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パルプの誘電損失率の測定

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Academic year: 2021

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17

パルプの誘電損失率の測定

真 道

公  雄

Measurement of Dielectric Loss of Pulp Kirnio Shindo  繊維性高分子物質の中でも純粋繊維より成る パルプをえらび,誘電損失率をしらべた。周波 数範囲は,150K.C.より15M.C.とし,温度範囲 は0℃より一55℃まで測定出来た。測定方法 はΩメーターにより,寒剤はドライアイスをア ル隷一ルに投じたものを用いた。 §1 測定装置  (a)資  料  東洋レーヨンK.K.より提供されたリリンタ ーパルプを直径3.45cm,厚さ0。95mmの小円 板型に切り取り,100QCで約3時間加熱乾燥し た後,塩化カルシ:・. 一一ムを入れたデシケ一望一 中に保存したものを用いた。  (b) 測定用電極  第1図の如き構造のもので,主要部は直径 3.8cmの平行円板電極である。此の電極の一つ は,回転すること無く,上下動出来るようにな っている。  (c)Qメーター

 HeathkitのΩM−1を用いた。回路概要を

第2図に示す。同調コイルは各周波数に応じて 適当な大きさのべ一1クライトボビンに適当な太 さの線を巻きつけ,絶縁塗料で固定したものを 用いた。  (d)低温装置  大型魔法瓶中のアルコールにドライアイスを 除々に投じ,これに電極を入れたガラス管を浸 し,魔法瓶を上下して,温度を調節した。最低 温度はアルコールそのものは約一70℃まで下 るが,電極の温度は一55℃以下にするのは困 難であった。尚,電極其の他に水滴が附着する のを防ぐため,真空ポンプでガラス空中の空気 を吸出した。資料は絶乾状態にしてあるので, このようにしても含水率は変らない。  (e)温度測定  寒暖計は正確に資料及電極の温度を示さない ので,電極に銅一コンスタンタン熱電対の一つ の接点を取附け,他の接点は氷一水の0℃に挿 入し,その間の熱起電力を島津K−2型電位差 計で測定し,これより資料及電極の温度を求め た。此の際,熱電対接点は勿論,接地側の電極 に取附けるのであるが,更に絶縁物質の膜で電 極と絶縁しておかぬと9の指示が悪化する。 第 1 図 §2 測定方法  Qメーターは発振部より一定の強さの高周波 電圧を同調部に送り,コイルL及び被測定コン デンサーと同調用可変コンデンサーCvを経て 接地させ,同調した際のコンデンサーの両端の 高周波電位差を二極検波管にて整流し,これを 増巾して検流計で読取るものである。同調部に のみ注日すれば第4図の如くになっている。A 点の電位を一定値Voとし, B点の電位をVと すると,

(2)

8 1 滋 大 紀 要 第  7 号 1 9 5 7 凄

c

G創

ζAL qECη PER

     Te METeR TO VTVM

      第   2  図     V.. lk’co(C+C.)     V。一RL+ゴωL+1/ゴω(C+の となる。但しゴは虚数単位,ωは高周波電圧の 角周波数である。ここに於てCは測定用電極に 資料を挿入したものであり,誘電損失を考慮す ると,         C=CX−jC,i とせねばならぬ。これを前式に代入し両辺の絶 対値をとると,次式が導かれる。

 Vi 1

      可変コンデンサーの容量Cvを      変化させて,右辺の分母を最小に      すると,ly/Velは最大となり,      検流計は最大を示す。分母が最小      になる条件は,      ω2{ω2五2+Rの(α+Cv)一L}=0  7    従って,      α十C。 == L/(ω2L2十Rの…(2) (2)を(1)に代入すると,これが即ちΩであり, Q−P髭}_       1 Vo v/{IJFib.i?llr77=th{iiiit:FlrJIFT.c”一(ozL C,十C.)2十        ・一(1) (v:’oω五C”十R■(Cノ十Cの野

寒暖計→  ←熱電対

→ポソフ。

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噛鴨 f熱材’一魔シ去瓶木箱,アルコール,ドライ アイス

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 =====「」二=二

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   〆ω2L2+R。2{R。/(ω2五2+Rの+ωc〃}        …一・(3)  従って

婦{Q講冊7L痒耐…(・)

 測定用電極より資料を除去しても,電極麦持 絶縁高等の関係より,やはり誘電損失は存在す る。それをCo”とし,その場合の検流計の読み の最大値をQ。とすると,④と同様にして,次 式を得る。

q 

キ/論+朗講耐…(・)

④と(5)の両辺の差をとり

V.

L

R

L

A

第 3 図

B

C

→f一▽

 9

  智

第 4 図

(3)

皇ルプの誘電損失率の測定 (真道) 19    α一・場雇員+RL2(1 1Q Qo) を得る。さて,電極に面積S,厚さd,誘電損失 率ε”なる資料を挿入した場合の誘電損失の増 加C”一Co”は明かに4πSε”/dとなるので    4π磐ω雇汐冊(1 1Q Qe)…(・)  Qメーターと電極を切り離した場合の同調点 をCrとすると,②より       C.==L/((02L2一一kRL2) となるがし.r 1/(ω2C。)なる関係を用いると,      Cr==1/ω/ω」L2+Rノ を得,これを⑥に代入すると,      e・・一、ilgcr(1 1Q Qo) となる。d, SをC.G.S.単位で表し, C。をμμF で表したときは単位系変換に伴い係数が異り,     e”一,:,,i一,,, g c.(6−di) ・・・…(7) となる。従って,資料を挿入した場合のQと除 去した場合のee及び電極を切離した場合のQ メーターの同調点Crを測ればε”は分るので ある。  このQoは資料を挿入してある場合と他の条 件は全く同じで,資料を除去した場合のもので あるが,室温ならば,資料を除去する操作によ り他の条件は殆ど変らないが,温度が室温より 遠ざかるにつれて,電極温度を一定にすること は困難となり,資料を除去する際に著しき温度 変化が生ずる。従って,資料を入れた場合に於 て,種々の温度にてQを測定し,次に資料を除 去した後,温度以外の条件は全く同じにして, 又,種々の温度にてQ。を測定する他ない。そ れにしても,資料及び電極の温度を希望通りに 調節することは極めて困難なので,資料を挿入 した場合と除去した場合を,全く等温にするこ とは不可能である。QもQ。も相当多数の温度 点にて測定し,1/Q及び1/Qoを温度の函数と して曲線を出し,その二曲線の差として(1/Q− 1/Q。)を出すことにより上述の困難をさけた。 実際Q。は殆ど温度に関係せず一定とみなされ る場合が多かったので,上記のようにしてもあ まり誤差は増加しないと思われるが,二三の特 殊な周波数(8M.C。と10 M.C.)ではQoが温 度とともに著しく変化したので,それ等の周波 数に於ける結果はどれ程誤差を含むか疑問であ る。測定は温度降下の際にも温度上昇の際にも 行い得るわけではあるが,降下の際は温度変化 がはげしくて,異る周波数の測定を連続して行 うにはとても一定温度に保てないので,専ら温 度上昇の際の測定を用いた。この際,或温度か ら約5℃上昇させて後一定温度状態にするに は冷媒アルコールの浸す深さを適当に(約2∼ 5cm)満州させて,約20分待てばよかった。 §3 結  果

表1

ε”×103 freq. in K. C.

l

l

freq. in M. C.

asl lsoi200i30014001soo16001soo ll 11 1.sl 213141s161sllo11211s

一550C −soec −45eC −40ec −3sec −300C −250C −20ec 一一一 150C 一 loec 一 50C  ooc 12.3 13.8 15.8 21.2 22.2 22.7 24.6 24.2 24.2 23.7 26.2 29.6 13.4 16.6 17.7 18.2 19.3 20.3 19.8 20.3 20.6 20.6 19.8 19.8 11.0 11.6 13.2 15.0 18.0 19.6 18.5 23.4 24.8 25.6 25,6 25.9 83.5 14.8 18.5 18.5 20.1 20.7 23.5 25.6 25.3 26.3 28.1 28.4 10.2 13.7 15.9 17.4 17.8 19.2 20.6 21.6 22.6 23.9 25.5 2Z6 11.31 13.4 15.3 16.0 16.4 17.7 19.6 20.9 22.0 23.7 24.2 25.6 27.1 13.9 17.0 19.6 19.6 20.6 22.2 24.2 26.8 27.4 27.4 26.8 12.4 13.9 16.4 17.0 19.5 20.1 20.7 21.6 23.2 24.7 26,3 26.9 10.8 13.5 15.5 16.1 17.4 18.0 18.6 20.2 23.0 25.9 27.8 28.8 9.18 13.1 16.9 18.7 18.7 19.4 19.8 21.2 22.2 21.9 21.9 22.2 9.9 11.6 13.4 15.3 17.5 18.6 19.4 20.8 22.5 14.3 25.2 26.8 11.3 14.0 15.5 16.6 17.9 18.8 19.9 20.8 23.1 25.0 25.7 26.4 16.0 14.7 15.7 18.1 18.5 19.5 24.8 17.8 25.5 29.6 24.1 13.0 13.3 14.9 14.9 14,9 15.2 18,5 22.8 26.1 25.6 21.8 19.7 10.1 89.6 12.0 18.2 19.1 20.5 16.9 132 23.3 24.3 28.2 11.6 14.1 15.4 18.1 14.5 85.1 27.2 24.4 23.5 29.9 23.9 13.3 15.0 16.5 17.6 17.6 22.2 24.8 27.4 30.0 30.6 30.6 28.4 18.5 20.0 21.8 26.1 26.1 26.1 24.8 29.8 33.5 35.8 36.9 36.9

(4)

20 滋 大 紀 要 第  7  号 1 9 5 7 タ。

.。一ノーノて7

×lbi 40 20 x/b3 40 20 −3 X/0 一SO 一40 一一30 一20 一lo o ed

一一”一v一一t

堰IM}一

一So 一fo 一30 一20 一一/o o  ec 10M. C タ。

20

 ロヨ x!0 一一ro 一一〇 一36’ L 20’MM:7btTNb’e ec      第5図 8 lq. c 一夕0  −90  −30  −20  一ノ0   0℃ 子の運動が温度降下に伴い減衰することより考 えても合理的な結果である。ただ,双極子の緩 和時間は,物質に特有なものであって,或特定 な緩和時間の双極子に起因するε”の部分は, 温度とともに変化するはずであり,それが著し い場合,ε”曲線の山や谷となり温度とともに変 化するのであるが,今回の結果ではそれが顕著 ではない。5,6,12,15 M.C.に於てややその傾 向が見え,8,10 M.C.に於ては相当な変化が あるが,後者の場合はQoが著しく変化したの で,それによる誤差も含んでいると考えねばな らぬ。これだけの資料ではパルプの誘電損失の 機構について洞察することは困難なので,それ は将来,資料がも少し豊富になった場合にゆず る。

40

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一夕0 −40 −30 −ZO 一ノO  Q℃ 一一唐潤@一一一〇 一30 一一20 一lo o ec      第5図  得たε”の値は,表1及び第5図に示す通り である。どの周波数に於ても温度下るにつれて 誘電損失は小となり,これは物質分子中の双極 40 20 ×ノぎ 一S−o 一一sco 一30 一一:z.o 一一/o o eC

一”/一一一一一/ gooKe.

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刈言 一歪0 一頃0 −30 一乏0 一/0  0。ご

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一s,o 一一・gto’”一Lstt 一’一tz e’ 一lo o oc      第5図  此の低温に於ける測定を御すすめ下さった京 都大学工学部の豊田実博士に感謝するとともに パルプ資料を提供された東洋レーヨンKK,本 膨

(5)

パルプの誘電損失率の測定 (真道)

40

20L 一/

  /’ 500 K,C

x /5]    一SO 一YO 一30 一20 一lo o OC4co F・ 20        400 K.C.xlb3    −SO 一“o 一30 一一2e 一/0 o oc 殉

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   一SO 一Vo 一30 一20 一一10 0 “C タo f,g3t/’一“xv一一’一’;2;一“x“=i?’oo,.,    一SO −90 づ0 −20 一ノ0 0℃40 20 “       歪ぎOKe. xto    一:」tru 一一go 一30 一2b 一/o o‘c          第5図 部研究所の木下幸夫氏と,本研究を終始御支援 下された本学物理学教室の方々に御礼を述べた い。 21

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