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けい光X線法による汚泥中の金属の定量に関する基礎的研究ならびに甲府市内河川,下水道関係汚泥の分析例 利用統計を見る

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全文

(1)

論 文

けい光X線法による汚泥中の金属の定量に

関する基礎的研究ならびに甲府市内河川,

下水道関係汚泥の分析例

深沢力

岩附正明

深沢二夫

北沢通宏

関敏行

(昭和50年8月30日受理)

Basic Study on Fluorescent X-Ray Analysis of Sludges in

Contaminated River and Municipal Sewage Treatment Plant

and Analysis of Sludges Taken in Kofu-City

TsutomuFUKASAWA MasaakiIWATSUKI TsugioFUKASAWA MichihiroKITAZAWA ToshiyukiSEKI        Ab8tract  Some pretreatments as drying and ashing, and X−ray fluorescent analysis were studied, and applied to a survey of metal contamination in river sludges, sewage treatment sludges and so on.  Thermo・gravimetric analysis of some typical samples were carried out by use of a Inagnetic l)umper type thermobalance, and the drying and ashing temperatures,220°C and 600°C respectively, were decided from the thermo・gravimetric curves.  Known amounts of the standard solutions of the elements to be determined were added into 5g of the ashed sample, mixed, dryed and mixed. The prepared sample as it is, was introduced into the sample holder covered with Myler丘1m, and analyzed by the chart− recording technique using a Ph輌lips X−ray fluorescent spectrometer.  The relationship between the intensities and the amounts was linear of any element, but the slope was not always same for the same element in different samples. Anumber of the samples taken in Kofu・city were analyzed by a simplified addition method for a survey of metal contamination;the elements of Zr, Sr, Pb, Zn, Cu, Ni, Fe, Mn, Cr, Ba, Bi, and so on, were determined, and such the light elements as Ca, K, Ti, CI and S were also detected with strong intensities.  The detail and discussion are given together with ll tables and ll figures.

1.緒

論  近年河川や海域の汚染とともにそれらの底質汚泥に おける金属元素に関心がもたれ,ときにはそれが社会 問題化しているところもある。また下水道施設の不備 な都市における市内河川の底質汚泥金属元素は下流河 川や海域の汚染に関係があるほか,放流下水や廃水を 解析するのに役立つ場合もある。このようなことから 今後次第にこのような試料の分析も要求され,簡便確 実な分析法が期待される。  このような汚泥の分析に際して起こる大きな問題* * このような試料の分析に際して起こる最大の問題は試料採  取の問題であり,試料のとり方により分析値が変ることが  多い。しかしここではこの問題にはふれないことにする。

(2)

は試料の性状の多様性であり,これに伴い試料の前処 理や分析操作に特別に細い注意が要求される。・一般に は酸で試料中の金属成分を抽出し,原子吸光法1)’ 2}, 吸光光度法3)などで定量されているが,試料によって は金属元素などの完全な抽出が期待できない4)。 また 抽出液中には多量の有機物や塩類の混入があり,以後 の操作を複雑にする上,誤差の原因にもなる5)。  けい光X線法は固体,粉末,液体を問わず非破壊分 析も可能で,この意味で簡易分析ともいわれ,試料は そのまま保存できるなどの特徴がある。試料の多様性 についても注意がいるが,場合によってはかなり軽減 され,極微量成分でない限り重金属元素などの酸抽 出,濃縮といった操作も要せず,簡易迅速分析法とし て実用に供しうる可能性がある。  今回は環境問題に関連し,不揮発性金属元素を中心 にどのような元素が,どの程度微量まで湿式化学分離, 濃縮などを行うことなしに定量できるか,その可能性 や問題点などを知ることを目的にし,つぎのような研 究を行った。試料としては十分脱水乾燥したものを基 準とすることとし,有機物は灰化し粉末法で実験を行 うため,試料の脱水乾燥,灰化を中心とした前処理の問 題を検討した。また,けい光X線分析自体の問題とし て測定試料量,可能な全元素の定性分析,添加法によ る金属元素の定量,検量線法の問題などを検討した。 さらに甲府市内の各種汚泥試料について含有金属元素 の概略値を求め,およその状況把握と今後の研究指針 とした。 2.装置および測定条件 表一1 けい光X線測定条件 項 目

k 線 管

管  電  圧 管  電  流 検  出  器

検出器高電圧

波 高分析器

ベースライン電圧 ウ イ ン ド 幅 重元素(Cr以上) 軽元素(Ti以下) 減 フノレス 時 走 チ 分

X

 N   器   ケ ーノレ  定   数 査 速 度

ヤート速度

光 結 晶 線 通 路 W      Cr 30kV        45kV 20mA       30mA シンチレーション フP一プロポーシ カウンター    ヨナノレカウンター 920V       1630V 微分方式     微分方式 0.7V       O.7V 1.OV       1.OV 22         22 元素により変えた 元素により変えた 1sec      lsec 1°/min     1°/min 10mm/rrlin  10mm/min LiF        EDDT 空 気      真 空 表一2 標準金属溶液用試薬 標準溶液 Pb Zn Cu Zr Sr Ni

Mn

Cr Fe Ba Bi 試 Pb(NO3)2 ZnSO4・7H20

CuSO4・5H20

ZrOCI2・8H20 薬 Sr(NO3)2・4H20 NiSO4・(NH4)2SO4・6 H2C MnSO4・4 H20 K2Cr207 Fe2(SO4)3(NH4)2SO4・24H20 Ba(NO3)2 Bi(NO3)2  けい光X線分析装置はオラソダフィリップス社製半 自動けい光X線分析装置に理学電機製高圧発生装置D −6C型を取りつけて使用した。測定条件は表一1のと おりであった。  本装置ではシンチレーションカウンターとフローカ ウンターが直列になっているため重元素測定の場合は フローヵウンターにPRガスを流さないが充した状態 で測定した。 3.試  薬  標準溶液:表一2の特級試薬をそれぞれ水に溶かし て,金属イオソとして1mg/m1の原液を調製した。必 要に応じて希釈して使用した。  その他の試薬もいずれも特級を使用し,水は水道水 をイオン交換樹脂純水製造器に通したのち,ガラス製 蒸留器で蒸留したものを使用した。 4. 試  料  4−1 試料採取  試料は,(・)分析化学的研究の立場からできるだけ性 状の異なるもの,(b)特定の河川,下水などの底質汚泥 の重金属汚染を系統的に知るため,甲府市内の河川, および下水道のうち特に汚れているとみられる地点を 選び採取した。試料採取は適宣グラブ型採泥器または シャベルなどを用いて行った。図一1に試料採取地点の 地図,表一3に採取試料の外観と臭気を示す。  4−2 試料の脱水乾燥および灰化  試料中には一般に水分、有機物などを多量に含有し, その性状も極めて複雑である。今回の目的から試料は 脱水後有機物を灰化し,けい光X線分析することにし た。しかしながら,このような試料の乾燥,脱水,加 熱に対する重量変化などに対する基礎的研究はみあた らなかった。したがって砂をほとんど含まないか,比 較的少ない試料を選び加熱天秤による加熱一重量変化

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けい光X線法による汚泥中の金属の定量に関する基礎的研究ならびに甲府市内河川,下水道関係汚泥の分析例 A5   oY7 FII  藤 川   川 Ou、  .左 Y・劫 〃/ 表一3 採  取  試  料   一多遮や   Y6

薦・

図一1 甲府市試料採取地点図 試料記号 番  号 採  取  地  点 Nl N2 N3 N4 N5 Gl G2

B

Yl Y2 Y3 Y4 Y5 Y6 Y7 Ul u2 Al A4 1濁川・笛吹川合流点上流200m l〃 ・市公害センター上流200m l〃・蓬橋下  〃 ・省路橋下 藤川城東五丁目 五割川・笛吹川合流点500m 蛭 沢 川 平等川・御成橋下 市尿尿処理場脱水ケーキ 市公害センター焼却炉沈殿物 山梨大下の下水道底質汚泥 湯田排水区No.111 湯村の田 荒川・笛吹川合流点上流200m 荒川・相川合流点   試 料

臭 ⇒

の 状 態 外 観 わずかにあり   有   有   有   有   有  悪 臭 わずかにあり  悪 臭  悪 臭  悪 臭   有  悪 臭  悪 臭 わずかにあり  悪 臭   無   無   有   泥状,黒色 泥状,黒色,砂あり   泥 状   砂含有   砂含有  泥状,茶黒色  砂中程度含有     〃   茶色の塊  どろどろ,黒色   〃     〃  砂9D%以上  茶色,柔らかい どろどろした黒色泥  砂多く褐色 どろどろした褐色泥   茶黒色   砂 質  砂中程度含有 に関する実験や,磁器ルツボとバーナーによる簡単な 灰化実験などを行った。  4−2−1 加熱天秤による実験  試料約2.Ogを小型白金ルツボ(10ml)にはかりとり, 磁石式加熱天秤の6)の白金吊り線にとりつけ,電気炉 (カンタル線使用)中に吊り下げた。電気炉の温度調 節はスライダックにより手動で電圧を制御して行い, 4∼5°C/minで昇温させた。結果を図一2,表一4に 示した。  これらの実験結果によると,脱水乾燥,脱臭,灰化 などの模様は細い点では試料ごとに異なるが,およそ つぎのようにいうことができる。  (1)室温から50∼60°Cまでほとんど重量変化はない。 (試料としては冬季10∼20°Cの実験室内に広げて乾燥 したものを使用した) 2.0 @ 醐1.5 婁 怒 ↓  1.0 0.8  (2)60°Cあたりより主として脱水乾燥が行われ,180 ∼220°Cでほぼ終り,試料重量はほぼ一定になる。  (3)脱水乾燥が終る頃より悪臭が発生する。  (4)600°Cに加熱すれば有機物などの灰化はほぼ終 る。したがって,今後の実験操作に当りつぎのように 決めた。  a)採取した試料は実験室内に拡げて乾燥保存す る。必要がある場合は室温で60%前後の恒湿器中に放 置する。  b)脱水乾燥は220°C恒量とする。  c)灰化温度は600°Cとする。 表一4 加熱天秤実鹸結果       

馨料剰麟巴鵠

実鹸中の試料の状態 Yl N5 0      120     240     360     480     600        温 度(°C)   図一2各種試料の加熱重量変化曲線 G1 18⊃°C 200°C 200°C 580°C 400°C 520°C 脱水終了温度から灰化終了温度 の間で多量の白煙を発生し,タ ンパク質・や,イオウの燃える臭 いが発生 図一2のA∼Bの温度において かなりの白煙を発生し,イオウ のもえるような臭い発生 図一2のA∼B間において白煙 発生はわずかで炭化する臭L・は 発生したものの試料特有の臭い はなかった NII 220・C340・C   「 同  .ヒ

(4)

表一5 試料の脱水,灰化減量と重量換算係数 試料記号 番  号 Yl Nl N5 Gl 室温乾燥試料 の脱水減量※   (%) 41.5 53.8 32.9 46.9 室温乾燥試料 の灰イヒ減量※   (%) 52.5 57.5 36.2 50.5 脱水試料の600°C灰化減量(%)

炭ツボによ刹加慾秤平均

20.6 6.0 4.2 10.1 18.8 8.1 4.9 6.9 19.7 7.1 4.6 8.5 600°C灰化試料に対する 換  算  係  数 室温乾燥重   脱水重量 量への換算  への換算 2.11 2.35 1.57 2.02 1.25 1.08 1.05 1.09     ※ 加熱天秤実験による  4−2−2 磁器ルツボによる灰化と試料重量換算係       数  実際に試料中の有機物を灰化するには磁器ルッボを 用い,バーナーで加熱するのが簡単でよい。また,試 料中の重金属元素などを灰化前のものに対する含有量 に換算する場合,灰化減量により補正する必要があ る。そのため室温乾燥試料を小型磁器ルッボにはかり とり,約220°Cの砂浴中に埋めで1亘量になるまで加熱 脱水した。灰化温度は600∼650°Cにし,磁器ルッボ 中にクロメル・アロメル熱電対(外径0.8mmのサーモ コアックス使用)を入れ,バーナーの炎を調節して温 度制御し,試料が恒量になるまで(±0.2mg)加熱し た。以上の実験結果を加熱天秤実験結果とともに表一5 に不した。  加熱天秤実験と磁器ルツボによる簡単な実験との差 は,いずれも3%以下なので,他の試料については磁 器ルツボとバーナーによる簡単な灰化を行った。結果 を表一6に示した。なお,尿尿処理場の試料は別とし 表一6220°C脱水試料の灰化減量ならびに脱水試料への換算    係数 表一7ふるい分け試鹸の一例 単位%

馨網§28㌶㌶⊥24−・8・・シ・4865満下

N, N2 N5 A1 9.6 19.8 5.9 24.6 試料記号番号 49.3 47.2 44.5 32.0 41.1 33.0 49.6 43.4 灰化減量(%) 脱水試料への換算係数 Nl N2 N3 N4 N5 Yl Y2 Y3 Y4 Y5 Y6 Y7 Gl G2

B

Ul u2 Al A.t 6.0 6.2 20.3 11.4 4.2 20.6 57.6 71.0 8.7 58.6 14.6 4.6 10.1 8.0 7.5 37.1 4.9 5.4 9.5 1.Cl8 1.07 1.25 1.13 1.04 1.25 2.36 3.45 1.10 2.42 1.17 1.C5 1.11 1.C9 1,08 1.59 1.C5 1.C6 1.10 て,下水処理場,湯田排水区といった下水道に直接関 係した試料で悪臭が発生するものほど減量が激しかっ た。  4−3 試料のふるい分け試験  採取試料中に砂の含有はまぬがれず,実際上試料採 取の行い方によってはこの量が多くなったり少なくな ったりする場合も多い。また同じ砂でも粒径の大小の 問題もある。したがって,ここでは砂の多い試料は28 メッシュ(0.59mm)フルイでふるい分けることにし た。さらに48メッシュ(0.297mm)のふるいを用い, 砂を含んだ若干の試料について粒度状況をしらべた。 結果を表一7に示す。         5.けい光X線分析  汚泥のような広範囲に性状の異なる種々の試料の分 析に対する有用性や,統一的で簡便な分析方法の確立 に対する可能性や問題点などを明らかにするため,ま ずけい光X線法で可能な全元素に対する定性分析を全 試料について行った。ついで若干の基礎実験とともに 添加法による定量分析,試料の差異の検量線に対する 影響などを検討した。  5−1 分析試料量について  本研究で使用した装置は,下方より一次X線を照射 する型であるため,粉末試料を一番簡単に分析するに は,マイラー膜を底に張った試料容器(内径45mm)に 粉末試料をそのまま入れ分析するのがよい。この場合 X線照射方向に対して試料の厚さが十分である必要が あり,この最小の厚さ,すなわち試料量は定量元素に よって異なる。そのためここでは試料として甲府市下 水処理場脱水ケーキを用い,100メッシュ(0.1mm)以 下に粉砕混合し,十分に均一にしてその一定量をマイ

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けい光X線法による汚泥中の金属の定量に関する基礎的研究ならびに甲府市内河川,下水道関係汚泥の分析例 ラー膜を張った試料容器にとり,けい光X線分析し, PbLα1, ZnKα, NiKα, WLβ2などの強度を測定した。 その結果29以上の試料を用いれぽいずれの元素に対 しても一定の強度がえられ十分であることがわかっ た。しかしながら,添加実験では試料量が少ないと標 準溶液が器壁につく割合が大きくバラツキの原因にな ったので59用いることにした。  5−2 各種試料の定性分析  〔重元素〕:220°C脱水試料または灰化試料約3.5g を用いてけい光X線分析した。その結果,19地点より 採取したすべての試料からZr, Sr, Pb, Zn, Cu, Ni, Fe, Mn, Crの9元素が十分な強度をもって検出され た。さらに,甲府市尿尿処理場脱水ケーキからは上記 9元素の外にBa, Biの2元素も検出された。 Baについ ては市内の医療設備で胃の検診などに使われた硫酸バ リウムによるものと想像され,他の特殊元素の検出と ともに今後の研究に興味を覚えた。  〔軽元素〕:下水処理場脱水ケーキ,同最終沈殿槽, 尿尿処理場脱水ケーキ,荒川・相川合流点,濁川・笛 吹川合流点,湯村の田など6地点の脱水試料について デンプソ30%を混合しアルミリングを用いて加圧成型 し,ペレットとして(この場合X線通路を減圧してけ い光X線分析するので粉末のままだと試料が飛散す る)定性分析を行った。その結果,これらの試料すべ てにおいて,Ca(CaKα2000cps以上), K(KKα2000cps 以上),Ti(TiKα2000cps以上),Cl(CIKα300∼900cps), S(SKα1200∼1300cps)が検出され,今後の研究によ りこれらの元素が比較的簡便に定量できる可能性があ ることがわかった。  以上にのべた定性分析の一例として実際に尿尿処理 場および下水処理場の脱水ケーキについて行った定性 分析チャートを図一3,図一4に示した。  5−3添加法による定量と各試料の元素量一強度関係 の比較  汚泥のような試料の特殊元素の定量分析ではまず第 一に試料採取に問題があり,試料の採り方により分析 値が変ることが多い。ここでは採取試料についてでき るだけ正しく目的元素を定量し,今回採取したような 汚濁河川,下水道関係の汚泥中にどのような元素が, どの程度含まれているか概観的に知るため,添加法で 定量することにした。ついで試料中の定量元素量とそ のけい光X線強度との間に直線関係があるかどうか, また試料毎にえられる元素量一強度関係の差違などを 検討して,検量線法を用いるときの問題などを明らか

三 誓

〉     〉 皇 k 二 80 70 60 50 (2θ) 40 30 20 図一3 甲府市尿尿処理場脱水ケーキ(Y5)の定性分析チャート(重元素) 70 60 (2θ) 50 40 図一4 甲府市下水処理場脱水ケ   ーキ(Y1)の定性分析チャ   ート(軽元素)

(6)

にするとともに,さらに進んだ分析法の研究の基礎資 料とした。  本研究では比較的微量含まれる特殊元素を目標にし ており,添加法は一般に微量元素の定量に使われる。 したがって,5−2の定性分析で検出された元素のうち, 特に含有量が多くけい光X線の強かった鉄を除いた8 元素(Zr, Sr, Pb, Zn, Cu, Ni, Mn, Cr)について 実験を行った。また汚泥の分析であるから,下水処理 場脱水ケーキ,その他比較的砂の少ない4試料を用い た。  5−3−1 実験方法  600°C灰化試料の一定量(通常59)を試料容器にと り,けい光X線分析し記録紙にプロフィルを自動記録 させて,バックグランドを除いた各定量元素の強度を 測定した。ついで試料を小型蒸発皿(70mmφ,50ml) に移し,標準溶液を少量ずつ加えながら乾燥し,よ くかきまぜて再び試料容器に入れ,けい光X線分析し 各元素の強度を測定した。この試料を再び小型蒸発皿 に移し,標準溶液を追加して同様にけい光X線分析し た。このような操作を繰り返した。  この場合8元素を同時に添加して実験を行うと標準 溶液の添加量が多くなり,乾燥などの操作も不便な上,     表一8 試料19に対する各元素の添加量 グループ元素 試料19に対する添加量(μg) 1回目 2回目 3回目 4回目

A{

  Zr Ni   Pb Mn

  Sr

・は

C{C・

{(;⑪) {(18) {(18⑪) {(1;1) {(18)  50 (100)  50 (100) 200 (400) 250 (500) 20 (40)  50 (150) 200 (300) 200 (600) 250 (750) 20 (60)  50 (200) 200 (500) 200 (800) 250 (1,000)

 20

 (80) 添加混合に際して標準溶液が器壁に付着し誤差を生じ やすい。さらにマトリックス効果の影響を考え,8元 素を(A)Zr, Sr, Pb, Ni, Mn,(B)Zn, Cu(比較的 含有量が多い),(C)Crの3つのグループに分けて, 多くの場合表一8のように添加して実験した。  5−3−2 実験結果  実際の実験に際しては,一次X線強度などの変動に よる誤差を避iけるため各試料ごとにWLβ2線強度lwを 測定し,無添加試料のWLβ2線強度1vv°を標準として, 添加試料の各元素のけい光X線強度の測定値に玲゜/ん の値を乗じて補正した。定量結果を表一9に,けい光X 線強度と標準溶液添加量との関係を図一5∼図一11に示 した。  以上の結果からおよそつぎのようなことがいえる。 (1)実験した範囲では,けい光X線強度と元素量との間 には鉛以外いずれも直線関係がなりたつ。 (2)鉛と銅は用いた試料の種類の範囲では,同一条件で 実験を行う限り,いずれの強度一元素量関係直線の傾 きもほぼ同じである。したがってこの範囲では同一検 量線を用いて検量線法で定量できる可能性がある。 (3)ストPンチウムとニッケルは関係直線の傾きが同じ 試料と異なる試料とあり,ジルコニウムは試料ごとに 傾きが異なる。したがって,このような元素を検量線 法で定量する場合には試料の群別か,または傾きの差 異に対する補正が必要である。 (4)定量精度や誤差についてはさらに詳しい実験が必要 であるが,図一5∼図一11における直線からの各測定値 のバラツキからみるとおよそつぎのようなことがいえ る。灰化試料に対してはSr, Cuは20ppm, Zr, Pb, Ni, Zn, Mnは10PPm, Crは5PPm程度まで非破壊的に 定量できそうである。  5−4 甲府市内河川,下水道関係試料中の金属元素 ()内は全添加量 表一9 添加法による定量結果(灰化試料基準)        単位 ppm 試料記号 番  号 Y1 A4 N1 G1 Zr 280士10 (227) 235士10 (214) 105±10  (97) 170:L 10 (156) Sr 225土20 (180) 325士20 (295)    t 200±20’ (185) 325±20 (298) Pb 320±10 (256) 115士10 (105) 140士10 (129) 60士10 (55) Cu 1100士20 1200±20  (920) 180:』20 (164) 180±20 (167) 80±20 (73) Ni 277士10 (222) 117士10 (106) 65:』10 (60) 75士10 (69) Zn 1750士10 (1400) Cr 83士5 (66)

Mn

210士10 (168) (注)1. この表における定量   誤差は図一5∼図一11の   直線からの各点のバラ   ツキからおよその値を   推定したもの。  2. ()の数値は600   °C灰化試料基準の定   量値を重量換算係数で   割り脱水試料基準の定   量値になおしたもの。

(7)

けい光X線法による汚泥中の金属の定量に関する基礎的研究ならびに甲府市内河川,下水道関係汚泥の分析例  /フ! /!/   :鰍   涼60   緩    40   N  /・り /〉//20 Yl Al Gl Nr (300)   (200)   (100)     0      100     200     ppm       試料lgに対するジルコニウムの       i添加量(μ9) 図一5添加法による各種試料中のジルコニウムの定量 *チャートの目盛数,フノレスケー7VIOO目盛=103cps      /     420 /     R (/! (300) (200) (100)   O    lOO   200   300   400   500    ppm     li式料1gに対するストロンチウムの添加量(μg) 図一6添加法による各種試料中のストPンチウムの定量  *チャートの目盛数 フノレスケーノレ100目盛=103cps Y1 A,N, (1200)   (800)   (400)       400     800      ppm      試料1gに対する銅の添加量(μg)    図一8 添加法による各種試料中の銅の定量  *チャートの目盛数,フルスケー/vlOO目盛=10‘cps 碩

Z40

     Y】

ノ/

(300) (200) (100)    100  200       試料1gに対するニッケルの      ppm       添加量(yg) 図一9添加法による各種試料中のニッケノレの定量 *チャートの目盛数,フノレスケール1CO目盛=103cps 帯        ! @     ! @   ! @  ! @ ノ @ノ I 1   忍 @ 禦 @ 繋30   0   口        Y1 @       /◎/ B/./° ^       N1 / 1  ノ   , ! !  !   ! (300) (200) @    ppm (100) 0   100   200 似ソ1gに対する鉛の添加量   図一7 添加法による各種試料中の鉛の定量 *チャートの目盛数,フノレスケー7VIOO目盛=103cp3 静趣 縄で鷹 80 受已 60       o/o/

N

40 ’  ’’ ’       ! @   ン @ Z f 20 1   1 y (2000) (1500) (1000) 垂垂 (500) 0     こ500 ホす       1000 似ソ1♂  る亜鉛の添加量 @       (μ9) 図一10 添加法による下水処理場脱水ケーキ(Y1)中の亜鉛   の定量  *チャートの目盛i数,フルスケーノレ100目盛i=104cps ㌔ 図一11添加法による下水処理場   脱水ケーキ(Y1)中のマン   ガン,クロムの定量   *チャートの目盛数 フル   スケー7v 100目Wh = 103cps 舗 〔 藻30 弓 堵 蔓2。塁亘 ,10       Cr @    ∠4。一・㌃乏        ’ @    一 @  ’ @’ f        ’ @        ’     ’      , @,”’        !    1 (200) (160) (120)    (80)    (40) @  ppm   0      40      80     120     160 似ソ1gに対するマ・ガ・,ク・ムの添加量(・9)

(8)

 5−3の添加法による実験結果から元素量対強度の関 係は大体直線関係が成立つとみてよいが,傾きは試料 や対象元素によって変ることがあることがわかった。 したがって,実際に各種試料の分析にあたっては試料 ごと元素ごとに添加実験を行う必要がある。ここでは 4で採取したできるだけ多くの試料を分析し,含まれ る金属元素の概略値を知り,これら河川,下水汚泥の 現状を知り,今後の研究の基礎資料とするためつぎの ように実験した。  すなわち,600°C灰化試料59を用いて,表一10のよ うに添加試料を作成し,各元素について無添加試料と 添加試料の2つのけい光X線強度を外挿して半定量し た。結果を5−3の実験結果とともにまとめて表一11に 示した。        表一10  表一11の◎,○,△等の分類は他の試料と比べて相 対的に表したものであるが,試料採取(1頁脚注参照) や定量精度の問題を考えてもおよそつぎのようなこと がいえそうである。  (1)Zrは尿尿処理場脱水ケーキ(Ys)中に異常に多く, Ba, Biも他の試料では検出されなかったが,この試料 のみに含まれていた。Baは医療用の硫酸バリウムに主 に起因すると思われる。Zr, Biの多い理由については 今後さらに検討したい。  (2)Pb, Zu, Cuをみると当然ながら下水道処理場関 係の試料,焼却炉沈殿物(Y、∼Ye)に多く,下水道未 整備のため生活産業廃水が流入している濁川系試料 中にも多い。 添加実験用試料 玉加試料翻| No.1

添加⊇|・・S・P・N・M・C・

No.2 No.3 Zn  Cu  Fe Ba  Bi 添鰻(m・)11…1・….・・1.・・1.・・1.・・rlM・.・・2.・・15.・・.….,。

濃㌦慧…2・・1・・2・・2・・2・・

400   400 3,000 100 100 表一11 甲府市内各種試料中の金属元素概略値(脱水試料基準%)

曇鍔 採取地点

Zr   Sr   Pb   Zn Cu   Ni Fe  Mn   Cr Ba   Bi

Nl N2 N3 N4 N5 Gl G2

B

Yl Y2 Y3 Y4 濁i笛吹川合流点⊥流200m*  i市公害センター⊥流200m

 i蓬橋下

川i省路橋下

0.0100.018 0.009 0,017 0.017 0.016 0.010 0.024 0.013△0.130  0.017  0.006   1.5 0.004  0.130 0.030△0.012△ 2.3 0.017△0.27◎ 0.05400.004   2.3 0.012△0.130 0.028△0.003   1.5 0.030  0.002 0.020  0.002 0.034  0.004 0.028 0.002 藤川・城東五丁目 五割川・笛吹川合流点⊥流  500m 蛭 沢 川 平等川御成橋下 甲処i脱水ケーキ*

羅最初澱槽

下i最終沈殿槽*

水蒙沈砂 池

Y6 Y7 Ul U2 Al A2 A3 A4 A5 Y5 公害センター焼却炉沈殿物 山梨大学下,下水道底質汚泥 湯田排水区No.111 湯 村 の 田 荒川・笛吹川合流点⊥流  200m 荒川万才橋下 〃千秋橋下 〃 ホ目J[i合流、点* ク千松橋下 市尿尿処理場脱水ケーキ* d lO.012 0.031△0.006  0.049  0.012  0.004 10.015 0,029△0.005  0.024  0.007  0.008 0.014 0.020  0.012△0.029  0.018  0.003 0.017 0.C43(⊃0.005  0.030  0.016  0.003 1.7 1.8 1.4 1.1 0,026  0.001 0.05700.001 0,028 0.001 0.027  0.002           一検 一検 一出 一出 0.0230.018 0.026(⊃0.1400.092◎0.022(⊃ 1.9 0.015 0.016  0.011△0.25◎ 0.11 ◎0.0200 0.8 0.014 0.010  0.010△0.150  0.06400.010△  0.7 0.013 0.04300.006  0.120 0.04100.0170 1.2 0.017 0.018 0.015 0.029

0.007△一せ一せ

0.010△  一    _

0.008△一ず一ず

        0.004  −   一 0.011 0.021  0.02600.20◎ 0.040⊂)0.002   1.1 0.015 0.019  0.013△0.033  0.014  0.001   1.9 0.014 0.015  0.006  0.058△0.022  0.001   0.9 0.015 0.03900.005  0.015  0.010  0.001   1.5 0.009 0.028△0.003  0.014  0.016  0.002   0.8 0.013 0.016  0.005  0.019  0.008  0.001   1.7 0.019 0.028△0.008  0.052△0.022  0.005   1.5 0.021 0.030△0.011△0.010  0.016  0.011△ 1.8 0.0150.025 0.005 0.015 0.012 0.003  1.6 0.16◎0.023  0.005  0.110 0.026△O.002   0.2 0.030  0.006 0.08700.003 0.019  0.003 0.021  0.001 0.031  0.001 0.026  − 0.023  0.001 0.031  0.001 0.04800.003 0.029  0.002 0.01500.0100 ク  ラ  ー  ク 数 L

l…2…2

0.0015 0.004  0.01   0.01   4.70 0.09   0.02   0.023  2XIO−5 (注)◎:特に多い,○:多い,△・やや多い   *これらの試料については軽元素の定性分析をした。その結果Ca, K, Cl, S等が多い(5・−2参照)

(9)

けい光X線法による汚泥中の金属の定量に関する基礎的研究ならびに甲府市内河川,下水道関係汚泥の分析例 6.結  言  (1)汚泥試料の加熱天秤実験を行い,脱水乾燥や灰化 の条件を求めた。  (2)添加実験によると元素量一強度の関係は直線的で あるが,定量元素や試料によって傾斜の同じものと異 なるものとあり,また傾斜の異なり具合などもかわ り,今後検量線法で定量する場合の研究に対し有益な 基礎資料をえた。  (3)添加実験に際して若干バラツキが大きくなるとき もあった。これは主として試料と標準溶液の混合の際 起こる標準溶液の容器への過分の付着によるものと思 われた。  (4)定量下限は元素によって異るが(3)のような問題が あったので5∼20ppm程度であった。しかし十分なけ い光X線強度があるので測定試料の調製方法その他の 改善によってさらに微量まで簡便に定量できるように 思われた。  (5)甲府市内汚濁河川,下水道,その他の汚泥中の金 属元素の概略値を求め,種々興味ある知見を得るとと もに今後の研究に対し有益な指針をえた。  なお,本研究に当り種々御協力頂いた甲府市環境部 宮沢佳輝氏に厚く御礼申し上げます。       文  献 1)M.P. Bratze1, R. M. Dograll, J. D. Winefordner:   Anal. Chem,41,713(1969) 2) T.J。 Feldman, J. A. Blasi, S. B. Smith;ibid.,41,   1095 (1969) 3) V.Stara, J. Stary:Talanta,70,341・(1970) 4) J.E. AIlan:Nature,187・1110(1960) 5) K.Govindaraju:Anal. Chemっ40,24(1968) 6)平野四蔵,深沢 力:山梨大学工学部研究報告,1,  42−44 (1950)

参照

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