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機械加工における適応制御 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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(1)

論 文

機械加工における適応制御

小尾誠

萩原隆徳

丹沢恒正

(昭和54年8月31日受理)

Adaptive Control of Cutting Process

-1st Report Determination of Optimam Cutting

Condition-MakotoOBI TakanoriHAGIHARA TsunemasaTANZAWA

Abstra¢t  Here, the Adaptive Control of Optimization(A・C・O・)system is exa皿ined especially for imp,。vi。g th・p・・d・・ti・ity and the e・・n・mical facters・Th・b・・i・m・th・d di・ecti・g toward the optimum cutting conditioll in this system is shown as follows. The cutting 、peed i, d。t。・mi・・d・t・v・・y t・・1・h・ngi・g tim…nd th・t・・1 feed・at・i・d・t・・mi・・d・・ as to obtain its opt迦um value within the restrictive condition during the cutting proc・ ess.  Determination of these cutting condition is obtained by assuming the tool life equation beforehand, particularly the n exponent in it.  Finally the obtained cutting condition is examined whether it is appropriate or not by applying the estimated function. And, the cutting condition is rederived through this results by revaluating the n exponent in the tool life equation・

1.緒

言  最適化技術を積極的に機械加工工程に導入しようと する試みがなされてすでに十数年にもなろう。その 間,多くの研究,開発がなされ,時には最適化制御あ るいは適応制御といった言葉が乱用されすぎるとさえ いわれたにもかかわらず,近年それらの報告書を目に する機会が非常に減少したように思われる。もちろん 目的に対し十分な成果をあげたであろうが,しかし, 一方では,機械加工の多種,多様化に対処するために 進められた制御手法が,多種,多様性のために,その 方向を明確にしえなかった場合も多い。  機械加工における加工条件の最適化のための最適あ るいは適応制御は,加工状態を同定しながら,それが 最適状態であるべき方向に指向し,維持しうるよう, 加工中に制御することが本来のやり方である。また, 従来の研究1)もそのように進められてきたように思 われる。しかしながら,実際にはそういった制御は必 ずしも容易ではない。最大の難問は工具寿命時間であ る。なぜなら,加工工程の評価基準(関数)をいずれ にとろうとも,それは工具寿命時間を変数とした関数 にして考えられるにもかかわらず,工具寿命時間を加 工中に正確に予想することは現段階では不可能に近い からである。こういった現状からも最近意欲的に進め られている工具摩耗,寿命のシミュレーションに関す る研究が強く期待されている。しかし,加工中の状態 変数をインプットした工具摩耗,寿命のシミュレー ションが可能になったにしても,従来の制御システム の入力としては大いに問題が残るであろう。  ところで,機械加工においては,工具寿命時間は全 加工工程時間から考えると非常に小さい場合が多い。 また,加工条件最適化の問題は,全加工工程最適化の 1サブルーチィンにすぎない。このようなサブルー チィンのなかで,技術的にも信頼性に関しても多くの 課題をもつ工具寿命時間を実加工中に予想してまで加 工条件を制御するといった手法が適切であるかは大い

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(2)

昭和54年12月 山梨大学工学部研究報告 第30号 に疑問である。このような現状から,機械加工の加工 条件最適化を考えなおしてみるならば,あえて実加工 中に加工条件を制御することなく,その条件における 工具寿命時間の結果を得ながら次の加工条件の最適化 を計るといった工具寿命間隔によるサンプリング的測 定と制御方式がより有効な場合も多い。このような立 場から,機械加工の加工条件の最適化を考えるなら, そのアルゴリズムは非常に単純,明確化され,した がって,より信頼性が高く,効率のよいシステムを実 現しうることが可能であろう。  以上が本研究で課題とした機械加工における加工条 件最適化に対する基本的考え方である。

2.記

  X:加工条件

  X:加工条件Xat, Xp……の集合

  Y:x−x

  Z:Xの部分集合

  T:工具寿命時間(工具が寿命にいたるまでの     延べ切削時間)   Ti:試行i回目の工具寿命時間   Ts:初期工具寿命時間   To:工具寿命時間の目標値  丁μ:工具寿命時間の平均値  T・pt:最適工具寿命時間

 VB:工具逃げ面摩耗幅

 VBi:試行i回目の工具逃げ面摩耗幅 VBm・x:最大工具逃げ面摩耗幅  VBμ:工具逃げ面摩耗幅の平均値   t:実切削時間   t・:工具1回当たりの交換時間   α:工具寿命式指数   n:旋削工具の工具寿命式指数   an:工具寿命式指数の予想値   λ:工具寿命式の真値と予想値との比   f:旋削加工における工具送り速度   V:旋削加工における切削速度   D:旋削加工工作物の外径   L:旋削加工工作物の長さ

  9:評価関数

 9,:直接労働費+間接費  (22:一切刃当たりの工具費 3・最適化手法 3・1 評価関数と制御対象  一般に,評価関数Qとすれぽ,2は制御対象であ る加工条件X={Xα,Xβ……}のとき   9=.ブ(X)     (X=={x’a, 」むβ,・・・… })        (1) と表されるが,機械加工における工具寿命時間Tは   T=9(x)     (x=xα, vβ,・・・… ) として表しうることから,(1)式は   2=・f(T) として整理され,その最適値は   d2/dT=0 を満たすT。ptにおきかえることができる。 (2) (3) (4)  したがって,例えぽ,二変量エ。,仰に関して,叫 =mc(一定)なる断面でのXaの最適値を考えるなら,

Xaと工具寿命時間Tの最適値,すなわち,条件付

きXaの最適値でのTopt{xα1 xβ}   Topt{xαltβ}=g(エα){d 9/dT=0}        (5) を考えることになる。このように,ここではすべての 加工条件X={Xl。, Xβ……}を操作量とするとき,そ の時の工具寿命時間Tに注目して,制御対象T,そ の目標値をT。ptとすることによりすべての加工条件 に対して一般的に論ずる。  3・2一変量制御  他の条件を一定にした断面での一操作量の最適値指 向方法を述べる。  一般にTaylorの工具寿命式に代表されるように工 具寿命時間と加工条件とはそれぞれの対数をとれぽ直 線関係にある。したがってここで   T=Cα xCt       (6) と近似的に整理されるものとして進める。ただし, C。,αは未知の定数とする。(5),(6)式からT・pt {xlY}は   Topt{xIY}=d21dT i(α){d9/dT==O}  (7) と表される。すでに述べたように,ここではサンプリ ング制御であるから,操作量Xと工具寿命時間Tが {Vi, Ti}であるという条件のもとで次の操作量Zi.1 を求めようというのが具体的課題である。したがっ て,(6)式の未知数αの予想値をαnとすれぽ,制 御目標Toは(7)式から   T・=T・{x1Y}=d9/dT−1(α。){d9/dT・=O}        (8) として求められ,この時の操作量Vi+1は(6)式から   Ci+1=(To/Ti)i/αn C・i      (9) として求められる。はじめに(9)式についてみる。 (9)式は漸化式であるから,これに従って試行を繰り 返えせぽよい。ここで問題は漸化式(9)が目標値7▼o に収束するか否かである。(6)式のもとで(9)式を

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(3)

機械加工における適応制御 Tについて整理し,解けぽ   Tτ+1=(To/Ti)λ・兄      (10)   ∴ Ti=Ts(1一λ)i・T。{1−(1一λ)i}    (11) となる。ただし,λは(6)式中のαの真値とその予 想値の比,=α/ηα,Tsは初期条件。 故に,0<1〃〈2の条件のもとでは(11)式の㍗は 目標値Toに収束することがわかる。  次の段階として(8)式によって求めた目標値To を(7)式によって示されるT・ptに導びけばよい。 言い換えるなら,予想値αnによって得られた結果か ら真値αを求める。 ここで,今(8)による目標値 Toになるべき操作量.CiによってTiという結果を 得たという条件のもとで(6)式のαを計算すれぽ,   a=1n(T、−1/τ∂/1n(Ti.1/T。)・αn  (12) となる。(12)式は分母が零に収束するため,誤差を 含む実加工では,誤差が極端に増幅されてしまう結果 になる。 したがって,逐次αの真値に漸近させると いう考え方から

  ai一問鶏碧ぽ〉・a・一・ (・3)

と書き変える。ここでf≧0ならぽ   α≦α≦αz−1またはα≧α≧疏一1    (14) が成りたち,fを誤差の大きさを示す値として与えれ ぽよい。例えぽ,(13)式の分母を考えれぽ   ln{<Ti_2/To>・f’}       (15) と変形され,また,一般的に,工具寿命時間の平均値 をTμ,その標準偏差をaとするなら   T=Tμ=レεσ       (16) として表される故,(15)(16)式より   ノCl=T/Tlμ=1十レεa/Tpa       (17) と定めれぽfは誤差分布に対応した値として入力す ることができる。ここでッ,は誤差のバラツキが正規 分布であるとしたときの(累積)分布関数を示す。  以上整理すると     lln(T、−2/Tz.1)|+1n(1+レ、σ/T∋   α’一丁/。(T、一、/T。)1+1・(1+Ye・/T。)α’−1        (18) その時の制御目標値T。は   7’o=To(x l Y)=d9/dT−i(αi){dQ/ゴ7・_o}  (19) 目標値T。に対する操作量jCi+1は   ti+1=(To/T,)1/ゴ輌耽      (20) となる。  3.3 多変量制御  操作量が2以上の場合では互いに独立変数とみなさ れるなら,各操作量ごとに順次前節に従って適値を探 索すれぽよい。すなわち   To=To(ZIY) (Z={Xl,エ2…Vi},γ=X−Z)        (21) として制御していけぽ目標値T。は最適値T・Ptに指 向し維持しうることになる。ただし,個々の操作量の 最適値が拘束条件外にあり,制御していく過程で拘束 条件の侵犯により,式(16)によるαの真値の指向 が不十分で中断してしまった場合は必ずしも最適値に 到達しえない場合もある。実加工では拘束条件上に適 値が存在する場合も多いが,このような拘束をもつ 個々の操作量に対しては,個々の具体的加工法に対し て検討した方が適切であり,またいわゆる拘束適応制 御として多くの研究報告1)があり,それらに頼れぽよ い場合が多いことも踏まえ,ここでは簡単に検討して みる。  前節(2.1)では評価関数2を一般的に表していた が,評価基準として加工能率あるいは加工費用をとる なら,実加工では具体的には実加工時間と工具寿命時 間の項によって整理することができる。すなわち,実

加工時間tを

  t=Z@)       (22) として表すなら,評価関数2は   2=R,f(x)+R2f(x)/T       (23) となる。ただし,Ri, R2は加工法および評価基準に よって定まる定数。故に(7)式で示すT。pt{XIY}は   Topt{xlY}=R2{f(x)/xf’(x)・α一1}  (24) となり,また,評価関数の等価曲線でその最小値を示 す曲線は(24)式によって定まる工具寿命時間に対して   Topt{x i Y}==1(x,】τ)       (25) として示されるXとYの関係上にある。したがって 各操作量xに関する(25)式で示される曲線のいず れかと拘束条件との交点が最適値となる。なお,機械 加工での多くの加工条件では(24)式中の∫@)/xft (x)はほとんど実数1になる。したがって,   T。pt{xlY}=R2(α一1) となる。 4・旋削加工条件の最適化 (26)  ここで対象としうる加工条件は,具体的には,旋削 加工での切削速度,工具送り速度,切込み,研削加工 では工作物回転速度,インフィード速度,トラバース 速度,砥石ドレッシング速度,フライス加工ではフラ イス回転速度,工作物送り速度等があげられ,また放 電あるいは電解加工での加工電流,加工電圧,工具 (電極)送り速度等特殊加工にも応用しうる。しかし, 工具寿命時間間隔によるサンプリング制御という点か

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(4)

昭和54年12月 山梨大学工学部研究報告 第30号 らは工具寿命時間の短かい加工法がより有効となる。  ところで,研削加工のように加工点と異なる点で工 具摩耗を測定しうるなら加工を中断することなく正確 に工具寿命を検知されるが,切削加工等ではかなりの 誤差が含まれるものと予想しなけれぽならない。した がってここでは旋削加工のように加工中に工具寿命を 正確に検知しえない場合についてさらに考察する。  旋削加工等多くの加工法において,工具寿命基準と して一般的に工具摩耗をとるなら,加工を中断するこ となく工具寿命を検知することは非常に困難であった り,あるいは高価なインプロセス測定装置を必要とす る場合が多い。このような場合の最適化について,旋 削加工を例にあげて検討する。  外周旋削加工において,評価基準として加工費用を とった場合,評価関数Q(23)式は次のようになる。   9:=(〕1t十t/T(91彦c→−92)      (27) ここで21=直接労働費+間接費,92=切削工具一切 刃あたりの工具費,t・=工具交換時間, f=工具寿命 時間tは実切削時間で(22)式は   t=xDL∠fV      (28) で与えられる。ここでD=工作物外径,L=工作物長 さ,f=工具送り速度, V=切削速度  一方,式(6)に相当する   TnV『=(フ      (29) はいわゆる工具寿命式としてよく知られている。  したがって,(27),(28),(29)式から(24)式の T。pt{xlY}は   T。pt{Vlf}=(彦・+92/9、)(1/n−1)  (30) となることがわかる。  ここで,工具寿命基準として工具逃げ面摩耗幅をと るとき,近似的に延べ切削時間Tcと工具逃げ面摩耗 幅VBとは比例するものと仮定するなら  T=VB m。。/VB・To となり,(29)式は   VB−n V=C       (31) と表される。ここでVB maxは工具逃げ面最大摩耗

幅,VBは延べ切削時間Tcでの工具逃げ面摩耗幅

 ここで,T=VB,1/ai=−ni To一定   To=(彦,+R2/Rl)(1/ni.1)    (32) とするなら前章(2)と全く同様になり   Vi=(VB max/VBi.、)ni Vi−、    (33)     lln(VBi−2/VBm。。)1+ln(1+レ、σ/VBμ)   ni=     11n(VBi−2/VBτ一1)1+1n(1+レ,σ/γBμ)    nz−1       (34) をうる。  このことから,加工中直接工具寿命を正確に知りえ ない旋削加工工程などでは工具摩耗を制御目標として 最適状態を探索していけばよい。

5.結

言  工具寿命,切削条件などに関する情報はデータファ イルなりデP・・一タバンクにより平均的な適値として与え られる。しかしながら,例えぽ加工環境,工作機械特 性さらには,切削加工個有の不確定性などによって 個々の加工においては必ずしも真の値が得られるとは いえない。今後の工作機械加工における最適あるいは 適応制御はこういった個々の最適値を指向するものが 望まれる。すなわち,データファイル,データバンク 等によって得られる平均的なある程度の適値をもとに 個々の真値を指向するものでなけれぽならない。  ところで従来から検討されている切削加工の適応制 御の例をみると,評価関数の未知数である工具寿命時 間を切削中に定量的に知ることのできない現状におい ては,手順としては非常に忠実であるにもかかわらず 途中でさまざまな不確定的仮定を置く制御に陥り,制 御に対する精度,信頼性に関しては不安定な結果に なっている。  そこで,ここでは機械加工中あえて連続的に切削条 件を変更しながら最適値を指向するといった方法はと らず,工具交換ごとに切削条件をかえながら最終的に 最適値を維持しうる制御方式を理論的に検討し第一報 として示した。具体的な加工に関する検討と実験結果 およびその効果に関しては次回に述べる。  本研究に関し機械工学科,機械工場はじめ多くの諸 先生,先輩の指導と協力を受けたことを付記し謝意を 表す。

参考文献

1) 例えぽ     竹山外3名:工作機械の最適化制御に関    する研究,日本機械学会論文集,34,261    (1968−5) 992     佐田,武田:旋削加工の適応制御,昭和    46年度精機学会春季大会学術講演会前刷    (1971−4)     佐藤真:ACマシニングセンタ応用機械    工学,1971,1

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