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論 文

品質機能展開における重要度評価に関する研究

小林美智雄 新藤久和

(平成5年8月31日受理)

Prioritization of Items in Quality Function Deployment

MichioKOBAYASHI HisakazuSHINDO        Abstract   In Quality Function Deployment, evaluations of items contained in various tables have not been established.   This paper introduces a prioritization based on AHP(Analytic Hierarchy Process)after examining traditional two methods. Besides, the prioritization is extended to be of fuzzy verslon.       1.はじめに  1970年代の高度経済成長期以降もの余りになり,その 結果消費者の要求が多様化し,商品のライフ・サイクル は縮まった.そのため,企業は短期間に市場の要求を把 握し品質を保証した新製品の開発を行なう必要が生じた.  このような状況において, 「品質展開」が赤尾ら[4] により提案され,現在新製品開発における具体的方法と して広く活用され,最近では欧米でも導入実施され,成 果が報告されている.  品質展開は,マーケット・インの思考に立ったもので あり,市場の要求に応じて重点指向していくことが必要 である.しかし市場の抽象的な情報のままでは,企業は 具体的な製品を設計することは不可能である.そのため に,企業は市場の要求品質の重要度合を示す「要求品質 重要度」を技術的管理特性である「品質要素重要度」に 変換し,重点項目を取り上げていかなければならない. しかしこれまで,この重要度の変換方法についていろい ろな方法が提案されてきているが,理論的な研究がなさ れていないのが実状である. ’電子情報工学科,Department of Electrical Engineering& Computer Science  また赤尾ら[3]は,T.L.Saatyにより提案さ れたAHP[1]を用いて,要求品質の各項目の重みを数 量化する方法を提案している.しかし,AHPにおける 一対比較の評価は意患決定者の主観的判断で行なわれる ため,あいまいになることが多い.  そこで,本論文ではまずこれまでに提案された重要度 変換の方法についてシミュレーションを行ない,それら の方法について検討を行なった。さらに,一対比較にお ける意思決定者のあいまいさを考慮に入れ,一対比較値 にファジィ測度を導入したAHPを用いる重要度変換に ついて検討した.          2.品質機能展開  品質機能展開は,新製品開発における品質保証を企画 ・設計段階から一貫して進めていくための体系的活動の ことであり,新製品開発における品質保証の具体的方法 として広く活用されている.  広義の品質機能展開とは, 「品質展開」と「狭義の品 質機能展開」の総称である.本論文では「品質展開」を 対象とする.  また,品質展開において中心的な役割を果たすものと

(2)

して品質表がある.品質表は,要求品質展開表と品質要 素展開表を二元表の形に組み合わせて,記号◎,○,△ を用いて相互の関連を明確にしたマトリックスのことで ある(表2.1).このような品質表を用いることにより, マーケット・イン(消費者指向)の考え方に立った製品の 設計・製造が行ないやすくなる. 表2.1 品質表の例       品 竹 特 性 キ 求 品 質 1次      2次 1   3次 111持ち運びしやすい 】操作し @やすい 11持ちやすい @      (D 112小さくて持ちやすい 】13軽くて持ちやすい Ii4持った時安定悠かある Il5安定した散き方がてきる 】21過1惣二爪さかある 13操f1中’蒐れない @      (膓)122適度な大きさかある 13,操作かわかりや @すい    {3) 131使用方法かわかりや†い 132初心者でも操報がしや†い 】4.楽に操nかてき @る     国} 141小さくても操縦かしやすいP担表示が読みやすい          3.重要度変換 3.1 重要度変換の意義  市場の要求を示す要求品質のままでは,現実の製品を 技術的に実現していくことは不可能である.実際に製品 を技術的に実現するためには,この市場の要求(要求品 質)の中で重要なものを技術特性(品質要素)に変換しな ければならない.そのために,品質表の対応関係を用い て重要度変換を行なう必要がある, 3.2 従来の重要度変換の方法 (1)採点基準表を用いる方法[‘]  採点基準表は,関連の強さと要求品質重要度の関係を 突き合わせ,関連が強くかつ重要度の高いものに高い得 点を与え,重点問題を取り上げるための表である(表3. 1). (2)比例配分法[3]  品質表の行項目と列項目の関連の強さを示す記号◎, ○,△を数量化した値の和を求め,要求品質重要度を記 号◎,○,△のそれぞれの大きさに比例して配分し,そ の値を縦に合計して品質要素重要度を求める方法のこと である.記号◎,○,△の数量化は,通常◎:○:△=

5:3:1,4:2:1や3:2:1が用いられる.

(3)独立配点法[3】  要求品質重要度と品質表の行項目と列項目の関連の強 さを示す記号◎,○,△を数量化した値の積を求め,そ の値を縦に合計して品質要素重要度を求める方法のこと である.また,記号◎,○,△の数量化の数値は比例配 分法と同様である. 3.3従来の重要度変換の方法のシミュレーション (1)マトリックスの作成  次の条件で10×10マトリックスを作成した(表3.2). 1)1行あたりの記号◎,○,△の合計個数 2∼6個 2)重要度は以下の条件で与える. r(一様乱数)の値 0. 75≦r<1、 00 0,,50≦r<0. 75 0. 25≦r<0. 50 0. 10≦r〈0. 25 0.00≦r<0,10 表3.2 マトリックス 重要度

 5

 4

 3

 2  1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10重要度 1 ○ 5 2 ○ ○ ○ ◎ ◎ ◎ 5 3 ○ △ ○ ◎ ◎ 1 4 ○ 5 5 ◎ ◎ △ △ △ 5 6 ○ △ 4 7 ◎ ○ ◎ ◎ 2 8 ◎ ○ 2 9 ○ ◎ ○ △ △ 4 10 △ △ △ △ ○ 5 表3.1採点基準表の例 関連の強さ ◎ ○ △ 5 7 6 5 4 6 5 4 3 5 4 3 2 4 3 2 1 3 2 1 (2)計算方法および結果  表3.2について実際に以下の方法で計算を行なう.  ・採点基準表:表3.1を用いる.  ・比例配分法,独立配点法:   記号◎,○,△の数量化は以下のものを用いる.

・・△一

o、i:i:i;i、i’i

(3)

平成5年12月 山梨大学工学部研究報告 第44号  結果は表3.3のようになる.ただし,順位は重要度の 高い順に並んでいる. 表3.3 表3.2の結果 方法       位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 採点基準表 列番号 d要度 933 830 10 Q4 621 721 516 315 lll 211 44 例配分法 T ‘3 :1 列 号 d要度  9V.09 10 U.88 7T.31  8T.06  6 S.98  3 Q.86  5Q.54  1 k5  2k34  4O.3 比例配分法 S ・2 :1 列番号’貢要度  9 U.94U.1610  6T.72 8T.53  7 T.18  3 Q.79  5Q.56  2 k39  1k36  4O.36 比例配分法 R :2 :1 列番号 d要度  9ケ.o 10 U.2  6T.5  8T.4  ? T.0  3Q.6  5Q.47  1k56  2k50  4O.4 比例配分法 X ・3 11 .列番号 d要度  9U.98U.7310  7T.56 6T.24 8T.19  3R.0  5Q.80  2 kl3  lkl2  4O.24 比例配分法 P0 :5 11 列番号 d要度 V.6710  9V.14 7T.57 8S.64S.41 6  3R.02 5Q.65  lk46  2P.1  4O.32 比例配分法 W :4 11 列番号 d要度 10 V.3  9V.11  7T.5  8S.83  6 S.6  3Q.9  5Q.64  1k44  2kl8  4O.33 独立配.法 T :3 :1 列 号 d要度 965 861 752 645 10 S4 540 127 220 47 独立配点法 S :2 :1 列番号 蝸v度 952 850 638 10 R3 332 530 ll8 4 独立配点法 R :2 :1 列番号 v要度 946 843 734 10 R 526 118 4 独立配点法 X 13 :1 列番号 d要度 989 780 368 556 10 S8 127 220 47 独立配点法 P0 :5 11 列番号 d要度 9109 8104 680 10 U9 145 411 独立配点法 W :4 11 列番号 P要度 990 886 777 666 362 558 10 T 136 49 (3)結果の考察  表3. 3より以下のことがいえる. 1)それぞれの方法において順位が異なる. 2)重要度の高い順に並べ換えた列を上位・中位・下位グ ループに分類すると,記号◎,○,△の数量化の数値を 変えてもほぼ同じように分類されるてとがわかる.  ここで,それぞれの方法について表3.2の7列と10列を 用いて結果をそれぞれの方法について考察する. 表3.4 7列と10列の比較 7列’ 10列 記号の総数 4 5 ◎の総数 2 1 ◎の重要度 5.2 1 表3.4より,感覚的に7列の方が重要度が高いといえる. ①採点基準表を用いる方法  10列の重要度が7列よりも高い.これは,採点基準表 の評価点の差が小さいためである.この点から,採点基 準表を用いる方法はあまり好ましい方法とはいえない. またこの方法は,重要度変換の方法として通常用いられ ていない. ②比例配分法  7列より10列の重要度がすべての場合において高い. これは10列に影響を与えている1行目の記号が過大評価 されてしまっているからである.この点から,比例配分 法はあまり好ましい方法とはいえない. ③独立配点法  すべての場合において7列の方が10列よりも重要度が 高い.この点から,この方法は最も感覚に合っていると いえる.  以上より,経験的に独立配点法が適している.また記 号◎,○,△の数量化は,複数行ない重点項目を絞り込 むのがよいと思われる.       4.AHP  AHP(Analytic Hierarchy Process)は階層化意思決 定法と呼ばれ,比率尺度による一対比較をもとに,全体 としての項目間の比率尺度を決定する方法のことであり, 品質展開において重要度を求める方法として用いられる ことがある. 4.1 一対比較  複数の項目を比較する際に,2つの組み合わせすべて について数値によって比較し,重要度を決定する方法の ことをいう,一対比較には,次のような特徴がある. ・2つの項目間の比較なので,回答しやすい. ・全体として首尾一貫した整合性を保つことが難しい, ・比較項目の増加に従い,比較回数が急激に増加する.  そこで本論文では,不完全一対比較を用いて回数の減 少を行なう.不完全一対比較とは,一対比較値aijの代 わりにWi/Wjで近似する方法のことである. 4.2 ウェイトの算出法 (1)固有ベクトル法  n個の評価項目11,…,1。があり,その真のウェイ トがWl,…,W。であるとする.このとき,項目Iiと 1、の重要度の一対比較値ai」と真のウェイトw、, Wj との間には式(4.3.1)の関係がある.        ・1,−WI    (4.・3.・1)        Wj したがって,一対比較行列Aは次のようになる.        Wl  Wl      Wl        Wl  W2      Wn   A  =     :     :    ・ .  :       (4.3.2)        Wn   Wn      Wn        Wl  W2      Wn  ただし,この一対比較行列Aは理想的な評価が行なわ れた場合にのみ実現する行列である.この行列Aに右側 からウェイトベクトルを乗じると,次のようになる.   Wl     Wl

 −’°−   

Wl    Wl

  Wl       Wn   : .. :    :  =n  :   (4.3.3)   Wn     Wn

 −”−   

Wn    Wn

  Wl       Wn

(4)

 よって,ウェイトベクトルは行列Aの固有ベクトルで あり,nは固有値λである.また行列Aの2行目以下は 第1行の定数倍であるから,行列Aの固有値λ1(i・1, 2, …,n)のうち1つだけが非零,残りはすべて0である. また,固有値の和はnであるから      λrnax=n,  λi=0(i≠max)   (4.3.4) となり,λ ,, 。xに対する固有ベクトルwがウェイトとし て推定できる,また,固有ベクトル法は整合性の評価と して整合度と整合比をもつ. (2)対数最小二乗法  式(4.3.1)において,一般には次のような関係が成り 立っものと考える.ただし,ε日はウェイトの残差とする.    a1戊= Wi × ε、} ,εL」>0  (4.3.5)        W」  この式(4.3.5)において,両辺の自然対数をとり,変 形すると次式のようになる.    1・g・・一一1・・gal言w,  (・・3・6)  対数最小二乗法は,この対数残差logεoの二乗和を 最小にするようなものとして,logw iを定め,指数変換 することにより推定量w、を求める方法である.  項目liと1、の一対比較のデータがδij個あると考え ると式(4.3.6)は次式のようになる.

   1・9・−1・gail詰W」  (4.3.7)

        :log a ijk−logwi+logwj  さらにyuk=10gaijk, x、=10gwi, x」== logw j, また項目Ilについての対数残差の二乗和をEi2とする と,次式が得られる.   n     。 nδ』,   ΣEi2=ΣΣΣ(yi戊k−Xi十Xj)2(4.3.8)   i=l      i=llslk亘1         )≠l  n項目すべての対数残差の二乗和の最小化は,それぞ れの項目いについての二乗和E、2を最小化することと 同値となるので∂Ei2/∂Xiを解けばよい.この式を 解き,定式化すると次式が得られる.     n    n       。δ1}   x、Σδo一Σδ、IX、 = Σ Σ yilk  (4.3・9)    ,“1     )=1      」ロlkEl       」≠1        」≠1  したがって,この式(4. 3.9)を解くことにより,Xiを 求めることができる.そして,x、の指数変換を行ない, ウェイトベクトルを求め基準化を行なうことにより,評 価項目1、のウェイトw,を推定できる. (3)固有ベクトル法と対数最小二乗法の比較[9〕  一対比較行列からウェイトを算出する方法として,通 常では固有ベクトル法が用いられている.この理由とし ては,固有ベクトル法のみが整合性に関する基準をもつ ことなどが挙げられる.  しかし本論文では,一対比較値のファジィ化を容易に 行なうことができる対数最小二乗法を用いる.          5.ファジィ理論 5.1ファジィ数  ファジィ数とは,あいまいで不明確な数であり,実数 の集合を台集合とするファジィ集合である.そして,そ のメンバーシップ関数は,メンバーシップ値μ(x)が1 となる要素xを持っているものをいう.ファジィ数のメ ンバーシップ関数の値は,主観で適当に定めてよいが, ここでは,意思決定者が簡単に表現することができ,演 算が行ないやすい三角型ファジィ数を考える.  数直線R(=(一。。,+。。))の三角型ファジィ数を考え ると,メンバーシップ関数μ:R→[0,1]であるな ら,μは以下のように定義できる(図5.1).         X − S ,X∈[S, m]        m s    m  s

 μ(・)= ・一・ ,x∈[.S5・尋〕1)

       m u    m u        O     ,その他  ここで,sとuはそれぞれファジィ数の下限と上限の 値を表わし,mは最も可能性の高い値(μ(m)=1)を表 わす.このときファジィ数を(s,m, u)と表わす.また, μ 1一        s  m  u   R 図5.1ファジィ数のメンバーシップ関数 ファジィ数は要素{x∈Rls<x<u}の集合である,  また三角型ファジィ数の種々の演算は次のように簡略 化することができる.  a)和 (S1,ml,U1)(∋(S2,m2,U2)      =(Sl十S2,Ml十m2,U1十U2)  b)積 (s1,Ml,u、)⑧(s2tm2,u2)      ≒(sls2,mlm2,ulu2)    (5.1.2)

・)逆数(・,m,・)・(÷,÷,÷)

 d)対数 10g(s,m,u)≒(Iogs・109m,109u)  e)指数 e(”「n・u)≒(e’,em,eu) 5.2 対数最小二乗法のファジィ化        Wi 評価項目1、と1、のウェイトの比率        をファジィ数        W】  a、」=(Su,Mij,U、j)で次のように評価できる.

     i、j.{iil‘    (5.2.1)

         軌

(5)

平成5年12月 山梨大学工学部研究報告 第44号 また同様に推定したいウェイトW、=(Si,M、,U,),  w,=(Sj,M、,U、)とし,式(5.2.1)をファジィ演算 を用いて変形すると次式が得られる.            言lj−_巴={v、⑧{il、−i        声」      (5.2.2)      一(Si  M、  UiU戊’ M」’ Sj)  式(5.2.2)は,式(4.3.5)と同様一般に次式が成り立つ.      ∼    箭、  ∼      a 、」=        ×  ε 、」       (5.2.3)       窃i ただし,7i,=(εSLS,εMij,εU日)とし,ウェイト の残差を表わす. 式(5.2.3)より次式のような関係が成り立つ.   (S日,M口,U口)=    (S、  Mi  UiU,’ Mj’ Sj)・(・…εM。・螂)  そこで,式(5.2.4)の三角型ファジィ数の3点それぞ れにおいて,残差を最小にするように,対数最小二乗法 を用いて定式化し,   言i=(s,.m、,Ui)== 10gW、     (5.2.5)        N   yiik=(sl,k,m、」k,uijk)=loga1,k(5.2.6) とおくと,次のような式(4. 3、15)をファジィ化した正規 方程式を得る.     n    n     。δ,j   s、Σδij一Σδ日u)=ΣΣs日k   (5.2.7)     {:{  {:i    l二ik訂     n    n     。δiJ   m・Σδ日mΣδIJm、=ΣΣmtik   (5.2.8)    に}  {:}    川k司     n    n     。δi」   u、Σδ、」一ΣδllS」=Σ ΣUijk   (5.2.9)        1=l    l=1        1==lk=l    J≠1      」≠1         〕≠L 式(5.2.7)∼(5.2.9)の正規方程式を解くことによって, 言i=(Si,mi,Ui)を求めることができる.  一般に上式の解は,次のように与えられる【6〕.   ㍗、=(s、+p1,m、+p2, u、+p1)  (5.2.10) ここで,p1, p2は任意に与えられるパラメータである. ただし,p1, p 2は必ずしも次式のように選ばれない.   sL+Pl≦mi+p2≦u、+p1    (5.2.11)        しかし,式(5.2.10)のXiを指数変換し,基準化したウェ   NイトWiの結果は,経験的に   下限値≦最も可能性の高い値≦上限値 という関係が成り立つ[6〕.  また,式(5.2.7)∼(5.2.9)の方程式をAx=bと表わ したとき,行列Aが正則にならないときがある.このよ うなときは,以下に示す一般逆行列を用いて解く.   A−1=CT(CCT)−1(BTB) 1BT (5.2.12) ここで,n×n行列Aに対してrank・A・=rとするとき,

A=BCを満たすnXr行列Bとr×n行列Cとする,

5.3ウェイトの規準化  得られたウェイトに対して以下のように最大値を1と      N        基準化したαiによりウェイトw、を評価できる.  α、=(γleXp(Si),γ2eXp(mi),γ3eXp(u、)) ここで である.      n γ1=(maxexp(Ui))−1     i=l      n γ2=(maxexp(m,))−l     l=l      n γ3=(maxexp(s、))一’1     1=1 (5.2.13) (5.2.14)       6.適用例 6.1 品質表の作成  最近のスキーブームにより,学生をはじめ数多くの人 がスキーをするようになった.ここでは,学生の要求を 満足するような「学生向けスキーツアー」の企画を行な う場合について考える.そこで,学生の要求を満足する 「スキーツアー」を企画するために原始データから要求 品質展開表を作成し,その要求品質展開表の1次レベル の項目とそれに対応する品質要素を抽出し,マトリック ス化した品質表を作成した(表6.1). 表6.1 スキーツアーの品質表 経済 快適 娯楽 安全言題 便利手 重要度 金が安い 4 泊施設がよい 5 コースがよい 4 スキ弔がよい ◎ △ ○ 5 よい雪である 4 通の便がよい 3 ◎:強い対応 Ol対応 △:対応が予想 6.2 ファジィ数を用いる方法の計算手1順  m×nの品質表に対して以下の手順を行なう. 手順1:以下の手順を1行単位で行なう. (1)第i行の列項目n個から,記号◎,○,△がついて  いるq個の要素とn個の要素について,三角型ファジィ  数を用いて一対比較をそれぞれδtj回行なう.その他  の非対角要素はδi)=0とする. (2)すべての対角要素は(1,1,1)とする. (3)得られた一対比較値においてファジィ対数最小二乗  法を用いウェイトを求め,基準化を行なう.  手ll頁 2:各行のウェイトの最大値の行項目と列項目を  ペアで取り出し,その項目間で関連の強さの一対比較  を行ない,ウェイトを求め,基準化を行なう. 手jle 3:基準化されたウェイトをそれぞれ取り出した行

(6)

のすべての要素に掛ける. 手順4:記号◎,○,△のない部分のウェイトを(0, 0,0)にする. 手順5:要求品質重要度の一対比較を行ない,得られた ウェイトについて基準化を行なう 手ll9 6:要求品質重要度とウェイトを掛け,縦に合計し 品質要素重要度を求める. 6.3 結果  表6.1の品質表に従来の方法およびファジィ数を用い る方法をそれぞれ適用し,重要度変換を行なうと表6.2 が得られる.表6.2のマス目の3つのウェイトは,上か ら三角型ファジィ数の下限値,最も可能性の高い値,上 限値を表わしている.また,ファジィ数を用いる方法に より得られた品質要素重要度を図示すると,図6.1のよ うになる. 6.4 考察  ファジィ数を用いる方法では,意思決定者がα一カッ トを行なうことにより順位付けを行なうことができる. 例えばα=0.8としたとき,図6.1より「快適性」と「経 1 0.8   H7

網ζ

H3 H2 済性」がほぼ同一順位と判断できるため,この2つの品 質要素を同じぐらい重要であると見なして企画を行なう 必要がある.  適用結果から,ファジィ数を用いる方法は従来の方法 と比較して次のような利点が挙げられる. (1)従来は,複数の要求品質に同じ評点を与えたとき, その意味あいの違いを表わすことはできなかった.しか しファジィ数を用いる方法では,その意味あいの違いを 表わすことができる. (2)従来の方法での記号◎,○,△の数量化の数値では, 関連の強さを量的に表現できなかった.一方ファジィ数 を用いる方法では,関連の強さを量的に表わすことがで きる. (3)従来の方法では品質要素重要度の評点差が小さいと きに,この2項目の取り扱いに注意が必要であった.し かし,ファジィ数を用いる方法では品質要素重要度がメ ンバーシップ関数で評価されているため,α一カットを 行なうことにより意思決定を行なえるので,このような 問題に対応できる.

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  oo      o,5      LD      Lら 図6.1 品質要素重要度を表わしたメンバーシップ関数       7.まとめ  従来の3つの方法を比較・検討した結果,独立配点法 が適しているという結論が得られた.しかし,この結論 はシミュレーションの結果だけによる経験的なもので, はっきりとした確証は得られなかった.  また,ファジィ数を用いる方法は一対比較におけるあ いまいさに対応できるようになった.しかし,この方法 には次のような問題点がある. 表6.2 ファジィ数を用いた方法と従来法による重要度変換の結果 0 品質要素 経済性 快適性 娯楽性 安全性 話題性 便利さ 手軽さ 0 口 1 料金が安い  10.4364 iO.579 :0.799  0. 08 掾@1.000 @1.000  0.241 「 0.321 @0.425 2 宿泊施設がよい   ・ TiO.818 :1.000 . O 0.307 @0.416  0. 掾@0.742 @1.000   . 「 0.124 @0,1 2   . O 0.262 @ .379 3 コースがよい  iO.3 0 S iO.482 @iO.656  0, 44 掾@0.742

@LOOO

 0.14 O 0.230 @0.355  0.111 O 0.183 @0.293 4 スキー場がよい 5il:000 il.000   . 掾@0.270 @0.330   . 「 0.054 @0.074   ・ O 0.117 @0.1 3 よい雪である  10.3 0SiO.482 :0.656  0.161O 0.214 @0.303   .248 掾@0.324 @0.444  0.044 「 0.067 @0.105 6 交通の便がよい  i ・ R iO.228 @:0.2   . O 0.237 @0. 70 △0:115 0.18   .掾@0.577 @0.813   台 O 0.338 @0. 15 フ ァ “ イ      いる     に @  口 0,496 O,884 P. 14 0. O,980 k529 0. 40 O,615 P.12 0,102 O,191 O.3 6 0.1 O,238 D414 0,185 O,346 O.5 7 0. O,263 O.47   一 。、 :  : 1 4 : 2 : 1 4.9 :22 4. 4 .0 3. 0 .44 1.4 例配分法   1: 3 「 .00 5.71 4. 4 4

L7

:  : 1 5.10 .20 5.4 1 7 .26 2. 0 6   従 @ 来  の @ 方i  法 ソ  に v  よ f  る d要度 :   : 0 2 8 22 2 立配点法  1  : 1 @:   : 1 X : 3 : 1 8 38 29 22 9 10 0    102 77 20    31 4 1 :   : 1 :    1 4

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平成5年12月 山梨大学工学部研究報告 (1)従来の方法に比べ計算が複雑で非常に手間がかかる. (2)本来得られたウェイトは,下限値≦最も可能性の高 い値≦上限値を満たされなければならないが,一対比較 値の与え方によって下限値〉最も可能性の高い値〉上限 値のような矛盾した結果になってしまうことがある.  今後の課題としては,この矛盾した結果になる原因を 明確にしていくことが挙げられる.       参考文献 [1]刀根薫:ゲーム感覚意思決定法,日科技連出版社, 1986 [2]赤尾洋二:品質展開入門,日科技連出版社,1990 [3]大藤正,小野道照,赤尾洋二:品質展開法(1)一品 質表の作成と演習一,日科技連出版社,1990 [4]水野滋,赤尾洋二:品質機能展開,日科技連出版社, 1978 [5]P.T. Harker:Alternative Modes of Questioning in the Analytic Hierarchy Process, pp353−360, Math. Modeling, Vo1,9, 1987 [6]P.J.M. van Laarhoven and W. Pedrycz :A Fuzzy Extension of Saaty’s Priority Theory, PP229−241, Fuzzy Sets and Systems 11, 1983 [7]星田昌昭,大滝厚:ファジィ測度を適用した評点法, pp47−50, JSQC第39回研究発表会要旨集,1991 [8]星田昌昭,大滝厚:ファジィ測度を適用した評点法 (2),pp35−38, JSQC第21回年次大会要旨集,1991 [9]仁科健,柴山忠雄:一対比較における固有ベクトル 法と対数最小二乗法の比較,ppll5∼ppl23, 品質Vo1.22 No2,1992

参照

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