身体障害者に対するプレイ・セラピーの実施とその
効用性について
著者
浜口 陽吉, 大永 政人, 土屋 正幸, 藤島 仁兵
雑誌名
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編
巻
17
ページ
21-32
別言語のタイトル
On the Effectiveness of Play-Therapy in
Disabled Persons
21
身体障害者に対するプレイ・セラピーの
実施とその効用性につV'て
On the E任ectiveness of Play-Therapy in Disabled Persons
浜 口 陽 吉・大 永 政 人 土 屋 正 幸・藤 島 仁 兵 Yekichi HAMAGUCHI, Masato ONAGA, Masayuki
TsucHⅣA and Jinpei FuJISHIMA
I.緒 言 わが国における身体障害者の数は約120万と云われている。しかち,めざましく発展していく産 業による災害や交通事故.不幸な病気による身体障害者の数は逐年的に増加こそすれ,減少の傾向 はみられない。これら障害者は社会復帰を夢みなから困難とたたかい,諸種の訓練に励んでいる。 しかし,昭和35年11月末の労働省の調査によれば 従業員100人以上の事業所の常用労働者489 万3千人のうち,身体障害者は4万3千人でその雇用率は0.82%と極めて低い率であると報告され ている。勿論国の政治・社会政簾はこれらの身体障害者に対して,よりよき方向に努力はされてい るが,現状では如何に社会復帰が困難を極めているかが稿感させられる。 なお諸外国においてia,特に第二次大戦以後積極的な理学癒法や機能訓練,職能訓練が実施され つつをって,それと併せ医簾スポーツを中心としたl)ノ、ピ))ティションも重要な治療の方法として 注目され,しかもすぐれた成果をあげていると報告されている。 II.研 究 の ね ら い 近年わが国においてもプレイ・セラピーの重要性および必要性が認められつつあるが,何等資料 にも恵まれず暗中模索の状態である。スポーツの特性は他の理学環法と異り,機械化されたもので なく,変化に営み判断と力の協調を自然の中に習得するし,諸機能の発達に著しい効果をもたらす ものと予想される。 われわれはスポーツの特性を考え.そのより効果的活用により,身体的・心理的条件の改善に如 何なる効用性が現われるかを究明し今後のプレイ・セラピーのための資料を得ようとするものであ る。 III.実 験 方 法 1.被験者の実態 被験者は鹿児島県立身体障害者更生指導所の生徒男子20名,女子18名の計38名である。本施設
は全寮制皮で奉って,刻印・時計・ラジオ,テレビ・洋服・洋裁・靴の六つの科に分かれ, 1年間 職業指導を行うことを目的としているが一部の者には機具による機能回復訓練も実施している。 年令は15才から36才までと年令の広がりは大きいが, 19才以下の者が60%あって活動欲求の盛 んな年令層の者が多いと云えよう。障害発生時期は11 %の先天性のものの他57 %の者が小学校入 学前に身体を操っている。障害程度を医師の診断によって分類すると,運動自由34%,軽運動可24 形,要注意24%,運動中止18%である。 学校時代における体育学習-の参加度合は極めて低い。殊に中学校期にこの傾向は強くなって, いつも参加したのは僅か20 %程度で奉って体育活動の経験は低いと云える。また運動会-の参加経 験も半数の者である。 スポーツに対する意欲の状態は, 「やってみたい」との関心を示した種目は,卓球・バレーボール ・ソフトボール・バスケットボールの順である。ただ問題は, 「障害の関係でできない。」と最初か ら諦めている者や「やりたくない。」と理由は不明であるが消極的態度を示している者が各8名いる ことである。 2.実 験 期 間 昭和39年9月1日より昭和40年3月10日までの6ケ月間である。但し冬休み2週間を含む。 5.実施時間と内容 実施時間は,火曜と金曜の午後3時半から4時半までの1時間とし週2時間体育学習を行わ世だ。 第1表 グルー ピ ン ググ
i ゝ\\_、_\医菩別品女 冓i
-プ\、\-、_判定\ーi 剪 ・÷:-_∴ 妬kツ 2 十3名 9 #)kツBグル十蓬:園丁lT 儺6-:
第1表に示すとおり障害程度に応じ四つの小 集団に分けた後A ・ Bの二つのグループに編成 し,特に身体状態を考慮しながら明るいのびの びとした雰囲気の中で行なうように努めた。指 導には土屋と藤島の二人が揃って行くように努 め,主としてAグループを藤島が, Bグループ を土屋が担当し,それに指導所の職員3名が暇 をみては加わわった。 実施内容は第2表に示すとおりであるが,われわれは身体障害者の取り扱いの経験もなく,殊に 医学的知識にも乏しいため,いささか不安を覚えた。従って当初の計画を多分に変更しながら推し 進めたと云うのが実状である。然し指導目標として月ごとの目標を立てたが次の二つは一貫して取 りあげた。 ○みんなが助け合いながら楽しく活動できるようにする。 ○運動技能の向上と共に身体支配能力の高まりを讃え,自分の体に自信を持たせる。 なお,運動のため身体に異状を生ずることのないように留意し,施設の働康管理担当技師の観察浜口揚言・大永政人・土屋正幸・藤島仁兵 〔研究紀要 第17巻〕 23 第2表 教 材 一 覧 表 また処置結果を聴取しては取り扱い上の判断資料とした。 4.測 定 種 目 (1)体重の毎月測定, (2)スポーツテストの実施, (3)ソシオメトリックテスト, (4)内田クレ ペリン検査, (5)スポーツに対する態度諷査 5.評 価 法 われわれは当初数多くの測定項目を設定し.運動実施の結果その変容を解明しようと試みた。し かし,運動負荷によるエネルギー代謝率の変化把握は器具の破損のため中間で中止し,自律神経系 の変化検査も時間的都合のため未実施に終わり,実際初期から末期にわたって正確に評価が行なえ たのは次の四つの項目である。 (I)毎月1回の体重測定による発達変化 (2)初期・中間・末期における体力診断テストと運動能力テストによる運動機能面の評価 (3)ソシオメトリックテストによる対人関係・集団構造の変化評価 (4)初期と末期における内田クレペリン検査による性格の評価 但し,末期における体力診断テストと運動能力テストについては,職場実習に出向の者が数名い てその者についての測定を行なうことができなかったため,全体的にその変容度を捉えることの困 難さと, 1月以降は天候に禍され十分な身体活動を行なうことができなかった点から,プレイ・セ ラピーとして取りあげることは当を得ないので 以下運動機能については初期と中間の資料に基づ き考察を進めることにする。 IV.結 果 の 考 案 学習内容が障害程度によって異り,また性差による発達の違いもあることを考慮して,グループ 別および男女別に比較考察をする。
図1体重の変化 Aゲiy-プ 龍 i ィ耳耳耳耳痔(4 嵐リ7H ツ * ネ苳佇譎 テS# 渇 手ー 噺 CR BテB C2 H咤 x ツ (僚7 440 〟. ー-一一`、.メ 4/.1./了.43.0 J40 ィ耳耳耳爾 40,7 セ一 チ 鼎2 ヌ#r Cb CRメ CB C2 Dh8b 5 ツ ダウ.7 47′ 47.チ /.iT,-一一一一.---ei:? 4/.? 一一--/ 1.体重に ついて Aグループは男女共順調な伸びを示し,運動開 始時期と終りにおいてQa.平均値で男子3.8kg. 女子2.2kgの増加が認められる。他方Bグルー プでは前者に較べ発達がみられない。残に運動開 始後1月目からBグループの男女共下降の状態を 示したことは,原因は明らかでないが運動負荷に よる精神的緊張の影響と云うことも懸念されるの で今後追求の課題とする。ただ,男子では1人の 筋萎縮症者の退化現象と女子でロイマチスによる 体重減少者1人の影響もあると云える。 個人別に見ると初期と末期の間にBグループで 男女それぞれ2例ずつの下降者がある他残りの 34名は増加している。このことによって運動の効 果を考える場合季節による変化を考えに入れねは なるまい。すなわち,運動による効果は認められるとしてもその中には環境による自然培加現象も 含まれると云うことである。 2.運動機能について 第3衰 運 動 機 能 の 変 化
堕、 「∴ 劔]
イ zr +
皮 復 演 ど び 兔r +ツ ,r -
握 刀 僭r
ノ│メ 体 前 i屈 2
ツ +イ
五走 宗睾 走び 剴 没 げ 佶ツ
"
匪 田偵" r縒 #" 69.2 0 30.8 塔B綯 R紕 92.3 0 7.7 鉄R綯 #" #" 69.2 15.4 15.4 刎 3ィ齟 鉄2纈 #2テ #2 53.9 0 46.1 i プ 傚r r + 0 塔ゅ ニツ 100.0 0 10 鉄R綯 ニツ 32 88.9 0 ll.1 都r繧 #" 87.5 0 12.5 俣モ纐ツ Xテ 4.4 33.3 22.2 都R #R B グ ル i プ 「 r + 0 田b縒 32 100.0 0 0 83,3 0 16.7 塔2 b縒 i i I ウsR蔕鳴 ニ r蔕 「 0.0 50.0 0 女 千 調 75.0 25.0 0 亦 sR #R 60.0 20.0 20.0 鉄r #ゅb B 87.5 12.5 0 都 テB #ゅb 62.5ー1 0 i37.5ii 都R #R ※増加(+).変化なし(0),減少(-)の符号で現わす。数字は%浜口揚言・大永政人・土屋正幸・藤島仁兵 〔研究紀要 第17巻〕 25 第4衰 運動機能測定値と発達壇 -ニー-\一一一一一一一一一一一一一一一一_lLv二TJAグループ 劔傳ク 著8ツ プ 性l穣一Rへ一一一歩達畳- 剩 ニ & "ヤ ツ 冓 iBII " B2-Bl 男 8 85iV" 一三∴∴ 一三三一一一単 一÷∵∴∴ min-maXi284:go 2.1 20-60' 32.6 23∼42 迭紕 "綸 "紮 10.3 0-29 2 Rメモ# 2.7 i 反復横とび(点) i 劔倆H純#3s」ヲ 絣 仁一一一-一一一一一-一一一一一一一.一一一 l垂直とび(.m) 剴3偵 #ぺ ウC 亦 t握力(kg) 剴3r縒 #BモS 3.5 15.8 ィ頸 20.3 9-41 繧 背筋力(kg) 晩ビ繧 ヨ冶 ヨ ふ # 2綯 CBz ウS 鉄偵r #rリ ウ 65.3 30-94 迭綯 M6.5 剴ゅ モRモ# 2.4 2.9 辻
∴∴∴「∴ 匡震らし(.m)min_max 6-18
34.4 12--57 r bモc2 亦 3 」 3」cモッ 縒 i50-走(秒)上in∼"maXi8.Sit.69.. 劔ll.2 8.0-ー18.3 304.4 200-385 F 紕 17.2 9.0-25.4 2 づBモ ゅ -4.0 千 min∼"maXT2.2791.3380 剴r - 走り巾とび(cm)ボール投げ(帆) 唸
Δ 蒙問メヨ
テ レ2 3」3R
.6 9.1 唐
rモ 10,5 9-ー12 絣
斜懸垂(園) 劔 千 8 85iV" Mi33.4143.9 剴 絣 24.0 B 19.3 m〟n-max 途モc ll-60 34.3 19-42 -20 リ ウc 反復横とび(点)上inTmaXl.謹7 劔5.1 b絣 2モ# 20.5 15-26 釘 垂直とび(cm) 挽 ヨニ籔ヨ 28.4 15-39 ふC 1.8 田 S#S ヲ田」」R 握力(kg) 背筋力(kg) 挽 ヨニ ヨ ー27.7 24-35 ゅ #bモ3R 1.1 " "モ# 23.0 14-ー29 纈 Mi69.7181.8 剴 " B 40.3 鼎ゅ 7.7 mln一ヽ′maX 鼎 モ テc モ b 2-50 ふSB 体前屈(cm) 蒙門Fヨ ツメ繝」 2 2 Rモ# 湯 モ モ#C 15.0 2,、}33 澱 上体そらし(cm) 挽 ヨニ簇 'ヨヨ 38.0 20-ー54 鼎2 #ふS 5.1 經 32 # モ3s#"モCB 亦 縒50m#(BJ.)= 僮:ET6iflo- 1,0 亦
亦
走り巾とび(cm) 蓼蓼蔕菱ッノ:B # S #迭 5.4 i 亦 i iM ボール投げ(m)lmin∼maX 13.0 9-ー17 2 蔦 0 澱 Bモv 7.3 7-8 亦 モ 斜懸垂(回) 又ヨテ B 蒙問ヨヨ Rモ3 涛# 3津 r綯 牝 白運動機能については,障害の関係で測定できない種目もあって, Bグループにあっては集団とし ての資料からは省略しなければならなかった。個人別にみると1-2種目について初期より僅か低 い値をしめした者もあるが運動機能を個人の身体活動能力として総合的にみた場合は男子2名の停 滞者以外の36名は向上を示したということができる。 第3 ・ 4表は学習内容が異り,必然的に運動愚においても差が生じたA ・ Bグループの両者を集 団の立場から比較したものである。これによるとA ・ Bグループ共著しい向上がみられるが向上の 度合は活動愚の大きかったAグループが大である。特に著しい発達が認められた機能は,平衡機能 ・敏しょう性・背筋力・握力・柔軟性・屈腕力である。これを学校で体育活動を行なう全日制高等学校 生徒の1年間の発達盤から3ケ月経過後の発達塾を推計し,比較してみると第5表のとおりになる。 第5表 高校生との3カ月間の発達愚比較 男 子 校 生 ;障 年I 3 カ 月1 3 3.5kg 1.0kg 15. 3.5 2.4cm 2.9 0. 女 子 高 放 任 1障 害 者 ?カ」Llj_カ_早 】 §Tm i i・.5.Em 12.1 ※障害者はAグループ 学校時代80 %の者は体育学習-参加しなかった本実験の被験者達は,卒業後も恐らく運動生活か らは遠ざかっていたであろう。そのような人達に運動による発達刺戦を与えた結果は僅か3ケ月に して驚くべき効果をみるにいたった。すなわち働康者としての高校生の発達軽に較べボール投げを 除き,他の種目は働康者の2-5年間の発達に匹敵する増加を示した。前述のとおり敏しょう性・ 瞬発力・筋力・柔軟性・走力等の機能の高まりの顕著さが認められる。 然し障害者の機能が果してこのような向上率を保ちながら,運動実施期間中は発達して行くかと 云うことは疑問で奉る。今まで内蔵されていた機能が刺戦によって発達の芽を急激に伸ばし始めた のであって,やがて-走の水準に達するとその速度は弛くなりやがて停滞するであろうことが予測 される。ここで云えることば 障害者達は機会が与えられれば十分伸ばすことが可能な機能を持ち ながら,周囲の人々の理解の欠如と自己の消極さから不幸にもその芽を伸ばすことができなかった のである。同時に「不能動性萎縮」の原則からして活動しなければ退化現象を示すことば 本実験 後半の1-3月の間天候に禍され,殆ど室内ゆうぎに終始したBグループの者には 中間の能力よ り幾分下降を示す傾向が認められた。 2-AのH君は成熟に遷した者であってAグループに属し積極的に運動に参加した。従って背筋 後 置 体 り 一 反垂背抵体上50走ボ懸 象 7 5 7 7 T g b S R 力 屈 し 走 び げ 垂 と ら と 段 目 横 筋 前 そ m 巾 ル 高 回 . m k g k g 詰 秒 m m 8 一 3 -5 0 1 3 2 -0 8 1 2 0 3 1 2 0 8 1 1 -一 2 2 回 . m 6 8 0 0 。 m m . m m ・ 4 8 0 6 0 0 6 0 害 刀 6 . 4 8 者 : 局 回 c m k g k g 。 m 秒 c m m 年 回 詩 語 . m 秒 . m m 回 8 8 8 9 9 3 1 6 3 6 1 0 4 一 〇 0 1 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 k g k g c m C m C m m 回 6 3 3 5 2 1 2 1 2 1 0 . 4 一 6 1 4 二 3 1 5 0 7 k g k g m c m 秒 c m 回
図2・個人の発達事例(男子) (2-A)K同氏男子2拐 -1回四 一一一一一2目白 図十運動能力 50伸長 -1回回 ?(華)一一一一一2田宮 午 IO ll 12 1 2汚 K8 54 5'3 52 51 0 _図工企圭__
星図
図3・個人の発達事例(女子) (3-C)T略せすうI末 (ら-D)YMK華子16才 藤を伺)塑±童童重出
I向日 一一---2回E7 a lo II I2 I 2月 ? 10 ri 12 I 2Fl' 4才時関節炎 右下肢不自由 片方松葉杖使用 中学時代体育 学習は時々参加 運動学習には極めて熱心 でバレーボールも片手で うまくできるようになっ た。 バランス(秒) 敏しょう性と筋力の高ま りが著しい。 先天性内反足 3才頃より身体支配に不 自由(面上下肢) 学校時代体育学習には不 参加 運動学割ま自分で適宜調 整し長くやらなかった。 走力の高まりが著しい。 12才時せき椎カリエス せき柱野博し,医師の診 断は軽度の運動なら可 中学時代体育学習は時々 参加 運動学習には極めて熱心 フリーテニスの技能が特 に向上 致しょう性・走力・筋力 の高まり著しい 2才時小児マヒ 両下肢障害で全身 ロイマチスの傾向あり, 医師の診断は運動中止 学校時代体育学制こは不 参加 卓球やバトミントン等や り過ぎるので絶えずコン トロールした。 機能の高まり著し, 背約力(樵) 薄口駆出・*・,i(薄>・i駒自尊・親郭日加 ︹蟄薄謡蝿 戦]7瞭︺ 27力において31kg,反復横とびで6点,懸垂3回からの向上を示した。この場合バランスの測定は60 秒で打切りとしだ。本人が片棒薬杖使用と云う身体状態を克服して努力した結果は走力や平衡機能 の高まりも認められ,体重の増加も伴い身体に十分の自信を持つにいたった。 2-BのI君は先天性の面上下肢の障害者で, Bグループに属した。やや消極的で運動学習は時 間の半分参加するかしないかの状態で他は傍観しがちであった。その結果はH君程の上昇は示さな かったが,本人が最も困難視していた走力に著しい向上が認められ自信を抱いたことは幸せといえ よう。 3-CのN子は31才と云う年令であってAグループに属し, H君同様積極的に参加した。年令的 差のためか当初集団からやや拒否される傾向にあったが運動学習により,性格も明るくなり集団に 受け入れられるようになった。既に発達停止年令に近いと云うものの.積極的な活動によって著しい 向上を示したことは比の年令層でも末だ発達可能な機能が残存されていると云う良い事例である。 3-DのM子はBグループに属し,両下肢不自由且つロイマチス症状からの運動中止を犯して積 極的に参加した。懸垂の不変と測定不能の50m走の種目が奉るが前記のやや消極的なI君に較べ 向上著しいものが奉った。 結局意欲が積極的であるか否かその度合が,自己の能力をどれだけ高めることができるかと云う バロメーターでもあると云う点から,学習意欲の喚起が特に重要と云えよう。 5.性格 に つい て 第6表 ク レペリン検査による性格変化
∴∴∴∴∴ 剽ヌ変化 兔
嶌,
R
悪変化ー 佗b
備考
子吉「∴: 名 1 土kツ l套i 亦 kネ イ " 実習のため2名欠 ・言∴∴言 i 5 B 1 湯 同上5名欠 - i F 151 48.41 B CR 2! 6.5【 3 計i% 第7表 初期と末期の各段階人員 ミニー__時期 段∴一一、一一一 階-寒撃 倬隸「 ihッ「 I(%fi% i a′126.5 a′f9-29.0‥9i29.0 b′f鶉,諦 4 8 6 1
"纈
R繧 免 紕 2
i 汁 i 31 註 欠席者7名内訳a′1, a'fl, I(A) 1, i(B) 1, d3
性格的には分裂気暫・閉塞・劣等型の者が多い といえよう。知能的にも普通の下以下の者が38名 中22名の58%を占める。従って自己の生活を知 的判断の上に立って改善して行こうとする動きは 乏しい。性格が多少なりとも望ましい方向-の変 化を示した者が48 %程度は見られるが,永年の間 に個性化されているものを短期間内で変えて行く と行うことは至難のことと云える。然し彼等の寮 制度からくる集団の雰囲気と運動生活で経験する 行動のしかたは,僅かながらも性格を望ましい方
浜口揚言・大永政人・土屋正幸・藤島仁兵 〔研究紀要 第17巻〕 29 向へ変容したことがうかがかえる。 ただ,此処に悪変化を示した二人の原因については追究し,今後の方策-の資料としなければな るまい。 4.約人関係について 第8表 初期ソシオメトリックマトリックス 班 剴B 劔劔劍8 劔劔劍x 「 劔劔/ 劔 炅 G早 舟 汁 ? 劔劔剪粐粐粤b粐粐粐 劔劔劔F驗 ネ ネ蒔X 「 劔劔胆 I ラ 釘 チ 澱 ク 睦r ? イ I/ 版「 3 S 澱 / 4 I ● ツ ○ ツ 薬 ● ● 薬 イ ツ 0 之 ツ ● ● ツ イ 澱 a j ツ ツ 帝Eb 0 ∠( ● 薬 \ ● r イ D 6 ツ ○ イ イ 汁 × * メ × × r チ 6 ● 薬 ● 薬 r I ク 薬 ● イ イ × ° 迭 I 8 イ 茶 ° ツ 亳 ツ イ 澱 .Z 9 ° 偬 義 イ イ r ら /○ ツ 宙 メ × イ × 浮 r I /I イ ツ × ● 浮 r 3 /之 ツ ○ イ ○ メ 浮 釘 ら 3 /う ● ツ ● ツ ● ツ (3 薬 ● 湯 0 /〟 ツ ● ● ● (⊃ リ," 0 /ケ ツ ● ツ ツ 釘 0 /ち ツ ● ツ イ ● 辻 (ブ ノウ ツ ツ ツ 0 ′8 ツ ● ° \ ● ° 薬 イ 0 /? ツ ツ ツ 0 ◆ イ ● ツ メ 浮 イ ○ I ?I ● ツ × ● ● イ × ○ イ - 汁 X 湯 6 22 ● ツ ° 0 23 ● イ o イ ○ 薬 亦 0 24 ツ ● ツ \ イ 薬 H ツ 0 Z 冽 " ナ「 チ 0 26 * ○ 偬 鎚 白 44 _2ク リ," 0 28 × イ × 浮 梯 1 27 リ," 0 jo 〟 3I ツ a jZ イ JO 33 浮 × 宙 イ ツ ユ / 俚 R 14 ツ ⊂) X × ○ 午 ーケ ° ○ 偬 × イ ° 薬 メ j うら イ ○ イ 0 寂 赦 ら 睦 ク ラ / / 途 唐 タ 3 釘 2 2 / ケ 釘 3 艇5 棲排卵駄 剴 0 白 之 白 迭 0 白 0 梯 0 / / イ / 白 4 0 白 / 3 / 」" 52 相互g宋 剪 4 白 白 Z 梯 / I 4 3 白 0 C 唐 〟 唐 0 e 田" 利互胱4- 剴 0 0 0 I 白 I 0 0 C C 0 澱 0 0 0 梯 0 釘 Ss£ 剪 / 湯 8 2 9 唐 尼 3 澱 2 5 3 箔C2 【巷).l3尊37I印lJT?.季生徒を表490_ O LJ選択 X Is 排fT ● lg相互要釈 義は相互排午
第9表 末期ソシオメトリックマトリックス 樺`3氷 劍x 劔劔劔劔劔劔 r 定8 劔 剔I 釈 汁 倅 b ヘ R 金 策 ャセ ツ 劔劔劔劔劔劔 假ノ]5 .r 劔儉 A ク ′0 白 9 白 6 佑" i ● ( 8 ● ツ フ ● クツ ● I ツ ● ツ 6リ7R ● 9/ ツ● ツ ● ツ ● ● 4 釘 ク ● ● ● メ ● ツ メ o o X イ ° メ o ○ /.Z . ツ \ 亳 ● イ ● ● ツ ツ .× ○ イ ° リ," ○ イ o ○ イ 0 薬 くつ リ," ○ 22 定+イ /0 ● ツ イ ● ° L5 / ツ ● ツ \ ツ 0 薬 ○ ′7 9 弔 ツ ● ツ イ ● o 薬 ○ ○ ク I/ ツ ● ツ ● イ 劔 S 34 辛 ● イ 亦 ツ () ツ イ く) 汁 浮 ○ 一一 イ 26 ツ 薬 曝 ツ ツ ? 梯 ら ツ ● 薬 () イ ○ ○ ,. /2 ツ イ ● × × ∋ r _グー ツ ● × * イ 3 ● ツ ● r (⊃ / ツ ● 薬 ● ● ツ ● ● ツ e ∠三_ 卒 ノダ ツ ツ ● ● う0 X ツ ● ツ ツ o ○ × イ 8 宝" I ツ ツ ● くく 韮 22 ツ ° イ ツ o イ ● ° a 窒 9 イ ツ ● ● ° S 2/ イ o ツ ● ツ o イ X ° ♂ 抱7B ′ イ e ツ ● リ," ツ イ -7 23 ツ ° ツ ツ く) (⊃ ° o . リ7b ノう i ツ ● ○ 0 メ 6- jl イ io ツ ツ ら- ノ櫨 イ o 薬 ● イ ° ● 薬 ● 窒 ° // B 4 ツ ⊂) 亦 薬 ○ ○ ○ 6 ′ケ (⊃ 亦 ● _.2 メ 3 r 27 亦 ● o 1 白 4, ツ I 2 冽 ,r 褒2 3 亦 a 白 _フグ o イ o 、∋ a X 浮 浮 X 弔 ° メ / 停 2 a \ メ 0 :i L9 29 .) I R 7 .? 乏 32 0 澱 渡欧卦 剩 4 ¢ 1 釘 0 唐r ク 澱 e 迭メ 佻 5 b I ク 白 ク 幡ツ 0 ′8/ 板塀中計 剪 I 梯 0 白 I 6 0 梯 0 I 0 C 0 ユ 白 0 梯 午 白 0 薬 0 0 0 梯 " 相互選択 劍6 4 4 ? .Z 2 唐 タ 7 ラ エ 帝Eb ス 白 / 白 I 0 0 0 0 aiL 亙初市 剴 a 0 C I C C Q 0 0 0 0 乏 e 0 梯 C 0 a C 白 0 2 S.ら.ら 剴 ? 唐 8 佇 0 3 ? 尼 ラ ,7 ク 鳴 3 b ? 梯 ′2 僂 40 第8・ 9表はソシオメトリックテストを行い,マトリックスを作成したものである。 このマトリックスからうかがえることは, (1)下位集団の構成が変化し,男女混合の下位集団ができた。すなわち初期には異性間の選択や 相互選択は殆どなかったが末期にはふえている。 (2)排斥数が初期52から末期は32と非常に減少している。 (3)周辺児や孤立児が可成り減少している。 (4)下位集団のスターについてみると地位がそれぞれ変ってきた。 例えば初期における13番生や2番生はその地位を失い, 16番生や10番生が下位集団の上位 を占めるに至っている。
浜口陽吉・大永政人・土屋正幸・藤島仁兵 〔研究紀要 第17巻〕 31 (5)初期には被排斥数の多かっだ8番・ 9番・27番生等についても後期には僅か1と云う排斥 数を留めるようになり,好ましい対人関係に変容している。 以上の結果から集団は心理的構成が密になり,望ましい集団-移行していると云えよう。ただ, 厨辺児や孤立児が幾らかあることは,年令的幅の広さにも起因しているようにも察知される。 次に集団得点は.初期に10.9で後期には13.7と進歩し,凝集性においても0.098より 0.127と 可成り好ましく発展していることが認められる。 以上対人関係は妬ましい方向-高まったと云える。 5.スポーツに対する意識・態度 第10表は,末期におけるスポ ツに対する一般的態度をみた ものである。男女両者共に高い 好意的態度がみられるものに, 身体的面では「危急の場合・・・・・・ 役立つ」 「感覚を鋭敏にする」, 綺神面では「気分転換によい」, 社会的面では「娯楽として価値 がある」,性格的面では「人間性 を盟かにする」 「明朗にする」 等の項目があげられ,スポーツ に対する宜しい理解や態度がみ られる。 Ⅴ.結 論 38名の身体障害者を対象とし て,約6ケ月間実施したプレイ 第10表 スポーツに対する態度 ⊂身 体 的 項 目〕 1・スポーツは感覚を鋭敏にする。 2・スポーツは身体の一部を異常に発達させる。 3・スポーツは健全な心身の発達をさまたげる。 4・スポーツはは寿命を短かくする。 5.スポーツは危急の場合身を守るのに役立つ。 1.スポーツ 2.スポーツ 3.スポーツ 4.スポーツ 5.スポーツ 1.スポーツ 2.スポーツ 3.スポーツ 4.スポーツ 5.スポーツ 〔縞 神 的 項 目〕 は気分転換によい。 は人を単純にする。 は学力を低下させる。 は人を感激させる。 は考えない人間を作る。 〔社 会 的 頭 目〕 は都会人に必要である。 は人をだ落させる。 は娯楽である。 をやるには金がかかる。 は規律のある生活をさせる 〔性 格 的 項 目〕 1.スポーツは無鉄砲な人間 2.スポーツは人間性を豊か 3.スポーツは人を明朗にす 4.スポーツは女性を男性的 5.スポーツは人間を野蛮に i 21 12 0 6 53 53 0 0 47 59 0 - 0
紬等
・セラピーによる結果を集約すると次の三つに整理できる。 1.運動機能では,平衡機能・敏しょう性・筋力・柔軟性・跳躍力・屈腕力に著しい発達がみら れる。殊に運動生活に殆ど親しまなかった障害者に残存されている機能の発達は,健康者に較 べ初期の段階においては,驚くべき増加最を示した。 2.性格の変容は幾らか認められたが,永い間に個性化されたものを変えることには困難なもの があり.況して短期間の実験からは結論を下すことはできない。 3.対人関係では,集団として一応望ましい発達を示した。ただ,集団の年令構成に起因すると 思われる周辺児の問題が残されている。 る る る o 作す○する をにるにす 7760(8) 4 3 1 5 ー 2 2 0 5 6 ⋮ 8 1 ( 3 8 n V 0 6 〇 〇 一 〇 0 2以上身体障害者に対するプレイ・セラピーの効用性は十分奉るとその価値を認めてよいと考える。 VI.反 省 I ・障害の部位および程度による個人差が著しいので集団内における個人指導を重視する必要が ある。更に如何に憲欲を喚起しながら興味づけて学習を推進して行くか指導法の研究を進めて 行かねはなるまい。 2.個人指導を主として行くためには,必然的に指導者や施設・用具の数が要求されてくる。個 々人の身体並びに性格を把握し,その推移を継続的に観察し治癒して行くためには小集団を担 当して行く集団専属の教師が望ましい。 3.医学的知識の不足は,実施の途中において常に不安を覚えた。医師との連繋の必要を感ずる。 4.この指導に対する被験者の意見聴取の結果,約50%の「もっと内容を考えて欲しい」という 回答が現われた。正にその要望のとおり内容が貧弱であった。初めての経験のこととて試行錯 誤的に行った初年度であったが,その中から得た貴重な経験と資料を次からの指導に生かして 行くことを銘記したい。更に短期間の実験でなく,長期にわたる実施の結果から残された幾ら かの問題を解明したいと念っている。 参 考 文 献 1)九州大学体育学研究 第3巻2号 昭和39 藤本英雄,他 非行少年に対する体育セラピーの実験 精神病患者に対する運動旗法についての実験 2)九州大学体育学研究 第3巻3号 昭和40 藤本英雄,他 リ-ビリティションにおけるプレイ・セラピーの効用性 3)身体障害者スポーツ 中村.佐々木 南江堂 昭和39 4)リハビリティション 天児,中村 南江堂 昭和39 5)矯正体育J・し,ラスボン馨1959年 飯塚,池田訳 昭和36