日本における婦人労働者 : その生活構造と労働者福祉について(第7報)
17
0
0
全文
(2) . 日本における婦人労働者 -- その生活構造と労働者福祉について --. (第7報). 関. 谷. 嵐. 子. 問題提起 I X2 )(第1報) (北教大紀要第一部B, 2 5巻1号) 第一章 ( ( 3 )(第2報) (同25巻2号) 1 )(第3報) (同26巻1号) 第二章 ( ( )(第4報) (同26巻2号) 2 )(第5報) (同2 ( 3 7巻1号) I 2 第三章 ( X )(第6報)(同3 2巻1号) { 4 ( 3 X5 )および ) むすび. (第7報). (本号). (終). 3 ( ) 労働組合運動における「育児休職」などの要求とその具体化 -- 電々公社=全電通の諸制度 日本の労働組合運動において, 育児休業 (職) の制度化の要求はどのような形 で提出され, 具体 化されてきたか. それは, 組合婦 人部が中心と なって要求を提出し, 組合自体の交渉項目となって 協約の締結にいたる, という過程をたどることが多かっ たと思われる(本稿第6報の註1 1にかかわ る本文を参照) . その場合, その事業所の基幹的労働部分として・しかもかなりの多人数比率において, 既婚婦人 労働者が存在することが, 行動化に際しての組合内コンセンサスを得る条件である. そして第6報 でのべたように, それが協約化されるについては, かかる婦人労働力が経営上必要であるといっ た 職種能力の存在が前提されるといってよい. すなわち, 育児休業 (職) の制度化は, 単に婦人組合員の 「意識の高さ」 や 「力強い発言」 や 「切 実な要求」 や 「強い団結」 といった力関係の強弱 で実現されるものではない. 実現の客観的契機が あり, 組合がその客観的条件をつかみ婦人労働者のニー ズを顕在化する交渉 プロセスを経て, それ は実現されるの である. 従来の日本の組合婦人部の要求の パターンは, 「生理休 暇」へと集約される形をとってきたことが ) 一般的に若年未婚者の多かっ た1 多い1 950一60年代の婦人労働市場においては, 女子保護につい . ての多数のコンセンサスを得るためには, 産前産後休暇ではなく生理休暇が位置づけられてきたこ とがあきらかである. いわば, 生理休暇についての協定の あり方やその取得状況が, 事業所におけ 17.
(3) . 関. 谷. 嵐. 子. る・あるいは事業所の労働組合運動における婦人労働者の権利 状況を示す格好の指標となっていた, と考えられるのである. 以下にのべるように, その中で早くから, 産前産後休暇や育児時間について合意をとりつけ, ま た保育所の設置運動をすすめ, さらに「育 児休暇」「育児休職」への展望を方針として持つようになっ たのは, 代表的には全電通婦人部と日教組婦人部である. これら組合では, 本来, 婦人労働力構成 そのものがこうした政策の具体化を要求する体質をもっていたといえる.生理休暇以外の諸要求が, 他の組合婦人部のなか で次第に一般的となるのは, 明らかに, 高度経済成長の成熟期以降の, 既婚 者比率がたかまった時期からである. さて, 電々 公社は, 基幹労働部門として電話交換業務をもつが, その従事者の大半は伝統的に婦 960年代以降, 画期的な技術革新をとり入れ, 交換業務を大幅に自動化 人労働者であった. 公社は1 するにいたるが, 電話産業は飛躍的に増大し交換手をなお多数擁しつづけてきた. したがってその 組合である全電通は, 構成組合員の中心に, 企業内職業訓 練を経た 「交換手資格」 をもつ婦人労働 者をかかえ, その職種群の要求がつねに正面に登場しつづけている歴史をもっている. 全電通資料 によって, その職員構成をみると, 以下の点が指摘 できる (表は略) . 1) 女子職員数は, 1978年ま で逐年的に増加している. ただし, 男子職員の増加の方が大きく (-- 新規採用者は若年男子 が中心 である) , 女子の構成比は約18年間に1/3から1/4にさ 力ゞっ て い る.. 8.5年 8.3歳から36.9歳に, 勤続年数は11.4年から1 2) 女子の平均年齢は, この18年間に2 に伸 びている. すなわち年齢構成の高度化, 長期勤続の中高年齢層女子の増大が指摘される. /3が交換職 であるが, その人数と比率は次第にさがってきている. 3) 女子職員のうち, 約2 9 6.5%であったが, 1 76年には59.7%になって 1965年(=育児休職の本採用の年)にそれは, 7 いる.. 9 76年 4) 女子の育児休職者数は, 当初の1965年にくらべ1976年には約5倍になっている. 1 における女子職員中の休職者は3.5%である. 1 96 9年に試行成立の短時間勤務制度, 後述) も, 8年間に5倍弱に増大して 5) 特勤職員数 ( いる. 1976年における女子職員中のその比率は3 .0%である. 3.1%にま 974年には6 6) 女子の既婚率は, 1968年に49.8%でありもともと高かっ たのが, 1 } で 上 っ て い る. な お, 九 州 地 本 調 査 では, 1981 年 に, 80.6% に 達 して い る2 .. さて, 以下にのべる全電通の, 他の組合におけるより先行的なさま ざまの, 既婚婦人労働者の就 労継続条件の周辺整備に関する政策は, 上記のような労働力構成から導き出されたものであり, ま た諸制度の実現によ ってかかる労働力構成が一層 n高度化″ してきたことが明らか である (これは また, 現在および将来, 育児休職制度の活用が峠を越してゆくことをも推定させるものではある.) この場合, その中心となる電話交換職種と, その他にかなりの数を占める看護婦はともに, 労働 基準 法第62条における深夜勤務禁止の 適用外職種であり,各種の交替時間制度と深夜勤務がサイ ク ル化していることも念頭におく必要がある. こう した勤務時間制度の存在は, 出産・育児期の婦人 労働者にとって, 周 辺整備ニーズの顕在化を, 他職種より, 一層切実な緊急なものとする. すなわ ち, 「単に保育所があるだけ」 では済まされず, 育児休業 (職) や短時間勤務のニー ズが顕在化して くるのである. 全電通の先行的な諸制度の実現は, 単に長勤続の既婚者 が多か っ たことによるだけ で1まな い.. 1 965 195 5年試行, 1 95 8年本実施) この, 全電通における主な制度は, 企業内保育所( , 育 児休職( 3年本試実施)であ 年試行, 1968年本実施) 1969年試行, 197 , 特別勤務時間制度(パートタイム) ( 18.
(4) . 日本における婦人労働者. る, この他に, つわり休暇, 看護休暇(無給) , 生理休暇, 育児時間などがあるが, 本稿 ではふれな し、.. ◎企業内保育所 (呼称 「職場託児所」 ) . 195 3年, 全電通の全国婦人代表者会議 で, 職場託児所設置が提案され, 各地方最低1ケ所を目標 に団体対渉がおこなわれた, その結果1955年に試行的に5ケ所が設置され, 19 53年から本実施と } なった. 運営は公社共済組合による3 , 1 97 8年現在, この職場託児所は全国で29 975年 , 総収容定員664人基準が協約化されているが,1 度の1ヶ月 当り平均収容数は4 38人, 利用度は全国的に53%から7 3%であっ た(大都市より地方都 4 ) これらの点は 職場託児所による保育の限界性を示すもの である この 市での利用度がたかい) , , , 認識は当初からあり, 育児機能の補完と, 育児方法の選択の拡大のために, 育児休職がつ ぎに発想 ) さ れ て い っ た の で あ る5 .. ◎特別勤務時間制度. この制度は, 一定期間, 職員の身分をもったままパートタイム勤務の出来る制度 で, 民間デパー トなどで「短時間社員」などの名 称で導入されているものと類似している. 全電通は1969年に試行 の協約をむすび, 1 97 3年から本実施に入ったが, この制度の対象となる女子は, 電話運用, 電信運 用, 統計器操作, 診療の4部門所属者のうち満12歳未満の子どもを持ち, 一定期間特別勤務を希望 ) 期間は6ケ する者と, 4部門以外で満3年までの生児をもち真に止むをえない事情の者, である6 . 時間は4時間 月または1年(1年の場合更新できる) で本人の希望する時間帯 期間中役付職は免 , , ずる, 部門中定員は5%, 後補充が必要な場合は充当, などの運営上の取りきめがおこなわれてい る.. この特勤制度は明らかに, 育児期の婦人労働者の長期的ニー ズに対応した措置である. この制度 00名 である. の利用は, 表38にみたように1976年では約2 ,4 ) ◎育 児休職制度7 . 1 961年あたりから,全電通婦人代表者会議で提唱されは じめた育 児休職制度の発想は,「育児のた めに離職せ ざるをえない層の働く権利を守るもの」 であるとの確認のもとに, 1 964年には公社に要 求書を提出するま でに成熟した. 回数を重ねて団体交渉がもたれ, 1 9 65年に, 3年間試行が締結さ れた. 試行の内容は 生後2年ま での生児を有する者は本人の申出によって休職することが出来, その期間は無給であり定昇は延伸される, 休職後は従前の職種や局に復 帰する (これはその後合理 化のテムポが早いため配転や職域拡大など種々 の交渉をひきおこす) , 後補充が必要な場合は 「準 } レッテル方式」 (臨時雇用者の採用順序の取りきめ) で臨時雇用者を導入する, などであっ た8 . ) 196 8年にこの制度は本実施に移された. 労使における覚書( )は以下のよう である9 1 9 68 7 , 4, 1 . ・対象者は生後満3年ま での生児を有する職員 ( 1975年, 見習・臨時にも適用) ・休職期間後引き続き勤務する意志を持つ者 ・休職中職員の身分は失なわない ・期間は最短6ヶ月, 最長は出産休暇 (産前産後6週ずつ) に引続き生児が満3年に達するま で ・延伸は1回 ・同一生児について復職後の再休暇はおこなわない 19.
(5) . 関. 谷. 嵐 子. 8 全電通育児休職利用状況 (その1) 表3 年. A, 出産者数 B, 女子職員中 Cr 育児代職利 (概数) の出産者の比 用者数. 度. 8.3%. D. 復職者数. C/A. 530人. 9.0%. D/C. 1966. 5,900人. 人. 1967. 7’100. lo・0. 610. 8.6. 1968. 7,100. lo,l. 1,250. 17.6. 1969. 10.3. 1,050. 65.6. lo,l. 1,600 1,650. 22.2. 1970. 7,200 7,200. 22.9. 1971. 7’100. lo・0. 1,890. 26.6. 1,300 1,260. 66,7. i972. 6,800. 9,3. 2,160. 31.8. 1,360. 63.O. 1973. 6,400. 8.5. 2,510. 39.2. 1,500. 59,8. 1974. 6,000. 8.O. 2,810. 46.8. 1,660. 59.1. %. 78.8. 2,850 2,820”. 1975 1976. (婦人雇用調査研究会編 『働く婦人と保育』 P200 、 および本稿表38から算出) 年度末時点での利用者 0年1 1月における九州地本の延取得人数は, 2, 566人,延取得率は30 ※ 198 .4%である (全電通九州地本 『全電 九州時報』 N 1 P9 ) 7 o ., 。. 1 9 8 0 1 ) 表3 9 育児休職・特別勤務時間制度取得状況 ( .1 取得期間. 調査時. 6ケ月 9ケ月 i 年. き青を 青る青2 年 も青を青』青長峯. 計. 1 9 0 8 1 ,1. 5 0 2人. 1 8 8. 4 5 5. 1 1 3. 1 0 8. 0 9. 3 7 9. 7 7. 1 1 2. 1 3 3. 3 5 8. 0 7 , 4. 2 0 2 . 1 2. 4 2 . 8. 6 7 . 5. 4 3 , 6. 4 1 1 . 1 7. 2 9 . 3. 4 5 . 8. O 5 .. 1 3 3 .. うち 北海道. 8 1 7% . 1 6人. うち 九 州. 1 8 3% . 5 5人. 4 5 , 1 1. 1 3 6 . 4 6. I 9 . 1 1. 5 7 . 1 7. 6 8 , 8. 1 9 3 . 3 6. 4 3 , 1 1. I 9 , 2 0. 2 1 1% ,. 4 2 ,. 1 7 6 .. 4 2 .. 6 5 .. 3 I ,. 3 8 1 .. 4 2 .. 7 7 ,. 1 0 0 0 ,. (全. 国). 特. 勤. 2 6 6 8 , 1 0 0 0 ,. 2 2 2 8 ,. 9. 8 8. 1 0 9. 1 0 0 0 ,. 2 2. 1 0 2 , 4 2. 8 4 .. 9 2 .. 2 6 1. 2 1 0. (全電通調査) 育休中に続いて第2子がうまれるケース. また同期日の, 「育 児休職に関する覚書締結に伴う賃金に関する了解事項」 において, 「休職期間 中はいか なる賃金も支払われない」 ことが確認された (了解事項 「客観状勢が変らないかぎり, 育 ) 児休職の有給化はおこなわない.」 育児休職制度の利用状況等は, 表38・39のよう である. 女子職員に占める出産者の比は8-1 0% であり近年さがってきている. これは一般的な少産化傾向とともに, 電々 公社の女子職員の出産年 齢がピークをす ぎつつあることを示している. ところが, 出産者のうちの育 児休職利用者割合は, 試行当初9.0%であるが、 本実施後急速にたかまり1 974年には46.8%に達 している. 休職後の復職 者は約60%である(なお, その年の出産者と休職者の関係, 同一人の休職と復職を表3 9からみるこ とは できない) , 育児休職を利用 したのち退職する場合も, 一度復職してから, が原則 である. 九州 地本調査 (本稿の註2) 参照) によれば, 退職者の内わけは①取得期間中・満了の日または満了の 20.
(6) . 日本における婦人労働者. 日の翌日退職した人37.7%, ②期間満了日以降2日から6ケ月経過後退職した人39 .1%, ③期間満 3,2% (計10 0.0%) であり取得者中の退職率は2 0,3% (最近 了以降6カ月以上経過後退職した人2 l o ) 3年間計) であるが, 表39との関連でこれの高低度を判断することはできない , 一方,制度利用者が5 0%前後に至っているものの,その利用状況は表39の示すように3年未満に 8.4%, 2年以上が25.7%とい ひろく バラついている. が1年ま でが45.9%, 1年以上2年ま でが2 うように, 半数近く が育休法によるいわゆる育 児休業の「満1歳ま で」をオーバーした期間にわたっ ている, これは自宅育児の選択の実現という意味では, 婦人労働者福祉のレベ ルの問題と してす ぐ れているものであるといえよう. さて, 全電通が育児休職制度を提唱したとき, 制度の評価と危1 具をめ ぐって, いくつかの論議が 内外からうまれた, その一つは, 賃金をめ ぐるものである, 組合の当初の要求は, 育児休職は一種の 一社会保障″ で もあるので形を変えて公社による休業手当的な形をとらせ休職期間中は60%の賃金保障をせよ, と いう 捌こあった. これは前述のように無給の線を公社が堅持して協定が成立した. 1 } 産後休暇6週間を経 ところが, 産前産後休暇(協約にいう特別休暇の一つ)は有給であるので1 , てから無給の育 児休職に 入る形をとることになる. 1 967年の全電 通京都 支部の意識調査によ る 2 ) 既婚者の約46%が 「無給だから取れない」 であろうと予想 し また試行中のこの時期の取得 と1 , ,, 3 4 〉 こうした傾向は本実施後も続き1 ) とくに1973 状況は6ヶ月までの短期の場合が約半数であった1 . , 年に特別勤務時間制度が本実施になってからは, ある期間の育休後この特勤制度に切りかえるケー スが多くなっている (表39にみる育休期間状況はこれを示す) , 育児休職のこうした利用状況が, 無給の性格とかかわりのあることはいうまでもなく, 「経済的に苦しい」という声が一般的に存在し 6 } ただし 特別手当 (夏期・冬期他) の一部は支給されている つづけているといえる1 , , . なお, 共済掛金の支払いは復職後分割の後払いにしてもよく多く がこの形をとっているが, これ は休職後の 「手取り額」 の減少となるものでもある. 育児休職の制度化をめぐる論議の二つ目は, その当初とくに多くみられたもの で, 育児休職は公 社の合理化の-環だから婦人労働者にとって思わしい内容のものではない,という意見であった(本 稿第6報の註5) 参照) . その場合, ・公社にとって冗費と考えられる託児所設置を事実上, 無給の育 児休職に肩代りさせるもので ある ・後補充を臨時職員 でまかない人件費の節減をはかる ・当面の求人難から要員の確保をはかるとともに, 休職中の配置転換等により, 事実上の退職 化や, 当該職種の婦人労働者の下請員化を促進する ・休職中の, 役付職からの降職等により, 男女の均等待遇を阻害する方向になる 6 ) これに対し 育児休職制度の プロモーターであった全電通の担当役 といった点が主な主張である1 , , 員は以下のように反駁する. 「……公社側 が経営者の立場から以上のようなソロ バン勘定をはじき, 採算がとれるものかどう かを検討するのは, 現代の社会のなかで当然だろう. しかし, 資本家が得をするから合理化だ, と いうことにはならない, 育児休職は資本もソロ バン勘定をするが, それを労働者にどう有利なもの 7 ) に 転 化 さ せ て いく か と い う 闘 い で あ る. … …」 i. 育児休職制度の導入に踏み切る前段の プロセスにおいて, 組合員のあいだでも当然のことながら 多くの不安や疑問にみちた問題提起がおこなわれたが, その多く が上述の4点に要約されるもので 21.
(7) . 関. 谷. 嵐. 子. 8 ) あ っ た こ と も 事 実 で あ る1 .. その後現在にいたるまで, とくに無給問題はこの制度の大きな制約となっているが, ともかくも 身分保障と選択休職を軸にして, 一育児″条件を拡大するためにいわば相対的な条件闘争を充実する 形で,全電通が育児休職を協約化する途をえらんだということができよう.「この制度がなかったら, 9 ) 退職していたと思う」 というのが, 制度利用者の最も一般的な声である1 . 以上にのべた全電通の, 子持ち婦人労働者の就労条件整備政策である託児所およ び育児休職と特 別勤務の制度化が, 日本の婦人労働組合運動において果した先行的なあるいは示唆的な役割は大き い, と考えて然るべきであろう. 育児休業にかんするその後の諸行政の展開をみるとき, 本人によ る制度利用の選択・身分保障・無給という全電通パターンが原型となっていることがあきらか であ る. しかも諸育児休業規定では生児1歳までとフルタイ マーでの復帰 (とくに教員の場合) が多い のに対し, 3年休職の保障と短時間勤務制度による育児期の長期のアフタ・ケアの存在が, 全電通 の政策の先行性を示していることもあきらかな点である.. ( 4 ) 義務教育諸学校の女子教育職員における育児休業 )で若干ふれたように, 日教組は1 本章( 2 96 6年にあたりからくり返し, u女子教員育児休職制度″ の立法化を国会に働きかけはじめる (第6報の註1 4参照) . その場合, いわゆる3原則 (選択制・ 先任権・有給制) がかかげ続けられ, それは労働組合運動における育児休職取り組みに際しての基 本的な原則として日教組のみならず一般的にその堅持がたえずくり返し主張された. しかし, 1968 年本実施の全電通の育児休職がこのうち有給制を否定する形 で成立し, この点が日本における育児 )でみた通りである. 休業の原型となっ たのは,( 3 1 975年に, 医療施設看護婦および社会福祉施設保母 等をあわせて制定された育児休業法( 1 976年 4月 1日施行) は, こまかい運用点に差があるとしても, 選択制と先任権 (原職復帰) については 日教組の考え方がほぼ充足される形をと っていた, とみることができる. なか で, 日教組のかねて からの主張であっ た30%有給はいれられず, 同法第6条2で,「育児休業の期間については, 給与を 支給しない」 ことが規定された. ただし同法が, 附則2で, 「当分の間, この法律の目的の達成に資するため, 育児休業の許可をう けた女子教育公務員等に対し, 法律又はこれを基準と して定めるところにより, 必要の給付を行う ことができる」 1 979年の北海道では35歳で約15, , とあるのに準拠して, いわゆる共済掛金分 000円 (月額) -- が 「育 児休業給」 の名 目で共済支払に充当されている. この点は, 全電通の制 度よりあきらかに有利 である.. 0 } 育 児休業法の成立当初の, 日教組のこの法についての評価と目巳批判は次の点にあった2 .. 「 区劃 ① ②. 内容不完全であるが, 日本に初の, 「育児のための単独立法」 を実現させ (たこと) . 教育職員のみでなく, 看護婦・保母等に職種拡大が行われ, 今後多くの働く婦人への適用拡. 大をはかる上での足がかりをつく っ たこと. ③ 無給としながら, 必要な給付について人事院勧告を位置づけたことにより, 一 応当初からの 目標であった 「選択制・先任権・有給制」 の3原則を確保 しえたこと. ④. 休業期間中の 1 /2を勤務したものとして, 昇給およ び退職時の退職手当に換算されることと. な っ て い る こ と. 22.
(8) . 日本における婦人労働者. 匿国司 「……期間中給与を支給しない」 とされていること, ② 代替配置が臨時的任用となっていること. 産休期間から通算すれば, 代替配置期間が, 最高 1 4ヶ月となり……, 育 児休業の行使によって, 多くの臨時雇用者をうみ出す結果を招く (こと) . ③ 臨時的任用による代替が得られない場合(育児休業の許可がおりないの ではないか -- 法3 ①. 条2にかかわって) . 学校関係は, 行政職である事務職員が, 適用から外されていること. 同様の理由で, 現状産 休法も事務職員は適用になっていない,」 (カッ コ内は関谷記) ④. 上記の成果③はいささか苦しい評価づけであり,現実認識として問題点①の確認が必要である.ま た以上のように 「人材確保」 の国家政策とした制度化された育児休業の運用は人事一般と同様に行 政のかなかに組み込まれ, 代替の配置等はルーティ ン化されてゆく. その面で組合はいわば, お膳 立てされたレールの上にのることとなる. このようにして成立した法の運用上の問題点のうち, 上 記の 「問題点」 ②と④がその後の日教組の大きな課題を構成するにいたる. さて, 由来, 初等中等教育とくに義務教育学校の女子教員の既婚率はたかい. 1 973年の調査によ また既婚者の ( ) が既婚者であり ると● 女子教員の7 6 1 2年6 4 % 9 6 3 % 8 %が子どもを持ち , , , さら 1 2 ) に子どもの43%は乳幼児である . これらの人々 は従来, 産前産後休暇, 妊娠障害(つ わり)休暇, 通院休暇, 通勤緩和などの母性保護の規定を都道府県ごとに得ており, また配偶者の出産に伴う夫 (教職員) の休暇, 女子教員の育児時間 (最低は労基法基準) の設けられているところもある, と くに産前産後休暇は 多くの地域 で各6週間を上まわっており, 取得状況は1 00%にちかい実績を 2 ) うち 北海道は 産前8週(多胎妊娠10週) 産後8週 妊娠障害(つわり)休暇2 もっ ている2 , , , , . 週, 通院休暇 (国公なみ, 分娩後1年まで) , 夫 (教職員) の配偶者出産のための休暇延3日, 育児 時間1日2回6 0分 (通算も可) , 妊娠の通勤緩和措置 (国公より有利) があり, 全国のうちでは概 ベ ね上位レ ルの内容を, 道条例または人事委員会規則により確保している. なお, 以上の母性保護 の諸措置のうち, 一般 的に産前産後休暇の行使が完全に近いがこれは, 代替教員 が,「女子教育職員 )にもとづいて, 人事管理のルーティ ンと 1 961 の出産に際 しての補助教育職員の確保に関する法」 ( して確保されるようになっことによる. これも日教組婦人部の要求による法制化でありこれを機に 3 ) 女子教員の産前産後の休業の実質が飛躍的にレベ ルアッ プしたことは周知の点 である2 . この代替教員措置が, 育児休業を教員生活のなかに, また教員人事管理のなかにすんなり導入さ せるについて, きわめて有効な実績であったことはあきらかである. 育児休業を希望する教員は産 後休暇の終了後継続して育休に移行し, 産休代替教員がそのまま育休代替教員として勤務を続ける などの形をとることが多い. 従来, 産休後の職場復帰は高率であるから (後述) , 休業者の側 でも, 産休後復帰から産休プラ ス育休後復帰という パターンへの意識の移行はスムーズに形成さ れたと い っ て よ か ろう.. ところ で, 育 児休業の実施後す ぐに, 日教組は, いくつかの新たな問題に対応する必要に迫られ た.. 一つは代替教員問題である. 産休育休を1人の代替教員 が通して勤務することになると, その人 は約1年2ケ月のあいだ臨時雇用の下におかれるし, また従来からあった産休専門教員の市場が拡 大しつまり教員のなかの臨時雇用者がふえることになる. その人々の多くは, 中途退職した中年の 婦人教員や, 発令待ちの新規学卒者であり, これらの人々の定員確保や雇用条件などのさま ざまの 交渉事項がうまれてくる. また, 妊娠障害休暇が請求された場合も, 非常勤の代替者が職場に入る 建前であるが, この代替は事務職員や栄養士にはみとめられていない, という日教組内部の教員以 23.
(9) . 関. 谷. 嵐. 子. 4 ) 外の少数職種の問題もある2 . も一つの問題は, 育 児休業中の無給についてである. 産休中は給与が保障されるが, たとえば北 海道においては産後8週間をす ぎたあとは, 一育児休業給″ (共済掛金分) のみ で無給となる. これ は, 産休と育休との間の心理的経済的落差を構成するもの であり, 育休行使率 (後述) を制約する 条件であることは, この制度自体が全電通より給与の面 ですぐれているとしても, なおかつ問題な のである. ただし, 日教組は, 育 児休業の有給化 (いわゆる3原則の完全化) をスローガンとして はいるが, 当面の課題は, 臨時職員の諸権利の確保と身分の安定化, 育児休業の適用範囲の事務・ 栄養士への拡大, の方が優先している, との判断のよう である. ◎育児休業の行使状況 (表4 ) 0 . 5 )1 1 978年度の日教組『育児休業実態調査』 (非組合員も含む)によると2 8年4月1日から1 979 , 97 年3月31日までの全国の出産件数は1 0,715名, 育 児休業行使 者は5,454名, 行使率は50. 9%で あっ た(行使終了・行使中をふくむ) 学校種別には小学校の育休利用者が全体の 4 7.7%, 中学校が . 21 2 他はごく少数である 行使率の学校種別には上下 意差とみ %を占め 5%弱の開きがあるが有 . , . るか どうかは判定できない (その他学校等53 .2%, 中学校47.5%) . また同調査によると, 行使月 数は, 1ケ月から1 0ヶ月にまでほぼ10%前後ず つに分散しており, なかで1 0ヶ月行使者 (生後 1 表4 0 出産および育児休業行使状況(各年度末現在) 学校種別 小. 学. 校. 中. 学. 校 高 等 学 校 幼. 項目・年度. 稚. その他職員、 園 盲ろう、 養護. 学校. 合. 計. (日 教 組) 1978. 出 産 件 数名. 7,839名. 2,439. 200. 79. 158. 10,715. %. 73.2%. 22.8. 1,9. 0・7. 1.5. 100,0. 盲 休 行 使 者名. 4,075名. 1,158. 97. 40. 84. 5,454. %. 74.5%. 21.2. 1.8. 0・7. 2.9. ioo.O. 盲休行使/出産%. 52.0%. 47,5. 48.5. 50.6. 53.2. 50.9. (北 教 組) 1978. 出 産 件 数名. 163名. 58. 14. 235. %. 69.3% 未米. 24.7. 6,O. 100・0. 盲 休 行 使 者名. 91 (9)名. 2 6 (3). 1.5 (1). 13 2 (13). %. 68.9%. 19.7. 11,4. 100・0. 盲休行使/出産%. 55.8%. 44.8. 107.l. 56.I. 151. (北 教 組)※ 1980. 出 産 件 数名. 90名. 50. 2. 9. %. 59,6% ※※. 33.I. 1.3. 6.O. 100・0. 9. 1 12 (3 2). 育 休 行 使 者名. 6 6 7 (2 )名. 3 7 (5). %. 58.9%. 33.1. 8,O. 100.0. 育休行使/出産%. 73.3%. 74,O. 100,0. 74.2. ※ 198 0年度は, 札幌市のみについて。 ※※ 現在産休中だが育休を取る予定者数。 %には入れない。 (日教組 『育児休業実態調査』(1 978 ) 980北教組調査。 非組合員をふくむ) ,および1 24.
(10) . 日本における婦人労働者. 年ま での休業者) が13 0ヶ月未満行使が多いことは, 休業を学期末,年度末切 れ ,7%とやや多い. 1 とする場合が多いこととも関連しよう . 北海道における育児休業状況は, 全国平均よ り約5%たかい行使率であるが中学校が低く 「その 他」学校がいちじるしく 高いことが知られる( 1 9 78年度) 0ケ月行使者は, , なお, 北海道における1 全国平均よりかなり 高く, 33 3 %であ た っ . . 一般に育休行使率は年々上昇傾向にあると指摘さ れており 1976年度にはまだ約 30%弱 であ , っ 6 )1 た, という2 80年度の全国結果は, 本稿の段階 では確認されるにいた っていないが 札幌市に . 9 , ついては7 3, 3%である (表4 ) 0 , ◎育 児休業行使理由. 北教組調査( 19 80年度)によれば, 札幌市、 内の1 980年度の育児休業の行使 終了者と行使中のも の をあわせた1 50名についての行使理由は, 本人の健 康4 .7%, 新生児の健 康2 , 7%, 自分の手で育 てたい64・7%, その他1 2 %である いわば やむを得ないと いうより 積極的な選択 によって休 , . , , 業制度を利用する場 合がかなり多いことが示唆される 代替者はほとん ど完全に配 置さ れ休業に . 入っている (資料は略) ,. ◎復帰状況 (北海道)(表は略) , 1 9 77年の北教組調査によると, 育児休業行使者の, 職場復 帰率は903%, 1 97 9年では93,3%で , ある. 約1 0%の退職者の退職理由は, 子どもの病弱, 保育所がない, 保育対策がない 自分の健 康 , などの他, 「自分で育 てたくなっ た」 のを理由としている者が目立つ 育休行使の理由 (前述) と一 . 致した傾向である. 教員の場合の職場復帰は, 日勤のフルタイ マーの形である 電々 公社=全電通におけるような . , 長期にわたるパートタイマーを選択する可能性はなく, また 「職場託児所」 もないの で保育条件を 整えるのは全く個人的な努力にかかっている, 反面, 勤務時間帯が規則的な日勤であり またすく , なくとも ”授業″ という主要労働形態の一つが中断される 冬期夏期休業の存在が 教員の職業生活 , の特質である (もちろん, 採点を持ち帰るとか学級経営とか研修 とかのさま ざまに忙殺されるとい う反論を無視するわけではないが) . これらは, 既婦婦人労働者の日常の家庭責任が, またその世帯の日常的労働力再生産が 日勤勤 , 務形態 でノーマルなルーティ ンの下におこなわれる可能性を示すもの である 深夜勤をと もなう電 . 話交換手や看護婦の n子持ち労働者″ にくらべて, 日常生活の時間的 ルーティ ンがノーマルである ということは, 就労継続の所与の条件として第一義的に重要性をもつものの一つである .. ( 5 ) ケース調査 -- 育児休業を行使 した婦人教師たちの生活と意見抄 (札幌市における事例) 以下の聞きとり調査例は, 育児休業を行使中または 行使後の数名の婦人教師についておこなっ た ものの一部である. ケース数もわずか であるし, 事前に典型例 としてこれらのケース例を抽出した わけではなく伝手をたよっておこなっ たものであるから 以下の記述を以て育児休業の一般的な姿 , とみなすことはもとよりできない. ただ, なるべく問題領域をひろげるために 育児行使中2例(小 ,. 学校教員・中学校教員) , 育休行使後2例 (中・高) を摘出した,. 調査方法は, 面接聞きとりで質問項目にしたがって自由に話して 貰う形とした 調査時期は1 979 . 25.
(11) . 関. 谷. 嵐. 子. 年秋である. 4 j 0歳):ノ ◎育 児休業行使中の ・学校勤務. ・ケース 〔A〕 ( 1年間 (生児満1歳まで) 休業の予定. a. 家庭環境 1歳 (小5) 44歳) も教員, 長女18歳 (学生) 核家族で夫 ( , 三女7ケ , 二女1 , 長男9歳 (小3) 月の6人家族である. 住宅は, 一戸建持家, マイカーをもつ. 0分の所に住み, 家庭管理は本人がずっ とおこない, 長女二女が少し手伝う. 本人の両親 が車 で1 健康である. b. 職場環境 0分,.帰りものる, 朝は8時に家を出, 帰宅は5時頃勤務校 を出る. 通勤は夫の車で片 道約2 8時間, 校務分担・クラ ブ活動・委員会の 7~2 勤続年数は20年, 現在2年生担任, 持時間は週2 仕事を全て受持つ. c. 妊娠中の勤務の状況 つわりは軽か った. 過去に2回流産している (いずれも家庭訪問期の寒さと乗りものの振動) . 学校 では, まわりの先生が随分気を使 ってくれた. つわり休暇は産前の休暇につけて取得した. 通院休暇は取っ た, 育児時間の請求 (うえの子どもたちの時) は, 長女のときは制度そのものがなく, 二女のときは 汽車通でとれず, 長男のときは仕事のおくれを気に して取らなか った. 長女二女長男は当時同居の 姑がみた. 夫の休暇は3日間利用 (少し学校に出たらしい) . d. 育 児休業の行使 経済的にも許されるので最 大限ま で取る予定. 育 児もうまくゆき, 他の子どもの様子もわかる. 新聞・テレビをみる余暇もうまれた. 母乳もこれまでで一番出る. 1年間の ブランクをあとで取り返すのは大変だと思い, 研究会や研究授業に顔を出している. ま た復帰後, 三女の後追いが心配である. 休業中は無給なので, 教育貯蓄の 積立てはストッ プしているが, 生活の切りつめなどの変化はな し、.. e. 休業後の方針 保育は, 本人の両親 (前述) に出勤の途中に あずける形をとる予定. 保育所はこれまでも利用 し た こ と が な い.. 家庭管理は従来どおり自分. 子どもの病気が最も心配である. 育 児休業制 度は1年位が適当と考 える. 有給の方がよいが, 自分は現状でよい. f. 職業継続の 意志 職業そのものと子どもが好きなのとが半分, あとの半分は漠然と続けている. 定年ま でとは考え て い な い.. 夫の気持としては, 共働きはあまり賛成でなくやめることをのぞんでいる. 35歳):中学校勤務. ◎育 児休業行使中のケース (B〕 ( 満1歳までの育 児休業の予 定. 26.
(12) . 日本における婦人労働者. a. 家庭環境 核家族 で夫 ( 41歳) は教員, 長男6歳 (保育所) , 長女3歳 (同じ保育所) , 二女9ケ月. 住宅は, 新築の一戸建持 家. 収入合計は手取り約32万円 (住宅ローンに 6万円ひかれる) . 家庭管理は従来から本入の分 担であり, 帰宅途次の買物などを夫にもしてもらう . 本人の母 ( 8歳) が, 長男長女の保育 所の近くに本 人の姉 (主婦) の家族と同居している 7 , b. 職場環境 通勤は夫の車 で, 片道約1時間. 朝, 7時2 0分頃家を出て保育 所に寄り, 帰りはおそくとも6時 前に勤務校を出 (保育所の都 合) , 保育所に寄って帰宅. 勤続1 3年で, 保健体育担当. 担任なく, 週2 0時間, 校務分担, 必修クラ ブを持つ. c. 妊娠中の勤務 の状況 長女の産休あげ 直後のスキー授業のあと急 性腎孟炎で2週間入院 1ケ月休職 今回のつわりは , . 軽く支障がなかっ た. つわり休暇は仕事がつまっていたので取らなかった (この休暇は長男の時は . 学校への気がね で取らず, 長女のときは産 前休暇につけて取った ) . 学校生活では, 学年内の先生からの配慮があり自分の行動がしやすかっ た 産前産後休暇は他職 . 種より長く適当だが, 体育担当という性格上教育的配慮 としてもう1ヶ月余分に産前休暇がほしい 気持である. 通院休暇は利用した.(また上の子のときの育児時間は いずれも6時間目をあげても らい長男 45 , 分, 長女60分を帰りに取った. この2人の乳 児期保育は母と姉 (前述) にたのんだ ) , 夫の休 暇は利用 しなかった. 妊娠について生徒からからかわれる ことはなかった . d. 育児休業の行使 諸条件をふくめて今回は長期間自分で育てられると思い 休業を利用した また学校を離 れて家 , . 事をやってみたかったし, 経済面 (夫の給料だけで生活 できるか) も含めて考えてみたかっ た 休 . 業期間は, 自分の思う ことが出来るが, 運動不足になりがち である 学校から (行事などの) プリ . ントが来るなどの接触があるとよい. 無給に ついては, 生活を切りつめたくはない が 夫の給料だけで足りないのは事実だ そのため , . 前以て預金をしておいたがそれはす でに全部使 って しまっ た . 現在, 2人の子を従来通り保育所に通わせているが長女が行きた がらなくなり落ちつくのに1ケ 月かかった. 通園を続けている理由は, ーたん休 園すると再 び通園のとき行きたがらなく なる 通 , 園を取消すとその後入所拒否や後まわしにさ れる不安 育児休業の目 的は乳児をみること で他子に , は母親は仕事に出ているという体制を取り続けた方がよい ということ である , . 現在, 母乳で育てているが, あとで 「切り離せなくなる」 難点がある 保育所には 1歳過ぎから . 入れたい. 1歳すぎからその後は, 決ったスケジュ ールの生活が子どもによいと思う 長男は3歳 . から長女は2歳からあずけたが, 幼稚園体制の保育所で行事もきちんとあり しつけもよく 行われ , て い る.. e. 休業後の方針 満1歳 (3月のはじめ) になったら上の子と 同じ保育所に入れる希望 であるが アキがなけ・れば , それま で姉 (前述) に見てもらう. 4月から長男は入学するが, 祖母・姉 の家を居住地として 区域外入学をさせ下校後祖母にみても らう. 長女は従来通り保育 所へ. 勤務のかえり に夫の車で3人をむかえにゆく予定 また 車をも . , う1台買っ て自分 が使うことも考えている . 27.
(13) . 関. 谷. 嵐. 子. 家庭管理は従来通り本人の分担, 炊事が最も問題なのでフリージン グを徹底的に活用 したい. 小学校の区域外入学は3年生ま でなので, その後どうするか長男の問題が未解決である. また, 職場復帰後はす ぐに学年末評価 があるので, 代替の先生に, 合議などの協力が得たい. 復帰後1年 は担任をもつことは 避けたい. f. 職業継続の意志. 現在, 経済的必要が職業継続の60~70%の気持を占める. 夫は, 職業継続は本人の気持次第だと 言う. 長男が4年生になってからが問題 なの で, 家事をパートの人にやってもらい, 20年勤続ま で. は, とも考えている. 育 児休業制度については, 1年間の休業は 恵まれているが, 無給なの で, 少しでも給与が出る な ら期間はも っ と長くてもよいと 思う. 29歳):中学校勤務. ◎育 児休業行使 後のケース 〔C〕 ( 満1歳までの育 児休業を利用 し復職, 現在, 次子の産前休業中, a, 家庭環境 1ケ月との4人家族. 54歳) の持家に同居 し, 長女1歳1 夫( 31歳) は勤務医師. 本人の実母 ( イカーを持つ 収入は手取合計45~50万円. 夫婦がともにマ . 家庭管理は本人が主で, 実母 (今は週3回パートに出る) が協力する. 本人の勤務時は実母が在 宅して保育にあた った. b. 職場環境 5分に家を出, 下校は6時. マイカ ーで通勤 (自分が運転) , すぐ近い. 朝8時2 週2 2時間も 担任はなく で 家庭科担当 勤続年数9年 , っ た. 校務分担はあっ たが, クラ ブは持っ , , て い な い.. c. 妊娠中の勤務の状況, つわりはひ どか ったが, 休暇をとるには代替の先生がつかず, 授業に支障がおこるので, 我慢し, 産前休暇につけてとった. 他の人もそうしていることが多い. つわり 時には 習慣上休業はとりにく し、 .. 学年内の先生がよく気をつかっ てくれ, 自分も大切にすることを心がけたが, 2回目の今の妊娠 の時は気兼ねがあり余り配慮を払わなかっ た. 生徒からは大事にされた. 通院休暇は半日ずつの形で利用 した. d. 育 児休業の行使 子どもがちいさいう ちは親とーしょ にくらすのが最もよいと思い,最大限期間をとることとした. 休業の利点は, 子どもと ーしょ にいられること, 自分の家事および余暇時間がもてるこ と. 無給 でも経済 的圧迫はほとんどない. 子どもを今後保育所にあずけることについては, 家族内で賛成でなく, そこま でして職業を続け るものか どうか今回は迷っている. ある程度大きくなってからなら, とも考えるが. e. 休業後の生活状況 現在は第2子の産休中なので在宅しているが, 第1子の育休のあと職場復帰後は, 家事育 児を実 母にまかせた. また, 従来, 掃除と洗濯は実母, 本人は炊事 をおこなってきている(休業中はほとん ど本人) .さ た げ しかし 今度の休業あ 大丈夫だ っ . きの育 児休業終了 後, 朝出がけに泣かれるかと思ったが, , (第2子の生後1年までを予定) には上の子 がどうなるか, 心配だ. 28.
(14) . 日本における婦人労働者. f, 職業継続の意志 一度やめると, 制度上も自分自身の気持からも, 復帰がむずかしいため, やりたいと思ううちは 続 け た い, 夫は, や め て ほ しいと 思 っ て い る.. 実母が子どもの面到 をみてくれなくなった時が問題であるし, また現在も実母を犠牲にしている よう で心苦しい. 子どもが3人になった時には, 職業へのひげめも感じるだろう し, 子どもへの影響や家族への負 担を考えると, 職業継続については考えてしまう. 育児休業制度については満足しているが, 欲をいえば3歳くらいまで欲しい. 無給だと困る 人も いるので経済的保障がもっとあればいいと思うが, 自分自身については 「お金が出ないから気兼ね なく休める」 という気持である. ◎育児休業行使後のケース 〔D〕 ( 30歳):高校勤務. 満1歳までの育児休業後, 現在校 (新設校) に転勤して復職, a, 家庭環境 現在, 年金生活中の実父母 ( 64歳・5 8歳) の住宅に同居 (生計は別) 32歳) は教員, 長男 , 夫( 2. 7歳 (保育所) の5人家族である 実父母とも高血圧症 , , . 収入は, 手取り合計27~2 8万円. 家庭管理は本人がおこない, 夕飯の仕度のみ実母に依頼している, b, 職場環境 現在, マイ, カー (自分) で通勤, 片道約25分, 朝7時5 0分に家を出, 5~6時に勤務校を出る. 勤務年数8年 で現在1学年を担当, 家庭料担当, ほかには保健をもち, あわせて週15時間, 校務 分担の他に, 図書局, 茶道同好会の顧問をしている. 新設校のため, 雑事が大変多い. c, 妊娠中の勤務の状況 (前任校) 学校側の配慮は特になかっ た, 同僚のうち, 年配の女子教員 で妊娠経験のある人ほど, 態度はき びしかっ た. 現在のような保護の ない時に子どもを生み育てた, という経験から来る考え方のよう であ っ た.. つわり休暇は産前休暇につけて利用 した, 通院休暇は利用 し, 夫の休暇も半日利用した (産休入 りに伴い, 単身で上記実家に移る. のち産休後, 2人とも転勤して本人の実家から2人とも通勤 で きるようになっ た.) 妊娠中毒症になり食事療法をしたが, 早期破水, 胎児頭がい骨盤不接合, 切迫仮死により, 帝王 切開で出産した. 産後は8週間では体力が回復せず, あと1 ヶ月ほど産後休暇がほしかっ た, 産前 における生徒の反応は自然であり, 代替先生に依頼して休 みに入っ た. d, 育児休業の行使 勤務校の都合で夫と別居中の妊娠であり産休あげす ぐの職場復帰には,子どもを連れての別居か, 2時間以上かけて通勤することが必要だった. 転勤が出来ればす ぐに職場復帰したかった, 以上の理由で育児休業を行使したが, 8 ヶ月まで母乳保育ができゆったりした気持で育 児ができ た, しかし, 無給なので大変苦しく, 多少遠くとも安い物を買うことに努 めた, 産休あげ保育所がもっとあるといいと思う. e. 休業後の生活状況 実父母の家に同居して,職場復帰をすることができた.自宅から徒歩20分の保育所に,朝マイカー 29.
(15) . 関. 谷. 嵐. 子. で本人が連れてゆき, 帰りは老父母のどちらかにむかえにいってもらう. しかし, 子どもの保育が 老父母に多くまかされるため, 甘やかされわがままになるので困っ ているが, 親に余り干渉や要求 もできない. 家庭管理は, 今は実母の援助が必要である. 休業あげのとき, まだ離乳が完了してなかっ たところへ集団保育に急に出したので, 子どもの体 調がくずれ苦労した. しかし, 子どもが病気 でも仕事が気になり休めないで実母任せ である. 新設校に移 ったの で多忙で過労である. 日曜はかえって疲れ, 月曜に体調がくずれる. f. 職業継続の意志 経済的理由と生きがいから職業を続けているが, いつも, 「続けるべきかやめるべきか」動揺して い る.. 育 児休業は, 子どもをみてもらう者や施設がない場合には効果のある制度であることをみとめる が, 無給と昇給ストッ プがあるのでむしろ育休よりも, 産後休暇が6 ヶ月くらい延長されるとよい. 今後, 育児休業は余り利用 したくない. 育児時間をとって, 勤務する形の方がよいが, 今のとこ ろ 「1人子で精一杯」 の気持である. ⑩考察 前述のように, 育児休業の全般を知るものとはならないが, 4事例からは特徴的に以下の諸点が 指摘される. 1) 親との同居, または近親者の近隣居住 が多く, 保育の一部または全部をこれらの人々に依存 する例が多い. とくに妻の側の親族への依存傾向が多い. 2) ケース 〔D〕 のほかは, 出産回数が多く, 産休・育休を追いかけ追いかけ取っ ている例が多 い. 一方, 1人で結構, というのも職業意志との関連で指摘できよう. 3) 教員同士の共働きが多い. この場合には, 出産退職をせずに, 育休をとり職業を続ける傾向 がよりつよいのではないか (と経験的に推定される) . 4) 住生活の安定度, 収入の高安定度がみられる (持家・親の住宅に同居, マイカーの複数所有 など. マイカーは本人の通勤や保育所の送りむかえに有効につかわれている) . 5) 妊娠・産休・育休に ついての職場の配慮は小・中学校で, 「同僚の心く ばり」 が一般的である. 妊娠出産の女子教員がきわめて多くお互い同士の配慮がいわばルーティ ン化していることが推定さ れる. 一方, 高校については, 妊娠およ び妊娠中の措置・休業などがなじみにくい少数状態である (前掲, 表40参照) . 生徒の反応は, 好意的な場合が多いとみられる. 6) 職業継続の意志は, 育 児との関係を中心に相対的にゆれている. さらに, 勤務責任の重さへ の対応感覚がこのゆれを増幅している. 7) 保育所利用 (-- 集団保育・あるいは保育の社会化 --) は進んで, というより多少消極的 である(近親保育者がいない場合仕方がない, という雰囲気であっ た) . また産休あげ, 長時間(夕 方おそく) , などの保育所運用が期待されていた. 8) 妊娠中の母性保護措置 (組合交渉事項) では, つわり休暇を産前休暇に つけて取る傾向が目 立った. この休暇は単独 では代替がつきにくく, 結局, 産前休暇を長くする形 で利用されているよ う である.. 30.
(16) . 日本における婦人労働者. む. す. び. 近年における母性保護の法的措置または組合交渉によるその強化傾向, 「子持ち婦人労働者」の就 労継続条件の周辺整備の諸政策の展開と, 労働および職業における男女平等推進の問題 との有機 , 的あるいは論理的な関連に ついて整合性のある論じ方は,極めて慎重にお こなうことが必要である . これまで, 組合婦人部が, あるいは論者が安易に掲げて来た 「保護と平 等とどちらも必要だ」.「ど ちらも欲しい」 という主張では, もはや, 婦人労働者の地位の向上や婦人労働者福祉の展開を論じ ることがむずかしくなってきている, といえそう である. また, 保護か平 等か, という二者択一の論理も現実の婦 人労働者問題分 析への手がかりになると い え な い,. これらの問題については, 紙幅をあらためて論 じなければならないであろう. 1) 本稿第1報の註 ( 10 ) 参照, なお, 労働医学の多くの書は, この直接的相関の有無については慎重であり, 労 働基準法研究会『報告』の基礎となった専門委員会報告である『医学的・専門的立場からみた女子の特質』( ) 197 4 は,生理時の労働が,「……将来の母性機能に影響を残すかどうかという 歎こ関してははっきりした学問的根拠は ない」 との立場をとっている ( 「季刊労働法」1 9 ) 79春, p ,88 . 2) 全電通九州地本 『全電通九州時報』 No ) 1( 19 81 .9 , 「特集 育児休職.特勤制度.職域拡大 取得者全員のモ ニター調査と集計・分析」 p 98 1年初頭に, 全電通は育児休職等の行使調査をおこなったが, 本稿の執筆段 ,9. 1 階ではまだ詳細結果はあきらかになっていない. 九州地本調査は上記調査の一環として独自におこなわれたもの であ る.. 3) 電々公社=全電通による託児所問題に関する覚書 (全電通 『婦人の権利を守るために (婦人関係労働協約類解 f 説集19 7 7年5月1日現在) 』 pp 5f .9 . 4) 全電通中央本部交渉部の書簡による. 5) 「育児休職が保育所不足を補うための利用という形に終らず, 育児休職, 保育所どちらでも選択できることに なるのがもっとものぞましい姿である」(岡尾昌子・河村昭治郎 『はたらく女性のための育児休職』 青木書店 , ), p 1966 .92 ,. f 6) 前掲, 全電通 『婦人の権利を守るために』 pp 25f .1 . 7) 前掲岡尾書, 神田道子 『現代における婦人の地位と役割』(光生館, 1 f )pp 97 2 9f 7 .2 .) 婦人雇用調査研究会編 f 『働く婦人と保育』(学陽書房, 19 ) pp 7 7 8f .19 . 8) 育児休職に関する196 5年了解事項・団体交渉記録 (全電通資料からの抜すい) , f 9) 前掲, 全電通 『婦人の権利を守るために』pp 13f .1 . 1 0 ) 前掲, 『全電通九州時報』 pp 0一31 ,3 . 1 1 ) ただし短時間特別社員(2ヶ月毎更新の臨時雇)-- 特勤制度ではない -- の出産休暇は無給である(全電通 『労働協約類集』( 1 9 81 3 ,5 . 1) p , ) 全電通京都支部婦人対部 『婦人労働者意識調査』 ( 1 2 196 7 4一1 5 .1 . 8) pp . 1 3 ) 峯島誠 『育児休業法』 p 2 ,26 . 1 4 ) 前掲, 岡尾・河村 『育児休職』p 7%, 1年未満2 2%, 1年2 9. 6%, 1 .41によると, 本実施時には, 6ヵ月3 , . 6年未満3. 0%, 1 6年1 2 % 6 1 6年以上1 9 %である 5 . , , . . . 15 ) 育児休職取得の感想では, 積極的評価がきわめて大きいが, 次に位して「経済的に苦しかった」「いくらでもい いから保障がほしい」「基本給是正(事後病休程度)」という答えがある(前掲『全電通九州時報』pp .28-29 , 「苦 しい」 は約1 /4の人が明記した感想であった. 1 6 ) 前掲, 岡尾・河村 『育児休職』 p 「賃金と社会保障」 No 1 3 7 0所収) への言及. .1 ,3 . 竹中恵美子論文 ( 1 7 ) 同書, p 1 1 3 . . 18 ) 同 書, pp .104-108 .. 1 9 ) 前掲, 『全電通九州時報』 p 4 .2 . 2 0 ) 日教組 『より完全な育児休業を --- 婦人の労働権確立のために』 ( 19 ) pp 75 .8-9. ) 広田寿子『現代女子労働の研究』(労働教育センター1 2 1 )p 97 9 42 79年の既婚率は5 2. 8%であっ .3 , 北海道では19 31.
(17) . 関. 谷. 嵐 子. ) た. (北教組 『第1 5 9回北教組婦人総会議案』 p .1 ) 1 97 4 2 2 ) 日教組婦人部『教職員の母性保護に関する各県の規定』( , また同年の『日教組婦人部権利行使実態調査』 産後9 9. 5%, 配偶者出産休暇4 によれば, 行使状況は, 産前93 4 % 3 % 通院休暇7 1 7%, 妊娠障害休暇32 7 . . . , . , ) 6%, である (前掲, 日教組 『より完全な育児休業を』p 8%, 育児時間35 0 .1 .1%, 生理休暇3. . 2 ) 前掲, 広田書, p 5 1 3 .3 , 9回北教組婦人部総会議案』 p 2 4 ) 前掲, 北教組 『第1 .7. 2 5 ) 本稿の執筆段階で,1 9 80年度の全国調査結果は入手出来なかった. いずれ後の機会に資料を補填したいと考え ている. なお, 北教組 (うち札幌市分) についてのみ, 19 8 0年度資料を併記した, 出産費給付件数4 0 8 7 8 2 6 ) 北教組調べによる (道教委資料から分類) .5%である, , 育休行使13 , 行使率2 .. 本稿の執筆にあたり, 附属札幌中学校岡田真理子教諭による資料収集と共同討議のほか, 全電通本部岡尾昌子氏・ 渡辺篤子氏, 同北海道地本武石婦人部長, 北教組藤田・大原婦人部長, ケース調査協力者, その他多くの方の御援助 をいただいた. 深謝する次第である. (本 学 教 授・ 札 幌分 校). 32.
(18)
関連したドキュメント
日本語教育現場における音声教育が困難な原因は、いつ、何を、どのように指
1、研究の目的 本研究の目的は、開発教育の主体形成の理論的構造を明らかにし、今日の日本における
なお、本業務については、厚生労働省が作成した「労働安全衛生法に基づくストレスチェック
青少年にとっての当たり前や常識が大人,特に教育的立場にある保護者や 学校の
オーディエンスの生徒も勝敗を考えながらディベートを観戦し、ディベートが終わると 挙手で Government が勝ったか
本学は、保育者養成における130年余の伝統と多くの先達の情熱を受け継ぎ、専門職として乳幼児の保育に
米田陽可里 日本の英語教育改善─よりよい早期英 語教育のために─. 平岡亮人
なお、教員を放課後児童支援員として扱うことについては、本年4月1日 より、改正された放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(平