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地球環境と高温燃料電池

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Academic year: 2021

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(1)横浜国大環境研紀要17:53−62(柑9り. 地球環境と高温燃料電池. High−TemperatureFuelCells forBetterGlobalEnvironment. 田川 博章・水崎純一郎*. HiroakiTAGAWA andJunichiro MIZUSAKI* Synopsis Severalproblems for the globalenvironment are reviewed and discussed,in. particular on the reduction of carbon dioxide emitted into the atomosphere by COnSuming fossilfuels.As one of methods for mitigatinglnCreaSein the atomos− Pheric carbon dioxide concentration,fuelcells haveノbeen ofinterest from the Standpoint of high energy conversion efficiency.In this work,the objective and PreSentStatuS Of R&Din fuelcells are shown,in particular for SolidOxideFuel Cells(SOFC),from thestandpointofmeterialsscienceandtechnology.The princi− Ple,Cellmaterialsandthe fuelcellsystem are described.. 地表については. 1.はじめに一地球規模の環境汚染 大気中の二酸化炭素濃度の増加,熱帯林の減少など, いくつかの地球環境の指標に異常と思われるような現. 象が観測され,指摘もされるようになってきている。 これは,従来の時系列の指標の延長上にあるが,地球 規模の環境汚染として無視できないはどの大きさになっ. たという理解と,オゾンホールの出現のように新たに. ・植物分布 海洋については. ・海水温 ・海水面上の気温 人間活動については ・化石燃料使用量. などがあり,この外汚染に関係する指標はかなりの数. 発見された現象もあって,現在,何が異常なのか,ま. にのぼる。地球環境の指標の多くは,19世紀半ばから. た人間活動の影響がどの程度なのか,その規模につい. 精度は別として統計資料があり,また推定もなされて. ては明確ではない。しかし,これらの指標から見る限. いる。これらの資料を用いると,疫学的にその相互関. りなんらかの手段を講じる必要があるように思われ. 係を検討することができる。例えば,気温一CO2濃度一. る1 ̄5). 化石燃料使用量の相互関係である6)。. 。. 大気,海洋,地表などの地球環境の指標として観測. さて,現在問題とされている地球環境の汚染には,. されているものには,. 表1に示すような項目が指摘されているが,これらの. 大気環境については. 汚染の起源を遡ると,人口の増加問題とエネルギーの. ・大気温度. 消費量の増大の問題になる。前者は主として発展途上. ・二酸化炭素濃度. 国における問題であり,後者は主として先進技術国に. * 横浜国立大学環境科学研究センター汚染拡散学(環境エ ネルギー科学)研究室. DepartmentofEnvironmentalEnergyScience InstituteofEnvironmentalScienceandTechnology Yokohama National University (1990年12月17日受領). おける問題である。 ここでは,エネルギーの大量使用により引き起こさ. れる地球規模の環境問題を解決するために,とりあえ ずはエネルギー変換効率を向上させることを取り上状 変換効率向上の1つの手段として高温型燃料電池の研.

(2) 54. 表1現在問題とされている地球環境の汚染 原 因. 汚染の種類. 予想される結果. オゾン層の破壊. フロンガスの使用. 大気中二酸化炭素濃度の増加 酸性雨. 化石燃料の大量消費 化石燃料の大量消費. 熱帯林消失 砂漠化 海洋汚染. 木材の大量使用・焼畑農業 気候変動と人為的な活動 浄化の緩衝能力の低下. 紫外線の増加・生態系の変化 地球の温暖化 森林破壊・湖沼生物の死滅 緑地の減少・砂漠化 無生物化 海洋生物の減少・死滅. 究開発の状況と課題について述べる。なお,燃料電池. ければならないであろうし,そのためには化石燃料の. に関しては多くの総説・解説7 ̄13)があるので,詳細は. 利用効率を高めるための一層の努力が必要になる。. これらを参照されたい。. 2.地球環境と燃料電池開発の意義 2.1.化石燃料システムの見直し エネルギーの消費量は,測定が行われるようになっ. 2.2.エネルギー変換効率の向上. 先進技術国では,全エネルギーに占める電気エネル ギーの割合が高く,この割合は益々大きくなる傾向に ある。わが国では,この割合は40%を越える。従って,. た少なくとも19世紀の半ばから,多少の変動はあるも. 化石燃料を電力へ変換するための効率をいま以上に向. のの増加の一途を辿ってきた。特に,第二次世界大戦. 上することは極めて重要な課題になる。火力発電の熱. 後のエネルギー消費量の増加は著しい。. 効率は,在来の発電機では40%以下であるが,最新鋭. 大気中の二酸化炭素濃度の増加も,エネルギー消費. 火力発電と呼ばれる複合発電システムでは40%を僅か. の傾向と密接な関係にあるように思われる。エネルギー. に越えるようになった。しかしながら,これ以上の熱. 消費が大気中の二酸化炭素濃度の増加につながるので. 効率の向上は技術的に難しいといわれている。. はないかとの危惧は,すでに19世紀末にはArrhenius. 火力発電におけるエネルギー変換は,図1に示すよ. らによって指摘されていたが,当時のエネルギー消費. うに,多段で行われる。エネルギー変換のたびにエネ. 量は現在のそれに比較すると10分の1以下であった。. ルギー損を生じるので,段数が多くなるほど総合効率. 19世紀半ばからの二酸化炭素濃度の増加のすべてが化. が低下する。特に,熱エネルギーの機械エネルギーむ\. 石燃料の消費によるものとは思われないが1),現状を. の変換では,高温熱源の温度と排熱の温度によって効. できるだけ維持しようという地球環境の保全の立場か. 率の最大値が決まるので(カルノー効率),熱エネル. らも,また化石燃料を永い期間にわたって使用すると. ギーを経由する変換は得策ではない。火力発電では高. いう資源保存の立場からも,二酸化炭素の人為的な放. 温部が5500cであるから,計算によると最大効率は64. 出量を極力下げる努力が必要であると思われる。それ. %になる。. には,現在の化石燃料を主体としたエネルギーシステ ムと消費のあり方を検討し直さなければならない。. 大量に使用され,地球環境に大きな影響を与えると される化石燃料の消費の見直しとしては 1)エネルギーの利用効率の向上:これによって,. 発電効率を向上させるためには,変換段数を少なく. する必要がある。その方法のひとつとして,化学エネ ルギーを直接電気エネルギーに変換する方法がある。 これが燃料電池であり,変換効率が高く,変換段数も. 少ない。この観点から,燃料電池は古くから研究が行. 必要とするエネルギー量を維持しながら二酸化炭素の. われてきたが,実現に至らなかった。原型は1839年の. 発生量を減少させることができる。. Grove卿の発表に遡る。第二次世界大戦後,宇宙船. 2)化石燃料以外のエネルギー資源の開発:原子力,. アポロに燃料電池が登載されたことは,実際研究に携. 太陽エネルギーの開発などがこれに相当する。前者は,. わる関係者以外にも燃料電池への関心を高めることに. 開発のための社会的コンセンサスが現状では世界的に. なった。民生用の電力を燃料電池で供給するための研. 得られ難く,また後者の自然エネルギーの利用は,気. 究は,1967年からアメリカでTARGET計画(Team. 象の安定性,低密度エネルギーの収集法,大規模収集. ofAdvanceResearchforGas Energy Transfor−. による環境の新たな破壊などに問題がないわけではな. mation)として発足した。これは,現在,世界的に. い。新しいエネルギー資源の開発が進み,これが大量. 研究開発が行われている燃料電池計画の囁矢となった。. に利用できるようになるまでの間,化石燃料を使わな.

(3) 55. 効率=. ×0.9. ×(j.64×().80. ×0.95=().44. 匿= 火力発電のエネルギー変換過程と効率. 2.3.エネルギー変換効率の向上と環境問題 それでは,エネルギー変換効率を向上させることは,. 2.4.電力貯蔵と燃料 エネルギーの使用には,季節変動と,日変動とがあ. 環境にどれだけの効果をもたらすものであろうか。現. る。季節変動とは年間を通してのエネルギー使用量の. 在,エネルギー変換機器・機関として用いられている. 変化であって,特に夏と冬のエネルギー需要が高く,. ものの変換効率は. 春と秋には使用量は少ない。また,一日を通して昼間. 内燃機関+発電機. 20∼25%. はエネルギー使用量が多く,夜間は需要が小さいとい. ディーゼル機関+発電機 25∼35. う変化があり,これが目変動になる。このため,発電. ガスタービン+発電機 15∼25. 容量は,年間を通して最大値に,さらにゆとりも持た. 蒸気タービン+発電機 30∼42. せて設定される。. 周期的に変わる電力消費の日変動と季節変動,特に. などである。. 火力発電の電力への変換効率は40%であるが,この. 目変動を平準化できれば,すなわち,消費量の少ない. 値は,化石燃料を燃焼させ,その燃焼熱(燃焼のエン. 夜間の電力をなんらかの方法によって貯蔵し,これを. タルピー)を最大限に絞り取った結果であって,排熱. 昼間に使用すれば,発電設備を年間の最大値に設定す. の最高温度は1000cにも満たない。従って,これ以上. る必要はなくなる。例えば,夜間電力を用いて水電解. の熱利用はできない。残りの60%のエネルギーは環境. を行って水素を製造し,昼間にこの水素を用いて燃料. に放出される。これは,ある量の電力を作り出すため. 電池などの方法によって発電を行うならば,新しい貯. に2.5倍の化石燃料が必要になることを意味する。も. 蔵・発電システムとして位置付けすることができる。. し,エネルギー変換効率の高い変換機関があれば,こ. 大規模な水素の製造,利用は,クリーンエネルギー. の状況はどのように変わるであろうか。例えば,エネ. として開発が進められている水素エネルギーシステム. ルギー変換効率が60%の燃料電池を用いるなどして,. の一環でもある。また,太陽エネルギー,地熱,風力. 同じ電力を得る場合を考える。この場合には同じ1の. などの自然エネルギーの利用には,主として電力に変. 電力を得るために1.67倍の化石燃料を使用すればよい。. 換してから用いるので,貯蔵システムとして,あるい. 結果として,エネルギー消費量は0.83だけ節約になり,. は輸送用の媒体として,水素を考えることができる。. これはもとの化石燃料を33%減らしたことになる。こ. 電気エネルギーへの変換の手段として,燃料電池の利. の割合だけ,環境へ無駄に排出するエネルギー量が減. 用が有効と考えられる。. 少し,二酸化炭素,硫黄・窒素酸化物の放出量も同じ. ように減らすことができる。従って,エネルギー変換 効率を高めることは,単に燃料の節約に留まらず,環. 境問題としても,きわめて意義のあることになる。エ ネルギー消費の問題は,まさに環境の問題である。. 3.燃料電池とは 3.1.いわゆる「電池」と燃料電池との違い マンガン乾電池,鉛蓄電池などの通常の「電池」は. 反応物質を内蔵しているので,回路を閉じると直ちに. 表3 エネルギー変換効率の向上による化石燃料の節減量 変換効率 発電量 必要とする燃料量(A) 節約量(B) B/A 現行火力発電方式 高効率発電方式. 40%. 50 60 70. 0.5. 20. 0.83. 33.2. 1.07. 42,8.

(4) 56. 化学反応が起こり,電気エネルギーを発生する。規模. 電池の種類を表すのに電解質の名称が付けられている。. が小さく,輸送可能な,可搬形電池が主である。. 一ヽ 作動温度が異なり,それぞれ,190,650,1000℃であ. これに対して燃料電池は,燃料(水素)と空気(酸. る。各種燃料電池は開発途上にあるので,構成材料,. 素)を反応装置(電池)内に供給することによっては. 機能などは現段階では確定したものではないが,想定. じめて発電する。従って,燃料電池は電池の名称で呼. される用途,供給規模とともに一覧を衰2に示す。. / 現在,開発が積極的に進められている燃料電池の中. ばれているが,実際には化学発電装置であって,反応 が電池反応(電気化学的)であることから電池と呼ば. で,MCFCとSOFCは,作動温度が他の燐酸型,. れる。燃料としては,水素,一酸化炭素,炭化水素が. あるいはアルカリ型,固体高分子電解質型などの燃料. 対象になるが,現段階での開発には水素が用いられて. 電池よりも高いので,高温型と呼ばれる。高温燃料電. いる。石油,石炭,あるいは天然ガスを用いるときに. 池では,電気化学反応,材料の化学,燃料の種類と処. は,水蒸気改質を行って,これら炭化水素を水素に変. 理に関する考え方に共通するところが多い。全ての燃. えて使用する。. 料電池に共通することであるが,特に高温型では,高 いエネルギー変換効率を得ることと材料の耐腐食性が. 3.2.高温燃料電池の開発の意義. 重要な課題になる。開発目標として,次の項目が掲げ. 現在,わが国においてムーンライト計画によって積. られている。. 極的に開発が進められている燃料電池は,燐酸型. (D負荷状態において高い電流密度が得られるること. (PAFC,PhosphoricAcidFuelCellsの略称),溶. (高性能化). 融炭酸塩型(MCFC,Molten Carbonate Fuel. ②長期間の使用が可能なこと(耐久性の向上). Cells),固体電解質型(SOFC,Solid Oxide Fuel. 溶融炭酸塩型燃料電池と固体電解質型燃料電池材料の. Cells,訳語からは固体酸化物燃料電池が正しい呼び. 本質的な違いは,作動温度がそれぞれ650 と10000c. 名である)の3種である。使用する電解質(イオンの. であるため,前者の電解質が液体であることに対し,. みを通し,電子は通さない)の種類の違いから,燃料. 後者では固体のセラミックスになることである。. 表2 各種燃料電池の構成材料と機能,用途・供給規模 燐酸型 構成材料 電解質 支持体 水素極 酸素極. H3PO4. 溶融炭酸塩型. (Li,K)2CO3. 固体電解質型. SiC/テフロン樹脂 γLiAlO2 Pt/C Ni+10wt.%Cr. (Zr,Y)02 (Zr,Ca)02,A1203 Ni+(Zr,Y)02. Pt/C. (La,Sr)MnO3,LaCoO3. C. NiO SUS310S,SUS316. 燃料. H2. H2,CO. LaCrO3,La(Cr,Mg)03 H2,CO,CH4. 酸化剤. 空気. 空気+CO2. 空気. セパレーター. インタコネクター. 単セルの形状と集積法 平板積層型. 平板積層型. 円筒集合型(モジュール). 平板積層型 作動状態における燃料電池の条件 運転温度(℃). 160∼190. 600∼700. 圧力(atm). 常圧∼10. 常圧∼10. 電流密度(mA/cぱ),0.7V200 不純物管理CO 硫黄化合物 熱効率(HHV,%). 900∼1000 常圧. 300 〈1000ppm. 燃料として燃焼する 恐らく影響はない. 〈1ppmH2S. 50_60. 40. 用途・供給規模. 現在の製作規模(kW) 4,500→11,000. 10,25−→100. 3,20−→25,100. 予想される発電所の形態 分散配置型. 大容量火力代替型. 分散配置型,. ボトミングサイクル. 大容量火力代替型 蒸気タービン,ガスタービン 蒸気タービン,ガスタービン. 熟併給.

(5) 57. 3.3.固体電解質型燃料電池に関する関心. 高温燃料電池の中でも,最も高い温度において作動 するSOFCは,発電効率が高いことと,高温の排熱 を利用して汽力発電などを行うことが可能であるため, 近年,とみに国際的な関心が高まってきてい. る。1989. 年にはSOFCに関する国際会議がアメリカH)と名 古屋15)で開かれ,いずれも30件を越える発表と多数 の参加者があった。これがきっかけとなって,SOF Cに関する国際会議が,日本,アメリカ,ヨーロッパ において隔年に開催されることになっている。また,. (Ni+YSZ) 電解啓(Lao.9Sro.1MnO:i) (ZrO2・8moI%Y203). 1990年には燃料電池セミナーがアメリカ,フェニック スにおいて開催され,世界中から500名以上の参加者. 電極での反応. 2H2+202 ̄→ 2H20+4e▼. があった16)。. 02+4e ̄−→202 ̄. 4.燃料電池の原理と端子電圧 図2 燃料電池の原理 4.1.作動原理. 燃料電池は,単位の反応器(単セル,あるいは単電. △GOfから決められる。10000cでは理論起電力は0.91V になる。. 池と呼ぶ)を直並列に接続して高電圧・大電流を取り. 出す。単セルの構造は,図2に示すように,電解質の. も両面に電極を接合し,一方の面に燃料室を,他の面に. 2H2(g)+02(g)= 2H20(g) 且the。r= −△GOf/4ダ. は空気室を設けて,それぞれに燃料と空気を供給する。 燃料の酸化反応は,燃料極と酸素極とに分けて行なわ. ダはファラデー定数(6×1023個の電子の電気量に対. れ,反応に関与する電子の授受は電極にて行われる。 燃料電池の理論起電力且the。rは,水素の醸化反応. 応する定数),(g)は気体の状態を示す。. 水素,酸素の反応は,単セル[燃料極,H2(H20). (1)式をもとにして,水の標準生成ギプスエネルギー. 電解質 l酸素極. 水素極l. 燐酸型 ∼1900c Pt/黒鉛. Pt/黒鉛. 2H十+1/202+2e ̄→H20. H2 → 2H++ 2e ̄. 溶融炭酸塩型 ∼650℃ Ni. 炭酸塩. NiO. (Li,K)CO3 H2+CO32 ̄一ナH20+CO2+ 2e ̄. ←CO32 ̄. l/202+CO2+2e ̄→CO32 ̄. 固体電解質型 ∼1,000℃ Ni+(Zr,Y)02. 安定化ジルコニア (Zr,Y)02. H2+02 ̄→H20+ 2e−. ←0巨. 図3 燃料電池の原理. ペロブスカイト型酸化物 (La,Sr)MnO3. 1/202+2e▲→02 ̄. (1) (2).

(6) 58. /電解質/02,酸素極]の各電極において行われる。. 端子電圧且。utは(9)式で与えられる。. 燃料(水素)極における反応は,電解質中を通過して. E。。t=Ethe。r−i(Ra+Re+Rc+7?a+7?c). きた酸化物イオンと電極室内に導かれた水素とが,電 極/電解質の界面において反応し,(3)式に従って水. (9). 蒸気と電子になる。水蒸気は未反応の水素とともに系 外に,電子は外部回路へ送られる。. ここで,王はセル中を流れる電流の大きさ,月a,月e, 月。は,それぞれ水素極,電解質,酸素極のオーム別. 2H2+202 ̄・→ 2H20+4e ̄. (3). による電気抵抗,符a,乃。はそれぞれ水素極/電解 質,酸素極/電解質の界面において起こる電極反応に. 酸素極では,水素極で生じ外部の抵抗を経由してき. よって生じる分極抵抗であって,この抵抗による電圧. た電子と,電極室に導入される酸素とが(4)式のよう. 降下は過電圧と呼ばれる。一般に,過電圧は,電極の. に反応し,酸化物イオンに変わる。. 電流密度(単位面積当りの電流値,反応速度の電気的. 02+4e ̄→ 202−. (4). 表現)が大きくなると増大する傾向にある。これらの 抵抗による電圧降下の結果が単セルの端子電圧になる。. 式(3),(4)の和は,水の生成反応になる。PAFC,. 従って,電極・電解質材料の電気抵抗と両電極の過電. MCFC,SOFCの各燃料電池では移動するイオン. 圧を小さくすることは燃料電鱒の性能の向上につなが. の種類と電極における反応が異なるので,これを図3. るので,開発上重要な因子になる。. 電池の性能は,電流密度と端子電圧の関係から評価. に示す。. 固体電解質型燃料電池の原理は,酸素の濃淡電池で. される:近似的に電流密度が零において0.91Vを通る. ある。反応のギプスエネルギー△GOf,すなわち電池. 直線になる。現在,端子電圧0.7V,電流密度として. の起電力は,具体的には両極の間での酸素の化学ポテ. 200mA/cⅡfが得られている。端子電圧と電流密度と. ンシャル〟(02)の差として与えられる。. の関係は一般に図4のようになる。実用的には,単セ. ルを直列・並列に接続して電池システムに組むが,単 セル間の接触抵抗も無視できない大きさになる。積層. 4月tbe。rダ= 〟(02,酸素極)−〟(02,水素極)(5). 化にともなう単セル間の抵抗月sによる電圧降下につ 酸素極側の酸素分圧をp(02,酸素極),燃料極側. 僧. いても図4に示した。. の水素の分圧,水蒸気の分圧をそれぞれp(H2), p(H20)とすると,酸素極,燃料極における化学ポ テンシャルは ∬. 〟(02,酸素極)=月rlnp(02,酸素極) (6) >. 〝(02,水素極)=月rlnp(02,水素極). \. 出 し′. 紳. =△GOr+2月で1n(b(H20)/p(H2)], 水素極)(7). 源. 理論(開放)起電力ガthe。rは,次のように書き換え ることができる。. l. 電流密度/A・Cm ̄1. Ethe。r= −△GOf/4ダ. 図4 燃料電池の放電特性. ー月ア/4ダ1nb(H20)2//旬(H2)2p(02)] (8). 4.2.単セルの機能 単セルの起電力は(2)式で与えられる。電池自体が 内部に電気抵抗を持つため,実際に月文り出せる電圧,. すなわち端子電圧は理論値よりも低くなる。単セルの. 5.電池の構成 5.1.材料の種類と性質 固体電解質型燃料電池の製作にどのような材料を用.

(7) 59. いるかは,単セルの幾何学的な構造とその集合の仕方 と関係する。主要部分はセラミックスであるが,電池 の収納容器材料,構造材料には金属・合金の使用も検 討されている。表2には,現在,候補とされる材料の 一覧も示してある。 電池材料の種類,機能,開発上の課題をまとめると 次のようになる。. (1)固体電解質:イットリア安定化ジルコニア. (ZrO2.8mol%Y203,YSZと略称)が用いられて いる。導電率が比較的小さいので(10000cにおいて 10 ̄1scm ̄1),薄層にする必要があるが,機械的強度 が小さくなるので,支持体を用いるなど成型に技術的 工夫を要する。 (2)酸素極:酸化物以外に適当な材料が見いだされ. ていない。導電率が金属に近い値を持ち,熱膨張率が 電解質のそれと近く,かつ電解質と反応し難い性質を. 欄涌掴】). インタコネクタ 接続部 インタコネクタ 電解質/. 軟料称 、 空京陸. H2. 支持管. 持つ酸化物として,ベロ●ブスカイト型酸化物があり,. (). Ni. La。.,Sr。1MnO,とLaCoO3(導電率は102∼103 Scm ̄1)が使われている。焼結が比較的起こり難い. (A)円筒型(Westinghouse社製の場合). 少という特徴がある。 (3)燃料極:水素との親和性,導電性の高い材料と して多孔性ニッケルが選ばれ,焼結を防ぐためにYS Zを混合して用いている。 (4)インターコネクター:水素,酸素の両ガスを隔 離するセパレーターとしての機能と,単セルを電気的 に直列・並列に接続するための機能が必要である。ペ. ロブスカイト型酸化物LaCrO3,La(Cr,Mg)03が 使われているが,焼結・成形が難しいので,LaCrO3 を基本にした材料の改質研究が行われている。 5.2.燃料電池の構成と成型 単セルは上記の各材料を集合体になるように成型加. 工する。幾何学的な形状について多くの提案があるが, 円筒状と平板状に大別できる。さらに,各材料の電気 抵抗を極力小さくするために,薄層化する必要があり,. (B)平板型概念図. 図5 固体電解質型燃料電池の構造. 機械的強度を持たせるために支持材料を用いることも. ある。従って,燃料電池の製作の考え方として (円筒型,平板型)×(自立膜型,支持膜型). それ以外の材料は気相析出法(EVD)によって薄層. の組合せができる。. につくる。外径約13mm,電池としての実効長は360. 5.2.1.円筒型. cd)である。図6にWestinghouse社製の単セルの. mm(1本の出力は約20W,電流密度約200mA/ Westinghouse社が開発を進めている型式は,図5. 電流密度一端子電圧の関係を示す。なお,Westing−. (A)に示す円筒1端封じ管型であって,1本が単セ. house社では有効長500,1000mmの単セルも試作. ルとして作動する。多孔性の安定化ジルコニア. している。単セル管内部に空気を,外側に燃料を流す。. (ZrO2・11mol%CaO,CSZ)管の外面に酸素極/. 電気的接続は,単セルを3×6の直方陣に配置し,イ. 電解質/水素極を接合する。酸素極はスラリー塗布法,. ンターコネククーとそれに隣接する反応管の水素極と.

(8) 60. をニッケルフェルトによって直列に,この方向と直角 に水素極同士をニッケルフェルトを用いて並列に接続 する。大容量化は,単セル管の実効長を長くし,管数. 0 1 0. 5.2.2.平板型. 雫. 醐. >≡\︰コ冒卜碧. を増やすことによって行う。. 平板型の電池では,単位体積当りの電力密度を円筒 m. 型よりも大きくすることが可能になる。平板型の概念 を図5(B)に示す。電解質板の片面に酸素極を,他. 100. の面に水素極を焼結して単セル板とし,インタコネク. 200. 300. 電流密度/mAc心 ̄=. ターを用いて何段にも重ねた構造にする。3積層の単 セルの製作法は,各材料をグリーンシー. トとし,これ. 図6 固体電解質型燃料電池の電流・電圧曲線. を重ね合わせて焼結する方法,電解質板の両面に電極. Westinghouse社製円筒型単セルの1例. 材料を溶射,あるいはスクリーン印刷する方法などが. 燃料:H2+CO,. 検討されている。現在,正方形あるいは円板状の単セ. 燃料利用率:85%. ルの大きさは,1辺あるいは直径が50∼100mmで. 010000c, △9500c, □9000c. ある。容量を大きくするためには,単セルの面積を大 燃料は,水素が基本である。水素顔として天然ガス,. きくすることと,積層数を増やす方法による。. なお,単セルの形状に関係なく電池製作の上から共. あるいは石炭ガスなどの炭化水素を使用することもで. きる。PAFC,MCFCでは,これらのガスを水蒸. 通的に考えられる課題として次の項目がある。 ①酸素極,電解質,水素極など各材料の熱膨張率の. 気改質(水蒸気を用いて炭化水素を水素に変える反応). したのち電池に導く。SOFCでは,電池内部におい. 違いをどのように制御するか, ②固体電解質の薄板の機械的強度を大きくするには. ても炭化水素の水蒸気改質が可能である。 電池の排ガスは,出口温度が850ないし 900℃であ. どのようにすればよいのか,. ③集合体と電池の収納容器との間のシール,特に水. る。これをアフタバーナーを用いて加熱し,ガスター. 素/酸素の隔離をどのようにするか,. ビンあるいは蒸気タービンを作動・発電させ総合発電d. などである。. 効率を高めることが可能になる。複合発電プラントの ブロック図を図7に示す。. 自然エネルギーは,多くの場合電力に変換されるが,. 5.3.燃料電池システムの構成 単セルの集積によってつくられた燃料電池本体を発. 供給の平準化と貯蔵のために,水電解によって水素を. 電装置とするために,燃料製造,排ガスの利用・処理. 製造・貯蔵し,必要なときに燃料電池を用いて発電す. などを備えてシステムとする。. るシステムが考えられる。. 図7 複合発電プラントのブロック図.

(9) 61. 4)燃料(メタン)の内部改質:電解質の付着によ 6.研究開発の状況13 ̄17). るNi/MgO触媒の活性低下。 5)電極反応機構:電極設計上の基礎資料になるが,. 6.1.MCFCの研究開発の状況と課題 6.1.1.構成材料. 明かではない。. 現在用いられている材料を表2に示したが,若干の 補足を加える。. 1)電解質:溶融状態の混合アルカリ金属炭酸塩. 6.2.SOFCの研究開発の状況と課題 6.2.1.開発目標. SOFCの研究開発の目標も,MCFCと同じく,. (Li,K)2CO3,あるいは(Li,Na,K)2CO3を用いる。 (Li,K)2CO3中のLi2CO3の割合は62mol%であ. 大容量化,高性能化,長寿命化である。いずれも密接. る。純粋の各炭酸塩Li2CO3,Na2CO3,K2CO3 の. な関係のもとにある。. 電池本体の大きさは,単セルをどのように集合・集. 融点は,それぞれ 720,840,899℃であるが,混合 塩を用いることによって融点を下げる効果を生じる。. 積するかの技術によって決まる。集積の仕方には幾何. 電解質を保持するために焼結したLiAlO2板が用い. 学的な要素が大きいが,それを支えるものは材料の固. られる。. 有の性質(電気的,電子的,化学的,機械的)が大き. 2)酸素極:多孔性のNiOを用いる。使用中に電. な役割を果たすので,これを明かにすることが電池設. 解質のリチウムが固溶してLixNil_Ⅹ0._ノ2の状態に. 計の基礎になる。電子セラミックスの成型加工は,材. 変わって機能する。. 料の特性を把握することなしにはスケールアップがで. 3)燃料極:多孔性の金属ニッケル,あるいはコバ. きない。. 高性能化には,電流密度を大きくするための電極の. ルト,マグネシウム,アルミニウムなどの金属を添加 少したものが用いられる。. 4)セパレータ:ステンレス鋼(SUS310S,SUS 316)が用いられている。. 微細構造の設計が必要になる。その要件は,内部抵抗 と過電圧を下げること,反応界面を大きくすることな どである。電極反応は,現在までの研究では電極/電. 解質/気相の3層界面において起こり,電極の厚さは 6.1.2.研究開発の状況と課題. それはど重要ではないという結果が得られている。. わが国におけるMCFCの開発は,ムーンライト計. 長寿命化は,電極材料自体の焼結を防ぐこと,電極. 画のもとに進められている。10KW級(電極面積. 材料と電解質の反応が起こらないような条件と材料を. 3,600cポ程度)の開発に段落がつき,現在25kW級. 選ぶことによって達成が可能になる。電気化学の分野. (電極面積1Ⅱf程度)の実験が進められている。これ. では,基礎研究の結果がそのままスケールアップに利. は,いずれは100,1000kW級の開発につながる筈で. 用できることが多い。スケールアップの目標を単に電. ある。アメリカでは,DOEとEPRIの主導のもとに. 池容量・規模の大きさのみに設定することは得策では. MCCorp.が200∼1,000kWを目標に,IFCは電極. ないように思われる。. 面積 8ft2の25kW電池の連続運転を行っている。 MCFCについては大容量化の開発が進められてい. 大容量化,高性能化,長寿命化のための材料の研究 開発,システム化の検討目標をまとめると,. るが,高性能化,長寿命化には,いくつかの基本的な. 問題,特に材料の問題が未解決のまま残されている。. 1)電流密度(反応速度)の増大:反応界面に多量 の反応体を供給するための電極の構造と形態など 2)過電圧を下げるための方法:材料の選択と電極. すなわち, 1)電解質の組成変化と消失:水素極,あるいはセ. 触媒の探索など. パレータ中の構成成分の一つであるクロムとの反応,. LiCrO2の生成によるLi/Ⅹ比の変化,ハウジング. 3)電池特性の経時変化の原因:電極材料の焼結防 止と,電極材料と電解質との両立性など. 4)電池の構造と構成:円筒型・平板型,自立膜型・. 材の腐食による電解質の消失,酸素極への電解質の偏 析,などがある。. 支持膜型,全セラミッLクス型,金属との複合型 5)電池の材料と構成:材料の熱膨張率の整合性な. 2)酸素極の電解質への溶解:材料の改良,新材料. の探索が行われている。電解質へのアルカリ土類金属 の添加も検討されている。 3)燃料極:溶出したニッケルが燃料極付近におい て還元析出し電気的短絡の原因となる。. ど. 6)電極材料の製造・成形法:プラズマ溶射,CV D,EVD,スラリーコーティングなど 7)構造材料の成型法:押し出し成型,静水圧加圧.

(10) 62. 成形,スリップキャスティングなど 開発上の要点を材料の面からみると. 1)電解質:当面の材料はYSZである。薄膜化が 研究の関心事である。. 2)酸素極:La卜ySryMnO3MXなどの酸化物の不 定比性・熱力学的性質,電解質との両立性,電極反応. 機構と過電圧の低減化,新材料の探索など。 3)燃料極:電極反応機構と過電圧の低減化,Ni /YSZ サーメットの電気化学的性質など。. 引用文献. 1)W.Bach,J.PankrathandJ.Williams,’’In− teractionsofEnergyandClimate’’,D.Reidel. Pub.Co.,Dordrecht(1980). 2)W.Bach,A.J.Crane,A.L.Berger and A Longhetto,’’Carbon Dioxide− Current. ViewsandDevelopmentsinEnergy/Clima− teResearch’’,D.ReidelPub.Co.,Dordrecht (1983).. 6.2.2.研究開発の状況−3 ̄け) 固体電解質型燃料電池に関する基礎研究は20年前か. ら行われ,電池構成についても多くの提案がある。わ が国における研究開発の状況は,基礎研究は主として 大学において行われ,文部省の重点領域研究にも取り 上げられている。国立研究所(電子技術組合研究所, 化学技術研究所)では開発のための基礎が研究対象に. なっている。開発は国のムーンライト計画の経済的支. 3)WilfridBach,”OurThreatenned Climate”, D.ReidelPub.Co.,Dordrecht(1984). 4)気象庁編,異常気象レポート,89−その実態と見 通し(Ⅳ)−,pp.433,大蔵省印刷局(1989).. 5)環境庁編,平成2年度版環境白書総説,pp. 222,大蔵省印刷局(1990).. 6)田川博章,水崎純一郎,「大気中の二酸化炭素濃 度,地球の平均温度,化石の使用量の相互関係. 援のもとに進められているが,独自に研究開発を進め. について」,横浜国大環境研紀要,16,55−68. ている企業体も多い。発電規模は,円筒型では1kW. (1989).. 級の発電装置がつくられているが,平板型では1kW. 7)高橋武彦,「燃料電池」,共立出版(1984).. 級(電極面積100cぱ程度)の開発が進められている。. 8)笛木和雄,燃料電池開発の現状と将来,ソーダと. 世界では,Westinghouse社(アメリカ)が基礎 研究から開発までを含めて最も進んだ状況にある:特. 塩素,183−197(1986年,5号) 9)水崎純一郎,燃料電池,「エネルギー変換技術」,. に1981年に新たな概念の円筒型SOFCが発表され,. エネルギー変換懇話会・日本科学技術振興財団共. 出力3kWの発電装置が1987年東京ガスと大阪ガスに. 編,p.95,東京電機大学出版会(1987).. おいて,4000時間以上も運転された。現在,20kWの. lO)高橋武彦,燃料電池の現状と問題点,エネルギー・. 発電装置が運転中であり,わが国に向けての25kWの 装置が試作中である。ヨーロッパ共同体では,1987年. にSOFCの研究開発が発足し,ドイツをはじめとす る幾つかの国で研究開発が行われている。. SOFCの用途は最終的には大規模用発電装置であ るが,オンサイト型設備としての機能も有する。出力 密度の高い電池の設計も可能であって,輸送用,特に 宇宙ステーション用としての研究開発が行われている。. SOFCの研究は,エネルギー変換効率の向上を目 的として始められたが,今や地球環境の保全と,化石. 燃料資源の保存のために,成功させなければならない 技術のひとつであるように思われる。実用化のための 課題が解決されながら,10年後には100kWないし 1MW級の発電装置がっくられるような状況下にあ る。. d. 資源,10[6],495−501(1989). 11)N.Q.Minh(高橋武彦訳),モノリス固体酸化物 燃料電池,電気学会誌,109−10(1989),826. 12)水崎純一郎,固体電解質燃料電池一基礎と材料技 術−,電気学会論文誌,110A,221−230(1990). 13)田川博章,固体電解質型燃料電池,日本機械学会 誌,94[1],81−85(1991). 14)S.C.Singhal,ed.,Proc.1stInt’1Symp.Solid. OxideFuel℃ells,Proc.Vol.89−11,PP.397, Electrochem.Soc.(1989). 15)0.Yamamoto,M.Dokiya and H.Tagawa, ed.,Int’1Symp.Solid Oxide FuelCells,. pp.286, ScienceHouseCo.,Ltd.(1989)・ 16)Proc.1990FuelCellSeminar,held on Nov. 25−28,1990,at Phoenix,Arizona,pP.531 (1990).. 17)(社)日本産業機械工業会,昭和62年度次世代高 効率発電システムの石炭ガス利用調査研究成果報. 告書一国体電解質型燃料電池分科会,(1988)..

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参照

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