音楽雑誌The Musical Timesに見られる音楽鑑賞の言説の動向 -<ローザンヌ決議>以前の記事を中心に-
9
0
0
全文
(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第66巻 第1号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 66, No.1. 平 成 27 年 8 月 August, 2015. 音楽雑誌The Musical Timesに見られる音楽鑑賞の言説の動向 ―〈ローザンヌ決議〉以前の記事を中心に ―. 小 林 美貴子 北海道教育大学札幌校 音楽教育学研究室. The Movement of Musical Appreciation in The Musical Times: Focusing on the articles before Lausanne Resolution. KOBAYASHI Mikiko Department of Music Education, Sapporo Campus, Hokkaido University of Education. 概 要 本研究では,英国において1844年から現在まで発行され続けている音楽雑誌The Musical Timesを研究対象とした。1931年の第2回英米音楽教育会議におけるローザンヌ決議以前に, The Musical Timesに掲載された音楽鑑賞に関連する記事を検討することによって,当時の英 国の音楽鑑賞の活動を浮き彫りにし,鑑賞教育活動の動向の一側面を捉えることを試みた。 1931年までにThe Musical Timesに掲載された記事の中から,タイトルに「音楽(music)」お よび「鑑賞」または「聴取」を意味する語のいずれかが含まれるものを抽出した。 条件に該当した計17件の記事は,音楽鑑賞そのものについて論じたもの,音楽鑑賞を行う際 の手段を述べたもの,音楽鑑賞の指導法を示したもの,音楽鑑賞における非音楽的要因を論述 したもの等があり,多種多様な内容を含むものであった。特に,音楽鑑賞の「理念」および「方 法」に関しては,1912年から1931年まで断続的に論述されてきた。また,1919年から1928年に かけては,「手段」への注目が高まっていた。. 1.研究の背景. などでは,1908年に英国において初めて音楽鑑賞 教育に関する記事が出されたこと,Music and its. 1-1.先行研究の検討. AppreciationをMacPhersonが1910年 に 出 版 し た. 英国の音楽鑑賞教育の源流についての研究は,. ことなどから,英国における音楽鑑賞運動が始. いくつかの音楽教育史の通史研究に見ることがで. まったとされている1)。. きる。Cox(1993) ,Pitts(2000) ,Rainbow(2006). また,20世紀初期の英国における音楽鑑賞教育. 219.
(3) 小 林 美貴子. に 焦 点 を あ て た 先 行 研 究 と し て は,Moutrie. たのは,英国で音楽鑑賞の教育的言説が登場し鑑. (1981)などがあげられる。これらの先行研究で. 賞教育運動として興隆し始める時期だからであ. は,20世紀初期の英国における音楽鑑賞教育に関. る。また,研究対象年代を1931年8月までとした. わった主要な人物としてMacPhersonやScholesが. のは,同年7月31日から8月7日にかけて,スイ. 取り上げられているが,当時の英国における音楽. スのローザンヌにおいて第2回英米音楽教育会議. 鑑賞教育がどのような目的を有し,どのような方. 3) (Anglo-American Music Education Conference). 法で行われていたかは明らかにされていない。. が開催されたことによる。. 英国の音楽鑑賞教育の形成を明らかにするため. この会議では,音楽鑑賞そのものについて議論. には,その黎明期において,いかなる考えが提案. する明確なセクションが初めて設けられた4)。こ. され,どのような試みが行われたかを,より明確. こでは,音楽鑑賞の学習目的や指導方法について. に捉える必要がある。. 5) , 決議され (ローザンヌ決議Lausanne Resolution). その後の英国の音楽鑑賞教育の新たな方向性を示 1-2.音楽雑誌The Musical Times. した。この第2回会議に関連のある記事は,The. 前述の英国の音楽教育史に関する先行研究で扱 2). Musical Timesに掲載され,ローザンヌ決議を境. われていた史料に,The Musical Times がある。. に1930年代は音楽鑑賞教育の記事が増加したので. これは,英国で1844年に創刊された音楽雑誌で,. ある。. 現在まで発行され続けている音楽雑誌では世界で. このことから,本稿では,黎明期の1900年代か. 最も古いものである。170年にわたる歴史を有す. ら,音楽鑑賞教育運動の重要な出来事となるロー. る雑誌の誌面を追うと,その時々の音楽思想や出. ザンヌ決議の1931年8月までを対象とした。. 来事を把握することができ,英国の音楽文化の状 況 を 窺 い 知 る こ と が で き る。 例 え ば,Scholes (1947)は,The Musical Timesに掲載された記. 2.対象とした史料. 事に基づき,1844年から1944年までの1世紀間の. The Musical Timesの掲載記事を検討するにあ. 英国における音楽的生活について概観している。. たり,本稿では,英国における音楽鑑賞教育の幕. 彼はこの書において‘Musical Appreciation’と. 開けとなる書物であるMusic and its Appreciation. いう項目を設け,主に,英国における音楽鑑賞教. が出版された1910年,音楽鑑賞教育の成熟期の始. 育の最初の提唱者であるMacPhersonについて述. まりであるとされる1921年6),そしてローザンヌ. べている。けれども,The Musical Timesに掲載. 決議の1931年8月を区切りとする。したがって,. されたMacPherson以外の人物が書いた音楽鑑賞. ここでは,以下の区分で記事を検討していく。. に関する記事については,ほとんど述べていない。. ⑴ 1910年以前. そこで本稿では,Scholesと同様にThe Musical. ⑵ 1910年から1920年. Timesに掲載された記事を追いつつも,彼が言及. ⑶ 1921年から1931年(ローザンヌ決議まで). しなかった音楽鑑賞関連記事を検討する。それに. また,本稿では,タイトルに「音楽(music)」,. よって,当時の英国の音楽鑑賞の活動を浮き彫り. および以下に示した「鑑賞」または「聴取」を意. にし,鑑賞教育活動の動向の一側面を捉えたい。. 味する語のいずれかが含まれる記事を,研究対象 とした(ただし,謝辞等,明らかに音楽鑑賞に関. 1-3.研究対象とした年代. する記事ではないものや,書物のレビューは対象. The Musical Timesに掲載された記事を検索す. 外とした)。. るにあたり,研究対象の年代を1900年代から1931. 「鑑賞」 appreciation / appreciative /. 年8月までとする。開始年代を1900年代に設定し. appreciate. 220.
(4) 音楽雑誌The Musical Timesに見られる音楽鑑賞の言説の動向. 「聴取」 listening / listen. Smithは考えており,簡単なものから複雑なもの. 以上の条件を満たすThe Musical Timesの掲載. へ と 導 く こ と で 聴 取 者 を‘ 教 育 す る ’. 記事は,計17件であった。. MacPhersonの方法を信用していないようである。 一方,トリニティ音楽院の講師であるLoweは, MacPhersonが主張している音楽鑑賞の授業や,. 3.記事の概要. さまざまな音楽のレクチャーは,芸術への全く新. 3-1.1910年以前. しい関心を創造しつつある,と評価している。ほ. この時期には,該当する記事は見られなかった。. とんどの聴取者は,音楽を構成する5つの重要な. 先述したように,英国では,1908年に音楽鑑賞教. 要素であるメロディ,リズム,和音,形式,作品. 育に関する記事が出版された。しかしながら,該. の展開のうち,メロディとリズムの2つしか鑑賞. 当する記事が見られなかったことから,その当時,. していないこと,聴取すると同時に観察する,と. 音楽鑑賞教育に対する人々の関心が高くはなかっ. いう方法を教わっておらず,訓練していない人々. たことが伺える。. は,作品の細部を見落としたり無視したりする(例 えば,エルガーの交響曲は,分析,スコア,説明. 3-2.1910年から1920年. なしには十分に鑑賞できない),と述べている。. この時期には,該当する記事が7件見られた。. また,現在の音楽教育の全体的な基盤は,目,お. このうち3件は音楽の聴取に関する記事であり,. よび指の後ではなく,それよりも前に耳を訓練す. 3件は蓄音機に関する記事であり,1件は音楽鑑. ることにある,と述べている。. 賞と演奏者に関する記事であった。. これらの記事から,Prietley-Smithは作曲家と 聴衆との矛盾を減らそうとしていたMacPherson. 3-2-1.音楽の聴取. を評価しているものの,MacPhersonの音楽鑑賞. 音楽の聴取については,まず,Priestly-Smith. 教育法を信用しているわけではなく,音楽鑑賞教. がMacPhersonのMusic and its Appreciationに も. 育を行わなくても音楽の良さを感じ取ることがで. 7). とづき,1912年に投稿した 。その後,Loweは. き る と 考 え て い た と い え る。 一 方Loweは,. Priestly-Smithの記事に対して異なる見解を提示. MacPhersonの方法に賛同しており,音楽鑑賞は. 8). 9). し ,更にPriestly-SmithがLoweに意見を寄せた. 楽曲の細部まで聴き取ることであると考えていた. のである。2人の記事の概要は,以下の通りであ. といえる。. る。 作曲家であるPrietly-Smithは,音楽を創り出. 3-2-2.音楽鑑賞の手助けとしての蓄音機. す作曲家とそれを鑑賞することに依存している民. 1919年に,蓄音機に関する情報を誌面で求めた. 衆との間には矛盾が生じていること,この矛盾を. 記事10)に対して,その翌月にAdockが応じた11)。. 減らすための試みがMacPhersonのMusic and its. また,両者に対してMcElligottが意見を投稿し. Appreciationで あ る こ と,MacPhersonは, 聴 衆. た12)。. が知っておくべき基本的な事項,すなわち,専門. 彼 ら の 記 事 で は, 民 衆 の 音 楽 的 な テ イ ス ト. 家が必要とする聴くテクニックを簡単にしたもの. (taste)の劣化を防ぐために,機械的な再生手. を,専門家と同様に聴衆に提供していることを述. 段である蓄音機を改良し,大衆化することで,一. べている。MacPhersonの著書は簡単な事項から. 般民衆にもっとクラシック音楽に親しみをもたせ. 複雑な事項へと聴取者を導いているが,音楽の美. ることが必要であることが述べられている。2つ. しさは,その構造などのテクニックに関する知識. のターンテーブルを備えた蓄音機,両面レコード. が な く て も 感 じ ら れ る も の で あ る とPriestley-. を提示し,当時のレコードによる制限(録音時間. 221.
(5) 小 林 美貴子. が短い,音色は忠実でもぶつぶつ切れてしまう,. の就任講演の内容である。Fowlesは,音楽の4. 等)を改良する案を出している。. つの要素である音色,リズム,ハーモニー,メロ. これらの記事から,人々が名曲を認識すること. ディは聴覚訓練から得られること,聴覚訓練はテ. を重視していること,音楽鑑賞を行うための最良. クニックと美学という2つのセクションに分けら. の手段として蓄音機が推奨されていることがうか. れることを述べている。また,⒜音色の変化と繊. がえる。. 細さを把握するように,⒝リズムの勢いを感じる ことと同様に,構造的な面に気づくように,⒞ハー. 3-2-3.音楽鑑賞と演奏者. モニーが変化するパターンを聞くように,⒟メロ. これは,1920年に出されたGabrielの記事13)で. ディの横の線,すなわちメロディ・ラインを聴取. ある。Gabrielは,具体的な音楽鑑賞の方法では. するように生徒を訓練しないような活動は価値が. なく,演奏者にはテクニック,および作曲家のア. ないと述べている。音楽の真価が分かる学習のた. イディアを鑑賞する能力がなければならないこと. めには,様式の把握,歴史等を意識することが必. や,聴衆を魅了するためには芸術家(演奏者)と. 要であるとFowlesは考えている。. 聴衆との間に,調和した関係を創り出すことが必 3-3-3.音楽鑑賞における非音楽的な要因. 要であることを述べている。. こ れ は, ケ ン ブ リ ッ ジ 大 学 の 学 生 で あ る 3-3.1921年から1931年. Vernonが書いた,3回に渡る記事である16)。音. この時期には,該当する記事は10件であった。. 楽鑑賞における非音楽的な要因を明らかにするた. このうちの1件は音楽鑑賞の方法に関するもので. めに,Vernonは,異なる2回のコンサートを用. あり,1件は音楽鑑賞の講演内容であった。3件. いた実験を行った。各演奏をさまざまな観点から. は,1人の著者が3回に渡って「非音楽的な要因. 評価させる方法を用いている。. に関する実験」について述べた記事であった。1. <1回目のコンサート>. 件は,作曲家であるMoeranの作品の鑑賞の仕方. 通常のコンサート。プログラムは,モーツァ. について述べた記事であり,残りの4件は,音楽. ルトのトリオ,16世紀およびブラームスの歌. 鑑賞の概念について述べられた記事であった。. 曲,バッハのピアノ曲といった室内楽。 <2回目のコンサート>. 3-3-1.音楽鑑賞の方法. 変わった状況のコンサート。演奏者はカーテ. 1922年に,Blairは音楽鑑賞の方法について論. ンの裏にいる。プログラムは,例えばヴァイ. 14). 。彼は,地方の人に関して言えば,. オリン組曲,2つの歌,などのようにその外. 音楽鑑賞に必要な知識が不足していると述べてい. 形のみ聴衆に知らされている。全体的に聴衆. る。また,音楽的でない人は,簡単な節であれば. になじみのない曲。. じている. すぐに理解し鑑賞することができるが,上級の作. この実験の結果として,最も明白な非音楽的要. 品であれば鑑賞するのは難しいと述べ,さらに,. 因は,音楽からさまざまな連想(前の演奏を思い. 聴衆が曲を認識する唯一の正しい方法は再演奏で. 出すことなど)へ,そして無関係の事柄へと聴取. あり,それが作品に親しみをもつ唯一の方法であ. 者の関心が移り変わり,定まらないことであるこ. るとも述べている。. とが挙げられた。また,聴取者の関心は,演奏時 間の長さや聴取者の感情的かつ知的な注意力の不. 3-3-2.音楽の真価が分かる学習 15). 足によって変化することや,声楽曲の場合,音楽. は,音楽科教員. 的な人は歌詞にあまり注目していないこと,テク. 養成学校のイースターコースにおける,Fowles. ニックへの注目は,完全な鑑賞を阻むかもしれな. 1928年に出されたこの記事. 222.
(6) 音楽雑誌The Musical Timesに見られる音楽鑑賞の言説の動向. いということもあげられた。そして,音楽に作用. 催される第2回英米音楽教育会議において,音楽. する非音楽的な影響および効果を与える主な要因. 鑑賞の位置づけについて言及する機会が与えられ. は,視覚であり,非音楽的な要因でも音楽を理解. ることも,この記事の中で示唆している。. するための手助けとなることをVernonは述べて. 音楽教育に関する著書を残しているMcKinney. いる。. は,教師の役割を2つ述べている。第1に,優れ た音楽に対する関心と熱意を呼び起こすことであ. 3-3-4.Moeranの音楽作品の鑑賞. り,第2に,すばらしい音楽作品を紹介すること. これは,1930年に出された,英国のピアニスト. である。また,Andersonが用いたXの初歩の役. であり作曲家でもあるFossが,同じく英国の作. 割は音楽の提示であるべきであり,よりよいもの. 曲家であるMoeranの音楽作品の聴き方について. に対するテイストがしっかり植えつけられるよう. 論じた記事である. 17). 。Fossは,Moeranの作品の. に,教師は子どもに音楽を提示しなければならな. ベースの動き,メロディ,調性等に注目させるこ. い,ともMcKinneyは述べている。. とを述べた。. Scholesの2件目の記事は,McKinneyの記事と 同じ号に掲載された。Scholesは,聴取は音楽の. 3-3-5.音楽鑑賞の概念. 「行為」の一種であり,「音楽鑑賞」(あるいは目. こ れ に 該 当 す る の は,Andersonの 記 事18), 19). Scholesの 2 つ の 記 事. 20). ,McKinneyの 記 事. で. 的のある聴取)では,人は純粋に音楽的「行為」 をしていると述べている。さらに,音楽教育にお. ある。. いて,「鑑賞」(あらゆる種類の「聴覚力の育成」. レコード会社であるGramophone社と関わりの. を含む)は優先されるものであり,可能ならいつ. あるAndersonは,鑑賞appreciationという言葉に. でも,「鑑賞」に個々の演奏力が加えられるべき. 疑問を抱いており,また,鑑賞が適切に行われて. であるとも述べている。また,この記事の中では,. いないとも指摘している。鑑賞は,判断すること. 前月のThe Musical Timesに掲載された,専門家. (sizing up)であり,単にほめること(praising). (practitioners)と鑑賞する人(appreciationists). ではなく評価すること(appraising)であること. に つ い て 論 述 し たFowlesの 記 事21)へ の 言 及 が. をAndersonは願っている。Andersonは,この記. 所々見られる。. 事の中でappreciationをXと表記し,Xがさまざ まな害と多くの良さをもたらしてきた,とも述べ ている。. 4.考 察. Scholesは,英国における音楽の大衆化のため. こ れ ま で,1900年 か ら1931年 8 月 ま で にThe. の運動が約20年前から続けられていること,そし. Musical Timesに掲載された音楽鑑賞に関連する. てそれは,民衆のテイスト(taste)の基盤の向. 記事を概観してきた。1910年以前には,鑑賞や聴. 上は独特な仕事であると考える人々によって,相. 取といった言葉がタイトルに含まれる記事は存在. 次いで妨害され冷笑されていたことを述べてい. せず,音楽鑑賞に関連のある記事は見当たらな. る。実際,Scholesは聴衆の音楽的理解力が訓練. か っ た。 し か し,1910年 以 降, す な わ ち. されていないことを指摘し,聴覚訓練の必要性を. MacPhersonのMusic and its Appreciationが出版. 説いている。聞く(hear)のではなく聴取(listen. され,英国において音楽鑑賞運動が始まってから. to)してもらいたいのであれば,音楽史,伝記,. は,音楽鑑賞というテーマに対するさまざまな人. 形式,楽器の音色等の事実に関心をもたなければ. 物の見解が,The Musical Times誌上に示される. ならないし,聴覚訓練も行わなければならないと. ようになった。各記事は,音楽鑑賞そのものにつ. Scholesは考えている。また,Scholesは,後に開. いて論じたもの,音楽鑑賞を行う際の手段を述べ. 223.
(7) 小 林 美貴子. 表 〈ローザンヌ決議〉以前にThe Musical Timesに掲載された音楽鑑賞関連記事 年. 月. 巻号. 著者. 7. Vol. 53 No. 833. H. P. S. (Prietly-Smith, H.). 9. Vol. 53 No. 835. 10. 音楽鑑賞. タイトル. 理念. 方法. On Listening to Music. ○. ○. Lowe, C. E.. On Listening to Music: Another Point of View. ○. ○. Vol. 53 No. 836. Priestley-Smith, H.. On Listening to Music. ○. ○. 9. Vol. 60 No. 919. Ignotus. The Gramophone as an Aid to Musical Appreciation. 10. Vol. 60 No. 920. Adcock, C. A.. The Gramophone as an Aid to Musical Appreciation. ○. 12. Vol. 60 No. 922. McElligott, J. B.. The Gramophone as an Aid to Musical Appreciation. ○. 1920. 2. Vol. 61 No. 924. Gabriel, L. G.. Musical Appreciation: A Theory. 1922. 1. Vol. 63 No. 947. Blair, J. W. H.. Musical Appreciation. 1928. 10. Vol. 69 No. 1024. Fowles, E.. The Appreciative Study of Music. 2. Vol. 70 No. 1032. 3. Vol. 70 No. 1033. Vernon, P. E.. Non-Musical Factors in the Appreciation of Music. 4. Vol. 70 No. 1034. 1. Vol. 71 No. 1043. Foss, H. J.. E. J. Moeran: A Critical Appreciation. 6. Vol. 72 No. 1060. Anderson, W. R.. The Equation of Teaching: Is Appreciation X?. ◎. 7. Vol. 72 No. 1061. Scholes, P. A.. ‘Musical Appreciation!’-An Appeal to Our Music Critics. ◎. 8. Vol. 72 No. 1062. McKinney, H. D.. More about Appreciation. ◎. 8. Vol. 72 No. 1062. Scholes, P. A.. Further Thoughts on Musical Appreciation. ○. 1912. 1919. 1929. 1930. 1931. ○. 手段. その他. ◎. ○ ○ ○. ○. ◎. ○*. ○. ○. ○. * . Vernonは2つのコンサートを用いた実験を行ったが,音楽鑑賞の理念や方法について,あるいは手段として論じた記事で はなかったため,「その他」に分類した。. たもの,音楽鑑賞の指導法を示したもの,音楽鑑. 音楽教育の中での音楽鑑賞の位置づけ,音楽. 賞における非音楽的要因を明らかにしたもの等が. 鑑賞のあり方等,音楽鑑賞そのものに関する. あり,多種多様な内容を含むものであった。. 内容を示す項目とした。. ここで,各記事の内容を,音楽鑑賞の「理念」. ・「方法」は,鑑賞の指導法や,リズム,音色,. 「方法」 「手段」「その他」に再分類し,以下の表. 楽曲の形式等のように楽曲から聴取する対象. に示す。 「理念」「方法」「手段」「その他」の各項. を示す項目とした。. 目については,次に示すとおりである。 ・ 「理念」は,音楽鑑賞という言葉の意味や,. 224. ・「手段」とは,実際に楽曲を聴取する際の媒 体(例えば,教師の演奏,蓄音機,自動演奏.
(8) 音楽雑誌The Musical Timesに見られる音楽鑑賞の言説の動向. ピアノ等)である。 ・ 「その他」は,「理念」「方法」「手段」に該当 しないものを示す項目とした。. 論の対象になっていたMacPhersonと,音楽鑑賞 に関する幅広く提言しているScholesの,英国の 音楽鑑賞教育への影響を明らかにすることである。. 各記事の内容が,上記4つの項目に該当する箇 所に○を,特に重点的に論じられていると見受け. 注. られた箇所に◎を付した。 表から, 「理念」および「方法」については,. 1)Rainbow, B., Cox, G., Music in Educational Thought. 1912年から1931年まで断続的に論述されてきたこ. and Practice: A Survey from 800 BC, Boydell Press,. とがわかる。MacPhersonのMusic and its Appreciation (1910)をきっかけに,人々は音楽鑑賞そのものに つ い て 議 論 を 交 わ し 始 め た。Music and its Appreciationで提示された,楽曲の細部まで聴取 させることを目指したMacPhersonの指導法に対. 2006, pp. 261-262. 1908年に雑誌Crucibleに掲載されたLangdaleの記事 が,英国における音楽鑑賞教育に関する最初の記事で あるという。 2)1844年 か ら1902年 ま で はThe Musical Times and Singing Circularというタイトルの雑誌であったが, 1903年以降はThe Musical Timesとなった。. しては,賛否両論あった。音楽鑑賞とは何か,音. 3)この,英米音楽教育会議は,1929年8月2日から9. 楽教育の中での位置づけはどうあるべきかを考え. 日にかけて第1回会議が開催されている。第1回会議. ることは,音楽鑑賞によって聴衆に何を聴き取ら せるかという具体的な指導方法の考察を促す。 「理 念」と「方法」が並行して論じられることは,自 然な流れであろう。しかしながら,1931年につい ては, 「理念」への意識が極めて高い。これは, 第2回英米音楽教育会議開催を前にして,音楽鑑. と第2回会議の両方を,Scholesが組織した。 Ward, J. O. /奥田恵二訳「スコールズ,パーシー・ A(アルフレッド)」柴田南雄監修『ニューグローヴ世 界音楽大事典』第9巻,講談社,1994,p. 182. 4)Scholes, P. A., Music: the Child and the Masterpiece, Oxford University Press, 1935, p. 304. 5)ローザンヌ決議において,音楽鑑賞の学習の目的と して,以下の2つが掲げられた。. 賞の根本を議論する機運が高まったと推測できる。. ⒜芸 術という領域に対する高度な感受性を発達させ. 1919年から1928年にかけて, 「手段」への注目. ること(聴覚訓練の授業という範囲を表す). が高まっている。この要因として,社会に蓄音機 が普及していったことが第1にあげられる。さら に,Scholesが音楽鑑賞の新しい手段として音楽 メディアを行う手段として,蓄音機や自動演奏ピ アノを推奨した著書を多数出版したことが大きく 影響していると考えられる。. ⒝代表的な名作の徹底的かつ批判的な学習 Ibid., p. 305. 6) 『ニューグローヴ世界音楽大事典』によれば,1921年 ScholesのLearning to Listenが,英国における音楽鑑賞 運動の成熟期の始まりであると言う。 山本文茂訳「音楽教育」柴田南雄監修『ニューグロー ヴ世界音楽大事典』第4巻,講談社,1994,p. 146. 7)H. P. S.,“On Listening to Music”, The Musical Times, Musical Times Publications, Vol. 53 No. 833, 1912, pp.. 5.今後の課題 本稿では,1900年代から1931年8月までに,英 国音楽雑誌The Musical Timesに掲載された音楽. 449-450. 8)Lowe, C. E., “On Listening to Music: Another Point of View”, The Musical Times, Musical Times Publications, Vol. 53 No. 835, 1912, pp. 581-582. 9)Priestley-Smith, H., “On Listening to Music”, The. 鑑賞関連記事を検討してきた。今後の課題として,. Musical Times, Musical Times Publications, Vol. 53. 次の2点があげられる。第1に,英国の音楽鑑賞. No. 836, 1912, pp. 655-656.. 教育の新たな方向性を示したローザンヌ決議の詳 細な内容を明らかにするとともに,その後の英国. 10)Ignotus, “The Gramophone as an Aid to Musical Appreciation”, The Musical Times, Musical Times Publications, Vol. 60 No. 919, 1919, pp. 492-493.. における音楽文化,音楽教育への影響を捉えるこ. 11)Adcock, C. A., “The Gramophone as an Aid to Musical. とである。第2に,The Musical Timesの中で議. Appreciation”, The Musical Times, Musical Times. 225.
(9) 小 林 美貴子. Publications, Vol. 60 No. 920, 1919, p. 554.. 参考文献. 12)McElligott, J. B., “The Gramophone as an Aid to Musical Appreciation”, The Musical Times, Musical Times Publications, Vol. 60 No. 922, 1919, pp. 696-697. 13)Gabriel, L. G., “Musical Appreciation: A Theory”, The Musical Times, Musical Times Publications, Vol. 61 No. 924, 1920, pp. 121-122. 14)Blair, J. W. H., “Musical Appreciation”, The Musical Times, Musical Times Publications, Vol. 63 No. 947, 1922, p. 52. 15)Fowles, E., “The Appreciative Study of Music”, The Musical Times, Musical Times Publications, Vol. 69 No. 1024, 1928, pp. 524-525. 16)Vernon, P. E., “Non-Musical Factors in the Appreciation of Music”, The Musical Times, Musical Times Publications, Vol. 70 No. 1032, 1929, pp. 123-124. Vernon, P. E., “Non-Musical Factors in the Appreciation of Music”, The Musical Times, Musical Times Publications, Vol. 70 No. 1033, 1929, pp. 227-228. Vernon, P. E., “Non-Musical Factors in the Appreciation of Music”, The Musical Times, Musical Times Publications, Vol. 70 No. 1034, 1929, pp. 320-321. 17)Foss, H. J., “E. J. Moeran: A Critical Appreciation”, The Musical Times, Vol. 71 No. 1043, Musical Times Publications, 1930, pp. 26-27. 18)Anderson, W. R., “The Equation of Teaching: Is Appreciation X?”, The Musical Times, Vol. 72 No. 1060, Musical Times Publications, 1931, pp. 517-519. 19)Scholes, P. A., “‘Musical Appreciation!’-An Appeal to Our Music Critics”, The Musical Times, Vol. 72 No. 1061, Musical Times Publications, 1931, pp. 613-616. Scholes, P. A., “Further Thoughts on Musical Appreciation”, The Musical Times, Vol. 72 No. 1062, Musical Times Publications, 1931, pp. 732-733. 20)McKinney, H. D., “More about Appreciation”, The Musical Times, Vol. 72 No. 1062, Musical Times Publications, 1931, pp. 711-715. 21)Fowles, E., “Why This Sneer?”, The Musical Times, Vol. 72 No. 1061, Musical Times Publications, 1931, p. 634.. 附 記 本稿は, 日本音楽教育学会第41回全国大会(2010 年9月25日,埼玉大学)の発表内容,および音楽 教育史学会第24回大会(2011年5月7日,東京学 芸大学)の発表内容を再構成したものである。. 226. Cox, G., A History of Music Education in England 18721928, Ashgate, 1993. Cox, G., Living Music in Schools 1923-1999: Studies in The History of Music Education in England, Ashgate, 2002. Dale, C., Music Analysis in Britain in the Nineteenth and Early Twentieth Centuries, Ashgate, 2003. 川原浩『西洋音楽教育史-主としてイギリスの民衆音楽 教育-』広島大学出版研究会,1976. MacPherson, S., Music and its Appreciation, or the Foundations of True Listening, Joseph Williams, 1910. Moutrie, J., “The Appreciation Movement in Britain: MacPherson, Read and Scholes”, Simpson, K. (Ed.), Some Great Educators, Novello, Reprinted 1981, pp. 60-69. Pitts, S., A Century of Change in Music Education: Historical Perspectives on Contemporary Practice in British Secondary School Music, Ashgate, 2000. Scholes, P. A., The Mirror of Music 1844-1944 A Century of Musical Life in Britain as Reflected in. the. Pages of the Musical Times, Vol. II, Novello and Oxford University Press, 1947. Symes, C., “A sound education: the gramophone and the classroom in the United Kingdom and the United States, 1920-1940”, British Journal of Music Education, Vol. 21 No. 2, Cambridge University Press, 2004, pp. 163-178.. (札幌校講師).
(10)
関連したドキュメント
語基の種類、標準語語幹 a語幹 o語幹 u語幹 si語幹 独立語基(基本形,推量形1) ex ・1 ▼▲ ・1 ▽△
However, using Williams time reversal theorem and some abso- lute continuity results for Bessel processes, a specific, elegant proof can be written for Theorem 2.1... We start with
ポケットの なかには ビスケットが ひとつ ポケットを たたくと ビスケットは ふたつ.
[r]
「旅と音楽の融を J をテーマに、音旅演出家として THE ROYAL EXPRESS の旅の魅力をプ□デュース 。THE ROYAL
「1.地域の音楽家・音楽団体ネットワークの運用」については、公式 LINE 等 SNS
英国のギルドホール音楽学校を卒業。1972
2017 年夏より始まったシリーズ 企画「SHIRAI’s CAFE」。自身も 音楽に親しむ芸術監督・白井晃