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21世紀COEプログラム 市民主導型の健康生成をめざす看護形成拠点 平成17年度研究成果報告書

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(1)

21

世紀

COE

プログラム

市民主導型の健康生成をめざす看護形成拠点

平成

17

年度研究成果報告書

C O N T E N T S

「市民主導型の健康生成をめざす看護形成拠点」… ………… 4 ― People-Centered…Care としてみえてきたものと今後の課題― People-Centered…Care をめざす看護実践開発研究   日本型遺伝看護の創生と普及……… 8   日本型がん看護… ……… 10   「日本型がん集学的アプローチのためのケア提供システムの開発」   日本型がん看護… ……… 12   がんサバイバーの身体活力の回復をめざすプログラムの開発   日本型高齢者ケア… ……… 14   Women‐Centered…Care…- 性暴力被害者ケア-……… 16   Women‐Centered…Care…プロジェクト… ……… 17   … 死産を経験した家族への支援 -  Women‐Centered…Care…- 不妊ケア-… ……… 18   地域緩和ケア(在宅ホスピスケア)プロジェクト………… 20   慢性疾患をもつ子どもの在宅ケアのための   組織的プログラムの開発……… 22   日本人の国民性に相応した効果的な   健康教育プログラムの開発と実践… ……… 24   「全ての人々への健康(Health…for…All)」へ貢献できる   国際コラボレーション実践モデル開発……… 26   健康資源コンテンツデジタル化とe-learning 開発……… 28   市民主導型看護サービスの活用と評価… ……… 30   日常生活援助のための看護技術……… 32 健康情報コンテンツ発信・相互交信システム開発… ………… 34 若手研究者の育成と連携… ……… 36 市民および専門職者とのコラボレーション推進   るかなび…聖路加健康ナビスポット/ ナースクリニック……… 40   第 4 回 国際駅伝シンポジウム……… 42   第 5 回 国際駅伝シンポジウム……… 48 評価会……… 52 People-Centered…Care のコア要素と具体的目標… ……… 56

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科学技術や情報システムの画期的な進歩をとげ る 21 世紀、ひとりひとりが固有のライフスタイ ルをもって生活し、自分にとって最良の健康を 創りだすことが可能な時代となりました。それ は一方で、自分達の健康を守り創るために、膨 大な健康情報を理解し、自分の人生や生き方と の線上でさまざまな選択をしなければならない ことでもあります。 「看護」は、市民が生き方の選択を迫られたと き、傍らにたち選択の支援をする実践の科学 です。すなわち「看護」は、市民が自らの健康 を創り、より良く生き、やすらかな死を迎える ために必要な市民のパートナーとしての機能を 持っています。 聖路加看護大学 21 世紀 COE プログラム(国 際的研究拠点)では、市民ひとりひとりの固有 のライフスタイル「生きてきた経験」を活かし、 市民が主体となる健康生成社会の実現と、新し い看護のあり方を市民の方々のパートナーシッ プとコラボレーションを通じて創り出し、提供す ることをめざしています(少し硬い表現ですが、 このプログラムを〈市民主導型の健康生成をめ ざす看護形成拠点 :People-Centered Care〉と 呼んでいます)。 学長のリーダーシップのもと、拠点リーダー、 運営会議が研究プロジェクトの有機的な連携・ 統括を行い、また、市民団体、財界、行政の 代表、国際的専門家による国内および国際評価 委員会より、継続的な評価・更なる発展の方向 性が示され、組織としての推進力を高める組織 作りをしています(図 1)。 このプログラムは、文部科学省の研究補助金を 頂き、5 年間の研究プロジェクトとして 2003 年 より始動し折り返し地点を迎えました。 People-Centered Care をめざす看護実践開発 研究は、4 つの重点テーマ〈先進医療と看護〉 〈病の共生と看護〉〈社会構造のひずみと看護〉 〈看護サービス方略開発〉のもとに、日本型遺 伝看護、日本型がん看護、Women-Centered Care など 11 プロジェクトにより、 計 画・実 施・評価の過程に、市民がパートナーとして参 与する市民参与型の研究(community-based 聖路加看護大学 21 世紀 COE プログラム拠点リーダー

小松 浩子

「市民主導型の健康生成をめざす看護形成拠点」

― People-Centered Care としてみえてきたものと今後の課題―



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participatory research)を進めてきました (図 1)。 研究プロジェクトの活動は、それぞれ、具体的な 活動状況と評価を後述しましたのでご覧ください。 さらには、研究や実践を通して、見出された People-Centered Care に関する重要なテーマや 関心事について、市民の方々と分かち合い、意 見交換をすることを目的とした COE 国際駅伝シ ンポジウムを継続して開催してきました(表 1)。 研究プロジェクトや国際駅伝シンポジウムの活 動と並行して力を入れてきたことの一つに、健 康情報提供システムの開発があります。これは、 People-Centered Care の研究および諸活動か ら生み出された健康資源を市民や専門職が身近 に引き寄せて活用できるように、デジタルコンテ ンツ化して発信・相互交信するシステムです。こ のシステムは、看護ネット(http://www.kango-net.jp/)として公開し、市民の方々との相互交 信を行っています。現在、月 20,000 件以上の アクセスがあります。「市民と看護をつなぐコミュ ニティサイト誕生」として、マスメディアにもとり あげられ、「キーワード別に、最良の治療法や 予防法などを理解でき、専門家への健康相談 ができる、細やかなところまで行き届いた信頼 できる医療サイト」と評されています。さらに、 看護ネットでは、賢い健康情報の使い手として、 必要とする情報に効率的にアクセスできる健康 表 1. 聖路加看護大学 21 世紀 COE 国際駅伝シンポジウム 第 1 回  2004.7.17  家で死ねるまちづくり 第 2 回  2004.10.3  考えよう ! 医療と看護―あなたも医療チームの一員 第 3 回  2004.11.21  自分で決めた生き方を実践するために 第 4 回  2005.10.29  私たちが選ぶ時代に向けて : 患者中心の乳がんチーム医療 第 5 回  2005.11.27  知恵と勇気と経験をわかちあう : 社会の中で支えあう女性たち 図1 事業推進組織 学 長 井部俊子 国際評価委員会 米国: Dr. Holzemer(UCSF) Dr. White (OHSU)

韓国: Dr. Kim (Univ.of Yonsei)

WHO Global Network: Dr. Carty (George Mason Univ.)

看護サービス・提供方略の開発評価 健康情報システム開発:中山 研究支援室チーム 䚭研究開発チーム:看護サービスの開発と評価 国内評価委員会 市民団体代表・財界・行政 マスメディア・看護職能団体 COE運営会議 堀内・菱沼・川越・田代・及川・中山 看護サービスの活用と評価:井部 拠点リーダー 小松浩子 日本型がん看護 :チームリーダー 小松 Women-Centered Care :チームリーダー 堀内 日本型遺伝看護 :チームリーダー 有森 子どもと家族中心ケア :チームリーダー 及川 日本型高齢者ケア :チームリーダー 亀井 在宅ホスピスケア :チームリーダー 川越 健康教育実践プログラム開発 :チームリーダー 菊田 国際看護コラボレーション実践 :チームリーダー 田代 日常生活援助のための看護技術 :チームリーダー 菱沼 



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情報分類(引き出し)とその活用方法を提案し ています。具体的には、〈健康関連マルチメディ ア〉〈意志決定支援〉〈健康リスク〉など、生活 の中で健康や病気を理解し、自ら選択し、健康 を管理していくかを考えるための引き出しから、 自分に必要な情報をたどることができます。今 後、看護ネットは、現システムに学習者中心の 健康 e-learning を機能拡張する予定です。また、 海外ネットワークを強め、日本・北米・アジア における People-Centered Care を包含する消 費者健康情報学へと発展させます。 2 年半に及ぶこれらの活動において、各研究プ ロジェクトのメンバー間、あるいは全学規模で の COE 活動報告会、そして、研究や活動に参 与していただいた多くの市民の方々との意見交 換をとおして、People-Centered Care の目的や あり方を繰り返し問う作業をつづけてきました。 それらを分析し、People-Centered Care の概念 化がすすんでいます(詳細は p56 を参照)。11 プロジェクトに共通する概念としてみえてきたの は、プロダクトとしての医療・ケアを活用する受 益者が主役―いわゆる消費者主権の考え方が根 底にあることです。同時に専門家が主導権を握 るのではなく、「主役の賢明さが活かされなけれ ば、わが国の医療・ケアの閉塞感は打破できな い」、また「医療者と市民がそれぞれのもつ知恵 や技、そして信頼や尊敬をオープンにやり取りす る」というこれまでの医療とは異なるスタンスに たつということです。それによって、生老病死の 体験から備わる暗黙知を市民との協働研究によ り効率的にフィードバックさせ、コミュニティ全 体の健康を高めるというプロダクト(医療・ケア) に活かす。すなわち、医療における「プロダクト・ アウト」から「マーケット・イン」へのパラダイム シフトをおこすことにあると考えられます。 遺伝医療を受ける人々 不妊医療を受ける人々 がんとともに生きる人々 脆弱な健康状態にある高齢者 地域で孤立しがちな人々 性暴力被害者 慢性病をもつ子どもと家族 在宅で最期を向かえる人々 開発途上国の人々 People-Centered Care 多様なコミュニティ 先進医療と自己決定 病との共生 社会構造のひずみ People-Centered Care創生の事業概要 ⑪ 健康情報コンテンツ:看護ネット  http://www.kango-net.jp/ 意思決定 意思決定支援ガイド 分かちあい サポートグループ・ネットワーク 信 頼 市民中心のケアシステム パワーバランス 市民と専門職者による 交流セクター 協 働 ボランティア・コラボレーター 教育カリキュラム 䠎඙㐅༈⒢䛮┫㆜䠐 䐖᪝ᮇᆵ㐿ఎ┫㆜ 䠎⑋䛮䛴භ⏍䛮┫㆜䠐 䐗᪝ᮇᆵ䛒䜙┫㆜ 䐘᪝ᮇᆵ㧏㱃⩽䜵䜦 䠎ᕰẰ୹ᑙᆵ┫㆜䜹䞀䝗䜽᪁␆㛜Ⓠ䠐 䐜೸ᗛᩅ⫩ 䐝ᅗ㝷䜷䝭䝠䝰䞀䜻䝫䝷ᐁ㊮㛜Ⓠ 䐞᪝ᖏ⏍Ὡᥴຐ䛴䛥䜇䛴┫㆜ᢇ⾙ 䐟┫㆜䜹䞀䝗䜽䛴Ὡ⏕䛮ビ౮ 䠎♣ఌᵋ㏸䛴䛸䛠䜅䛮┫㆜䠐 ④Women-Centered Care 䐚ᅹᏩ䝟䜽䝘䜽䜵䜦 䐛Ꮔ䛯䜈䛮ᐓ᪐୯ᚨ䛴䜵䜦 図2 図3



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People-Centered Care は、個・家族そしてコミュ ニティ(図 2)とのパートナーシップに基づく健 康問題の協働解決システムとして機能し、その 成果として、健康課題に関する選択への主体的 参与、健康情報の賢い使い手、人々の知に富 む健康生成コミュニティがうまれ、それは安心 と健やかさに根ざす市民社会形成を育むと考え ることができます。各研究プロジェクトは、「健 康生成コミュニティ」の羅針盤となるモデル的 な市民協働活動を推進しています。 市民との協働によりコミュニティにうみだされる 看護サービスは、図 3 に示すような領域にまと めることができます。例えば、意思決定を支援 するガイド、ボランティアやコラボレーターとし て健康問題の解決に参与する人々の教育プログ ラム、市民と専門職者がパワーバランスを生み 出す交流会、信頼や分かち合いを育むケアシス テムなどが含まれています。 今後に向けて、2 年後の市民主導型の健康生成 をめざす看護形成拠点を図 4 に示しました。各 プロジェクトはそれぞれ、現行の医療施設・診 療科が担ってきたヘルスケアシステムの閉塞感 を打破する一つの変化モデル、市民協働実践基 地を形成します。私が進める日本型がん看護で は、増加するがん患者の診療体制をもっと患者 中心の舵取りに移行し、がん体験者が核となる 市民として自らの切実な体験を資源とし、がん 予防啓発にむけての世論と活動が医療者と協働 して起こることが予測されます。そうできれば、 医療費のかからない、痒いところに手の届く、 がん予防が実現する可能性があります。現行の 医療の健康課題を市民の知恵を融解剤とし、 健康生成コミュニティへと変えていく機能を生 み出すことが People-Centered Care であり、看 護大学は一つの解決の鍵を担うkey solution と なると考えています。  健康生成コミュニティの実現に向けて、知と技 と勇気と信頼を多くの皆様と分かち合えることを 心より願っています。

看護ネット

看護実践開発研究センター 大学院看護学研究科博士後期課程 WHO PHC看護開発協力センター 役に立つ健康情報資源の生成 市民参与型研究推進 核となる市民による ケアネットワーク 健康生成コミュニティ 健康世論形成 市民協働実践基地 (コミュニティ・ヘルス・ステーション) 市民主導型の健康生成をめざす看護形成拠点

Nursing for People-Centered Initiatives in Health Care and Health Promotion

図4

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21 世紀を代表する科学の偉業のひとつにヒト ゲノムの解析があげられると思います。しかし、 自分の遺伝情報について「わかること」がイコー ルその人の幸福につながるかどうかは個人の人 生における価値観を考慮しながら決めていかな ければならないことです。 生まれる前に子どもの状態の一部を 「知ること (出生前検査)」ができます。またその病気にな る前にそのなりやすい体質の遺伝子を「知ること (発症前検査)」ができる病気もあります。しか しこの「知ること」を決める際にはその検査の 限界とその検査結果がどの範囲の人に影響をも たらすのかを検討することが必要になります。 このような容易ではない決定を日本人の「調和」 のこころを大切にしながら、支援していくことも 看護の役割です。 また健康状態は、遺伝子と環境との相互作用に おいて決定されるのであり、生活習慣病もひろ くとらえれば、遺伝的素因が関与するものであ るとき、遺伝医療はすべての人に関係すること なのです。 病気も障害もあるのが、人間のありのままの姿 であり、「与えられた遺伝子の中でどのようによ りよくいきるか」という視座にたつことを科学は おしえてくれているのだと思います。 このようなあらゆるライフサイクルや健康レベル の人々の家庭や社会生活の具体的な支援も看護 の役割です。 私たちのプロジェクトは、親から引き継がれた 「いのち」をその人らしく生き抜くための支援を 子どもから大人まで家庭、学校、社会というコミュ ニテイの方々と共に考えていきたいと思います。

これまでの研究活動とその成果

意思決定を主軸とした遺伝看護の創生 意志決定支援のサイトを立ち上げました。この サイトでは、自分で決めた生き方を実践するた め、「オタワ個人意思決定ガイド」の 5 つのステッ プを紹介しています。このガイドは、オタワヘル スリサーチセンターにおいて開発されたものを 日本語に翻訳したものです。このガイドを用い た出生前検査の意思決定支援の介入研究の成 果およびその評価に用いた尺度(決定の葛藤) も紹介されています。 意思決定は医療のみではなく、進学・就職など の決定に悩む場面に活用ができます。より多く の方にご利用いただき、より洗練されたものに していきたいと思います。

People-Centered Care をめざす看護実践開発研究

 

 日本型遺伝看護の創生と普及

研究代表者

有森 直子

1

研究分担者 堀内成子 森明子 中山和弘 真鍋裕紀子 村上 好恵 研究協力者 中込さと子 辻恵子 青木美紀子  斉藤紋子 黒川寿美江 佐藤理恵  福田紀子 武田后世 勝良泰子 小石幸乃 江本桂



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社会における「遺伝教育」の普及にむけて 日本型遺伝看護プロジェクトの一環として遺伝 教育フォーラムが聖路加看護大学にて開催され ました。当初の予想を超え 臨床の皆さん、看 護学生、教員と 40 名ほどが参加され、充実し た会になりました。午前の部では長崎大学医学 部保健学科の先生方による遺伝教育模擬クラ スが行われました。先生方は長崎で小中学生 の中から希望者を募って「遺伝」について教え る「遺伝学講座―遺伝について楽しく学ぼう」 のクラスを実施されています。難しい遺伝をゲー ム形式で楽しく教える授業に参加者もすっかり 引き込まれてしまいました。午後の部は、遺伝 教育に携わっている方々から、活動の紹介があ り、遺伝教育のあり方について考えていく場と なりました。 「いのち」の教育とその波及効果 日本助産師会東京都支部中央区地区分会との 協賛で、都内の 2 ヶ所の小学校 5 年生を対象 に助産師による「いのちの教育」をプロジェクト は支援しています。 この活動の一環として、もっともっと多くの子ど もたちへ「いのち」の誕生メッセージを伝えるこ と、そして「いのち」は自分だけのものではなく、 お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃ んとずっと引き継がれてきたものであることを伝 えるために、「生まれてくれてありがとう。」を出 版する運びとなりました。児童書を多く手がける ポプラ社さんとの共同 作業で、一般の方から 「いのち」の誕生にま つわるエピソードを募 集し、約 300 編の応 募の中から、 33 編を 紹介しています。 働く女性の健康を支援する こころやからだ、性の問題など女性特有の健康 問題に焦点をあてて、働く女性の皆さんが自ら 積極的かつ快適に健康づくりを行っていけるこ とを支援するケアシステムの開発を目指し、「働 く女性の健康支援プロジェクト」を立ち上げま した。第一段階として、皆さんが健康づくりに 必要な情報をどのように集めて、どのように利用 しているのかなど情報探索に関するニーズを明 らかにすることを目的とした 研究を始めました。この意 見に基づいて、「働く女性を 支援するケアシステム」の試 案をウェブ上で公開します。 このケアシステムに対するコ メントを女性の皆様からモ ニターとしてお寄せいただく 計画です。

  評 価

初年度から昨年度までは community への看 護の立場からの情報発信(小学校への「いのち の教育」の実施、出生前の遺伝的リスクアセ スメント 医療者向けガイドブック、ダウン症 児のカレンダーの配布、意思決定ガイドの作成 等)や市民主導の健康生成(People-Centered Care)の中核となる概念の模索(駅伝シンポジ ウムによる「意思決定支援」)が主なる活動で した。すなわちこれまでは CBPR(community-based participatory research)の根幹となるパー トナーシップにおけるネットワークつくりの期間 であり、それなくして次にステップ (coalition: 協働作業)には至らなかったと考えられます。 3 年目になり、看護を community に知ってもら う共通言語を私たちがもち、そのパートナーと の出会いや研究活動が始まりました。(「いのち の教育」の書籍出版、働く女性の健康支援プロ ジェクト) 今後も CBPR からプロジェクトのプロセスを評 価するとともに、community への健康支援とい う貢献がどれほどなされたのかについて、成果 評価をあわせて行っていきたいと思います。



(8)

People-Centered Care をめざす看護実践開発研究

 

 日本型がん看護

 

 

「日本型がん集学的アプローチのための

 

       

ケア提供システムの開発」

2

あなたが主役ですすむ がん医療の新しいシステムづくりをめざして がん医療の進歩はめざましく、治癒率の向上に つながる新しい治療法が次々に生まれています。 自分の病状に照準をあわせ、いくつかの治療法 の中から、自分にとって納得できる方向性を選 ぶためには、さまざまな専門職のサポートが必 要です。異なる専門分野の医師、看護師、薬 剤師など患者を取り巻く医療者が一つのチーム となって、専門的な知識や経験を患者と分かち あうことで、個々人にとって最適でそして納得の いく治療が可能となります。がんとともに生きる とき、舵取りは医療者でなく、患者自身です。 このプロジェクトでは、日本のがん医療の現状 を考慮に入れつつ、患者中心のがん集学的アプ ローチのためのケア提供システムモデルを開発 することをめざしています。 具体的には、このプロジェクトでは、先進的な 乳がん医療を受けている人々とその家族、なら びに乳がん医療においてケア提供を行う保健医 療の専門職者とパートナーシップのもとに、① 乳がんとともに生きる人々と、専門職とのパート ナーシップ形成の重要性を提案し、現実のがん 医療におけるあり方を検討します。②パートナー シップの現実的なあり方に基づき、がんともに 生きる人が、治療やがんとの生活に必要な情報 や資源をコントロール、活用できる、また、納 得のいく意思決定や実行が継続して行えるケア 提供システムモデルを考案します。③パートナー シップのもとに新しいケア提供システムモデルを 実践し、その実用性や妥当性を検討します。

これまでの活動とその成果

① みえてきた乳がんチーム医療の現状 わが国では、患者中心のがん医療システムの土 壌はどのように整っているかについて、どのよう にハード面(診療科の立て方やスタッフィング) やソフト面(専門職者間での相談や連携など) が整えられているのか、どのような課題がある のかについて、医療者のみならずがん患者の直 接の声から分析をすすめました。その結果、現 状では、主治医が一貫して患者の治療過程へ責 任をもつ体制が主であり、患者を理解し、その 時々に必要とされる連携や調整は、外来という 限られた人的・物的環境下で、主治医、あるい はその意向をうけた看護師が他の専門職者と点 と点をむすびつけるように行われていることが 明らかになりました。このような状況を全国レ ベルで把握するために、さらに乳がん医療に焦 研究代表者

小松 浩子

研究分担者 鈴木久美 射場典子 中山和弘  村上好恵 松﨑直子 冨田美和  市川和可子 林直子 研究協力者 安保英勇 村岡宏子 酒井禎子  野村美香

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点をあて、「患者中心のがん医療システム」とし てがん集学的アプローチが、わが国においてど のように展開され、どのような課題をもっている のかについて全国規模によるアンケート調査を 実施しました。乳癌学会認定施設の協力のもと に、249 施設、1,652 名の医師・看護師、1,950 名の患者から頂いたデータを分析した結果、多 職種で話し合われるカンファレンスはまだ 4 分 の 1 の施設でしか実施されておらず、専門職者 間でのさらなる情報共有の必要性が示されてい ます。 ② 乳がんチーム医療を利用する女性の声 乳がん女性のサポートプログラムを継続開催して います。今年度、サポートグループは 9 回開催 し、のべ 200 名以上の女性が参加し、「知恵と 勇気と元気をわかちあう」を合言葉に、乳がん とともに生きる女性の支えあい・分かち合いの輪 が広がりつつあります。毎回のプログラムの内容 は、参加者からの要請やニーズを織り込みつつ、 ミニレクチャーが開催されたり、参加者が主体 的に企画に参画する能動的なサポートグループ へと変貌しています。さらに、サポートプログラ ムの参加者による主体的運営のためのリソース パーソンとの協働、主体的活動の発信基地的機 能をもつコミュニティ・ステーションの立ち上げ をすすめており、ワーキンググループが出来上 がったところです。また、サポートプログラム参 加者からは、患者中心の乳がん医療システムへ の要請やアイデアを提案してもらっています。 ③ 「患者中心の乳がんチーム医療」を 広く語り合う 新しい患者中心の医療システムを提案するため に、その医療を利用する人々(利用する可能性 が自分や家族にある人も含めて)の視点を含め ておくことが重要です。同時に、わが国の医療 システムの特徴を加味することも忘れてはなら ないことと思います。そのために、広く世界的 な動向と比較して、わが国で必要としている医 療のあり方を検討してみることも重要となりま す。そこで、COE 国際駅伝シンポジウムのテー マに、「患者中心の乳がんチーム医療」をとりあ げることにしました。シンポジウムの企画の段 階から、乳がん女性の方々に参画いただき、テー マや方法をともに創りあげました。シンポジスト は、公募により手をあげてくださった乳がん女 性のかたが加わり、乳がん女性が舵取りする、 新しい乳がんチーム医療のめざすところ、それ ぞれの立場で協働することを話し合いました。 ④ 「患者中心の乳がん集学的アプローチを めざすケアシステムモデル」を考案中 前述した調査結果、国際駅伝シンポジウムで交 わされた意見、そして乳がん女性サポートプロ グラムの参加者よりの意見をもとに、患者中心 の乳がん集学的アプローチをめざすケアシステ ムを考案中です。ケアシステムの主要な要素は、 今のところ、「継続性、多重性、自律性、相互依 存性」という集学的アプローチの機能を基軸と し、〈乳がん女性と多職種の医療者が情報共有 できる情報システムツールの開発〉〈乳がん女性 がうまく治療過程を舵取りする上でパートナーと なるリソースナースの配置〉〈患者参与が可能な チームカンファレンス〉と考えています。これら を実際に臨床現場で試みるために、協力施設間 において組織上、環境上の調整を行っています。

  評 価

乳がん医療における「患者中心のがん医療シス テム」が、主役となる女性の健康ニーズを反映し つつ、またシステム自体への女性の主体的参画 を包含しつつ、実際の臨床現場で運用されるこ とは、がん医療においては画期的なことといえ ます。この新しいシステムの導入・実施・評価の 過程は、医療者と患者との協働活動を行うため のフォーカスグループにより、継続的にモニター し、協働討議を重ねます。そして、患者の視点 から活用可能で役立ち、治療への主体的関与を 促進できるモデル試案へと洗練する予定です。 これらの人々との協働的な活動を通して、「患者 中心のがん医療システム」を牽引するリソース パーソンとネットワークが生まれ、患者中心の がん医療への変革を導引する政策提言などにつ ながることを期待しています。

11

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People-Centered Care をめざす看護実践開発研究

3

 

 がんサバイバーの身体活力の

回復をめざすプログラムの開発

研究代表者

外崎 明子

がん治療後の方々(がんサバイバー)の多くは、 病気や治療の副作用などにより身体の各機能が 低下し、疲れやすさや睡眠パターンの変化といっ た症状が長期間続き、これにより無気力や不 安感などの心理反応が多くみられます。そこで、 がんサバイバーの方々がこれらの不快な症状か ら解放され、治療前の普段の生活に順調に復 帰できるような運動プログラムを開発し、この 実践を通して自らの力で新たな健康生成をして いただくことを目指しています。

これまでの研究活動とその成果

 研究メンバーによる身体活力

 回復プログラムの開発に関連する

 基礎的データの統合と蓄積

1 造血細胞移植(以下、移植)後患者の主観 的健康観と平均歩数に影響する要因の分析 移植後から退院 1ヶ月後までの歩数、下肢筋 力、倦怠感と不安感の得点から評価する主観的 健康観とそれぞれの関連性について明らかにし ました(図 1)。この結果、対象者 17 例中、入 院中の平均歩数の少なさと食事回復の遅れは相 関し、食事回復の遅れは退院後 1ヶ月の倦怠感 を高め、また退院前の足関節の背屈力が弱いと 退院後の平均歩数が少ないことが明らかとなり ました。以上より歩数の少なさは足関節の筋力 低下をまねき、身体バランス能が低下し、歩行 の負担感や体力の減弱を感じやすくなり、倦怠 感が強まると考えられます。また食事摂取の遅 延も倦怠感を助長する大きな要素でした。しか し特に男性で入院中より平均 2,000 歩以上の方 は、退院後も順調に活動量が増加していること が個別例の検証で明らかとなり、1 日 2,000 歩 を最低目標とし、治療後、体調が万全でない時 期でも足関節の筋力の維持・強化のための低レ ベルの運動強度のトレーニングが歩行能力回復 のためには重要です。 (外崎明子:造血細胞移植後患者の主観的体力に影響する要因の 分析、第20回日本がん看護学会学術集会抄録集, 2006)  2 虚血性心疾患女性患者における日常生活の 身体活動量からみた発作誘因の関連性 女性の虚血性心疾患の多くは閉経後数年を経 て発症し、加齢による代謝機能低下が重なるこ とから、再発予防には生活習慣の改善が不可欠 であり、特に、運動は再発作予防の鍵となりま す。しかし退院後、家庭での客観的身体活動量 の実態把握は現在のところ十分ではありません。 そこで 12 名を対象(平均 66.3 歳)に、身体 活動エネルギー消費量(EEE)を加速度計測装 研究分担者 高橋恵子 学外研究協力者 古川文子 佐藤正美 今泉郷子 小泉佳右 1400 1200 1000 800 600 400 200 --0 (/ μl) Th cell counts 開始前 5ヶ月後 12ヶ月後

* *

退院時 1ヶ月目 3ヶ月目 12ヶ月目 25 20 15 10 5 0 身体活動エネルギー消費量/kg/日 安静時エネルギー消費量/kg/日 kcal/体重1kg/ 日 月数 図1 退院後1ヶ月の主観的健康観および平均歩数の要因関連図 退院後1ヶ月 不安感 退院後1ヶ月倦怠感 食事回復日 退院後1ヶ月 平均歩数 平均歩数入院中 退院前背屈力 図 2 身体活動エネルギー消費量と安静時エネルギー消費量の変化 虚血性心疾患女性患者の症状と冠リスク管理、日常生活活動およびQOLに関する研究より一部抜粋 (H15・16年科学研究費補助金(代表:古川) 図3 運動開始前、開始5,12ヵ月後のTh細胞数の変化  体力科学(第52巻supplement pp.193-202,2003年)の一部 退院時 1ヶ月目 3ヶ月目 12ヶ月目 25 20 15 10 5 0 身体活動エネルギー消費量/kg/日 安静時エネルギー消費量/kg/日 kcal/体重1kg/ 日 月数 図1 退院後1ヶ月の主観的健康観および平均歩数の要因関連図 退院後1ヶ月 不安感 退院後1ヶ月倦怠感 食事回復日 退院後1ヶ月 平均歩数 平均歩数入院中 退院前背屈力 図 2 身体活動エネルギー消費量と安静時エネルギー消費量の変化 虚血性心疾患女性患者の症状と冠リスク管理、日常生活活動およびQOLに関する研究より一部抜粋 (H15・16年科学研究費補助金(代表:古川) (/ μl)

* *

退院時 1ヶ月目 3ヶ月目 12ヶ月目 25 20 15 10 5 0 身体活動エネルギー消費量/kg/日 安静時エネルギー消費量/kg/日 kcal/体重1kg/ 日 月数 図1 退院後1ヶ月の主観的健康観および平均歩数の要因関連図 退院後1ヶ月 不安感 退院後1ヶ月倦怠感 食事回復日 退院後1ヶ月 平均歩数 平均歩数入院中 退院前背屈力 図 2 身体活動エネルギー消費量と安静時エネルギー消費量の変化 虚血性心疾患女性患者の症状と冠リスク管理、日常生活活動およびQOLに関する研究より一部抜粋 (H15・16年科学研究費補助金(代表:古川)

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置付万歩計で、安静時エネルギー消費量(REE) を簡易式カロリメータで測定(退院~ 1 年目 : 4 時点)し、分析しました(図 2)。この結果、対 象は退院時には心機能レベルは改善していまし たが、EEE と REE は退院後 1 年目でも低レベ ルが続き、生活活動の限局化と身体低活動の 客観的実態が分かりました。身体低活動の固定 化は身体予備力低下、回復遅延、再発作誘発 の悪循環を招くことが推測されるため、身体活 力が低い状態での固定化を防ぐ個別支援方法 が重要です。 (古川文子:虚血性心疾患女性患者の症状と冠リスク管理、日常 生活活動およびQOLに関する研究より一部抜粋 平成15・16年度  科学研究費補助金(代表:古川)) 3 継続的運動が高齢者の免疫機能に与える影響 免疫機能は加齢に伴い低下し、これにより感染 への抵抗力も低下することが知られています。 一方で継続的な中等度の運動で、免疫機能が 向上するともいわれています。そこで、継続的 な運動によって加齢に伴い低下する免疫機能を 改善できるか検討しました。対象は運動習慣の ない高齢者 27 例で、週 2 日の運動トレーニン グを 1 年以上継続しました。この結果、末梢血 Th 細胞などの、リンパ球サブセットの各細胞数 は運動前に比べて継続的な運動により、運動 開始 12 ヶ月後には有意に増加しました(図 3)。 また、唾液中分泌型 IgA 抗体の分泌速度に関 する 20 例の高齢者に対する検討では、トレー ニング開始前に比べ 19 ヵ月以降は分泌速度が 有意に上昇し、経口感染に対する防御機能が 継続的運動で向上することが示されました。以 上から運動を 1 年以上継続的に実施することに より、全身性及び局所性の免疫機能が改善する 可能性が考えられました。 (小泉佳右:筑波大学体育研究科研究論文2001年および体力科 学 第52巻supplement pp.193-202,2003年)

 基礎データの統合および

 文献検索結果から「がんサバイバーの

 身体活力回復プログラムの開発」

 に向けて得られた示唆

がん治療後の運動習慣は元来の運動能力、病気や 治療による運動機能への影響、運動に対する好み や意欲、物理的・経済的環境などによって影響され、 個別性に応じたプログラム設定が、運動効果や継 続性の面から大変重要です。このがんサバイバーの 身体活力回復のためのプログラムは、「疲労からの 回復が早く、次の行動へ速やかに移行できるような 体力の維持をめざし、これにより発病前の日常生活 に復帰することを最終の目的」としています。1.で 述べたデータや最近のがん患者への運動関連文献 より、以下の要素の重要性が明らかとなりました。 1)退院後 1 年以上を経過しても、疾病に対す る脅威により、身体低活動が固定化されてしま う危険性があり、これにより身体予備力低下の 悪循環をまねくため、治療後早期から、低レベ ルの運動強度から継続的な身体活動が習慣化 されるような個別的な支援が重要となる。これ らが免疫機能を高め、がん治療による易感染性 の改善や、再発予防をもたらすと考えられる。 2)運動の効果は 1 年以上継続して出現するも のが多い。強度の高い運動の急激な実施では なく、低強度の運動から開始し、徐々に機能改 善にあわせ漸増する。1 年以上の継続が可能な 運動方法を提示し、運動アドヒアランスが高ま るように、定期的に電話やメールなどの手段で フォローを行い、対象者(サバイバー)はケア 提供者から 「見守られている」、「つながってい る」、「いつでも相談できる」という感覚を持ち 続けられるような支援体制が重要となる。

  評 価

プログラム開発に盛り込むべき視点は上記のよ うに方向性が見出されましたので、次年度はす でに上記のような方式を米国において先駆的に 提供中のプログラムの視察を行い、この情報を もとに日本型のプログラム試案の開発につなげ ていく予定です。 1400 1200 1000 800 600 400 200 --0 (/ μl) Th cell counts 開始前 5ヶ月後 12ヶ月後

* *

退院時 1ヶ月目 3ヶ月目 12ヶ月目 25 20 15 10 5 0 身体活動エネルギー消費量/kg/日 安静時エネルギー消費量/kg/日 kcal/体重1kg/ 日 月数 図1 退院後1ヶ月の主観的健康観および平均歩数の要因関連図 退院後1ヶ月 不安感 退院後1ヶ月倦怠感 食事回復日 退院後1ヶ月 平均歩数 平均歩数入院中 退院前背屈力 図 2 身体活動エネルギー消費量と安静時エネルギー消費量の変化 虚血性心疾患女性患者の症状と冠リスク管理、日常生活活動およびQOLに関する研究より一部抜粋 (H15・16年科学研究費補助金(代表:古川) 図3 運動開始前、開始5,12ヵ月後のTh細胞数の変化  体力科学(第52巻supplement pp.193-202,2003年)の一部

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People-Centered Care をめざす看護実践開発研究

4

 今年度は、社会福祉士、在宅介護支援センター 元相談員、リハビリテーション看護などの背景 をもつメンバーを研究者に加え、高齢者市民の ニーズに対応できる研究チームへと拡充した。 地域高齢者と家族のニーズの把握を行い、地 域の核となるコミュニティーリーダーと推進す る CBPR(Community-based Participatory Research)の基盤作りとモデル開発を行った。 研究成果は本学が運営する看護ネット http:// www.kango-net.jp/project/04/index.html に 掲載している。

日本型在宅版学際的チームアプローチ

市民・専門職教育センター開発

1. 情報発信  高齢者、および区内高齢者ケア提供機関の 参画を得て、地域コミュニティ広報誌(聖路加 シルバープレス─生き活きネット)の編集と発 刊を行った(写真 1)。根拠のある高齢者介護に 関する情報発信を行い、区内の町会を通じて市 民に配布した。情報は有意義であったとの評価 が得られた。また、高齢者介護に関するパンフ レット、小冊子を 2 号館で提供した。慢性呼吸 不全をもつ患者向けに web 上で情報提供を継 続し、内容の更新と追加を行った。閲覧者から の問い合わせもあり、市民ニーズの高さが伺わ れた。また、新たに認知症高齢者と家族のため の web サイト(写真 2)を立ち上げ、認知症チェッ クリスト、市民の介護体験記、認知症高齢者の ためのケアの質評価ツールの提供など、情報発 信を行った。 2. 高齢者および家族・介護者市民向けの 教育プログラム  通院中の在宅療養高齢者に関する脱水リスク 調査結果から、在宅虚弱高齢者の健康レベル に応じた脱水状態のリスクとその症状、予防的 看護のあり方を明らかにした。また、一般市民・ 高齢者・介護者のために、定期刊行冊子(高齢 者の自立と介護をサポートする情報マガジン- あんしんサポート-(写真 3)で在宅虚弱高齢 者の脱水予防と早期発見のための教育プログラ ムを提供した。 3. 専門職を目指す学生市民のための 教育プログラム  保健医療福祉専門職をめざす学生市民のため の合同教育プログラムは初年度から継続してい る。講義、チェーンレクチャー、多職種事例検 討会、チャレンジプログラム等から成るカリキュ ラムを提供した。また、評価のためのツールも

 

 日本型高齢者ケア

研究代表者

亀井 智子

研究分担者 梶井文子 山田艶子 研究協力者 久代和加子 中山かおり 杉本知子 安藤千晶 写真1.地域コミュ ニティ広報誌 写真2.認知症高齢者と家 族のためのwebサイト 写真3.高齢者の自立 と介護をサポートする 情報マガジン

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合わせて開発し、参加前、3 ケ月後、6 ケ月後、 12 ケ月後までフォローアップ調査を継続してい る。その結果、プログラム参加により学際的チー ムアプローチに関する価値や認識、自身の貢献 とスキルについての効果が認められたことを確 認した。プログラム終了後にも参加者は情報交 換や相談などを継続して行っており、市民主導 による高齢者ケアに関する課題解決のためのコ ミュニティが形成されるという成果が確認でき た。引き続き、参加者のデータを蓄積している。   4. 地域ニーズの把握と CBPR の基盤作り  大学近隣の町内会長、民生委員、在宅介護支 援センターを訪問し、ニーズ調査を行った。その 結果、地域高齢者の介護全般や専門的情報の 提供、ミニ介護講座、転倒予防プログラムなど に関する具体的ニーズが把握できた。これらを 基に、市民のニーズに基づく市民参加型の転倒 骨折予防体操教室、および出張 (アウトリーチ) 介護講座のプログラム作り、および地域の基礎 的ネットワーク作りを開始し、市民のニーズに即 したアウトリーチプログラム作りをすすめた。 11 月には地域高齢者を対象として、転倒骨折予 防体操教室(写真 4)を 試み、さらに今後のプロ グラムに関する具体的要 望と示唆を得た。これら のプロセスを分析し、高 齢者を中心とした Person- Centered Care と CBPR モデルを開発した(図 1)。

高齢者の健康生成のための

遠隔看護支援システム開発

 昨年度までにほぼ完成できた、①ネット端末 -②看護モニター/テレメンタリングセンター- ③テキスト・web 教材で構成される在宅酸素療 法・慢性呼吸不全患者のための遠隔看護支援 システム(図 2)を対象者に用いた試行調査を 継続している。  これまでに蓄積されたデータ、および利用者 へのインタビュー調査の結果から、本システム は平易な操作性で呼吸不全の自己管理意識の向 上ができ、身体変化を自身で理解できることへ の効果、ならびに不安感の低減という心理的効 果が認められた。また、テレナースの機能の分 析を行い、日本遠隔医療学会主催のテレメンタ リング研修会においてテレナースによるテレメン タリングの教育に応用した。地域開業医- HOT 患者-本遠隔看護システム—酸素供給会社をシ ステム化するための検討をもとに、プロトコルの 整備を行い、現在モニタリングを行っている。

  評 価

 今年度の研究を通じて、地域高齢者と家族 の詳細なニーズの収集と分析、地域のコミュ ニティーリーダーの明確化を行うことができ、 CBPR モデルをベースとした Person-Centered Careアプローチを推進するための基盤が整った と評価できる。 図1.CBPRモデル 写真4.転倒骨折予防体操教室 図2.遠隔看護支援システム 高齢者プロジェクトと CBPR モデル(中間年にあたっての結論) 学際的専門職チーム 各専門性の向上 コミュニュケーションの向上 尊重と信頼 協働の方法の具体化 市民 ・ 尊厳ある意義深い生活 ・ そのための情報収集と資源のコン トロールについて高齢者家族・近 隣の支援者が自己決定 ・ 知識、技術の向上 Outcome 協 働 パートナーシップ 社会的行動 力の共有 地域資源 = Loca l gov . 提案  ラムの実 アセ スメ 町内会 民生委員 在宅介護支援 センター 社協 薬局 Web HOT 脱水 企業 ナース クリニック NPO 商店 転倒骨折 ドライスキン 高齢者/家族 支援者 課題 の明 行政区 (狭義) コミュニ ティー 広域 (広義) コミュニ ティー HOT 実施者 (利用者宅ネット端末) ・SpO2, P, PeakFlow 等計測 ・質問項目回答 ( タッチパネル ) ・健康状態の視覚的結果表示 ・経時データグラフ表示 ・web 教材閲覧 初期訪問 モニタリング サーバ データ受信 蓄積 点数評価 メッセージ返信 受診 療養指導 看護モニターセンター ( 研究室内 ) ・初期訪問指導 ・健康状態モニタリング ・急性増悪トリアージ ・電話によるテレメンタリング ・遠隔看護記録 ・かかりつけ医への連絡・相談 連絡 相談 事前指示 かかりつけ医療機関 ・データ閲覧 ・診察時以外の健康状態把握 ・急性増悪時の対応 Interne t 電話 ま た は 対 面

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研究の背景と意義

夫または恋人といった親密な男性から女性への 暴力はドメスティック・バイオレンス(以下、DV と略す)と呼ばれ、全世界的な社会問題であ る。DV は、女性の複合的な健康障害を引き起 こすが、中でもうつ症状、外傷後ストレス障害 (PTSD)、不安等の精神的な影響は深刻である。 また妊娠中の場合、流早産、STD、合併症など 母体への悪影響のみならず、低出生体重児、胎 児ジストレスや胎児死亡など、胎児への影響も 報告されている。しかしながら、わが国におい て具体的なケアプランはいまだ普及していない のが現状である。ケアガイドラインの作成とそ の普及は、医療における DV 被害者支援に大き な貢献をもたらすと考える。

これまでの研究活動をその成果

我々は、これまでに蓄積されたリサーチエビデ ンスを基盤に、日本における周産期の DV 被害 の早期発見、介入、そして連携に関する実際的 な支援のあり方を示した「EBM の手法による周 産期ドメスティック・バイオレンスの支援ガイド ライン 2004 年度版」(金原出版)を作成し公 表した。ガイドラインは、臨床実践の場に十分 に普及し、実際に活用されなければその役割を なさない。 そこで 2005 年度は、先述のガイドラインで示 された一連の DV 被害女性へのケアを医療施設 において実施し、その際におこる問題や障壁を 明らかにし、状況改善にむけてどのような方略 が有効かを検討することを目的に、アクション リサーチを開始した。モデル病院において、現 状の把握、ガイドライン実施準備、ガイドライ ンの実施、評価の段階を経る。一方、出版した ガイドラインは、(財)日本医療評価機構 医 療 情報サービス事 業「Minds」(http://minds. jcqhc.or.jp)のホームページでインターネット公 開される予定である。 学術論文

Yaeko Kataoka, Yukari Yaju, Hiromi Eto, Naoko Matsumoto, Shigeko Horiuchi. (2004)Screening for Domestic Violence Against Women in the Perinatal Setting: A Systematic Review, Japan Journal of Nursing Science, 1(2), 77-86.

学会発表

Hiromi Eto, Yaeko Kataoka , Yukari Yaju , Shigeko Horiuchi.(2006) A Model for Developing Evidence-based Guidelines for Domestic Violence Prevention Program for Perinatal Women. Prevention and Management of Chronic Conditions: International Perspectives,Bangkok,Thailand,106.

  評 価

ガイドラインを使用したいという病院が複数あ り、また片岡が開発したスクリーニング測定用 具を使用したいという申し出もあり、現在進行 中のアクションリサーチの評価を待っている。 研究代表者

堀内 成子

( 性暴力 ) 研究分担者 片岡弥恵子 江藤宏美 大隅香 松本直子 研究協力者 八重ゆかり ( 死産 ) 研究分担者 有森直子 桃井雅子 片岡弥恵子  土屋円香 研究協力者 太田尚子 蛭田明子 石井慶子  堀内祥子

 

 Women‐Centered Careプロジェクト

   性暴力被害者支援

-People-Centered Care をめざす看護実践開発研究

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研究の背景と意義

死産は、母親や家族に大きな悲しみを引き起こ す重大な健康問題である。しかしその悲嘆は、 周囲に理解されにくく、その死自体がタブー視さ れやすいという社会背景がある。多くの体験者 は、死別後、外出を避け孤独を感じることが報 告されている。そこで、死別体験者が集い、安 心して子どもについて語り、悲しみを分かち合え る場が必要であると考え、体験者のセルフヘル プグループ「天使の保護者ルカの会」を 2004 年 9 月から開催してきた。

これまでの研究活動とその成果

死産を経験した家族、およびケア提供者の看護 者に対して、悔いのない出会いと別れを支援す るリソースとしての「天使キット」を開発し、そ の実施と有効性を評価することが研究の目的で ある。主な活動は次の 3 点である。 1. 小冊子の作成「悲しみのそばで─死産・新 生児死死亡で赤ちゃんを亡くされたご家族 へ─」(写真 1 参照) 文献調査からのエビデ ンス、死産を体験した 母親とその家族のケア に対するニーズを反映さ せ、入院中から退院後ま でのケア項目、内容を 検討した。地域のリソー スリストについては確実 に紹介できるものを探し 掲載した。 2. 母親のケア・ニーズに関する先行研究や海 外の視察結果を基に、「天使キット」の試 作品を創った。日本手芸普及協会キルト リーダーズ東京と小茂田工業との共同開発 で進めてきた。(写真 2 参照) 3. 毎月開催している「天使の保護者ルカの会」 参加者の声から、お空へ還した天使のため に贈り物をつくる「エンジェルキルト」をキ ルトリーダーズ東京の協力を得て開催した。 (写真 3 参照)子どものために創作すると いう行為が、母なるもののアイデンティティ やマザリングの保証につながっていること が示唆された。 学術論文 宮本なぎさ、太田尚子、堀内成子、死産を経験した母親を支えるケ ア―セルフヘルプミーティングがもたらす人間的成長―、聖路加看 護学会誌、9(1)45-54、2005 学会発表

Shigeko Horiuchi, Naoko Ota; Care for Mothers of Stillborn Babies: Self-help meeting to encourage their psychological Growth, Prevention and Management of Chronic Conditions: International Perspectives, Bangkok, Thailand,216.

堀内祥子、松永しのぶ、太田尚子、石井慶子、堀内成子、死産を体 験した親のセルフヘルプグループ、第25回社会精神医学学術集 会、110,2006.

  評 価

小冊子および天使キットをモデル病院において 試用・評価する予定である。

 

 Women‐Centered Care プロジェクト

   死産を経験した家族への支援

-写真1 小冊子「悲しみのそばで」 写真2「天使キット」:メモリーボックス、衣服、セレモニーカード 写真3「エンジェルキルト」:くたくたベアーと骨つぼカバー

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研究代表者

森 明子

 

 不妊女性への

Women-Centered Care

モデルの開発

今日、日本において不妊カップルへの支援と生 殖医療のあり方は、社会的に大きな関心が寄せ られ、論議の的の一つになっているといっても 言い過ぎではない。一方、社会的認知は広が りつつあるものの、不妊を不孝や不幸とみなす 偏見や治療に対する無理解は未だ広く存在して いる。また、生殖補助医療技術は発展したもの の、法的規制の不在、診療ガイドラインやイン フォームドコンセント、カウンセリングなどの未 整備により、治療を受ける女性・カップルは、『不 妊』とその『治療』からくる二重の心理的ストレ スを抱えている。したがって、女性自身が不妊 や治療にともなうストレスに対処する力をつける ことができるようなケアプログラムを開発するこ と、また、女性やカップルが自分(たち)らしい 選択できるように専門家と当事者が共同して情 報提供し、サポートすることは、両者にとって意 義深いことと考える。

 自助グループとの不妊治療の

 インフォームド・チョイスのための

 冊子の共同制作

これは今年度の新しい企画であった。不妊経 験者による自助グループ「フィンレージの会」 と共同執筆により、16 ページの小冊 子「My Choice 不妊治療 わたしらしい選択のために」 を作成。今年度は計 4,200 部印刷した。一般 53 人、医療者 34 人より、アンケート 87 部 を回収(2005 年 12 月)。他の人に紹介したい (83 人)、無回答(3 人)、その他(1 人)であっ た。市民からの直接の冊子の申し込み(FAX、 e-mail、はがき等)件数は計 539 件にのぼった (2006 年 3 月)。 関連学会等での紹介・配布 : * 2005 年 8 月 4・5 日 第 23 回日本受精着 床学会学術講演会(大阪市) * 2005 年 8 月 6 日 第 2 回日本不妊看護学 会実践不妊看護セミナー(神戸市) * 2005 年 8 月 27 日 第 3 回日本不妊看護学 会学術集会(千葉市) * 2005 年 9月3日 フィンレージの会 「レッツ・ トーク・不妊 2005」(東京都) * 2006 年 3 月 4 日 船橋市女性センター講座 「不妊をめぐって~わたしらしい選択~」(船 橋市)

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People-Centered Care をめざす看護実践開発研究

研究分担者 堀内成子 桃井雅子 小陽美紀 土屋円香 研究協力者 岡永真由美 滝口直子

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マスコミ紹介・関連記事 : * 2005 年 7 月18 日(月)22 時 15 分~ 55 分 (40 分間)NHK ラジオ第一放送 ホリデージャーナル「赤ちゃんがほしい~不 妊治療 2005」 * 2005 年 9 月14 日 毎日新聞・朝刊 自ら 方法を選び納得して歩んで 不妊治療経験者 と聖路加看護大学が小冊子 * フィンレージの会 会報 89 号ほか、会の ホームページでも紹介 * その他 女性誌(光文社)オレンジページ

 当事者のストレス軽減のため

 個別アプローチ

昨年から引き続き、1)は研究、2)は実践活動 として継続した。 1) 不妊治療中の女性がストレスに対処できる ようになるための、2 種類のサポートプロ グラムを作成し、介入研究を行った。その 結果、ストレスマネジメントに関するホーム ワークノートを活用したプログラム群の女性 は健康関連 QOL 尺度において、QOL が下 がりにくく、保たれることが示唆された。プ ログラムの作成のための研究成果(2004 年、学会口演発表したもの)を投稿した。 森明子、有森直子、桃井雅子、堀内成子、福田紀子 : ストレスを軽減するケアプログラムへの不妊治療早期 の女性のニーズ─フォーカスグループインタビュー法を 用いて、日本不妊看護学会誌、2(1):12-19、2005 2) e-mail を活用したよろず相談(個別相談) を行った。2005 年度は約 15 件の相談を 受けた。

 当事者および看護者への情報提供、

 教育のための集団アプローチ

昨年に引き続き、1)は市民向け、2)は専門家 向けに 2 つの催しを行った。 1) 2005 年 5 月 28 日、市民セミナー「不妊 治療でのインフォームド・チョイスの重要 性」を聖路加看護大学にて開催。ジャー ナリストで不妊治療経験者の、「日本で不 妊治療を受けるということ」(岩波書店) の著者まさのあつこ氏を講師にお迎えし、 ご講演いただいた。約 70 人の市民が参加 した。 2) 2005 年 8 月 6 日、実践不妊看護セミナー 「男性原因不妊のカップルへの看護」を日 本不妊看護学会との共催で流通科学大学 (神戸)にて開催。約 50 人の看護職者が 参加した。

 医療関係者と経験者の連携の模索

不妊専門の看護者とジャーナリスト(経験者を 含む)らによるネットワークが生まれ、プロジェ クトリーダーの森、聖路加国際病院スタッフ、 本学大学院生らが参加。

  評 価

今年度の本プロジェクトの最も大きな成果は自 助グループとの協働とその成果物としての小冊 子であった。市民からも専門家からも好評であっ た。次年度は共同企画をアウトリーチ活動で拡 大しつつ、冊子の普及をはかり、残部がなくな り次第、Web 配信する予定である。また、次 の冊子の開発にとりかかる予定である。 次年度は、協働活動についての研究基盤をより 強固なものにしたいことと、研究成果について 学会発表や公表に努めたい。

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(18)

研究代表者

川越 博美

 

 地域緩和ケア(在宅ホスピスケア)  

  プロジェクト

地域緩和ケアプログラムと

システムの開発

―市民との協働による家で死ねるまちづくりー

本プロジェクトは、「市民との協働による家で死 ねるまちづくり」を目的として、市民がケアに主 体的に参加する緩和ケア、市民と専門職が協働 する緩和ケアを地域に築くための研究活動をす すめています。具体的には次のような研究目標 を立てています。 市民参加型地域緩和ケアシステムの構築 ①地域緩和ケアチームの概念を明確にする ②地域緩和ケアチーム基準を作成する 市民参加型地域緩和ケアシステムに必要な プログラムの開発 ①緩和ケア訪問看護ステーション(専門特化型 訪問看護ステーション) ②ホスピス通所看護(訪問看護ステーションが 市民ボランティアをともに実施するホスピスデ イケア) ③在宅ホスピスケア市民ボランティアの育成プロ グラム

2005 年度の活動

1. 市民交流会のあとに 昨年行った市民交流会の議論がきっかけとな り、市民からの要望で 6 月に『中央区のケアマ ネージャーに対する勉強会』が開催されました。 この勉強会は、中央区介護保険サービス事業 者連絡協議会・居宅介護支援連絡会・中央区 福祉部高齢介護課・聖路加看護大学 21 世紀 COE プログラムの共催で、60 人程集まり活発 な会となりました。  2. 在宅ホスピスボランティア講座の開催 市民・専門職・行政の協働によるヘルスプロモー ションに基づき、講座の計画段階から市民が参 画し、3 回の本講座の運営にも加わり、市民が 主体の在宅ホスピスボランティア講座を開催し ました。この講座は、聖路加看護大学 21 世紀 COE プログラム主催、中央区社会福祉協議会・ 墨田区社会福祉協議会共催で、看護ネットや市 民交流会、社協の広報誌を通じて45 人の市民 が受講しました。詳細については、COE 研究員 (吉川)の報告ページをご参照下さい。  

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People-Centered Care をめざす看護実践開発研究

研究分担者 廣瀬清人 長江弘子 酒井昌子  吉川菜穂子 研究協力者 福井小記子 大金ひろみ 内田千佳子 在宅ホスピスボランティア講座

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家で死ねるまちづくり地域緩和ケアプログラムとシステムの開発

行政(市町村) 家族 本人 市民参加型在宅緩和チームケアチーム 市民 ボランティア 市民 ボランティア 診療所 ステーション訪問看護 ステーションヘルパー 調剤薬局 ●ホスピス通所看護プログラム開発 ●緩和ケア訪問看護ステーション基準作り ●「家で死ねるまちづくり」市民交流会 ●在宅ホスピス市民ボランティア育成プログラムの開発 制度化に向けての働きかけ ●通所看護制度化(平成18年4月) ●在宅緩和ケアチーム基準作り 病院 緩和ケア病棟 3. 地域緩和ケアチーム基準づくり 地域緩和ケアチームの基準づくりのために、全 国の訪問看護ステーションを対象とした全国調 査を実施し、回答を得た 981 施設の 1,398 事 例について分析を行いました。その結果、自宅 で最期まで過ごすことができた事例では医師・ 看護師に加えケアマネ、ヘルパーがかかわって ケアを提供していましたが、それ以上のチーム メンバーの参画はほとんどありませんでした。 またホスピスケアの専門教育を受けた看護師が かかわった事例は 1% 未満でした。 在宅死した 689 事例(49.3%)ではチームメン バーとケア内容の主観的評価が病院死の事例よ りも有意に高く、上記の結果から、専門看護師 が少ないながらも在宅死まで支援している現状 が明らかになりました。今後、文献検討から見 出されたチームの核になる専門教育を受けた看 護師の育成が早急に必要であると考えます。 4. 緩和ケア訪問看護ステーション (専門特化型訪問看護ステーション) 地域緩和ケア訪問看護ステーションに必要な要 件(45 項目を集約)を作成し、全国の訪問看 護ステーション(約 3,700 ヶ所)に調査協力依 頼をしました。今後、この調査の分析を行って いく予定です。 5. ホスピス通所看護(訪問看護ステーション が市民ボランティアをともに実施するホス ピスデイケア) 昨年の評価欄で述べたように、ホスピス通所看 護の制度化に向け、提言を行いました。その結 果、介護保険の中に療養通所介護費が新設さ れ、末期がんの方への通所ケアが可能となり、 自宅で過ごすための支援体制がより強化されま した。

  評 価

今後は、まちづくり交流会でできたつながりを どのように発展させ、家で死ねるまちづくりにつ なげていくかが課題です。同様に、本プロジェ クトで開発したプログラムが制度化されるよう政 策提言をしていく必要があります。

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(20)

 

 慢性疾患をもつ子どもの在宅ケアの

  ための組織的プログラムの開発

高度専門医療の発展に伴い、医療機器を装着 し、また医療処置を継続しながら家庭や学校 で生活できる子どもたちが増加してきている。 そのような子どもたちや家族が、在宅療養を安 心かつ安定した形でおくることができるようにす るには、医療のみならず福祉や教育との連携は 欠かせない。しかし、関連職種間の連携やネッ トワークの不十分さ、コーディネーターや連携 の窓口の不明瞭さ、利用できるサービスや看護 支援体制の不足など、さまざまな問題や課題が 指摘されている。また、提供される小児医療や 社会資源、学校の受け入れなど格差があり、さ らに家族機能の泥弱さ、土地柄なども絡み、子 どもを取り巻く療養環境は複雑化している。こ のような状況の中で、それぞれの子どもや家族 の状況、住んでいる地域に密着した、よりきめ 細かな支援体制を検討することが必要となって いる。 本研究は、慢性疾患や障害をもつ子どもの在宅 ケアの質を確保するため、子どもや親、医療・ 福祉・教育機関などを組織的に取り込んだケア プログラムを、地域性を考慮して開発すること である。

これまでの研究活動とその成果

1. 関東の 3 地域(栃木、福島、東京中央区) を選定し、その地域の基礎資料を得るた めに、これまでに公表されている地区資 料を収集分析するとともに、慢性疾患や 障害をもつ子どもや家族へのニード調査 を実施した。また、3 地域において、看 護職(病棟・外来看護師、保健師、訪問 看護師、養護教諭、地域)によるフォー カスグループインタビューを行い、慢性疾 患の子どもへのケアの現状や課題を分析 した。 2. 上記の結果をもとに、最初に組織した各地 域のフォーカスグループ(地域によっては患 児の親も参加)を中心に活動内容を話し合 い、展開していった。以下、今年度の活動 内容を地域ごとに述べる。 1) 栃木地区では、主に病院の看護職を中心と して、医療・福祉・教育の連携を図るため の社会資源を紹介したパンフレットを作成

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People-Centered Care をめざす看護実践開発研究

研究代表者

及川 郁子

研究分担者 平林優子 小野智美 眞鍋裕紀子 研究協力者 川口千鶴 朝野春美 多田敦子  鈴木千衣 田中克枝 古溝陽子  石井由美 小原美江 田村佳士枝  横山由美  写真1. パンフレット

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