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投資信託の収益分配金の仕組み

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Academic year: 2021

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(1)商経学叢. 第59巻 第1号2012年7月. 投 資信託 の収益分配金 の仕組 み ー ー. ノ. 八 洲 雄. 口 概要. 公 開 型 投 資 信 託 の う ち定 期 分 配 型 投 資 信 託 の 収 益 分 配 金 の 仕 組 み につ い て 分 析 し,投. 資 元 本 の一 部 解 約 に伴 う特 別 分 配 金 の 合 法 性 に つ いて 論 じた。 と くに,投 (投資 信 託 の締 結)及. び 第19条(投. 資 信 託 の解 約 等)は,特. 資 信 託 法 第4条. 別 分 配 金 が 違 法 配 当 に な らな い. た め の 構 成 要 件 で あ り,毎 月 分 配 型 投 資 信 託 の 仕 組 み の 中 心 とな る法 規 定 で あ る。 一 般 消 費 者 が 毎 月 分 配 型 投 資 信 託 を 競 って 購 入 す る背 景 と,投 資 信 託 法 の 投 資 家 保 護 の 理 念 の 不 備 に つ い て 明 らか にす る。. Abstract which aims. A good these. investors. to analyze. the dividend by the return. キ ー ワー ド. many. private can. receive. the open-end. policy. which. of paid. investors monthly. investment. consists. in capital. buy today cash trust. of special and dividends. open-end. dividends.. in Japan. distributions payable. investment. trust. Why. This. so ?. and to demonstrate or extraordinary to private. paper against. dividends. investors.. 毎 月 分 配 型 投 資 信 託,特 別 分 配 金,投 資 元 本 の 解 約,元 本 払 戻 出 資 金. 原 稿 受 理 日2012年4月24日. from.

(2) 第59巻. 第1号. 問 題 の 所 在. 最 近 の 新 聞 報 道 に よれ ば,投 資 信 託 の 投 資 家 の う ち6割 以 上 が 毎 月 収 益 分 配 金 を 受 け取 る こ とが で き る契 約 型 投 資 信 託(委 託 者 指 図 型 投 資 信 託)を 購 入 し,投 資 家 の 中心 は定 年 退 職 者 や 高 齢 者 の 一 般 消 費 者 で あ る と い う。1990年 代 に始 ま る政 府 の 実 質 ゼ ロ金 利 政 策 に 伴 って,「 預 貯 金」 か ら 「投 資 」 へ の ラ イ フ ・ス タ イ ル の ス ロ ー ガ ンの も とに,一 般 消 費 者 は,預 貯 金 に よ る財 産 形 成 を や む な く断 念 し,専 門知 識 の な い個 人 投 資 家 と して,金 融 ・ 証 券 市 場 へ 参 入 す る こ とを 余 儀 な くされ て い る。 定 期 分 配 型 投 資 信 託 は,1997年. の改正投. 資 信 託 法 に よ って 制 度 化 され て 以 来,一 般 消 費 者 を 投 資 信 託 へ 誘 う有 力 な 金 融 商 品 と して 急 速 に拡 大 して い る。 と くに,毎 月 収 益 分 配 金 の 支 払 いを 約 束 す る契 約 型 投 資 信 託 は,投 資 信 託(フ. ァ ン ド)の 設 計 主 体 で あ る と 同時 に信 託 財 産 を 運 用 す る委 託 会 社 が 信 託 財 産 の. 運 用 に失 敗 し当期 に損 失(赤 字 決 算)を. 出 した場 合 で も,信 託 契 約 で 約 束 した 通 り,受 益. 者 は毎 月 収 益 分 配 金 を 受 け取 る こ とが で き る。 しか し,会 社 法 や 企 業 会 計 の 視 点 か ら見 る場 合,毎 月 分 配 型 投 資 信 託 は,月 次 決 算 ご と に剰 余 金 の 分 配 可 能 額 の 範 囲 を 超 え て 収 益 分 配 を 実 施 す る点 に お いて,他. に類 例 を 見 な い. 金 融 商 品 で あ る と い って も過 言 で はな い。 剰 余 金 の 配 当 は,会 社 法 や 企 業 会 計 原 則 に定 め られ た会 社 実 務 に した が う場 合,会 社 法 や 企 業 会 計 原 則 に お け る資 本 取 引 と損 益 取 引 の 区 分 の 原 則 を 遵 守 して,債 権 者 保 護 と株 主 保 護 の 利 害 対 立 を 調 整 す る た め,剰 余 金 の 分 配 可 能 額 の 範 囲 内で 剰 余 金 を 分 配 す る処 理 に 限 定 され て い る。 これ に対 して,毎 月 収 益 分 配 金 を 受 け取 る契 約 型 投 資 信 託 は,本 稿 の 分 析 か ら明 らか に な る よ う に,委 託 会 社 が 月 次 決 算 に お いて 欠 損 金 を 計 上 す る場 合 に,投 資 元 本(払 込 出資 金)の 取 得 原 価 か ら当期 損 失 相 当額 を 減 額 す る形 式 に よ り,投 資 元 本 の 一 部 払 戻 金 を 原 資 とす る収 益 分 配 を 実 施 す る。 本 稿 は,問 題 の 所 在 と して,何. ゆえ に定 期 分 配 型 投 資 信 託 が 有 力 な 金 融 商 品 と して 普 及. したの か,そ の 直 接 的 な 要 因 と投 資 信 託 を 支 え る法 律 ・会 計 制 度 につ いて,株 式 法 と企 業 会 計 の 視 点 か ら検 証 す る こ とで あ る。 本 稿 の 目的 は,月 次 決 算 ご と に分 配 金 を 支 払 う投 資 信 託 の 背 景 につ いて,投 資 信 託 法 及 び投 資 信 託 計 算 規 則 に基 づ く合 法 的 実 務 を 分 析 す る と と も に,毎 月 分 配 型 投 資 信 託 に お け る 当期 損 失 計 上 時 の 分 配 原 資 が 委 託 者 の 投 資 信 託 の 一・ 部 解 約 に よ る 出資 金 の 払 戻 しで あ る こ とを 明 らか にす る。 -26(26)一.

(3) 投 資 信 託 の 収 益 分 配 金 の 仕 組 み(川. 1投. 口). 資信託の関連会社の業務. 投 資 信 託 は,信 託 契 約 型 投 資 信 託(委 託 者 指 図 型 投 資 信 託)と 投 資 法 人(会 社 型 投 資 信 託)の2つ. に区 分 す る こ とが で き る。 欧 米 の 投 資 信 託 が 会 社 型 で あ るの に対 して,わ が 国. の 投 資 信 託 は,そ の ほ とん どが 信 託 契 約 型 投 資 信 託 で あ る。 契 約 型 投 資 信 託 は,法 人 格 の な い金 融 商 品 と して 取 り扱 わ れ る た め,根 拠 法 の 投 資 信 託 法 と金 融 商 品 取 引 法 の 規 制 ・監 督 に したが う金 融 ・投 資 の 部 門 領 域 で あ る。 投 資 信 託 は,委 託 者 が 投 資 信 託 約 款 に掲 げ る一 定 の 信 託 の 目的(特 定 の 信 託 の 設 計 に よ り達 成 す べ き信 託 の 目標 で あ り,受 託 者 の 運 用 指 針 とな る信 託 の 目標 を い う)に. した が っ. て,信 頼 す べ き受 託 者 に,金 銭,有 価 証 券 その 他 の 財 産 権 を 移 転 し,信 託 財 産 の 名 義 人 に な っ た受 託 者(信 託 銀 行)は,委. 託 者 の 信 託 目的 と運 用 の 指 図 に した が って 信 託 財 産 の 管. 理 ・運 用 を行 う制 度 で あ る。 投 資 信 託 の 制 度 は,こ れ を 根 拠 付 け る制 度 的 理 論 と して,信 託 財 産 の 管 理 ・運 用 ・収 益 分 配 を 行 う導 管(パ. イ プ ラ イ ン)で あ る と い う信 託 導 管 論 に. よ って 合 理 づ け られ て い る。 この た め,信 託 契 約 型 投 資 信 託 は,法 人 格 を 与 え られ な い単 な る金 融 商 品 と して 位 置 づ け られ,剰 余 金 の 分 配 政 策 に対 す る個 人 投 資 家 の 関 与 を 首 尾 一・ 貫 して 排 除 す る形 式 で 投 資 信 託 独 特 の 会 計 処 理 と収 益 分 配 を 行 って い る。 投 資 信 託 制 度 が 信 託 導 管 論 に立 脚 して 単 な る金 融 商 品 と して 存 立 す る限 り,個 人 投 資 家 の 保 護 は,名 目上 の 役 割 しか 果 たせ な い よ う に思 え る。 投 資 信 託 は,原 則,投 資 信 託 法 と委 託 会 社 の 信 託 約 款 に基 づ いて,投 資 信 託 委 託 会 社, 受 託 会 社(信 託 銀 行),受. 益 者 の 三 者 か ら構 成 さ れ て い る。 た だ し,委 託 会 社 が 投 資 信 託. の 募 集 ・販 売 を直 接 行 わ ず 外 部 の 第 三 者 に委 託 す る場 合 は,銀 行,証 券 会 社,保 険 会 社 等 が 委 託 会 社 に代 わ って,受 益 証 券 の 募 集 及 び売 買,分 配 金 等 の 支 払 いを 代 行 す る。 契 約 型 投 資 信 託(委 託 者 指 図 型 投 資 信 託)に. お け る各 関 係 会 社 の 主 要 な 業 務 活 動 と取 引. の 仕 組 み は,次 の 通 りで あ る。 (1)販 売 会 社 の 業 務 委 託 会 社 が 設 計 及 び発 行 した投 資 信 託 の 受 益 証 券 の 募 集 及 び販 売 の 代 行 。 投 資 家 の 申込 金 の 委 託 会 社 へ の 交 付 。 受 益 証 券 の 売 買 の 代 行 。 収 益 分 配 金,償 還 金,解 約 金 の 支 払 の 代 行 。 目論 見 書 及 び運 用 報 告 書 の 交 付 の 代 行 。 取 引 残 高 報 告 書 の 交 付 の 代 行 。 (2)委 託 会 社 の 業 務 投 資 信 託 約 款 の 所 管 官 庁 へ の 届 出及 び投 資 信 託 の 設 立 。 投 資 信 託(フ -27(27)一. ァ ン ド)の 設 計 。.

(4) 第59巻. 第1号. 投 資 信 託 受 益 証 券 の 発 行,募 集,交 付 。 目論 見 書 の 作 成 及 び交 付 。 有 価 証 券 報 告 書 の 作 成 及 び所 管 官 庁 へ の 提 出。 専 門 家 の フ ァ ン ドマネ ー ジ ャー に よ る金 融,経 済,経 営,証 券 市 場 等 の 調 査,分 析,助 言 。 受 託 会 社 との 信 託 契 約 の 締 結 。 投 資 家 の 申込 金 の 管 理 委 託 。 信 託 財 産 運 用 対 象 物(有 価 証 券)の 買 付 け指 示 。 信 託 財 産 の 運 用 指 図 。 運 用 報 告 書 の 作 成 及 び交 付 。 信 託 財 産 に関 す る帳 簿 の 作 成 義 務 。 受 益 証 券 の 毎 日の 基 準 価 額 計 算 。 (3)受 託 会 社 の 業 務 信 託 契 約 の 締 結 。 信 託 財 産 の 保 管 及 び信 託 財 産 と 自 己財 産 との 分 別 管 理 。 委 託 者 の 運 用 指 図 に基 づ く信 託 財 産 の 売 買 。 信 託 財 産 の 計 算 。 信 託 財 産 の 基 準 価 額 の 計 算 。 受 益 証 券 発 行 の 認 証 。 決 算 報 告 及 び運 用 報 告 書 の 作 成,提. 出,交 付 。. (4)受 益 者 の 役 割 受 益 証 券 の購 入(信 託 受 益 権 の取 得)。 収 益 分 配 金,償. 還 金,解. 約 金 の 受 取 り。 信 託 報. 酬,売 買 手 数 料,信 託 財 産 留 保 額 その 他 手 数 料 の 支 払 い。. 2投. 資信託協会 の会計規則. 投 資 信 託 の 財 務 諸 表 等 を 作 成 す る場 合 の 会 計 処 理,記 載 方 法 及 び信 託 財 産 の 科 目及 び計 上 額 は,投 資 信 託 法 を 補 完 す る細 則 と して,信 託 財 産 の 計 算 に関 す る規 則(改 正 平 成23年 11月16日 。以 下 「投 資 信 託 計 算 規 則」 と い う)に 定 め られ て い る。 他 方,信 託 協 会 は,「 投 資 信 託 計 算 規 則 」 を 投 資 信 託 業 の 実 務 に適 用 す る 目的 で 具 体 化 した 「投 資 信 託 に関 す る会 計 規 則 」(以 下 「投 資 信 託 会 計 規 則 」 とい う)を 公 表 して い る。 そ の 概 要 は次 の通 りで あ る。 第1条(趣. 旨):投 資 信 託 財 産 の 貸 借 対 照 表,損 益 及 び剰 余 金 計 算 書 及 び 附属 明細 表(以. 下,「 財 務 諸 表 等 」 と い う)の 作 成 に 当 た って の 会 計 処 理 及 び 記 載 方 法 並 び に投 資 信 託 財 産 の 各 科 目の 内容 及 び その 計 上 額 につ いて は,投 資 信 託 財 産 の 計 算 に関 す る規 則 (平成12年 府 令 第133号,以. 下,「 投 資 信 託 計 算 規 則 とい う」 及 び こ の規 則 の定 あ る と. こ ろ に よ る。 第6条(資. 産 の部):貸 借 対 照 表 の 資 産 の 部 は,預 金,株. 券,売. 買 目的 有 価 証 券,受. 取. 手 形,未 収 金 等 その 他 の 資 産 科 目 に細 分 化 し,各 科 目 に お いて 法 令 で 定 め る金 額 を 計 上 す る。 第7条(負. 債 の部):負 債 の部 は,借. 入 金,未. 払 金,未. 払 費 用,前 受 金 そ の 他 の 負 債 を. 示 す 法 科 目 に細 分 化 し,各 科 目 に お いて 法 令 で 定 め る金 額 を 計 上 す る。 -28(28)一.

(5) 投資信託の収益分配金の仕組み(川 口) 第8条(投. 資 有 価 証 券 等):投 資 有 価 証 券 そ の他 の金 融 商 品 及 び派 生 商 品 の 評 価 は,原. 則 と して 時 価 に よ る もの とす る。 第10条(純. 資 産 の部):純. 資産 の部 は,元. 本,株 価 変 動 準 備 金,価. 額 変 動 準 備 金,期. 末. 剰 余 金 又 は期 末 欠 損 金 に区 分 す る。 な お,元 本 の 部 に は,元 本 金 額 及 び元 本 を 当 期 の 収 益 分 配 に充 当す る場 合 の 当該 充 当金 額 を 元 本 調 整 引 当額 と して 表 示 す る。 第11条(元. 本 の定 義):計. 算 期 間末 日の 受 益 権 口数 に約 款 で定 め られ た 一 口 当 た りの 金. 額 を乗 じた額 を 元 本 とす る。 第12条(株. 価 変 動 準 備 金 及 び価 額 変 動 準 備 金 の定 義):純. 資 産 額 の 元 本 を 上 回 る金 額 に. 約 款 で定 め られ た一 定 割合 を乗 じた金 額 は株 価 変 動 準 備 金 又 は価 額 変 動 準 備 金 とす る。 第14条(損. 益 及 び剰 余 金 計 算 書 の 区分):損. 益 及 び剰 余 金 計 算 書 は,収 益 と費 用 に区 分. し,収 益 の 合 計 額 か ら費 用 の 合 計 額 を 差 し引 いて 当期 利 益 又 は当 期 損 失 を 算 出す る も の とす る。 ま た,当 該 の 算 出 した金 額 に解 約 に よ る 当期 利 益 分 配 額 又 は当 期 損 失 分 配 額 を加 減 し,調 整 後 当期 利 益 又 は調 整 後 当期 損 失 を 算 出す る もの とす る。 期 末 剰 余 金 は,調 整 後 当期 利 益 に期 首 剰 余 金 又 は期 首 欠 損 金,当 期 中の 追 加 信 託 に よ る増 減 額,当 期 中の 解 約 に よ る増 減 額 及 び分 配 金 を 加 減 して 算 出す る もの とす る。 第17条(有. 価 証 券 売 買 損 益 の 認 識):有. 価 証 券 等 売 買 に よ る実 現 損 益 の計 上 は,約. 定日. に行 う もの とす る。 有 価 証 券 等 の 評 価 損 益 は,計 算 期 間 の 末 日 に有 価 証 券 売 買 損 益 と して 計 上 す る。 第21条:(解. 約 に伴 う 当期 利 益 分 配 額 又 は 当期 損 失 分 配 額 の定 義)当 期 中 に委 託 者 の 一. 部 解 約 の 実 行 に よ り分 配 され た 当期 利 益 又 は 当期 損 失 の 額 を,解 約 に伴 う当 期 利 益 分 配 額 又 は 当期 損 失 分 配 額 とす る。 第22条(当. 期 追 加 信 託 に よ る増 減 額 の 定 義):当 期 中 の 追 加 信 託 に よ る剰 余 金 又 は 欠 損. 金 の 増 減 額 を 当期 解 約 に よ る増 減 額 とす る。 第24条(分. 配 金 の計 上):投. 資 信 託 の 分 配 金 は,分 配 金 の決 定 日 に損 益 及 び剰 余 金 計 算. 書 に計 上 す る。 ま た,当 該 分 配 金 の 未 払 額 を 未 払 収 益 分 配 金 と して 貸 借 対 照 表 に計 上 す る もの とす る。 前 掲 の 「投 資 信 託 会 計 規 則 」 は,要 約 す れ ば,次 の よ う にな る。 す な わ ち,投 資 信 託 の 期 末 剰 余 金 は,期 末 の 資 産 総 額 か ら期 末 の 負 債 総 額 を 差 引 いて 期 末 純 資 産 を算 出 し,期 末 純 資 産 か ら投 資 元 本 を差 引 い た金 額 で あ る。 また,期 末 剰 余 金 は, 任 意 積 立 金 に 当期 繰 越 利 益(当 期 未 処 分 利 益)を 加 算 した合 計 額 で あ る。. 一29(29)一.

(6) 第59巻 期 末 純 資 産 一投 資 元 本+期 末 剰 余 金(又 期 末 剰 余 金(又. は期 末 欠 損 金)=任. 第1号 は期 末 欠 損 金). 意 積 立 金+繰 越 利 益(又. は繰 越 損 失). 任 意 積 立 金 一株 価 変 動 準 備 金+価 額 変 動 準 備 金+分 配 準 備 積 立 金. 投 資 信 託 の 剰 余 金 は,前 掲 の 計 算 式 が 示 して い る よ う に,期 末 の 任 意 積 立 金 に繰 越 利 益 (当期 未 処 分 利 益)を 加 え た 金 額 で あ る。 投 資 信 託(金 融 商 品)又 は 投 資 信 託 法 人 の 剰 余 金 の 分 配 で 問題 にな るの は,剰 余 金 の 分 配 可能 額 で あ る。会 社 法 の 配 当 規 制 に した が え ば, 剰 余 金 の分 配 は,分 配 可 能 額 の範 囲 で 行 わ な けれ ば な らな い の で あ って(会 社 法 第461条 第2項),分. 配 可 能 額 の 限度 を超 え る剰 余 金 分 配 は,違 法 で あ る(会 社 法 第462条)。. しか しな が ら,「 投 資 信 託 会 計 規 則」 の 前 掲 条 文 「委 託 者 に よ る投 資 信 託 の一 部 解 約 」 は,剰 余 金 の 配 当を 配 当可 能 額 の 範 囲 に限 定 した配 当規 制 を 考 慮 に入 れ な い規 定 で あ る。 す な わ ち,委 託 者 が 信 託 財 産 の 運 用 に失 敗 し当期 損 失 を 計 上 す る場 合 で も,当 期 損 失 分 配 金 は,投 資 元 本 の 一 部 解 約 と い う要 件 事 実 が あ らか じめ投 資 信 託 約 款 に記 載 され て い る こ と を根 拠 に,当 期 損 失 を 計 上 した場 合 の 収 益 分 配 金 と して 表 示 され て い る。 投 資 信 託 約 款 の 「一 部 解 約 」 条 項 は,当 期 損 失 を 計 上 した場 合 の 分 配 金 を 収 益 分 配 金 と して 合 理 づ け る た めの 構 成 要 件 と して 事 前 に設 定 され た もの で あ る。 それ ゆえ,投 資 信 託 の 「一 部 解 約 」 条 項 は,投 資 信 託 の 契 約 を 締 結 す る以 前 に 内閣 府 に提 出 され る投 資 信 託 事 業 の 目的 を 記 載 した約 款 の 内容 で あ って,投 資 家 の 関 知 す る と こ ろで はな い。 した が って,投 資 信 託 の 締 結 に 当 た り,約 款 に記 載 され た 「一 部 解 約 」 につ いて 投 資 家 に対 して 合 理 的 か つ 十 分 な 説 明 と告 知 が な され な い限 り,収 益 分 配 金 と して 表 示 され る 当期 損 失 分 配 金 は,投 資 家 の 判 断 を誤 解 に導 く恐 れ が あ る(第21条. 参 照)。. 前 掲 の 「投 資 信 託 会 計 規 則 」 第14条 に お いて,損 益 及 び剰 余 金 計 算 書 で 算 出 した 当 期 利 益 又 は 当期 損 失 に,投 資 元 本 の 解 約 に よ る 当期 利 益 処 分 額 又 は 当期 損 失 処 分 額 を 加 減 して 調 整 後 の 当期 利 益 又 は 当期 損 失 を 算 出す る,と 定 め られ て い る。 「投 資 信 託 会 計 規 則 」 第14条 で い う 「一 部 解 約 」 と は,前 述 した通 り,投 資 信 託 委 託 会 社 が 約 款 の 投 資 信 託 の 一 部 解 約 条 項 に よ り,当 期 損 失 相 当額 に見 合 う投 資 元 本 取 得 原 価 の 一 部 解 約 を実 施 した場 合 ,一 部 解 約 に伴 う投 資 元 本 の 一 部 払 戻 金 を 分 配 原 資 とす る法 律 行 為 に ほか な らな い。 したが って,「 投 資 信 託 の会 計 規 則 」 第14条 の 「投 資 元 本 の一 部 解 約 」 は,委 託 会 社 が 信 託 財 産 の 運 用 に失 敗 した場 合 に備 え,一 般 投 資 家 と投 資 信 託 契 約 を 締 結 す る前 に,あ. らか じめ投 資 信 託 約 款 の な か に 当該 条 項 を 記 載 して お くこ と に よ って,投 資. 元 本 払 戻 額 を 損 失 計 上 時 の 分 配 金 に充 当 す る た め の要 件 を構 成 して い る。 「投 資 信 託 会 計 一30(30)一.

(7) 投資信託の収益分配金の仕組み(川 口) 規 則 」 第14条 は,こ の 意 味 に お いて,投 資 信 託 と その 分 配 政 策 を 支 え る構 成 要 件 で あ る。 平 易 に い え ば,「 投 資 信 託 会 計 規 則 」 第4条. の規 定 は,当 期 損 失 分 配 金 す な わ ち特 別 分 配. 金 を収 益 を原 資 とす る分 配 金 と して 偽 装 す る た めの 誰 計 で あ る。 「解 約 に伴 う 当期 利 益 分 配 額 又 は 当期 損 失 分 配 額 」 につ いて 定 め た 第21条 に は,委. 託者. に よ る投 資 元 本 の 一 部 解 約 に よ り分 配 され た 当期 利 益 又 は 当期 損 失 を,解 約 に伴 う当 期 利 益 分 配 額 又 は 当期 損 失 分 配 額 とす る,と 規 定 され て い る。 これ は,投 資 信 託 契 約 の 一 部 解 約 に よ り投 資 元 本 の 一 部 につ いて 分 配 した 当 期 利 益 を 当 期 利 益 分 配 額 とす る こ とで あ り,同 様 に,投 資 元 本 の 一 部 を 返 済 して,投 資 元 本 の 一 部 払 戻 相 当額 を損 失 発 生 時 の 分 配 金 と して 処 理 す る と い う意 味 に解 釈 す る こ とが で き る。 た だ し,第21条 の 条 文 は,と. くに損 失 発 生 時 に お いて 分 配 金 の 源 泉 にな る剰 余 金 の 会 計 処 理 に. 関 連 して 理 解 す る こ とが 難 しい。 金 融 商 品 会 計 実 務 指 針 は,こ の 点 につ いて 次 の よ う に分 か りや す く説 明 して い る。 金 融 商 品 会 計 実 務 指 針(「 金 融 商 品会 計 に 関す る実 務 指 針 」)は,前. 述の追加型証券投資. 信 託 に お いて,期 中収 益 分 配 後 の基 準 価 額 が投 資 家 の個 別 元 本(取 得 原 価)を 下 回 る場 合, この 下 回 る部 分 の 金 額 の 会 計 処 理 につ いて,次 の よ う に説 明 して い る。 「追 加 型 証 券 投 資 信 託 の うち,購 入 後 短 期 間 に計 算 期 間 の末 日が到 来 す る もの につ い て, 収 益 分 配 の う ち払 込 資 金 か らの 払 戻 しに相 当す る もの と して 区 分 され て い る場 合 また は区 分 され て いな くて も その ほ とん どが 払 込 資 金 か らの 払 戻 しと認 め られ る場 合 に は,払 込 資 金 の 払 戻 し相 当額 につ いて は 当該 証 券 投 資 信 託 の 取 得 原 価 を 減 額 処 理 す る」(第96項(2))。 「な お,追 加 型 証 券 投 資 信 託 につ い て は,追 加 購 入者 の 購 入 価 格 は追 加 設 定 時 の 基 準 価 格 を基 礎 と して 決 定 され る た め,基 準 価 格 が 元 本 を 上 回 って い る場 合 に は,元 本 に上 乗 せ 部 分 を加 算 した金 額 を 払 い込 む こ と にな る。 したが って,追 加 購 入 者 が 受 け取 る収 益 分 配 金 に は,実 質 的 に払 込 金 か らの 払 戻 しの 性 格 を 有 す る もの が 含 まれ て い る こ と にな る。 し か し,収 益 分 配 金 の う ち どの 部 分 が 実 質 的 に払 込 金 か らの 払 戻 しに該 当 す るか は,追 加 設 定 の 時 期,信 託 財 産 の 運 用 状 況,収 益 分 配 金 の 源 泉 等 に よ って 異 な り,払 戻 し相 当 額 が 明 らか に され て いな い限 り,こ れ を 特 定 す る こ と は難 しい。 そ こで,購 入 後 短 期 間 に計 算 期 間 の 末 日が 到 来 す る場 合 で,収 益 分 配 金 の ほ とん どが 払 込 資 金 か らの 払 戻 しと認 めれ る場 合 に は,収 益 分 配 金 を 収 益 と して 計 上 せ ず に,当 該 証 券 投 資 信 託 の 取 得 原 価 を 減 額 処 理 す る もの と した」(第287項 後 段)。 会 社 法 や 企 業 会 計 原 則 に お いて 厳 格 に規 制 され る資 本 取 引 と損 益 取 引 の 区 分 を 顧 慮 す る こ とな しに,投 資 元 本 の 一 部 払 戻 額 を 損 失 計 上 期 に お け る収 益 分 配 金 と して 合 理 づ け る点 一31(31)一.

(8) 第59巻. 第1号. に,投 資 信 託 固 有 の 考 え 方 と会 計 処 理 を 読 み 取 る こ とが で き る。 な お,前 述 した約 款 の 「一 部 解 約 」 条 項 につ い て,投 資 信 託 法(「 投 資 信 託 及 び 投 資 法 人 に関 す る法 律 」(最 終 改 正 平 成23年6月24日)は,次 第4条(投. の よ うに規 定 して い る。. 資 信 託 契 約 の 締 結). 第1項:金. 融 商 品 業 者 は,投 資 信 託 契 約 を 締 結 しよ う とす る と き は,あ らか じめ,当. 該 投 資 信 託 契 約 に係 る委 託 者 指 図 型 投 資 信 託 約 款(以 下 この 章 にお いて 「投 資 信 託 約 款 」 と い う。)の 内容 を 内 閣総 理 大 臣 に届 け 出 な け れ ば な らな い。 第2項:投. 資 信 託 約 款 に お いて は,次 に掲 げ る事 項 を 記 載 しな けれ ばな らな い。. 第1号:委. 託 者 及 び受 託 者 の商 号 又 は名称,第2号:受. 益 者 に関 す る事 項,弟3号:. 委 託 者 及 び受 託 者 と して の 業 務 に関 す る事 項,第4号:信 項,第5号:受. 益 証 券 に関 す る事 項,第6号:信. の 分 配 に関 す る事 項,第7号:投 る事 項,第8号:信. 託 の 元 本 の 額 に関 す る事. 託 の 元 本 及 び収 益 の 管 理 及 び収 益. 資 信 託 財 産 の 評 価 の 方 法,基 準 及 び基 準 日 に関 す. 託 の 元 本 の 償 還 及 び収 益 の 分 配 に関 す る事 項,第9号:信. 託契. 約 期 間,そ の 延 長 及 び信 託 契 約 期 間 中の 解 約 に関 す る事 項,以 下,省 略 。 前 掲 の 「投 資 信 託 契 約 の 締 結 」 第4条. の規 定 を受 けて,第19条. は,「 投 資 信 託 契 約 の 解. 約 の 届 出」 につ いて,次 の よ う に規 定 して い る。 第19条(投. 資 信 託 契 約 の 解 約 の 届 出). 投 資 信 託 委 託 会 社 は,投 資 信 託 契 約 を 解 約 しよ う とす る と き は,あ らか じめ,そ の 旨 を 内閣 総 理 大 臣 に届 け 出な けれ ばな らな い。 以 上 の よ うに,投 資 信 託 法 第4条 及 び第19条 に お い て,「 投 資 信 託 契 約 の締 結 」 並 び に 「計 算 期 間 中 の投 資 信 託 の 一 部 解 約 」 につ い て記 載 した投 資 信 託 約 款 を 事 業 を 開始 す る前 に あ らか じめ 内 閣 府 に提 出す る場 合 に限 り,「 期 中 に お け る投 資 信 託 の一 部 解 約」 が 認 め られ て い る。 これ まで 前 述 した通 り,「期 中 の投 資 元 本 の一 部 解 約 」の意 味 につ い て簡 単 な分 析 を行 っ たが,更 な る分 析 と評 価 につ いて は,後 述 す る。 企 業 会 計基 準 委 員 会 は,投 資 信 託 に お いて 信 託 財 産 を構 成 す る有 価 証 券 の 評 価 に つ い て, 「金 融 商 品 に 関す る会 計 基 準 」(企 業 会 計 基 準 第10号,平. 成18年8月11日)を. 公 表 して い る。. 有 価 証 券 の 評 価 に関 す る規 定 は,次 の と お りで あ る。 第24項:運. 用 を 目的 とす る金 銭 の 信 託 は,当 該 信 託 財 産 の 構 成 物 で あ る金 融 資 産 又 は金. 融 負 債 につ いて,本 会 計 基 準 に よ り付 され るべ き評 価 額 を 合 計 した 額 を も って 貸 借 対 照 表 価 額 と し,評 価 差 額 は 当期 の 損 益 と して 処 理 す る。 -32(32)一.

(9) 投資信託の収益分配金の仕組み(川 口) 第24条 の 注8:運. 用 目的 の 信 託 財 産 の 構 成 物 で あ る有 価 証 券 の 評 価 につ いて 。 運 用 目的. の 信 託 財 産 の 構 成 物 で あ る有 価 証 券 は,売 買 目的 有 価 証 券 とみ な し,そ の 評 価 基 準 に 従 って 処 理 す る。 な お,「 金 融 商 品 に関 す る会 計 基 準 」 は,信 託 会 社 が 保 有 す る売 買 目的有 価 証 券 の 評 価 基 準 に関 連 して,第15項. に お いて 次 の よ う に規 定 して い る。. 時 価 の 変 動 に よ り利 益 を 得 る こ とを 目的 と して 保 有 す る有 価 証 券(以 下 「売 買 目的 有 価 証 券 」 と い う)は,時. 価 を も って 貸 借 対 照 表 価 額 と し,評 価 差 額 は当 期 の 損 益 と して 処 理. す る(第15項)。 要 す る に,信 託 財 産 を構 成 す る有 価 証 券 の評 価 は,前 掲 の 「金 融 証 券 に 関す る会 計 基 準 」 第15項 及 び第24項 に したが って,信 託 会 社 が 保 有 す る有 価 証 券 は売 買 目的 有 価 証 券 とみ な して,期 末 決 算 に お いて 時 価 で 評 価 した金 額 を も って 貸 借 対 照 表 に計 上 す る。 企 業 会 計 基 準 委 員 会 は,平 成19年8月2日,信. 託 に関 す る実 務 対 応 報 告 第23号. 「信 託 の. 会 計 処 理 に関 す る実 務 上 の 取 り扱 い」 を 初 めて 公 表 した。 な お,こ こで 実 務 対 応 第23号 の 概 要 につ いて 紹 介 す る前 に,投 資 家 が 投 資 信 託 を 売 買 す る と きの 基 準 価 額 につ いて 明 らか に して お く。 投 資 信 託 の 受 益 権 の 購 入 は,口 数 単 位 で 行 い,受 益 権 口数1口 当 た り1円 を 基 準 価 額 と す るが,通 常 の 場 合,受 益 権 口数10,000口 を 取 引 単 位 とす る た め10,000円 が 基 準 価 額 にな る。 投 資 信 託 の 基 準 価 額10,000円 は,株 式1株 の 市 場 価 格 に相 当す る もの で あ り,受 益 権 口数10,000口 当 た りの 純 資 産 時 価 を い う。 投 資 信 託 の 信 託 財 産 の 運 用 対 象 物 に組 入 れ られ た有 価 証 券(公 社 債 又 は株 式)は,そ. の 日の 証 券 取 引 所 終 了 時 の 終 り値(最 終 相 場)で 評. 価 され,こ の 有 価 証 券 時 価 に 当該 公 社 債 利 子 又 は株 式 配 当金 の 収 入 額 を 加 算 して 資 産 総 額 を算 定 す る。 資 産 総 額 か ら未 払 収 益 分 配 金,未 払 信 託 報 酬,未 払 手 数 料 等 の 信 託 に係 る負 債 を差 引 いて 純 資 産 総 額 を 算 定 す る。 純 資 産 総 額 を その 日の 受 益 権 口数 総 計 で 割 って,受 益 権1口. 当 た り純 資 産 と して 基 準 価 額 を 算 定 す る。. 純 資 産 時 価=資 産(有 価 証 券 時 価(取 引 所 の 終 り値)+公. 社 債 利 子 ・株 式 配 当 金. 負 債(未 払 収 益 分 配 金+未 払 信 託 報 酬 金+未 払 手 数 料 等) 基 準 価 額=純 資 産 時 価 評 価 総 額 ÷受 益 権 口数 総 計. 設 定 され た投 資 信 託 の 当初 の基 準 価額 は,受 益 権1口. 当た り1円 を べ 一 ス に受 益 権10,000. 口 を最 小 取 引 単 位 とす る。 したが って,投 資 信 託 の 基 準 価 額 は,投 資 信 託 の 設 定 当 初 は, -33(33)一.

(10) 第59巻. 第1号. 10,000円 か ら出発 す るが,投 資 信 託 の 募 集 期 限 以 降 は,受 益 権10,000口 当 た りの 証 券 取 引 所 の その 日の 最 終 相 場 を い う。 投 資 信 託 の 設 定 以 降,各 営 業 日の 基 準 価 額 は,毎 日,委 託 会 社 に よ って 運 用 対 象 物 に組 入 れ られ た銘 柄 の 取 引 所 の 終 り値 に基 づ いて 計 算 され る。 追 加 型 型 投 資 信 託(通 常,オ ー プ ン型 投 資 信 託 と も い い,投 信 設 定 時 の 公 募 期 限 を 超 え いつ で も購 入 で き る公 開 型 投 資 信 託 を い う)の 場 合,基 準 価 額 は,設 定 当初 の 投 資 家 に続 いて,募 集 期 限 以 降 に投 資 家 が 投 資 信 託 を購 入 又 は解 約 す る と きの 投 資 信 託 受 益 権 の 売 買 価 額 とな る。 と こ ろで,信 託 に関 す る実 務 対 応 報 告 第23号. 「信 託 の 会 計 処 理 に関 す る実 務 上 の 取 り扱. い」 は,受 益 権 の 会 計 処 理 につ いて,次 の よ う に定 めて い る。 A委. 託 者 兼 当初 受 益 者 が 単 数 で あ る場 合 の 金 銭 の 信 託 。. 委 託 者 及 び受 益 者 の 会 計 処 理 (1)信 託 設 定 時 ○. 委 託 者 兼 当初 受 益 者 は,信 託 財 産 とな る金 銭 を 金 銭 の 信 託 で あ る こ とを 示 す 適 切 な 科 目 に振 り替 え る。 (借)受 益 権(△ △ 信 託)×. ×(貸)現. 金 ××. (2)期 末 時 ○. 投 資 信 託 は,一 般 に運 用 目的 で 保 有 す る売 買 目的 有 価 証 券 と考 え られ て い る(金 融 商 品会 計 基 準 第87項,金. 融 商 品 会 計 実 務 指 針 第97項)。 した が って,委. 託者兼当. 初 受 益 者 は,付 す べ き時 価 評 価 額 を 合 計 した額 を も って 貸 借 対 照 表 額 と し,そ の 評 価 差 額 は 当期 の 損 益 と して 処 理 す る(金 融 商 品 会 計 基 準 第24項,金. 融商品会計実務. 指 針 第98項)。 (借)受 益 権(△ △ 信 託)×. ×(貸)△. (借)(△ △ 信 託)評 価 損 × ×(貸)受 B委. △信託評価益 ×× 益 権(△ △ 信 託)×. 託 者 兼 当初 受 託 者 が 複 数 で あ る場 合 の 金 銭 の 信 託(合. ×. 同運 用 を 含 む)。. (1)信 託 設 定 時 ○. 委 託 者 兼 当初 受 益 者 は,信 託 財 産 とな る金 銭 を 有 価 証 券(投 資 信 託 や 商 品 フ ァ ン ド)又 は合 同運 用 の 金 銭 の 信 託 で あ る こ とを 示 す 適 切 な 科 目 に振 り替 え る。 投 資 信 託 で は受 益 権 は有 価 証 券 と して 取 り扱 わ れ て い る。 (借)有 価 証 券(又. は△ △ 信 託 受 益 権)×. ×(貸)現. 金 ××. (2)受 益 権 の 売 却 時 及 び期 末 評 価 時 ○. 受 益 者(当 初 受 益 者 の み な らず 他 か ら受 益 権 を 譲 り受 けた 受 益 者 も含 む)は,有 一34(34)一.

(11) 投資信託の収益分配金の仕組み(川 口) 価 証 券 又 は有 価 証 券 に準 じて,保 有 目的 に応 じて 会 計 処 理 を す る。 運 用 目的 の 金 銭 の 信 託 は,時 価 を も って 貸 借 対 照 表 価 額 と し,評 価 差 額 を 当 期 の 損 益 と して 計 上 す る(金 融 商 品 会 計 基 準 第24項)。 売却時 (借)現 金 × ×(貸)有. 価 証 券(又 有 価 証 券(又. は△ △ 信 託 受 益 権)×. は△ △ 信 託 受 益 権)売 却 益 × ×. (借)現 金 × ×(貸)有 有 価 証 券(又. ×. 価 証 券(又. は△ △ 信 託 受 益 権)×. ×. は△ △ 信 託 受 益 権)売 却 損 × ×. 期 末 時(売 買 目的 有 価 証 券 の 評 価) (借)有 価 証 券 × ×(貸)(△. △ 信 託 受 益 権)評 価 益 × ×. (借)(△ △ 信 託 受 益 権)評 価 損 × ×(貸)有. 3投. 価証券 ××. 資信託 の一部解約 と特別分配金. こ こで は,投 資 信 託 に お け る剰 余 金 の 分 配 につ いて,投 資 信 託 の 根 拠 法 で あ る投 資 信 託 法(「 投 資 信 託 及 び投 資 法 人 に関 す る法 律 」 最 終 改 正 平 成23年6月24日)及 算 規 則(「 投 資 信 託 財 産 の 計 算 に 関 す る規 則 」 最 終 改 正 平 成23年11月16日)に. び投 資 信 託 計 基 づいて分. 析 す る。 分 析 す る前 に あ らか じめ言 え ば,投 資 信 託 法 及 び投 資 信 託 計 算 規 則 は,こ れ を 制 定 す る 当初 か ら,欧 州 連 合 や 米 国 の 政 策 の よ う に,わ が 国 の 金 融 投 資 市 場 セ ク ター にお い て 一 般 消 費 者 と個 人 投 資 家 を 保 護 す る と い う基 本 理 念 を 欠 落 した ま ま施 行 され た 結 果,投 資 信 託 金 融 機 関 の 利 害 関 係 を 最 優 先 す る法 制 度 と して 寄 与 して い る。 会 社 法 は,平 成17年 の 改 正 に よ り利 益 配 当概 念 を 剰 余 金 配 当概 念 に変 更 して い るが,違 法 配 当(い わ ゆ る蛸 配 当)に 対 す る規 制 は,従 来 通 りで あ る。 会 社 法 は,期 末 剰 余 金(そ の 他 資 本 剰 余 金+そ の 他 利 益 剰 余 金)の 額 か ら当期 損 失 と 自 己株 式 処 分 の 対 価 との 合 計 額 を控 除 した剰 余 金 の 額 を 配 当可 能 な 金 額 と して 配 当を 規 制 して い る(会 社 法 第461条)。 配 当可 能 額 を超 え て 剰 余 金 の 分 配 を 行 っ た場 合 は,当 該 行 為 に関 連 す る職 務 を 実 行 した 業 務 執 行 取 締 役 は,剰 余 金 の 分 配 を 受 領 した者 と連 帯 して,会 社 に対 して 分 配 額 の 返 済 を しな けれ ばな らな い(会 社 法 第462条)。 以 下,投 資 信 託 の 剰 余 金 につ いて 考 察 す る。. 一35(35)一.

(12) 第59巻. 第1号. (1)剰 余 金 の 計 算 に関 す る法 規 投資信託計算規則 第52条(剰 第3項. 余 金 の 計 算) 「計 算 期 間 中 に委 託 者 指 図 型 投 資 信 託 の 一 部 解 約 を 行 う こ とが で き る 旨投 資. 信 託 約 款(「 投 資 信 託 法 」 第4条. 第1項. に規 定 す る投 資 信 託 約 款 を い う)に 表 示 の あ. る委 託 者 指 図 型 投 資 信 託 に あ って は,一 部 解 約 に伴 う 当期 純 利 益 金 額 の 分 配 額 は第1 項 第1号 の 当期 純 利 益 金 額 又 は 当期 純 損 失 金 額 か ら当該 金 額 を 減 算 す る形 式 に よ り, 一 部 解 約 に伴 う 当期 純 損 失 金 額 の 分 配 額 は 同号 の 当期 純 利 益 金 額 又 は当 期 純 損 失 金 額 に 当該 金 額 を 加 算 す る形 式 に よ り,表 示 しな けれ ばな らな い。」 投 資 信 託 計 算 規 則 第52条 「剰 余 金 の計 算 」第3項. は,次 の論 点 に整 理 す る こ とが で き る。. (1)委 託 者 指 図 型 投 資 信 託 は,委 託 者 の 投 資 信 託 約 款(「 投 資 信 託 法 」 第4条. 第1項). に表 示 され て い る事 業 の 目的 と方 針 を 有 す る。 (2)投 資 信 託 約 款 に は,計 算 期 間 中 に委 託 者 指 図 型 投 資 信 託 の 一 部 解 約 を 行 う こ とが で き る と い う事 業 の 内容 及 び事 業 の 方 針 の 趣 旨が 記 載 され て い る。 (3)委 託 者 指 図 型 投 資 信 託 に お いて,一 部 解 約 に伴 う 当期 純 利 益 金 額 の 分 配 額 は,当 期 純 利 益 金 額 か ら当該 金 額 を 減 算 す る形 式 に よ り表 示 し,ま た,一 部 解 約 に伴 う当 期 純 損 失 金 額 の 分 配 額 は,当 期 純 損 失 金 額 に 当該 金 額 を 加 算 す る形 式 に よ り表 示 しな けれ ばな らな い。 投 資 信 託 約 款 に記 載 され る信 託 事 業 の 目的 及 び趣 旨 に お いて,投 資 信 託 の 一 部 を 計 算 期 間 中 に お いて 解 約 す る こ とが で き る と規 定 して い る点 に,第52条. 第3項. 「剰 余 金 の 計 算 」. の 会 計 的 な 意 義 が あ る。 投 資 信 託 の 約 款 に記 載 され た 「一 部 解 約 」 条 項 は,当 事 者 一 方 に よ る事 業 設 立 の 目的 及 び趣 旨 に関 す る規 定 で あ る。 したが って,投 資 家 が 委 託 者 と投 資 信 託 契 約 を締 結 す る場 合,契. 約 を締 結 す る と き に,「 一 部 解 約 」 条 項 に つ い て,委 託 者 の 説. 明 責 任 が 履 行 され た か 否 か を 問 わ な い 限 り,委 託 者 に よ る 「一 部 解 約 」 は,約 款 に した が って 実 行 され る た め。 合 法 的 な 行 為 で あ る と いえ る。 しか しな が ら,個 人 の投 資 家 は,投 資 信 託 の 契 約 を締 結 す る とき に,投 資 信 託 約 款 の 「一 部 解 約」 条 項 につ い て委 託 者 か ら十 分 か つ 合 理 的 な 説 明 と告 知 を受 け て い るか は,実 際 上,疑 問 で あ る。 投 資 家 は,専 門 知 識 を も たな い一 般 の 消 費 者 と して,信 頼 す べ き委 託 者 に対 し,信 託 受 益 権 の 購 入 対 価 と して 信 託 金 を 託 したの で あ り,投 資 信 託 約 款 にお いて 「一 部 解 約」 条 項 が 記 載 さ れ た理 由,信. 託 受 益 権 の解 約 と当 期 純 損 失 分 配 金(運 用 報 告 書. 上 の 特 別 分 配 金)と の 関 連 等 につ いて 合 理 的 か つ 充 分 な 告 知 と説 明 を 受 け る権 利 が あ る。 -36(36)一.

(13) 投資信託の収益分配金の仕組み(川 口) 投 資 信 託 法 第52条 は,委 託 者 に よ る運 用 の 失 敗 を 一 部 解 約 に伴 う特 別 分 配 金 と して 偽 装 す る点 に お いて 実 質 上,誰 計 にな る規 定 で あ る。 次 に,投 資 信 託 の 剰 余 金 に関 す る問 題 と して,投 資 信 託 固 有 の 剰 余 金 の 計 算 の 方 法 が 定 め られ て い る。 以 下,条. 文 を再 度 引用 す る。 「投 資 信 託 の期 中 の一 部 解 約 を行 う こ とが で. き る委 託 者 指 図 型 投 資 信 託 に お いて,一 部 解 約 に伴 う 当期 純 損 失 金 額 の 分 配 額 は,当 期 純 損 失 金 額 に 当該 金 額 を 加 算 す る形 式 に よ り表 示 しな けれ ばな らな い」。 投 資 信 託 委 託 者 が 信 託 財 産 の 運 用 に失 敗 した場 合,運 用 損 と して 当 期 純 損 失 が 損 益 計 算 書 に計 上 され る。 委 託 者 は,約 款 に記 載 され た 「一 部 解 約 」 条 項 と当 期 の 分 配 方 針 に応 じ て,投 資 信 託 の 一 部 解 約 を 実 行 す る。 期 中の 投 資 信 託 につ いて 一 部 解 約 す る場 合,委 託 者 の 会 計 処 理 は,(借)受. 益 証 券(信. 託 受 益 権)×. ×(貸)未. 払 金(元 本 払 戻 金)×. ×で あ. る。 この 投 資 信 託 の 解 約 は,会 計 処 理 上,受 益 証 券 を 販 売 し元 本 の 信 託 金 を 受 け取 った と きの 反 対 仕 訳 にな り,委 託 者 に よ る受 益 証 券 の買 い戻 しに該 当 す る。 した が って,こ れ は, 委 託 者 が 投 資 元 本 取 得 原 価 の 一 部 を 減 額 処 理 す る と 同時 に,元 本 払 戻 金 の 未 払 取 引 を 計 上 す る た めの 資 本 取 引 に ほか な らな い。 月 次 決 算 に お いて 当期 損 失 を 計 上 し欠 損 金(マ. イ ナ スの 剰 余 金)の 分 配 を 決 定 した 場 合. は,期 中 と 同様 に,未 払 分 配 金 を 投 資 元 本(投 資 信 託 受 益 権 の 取 得 原 価)を 減 算 す る形 式 に よ り投 資 元 本 の 払 戻 金 と して 処 理 す る。 (借)受 益 証 券(取 得 原 価)×. ×(貸)未. 払分配金 ××. 以 下,設 例 の モ デル ケ ー ス に したが って,投 資 信 託 の分 配 金 の 会 計 処理 を 明 らか にす る。 ケ ー スA:期. 首 の 基 準 価 額10,500〈 期 末 の基 準 価 額10,600. 期 首 及 び期 末 の 任 意 積 立 金=500円. 。. 分 配 方 針:当 期 純 利 益100円 全 額 を原 資 と して収 益 分 配 金 に充 当す る。 分 配 処 理(借)繰. 越 利 益 剰 余 金100(貸)未. 払 分 配 金100. 分 配 後(権 利 落 ち後)の 基 準 価 額 一10,500円 。 ケ ー スB:期. 首 の 基 準 価 額10,500〈 期 末 の基 準 価 額10,550. 期 首 の 任 意 積 立 金 一500円 。 分 配 方 針:当 期純 利 益 全 額50円 と任意 積 立 金50円 を取 り崩 して収 益 分 配 金 に充 当 す る。 分 配 処 理(借)繰. 越 利 益 剰 余 金50(貸)未. 払 分 配 金100. 任 意 積 立 金50 分 配 後 の 期 末 基 準 価 額=10,450円. 。 期 末 の任 意 積 立 金=450円 -37(37)一. 。.

(14) 第59巻 ケ ー スC:期. 首 の 基 準 価 額10,500<期. 第1号. 末 の基 準 価 額10,400. 期 首 の 任 意 積 立 金 ゼ ロ。 受 取 利 息20円 。 分 配 方 針:収 益 分 配 金20円 は受 取 利 息20円 を 原 資 と し,当 期 損 失 分 配 金80円 は,個 別 投 資 元 本 の取 得 原 価 を 減 額 処 理 す る形 式 で元 本 払 戻 金 を 当期 損 失 分 配 金 (特別 分 配 金)に 充 当す る。 分 配 処 理(借)信. 託 受 益 権100(貸)未. 払 分 配 金(普 通 分 配 金)20. 未 払 分 配 金(特 別 分 配 金)80 分 配 後 の 期 末 基 準 価 額=10,400円 ケ ー スD:期. 。. 首 の 基 準 価 額10,500〈 期 末 の基 準 価 額10,400. 期 首 の 任 意 積 立 金=ゼ 分 配 方 針:欠. ロ。. 損 金100円 相 当 額 の 個 別 投 資 元 本(取 得 原 価)を 減 額 処 理 す る形 式 で 元. 本 払 戻 金 を 当期 損 失 分 配 金(特 別 分 配 金)に 充 当す る。 分 配 処 理(借)信. 託 受 益 権100(貸)未. 払 分 配 金(特 別 分 配 金)100. 分 配 後 の 期 末 基 準 価 額 一10,300円 。 分 配 の 権 利 落 ち後(分 配 後)の 基 準 価 額=10,480円 前 掲 モ デル の ケー スAとBは,損. 益 計 算 で 計 上 した剰 余 金 か らの 分 配 で あ り,資 本 取 引. と損 益 取 引 を区 分 した原 則 的 な 分 配 処 理 で あ る。 ケ ー スCとDは,元. 本 の 払 込 元 本(受 益. 証 券)を 一 部 解 約 し,投 資 家 へ償 還 す る元 本 払 戻 金 を 当期 損 失 計 上 時 の分 配 金 に充 当す る。 これ は,投 資 信 託 委 託 者 が 投 資 家 に販 売 した受 益 証 券 を 買 戻 す 資 本 取 引 で あ るが,分 配 を 決 定 す る と き に,対 価 の 元 本 払 戻 金 を 損 益 取 引 の 成 果 と分 配 に振 り替 え て い る。 これ は, 約 款 の 「一 部 解 約 」 が 実 施 され な い場 合 に は,資 本 と損 益 を 混 同す る会 計 処 理 で あ る。. お. わ. り. に. 毎 月 分 配 型 投 資 信 託 は,投 資 信 託 法,投 資 信 託 計 算 規 則,金 融 商 品 取 引 法 等 にお いて 制 度 化 され た もの で あ る。 しか し,投 資 信 託 と その 分 配 金 の 仕 組 み につ いて 分 析 す る場 合, 投 資 信 託 が 当事 者 一 方 の 利 害 を 偏 重 す る金 融 商 品 で あ る こ とが 明 らか にな る。 根 拠 法 の 投 資 信 託 法,金 融 商 品 取 引 法 及 び金 融 商 品 会 計 基 準 は,投 資 信 託 を 金 融 商 品 と して 初 めて 制 度 化 す る と き に,欧 州 連 合 や 米 国 の よ う に,金 融 ・投 資 市 場 セ ク ター にお い て 一 般 消 費 者 を保 護 す る た めの 基 本 的 な 政 策 目標 を 確 立 しな か った 点 に,今 日の 不 安 定 な 法 律 状 況 を も た ら した背 景 が あ る。 投 資 信 託 法 は,金 融 商 品 と して 制 度 化 され て 以 来,一 一38(38)一.

(15) 投資信託の収益分配金の仕組み(川 口) 般 消 費 者 と個 人 投 資 家 の 判 断 を 誤 導 して き た。 投 資 信 託 法 を 所 管 す る金 融 行 政 の 責 任 は, 一 般 消 費 者 の 健 全 な 財 産 形 成 を 殿 損 した と い う点 で 極 めて 重 大 で あ る。 投 資 信 託 の 最 も重 要 な 点 は,投 資 信 託 法 の 第4条(投 信 託 の 解 約 等)に. 資 信 託 の 締 結)及. び第19条(投. 資. あ る。 これ は,毎 月 分 配 型 の 投 資 信 託 を 法 律 上 制 定 す る こ と に よ り,信. 託 関 連 企 業 の 安 定 的 な 信 託 報 酬 制 度 を 保 護 し,他 方 で は,不 適 正 な 会 計 処 理 に よ って 個 人 投 資 家 の 信 託 財 産 の 殿 損 又 は損 失 リス クを 制 度 上 容 認 す る と い う法 的 効 果 に導 いた 。 投 資 信 託 法 第4条 及 び第19条 の 規 定 は,あ. らか じめ,投 資 信 託 契 約 の 一 部 解 約 に関 す る. 事 項 を記 載 した 投 資 信 託 約 款 を 内 閣府 に提 出す る法 的義 務 を定 め て い る。 「投 資 信 託 の 一・ 部 解 約 」 が 記 載 され た約 款 は,委 託 者 が 当期 純 損 失 を 計 上 す る場 合,投 資 元 本 の 一 部 を 返 済 す る形 で 元 本 払 戻 金 を 合 理 化 す る た め に構 成 され た投 資 信 託 の 要 件 で あ る。 仮 に,約 款 の 「投 資 信 託 の 一 部 解 約 」 条 項 が 存 在 しな か っ た とす るな らば,投 資 元 本 の 返 済 額 を も っ て 剰 余 金 を原 資 とす る収 益 分 配 金 と して 偽 装 され た特 別 分 配 金 は,資 本 取 引 と損 益 取 引 を 混 同 して お り,明 らか に違 法 配 当で あ る。 欠 損 金 を計 上 した と きの 分 配 原 資 と して,約 款 に定 め た 「投 資 信 託 の 一 部 解 約 」 を 利 用 して,運 用 損 失 に相 当す る金 額 の 投 資 元 本 の 一 部 を 解 約 す る こ と に よ り,投 資 元 本 の 払 戻 金 を も って 収 益 分 配 金 に付 け替 え る。 投 資 信 託 法 第4条 及 び第19条 は,法 的 効 果 と して 毎 月 収 益 分配 を生 み 出す た め に,あ らか じめ投 資 信 託 約款 の 中 に仕 組 まれ た構 成 要件 で あ る。 「投 資 信 託 の 一 部 解 約 」 を定 め た約 款 が 存 在 して 初 めて,投. 資 信 託 の特 別 分 配 金 は,合 法. 的 な 収 益 分 配 金 と して の 法 的 効 果 を 生 じる。 その 意 味 に お いて 、 投 資 信 託 法 第4条 及 び第 19条 は,解 約 に よ る特 別 分 配 金 を 合 法 化 す る た めの 誰 計 で あ る。 しか しな が ら,投 資 信 託 市 場 の 透 明 化 と健 全 な 市 場 育 成 に向 けて,個 人 投 資 家 の 保 護 を 強 化 す る と い う原 則 的 な 立 場 か らいえ ば,現 行 投 資 信 託 法 と金 融 商 品 取 引 法 等 に は,取 引 形 態,会 計 処 理,契 約 時 の 告 知 義 務,信 託 報 酬 及 び信 託 手 数 料 等 に関 連 して,制 度 上,極 めて 重 要 な 不 備 が 散 見 され る。 定 期 分 配 型 投 資 信 託 は,当 事 者 一 方 の 利 害 を 偏 重 す るた め の 誰 計 で あ り,可 及 的 速 や か に廃 止 す るべ きで あ る。 第 一 に,投 資 信 託 の 依 拠 す る 「信 託 導 管 論 」 は,個 人 投 資 家 の 視 点 か ら いえ ば,顧 客 の 利 害 を 重 視 す る制 度 的 理 論 と して 限界 で あ る。 投 資 信 託 制 度 は,こ 「信 託 導 管 論 」 か ら離 脱 し,投 資 法 人 制 度 に準 じて,個. れ を理 論 的 に支 え る. 人 投 資 家 の 意 思 を集 約 す る機 関 を. 制 定 す べ きで あ る。 第 二 に,投 資 信 託 法 に お け る約 款 の 「投 資 信 託 の 一 部 解 約 」 条 項 は,早 急 に撤 廃 す べ き で あ り,廃 止 しな い場 合 に は,投 資 信 託 契 約 の 締 結 に際 し,投 資 家 に対 す る告 知 及 び説 明 一39(39)一.

(16) 第59巻. 第1号. の 義 務 を規 定 す べ きで あ る。 現 行 制 度 で は,個 人 投 資 家 は,約 款 の 趣 旨 につ いて 説 明 す ら 受 けて いな いか,あ. る い は説 明 を 受 けて い る と して も特 別 分 配 金 と利 益 分 配 金 の 剰 余 金 分. 配 の 仕 組 み に関 して 無 理 解 で あ る。 第 三 に,欠 損 金 を 計 上 した場 合,特 別 分 配 金 概 念 を 元 本 払 戻 分 配 金 の 表 示 科 目 に改 正 す べ きで あ る。 これ に関 連 して,運 用 損 益 を 信 託 報 酬 に反 映 させ る仕 組 み を,顧 客 の 視 点 か ら検 討 す べ きで あ る。 現 行 の 信 託 報 酬 制 度 は,信 託 業 の 一 方 的 利 害 に偏 して お り,専 門 家 と して の 運 用 能 力 と実 績 を ま っ た く反 映 して いな い。 この 最 た る弊 害 は,運 用 の 失 敗 に よ る赤 字 欠 損 を元 本 払 戻 金 の 特 別 分 配 金 に転 化 す る点 に表 れ て い る。. 40(40)一.

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