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巻頭言 : 〈小特集を組むにあたって〉「暴力からの人間存在の回復」研究会 ワークショップ「現代思想と物質性」

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Academic year: 2021

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97 「暴力からの人間存在の回復」研究会 ワークショップ「現代思想と物質性」

〈小特集を組むにあたって〉

「暴力からの人間存在の回復」研究会

ワークショップ「現代思想と物質性」

人文科学研究所政策重点研究プロジェクト「暴力からの人間存在の回復」 研究会では、2014 年 10 月 12 日(日)、午後 2 時より、末川記念会館第三会 議室において、「現代思想と物質性」をテーマとしたワークショップを開催 した。このワークショップのコーディネートは同プロジェクトの研究分担者 である横田祐美子氏(立命館大学大学院文学研究科博士後期課程 2 回生)が 行い、企画立案、提題者とコメンテーターの選出、依頼など、開催に向けて の実務を行った。 コーディネーターの横田氏による、このワークショップの趣旨文の一部を 以下に引用する。 「私たち人間にとってモノとは、私たちを取り巻き、私たちに働きかけ るものであるのと同時に、私たちがそれを作り出し、また私たちがそれ によって形作られているところのものです。これはすでに哲学史におい て様々な角度から取り上げられてはきましたが、近年盛んに論じられて いる技術論や身体論では勿論のこと、主体と客体、人間と知の問題にお いても重要なファクターとなっています。したがって、本ワークショッ プではこの物体・身体・物質といったものに関する問題を三者三様の視 点から現代思想のうちに見出し、物質性についての議論の豊かさを示す ことでその重要性を捉え直すことを目的としています。」 このような趣旨のもと、発表者として、大家慎也氏(神戸大学大学院/日 本学術振興会)、黒岡佳柾氏(立命館大学非常勤講師)、横田祐美子氏の三名 による発表が行われ、それぞれにコメンテーターとして、本田康二郎氏(金

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98 立命館大学人文科学研究所紀要(105号) 沢医科大学講師)、柿並良佑氏(立命館大学講師)、小野文生氏(同志社大学 准教授)がそれぞれの観点から発表者への質問と討議を行った。ここに掲載 された論文は当日発表された内容をもとにしたものである。 大家慎也氏の論文「技術の媒介と人間の自由」は、モノやテクノロジーが 倫理的主体としての人間に及ぼす影響を考察し、それらの「媒介的役割」を 考慮に入れることで、人間の自由の制限や人間集団の統治技法としてのモノ やテクノロジーの側面を描くと同時に、倫理的主体性のあり方そのものにモ ノやテクノロジーが関与するものであることが主張されている。 ついで黒岡佳柾氏の論文「受難にさらされた身体―ハイデガーと身体問題 ―」は、ハイデガーにおける身体の問題の射程を扱いながら、ハイデガーの 現存在分析が「死すべき身体」という概念を含みうること、また身体と技術 との関わりから、身体の「集−立」「徴用」という観点から身体が論じられ うること、最終的には「受難」にさらされる身体という視点から脱−固有化 の問題をナンシーの身体論と比較することによって明らかにしようとして いる。 横田祐美子氏の「唯物論としての内的体験」は、バタイユの「内的体験」 における「未知のもの」が、形相−質料という伝統的区別以前の「生ける物 質」として解釈されうることを示し、それがアナクシマンドロスのト・アペ イロンのような、「アルケー」としての無限定であるような物質性として理 解されうることを示した。この論文は、バタイユの「物質」概念を解釈する ことで、古代ギリシア以来の射程の長い哲学史的な議論の中にバタイユ思想 を位置づける試みであると言える。 それぞれに重厚で濃度の高い発表に対して、各コメンテーターからは鋭い 質問が寄せられ、予定時間を大幅に超過して白熱した議論が展開された。聴 衆も若手研究者を中心に 20 名を超える参加があり、今後このような若手研 究者がコーディネートするワークショップを企画することにより、当研究会 の研究を発信し、研究のネットワークを広げていきたい。

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99 「暴力からの人間存在の回復」研究会 ワークショップ「現代思想と物質性」 ワークショップ開催にあたって、準備をしてくださった人文科学研究所の 中島久美子氏に御礼を申し上げたい。 2015年 2 月 「暴力からの人間存在の回復」研究会代表 加國 尚志(立命館大学文学部教授)

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