「障害児・者の家族支援としての在宅レスパイトサービスのシステム化に関する研究」
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(2) 目. 次. 第 1 章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.はじめに 1)研究デザイン 2)研究方法 3)研究機関 4)調査期間 5)調査対象者 2.研究目的 3.研究方法 4.倫理的配慮 5.本事業の特徴 第 2 章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 1.介入研究の結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 1)介入研究 2)在宅レスパイとサービスの実際 3)介入研究から得られた結果のまとめ 2.調査研究の結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 1)在宅レスパイトサービスを担当したスタッフ及び利用者に対する質問 紙調査 2)在宅レスパイトサービスを利用した母親に対する評価 3)調査研究の結果のまとめ 第 3 章・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 1.本研究の結論 2. 結論から得られた提言 3.本事業を経験しての感想 おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41. 1.
(3) 第1章 1.はじめに 医療費削減により入院期間の短縮化、在宅医療への移行など、医療環境は大きく変化し てきている。2003 年の支援費制度の導入により、重度の障害のある方、急性期を脱した直 後の退院、医療的なケアを要する障害児・者などが地域で医療的支援を受けつつ生活する ことが可能となってきた。しかし、医療的なケアを要する障害児・者の家族にとって行政 の対応だけではニーズが満たされないことが多く、安心した療養生活が送れない。地域支 援制度が整備されつつあるが、まだ十分ではなく、相談事業ひとつとっても家族が満足で きる状態にはなっていない。家族が最も必要とする支援は、普通の生活ができる時間と環 境であり、 「どんな子どもでも、親でも、当たり前のことが当たり前にできる社会、すべて の人がその人らしく生きる場所の構築」が最も求められることであると考える。 そのため、研究者はこれまで障害児・者の在宅支援事業として、①バリアフリー旅行支 援、旅行の計画から出発、帰宅までのすべてをコーディネートし、安心して旅行が楽しめ るための支援、②障害児・者が自宅から移動することなく受けられるレスパイトサービス、 いわゆる在宅レスパイトサービスの試験的運用、③在宅支援の要となる医療者や看護、介 護の場で働く人を対象に実施する医療的ケア研修会・講演会、④「介護職員等によるたん の吸引等の実施のための研修事業」等を実施し、これらの支援をとおして在宅療養者の生 活の質向上、ケアの質保障に関わってきた。 これまで支援してきた中で、障害児・者の家族が最も望むものに、在宅レスパイトサー ビスがある。在宅療養者にとって、療養の場を移すことは、障害児・者の身体的、精神的 負担は計り知れないものがある。特に、医療的ケアが多い場合や子どものショートステイ の利用には制限が多くなり、利用が難しい。家族にとって生活の場である家で、個人の時 間が持てることは、日ごろの介護から離れ、自分らしい時間を過ごせる貴重なひと時とな る。連続した介護の中でもちょっと気分転換のできる時間、買い物やきょうだいとの関わ りに使える時間を確保することができることなど、家族の生活時間の補助を在宅レスパイ トサービスという形で提供できることは重要である。 これまで研究的に実施してきた在宅レスパイトサービスではあるが、在宅支援ができる 看護師、介護士は少なく、必要時に対応するためには人材確保が十分ではなかった。23 年 の法改正に伴い、介護職を対象に「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための研修事 業」を実施し、痰の吸引や経管栄養の技術が提供できる人材育成を行った。その結果、医 療的ケアを要する障害児・者の在宅支援、在宅レスパイトサービスが可能となり、徐々に 支援を拡大したいと考えた。そのためには、在宅支援をすすめる上での問題点の把握、経 済的な負担、行政との連携など、解決しなければならない課題は多いと思われる。そこで、. 1.
(4) 在宅レスパイトサービスを継続実施し、利用される家族、サービス提供を行う看護師、介 護士を対象に調査し、問題点の明確化、継続実施のための関連要因の明確化を行い、その うえで行政との連携の在り方を模索したいと考えた。さらに、在宅療養者のサービスの方 向性を検討できればと考え、在宅支援に関する介入研究に取り組んだ。. 2.研究目的 在宅レスパイトサービスを利用する障害児・者とその家族およびケア提供者が、サービ ス利用についてどのようなニーズを持っているのか、利用に関する問題点、今後利用する ための改善点を明らかにする。そのうえで、行政的対応を含めた在宅レスパイトサービス の在り方を構築する。. 3.研究方法 1) 研究デザイン 在宅療養を行っている障害児・者を対象に、在宅レスパイトサービスを実施し、サービ ス提供者である看護師、介護士の評価を行った。また、保護者を対象にサービスの効果 に関する評価を行った。そのうえで、在宅レスパイトサービスの評価及び継続のための 課題や問題を抽出した。 ①. 利用者(保護者)に対する介入研究とその評価 利用者およびケア提供者の実施前後の評価について、半構造化面接によるデータ収 集を行った。得られたデータは、内容の類似性にしたがって質的手法を用いて分析 した。. ② ケア提供者に対する調査 看護師、介護士を対象に質問紙調査を実施した。調査項目は、ケア内容とその評価、 利用者の満足度、活用できる利用制度等とした。 ③ 利用者(保護者)を対象とした調査 利用者を対象に質問紙調査を実施した。調査項目は、ケアニーズ、活用している社 会資源、利用制度等とした。. 2.
(5) 2)研究方法 障害児・者を対象に在宅レスパイトサービスを実施し、看護師、介護士の提供するサー ビスに対する評価を行った。 ① 在宅レスパイトサービス利用希望者で、研究的な介入の受け入れ可能な利用者を選 択した。 ② 対象者に、研究目的、方法、調査の内容、結果の活用、倫理的配慮に関する説明を 行い、協力を得た。 ③ 担当の看護師、介護士を紹介し、必要なケアについての説明、及び実施 の了解を得た。 ④ レスパイトサービスの実施。 ⑤ 実施前後の評価、実施のプロセス、利用者の反応、ケア評価を行った。 ⑥. 利用者およびケア提供者の調査結果をまとめ、報告書の作成、行政への提案書の作 成を行った。. 3)研究期間 平成 24 年 8 月~平成 25 年 8 月. 4)調査期間 ① 介入研究 平成 24 年 11 月~平成 25 年 6 月 ② 利用者を対象とした反構造化面接 平成 25 年 4 月~6 月 ③ 看護師、介護士を対象とした調査 平成 25 年 4 月~6 月 ④ 利用者を対象とした調査 平成 25 年 4 月~6 月. 3.
(6) 5)調査対象者 ① 介入研究及び面接調査、質問紙調査 障害児・者の家族(保護者) ② 質問紙調査 在宅レスパイトサービスを実施したサービス提供者(看護師及び介護士). 4.倫理的配慮 本研究の実施にあたり、勇美財団の助成を受けた研究であること、そのために在宅レス パイトサービスは無料で実施すること、実施については今後の行政への提言を考えている ことから、評価としてインタビュー調査や質問紙調査に回答いただくことの了承をえた。 そのうえで、障害児と保護者の了承を得て実施した。 さらに、個人情報の保護、研究協力により不利益が生じないこと、倫理的配慮 について文書及び口頭にて説明し、同意を得た。. 5.本事業の特徴 障害児・者が在宅療養をするためには、在宅支援として訪問看護や定期的な医療サービ スの受診、患者や家族のためのレスパイトサービス等、さまざまな支援が重要となる。し かし、現状は研究計画に示した組織図(下図の青印の○の枠内)のように、障害児・者の 支援として、訪問看護ステーションや在宅医療機関が関与するのみであり、家族全体、保 護者への支援までの関わりは十分ではない。特に、障害児のきょうだいへの支援は検討さ れていない状況にある。 本事業はこれまでの在宅支援ではできなかった障害児・者の重要な支援者である家族の 生活を支え、家族構成員が安心して療養できる環境の整備を諮ることにある。その方法は 障害児・者が移動することなく、家庭においてサービスが受けられることであり、家族も 障害児・者と同じ空間で看護から解放されることにある。医療の資格を有する在宅ケアケ ア提供者が家庭を訪問し、家族が看護、介護から物理的にも精神的にも離れることができ る空間を用意するである。研究の取り組みついて以下を参照されたい。. 4.
(7) 現行のサービス. 組織運営図(研究の取り組みの概念図を含む). 体制. [青色部分①]は、現在の支援システムを示す。 在宅療養を行う障害児・者は病院や近医のクリニックから医療的な支援を受ける。看護・ 介護については、訪問看護ステーションが関わり、処置やケア、母親が行う生活支援の代 替行為が行われる。母親は訪問看護ステーションの看護師、介護士と一緒にケアや処置に 関わることから、訪問看護ステーションの看護師、介護士の訪問中にもゆっくりした時間 を持つまでにはいたらない。また、訪問看護、訪問介護は障害児・者を対象としたもので、 介護者の休息や、きょうだい児と母親が一緒に過ごす時間の確保のためには利用できない。 このように、現在の支援システムでは、家族支援ができず、家族機能の維持・向上に困難 をきたしている。既存のシステムでは、補えていない部分に、今回在宅レスパイトサービ ス(図中②)を導入することで、母親の休息やきょうだい児と関わる時間の確保ができ、 家族機能の維持・向上に繋がるのではないかと考えた。. 5.
(8) [桃色全体]は、今回研究的に取り組んだ支援システムの全容を示す。 今回研究的に取り組む支援システムでは、これまでの支援システムとは別に、あらたに 在宅レスパイトサービス(以下、レスパイトサービスとする)を行うための組織を作成し た。組織の中心的な運営は Kukuru(くくる) (図中①の表示)が行った。 研究組織 Kukuru(くくる)はサービス利用者の選定、決定を行い、サービス提供者(図 中②の表示)の派遣を行った。また、サービス開始にあたりケア提供者の研修を行い、保 護者が安心してケアを委譲できる手技の修得や信頼関係の確立を諮った。そのうえで、実 際の在宅レスパイトサービスへの派遣、実施者のニーズ調査、利用者のニーズ調査等を行 った。 利用者(図中③の表示)は、Kukuru(くくる)と実施サービス提供者に対し、調整を行 い、必要なケアや処置の方法を伝えた。サービス提供者は訪問看護ステーションの看護師、 介護士、担当医師との連携を図り、相互支援が可能な取り組みとした。 サービス終了後には利用者家族の満足度調査を行い、支援システムの評価を行った。. 6.
(9) 第2章 1.介入研究の結果 1)介入研究 介入研究として在宅レスパイトサービスを実施し、事例ごとに在宅レスパイトサービス 利用の目的及び利用中の様子を表示した。 在宅レスパイトサービス利用希望者で、研究的な介入の受け入れ可能な利用 者を選択し、8 家族(うち 1 家族は利用者死亡により中断、1 家族は利用希望 がなかった)にサービスを提供した。サービス提供の実際について表 1 に示し た。 表1. ケースごとの介入した看護師、介護職員の人数及び延べ介入回数. ケース名. ケース 1. ケース. ケース. ケース. ケース. ケース. ケース. ケース. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 介. 看護師数(人). 1. 2. 1. 0. 1. 1. 1. 2. 入. 介護職員数. 1. 1. 3. 0. 2. 0. 3. 1. 1. 6. 9. 0. 21. 10. 5. 2. (人) 延べ介入回数(回). 2)在宅レスパイトサービスの実際:事例紹介と介入時の様子 (1) ケース 1 K(2 歳) 診断名:13 トリソミー症候群、全前脳胞症、水頭症、慢性肺疾患 必要なケア:人工呼吸器管理、在宅酸素療法、口腔内・気管内吸引、吸入、経管栄 養、与薬、体温管理 利用している社会資源:訪問看護. 1.5 時間×6 回/週. 訪問介護. 1.5 時間×5 回/週. 児童デイサービス 3 時間(今までに 3 回利用) 家族構成:父、母、兄(3歳). 7.
(10) 在宅レスパイトサービス利用までの経緯: 当団体の他事業で、自宅訪問をした際、児との在宅生活について話を聞いた。児が在宅 での生活をはじめ、間もなく 1 年になるが、この 1 年は、母は熟睡したことがない。きょ うだい児との関わりも減り、家のすぐ近くにある保育園にさえ送り迎えする事ができない。 きょうだい児が、外で土を触ったり、海で水に入ったりすることを嫌がるのは、自分が一 緒に外で遊んであげられていないせいかもしれないと涙ぐみながら話された。そのため、 本研究事業を紹介し、支援を開始した。 在宅レスパイトサービス利用目的と母の様子や発言 利. 利. 用. 用. 回. 時. 数. 間. ①. 3H. 利用目的. 母の様子や発言. 一度も、児と離れた. (初めてだから、心配しなかったかの問いに)「それは、ま. ことがないので、一. あね。」と苦笑いされる。. 度試しに利用してみ. 「デイサービスは、体温が下がっちゃって戻るまでに時間. たい。. もかかるんですよね。」 「お兄ちゃんの送り迎えとかもできたらいいけど。送 り迎えの 30 分くらいなのに、一人じゃどうしようも できない」 「やっとここまで来たって感じ。少しずつ仕事とか出 来たりするのかな」. 8.
(11) 本ケースへの在宅レスパイトサービスを終えて 対象者死亡のため、1 回のみの実施であった。児にとって外出や療養環境の変化は、体温 変動やそれに伴う体調悪化につながる。在宅レスパイトサービスにより、児の状態悪化を 心配することなく母子分離を体験する事ができた。デイサービスや在宅レスパイトサービ スを利用し、今後少しずつ母子分離を行い、母はいつか短時間でも就業できるかもしれな いと希望をもっていた。1 年近く、児と二人きりで家の中で過ごし、母の疲労や孤立感は大 きかったが、在宅レスパイトサービスを体験することが、他のきょうだいと過ごす時間や、 自分自身のために使う時間を確保することの必要性を実感するきっかけとなったのではな いかと考えた。. (2) ケース 2 R(2歳) 診断名:筋緊張性ジストロフィー 必要なケア:人工呼吸器管理、在宅酸素療法、気管内吸引、吸入、与薬 利用している社会資源:訪問看護. 1.5 時間×5 回/週. 訪問介護. 1.5 時間×6 回/週. デイサービス. 5 回/週. 家族構成:父、母(児と同じ疾患の疑いあり)、兄(8 歳)、母方祖父母 在宅レスパイトサービス利用までの経緯 当団体の他事業で、自宅訪問をした際、児との在宅生活について話を聞いた。両親の布団 は児のベッドのそばに敷きっぱなしで、児の活動リズムに合わせて母も寝たり起きたりし ていると話す。児の昼夜のリズムは不規則で、夜間ずっと起きていることも多い。覚醒時 は、頻回に痰の吸引を要すため、母も一緒に起きている。訪問看護や介護、デイサービス も利用しているが、短時間であり、日用必需品の買い物しかできない。きょうだい児のこ とも考え、土曜日のデイサービスを探しているが、送迎がある事業所がなかなか見つから ない。母方祖父母と同居であるが、祖母も仕事をしているため、十分な協力は難しい。母 親同士のつながりはほとんどなく、相談や質問は訪問看護師にしている。母の休息、きょ うだい児と関わる時間の確保、母親の仲間づくりが出来るよう、本研究事業を紹介。母は、 すぐに利用したいと承諾された。. 9.
(12) 在宅レスパイトサービス利用目的と母の様子や発言 利. 利. 用. 用. 回. 時. 数. 間. ①. 3H. 利用目的. 家族や母の発言・様子. きょうだい児と外. 「ビデオ屋行ってきた。時間があったから買い物もし. 出. て。」 外出前母に、少し不安な様子があったが、帰宅後、児の 変わりない様子を見て笑顔が見られた。. ②. 5H. きょうだい児と外. 「 (父と)喧嘩はよくする。私だけ門限があるし。門限. 出. 守らなかったら離婚するって。R も引き取るって。世話 できないくせに。」母は、自分だけが児の世話をするた めに外出も制限されることに不満を感じており、児が生 まれてから夫婦げんかも多くなったと話す。. ③. 5H. 母の買い物. 「お姉ちゃんが買い物に付き合っていうから一緒に行 ってきた。 」. ④. 5H. 母の友人の送別. 「おいしいの食べてきた。海の近くで結構良かったよ。. 会に出席. 楽しかった」 「たまには飲みに行ったりしたい。でも夜は出かけられ ない。 」. ⑤. 7H. 母親の病院受診. 1 週間ほど体調不良が続き、児の食事介助もあまり行え ず、ミルクだけを飲ませていたと話す。 時折叔母が様子を見に訪室し、「いつもママもパパもあ んまり話しかけていないようだから。こうやって話しか けているんですよ。(外出は)ほとんどないですね。デ イの行き来くらいかな。たまに、表の道を抱っこして散 歩するくらい」と話す。. ⑥. 5H. 母の美容室、買い物. 「本当にこれで終わり?来月から何かするの?」 「おかげさまで助かりました。出来るなら夜とかもみて もらえたらいいよね。」. 10.
(13) 本ケースへの在宅レスパイトサービスを終えて きょうだい児との時間確保のために、土曜日の利用希望であったが、ほとんどが母親自 身のリフレッシュのための利用であった。月に一度、長時間の在宅レスパイトサービスを 利用し、定期的な母の休息を確保することができた。きょうだい児については、母方祖父 母と同居しているため、親せきの子どもが頻繁に遊びに訪れ、きょうだい児が孤立するこ とはないが、まだ母親の愛情が必要な時期である。母が自分自身の時間を作りリフレッシ ュすることで、父母の関係、きょうだい児への関わり方が変化していくのではないかと考 える。他の家族が児の世話が出来ないため、母の外出は難しい。母が希望するように、夜 間の在宅レスパイトサービスも今後検討していく必要性がある。. (3) ケース 3 S(2 歳) 診断名:低酸素性脳症 必要なケア:在宅酸素療法、口鼻腔吸引、経管栄養、与薬、血糖測定 利用している社会資源:退院前のため利用なし. 11.
(14) 在宅レスパイトサービス利用までの経緯 児の入院している病院の MSW より、中途障がい児の退院前カンファレンスへの参加依頼 があった。児は、窒息による CPA 蘇生後の低酸素脳症で、在宅移行を予定しているが、経 済的な問題、同胞 4 人の世話など、母の負担を考え、退院と同時に在宅レスパイトサービ スを利用したいとのことだった。退院後、児と家族が在宅生活に慣れるまで、関連事業所 が協力し、母をサポートし、母の希望時に、長時間の在宅レスパイトサービスを行うこと となった。 入院中に児のケアについて確認、母、主治医と緊急時の対応について確認した。 在宅レスパイトサービス利用目的と母の様子や発言 利. 利. 用. 用. 回. 時. 数. 間. ①. 6H. 利用目的. 母の発言・様子. 子どもたちをサ. 「病院でサーカスのチケットもらったからみんなで行. ーカスに連れて. こうと思って」. 行きたい. 「少しでも汚れてたり、物の場所が違うと気になっちゃ うんですよね。流しに箸一本残っているだけで眠れな い。」 「あっうつぶせで寝てる。よかったあ。うつぶせがいい みたいだけど、ずっと見ていなきゃいけないからできな いんですよね。 」. ②. 4H. 正月休みに子ど. 「正月、子どもたちがずっといたからちょっと休みたい. もたちの世話に. です。一人になってきます。」. 追われたので、少. 「夜中も鼻水が多くて。アラームは鳴らないんですけど. し休みたい. 気になって 1 時間おきに起きて、大丈夫かなって。 」 「食事は、忘れることが多いですね。忘れてたって思っ て一気に食べておなか痛くなったりします。 」 「S と昼間二人の時はシャワーも浴びられないですね。 だから、誰か来てる時にちょっとすみませんって言って 済ませてます。 」. ③. 3H. きょうだい児の. 「寝坊した。夜中、(児が)舌噛みしたりして。5時位. 学芸会を見に行. に寝たんですよね」. くため. 訪問時、母は起きたばかりで、慌ただしく子どもたちを 起こし支度を始めた。. 12.
(15) ④. 4H. 長男の中学校入. 担当ヘルパーによると、S が在宅に戻ってきてから、長. 学説明会に出席. 男は児を避けるようにし、近づかない。「S は障がい者. するため. になるの?」と話していた。 「障がい児家族の交流会とか、誘ってみたことあるけ ど、絶対行かないって。無理に連れて行くのもね。 」. ⑤. 3H. 今月分のサービ. 「これみてください(写真)。すごくないですか。こん. ス時間が残って. なに横向きになれたんですよ。椅子に座れるようになる. いたため、母の休. かな。」前日、リハビリ専門施設でリハビリを初めて受. 息に利用。. け、側臥位になり、下肢の筋緊張も和らげることができ たと、同行したヘルパーも母もうれしそうに話してい た。 「見てください。久しぶりにまつ毛付けてきました。ネ イルも。知り合いの所だから安くしてくれて。やっぱり 気分が違いますね。 」. ⑥. 2H. 児の骨折や体調. 「 (学校の先生に)髪を染め直してから登校させてくだ. 悪化等での長期. さいって言われたけど、S を見てくれる人がいないと、. 入院だったので、 買い物にも行けなくて」長男が入学式後の登校日であっ 休みたい。. たが、髪を染めて登校したため家に戻されたと話す。 「子どもたちはみんなそれぞれかわいいけれど、障がい を持っている子が一番かわいいって言いますよね」. ⑦. 4H. 買い物やきょう. 今後デイサービス利用を予定しており、デイサービスの. だい児の迎えの. 看護師が見学に訪問。. ため。. 「週3回くらいが希望ですね。出来るだけ早くがいいで す。そしたら、少しでも仕事できるかな」 ヘルパーによると、母が児にかかりきりになるためか、 以前三女が、言葉にドモリが出たり、チックが見られた りした。現在はどもりやチックは認められなかった。. ⑧. 3H. 三女の親子レク. 介入中、検温にて 38.1℃。母帰宅後報告。朝大量に嘔. レーション参加. 吐したときの誤嚥を心配される。最近、肺炎での入退院. のため. 繰り返しており、母も少し疲れた表情がみられた。肺炎 や熱発による入退院を繰り返し、長期入院もある。. 13.
(16) ⑨. 3H. 長男の病院受診の. 「S がこういう風になる直前、離婚の話していたんで. ため. す。家にお金入れなくて、帰ってこないことも多くて。. レスパイト希望予. むこうのお母さんも、S がこうなって、『あんたが今ま. 定であったが、本日. でしてきたことが、全部この子に来たんだよ』って言っ. は受診できなくな. てたし。最近看護婦さんから聞いた話ですが、S が入院. ったとのことで、母. してすぐの頃、旦那が S と二人で病室にいるとき『ごめ. 自身のレスパイト. んね、ごめんね』って言ってたって。そういう所見せた. に利用。. ことない人だからびっくりして。でも、それからギャン ブル一切やめて、仕事終わったらすぐに帰ってきて、S の所に向うんです。S が、きっと教えてくれたんですよ ね。」. 本ケースへの在宅レスパイトサービスを終えて 母親は、ものごとに対して完璧にこなしたいと思う性格であり、家事や育児、児の世話 も一人で抱え込みがちであった。関連事業所が、周囲に頼ること、完璧にできなくても自 分を責めないことなど母への対応を統一して関わることで、母も少しずつ他者の手を借り ることが出来るようになり、自分自身の休息時間を確保する必要性を理解することができ た。 在宅生活半年が過ぎ、母が今までの状況や家族の変化を話すことができている。最近で は半日ほど、児を父に任せて母が外出することもできている。経済的には厳しいが、家族 や、祖母、関連事業所の協力体制がつくられている。児がデイサービスにも通い出したた め、母は短時間の就労も可能になるかもしれないと希望をもっている。さらに母は、児の 療育に積極的であり、リハビリや児の世話に熱心になるあまり、きょうだい児との関わり 14.
(17) がますます希薄になっていく恐れがある。しかし、現在の社会資源の利用だけでは、きょ うだい児と関わる時間の確保は不十分である。入院中の児の見守りは、看護師に依頼でき ているが、家族やきょうだい児との時間確保はほとんど出来ていない。家を長期空けるこ とや、きょうだい児から目が離れることに対し、母は不安とストレスを抱えている。きょ うだいが中途障がいの同胞を受容していく過程をサポートし、母と十分な関わりを保つた めには、母が定期的に児と離れ、きょうだいと関わる時間を確保する必要があり、在宅レ スパイトサービスの利用は重要であると考える。. (4) ケース 4 Y(15 歳) 診断名:慢性肺疾患、てんかん、重度精神発達遅滞 必要なケア:在宅酸素療法、経管栄養 利用している社会資源:訪問介護、デイサービス 家族構成:父、母、兄(18 歳) 、本人. 在宅レスパイトサービス利用までの経緯 児が利用している介護事業所より、レスパイトが必要な母親がいると依頼が あり、対応した。母子に関する情報を収集するため、介護士の介入に合わせて 自宅を訪問した。 「最近、インフルエンザとか多かったでしょ。この子は、肺の 1/3 がつぶれちゃってるのに、この間お兄ちゃんがインフルエンザを持ってきち ゃって。それからずっと酸素が外せないんです。感染が一番怖いから、学校に も連れて行けないんです。風邪をひいていても子ども連れてくる親多いでしょ。 自分が面倒だからって。お店も人が多いところはだめ。こんなだから、Y の行動 できる範囲がどんどん狭くなっちゃうのよね。」と強い口調で話される。 母の児への愛情は強いものであり、児を心配するあまり、行動を狭めている印象を受け た。デイサービスも利用しているが、施設利用者が多いと児の利用を控えたり、学校も感 染を恐れるあまり登校を躊躇するなど、児を心配するあまり行動範囲が狭くなっていた。 高校の訪問教育も、週に 2,3 回受けるよりも、家で本人の好きなように過ごしてほしいと いう考えから進学していない。結果、母がマンツーマンで児の世話をする為、レスパイト が必要になっている。母は、児の世話や児との関わりを楽しそうにしており、ヘルパー介 入時一緒に散歩するのが楽しみな様子。この現状で、長時間の母子分離が母にとって有効 な休息となるのか。レスパイトサービスプランは、母の意向を十分に確認して作成してい くこととした。. 15.
(18) その後、母よりレスパイトサービスの依頼がなかったため、このケースに対してはサー ビスを実施しなかった。母の介護負担はあるが、母親自身が児を心配するあまり母子分離 ができない状況。しかし、母が介護できない状態になった時のために、児を他者とつなげ ておくことは必要。いつでも利用できるサービスがあると伝えることは、母の不安軽減に つながるのではないかと考える。. (5) ケース 5 H(8 歳) 診断名:CHARGE 連合、難治性てんかん、先天心疾患(術後動脈管化依存症、心房中 隔欠損症、肺動脈狭窄) 必要なケア:在宅酸素療法、気管内吸引、吸入、けいれん時の対応 利用している社会資源:訪問看護 1.5 時間×4 回/週 訪問介護 1.5 時間×5 回/週 デイサービス 1回/週 訪問学級 1回/週 家族構成:父、母、兄(12 歳)、姉(11 歳)、本人. 在宅レスパイトサービス利用までの経緯 児が利用している介護事業所より、レスパイトが必要な母親がいると依頼があり、情報 収集のため自宅訪問。児の吸引やけいれん時の対処など、母は児からほとんど離れる事が できない。夜間も 5.6 回吸引を要し、ゆっくり睡眠をとれていない。母が外出できるのは、 訪問看護介入時のみで、正味1時間もない。母は、長時間のレスパイトよりも、どのサー ビスも利用していない水曜日に2時間程度休息したいと、当サービスを希望された。. 16.
(19) 在宅レスパイトサービス利用目的と母の様子や発言 利. 利. 用. 用. 回. 時. 数. 間. ①. 2H. 利用目的. 母の発言・様子. ダンス教室. 「起きてるときは、痰も多くて硬いから、急にカニューレが. に通うため. 詰まることがあるんですよね。電話したら看護師さんは、す ぐ来てくれるけど、待ってるよりも一人で交換する方が早い し。でも、 (呼吸音が)変な音がするときがあって、これは何? って一人で不安になります。」 「長時間(レスパイトサービスを利用)できればいいけれど、 今は、毎日少しでも自分の時間がほしいですね」. ②. 2H. ダンス教室. 「夜はだいたい 1 時間おきに吸引で起きるかな」. に通うため. 「ショートステイみたいなのが、月に 1 回でもあればね。ぐ っすり眠れるんでしょうね。でも、起きちゃうかも。起きる のが癖になってるかも」 これまで家族の用事で出かける際は、有償の預かりサービス を利用していたと話す。. ③. 2H. 母の体調不. 「日曜まで私熱があったんです。インフルエンザではなくて。. 良のため、ダ. H はなにもなかったんですけど。」訪問介護や訪問看護をキャ. ンス教室は. ンセルし、児と一緒に寝ていたと話す。. 休み、買い物. 「五月に研究が終わったら、こういうサービスはどうなるん. に出かけた。 ですか?どこかに引き継ぐんですか?」 ④. 2H. ダンス教室. 「もう 2 月ですね。(研究事業は)5 月までなんですよね。そ. に通うため. の後(レスパイトサービスが)あっても、高いですよね。6 月 からどうしよう」. ⑤. 2H. 母は風邪気. 「夕方寝るから、夜起きるんだよね。でも、夕方は忙しくて. 味なのか疲. かまってあげられないから。H も分かってるんだよね。 」と母. 労感が見ら. は、夜間まとまった睡眠時間を確保できないことが、常態化. れたがダン. していると話す。. ス教室の支. 「 (ダンス教室では)キックボクシングみたいなことするんで. 度をし、出か. すよ。今は、週に 1,2 回かな。日頃の鬱憤をね。無になれる. けられる。. のよ。 」. 17.
(20) ⑥. 2H. 病院受診の. 「ダイアップ入れても、あんまり効かないから、病院行って. ため. 薬もらってきます。その間、お願いしていいですか? よかっ た、寒いし、今日は、空気も悪いから連れて行きたくなかっ たのよ。 」 児の、今までにないけいれんの状態に母も不安が大きく、休 息がとれていない様子が表情からうかがえた。. ⑦. 2H. ダンス教室. 訪問看護師が、けいれん群発による母の不安増大について、. に通うため. 主治医へ報告書を作成。普段と違うけいれんと、回数に母の 疲労、不安は強く、座薬の使用方法や対処について疑問も多か った。主治医から回答を得ることで、母も少し不安解消でき たようであった。. ⑧. 2H. ダンス教室. 「休めてないかな。でも、漢方飲みだしたから。この前も風. に通うため. 邪治りにくかったから飲み始めたの。」最近、児のけいれんが 多く母も休息がとれていないようで、疲れた表情がみられた。. ⑨. 2H. ダンス教室. 「早く治ってくれたからよかったけれど、もう少し長引いて. に通うため. いたらもう、悶々してたと思う。」 先週は、きょうだい二人がインフルエンザに罹患し、母と児 は感染しないように部屋にこもっていたと話す。. ⑩. ⑪. 2H. 2H. ダンス教室の. 「道が混んでいて時間までに戻れないです。お姉ちゃんが、見てくれ. 友達の食事会. るから大丈夫です」. に参加するた. 母は終了時間までに帰宅できないため、家族に引き継ぐように連絡が. め. あった。. ダンス教室. 「(デイサービスに)K さん(看護師)がいるなら、H も安心だね、昔. に通うため. からお世話になってるもんね」介護士より、母へ医療的ケアを要する 児も利用できるデイサービス開所について説明あり。母も積極的に話 を聞いていた。. ⑫. 2H. ダンス教室. 「呼吸が速くなると、出そうと頑張ってるんです。きついね. に通うため. え」 毎日、排便時は怒責で呼吸速迫が見られたり、けいれんを誘 発したりする。時間がかかるため、母も児からなかなか離れ られないと話す。. ⑬. 2H. ダンス教室. 「五月に研究が終わって、そのあともこのサービスを使いた. に通うため. いってなったら、(金額は)どのくらいする?」 「やっぱり高い よね。訪問看護もそのくらいするもん」. 18.
(21) ⑭. 2H. ダンス教室. けいれんの記録を見ると夜間も、けいれんが続く日が多く、. に通うため. 母のまとまった睡眠時間はなかった。夜間休めていない日で も、ダンス教室への参加には意欲的であり、それが母にとっ て唯一のストレス発散となっている. ⑮. 2H. ダンス教室. 「送迎は私出来るので問題ないです。でも、デイって、集団. に通うため. だから、H の場合大丈夫かなってのがあるんです。多動の子と かがいたら、びっくりしてけいれんとかね。あと、ちょっと けいれんがあって、デイ行けるかなっていうときとか困りま すよね。自宅で見守りしてもらうのが一番安心なんですけど ね。 」. ⑯. 2H. ダンス教室. 「すごく良かったです。あそこに、H のベッドが準備されるん. に通うため. ですね」 デイサービス見学後、表情も明るく、積極的にヘルパーとデ イサービスについて話をしていた。. ⑰. 2H. ダンス教室. 「Kukuru さんは、もうこういうの(在宅レスパイトサービス). に通うため. しないんですか?」 「せっかく、ずっとみててもらったしさみ しいですよね。こういうのやったらいいのに必要な人多いは ず」 デイサービス利用の準備は、順調に進んでおり、6月から毎 週水曜日 10 時~14 時位の利用を予定していると話す。. ⑱. 2H. ダンス教室. 介入中児と太鼓の絵本で遊ぶと、バチを持ち、腕を伸ばして. に通うため. 太鼓をたたく動きが見られた。 「H すごいねえ。もっといろん なことしたいのかな。連れて行かないといけないのかな。」. ⑲. 2H. ダンス教室. 「水曜だけ、排便のリズムが出来てるよ。すごいねえ。」母が外出中. に通うため. に、呼吸状態悪化を伴うことがある排便が済むため、母も安心した様 子がみられた。. ⑳. 2H. ダンス教室. 「仕事ができればいいよね」 「看護師は今からじゃ難しいから. に通うため. ヘルパーとかどうかな。H を預けながら、デイサービスで働け たら一番いいよね」. ㉑. 2H. ダンス教室. (デイサービス利用予定であったが、デイサービスの準備が整ってい. に通うため. ないため、今回までレスパイトサービスの利用を希望。) 「二日前からけいれんが続いてて。座薬入れていこうね」と座薬挿肛 し外出される。 「本当はショートステイとかも利用したいけど、安心して預けられな いからね。けいれんがあるから預けられないってなると、H はこれが 日常だからね」. 19.
(22) 本ケースへの在宅レスパイトサービスを終えて 母親は児の世話にかかりきりの生活をしていたが、ダンスの練習を機に自分の時間を作 る意味を見出し、精神的にも余裕を持つことができるようになった。 母が児から離れて自身の時間を作るきっかけとなったダンスは、すでに 4・5 年通ってい るものである。ダンスを習う前は、児と部屋にこもり孤立感も強く、精神的に不安定にな っていた。ダンスを通じて、交友関係もでき、母の孤立感が軽減された。母は、自分自身 のリフレッシュの必要性や方法を理解しているが、児の生活を優先する現状の生活では時 間確保が難しいことを理解している。今回は週に1回、2時間ずつの在宅レスパイトサー ビスを利用し、母親がダンス教室に通う時間を確保したことで、母は定期的にリフレッシ ュすることができていた。また、児の状態変化による急な受診などの場合、児の見守りは、 在宅レスパイトサービスが効果的であった。在宅レスパイトサービスを利用し、定期的に 地域社会と関わる時間が確保されたことで、母の就業への意欲もみられるようになった。 母は、在宅レスパイトサービス期間が終了すると、再び孤立してしまうという不安が強 かったが、在宅レスパイトサービス終了と同時に、デイサービスへ引き継ぐことができ、 研究終了に伴い、母の負担や孤立感が急に強くなること避けることができた。しかし、今 後、児の体調が不安定な場合、デイサービスを利用できないことが考えられ、在宅で見守 りができる在宅レスパイトサービスの必要性も高い。. 20.
(23) (6) ケース 6 M(23 歳) 診断名:脳性まひ・てんかん・精神遅滞 必要なケア:気管内吸引、吸入、けいれん時の対応、経管栄養 利用している社会資源:訪問看護 1.5 時間×5 回/週 訪問介護 1.5 時間×5 回/週 家族構成:母、本人、弟(18 歳)、妹(16 歳) 在宅レスパイトサービス利用までの経緯 児が利用している介護事業所より、レスパイトが必要な母親がいるとの情報があり、在 宅レスパイトサービスが依頼された。母子の情報収集とケア確認のため、看護師が介入す る時間を利用し、自宅を訪問した。母子家庭であり、通所サービスは利用されていなかっ た。母が外出できるのは、訪問看護介入中のみであるが、看護師が訪問している間、対象 者はずっと寝ていた。 「いつも夜寝ないから、トリクロ使っているんです。だからまだ眠い かな」と母は児の睡眠サイクルが変化していること伝えた。本研究事業についての説明に 対して、母は理解された様子がみられ、けいれん時やカニューレ閉塞時の症状や対応につ いて詳しく説明してくれた。 長い在宅療養生活で、母が児から離れて長時間休息をとったことはない。レスパイトサ ービスの必要性が強いと判断したが、今後、デイサービス利用を検討しているとのことで、 それまでの間在宅レスパイトサービスを実施することとした。 在宅レスパイトサービス利用目的と母の様子や発言 利. 利. 用. 用. 回. 時. 数. 間. ①. 4H. 利用目的. 母の発言・様子. きょうだい. 「こんな歳だけど、デイ(サービス)とか行ってないんです. の専門学校. よ。就労支援とかも考えていたんですけど、ちょうど(高等. 卒業式参加. 部を)卒業する頃、具合が悪くなったりして。そのまま今の. のため. 状態かな。近くに、デイができる予定なんですよ。以前、話 を聞いてみたりして、(ケア提供者が)M にも会いに来たんで すが、それから何の返事もないんですよね。どうなったのか な。 」. 21.
(24) ②. 3H. 今月のサー. 「レスパイトの説明読みました。本当に制度になればいいで. ビス利用時. すね。こういうサービスとか、私たちは受けられなくて、い. 間の残りを. つも後の人たちが使えるようになるんですよね。この子が、. 利用し、きょ. 生まれたころは、デイサービスとかもなくて、本当に大変で. うだい児と. した。きょうだいの行事が重なるときに、M が具合悪くなった. 外出。. りして。毎日、ただ子どもたちの送り迎えして、お風呂に次々 入れて、家のなかもぐちゃぐちゃで。入院した時も、日曜日 に下の子の運動会があるから、二日だけ退院延ばしてって頼 んでも無理だし、退院したばかりで調子悪い M を連れて運動 会もいけないし。下の子が、保育園でお友達にかみついたっ て連絡がきたこともありました。大きくなって、子どもたち もわかるようになってきたけど、その頃は、どうしてうちだ け出かけられないんだろうって思っていたみたいです。私も、 ずっと体調悪くて、休む暇ないから治らないんですよね。」. ③. 5H. 役所に手続. 「いつも、夕方は座る暇がないくらい吸引してるんです。先. きに行くた. 生にも相談して、喉頭気管分離とか、痰を出しやすくする機. め. 械があるって聞いたけれど、また大変になっちゃうと思って。 今は、漢方を飲み始めたんです。それで、一番ひどい時より も吸引が減ったかな。ちょっと様子を見ているところです。 」 「デイサービスは感染が心配で。ちょっと踏み出せないんで す。 」. ④. 5H. 友人と食事. 「子どもたちも学校だから久しぶりに学生の時の友達と食事. に出かける. に行こうと思って」. ため. 「おかげでゆっくりできました。久しぶりに楽しかったです。 『いつも、バタバタ帰るのに、今日はいいの?』って驚かれ ました。実はねって、話をしたんです。 」. ⑤. 4H. 買い物に出. 「看護師さんとかいるときは、いつも寝ていて、状態も落ち. かけるため. 着いているんです。この前も、水川さん帰った後すごかった んです。バタバタ泳ぐみたいになって。本当の M というか、 いい時も悪い時も知ってほしいですね」 「 (児が生まれてから)いろいろありましたね。楽しいことも あったし。お母さん友達とも話していたんです。先のこと考 えたら不安になるしきりがないよって。今日楽しければいい よねって。 」. 22.
(25) 本ケースへの在宅レスパイトサービスを終えて 児は、通所サービス利用の経験はなく、母は感染を恐れて利用を悩んでいた。しかし、 児の体格は大きく、けいれん時等は全身の動きも大きい。また、夕方になると5分おきに 痰の吸引を要し、母一人での介護負担は非常に大きい。 児が高校を卒業してから、母親同士の情報交換の場がなくなり、母親だけで児の状態を 判断することも多くて不安も感じている。母の精神的、身体的負担は非常に大きいが、母 は周囲との関わりがほとんどないため、自分がどれほど大変な状況にあるか実感できてい ない部分がある。母にとって、日々の介護の状況や思いを話せ、情報交換できる環境や時 間が必要であると考えられる。 また、母は普段の短時間の訪問介入では分からない、児の状態が悪い時も知ってほしい という思いがあり、定期的に長時間の在宅レスパイトサービスを行うことで、スタッフと 母親が情報や思いを共有し、信頼関係を築くことができると考えられる。. (7). ケース 7. M(2 歳) 診断名:乳児型クラッペ病・症候性てんかん 必要なケア:人工呼吸器管理、在宅酸素療法、口腔内・気管内吸引、経管栄養 利用している社会資源:訪問看護 1.5 時間×5 回/週 家族構成:父、母、兄(5 歳)本人 在宅レスパイトサービス利用までの経緯 児の担当の訪問看護師より、在宅レスパイトサービスが必要な母親がいると依頼があっ た。母子の情報収集とケア確認のため、看護師が介入しているところ自宅を訪問した。 児は以前在宅でバイパップにて呼吸管理をしていたが、呼吸状態悪化し救急搬送され、 気管切開術施行した。訪問時は退院後一週間が経過していた。バイパップ使用時は、呼吸 状態不安定で、吸引も常に必要な状態で母は睡眠が取れず、体調を崩すことも多かった。 呼吸状態悪化で緊急搬送されるときも、4 時間ほどマスクバック実施し、気管切開に踏み切 るか迷ったとのこと。もともと、予後は不良で、気管切開が延命治療になるのかと悩んだ が、今の段階であきらめることは出来ず、気管切開に踏み切ったと同行していた訪問看護 師は話す。退院後は、呼吸も安定しており、母は短時間であるが、児から離れて家事がで きるようになった。レスパイトサービスでは、母が別室で休んでいる間、児の見守りを希 望される。 現在、訪問看護が 1 事業所介入しているのみであり、母へのサポートは足りない。母方. 23.
(26) 祖父母が、アパート隣の家に住んでいるため、食事の準備等のサポートは受けられるが、 児のケアについては、全くできない。5 月までのレスパイトサービスを利用している間に、 訪問看護をもう1事業所増やそうと検討している。母の希望を伺いながら、プラン作成し ていく。. 在宅レスパイトサービス利用目的と母の様子や発言 利用. 利. 回数. 用. 利用目的. 母の発言・様子. 時 間 ①. 2H. 隣部屋で休. 「そのうち外出もできるかな」. 息するため. 「こうやって生まれてきてくれたのは奇跡かな。私も、M に会 えてよかったです。最初は、1 才までしか生きられないって聞 いたんですけれど、今 2 才で頑張ってくれてるんです。悪く なったときは、4時間くらいマスクバックして、病院に行っ たんです。やっぱりあきらめることは出来なくて、気管切開 してうちに帰ってきました。やっぱり、家がいいですね。病 院は、安心だけど、お兄ちゃんもいるし。M も家がいいみたい。 」. ② ③. 2H 2H. 隣部屋で休. 「熟睡してました。M 大丈夫でした?寝る直前まで、M 起きて. 息するため. るなって思ってたんですけど、いつのまにか熟睡してました」. 隣部屋で休. 週末は、家族で外出する予定であると話す。 「大きなジャング. 息するため. ルジムがあるんですよ。お兄ちゃん遊ばせて、私と M も見る ことできるから」. ④ ⑤. 2H 2H. 隣部屋で休. 母休息中に、乾燥機が鳴ったり、電話や来客があったりとほ. 息するため. とんど寝ることができなかった。. 隣部屋で休. 兄がムンプスに罹患していたが、先週土曜日に治癒したと話. 息するため. す。 「M にうつるんじゃないかって心配したんですけどね。大 丈夫みたいです。」. ⑥. ⑦. 2H. 2H. きょうだい. 兄が、風邪をひいて保育園を休み、母と過ごしていた。 「風邪. 児と遊んで. はよくなったんですけどね。昨日寝るの遅かったから、朝保. 過ごす. 育園休むって。ずっとゴロゴロしてます。」. 隣部屋で休. 最近、沖縄の公園紹介の雑誌を読んでいると話す。 「バギーが. 息するため. できたら、みんなで出かけようと思って今いろいろみてるん です。 」. 24.
(27) ⑧. 2H. 隣部屋で休. 「普段、熟睡ってできないですよね。私、熟睡したらアラー. 息するため. ムがなかなか聞こえないんです。昔、アラームに気付いて起 きたら、SpO2 が 80 とか 70%台まで下がってて。それが怖く て、熟睡できないです。こうやってみていてくれる人がいる といいですね。 」. ⑨. 2H. きょうだい. 「ちょっと外でお兄ちゃん遊ばせてきていいですか?エネル. 児と遊ぶた. ギーが有り余っているみたいだから」と、庭へ自転車遊びに. め. 出られる。母は、児の風呂入れ後、休息をとらずに、きょう だいと外へ出かけられる。30 分ほどして戻り、兄も汗をかき 楽しかった様子。そのまま、兄の風呂入れまでされる。. ⑩. 2H. 隣部屋で休. 「最近、暑くなって体温管理が難しいですね。停電した時が. 息するため. 大変ですよね。準備しとかないと」. 本ケースへの在宅レスパイトサービスを終えて 気管切開術施行後、児の呼吸状態は以前と比べ安定し、母の精神的、身体的負担は軽減 したが、いつ急変してもおかしくない状況にゆっくりと休息できる時間はほとんどなかっ た。母は児と離れ自分自身の時間を確保するよりも、児のそばで安心して休息をとったり、 きょうだい児と関わったりする時間の確保を希望した。きょうだい児は、体調不良で保育 園を休んでも、母は児の世話に追われ、なかなか構ってもらえず、家の中でゴロゴロして いたが、母が外に遊びに誘うとうれしそうな表情をみせた。30 分程度だが、母と二人で遊 んだ後は子どもらしい明るい表情が見られた。短時間でも母が児と離れて、きょうだい児 だけに時間を確保することは重要である。また、家族全員で過ごしたり出かけたりするこ とが、母のレスパイトにもなっているようであった。隣家の母方祖父母の協力はとても大 きいが、児のケアは両親しかできないため、社会サービスの利用が必要である。. (8) ケース 8 Y(2 歳) 診断名:第 5 染色体異常、脳梁低形成、慢性肺疾患、胃食道逆流症、 嚥下障害、てんかん、 必要なケア:在宅酸素療法、気管内吸引、経管栄養 利用している社会資源:訪問看護 1.5 時間×5 回/週 訪問介護 1.5 時間×1 回/週 家族構成:父、母、兄(13 歳)兄(11 歳)兄(7 歳)本人. 25.
(28) 在宅レスパイトサービス利用までの経緯 母より、在宅レスパイトサービス利用希望あり、訪問看護師のケア見学と同時に初回訪 問した。母が児から離れる事ができるのは、訪問看護師が介入中の 1~1.5 時間。起きてい る間は、気管内吸引が 30 分に 1 回程度必要。また、最近は甘えも出てきて泣いてぐずるこ とも多い。けいれんの観察も必要で、けいれん時は呼吸を止めることもあるとのこと。夜 間も、児の隣で休み、ゆっくり休息は取れていない。きょうだい児と関わる時間や、母親 自身の時間確保のためにサービスを計画。 在宅レスパイトサービス利用目的と母の様子や発言 利用. 利. 回数. 用. 利用目的. 母の発言・様子. 試しに一度利用. 「昨日熱だしたんです。『えー前日に熱出す?』って感じ. してみたい。. だったんですけど、今日は下がってます。でも、ちょっと. 時 間 ①. 4H. 元気ないですね。抱っこぉって感じです。」「大丈夫かな。 遠くには行かないので何かあったらすぐ連絡ください」 ②. 4H. 児童デイサービ. 「隣の市なんですけど、重症児のデイサービスが出来たっ. スの見学に行く. て聞いて。見学に行こうと思ってたんですけどね。 」. 予定であった. 「でも、木曜日は休診の所が多くて、逆に助かりました。. が、きょうだい. 遠くの病院まで連れて行けました」. 児の急な病院受. 「 (レスパイト病院の)ベッドは、いつも 2 つくらい空い. 診のため予定変. ていて、だいたい、利用したい日に利用できています。 」. 更となった。. 26.
(29) 本ケースへの在宅レスパイトサービスを終えて 重症児のデイサービスを探しているが、利用できる事業所がなかなか見つからず、自宅 で長時間介護を行う母親の負担は大きい。家族での外出など長時間の預かりが必要な場合 は、月に一度程度、レスパイト対応病院を利用しているが、母の休息のための時間確保は できていない。児は、身体・精神面で成長発達段階であり、母子分離を体験し、家族以外 の社会とのかかわりや外部からのさまざまな刺激も必要であると考えられる。. 3)介入研究から得られた結果のまとめ 医療的ケアが多く、母親が児から離れることが難しい家族にとって、いずれも在宅レス パイトサービスの必要度は高かった。8家族が、在宅レスパイトサービスを希望し、実際 に 7 家族が月に 1~4回利用した。利用目的は、児と長時間離れたことがないので一度試し てみたい、兄弟児と関わる時間の確保、母親の趣味、安心して熟睡したい、自分のための 時間確保、等であった。家族は今まで、長時間児から離れたことがないため、家族や児の 不安軽減を考慮し、サービス提供スタッフは、緊急時対応できるよう看護職員と介護職員 の2名体制とした。また、日ごろ児と関わっている訪問介護事業所のスタッフに協力依頼 をした。そのため、長時間のサービス中の不安やストレスが少なく済み、児の状態把握も しやすく、家族との連携や引継ぎもスムーズに行うことができた。初回在宅レスパイトサ ービス利用時は、母親たちは児を残して外出することに不安や申し訳なさを感じていたが、 帰宅後、児のいつもと変わらない様子をみると安心した表情が見られた。 定期的に児を安心して預ける時間が確保されると、母親たちは、児のデイサービス利用 を検討したり、就業や資格取得への意欲が出てきたり、新たな目標を持つようになった。 レスパイトサービスに対して、母親たちから、もっと利用回数があればいい、夜間も利用 したい、料金がかかるなら利用できない等の要望が挙げられた。夜間はサービス提供スタ ッフの確保が難しく、対応できなかった。利用者のニーズに対応するには、行政と連携し、 スタッフの確保や家族の経済的負担軽減が必要であると考える。. 27.
(30) 2.調査研究の結果 1) 在宅レスパイトサービスを担当したスタッフ及び利用者に対する質問紙調査 サービス提供者及び利用者に対して、ケアニーズ、実際のケア内容とその評価、利用者 の満足度、活用できる利用制度等を明らかにするため、在宅レスパイトサービスを担当し たスタッフ、サービスを利用した母親に対し、質問紙調査を行った。 在宅レスパイトサービス終了後、サービス提供者の看護師・介護士 6 名に質問紙を郵送 にて配布し、6 名全員から回答が返送された(回収率 100%)。また対象となる母親 8 名に 質問紙を直接配布し、6 名から回答が返送された(回収率 75%) 。. (1)レスパイトサービスを担当した看護師・介護士の評価 在宅レスパイトサービスを担当した看護師・介護士に対し、サービスを実施して感じた 良い点、困った点や問題点、2 名体制でサービス提供することに対し感じたこと、今後在宅 レスパイトサービスを行う必要性、サービス実施後の感想、満足度を尋ねた。 ① 良かった点 サービス提供者が在宅レスパイトサービスを実施し感じた良かった点は、 「母親が子ども から離れて自由な時間がもてた」 、 「母親がリフレッシュできた」がともに 5 人、 「子どもの 様子の変化を見る事ができた」が 3 人、 「母親にリラックスした表情がみえた」、 「母親が安 心して接してくれた」がともに 2 人、 「子どもの症状について新たな気づきがあった」が 1 人であった。サービス提供することで母親が気分転換でき、母親に良い変化が見られたこ と、また、母子分離による児の変化を見る事ができ、新たな発見があったことに利点を感 じている。. 母親が子どもから離れて自由な時間がもてた 母親がリフレッシュできた 子どもの様子の変化を見る事ができた 母親にリラックスした表情がみえた 母親が安心して接してくれた 子どもの症状について新たな気づきがあった. 人. 母親と信頼関係がとれるようになった その他. 0. 2. 28. 4. 6.
(31) ② 困った点、問題 サービス提供者が困った点、問題と感じた点は「求められているサービスが提供できる かどうか不安だった」 、 「児が急変したらどうしようか不安があった」がともに 4 人、 「母 親への気遣いがあった」 、 「スタッフ間の勤務調整が大変だった」、「長時間の介入はスト レスが多い」が 1 人であった。初めての長時間の介入に対して、サービス提供者は様々 な不安を感じていた。しかし、 「見守り中心にはなると思うが、長時間の介入の中で、本 人の様子を見ながら何かしら活動ができればよかったと思う」や「時間が短いと思った」 という意見もあり、業務に慣れてくると、児の見守り以外にも児や家族に対して何かで きることはないか、もっと長時間介入できればいいと、より良いサービスを提供したい と考えるようになった。. 求められているサービスが提供できるかどうか… 児が急変したらどうしようか不安があった 母親への気遣いがあった スタッフ間の勤務調整が大変だった 長時間の介入はストレスが多い その他 長時間訪問先で過ごす事に苦痛を感じた 看護師と連携して業務をすすめることが難し…. 0 1 2 3 4 5 6. ③ 看護師と2名体制でサービスを提供することに対して感じたこと 看護師と2名体制でサービスを提供することに対して、「看護師と一緒に業務するため、 安心できた」が 5 人、 「2 人体制でのサービス提供は必要である」が 4 人、 「児の状態によっ ては看護師だけでも良い」が 1 人であった。 サービス提供した介護士は、介入前は様々な不安を抱いていたが、看護師と 2 名体制で 業務することで安心することができた。また長時間の介入も、2 名体制ならストレス軽減に なるという意見もあった。サービス提供者が安心してより良いサービスを提供するために、 2 名体制は必要である。. 29.
(32) 看護師と一緒に業務するため、安心できた 2名体制でのサービス提供は必要である 児の状態によって看護師だけでも良い 看護師1名で十分である その他. 0. 2. 4. 6. ④ 在宅レスパイトサービスの必要性について 「とても必要なサービスだと思う」が 4 人、 「必要だと思う」が 1 人であった。 在宅レスパイトサービスを提供した看護師・介護士は、サービス実施により、様々な利点 を感じ児や家族、サービス提供者にとって必要であると感じている。. とても必要なサービスだと思う 必要だと思う 判断できない 必用ないと思う 必要ない 0. 1. 2. 3. 4. 5. ⑤ 在宅レスパイトサービスを実施した感想 在宅レスパイトサービスを提供した看護師・介護士は、サービスを実施する事で、母親 が安心して子どもを預け、休息や気分転換の時間を確保できたことを実感できた。母親、 きょうだいのためにも、在宅レスパイトサービスは必要なサービスであるが、今後サービ スを実施していくには、家族の経済的負担が多すぎると感じていた。. 30.
(33) ①今後実施していくには家族の経済的負担が多すぎる。 7 今回、レスパイトサービスを実施して、満足のいくサービスが提供できましたか ②家族が安心して子どもから離れ、自分の時間を作れることは必要だと思う。レスパイ トという形に限らず、そのような体制がとれるようにしていければいいと思った。 ③母親、子ども(きょうだい)が一緒に過ごせる時間を作れて良かったと思う。普段、児につき っきりになってしまいきょうだいと過ごす時間がとれて良かったと家族から聞けた。また、母親自 身とても良い顔をして帰宅するので、今後もレスパイトが実施できたらよいと思う。 ④母親が安心して外出できることはよいことだと思います。今後も、継続したサービスになって ほしいと思います。 ⑤今回、何件かのレスパイトサービスに入らせてもらったが、母だけでなく、他の兄弟 姉妹との時間も作れ、家族のリフレッシュの時間として必要性を感じました。 ⑥2人体制の訪問は、本当に安心して行えて良かった。母親(介護者)から「自由になれる時間 が持てて良かった」「用事(を済ませること)ができた」と言葉を聞けたのでよかった。 ⑦今回のサービス時間だけでは、十分なリフレッシュやきょうだい児との関わりができない。. ⑥ 在宅レスパイトサービス実施に対しての満足度 「満足できた」が 5 人、 「わからない」が 1 人であり、ほとんどのスタッフが、満足した在 宅レスパイトサービスを提供できたと感じている。. 十分満足できた 満足できた よくわからない あまり満足できなかった 満足な結果ではなかった. 0. 2. 4. 6. (2) 調査結果のまとめ 在宅レスパイトサービスを提供したスタッフは、サービス実施前は長時間の介入するこ とに、児が急変しないか、求められているサービスを提供できるかなど様々な不安を感じ ていたが、2 人体制で協力し業務を行うことで、安心でき、より良いサービスを提供するこ とができた。長時間の介入を通して、普段気付かなかった児への新たな気づきや、母親に 自由な時間を持たせる事ができ、サービス提供に満足することができた。普段、児と関わ. 31.
(34) っている介護職員が、長時間の在宅レスパイトサービスを提供することで、児の症状につ いて新たな気づきがあり、家族の負担もより理解でき、さらに信頼関係を築く事ができた。 これらは、普段の業務にも生かされると考える。. 2) 在宅レスパイトサービスを利用した母親に対する評価 在宅レスパイトサービスを利用した母親へ、利用目的、利用して良かった点、問題と感 じた点、今後利用する上での料金が実費負担になることについて、サービス利用時間につ いて、満足できるサービスの時間・頻度と過ごし方、サービス利用後感じた改善した方が いいと感じること、現在利用している社会資源について尋ねた。 ① 利用目的 母親が在宅レスパイトサービスを利用した目的は「気分転換したかった」が 5 人、「家族 に用事があった」 、 「他のきょうだいと過ごす時間を取りたかった」が 4 人、 「母親から離れ て子どもが他の人と過ごす時間も必要だと感じたから」、「試験的にサービスを受けてみよ うと思った」が 1 人であった。 「重度の障害のある子を在宅療養している母親は少なからず 社会との関わりが希薄になり、孤立感を強く感じることがある。そのような時に、外の世 界に目を向ける時間が必要だと強く思う」「子どもの様子を他の人(家族以外の人)から見 て接して、どんな感じだったかを聞いてみたかった」という意見もあった。 母親は、身体的、精神的負担を抱えているが、そのストレスを発散する機会を持てない。 また、毎日児の介護に追われ、家族の行事参加や、きょうだい児とゆっくり過ごす事がで きていない。今まで、児から離れたことがない母親も、自宅で見守りをする点で安心でき、 試に利用してみようと思う事ができた。. 気分転換したかった 家族に用事があった. 他のきょうだいと過ごす時間を取りたかった 母親から離れて子どもが他の人と過ごす時… 試験的にサービスを受けてみようと思った 親が子どもと離れて生活することを体験し… 子どもの自立を促すため その他. 人. 0. 32. 2. 4. 6.
(35) ② 良かった点 「安心して子どもを預ける事ができた」が 6 人、 「介護職員と看護師が 2 名で担当してくれ た」が 4 人、 「看護師が家族に配慮してくれた」、 「利用しやすかった」が 3 人、 「利用時 間が適切であった」が 2 人、「看護師とコミュニケーションがとれた」が 1 人であった。 「後ろ髪をひかれる思いの外出ですが、看護師さんがとても落ち着いていて、話しやすく 安心して子どもを任せられました。帰宅後も子どもの様子をきちんと話してくれて、毎回 笑顔で引継ぎができ、とても良かったです。」「看護師、介護士ができる範囲の中でケア、 身の回りのことをしてくれました。 」という意見もあった。 移動や療養環境の変化で、体調が悪化しやすい児も多いが、自宅で普段関わっている看護 師と介護士が見守りを行うため、母親も安心して児を預ける事ができた。. 安心して子どもを任せる事ができた 介護職員と看護師が2名で担当してくれた. 看護師が家族に配慮してくれた 利用しやすかった 利用時間が適切であった 看護師とコミュニケーションがとれた 手続きが簡単だった その他 0. 2. 4. 6. 8. ③ 問題だと感じた点 無回答が 3 人、 「子どもと離れて生活することに対し母親自身不安だった」、 「今回のレス パイトサービスが、研究事業で一時的なものだということ」、「利用できる曜日、時間の 範囲」が 1 人であった。長時間子どもを預けたことがないため不安に感じたり、研究事 業が終了した後、再び孤立感や、ストレスを発散できない状況を不安に感じていた。 また、利用したい時に利用できないことで、母親のニーズに対応することができなかっ た。. ④ 利用料金の実費負担について 「月に 1 回程度、無料で利用できる制度がほしい」が 5 人、 「料金が高く、利用は難しい」、. 33.
(36) 「経済的な補助があれば利用したい」が 4 人、 「健康保険のような 3 割負担制度が適応でき るとよい」が 1 人であった。 「3 か月の間、料金がなくとても助かりました。出来れば看護 師の方に長らく来てほしいが、経済的に全額を払うのは難しい。もっとこういうサービス があってほしいです。 」 「料金は適切だと思いますが、経済的に支払うのは厳しい。」という 意見もあった。経済的な負担が大きいため、レスパイトを必要と感じているが、利用する ことができない。. 月に1回程度、無料で利用できる制度… 料金が高く、利用は難しい 経済的な補助があれば利用したい 健康保険のような3割負担制度が適応… 料金は適切である 料金に関係なく、利用したいサービ… その他 0. 2. 4. 6. ⑤ レスパイトサービス利用時間について 「とても満足」が 4 人、 「満足」が 1 人、 「不満」が 1 人であった。 ほとんどの母親が満足と感じていたが、 「不満」の回答では、きょうだいの学校行事で利用 したが、行事が重なると時間が足りない。それに加え、自分自身の気分転換のためには、 今回のレスパイトサービスでは時間が足りないというものであった。. とても満足 満足 どちらでもない やや不満 不満 0. 1. 2. 34. 3. 4. 5.
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