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<課題研究報告>防災ガバナンスのアクターとしてのコミュニティ再生問題に関する単元開発 : 高等学校地理A「自然災害と防災」,「地域の地理的諸課題と地域調査」単元を通して(2012年2月19日開催)

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Academic year: 2021

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(1)

『社

第24

号 2012

(p.120-121)

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A 国家スケールが他のスケールをコントロール してきた時代が終わり,国家の有する領域的政 治権力の再スケール化か重要な問題である。そ の中で,コミュニティは,弱い普遍主義と弱い 文脈依存性を特徴とする重層社会における中間 組織である。つまり,地域には様々な考え方の 人たちが住んでおり,異質な者が集まって地域 社会(コミュニティ)を形成している。そのた め,コミュニティを再デザインしようとする時 には,異質な者どうしがコミュニティの形成者 であることを前提としなければならない。 B 時間(テーマ)コミュニティは比較的強い結 びつきを生み出す。空間コミュニティは,緩や かな結びつきを生み出す。人口構成の変化で, 地域(空間)への密着度が相対的に上がる。つ まり,コミュニティの変化には,少子高齢化等 に伴う長期的なものと,災害等に伴う急激なも のとがある。長期的なトレントの中で,急激な 変化が起こったときの再生問題やコミュニティ 問題そのものを対象とする。 C 地域の包摂力は,時間(テーマ)コミュニティ -吉 水 裕 也 (兵庫教育大学) への参加度で表すことが可能である。 D ガバナンスは,当該集団の構成員がアクター となって,規律を重んじながら目標に向かって 意志決定や合意形成を行いつつ円滑な運営を図 ることであり,状況依存的で再編途上にある制 度編成である。阪神淡路大震災など,近年発生 した大災害は,その後のコミュニティ再生に関 して,多くの失敗と成功の双方の事例を提供し た。コミュニティが,状況依存的で再編途上に ある制度編成である故,その中で成功事例をモ デルとして来るべき災害や長期的なコミュニティ の変化に対応できるケースのモデルを検討させ ることが重要である。 E 復興コミュニティ論では,地域の復興に関す る総論に時間をかけて議論することが重要だと している。総論を議論することは,事前復興と いう概念を含んで既に実践されている。 F 復興コミュニティ論では,各論での議論とし て,地域の実態にあわせて,仮設住宅のレイア ウトや間取りを考えるなど,直接的な利害関係 を含んだ事柄が対象となる。 これらの知見をもとに,高等学校地理歴史科地 理Aの学習であることを踏まえ,コミュニティに 関する基本的な理解と,コミュニティ再生の成功 モデルのケーススタディを行った成果を,空間の 問題として表現する学習展開と含んだ単元プラン を作成する。 本研究では,平成2工年版高等学校学習指導要領 地理Aの内容構成に基づき,中項目匚自然災害と 防災」および匚地域の地理的諸課題と地域調査」 を連続,地域に見して実践する単元モデルられる地理的諸課題をを作成す「 ̄防災ガバナる。その 120−

(2)

ンスと地域コミュニティ問題」として,防災をテー マとしたガバナンスの視点を組み込んだ単元を設 定することとする。単元目標と単元の展開の概略 を示す。 @単元名:防災ガバナンスと地域コミュニティ問題 @単元目標: ・ 日本にはどのような災害が発生しており,そ れらの災害に対して,国や地域がとってきた対 策の実態とその理由がわかる。 ・ 身近な地域には,どのようなテーマコミュニ ティがあるのか調査をとおして,地域の包摂力 の大きさが推測できる。 ・ 身近な防災関連施設の分布やデザインは,地 域の特性に基づいて決まっていることがわかる。 ・ ガバナンスとは,集団の構成員が主体となっ て,規律を重んじながら目標に向かって意志決 定や合意形成を行いつつ円滑な運営を図ること であり,状況依存的で再編途上にある制度編成 であることを知る。その上で具体的な事例につ いて,資料に基づいて議論しようとする。 e単元の構成(全25時間) 第1次:災害と防災史(10時間) ○日本の災害と防災史(5時間) ・日本に起こった災害 ・日本の防災対策 ・災害からの復興 ケーススタディ:石巻モデルの事例 ○身近な地域の災害と防災史(5時間) ・地域に起こった自然災害 ・地域の防災対策 ・地域における災害からの復興 第・地域防災に2次:地域の防災上の課題ついての学習課題(5時間)設定 ・学習課題をもとにした調査計画設定 ・フィールドワーク(地域の課題,人口構成や 分布などの調査) 第・防災ガバナ3次:地域の課題を整理するンスの実態 (4時間) ・防災ガバナンスとしての地域コミュニティの 再生要件一成功例をもとに考える一 第4次コミュニテ:防災ガバナンスのアクターィ再(6時間) としての地域 ○事前復興について先進的な例(ケーススタディ)

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甚大な被害を与える自然災害の場合,防災コミュ ニティが防災ガバナンスとして機能すれば復興が 早い傾向がある。そこで,本研究では防災コミュ ニティの理想を防災ガバナンスと位置づけた。そ れはルフェーブル(Lefebvre, H.)が,空間の生 産に関わっては,空間の表象,空間的実践,表象 の空間という3つの空間次元が必要であると主張 することとも関連している。防災ガバナンスは, コミュニティと行政を緩やかな対立軸と捉えなが らも整合させることを志向する。しかし,その形 は定まっておらず,様々な地域の実情に合わせて 変化するため,一定の枠組みで理想の形を捉える ことが難しい。そのため成功例をケーススタディ し,身近な地域と比較しながら,復興を民主的に 議論する場を授業の中に設定することとした。こ の姿勢が防災ガバナンスのアクターの要件となる と考えたからである。 防災ガバナンスのアクターを養成するために, 社会系教科では,成功例のケーススタディをとお して得られた知見を用い,復興の総論と各論を論 じる機会を与える。これらにより,社会系教科の 授業が,主体つまりアクターをはぐくむコンテナ となり得るのではないか。 <参考文献> ・広井良典(2009)『コミュニティを問いなおす一つな がり・都市・日本社会の未来』ちくま新書, 292p. ・三浦展・藤村龍至(20n)『3・11後の建築と社会デ ザイン』平凡社新書, 252p. 121−

参照

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