(1)産業界における地球温時化防止を実現するエネルギーソリューション
〉ol.86No-12
揮発性有機排ガスの脱臭排熱を
有効利用するコージェネレーションシステム
CogenerationSystemUtilizingExhaustHeattromRegenerativeTherma10xidizer
tolncinerateVolatileOrganicCompoundGasesDischargedtromProductionFaci仙es
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川昌彦 M∂g∂仙β血ruね〝∂
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吉田卓弥 ねた叩∂ねざ仙∂
坂内正明 仙IS∂∂々/β∂〃〃如
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山田博行 〃血/U々/拍m∂由
∨OC含有
排ガス
燃焼・分解
塗装,印刷,
塗布など
燃料
-◆
空気=壬>
脱臭炉
蒸気噴射
ガスタービン
排熱
ポイラ
排熱
ポイラ
排ガス
余剰排熱を
発電に利用
排ガス
■■■■■■■■■■■■■▲■■■■■■■■■■■■■■■■■
㌘丸
加蒸
ス
セ気
℃蒸
フ
電力
注:略語説明
∨OC(Volatj】eOrganicCompounds:揮発性有機化合物)
富士写真フイルム株式会社小田原工場新エネルギー様に設置された脱臭排熱利用型コージェネレーションシステム
揮発性有機化合物を含む排ガスを脱臭処理する際に発生する排熱をガスタービン発電設備に取り込んで有効利用し,コージ工ネレションシステムの効率を向上させる。このシステ
ムは▼独立行政法人新エネルギー億業技術総合開発機楕(NEDO)の平成14年度エネルギー使用合理化事業者支援事業に採択された。
地球環境問題の高まりの中で,製造業では,エ場
の排出ガス量やエネルギー使用量の削減がますます
重要性を増している。
富士写真フイルム株式会社は,日立製作所と共同
で開発した生産設備で発生するVOC(拝発性有機化
合物)を含む排ガスの処理と,工場のエネルギー使用
量の削減を併せて行う設備として,脱臭排熱利用型
ガスタービンコージェネレーションシステムを今臥
導入した。このシステムは,排ガスを蓄熱式脱臭炉で
欝
はじめに
塗装や印刷,物質の塗桶Jなどをする1場の年産工程では,
燃焼して脱臭処理し,この際に発生する高温燃焼ガス
を利用してガスタービンの噴射蒸気を過熱するもの
で,噴射蒸気の温度上昇により,ガスタービンの発電
効率が向上する。設備の導入に際して,日立製作所
はシステムを設計・製作し,納入した。
このシステムを採用したコージェネレーション設備
は,2003年8月から富士写真フイルム株式会社小田
原工場で運転を開始し,エ場内の排ガス処理と,電
気・蒸気の供給に用いられている。
韓科や溶剤を乾燥させることにより,VOC(VolatileOrganic
Compounds:揮発性有機化合物)を含む排ガスが発生す
る。これらの排ガスは通常,脱臭炉と呼ばれる設備で燃焼さ
せ,VOC成分を水とCO2(二酸化炭素)に分解して処理する。
P
日立評点2004.12139
(2)lウ
〉ol.86No.12
この脱臭炉は,環境設備であると同時に高温の燃焼ガスを
発生させるエネルギー設備でもある。
一方,「エネルギーの使用の合理化に関する法律+(改正
省エネルギー法)は,年間のエネルギー使用量が電力で
1,200万kWh以上,または熱で原油換算3,000kL以上の丁
場を第
一種エネルギー管理指定工場として定め,エネルギー
消費原単位を年平均1%以L削減することを義務づけてい
る。これを受けて産業界ではさまざまな省エネルギー対策が
進められている。
ここでは,VOCを含む排ガス(以 ̄F,VOC排ガス)の処押
とエネルギー使用量の削減をl司時に行える,脱臭排熱利用
型ガスタービンコージェネレーションシステムについて述べる。
題
省エネルギーと排ガス処理の課題
生産 ̄L二程で蒸気を使用することが多い製造業の ̄_l二場で
は,発電するとl叫時に排熱を回収して蒸気を供給するコー
ジェネレーションシステムは,費用対効果に優れ,比較的大き
な省エネルギー効果が図れる有力な方法の-・つである。
しかし,脱臭設備を備えている上場でコージェネレーション
を導人するためには,蒸気の需給バランスを適切に計画す
ることが必要になることが多い。
脱臭炉の稗々の形式のうち,一般に経年機の場合は,
VOC成分を燃焼させるために補助燃料を投入する「直接燃
焼式+であることが多い。脱臭炉は約700∼850℃の高温の
燃焼排ガスを排J-Hすることから,近年は排熱回収ボイラを設
置して蒸気を1叫収する方法が普及しつつある。直援燃焼式
の場合,この排熱回収量はVOC成分と補助燃料の燃焼熱
量の合計に応じた蒸気量となる。しかし,回収した蒸気量が
工場の需要量を超過することもあり,この場合,余剰分は使
いみちがなく,廃棄される。
このような場合,排ガス処理による環境保全の当初口約は
果たすものの,エネルギー効率の点では損失がある。また,
すでに蒸気が余剰気味であるため,排熱をIu川又して有効利
用するコージェネレーションを導入しても,その長所を十分に
生かせなくなるおそれがある。
題省エネルギーと環境保全を高度に
両立させるソリューション
3.1導入システムの構成
余剰蒸気の発牛の課題を解決し,かつエネルギー消費量
の大幅な削減を実現するために,寓十写真フイルム株式会
社と11立製作所はさまざまな対策を検討した。その結果,脱
臭排熱を有効利用するコージェネレーションを含む,以下のよ
うな省エネルギーソリューションを導入した(図1参照)。
(1)蓄熱式脱臭炉の導入
蓄熱式脱臭炉は,燃焼排ガスの熟を蓄熱し,この熟を利
用して燃焼宅に流人するVOC排ガスを加熱する。この受熱
蒸気再過熱システム
・脱臭排熱を利用してガスタービン噴射蒸気を
再過熱(発電効率を最大1.3%向上)
高効率蓄熱式脱臭炉
[亨謡プ3A〕
プロセス排ガス +
(揮発性有機化合物含有)
60℃,最大51,000Nm3/h
ガス圧縮機
都市ガス13A
I吸込空気
系統
連系
850℃
排ガス
排熱ポイラ
3400
蒸気
噴射
1.96MPaG,220℃
l
排ガス
都市ガス
13A →
多缶式小型
貫流ポイラ
蒸気高圧ヘッダ
1.96MPaG,
2148c
蒸気中庄ヘッダ
プロセス
蒸気供給
220□c(1.96MP。G)l
排熱ポイラ
255胃
?ト一機、、■ミ■′
▼
5t/h
′′■て、ノ■耽、′′′、■ ′ノ否Yノ…・′㌢むノ
/′.だ′、■ 矛し、心せ短′′′′J少′′′、
排ガス
蒸気
アキュムレータ
1.96
MPaG
給水
0.78
MPaG
脱臭排熱利用型ガスタービンコージェネレーションシステム(7MW級)
図1導入したコージェネレーションシステムの槻筆
書熟式脱臭炉の高温排ガスを使って熟電可変ガスタービンの噴射蒸気を過熱することで,発電効率を最大1.3%向上させる。蒸気が余剰の場合でも,排ガスの余剰熟をガスター
ビンの発電用に供することで余すことなく有効利用できる。
401日立席題2004.12
(3)揮発性有機排ガスの脱臭排熱を有効利用するコージェネレーションシステム
〉ol.86No.12
亡▼
と与熟を繰り返す再生サイクルにより,VOC成分の燃焼熱だ
けで燃焼を維持することができる。このため,通常の運転で
は補助燃料が不要になる。
(2)脱臭排熱利用型ガスタービンコージェネレーションの導入
余剰蒸気の発生を削減するために,蓄熱式脱臭炉の高
温排熱をガスタービンに取り込んで発電に利用するコージェネ
レーションシステムを新たに開発し,導入した。
(3)蒸気の需給変動を吸収するアキュムレークの導人
(4)多如式旦流ボイラの導入と自数制御による高効率化
3.2
脱臭排熱利用型ガスタービンコージェネレー
ション
今Pl開発した脱臭排熱利用型ガスタービンコージェネレー
ションシステムの目的は,従来,-・部廃棄していたVOC成分
の保有熱量を徹底的に利用することである。このシステムで
は,蓄熱式脱臭炉の排熱ボイラに蒸気過熱器を設け,熱電
吋変ガスタービンに噴射する過熱蒸気をこれでさらに過熱す
る。この方式を「蒸気再過熱システム+と呼ぶ。脱臭炉の高温
排熱を取り込んで,ガスタービン燃焼器に噴射する蒸気のエ
ネルギーを増やすことにより,ガスタービンの燃料投入量が削
減され,発電効率が向上する(図2参照)。この方式の特徴
は,以下のとおりである。
(1)蒸∼もの余剰時であっても,VOC成分の保有熟を廃棄せ
ず,ガスタービン発電電力として回収できる。従来,VOC排
ガスの処理排熱は熱として回収されており,余剰時に電気に
転換して有効利用する方法はなかった。
(2)VOC成分の余剰熟の有効利用により,ガスタービン発
電効率が相対比で最大1.3%向上する。
†
温
度
〔声慧泉〕〔習〕燃焼
投入燃料
エネルギー
噴射蒸気
エネルギー
吸気
注:
-・・・・・・・・・(再過熱あり)
---(再過熱なし)
省エネルギー効果
(ガスタービン燃料削減)
排気
燃焼器 タⅦビン 排熱ポイラ
流体の流れ→
図2蒸気再過熱によるガスタービン発電効率向上の概念
ガスタービン燃焼器への噴射蒸気の持ち込みエネルギーを増加させることにより,
燃料投入量を削減し,発電効率を向上させる。
膚
効率向上と省エネルギー・環境効果
4.1脱臭排熱利用型ガスタービンの性能検証
蒸気再過熱システムの効果を検証するために実施した試
験運転の結果を図3に示す。蒸気再過熱がある場合とない
場合の逆転を実施して,発電効率の向上率を評価した。ガ
スタービンの性能は吸込空気の温度,湿度,および圧力の影
響を′受けることから,同凶ではこれらの大気条件を補正した
評価結果と併せて示している。
試験の結果,再過熱による噴射蒸気の昇温幅約42∼
44℃に対して,発電効率は相対値で約0.7%向上した。その
後の実運転では,昇温幅は最大85℃で適用している。この
場合,発電効率の向上率は1.2∼1.3%である。
4.2
システム全体の省エネルギー・環境効果
このシステムでは,余剰蒸気の発生を削減するために施し
た3.1節の種々の対策の総合的な効果により,導入前に年間
3,800tあった余剰蒸気最を,運転開始後はゼロに削減でき
ている。
省エネルギーシステム導入l描後の工場全体の年間エネル
ギー消費量の削減効果の予測を図4に示す。年間のエネル
ギー削減量は一次エネルギー換算で原油約6,800kL相当と
なり,従来比23%の省エネルギー効果が得られる。
同様に,工場全体のCO2排出量削減効果の予測を図5に
示す。′ト田原工場では,このシステム導人に合わせて,燃料
をA重油から都市ガスに全面転換しており,CO消り減効果は
1万6,890トCO2と,従来比30%の大幅削減を予測している。
このシステムの蓄熱式脱臭炉の導人によって,Ⅴ()C排ガ
スの処理を高効率化してエネルギー消費量が削減できた。ま
9
8
7
6
5
4
0
0
∩)
0
0
0
(ま)(撃殺晋)
仙冊山一匡樹茶印加恥
注:大気条件補正
●(補正あり)
▲〔実測データ(補正なし)〕
(42.2,0.71)
0.72)
▲
(42.2,0.65)
▲
(43.8,0.41)
0 30 40 50 60
再過熱による噴射蒸気昇温ぐC)
図3蒸気再過熱によるガスタービン発電効率の向上
かっこ内の数字は,再過熱による蒸気の昇温温度(Oc)と,発電効率の向上率
(相対値)を示す。再過熱による過熱蒸気の昇温幅約43■℃に対して,発電効率は
相対値で約0.7%向上した。
H立舶2004・12i41
(4)llヨ
0
0
0
(U
nU
n)
0
(U
O
O
nU
O
3
2
(叶⊃ヱ軸繋漕軽)州軟禁-叶ミヰH
J。\
計29,580
商用電力
17,970
A重油
11,580
原油換算係数
電力:1,000kWh 原油0.265kL
A重油:1kL l.01
都市ガス:1,000Nm3 1.19
計22,780
4,340
都市ガス
1.8,440
導入前 導入後
図4システム全体での省エネルギー効果予測(エ囁全体)
排ガス処理とコージェネレーションの効果的な組み合わせにより,年間に原油換算
で約6,800kLの削減が予測される。
た,コージェネレーションの導人により,エネルギー椚費量をさ
らに削減できた。さらに,脱臭排熱利用型ガスタービンコー
ジェネレーションの開発と導入を含む種々の施策により,余剰
蒸気の発生を削減できた。この結果,省エネルギーと環境保
全を高度に両立させるシステムが実現した。
雷
おわりに
ここでは,VOC排ガス処理の高効率化と,コージェネレー
ション導入による省エネルギー化を効果的に組み合わせた課
題解決事例として,脱臭排熱利用型ガスタービンとその効果
について述べた。
富士写真フイルム株式会社小口原工場に納人したこのシ
ステムは,2003年8月に運転を開始し,順調に稼動1いである。
設備の導人に当たっては,独l工行政法人新エネルギー・産
業技術総合開発機構(NEDO)の平成14年度エネルギー使
用合理化事業者支援事業による助成を受けた。ここに深く感
謝する次第である。
口立グループは,今後も新技術の開発に努め,現場の課
題を解決するエネルギー・環境ソリューションを提案していく考
えである。
参考文献など
1)活士写真フイルム株式会社社会・環境レポートホームページ,
http:/′ノノ′′www.fujifilm.co.jp/七orporate/environment/reporレindex.htm1
2)古札外:熱電併給方法及び熱電併給システム,特許出願公開番
弓一特開2004-92426(‡1i願口:2002勾三8Jj29日)
3)坂内,外:高温排熱を発冠効率向上に析用するコージェネレーション
の開発一指発性有機化合物の脱臭炉排ガス利用-,エネルギー・資
源(掲載予定;2005年5月号)
4)高山:最近の高効率熟回収式燃焼脱臭装置の実施例,臭気の研
究,Vol.32,No.5(2001)
421日立評点2004.12
60.000
0
0
0
0
0
0
0
0
4
(廿\N00⊥)州召還N00
計56,110t-C02
商用電力
26,240
A重油
29,810
で
CO2排出係数
電力: 0.378t-C02/103kWh
A重油:2.60 t-CO2/kL
都市ガス:2.15t-C02/103Nm3
削減16,890卜CQ豊
(30%)
6,220
都市ガス
33,000
導入前 導入後
図5システム全体でのCO2排出削減量の予測(エ堀金体)
A重油から都市ガスヘの燃料転換も実施しており,C02排出量の大幅な削減が期
待される。
執筆者紹介
浪々伯部彬
1972年詫l二写真フイルム株J亡会社人什,R&D統括本邦チト
虎技術本部所拭
E-Illail:ahoukabp(α)()da.seiき才i.∫叫止1m.(:り,jp
古川昌彦
暮
㌣㌣へ∨ /
1■
で才、首忘こ
風
1971年7汀士ノJj:王】主フイルム株式会社入社,R&Ⅰ:)統括本邦/1三
度才女術本部所鵜
化学 ̄l二学会矢上i
E一口l;州:mftlrtlkこ1Wa(垂J()da.seigi.ft】jifilm、C〔).jl)
吉田卓弥
▲
箋
1993咋l-1〃二製作J軒人祉.`■-民力グループ`-宅ノJ・侶粍Iiりヲ各研究
†叶イ_i炭什、jごニプロジェクト川手拭
月乙在,エネルギー.別報iのライフサイクルマネジメント技術
ク)研究l一利写己に従弔
rlイくエネルギー学会会ま主,廃棄才勿学会会上皇
E-Im之Ii】:t乙Ikし1yこ1_y()Silidzl向pis.hitacili.co.jp
坂内正明
1975イト‡トン二製作所人社,`■電機グループエネルギーソリュー
ションサービス推進本部所鵬
規在,推莱ユーザー一缶‖ナ省エネルギーシステムのエンジニ
アリングに従中
指術卜(機械.絵′†ナ技術うで用部門)
rl本機械学会会‖.ワ巨気調和・衛生1二学会会£1.l_1本冷凍
空調乍会会員
E-nl乙Ii】:mこIS;lこIki_1)Z111tl;
[email protected]().jp
山田博行
1995年杜ノ〔会社【 ̄l立エンジニアリングサービス人祉.エネ
ルギーソリューション推進部′■=は源エンジニアリング邦所1或
硯作,コージェネレーションシステムの計画設計業務に従弔
E一丁n乙til二y呈1rrl;l(王aJlir()ytlki@mai】,hcsco.hitachi.co.jp