を持つ要因としては、前述のようにソーシャルワ ークにおける主要な価値である「利用者主体」が、クライエントの「意味の世界」や「人 間:環境:時間:空間」の交互作用をも関係性の範疇にいれる必要があることがあげられる。 つまりクライエントの持つ独自の「意味世界」がクライエントの内面だけで構築されるので はなく、多種多様な社会や制度・施策との交互作用から構築され、さらにはクライエントに 影響を与える「人間:環境:時間:空間の交互作用」に関しても多くの要因から複雑に影響 を受け構築されるため、その複雑で多種多様な交互作用のすべてを把握することが困難であ り、ミクロレベルのソーシャルワークにおいては生成すべき共通意味とも言える「利用者主 体」を具現化する目標・目的に絶対的なものがなく、その都度変化するという不確実性を伴 い、その結果「ソーシャルワーカー―クライエント関係」は「複雑性」を持ち、ソーシャ ルワーカーとクライエントは「不確定な役割」や曖昧な「道徳的アイデンティティ」を持た ざるをえないこととなる。 この「複雑性」を持つ「ソーシャルワーカー―クライエント関係」に関して参考となる のは、新保(2014)が取り上げた「よりよい」という概念である。新保はソーシャルワーク における目指すべき方向性の概念に関して、ソーシャルワークがクライエントを生活主体と しての個人として尊重し、クライエントの個別化された生活を実現していくため、一般化さ れた一つの答えはなく個別性・多様性を伴うため、決定論的表現ではなく「よりよい」とい う個別性・多様性を包有できる表現が妥当とした。同様にソーシャルワークにおける「ソー シャルワーカー―クライエント関係」においても、目指すべき方向性としては決定論的で 一つの静的な状態としての表現とも言える「対等な関係性」ではなく、動態的で個別性・多 様性を包有した「よりよい関係性」が適していると言える。つまり目指すべき方向性として 「よりよい関係性」の構築を位置づけることによって、概念的にも「非対称性」と対になる
ことはなく、「非対称性」を内包した関係性として「よりよい関係性」を捉えることができ、 自己矛盾は生じないと考えられる。 またFook(2013)はソーシャルワーカーは異なる状況・コンテクストにおいて複雑さを 認識し常に知識と価値を変動させていかなければならないと述べており、同様にPayne (2012)はクライエント、ワーカー、そして社会的文脈における時間・空間・環境の社会構 造を読み取る必要性を述べている。またHallら (2005)は、多種多様な交互作用から影響を 受け不確実性を伴う「ソーシャルワーカー―クライエント関係」においては、より目標・ 目的が流動的に変化をするため「共通意味の社会的生成」、つまりソーシャルワーカーとク ライエントの合意形成過程が重要であるとしている。ここから「複雑性」を持つ「ソーシャ ルワーカー―クライエント関係」については、多種多様で複雑な社会的・文化的領域や機 関・制度施策領域や、その中で生じる「複雑性」を持つソーシャルワーカーとクライエント の「合意形成過程」の理解が重要な意味を持つことになると言える。 ここまでの議論をまとめると、①社会制度の下の二者関係として社会的・文化的領域と機 関・制度施策領域という3重の循環構造における交互作用によって強固に構築されているも のの、ソーシャルワークが「意味の世界」や「人間:環境:時間:空間の交互作用」をも支 援の範疇にしているため、「ソーシャルワーカー―クライエント関係」においては複雑で 多種多様の交互作用の理解が必要となるが現実的には困難であり、それぞれの役割に「不確 定な役割」と「道徳的アイデンティティ」が生じ、不確実な関係性であり「複雑性」を持つ こと②複雑性を持つ「ソーシャルワーカー―クライエント関係」は、動態的で個別性・多 様性を包有する必要があるため、目指すべき方向性は絶対的な「対等な関係性」ではなく相 対的な「よりよい関係性」が妥当であること③「利用者主体」を目指すためには、多種多様 で複雑な社会的・文化的領域や機関・制度施策領域の理解と、その中で生じるさらに「複雑 性」を持つソーシャルワーカーとクライエントの「合意形成過程」の理解が重要であるこ と、の3点があげられる。 つまり「利用者主体」を目指した「ソーシャルワーカー―クライエント関係」における 「よりよい関係性」を構築するためには、社会的文脈・言説やそこから影響を受けている制 度・施策、実践する機関の状況をつぶさに把握・分析するとともに、「複雑性」を持つミク ロレベルでのソーシャルワーカーとクライエントにおける「合意形成過程」を通してクライ エントの「自己決定」を形成していくことが必要と言える。 言い換えると、「利用者主体」を目指したミクロレベルの実践においては、「複雑性」を持 つ「ソーシャルワーカー―クライエント関係」での「合意形成過程」において、いかに 「よりよい関係性」を構築しクライエントの「自己決定」を形成するかという方法論の議論 が重要となる。この方法論の検討で参考となるのは「システム理論」であろう。システム理 論は1970年代から発展をとげ、当初の単純なシステム内での作動理論からより複雑なシステ
ムへの適用を目指し、さらには適用するシステムに関しても細胞システムから人間関係シス テムなどに応用しシステムレベルの多様性にも対応しつつある。その中では社会構成主義や ポストモダンの理論の影響を受けたLuhmann(1984)の「言語」「コミュニケーション」を 媒介とする相互作用としての社会システム理論や、「カオス理論」「自己組織化理論」などに 端を発する「複雑系」などとして発展してきている。 佐藤俊樹(2008)によれば、Luhmannは行為が他の行為との関係とともに成立すると考 え、社会システムを相互作用システム・組織・全体社会システムの3つのシステムの総体と して捉え、行為そのものよりもその関係づけ方・つながり方、つまり相互作用に着目したと される。その中でシステムの「境界」や「自己産出」という概念を用いて、そのシステムと 他のシステムとの関係性の整理を行いシステムを読み解こうとした。「ソーシャルワーカー ―クライエント関係」においても、これまでの議論の通り社会的・文化的領域と機関・制 度施策領域との交互作用において構成・再構成されており、この複雑な交互作用における 「合意形成過程」を読み解くにおいてLuhmannの「境界」や「自己産出」といった概念の援 用は可能であると考えられる。 また吉永(1996)は「複雑系」を決定論的で単純な規則に従う個々の反応でなく、無数の 相互作用のもとにおこり再現不可能であり、全体として個々の部分の和には還元できない振 る舞いを示す現象を明らかにするものであり、「カオス」「自己組織化」「揺らぎ」「創発」な どの概念によって複雑な現象の法則を明らかにしているとした。これも同様に「複雑性」を 持つ「ソーシャルワーカー―クライエント関係」における「合意形成過程」を明らかにす るのには参考になる概念であると言える。 このようにLuhmannや「複雑系」の議論は、「複雑性」を持つミクロレベルでのソーシャ ルワーカーとクライエントにおける「合意形成過程」についても援用が十分可能と考えら れ、これらの概念を使いながら「ソーシャルワーカー―クライエント関係」を読み解くこ とで、クライエントの「利用者主体」の実現を可能とする「よりよい関係」の構築を目指し たソーシャルワークの方法論の検討が可能となると考えられる。
7.おわりに
日々実践現場でのソーシャルワーカーは「接近困難事例」や「多問題家族」などのクライ エントと向き合い実践をしているが、その中ではクライエントとの関係性がうまくとれず、 「果たしてこの実践で妥当だったのか」という漠然とした思いを抱きやすく、日々「ソーシ ャルワーカー―クライエント関係」に関して悩みながら実践している。 本稿で明らかとなったように、それは「ソーシャルワーカー―クライエント関係」にお いて「非対称性」が内在されており、また「利用者主体」を目指す上でクライエントの「意 味の世界」や「人間:環境:時間:空間」の交互作用をも関係性の範疇にいれ、その複雑で多種多様な交互作用のすべてが関係してくることによる「複雑性」を持った不確実な関係性 があるが故に生じる思いであるとも言える。このような思いについても、本稿で述べたよう に新しい「システム理論」で読み解くことにより、「利用者主体」に向けた「ソーシャルワ ーカー―クライエント関係」における新たな概念として認識できる可能性もある。 しかし本稿はあくまで「ソーシャルワーカー―クライエント関係」に関しての文献研究 からの理論的仮説である。ソーシャルワーク理論は実践との循環的関係においてその実証的 価値を持つ。「利用者主体」を目指した「ソーシャルワーカー―クライエント関係」にお ける「よりよい関係性」に対する本稿での理論的仮説の立証及びその具体的な方法論の確立 においては、実際のソーシャルワーク実践からの実証的研究が必要になると言え、今後取り 組んでいきたいと考える。
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In the micro-level efforts toward “client-centered” social work practice, “equal relationships” and the existing “asymmetry” in the “Social Worker-Client Relationship” are required. Reexamining the structure of the “Social Worker-Client Relationship” from the perspectives of social constructivism revealed that the structure includes the “asymmetry” as a prerequisite and is solidly built by the interaction of the triple-circulation structure consisting with the social and cultural area and the institution/system and policy area. In addition, due to the fact that the “semantic world” of the client and interactions among “person: environment: time: space” are also factors that require to be included in the scope of the relationship, and it is impossible to understand all the diversified complex interactions within the relationship, it is clear that it is an uncertain relationship with “complexity.”
It was suggested that the direction toward which the “Social Worker-Client Relationship” should be moving requires the realization of the client “self-determination” through the “complex” and micro-level “consensus building process.” As such, it is appropriate for it to be called a non-deterministic and “better relationship” and the incorporation of Luhmannʼs “social system theory” and the study of “complex system” by reference can be effective to verify the methodology of building the relationship.