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教員養成大学音楽科における音楽史の指導内容と考察

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(1)Title. 教員養成大学音楽科における音楽史の指導内容と考察. Author(s). 浅井, 良之. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 47(2): 347-360. Issue Date. 1997-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2182. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 平成 9 年2月 997 February,1. 7巻 第2号 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第4 l 7 i i i i fEduca i t t t lo fHokka doUn Journa onIC) Vo c ver s on (Se .4 .2 yo ,No. 教員養成大学音楽科における音楽史の指導内容と考察. 浅. 井. 良. 之. は じめ に. 5回である‐ この枠のなかで, 学生の音楽理解を深めるために一般的な通史 音楽史の配当時間は90分・1 を始めとして様々な歴史的記述の学習がありうるが, とりわけ教員養成大学音楽科においてはどのような内 容が適切か考えてみたい.音楽大学 ピアノ 科の学生にとって求められる能力は,たとえばショパ ンの 「バラ- ド第1番」 をその独特な様式をもった演奏として表現できることである‐ 教員養成大学音楽科の学生にとっ ては, 演奏ができることに加え, その表現の理由と方法について 「なぜそうするのか」 を中高生に言葉とし て説明できる能力であろう‐ 同様に生徒にクラシック音楽について学習させる場合にも 「なぜ学習する意味 があるのか」 を音楽そのものから説明できる能力が必要となろう‐ では 「クラシック音楽でなければ得られない感動があるから」 という場合, 何にどのように感動している のであろうか‐ これはたぶん言葉として説明 しにくいだろう. 「それではどうやってクラシック音楽を好き になったか」 という質問には, 邦楽とは異なっ た拍や音程の感覚, 和声の働き, 曲の構成などについて, い つ どのようにして気付いたか, どのように理解しているか, といった事柄に関わる答えがあると思われる‐ も しそ う だとす れ ば, 洋楽 独 自の ア ポ ジ ア トゥ ーラ, カ デ ンツ その 他の様々 な 和 音 進 行, 音 程, リ ズム,. などによる 「表現」, 主題操作や伝統をふまえた楽曲の 「構成」, 東洋と西洋の 「考え方」 の相違, を理解 することが, クラシック音楽を理解するための一つの方法として考えられる. 本稿では, 学生が習得しつつある音楽理解をより深めるために, また教師になった時に音楽理解を生徒に 言葉として説明できるようになるために, 音楽史の講義において指導 した事項を述べ, 考察を行なう.. 1・指 導 内容 につ い て. 1・学生が習得しつつある音楽理解のために‐ 作品を 「理解した」 と確信できるのは, 「解釈」 ができた時である. その様子をみると, a, 断片または 部分にたいしての漠然としたフィ ーリングをもとにして理解する. b, 作曲家, 作品への文学的な感情移入. 「シ ョ パ ン が 恋人 グラ ドフスカ を思 っ て 書 い た」.だ か らい い 曲 だ, と いう 理 解‐ ま た 「物 語」 と し て音楽 を. 理解するなど. c, 部分的な音の動きそのものによる表現の理解‐ 「ここの節回しがいい」 など‐ ここまでは興味があれば, 能率の善し悪しはともかく, 個人でたどりつく. d, 音楽語法が理解できる‐ e, 文化的な背景が理解できる. これは個人だけでた どりつくよりは指導があるほうが能率がよい‐ f, その曲に特有な音楽的な表現, 意味, 位置を, 自己の音楽経験と関連させ納得できる. 青(作品) の唯一の重要性は, われわれが含んでいるとは知らなかっ たものを-いや含んでいなかっ g,「芸祢 ’ たものを-われわれから引き出すことにある. ” 」 という文化としての理解, 把握をする‐ 347.

(3) . 浅. 井. 良. 之. これは望ましいことだが, 個人の経験に関わり, ヒントを与えることはできるかもしれないが, 「教育」 の方法論が一般化できない. 音楽史の授業はdとeに関わって音楽理解の幅を広げることに役立つことができるだろう. 2 ・ 教 師にな っ た とき役 立 つ た め に. 一般的に生徒の意識と行動は 「その音楽を好きか嫌いか」 という主観的な価値判断による受け入れが中心 となり, 教師の意識と行動は 「なぜそのようであるか」 という分析的な事実判断にもとづいた働きかけが中 心となろう‐ 教師が 「音楽語法と表現, 文化的な背景」 について, 分析的な理解を身に付けていることは, a, 生徒の 「好き, 嫌い」 から出てきた 「なぜこの曲を勉強するのか」 「なぜそのように演奏するのか」 などの, 教材や課題を受け入れる際の疑問に答えるために有効な手段, 態度となりうる. b, 教師になってから, 自分一人で楽譜から指導事項を発見し演奏を完成させ評価するために役立つ. c, 生徒自身が 「なぜ」 という音楽的好奇心を持って問題解決を行なう態度を育てるために役立つ‐ 表現の方法については声楽, ピアノ, 管弦楽器の演習において学んでいるが, 音楽史において系統化する ことができよう. 3・扱う時代と内容 学生の実技演奏の対象となっている音楽および小中高のクラシック音楽の教材は, バッハ以降ロマン派ま での 時代の 作品が そ の多く を 占めて いる‐ バ ッ ハ の 死 1750 年か ら1850年 ま での 100年 間を 見る と, サリ エ リが 生ま れた 年 か らシ ョ パ ン が亡く な っ た年ま で が 含ま れ る‐ モ ー ツア ル トの妻 コ ンスタ ンツ ェ の 生涯 はこ の期 間を ほ ぼカ バ ー し, 彼 女 の亡く な っ た 年 にワ ー グナ ー は 「さま よえ るオ ラ ンダ人」 を 試演 して いる.. 0年間という長さは 「人間の一生の期間」 として学生, 生徒が感覚的に把握しやすいと思われる. 10 この時代の音楽の分析には和声学の知識が有効な道具となるが, その知識を自分の学んでいる曲目に応用 するためには 「道具としての使い方」 の具体例を習得する機会が必要である. ただし学生の多くは和声第ロ 巻ので終わることが多く, ソプラノ課題, 非和声音につ いて不十分である. 道具として実用化するためには この点を音楽史で補うことが必要となる‐ 以上の理由から, 古典派, ロマン派を対象とし 「機能和声による音楽の表現」 を扱うこととした‐. 亘 授業経過 始めにモーツァルトを取り上げた. その理由として 1) 音楽の基本的な技巧によるものから, 晩年の複雑な技巧のものまであり, 和声の復習教材としてもアナ リーゼの題材としても適度な困難さを持っ ている‐ 2) 映画 「アマデウス」 ほか授業に取り上げやすい映像があり, 文献資料が多く, インクの色や紙質などを 3 〉 調べた実証的な研究方法とその成果が生徒に取っ ても興味深いと 思わ れ る.〈 1・ 「フ ルー トのた め のア ンダ ンテ」. K, 315. 1778年 作曲. 1) 要所ごとの調を判定させる‐ ハ長調, ト長調, ト短調, ニ短調, イ短調, ハ長調, ヘ長調, ハ長調. 2) 演奏するときに特に表現を意識するところとして, a, ア ポ ジ ア トゥ ーラ を 探さ せ る. 譜例 1 で はappと 記入‐ 和 声 第 m巻, p,109 「構 成 音 の 転 位」, 特 にp,. 1 2 2 「倍音」について説明した. (教育出版社の教科書指導書では 「転過音」 と呼び, 「いきている和声」 348.

(4) . 音楽史の指導内容と考察 A・ D ・ ディ エ ルニ, 音 楽之 友 社 で は 「よ り かかり 音」 と して い る. 本稿 で はア ポ ジア トゥ ーラま た はapp. とする) この音は非和声音のうちでも表現力が強く, 一般的にはアクセントを付けて緊張を強め, よりかか るように次の音に滑らかにつ なげて緊張を解く表情を付ける‐ 譜例1. 一 g 」ndante Andante. ” 竪 -. -ふ. 馨. -. N. . ,. ,. . ドム ‘ a 一 戸 ←,. 覇 ヘ , i‐. (. ( 舶 霊 F ,. a ヱし. w. A‐ 別[ t oz を u r. ( 盛 伊、. ;. か 。 』 ◎ . W. し. ・ lr. 隼, g. ‘. ! f. か. ン. けe s c ・. . ヤ. .. .. -. 篭. ミ. ず. ぞ. 主′主 挫 些 岳 南≦” 盆. 亀.. へ. 「\丞」毎森る津軽 降誕鎚語 工 f鈷≧漆彪 翌日 毎,. 虚 ー. ふ (. (. . 鯛 の む。α. ¥P. ー β. . ] 」# , 墓 ご. 瞥 爺 『(. . . QPL. 、、. ″【. ◆. 」 月 i. .. .. .. ・・. ′. 、. .. . . (=( だ鞘 斬 (”癖一蓬 -. れ. ぬ‐. rp . , ;,. 靭. . (. 349.

(5) . 浅. 井. 良. 之. b, 1 2小節目増4度の上行進行なので緊張を強め, 続く半音階の下降で緊張を解く. 1 5/ J ・節目からト長調. 1 6分音符のソからは,3 2分音符のラ, 1 6分音符のシ,8分音符の ド ,4分音符のし,の上行する声部とソファ ミレドシの下降する声部の2つがある‐3 0小節に減7度,この部分の伴奏は根音省略の届九の 8小節ト短調,4 1で は ピアノ パ ー トのミ に シ ャ ー 和 音‐ ブライ トコ ッ プ フ版mおよ びこ れ に 基 づ い た と思 わ れ る音 楽之 友社 版6 プが つ けて ある が, フラ ッ トの誤 り. 46小 節 ニ短調, 40 小節 に減 7度‐ 4 9小節2拍目からの1 6分音符の. 3つの同音の連続は53/ J ・節3 2分音符の刺繍音のパターンに変奏され, 拍の分割による緊張を表現する. 3) ガ ッ ゼ ロー ニ, ラ ンパ ル, フラ ンス ・フ ェ スタ - (フラ ウ ト・ トラ ヴ ェ ル ソ) の3種 類 の演 奏 を 聞 かせ,. 特に以上の部分の表現の違いを注意させた‐ 2 ・ 「ア ヴ ェ ・ ヴ ェ ル ム ・ コ ル プ ス」. K6 1 8. 1 791年作曲. 1) 要所 ごとの調性を判定させ, バスの属和音-主和音の根音進行による段落を探させる. 2) ラテン語の各単語毎の訳を渡し, アポジアトゥーラを探させ, その部分の歌詞の意味を理解させる. 3) 8小節間ニ長調, 4・6・9小節のアポジアトゥーラが単語の意味 “めでたし, 御体・処女” を強調. 11小節からイ長調1 2小節1拍目は減7度和音で “犠牲となる” を強調‐ 1 6小節4拍目はテノール・ バス が半音でぶつかる. もしバスがD#ならばローV度のV度根音省略1転-属7と規則 的な進行 になる. そ れ に して もな ぜ “pro,~ の た めに” “homine,人” 「人 のた め に, 十 字 架上 にて 犠牲 を受 け」 とい う,. 信者にとって重要な歌詞であり, prohomineと 1つ にま とめ て 読ま れ る 段 落 な の に, モ ー ツ ァ ル トはこ の ように書いたのだろう. 音楽的にはソプラノ, テノールを経過音と考えられないこともないが, DをD#に すれば1 4小節と対になり, 属和音をより強調し, 楽器による間奏の前の段落を作るためにも効果的である. 音楽之友社版 「踊れ喜べ汝幸なる魂よ他二曲」 OGT504, 1957年 出版 の ス コアの 数 字 低 音 に は7, 5 と 書いてあり, バイオリン, ビオラ, オルガンと低音弦が声楽パートとそれぞれ重複し, 4拍目がD#になっ て いな い. 演奏 会 およ びC D (G・ シ ュ ミ ッ ト・ ガー デ ン指 揮 テ ル ツ少年 合 唱 団, P ・ マ ーク指 揮ウイ ー ン. ・フォルクスオーバー管弦楽団・合唱団, その他) も現行の譜面にそって演奏 している. こ の 曲 は バ ー デ ンの 聖 歌 隊長 シ ュ トル (Anton stol l1748-1805) に贈 られ た とさ れ る が, オ リ ジナ ルの. 譜面もそうなのだろうか?誰かが間違えて写譜をしたものが伝わっている? 23小節 “脇腹” を減7度和音で強調. ヘ長調に転調‐ 25小節でバスが届音-主音の完全終止をするが, ハ長調の下属和音に読み替えられ, 26小節の属7和音からすぐに二短調に転調. 30小節からニ長調‐ 39 小節第3拍自滅7度和音から属和音に進行しながら “死” をメリスマで飾る‐ 41小節目バスがAならばイ 長調の主和音に安定するが, 予想を裏切り, Gなのでニ長調の属7和音となり3拍目で第1転回の主和音と なる. 以後の部分は定型的進行. 楽譜から以上を読み取らせる. 4) 緊張度の高い減7度和音やアポジアトゥーラなど, 自分の歌っている音符の和声的な機能を意識させ, 単語の意味との結び付きを理解させる‐ また1 6小節目バスをD#に変更して歌わせ, その変化を味あわせた. 3・ 「交響曲第40番・第4楽章」. 88年作曲 K550 17. 展開部の冒頭9小節間に和声をつければ, 譜例2のように根音省略の短調の届9和音の3音と9音の2つ の音が, 解決和音の3音の進む. その3音と次の音が減7度の属和音を作り, その解決がまた3音. 以下同 様にしてヘ短調, ハ短調, ト短調, ニ短調, イ短調と五度圏で進む. このように考えられるが当時としては 9小節からは1 6小節間に5度上りで7回, ハ短調-ト短調-ニ短調-イ短調 前衛的だっ た. また展開部15 J 、節からは8小節間に4度上がりで4回, 93/ -ホ短調-ロ短調-嬰へ短調-嬰ハ短調‐ ナポリのn度を通り1 ロ短調-ホ短調-イ短調-ニ短調-ト短調とめまぐるしく調性が変化する‐ 350.

(6) . . 音楽史の指導内容と考察. こういった技巧は当時の聴衆には “楽しみ” の範囲を越えており, 晩年の作品について次のように言われ た‐. ピアノ ・ カ ル テ ッ トK ‐478, K 493 が よく 売 れ な か っ た後 で, 「も っ と俗 っ ぽく 書 い てく れ た. 1787年. まえ. さもないと君の作品 はこれからはもう印刷できないし, 支払いもできない‐ 」 ウイーンの出版商ホー フ マ イ ス タ ー‐ 輸. ドン・ ソ ョ バ ンニ の 公 演 につ い て, 「ま た し て もわ が 聴衆 の 頭 をく らく らさ せ た オ ペ ラ‐ 多く. 1789 年. の観客には豪客と喧騒, 教養ある一部の人たちには陳腐な素材とやぼっ たさ. 音楽もまたスケール大きくよ く 響く が, 快 い と いう より は重く 技 巧 的. 一 般 の 人気 を集 め る ほ ど通 俗 的 でな い- 」 フラ ンク フ ル トの批 評 } 7 家 シ ュ ライ バ ー{. 譜 墓 - 冨 -章. 塞磐 騨 T i 搬 皿 l. . i ・. , . も M ・. A一。寸e. l. b. 飴 邪. G=詠, oし. IGm“. 肇M律 ・. 三鱒‐「 ≦≦ 鑓 立コ. e - wi g. Jer. hi n. L ie 」 i. 〕 αメ wbn ‐ ne ‐ 君蛸 -堤. ★ ; トr K。mm .. ・. l me zen.. nem. c ′ F 方ソ. 一. me ,-. S i eh,. の\. E ‐ mき. h in. l in e. mem 日er- . hr e^ me. 一. ” , i. ー. 狐‐ 態nl. d eト Lを. be. ・ 5。. s o. ,. がr. RI h L. . 丁。 一. d巳. .. me ,-. ・ 丁。. . 舵爪. . ‐. 下謎-ne nf,e- en′ 下組1 t t - r; r d. . . J rL t n tbe se ne ,. 。. d Wt r. へ mゐ ◎ の R”h. lm. 丁。- de -. c. ,. im. . ′ハ. ⑦. d re - se. i e′s ;ri 。 -w に” - h. C. e ーb. ジ. 2良-r”(kl. ,. 下鵡- dj 汁 粉に ;ふ ; en .“ tbe 畿ムh. ~ e -ne n′. d. ・. c ‐ ‐. ′〒 :±ご F ′- 安/ -- 「F ,J. 9己 in,. -. /i : 頁. ス”‐rack. ‐. ‐ l FA - mi‐ho. ぶr. in 獣三. ず. IAm利 一. の- -~-\}. --- -Zen 中ehr. ‐ 一 e t. 曇 事F- -ヒ キ #一 , が\ ≧ ′宅癖目9呂 g. . Dm 魂. N i m - mer の め .. ,. . に; L 詫に. I. b ′/′④. 罰も二 ;; “一 4 M梓. --. 菌. -、 ④ 、、. h t f n (. ,. 壌 ・ GI武k!. ‐. 弁 17. , .. ーcm刊. J 一 n ミ ¥ 塞 ぎ 壷ミ 全一 ミ 1 ミ キ 曇 端 ー. He r --. =-. K・ 620 から パ ミーナ のアリ ア 「恋の 喜びは永遠 に消え」. 歌劇 「魔笛」. ‐b. M. .. .. 譜例3. ・. 一B. -. de. e jn s ,. i. 。 一. 一 一 Je. . Sem. 351.

(7) . . 浅. 井. 良. 之. 譜例4. 、 C“歩”‘ ≠ 号. ・. ′. ‘. . ・. a. M. .. ご/ じ oL. ・ ーよ 曇 ′. ム. L. . を 一・ . ml -↓. I. L. L. お .ず. ,, T. r t. r ・ . ・・ . r i ′. ・ ◆ r 讐 て〃- -. 1 .◆ ′ ′ . ・ .. I. T. “●・- {. f.. . -.. 夕3 々.. ,ムキ.. ‘4 h ん ・ ーr 〜. る雪白:. 二.. ニ. - ト. 三 ▼- 一 } . て″. ヰ事 ” .-. 当. ぷなご ” ;ざ 芝. . - -≧ -. . 7. ”へ「/ : 、 ; ;、 二. 鰐. b. a p .. a p .. む‐ & p ‐ 白p. ゑp. ap. S‐. 2 5. s ‐B.. a p .. a P ・. a p .. 8 P ・. B. S .. 2 7. a. a p . p. S.. M‐. Z i p .. a p .. B. S . B.. C a p .. a p .. M‐ 2 o. . . a P ・. a p .. a P ・. . . 352. a. a p . p. . . ‐. J ‐. …. J .. .. .

(8) . 音楽史の指導内容と考察. 4 ・ 歌劇 「魔笛」. K・ 620 か ら パ ミ ー ナの アリア 「恋 の 喜 び は永遠 に消 え」. 1791 年 作 曲. 1) 譜 例 3 の a b c は旋 律の パ タ ー ンを 示 す‐ a は下行, bは1度上昇するが下行して終わる, cは跳躍音. 程を含み, しかも減5度や減7度を含み, 緊張し表現が強い‐ そ の 使わ れ方 を見 る と, a b cが2 回ずつ1小節の長さでまず使われ, 休止のあとパターンが2小節以上 に拡大 さ れ, リ ズム が細 かく な る‐ 「見 てタ ミ ーノ ・ この 涙 を」 「あ な た は愛 のあ こが れ を感 じな いの です. か」 など相手に訴える言葉が減音程で強調される. 2) 譜 例 の丸 で 囲 ん だイ はア ポ ジ ア トゥ ーラ (ス ペ ース が 無 いの で 俺音 のイ). フレーズの終わり だけでも10回以上女性終止の形で使われ, 各単語の意味を強調する. また, 各フレ- ズの終わりは同音または2度の進行をし, 動きが止まったかのような表現を作る. 3) 8分の6拍子で伴奏は和音を途切らせながら鳴り, 旋律を重複しないので非常に真剣な表情をつくる‐ 4) 以上のような音楽の構造に注意させ, 演奏を聞かせてその表現を聞き取 らせた. 5) 歌劇 「魔笛」 につ い てモ ー ツ ァ ル トが 手 紙 に引用 したサ リ エリ の言 葉 「2 人 と も どん な に丁重 だ っ た か, わ た しの音 楽 だ けで なく, 台本 もな に もか もひ っ く る め て, どん な に 彼 ら (サ リ エリ とカ ヴ ァ リ エリ 嬢) の気 に入 っ た か は, あ なた に はとて も信 じられ な いで しょ う‐ 二 人 と も. こう言ったのです, これはオ ペローネです, 最大の祝祭のおりに最大の君主のまえで上演するに値するもの 8 ) で す, と( 」. 5 ・ 「レクイ エ ム」. K626. 1791 年. モーツアルト研究の様子と成果の一例を, 楽譜と録音資料により紹介した. } そ れ を さ らに 変 更 した バ イ ヤ ー 版 モ ー ン ダー 版 レ ヴィ ー ン版 が ある こ 現 在 は ジ ュ ス マ イ ヤ ー 版9 , , ‐ , こ で は ジ ュ ス マ イ ヤ ー 版 と し てEul enburg No,954, バ イ ヤ ー 版 と し て Peters No 8700, モ ー ン ダー版と. してoxford‐Univ‐Pressl988を 使用 した. レ ヴィ ー ン版 は参 照 で き な か っ た. 以 下 S 版, B版, M版 と 略 記 す る. S版 の 演奏 例 と して K ・ ベ ーム, ウイ ー ンフィ ル, B 版の 演奏 例 と して N ・ マ リ ナー, アカ デミ ー. 室内合奏団, M版の演奏例としてC・ホ グウッ ド , エンシエント管弦楽団の演奏の録音CDを用いた‐ 1) 「コ ン フ タ ー テ ィ ス」. 映画 「アマ デウス」 でモーツァルトがサリエリに指示して楽譜を作る場面を講義の導入に使用する‐ 字幕 に間違 い があ るの で, 訳 を プ リ ン トにす る‐ (L D/ S F O98 - 5062. パ イ オニ ア を使用). 「オ ーケ ス トラ, 2 番 バ ス ー ン, バ ス トロ ンボー ンは バ ス と, リ ズム, 音 程を 同 じにする. 1番 バ ス ー ン, テ ナ ー トロ ンボー ンはテ ナ ー と」 「器楽 は声楽 を 重複 す る. 次 は トラ ンペ ッ ト, ティ ンパ ニ‐ ニ調 の トラ ン ペ ッ ト, 主音 と 属 音‐ 1拍目から入る. 」 o i iそ の 解 説 に は 「自筆 譜 の上 か ら三段 目ま での バ 1990 年 に 自筆譜 のカ ラ ー 版 フ ァ ク シミ リが 出版 さ れ た‐ ( イ オ リ ン1 ・2 ビオラの弦楽三部は最下段の低音弦と同じ動き, バセッ トホルン, トロンボ÷ ンは全音符, トラ ン ペ ッ ト, ティ ン パ ニ の 2, 4 拍 目 の 4 分 音 符 がイ ンク で 書 か れ て い る‐ 1 か ら7 段 目ま で は こ の 時 Dによ り 書か れ た と し て 鉛 筆で 囲ん だ記 入 が あ る モ ー ツ ァ ル ト自身が 書 い たの は 26 歳のJ ・アイ ブ ラ ーQ , ‐. 一番下の低音弦と合唱だけである. 」 と書かれている‐ 譜例4-a‐ S版とB版は録音を聞く限りでは, 6, 1 5小節以外はその違いを捕らえにくいが, M版ではトランペッ ト, ティ ン パ ニ が使 わ れ ず, 5 小節 間 バ セ ッ トホ ル ンは休 止, ト ロ ン ボー ンは4 小節 間, 2, 4拍 に4 分 音. 符の和音を奏する‐ 6, 16小節はバセッ トホルンと弦で他の版とは異なる音型を奏する‐ この違いを耳で 確かめさせる. 映画に使われたのはN・マリナーの演奏したB版である‐. 353.

(9) . 浅. 井. 良. 之. 2) 「ラク リ モーザ」. 9ページ, 新潮文庫) 6~8小節の自筆譜は 「モーツァルト」 (田辺秀樹著, カラー版作曲家の生涯, 16 そ の 他 で しば しば見 か け る‐ その 譜 面の9 小節 目 はアイ ブラー によ る もの で, #や 音 符 の形が モ ー ツア ル ト. 1 2楽譜がなくと と違う. 「始め2小節間の弦三部と3~8小節の合唱と低音弦のみがモーツアルトの自筆」{ も目 と耳 だ けで把 握 しやす い第 一 バ イ オ リ ンの 譜面 を ジ ュ スマイ ヤー, バイ ヤー, モー ンダー の 3つ の版 か. ら抜き書きして プリントを作っ た. (譜例4 - b, ア ポ ジ ア ト ゥ ー ラ をapと 略 記 し マ ー ク して おく. ) バ. イオリンの音型, アポジアトゥーラ, 合唱パートの2度下行の部分に注意させ, 聞かせる‐ 1小節目2拍目 のB音の逸音は次のD, C#と結び付いて属和音の導音に解決する. 3・4小節3拍目は和音がロ7で, ソ プラノに予備された7音が保続しているにもかかわらず, S版は1, 2小節と同じ音型を使っているので, 半音で衝突し, 更に悪いことに導音を先取りしてしまう. 多くの指揮者はこのC#を非常に弱く鳴らしてこ の問題を解決しようとしている. 2 2小節からの同じ音型がフォルテで繰り返される所も同様. B版はこれを避けて4小節目の音の動きを 変え, 5/ 一 ・節 目で は上 行 の ア ポ ジ ア トゥ ーラ を3 回 続 けて 変化 を 作 っ て い る‐ 合 唱部 分 につ い て は, S版 で は24, 254・節 で バ ス と低 音 弦の動 きが 異な っ てい る が, B版 で は バ ス に弦楽 器 を合わ せ, ア ル ト, テノ ー. ルも書き替えている‐ 譜例4 - c‐ 8小節までの合唱のなかで2度の下行音程の使われている所を調べさせる. 3 小節 目の ソ プラノ, ア ル ト, テノ ー ルに各1 回, 6 小節 目の バ ス に2 回, 7, 8 小節 でア ル ト3 回, テノ ー ル2 回, バ ス 3 回, 計 16 回.. 次に3小節以降の第一バイオリンの譜例からアポジアトゥーラの使われ方を数えさせる‐ (S版9小節目の B音は属九和音と考えられるが, ここではアポジアトゥーラとする‐ ) S版24回, B版9回‐ この使用頻 度の違い, 特に21小節以降において分散和音を弾く か, 表現力の強いアポジアトゥーラを弾くかの違い, 合唱における2度下行の表現等に注意させ, 3つの版による演奏を聞かせる‐ 8小節 以 降が ジ ュ ス マ イ ヤー の創 作 か どう か につ いて, モ ー ン ダー はモ ーツ ァ ル トがア トウ ッ ドに作 曲を. 教えた時の禁則を紹介し, 彼自身では犯さないと思われる誤りを8小節以降について調べ, 更に, 同様の誤 1 ① り が ジ ュ スマイ ヤー 自身 の作 品 にある か どう かを調 べ て いる.{ 例え ば9小節 目テノ ー ルと バ ス のC#-Dの並達 8度, 11小節 目ソ プラノ と ア ル トのE s へ の並達, およ J 、節 目にテノ ー ルと バ スの並達 びナポ リ2 度和 音の 誤用 につ いて. 「17~ 19小節 は誤り に満 ち ている」 25/. がある‐ 「1 2小節目の2転の和音の進行は疑念を起こさせる」 (しかしこれは, 私見ではソプラノとアルト ‐となり誤りだが テノールをFDC#Dと進行させるこ の2拍目最後の音を経過音と考えれば1の2転-N , とにより1の2転-属7- W となり 何 ら問題 はな いと 考え られる. ジ ュ ス マ イ ヤ ーの書 い た楽譜 の フ ァ ク シ ミリの数字低音には3#とある. しかし導音である 3 # つ ま り C# の 音が合 唱, オ ー ケス トラ いず れの パ ー トに も ない. ジ ュ ス マ イ ヤー が 頭 で は分か っ てい て も書 き 間違え た?) モ ー ン ダーの 見解 は 「ま と め る と, 9~30 小節 は ジ ュ ス マ イ ヤー によ っ て書 かれ, 口頭 にせよスケ ッ チにせよ, 何 らかの指 示が あ っ た という証. 1小節からの合 拠はない」 M版では9小節目は3小節目と同じ音型を第一バイオリンが奏し, 合唱は休む. 1 唱部分は付点四分音符と付点二分音符のリズム, ほとんどが順次進行となる. これは 「入祭文」 の21小節目 6小節のスケッチを素材とした4分の3 以降の音型を用いた補作であり, 25小節からモーツァルトによる1 拍 子 の フー ガ “ア ーメ ン” とな っ て 終 わる. この よ うな 現在 の 研 究成果 を紹 介 し, 私 見 と して, ジ ュ ス マ イ. 9小節のソプラノ‐バスの間接連続8度以外は現代な ヤーの誤りのうち 12 小節 のア ポ ジ ア トゥ ーラ と18一1 らばさして問題とならないこと, もし誤りを指摘するならモーツァルトの自筆によるDi e siraeの 12 - 13小 節の外声による並達8度, Recordareの49小節の外声‐による並達 5度 も問題 となること, ア ベ ベ ルム コ ルプスの1 6小節4拍目で見たように, 理論だけでも割り切れない場合があることなどにふれる. 354.

(10) . 音楽史の指導内容と考察 6 ・ 映画 「ア マ デウ ス」 原 作 ・ ピー タ ー ・ シ ェ フ ァ ー ・ 1979 年. 映画 台本 ・ミ ロス ・ フ ォ ア マ ン・ 1985年. 日本では2つのものを融合する方向に考えが向くこと (自然と人間, 生と死, 自己と他者など) に対して, 西洋では分離,切断の方向に考えが向く.この映画も 「アマAma (愛する) デウスD e u s (神) モー ツ ァ ル ト」 と 「神 に 愛さ れな か っ た サ リ エ リ」 の 対 比を 強調 し て い る‐ こ の 映画 をき っ か け に, 東 西 の思 考の相. 違に関心を持たせることを目標とした‐ 1) モーツァルトの少年時代の 「神童」 を強調する逸話を取り上げた‐ 例えば17 65年, 1 0歳の時ロンドン で作 曲さ れ たハ ー プ シコー ド協奏 曲 K ・ 107. は, J ・ク リ スチ ャ ン・ バ ッ ハ の 作品 5の ソナタの 編 曲であ. る こ と, 1770 年 14 歳 の 時一 度 聞 い た だ けで 楽 譜 に書 い た ア レ グ リ の ミ ゼ レ レは, 12 小節 5 声 部 の A が5. 回, 9小節4声部のBが5回繰り返されるので, 言葉の助けがあれば思い出すことはさほど困難ではなかっ た か も知 れ な い こと な ど‐ ま た 「モー ツ ァ ル トの 手 紙」 岩 波 文 庫. 33 - 504 -2 p,228. そ の他 の本 で も. 「死と埋葬の日は嵐だった」 と書いてあることがある‐ 映画でも雨天‐ しかし, 17 9 3年 (死後2年目) に 書か れ た シ ュ リ ヒテ グロ ル著「モー ツ ァ ル トの 生涯」に はそ の こ と は何 も見当 た らず,生誕 百 年 記念 に”ヴィ ー ナー ・ モ ル ゲ ン・ ポ ス ト” 紙 に掲 載 さ れ た 記 事 を もと に した ○ ・ ヤ ー ン 「W ・ A・ モ ー ツ ァ ル ト」 (1856 年) に始 め て 現わ れ る‐ ところ が, K・ ツィ ンツ ェ ン ドル フ伯 爵 の 日記の モ ー ツ ァ ル トの 死ん だ 日の ペ ー ジ. には 「おだやかな天候. ときどき霧が出る」 と書いてあることから, 伝記の様々な批判研究がされている‐ こういっ たモーツァルトの生涯に関する研究や, レクイエムでみたような楽譜資料の研究が現在も続けられ てい る こと を紹介 した. 脚 2) モ ー ツ ァ ル トとサリ エリ につ いて の 資料 を 配布 した‐ 以 下 はそ の 一部‐. a・少年時代の旅行について 17 66年 (1 0歳) 「モーツァルト氏と彼の子供達は, ひじょうに豪華な旅のうちに, 大専制君主や国王か らいろいろと授かっ た‐ 金製の懐中時計を九つ, 金製のタ バコ入れは1 2個も手に入れた‐ -中略-しかし 私がこれまでみたうちで最も高価で美しいものは, フランス国王 ご自身が50ルイ ドール (500グルデン) を中に入れて手ずから彼に贈られたタ バコ入れである‐ しかも王はこれを渡されたとき, もし万一よんどこ ろなくこれを売らねばな らぬようになっ たら, これは自分がまた買いもどしたいから, そのつもりでいてく れ, と 付 言 した そ う で あ る- 」. ヒ ュ ー ブナ ー の 日 記 1766年 12月 8 日鰯500 グルデンは少なく見積もって. 1 a 6 0万円, 多く見積もると15 0万円となる.{ b・貴族からみた音楽家 1771年 (1 5歳) 「そなたはザルツブルグの少年を自分のもとに雇い入れたいむね申してきたが, 作曲家 など必要ないであろうし, 無駄な者のように思えるのだが‐ それでもそうしたいとお言いなら, 私には邪魔 だてはできますまい‐ ただ申しておきますが, 余計な者たちのことでそなたが重荷にならぬよう, また, 物 乞いよろしく世間を渡り歩いて肩書きをけがすだけのような者たち には, 称号やら官位を与えぬよう」 9月 の 12 日, 女帝 マリ ア ・ テ レジ ア がミ ラノ の 息子 フ ェ ル ディ ナ ン ト大公 にあ て た 手紙0 c ・サ リ エリ につ い て 1824 年, ベ ー トー ベ ンの 会 話 帳 に シ ン トラ ー が 記 入. 「サ リ エ リ はま っ たく 錯 乱 状 態 だ モ ー ツ ァ ル ト ‐. が死んだのは俺のせいだ, 彼に毒を盛ったのはこのおれだとうわごとをいっている‐ 彼がこれは本当だと告 白 し て い る か ら に は, そ う な ん だ」 岬. サ リ エ リ は モ ー ツ ァ ル トの 死 後 32 年 間, 宮 廷 楽 長 の 地 位 に あ り. 1 69 3年から18 00年までベートーベ ンに歌曲の作曲を教え, 180 8年には10歳のシューベルトの入学試験に 9 } 立ち 会 っ て いる‐ q. 355.

(11) . 浅. 井. 良. 之. 3) 映画の構成にもちいられた 「対比」 映画が始まってすぐに 「舞踏会で楽しむ人々」 と 「担架の上で死にそうなサリエリ」 の場面が交互に写さ れ, 「対比」 が暗示される. 「サ リ エ リ」. 「モ ー ツ ァ ル ト」. 忘れ られた. 有名. 親が熱心 (義務教育の7 1%は計画的な演奏旅行). 親が無関心 (サルマワ シのサルになりたいのか). 地位が低い. 宮廷楽長. 「新 しい」 技 法を追 及. 「大 衆 にう ける」 判 り切 っ た進 行. モ ー ツ ァ ル トの 「世 渡り の拙 劣さ」 につ い て, a ・場 所 を 弁え ない 高笑 い, b ・ サリ エリの 作 っ た マ ー チ. を大勢の前で弾き, サリエリの面目をつぶす. 原作ではサリエリと2人だけのとき. c・歌劇 「後宮からの 誘拐」 のヨーゼフ亘世の批評について 「あれば陛下, 全て必要なだけのものです. 多過ぎてもいなければ, 少な過ぎてもいません‐ 」 原作では, この言葉のあと皇帝は出て行く‐ 「どの音符が多い?」 原作にはこの 言 葉 はな い. d・ 「大 理石 の うん こ を」 原 作で はサ リ エ リ に 向か っ て言 う‐ な ど これ に 対 してサ リ エリの 「世 渡り の巧妙 さ」 を 強調 す る. a ・宮 廷作法 を し っ かり 身 につ けてい る, b ・ フィ ガ ロの バ レー の部 分 を 音楽 な しで上 演す る こ と につ い て 「どう 思 う」 と 聞か れ 「どう 思う か, で はなく,. 貴方の命令です」 と答える. 原作ではローゼンベルクが答える‐ 「音楽一筋」 を強調する‐ a ・原 作 で はコ ンス タ ンツ ェ, 力 バ リ エ リを 誘 惑す る. 「彼女 は何年 も私 の 愛 した」 b ・モ ー ツ ァ ル トの 様 子 を知 らせ る 女 中が 「金のタ バ コ入 れ」 と 生活 に ふ れ て も 「怖 い」 と言 っ 人で‐ o } て も 「作 曲 は?」 と 音楽 以外 につ いて 無関心. Q. 4) 音楽的に興味深い場面‐ a ・フ ルー ツ・ バ ス ケ ッ トの罰 ゲーム に バ ッ ハ, サ リ エリ の真似 を す る‐ サ リ エリ の パ ロ ディ ー に は連 続8 度が あり, ワ ン パ タ ー ンかつ 不 器用 な もの が 用 い られる‐ 譜例 5. この 2つ に 限 らず, 音 楽 に 関 してて いね いに作られていることにも関心を持たせた J ・ S ・ バ ッ ハ の 音 楽 はス ヴィ ー テ ン男 爵 が 1777 年, ベ ルリ. ‐. ンか ら来るま で ウイ ー ンで は知 られて いな か っ た. 伽 モ ー ツ ァ ル トも1782 年 にス ヴィ ーテ ンか ら知 らさ れ,. 78 9年ライ ブツィ ヒで 「主に向いて新しい歌を歌わん」 BWV 225を初めて聞いて大いに関心 をもっ た. 1 レオ ポ ル トが ウイ ー ンに来 た の は 1785 年 で あり, ま だ 一 般 市 民 に は有名 で はな か っ た‐ バ ッ ハ の 音 楽 の 受. 容の歴史にふれた. 譜例 5 サリエリのパロディ. 5) コ ンスタ ンツ ェ が 存命 中 に (1842 年 3月 死亡) シ ョ パ ンが ピアノ 協奏 曲 (1830 年) を初 演, シ ュ ー マ ン, メ ン デル ス ゾー ン, リ ス ト, ヴェ ル ディ, ワ ー グナ ー, が 活躍 し, ム ソ ル グス キー, チ ャ イ コフ ス キー. ドボルザークが生まれ, パガニーニは彼女より先に亡くなっ ている. 機能和声による音楽の表現の変化が百 年間に様々 に変化 したことについてふれた. 6・宗教曲の伝統的音型, 表現様式 ベ ー トー ベ ン 「ミ サ・ ソ レム ニス」 に 関す るW ・ キ ルケ ンダー レの論 文 を 中心 に バ ッ ハ, ヘ ンデル, モ ー. ツアルトの例を取り上げた. 以下の6から8については別紙を参照していただきたい‐ の 356.

(12) . 音楽史の指導内容と考察. 7 ・主題 操 作.. ハイ ドン 「ひばり」 第1楽章の序奏と第1主題および第2楽章の音程の関連, モ ー ツ ア ル ト 「交 響 曲第 40 番 ・ K 550」 第 1 楽 章 ・ ア ポ ジ ア トゥ ー ラ か らの 2 度 下 降の モ チ ー フ と そ の. 拡大, 反行, ベ ー トー ベ ン「ピアノ 協第 3番」第 1主題 を分割 した手 法 の モチー フ操 作, ピアノ ソ ナ タ 「悲槍」 のモ チー. フの楽章関連, チ ャ イ コフ ス キ ー 「悲」槍」 の モ チー フ 操 作 と ベ ー トー ベ ンの 「悲憤」 との類 似点. 8 ・ロ マ ン主 義. 1) ヒュームの論文, ロマン主義と古典主義の人間観 2) シ ュ ー マ ン 「詩人 の 恋」 と シ ュ ー ベ ル ト 「セ レナー ド」 にお ける, カ デ ンツの使 わ れ方 の相 違, 借用 和. 音, 曲ごとの調性関連, 3) ワ グナ ー 「トリ スタ ンとイ ゾル デ」. 短時間での転調. カデンツが極端に少ない, アポジアトゥーラによる表現など. 9・様々な演奏と音楽史 1) ベ ー トー ベ ン交 響 曲第 9 番, 第 4 楽 章, バ リ トンのTone. 第4楽章, 221小節のT6neをF-Fと同音に歌う例と, 1拍目をアポジアトゥーラに変更しG-F と歌 う例 を 聞きく らべさ せ る‐ 前 者 はフ ル トヴ ェ ン グラ ー, ワ ルタ ー, ブリ ュッ ヘ ン, 後 者 はワイ ンガル トナ ー, トス カ ニ- -. バ ー ンスタイ ン, カ ラ ヤ ン. トスカ ニー ニの LD で は バ リ ト ンが Gで 体 を浮 かせ, F で 体を. 沈めて歌い, ニュアンスの表現を視覚的にも把握しやすい‐ このように楽譜と違う演奏が可能な理由として, a, 独唱者独奏者が様式に基づいて譜面を変更することがある. 伽 b, 8小節から同じ音型が表れるが低 音弦 (ベートーベ ンは6人で弾いたと話している醐が自分達で譜面を変更することは考えられないので, 弾 いてもらいたい音として, G-Fと書いている. もしソロの譜面を弦と同じに書く と, 歌手は2回目なので 更に装飾するかもしれない. これらのことから独唱も譜面を変更し弦と同じに歌うことがある. ibedi 2) ベ ー トー ベ ン歌 曲 「l ch」 (教科 書 で は 「愛」 ) chl. 18小節と20小節に注意させながら, 演奏例を聞かせる‐ a, F ・ ディ ー ス カ ウ・ 伴 奏 ヘ ルタ ・ク レス ト は4 分 音符 76 の速 度, b, F ・ ディ ー スカ ウ ・ 伴奏 H ・ハ ル は4分 音 符 104 の速 度, 共 に譜 面の 変更 な し. c, F ・ ヴ ンダリ ッ ヒ ・ 伴 奏 F ・ ギー ゼ ンは4 分 音 符 88 の速 度, 18 小 節 の ア ポ ジ ア ト ゥ ーラ を 17小節 と 同 じよう に16 分音 符 に変 更 d,E ・アメ リ ンク ・ 伴奏 R・ ジ ャ ンセ ンは4 分 音符 116の 速 度,20 小節 にタ ー ンを 加 え る‐ ヴ ン ダリ ッ ヒ は15,16 小 節 の 繰り 返 しが 17, 18 な の で 変 更 し, アメ リ ンク は20 小節 の フ ェ ル マ ータ をカ デ ンツ ァ と して修 飾 して い る‐ (同様 な 変 更例 が, モ ー ン ダー版, ホ グウ ッ ド指 揮, モーツ ア ” ル ト 「レ ク イ エ ム」 “Tuba mi rum の 17 小 節 目の バ リ ト ン独 唱 に 見 られ る- ) ま た 「ア ン ダ ンテ」 も 19 世 紀 に は 「テ ン ポ」 の 表 示 と して, 17, 18 世 紀 に は8 分 音符 の バ ス の 歩 み を 正 確 に 等 しい 長 さ と し て. はっきり演奏する 「様式」 の記号として用いられ (バッハ平均率第1巻24番の前奏曲) ハイ ドン, モーツ アルトでは優 しくリラックスしたテンポとして扱うなど時代により意味が変わる. ㈲それぞれの演奏の表現 を聞きとらせた‐. 357.

(13) . 浅. 井. 良. 之. m 考察 講義中に学生が 「これでサッパリした」 と言ったことが何回かあった. 何かと聞くと 「和声学でやったこ と の意 味が 分 か っ た」 との こ と であ っ た. ま た 「ア ポ ジ ア トゥ ー ラ で はア クセ ン トを付 けて 次の 音 に寄り 掛. かるようにつなげる」 という表現の例をピアノで弾いて示すとよく理解した. 講義終了後 「作曲家, 作品を 自分で選び, 分析せよ」 という課題に対して 「ハイ ドン作曲ピアノソナタHobXW/49の演奏表現」 「ロ シア正教会の記譜と演奏方法の実際」 といっ た題名 で内容のあるレポートが提出された. この点では西洋音 楽の表現法についてそれなりに理解した学生が数人いたことになる. しかし “講義は理解したが自分で表現 に関して書くことを見つ けられなかった” と思われるレポー トが何件もあった. 調べてみると, 実技演奏の レベ ルと レポー トの 内容の レベ ルと は 関係 が な か っ た‐ こ れ はな ぜ だ ろ う か .. 音楽の理解に関して次のような意見がある‐ 「若い器楽奏者が, 当然のこととして勧められた和声の勉強と自分の楽器演奏法の確立をめざして取り組 んでいる楽曲との間に存在するはずの関係をうまく捉えられる状態にあるかどうか一中略-彼らが, 音楽的 な理解の点でもっとも有用 な概念の数々について沈黙してしまうのを目にするが, これは矛盾したことでは ないだろうか?解釈とは考えられるものであるということ, 誰もがそのことは認める -中略-私たちの学 . 生は皆, さまざまなニュアンスが和声によって正当化されること, ある楽曲の均衡はすべて転調する和声連 結や調的な動きに基づいているということを知っているのだろうか?」㈲さらに極端な意見 「演奏家の大部 分の人達をみれば十分である. かれらは楽曲を “初見でひき” また “さらう” が, ほとんど自動的で, それ らの楽曲の構造につ いてほんの少しでも認識することは無い. 演奏家について真実であることは大部分の聴 衆についてもいっそう真実であっ て,彼らは聞いている音楽を単に受動的に受けとっているだけである‐」師 フランスでそのようであるとしても, 日本にはまたさらに別の原因も考えられる. もしかして学生は洋楽を学びながらもその学ぶ姿勢, 取り組み方は伝統邦楽のそれではないだろうか‐ たとえば (能役者が) 「いくら能の美を理解しようと, いくら理想的の演出法を知っていようと, それで お能ができると思ったら大まちがいです. お能はなんでもかんでも技術第一なのです. その役をきわめると き, 能役者は自分が思うと思うまいと にかかわらず能の美は表現されます. 自然ににじみ出るのであり ます. ㈲ 」 もちろんこの反対の考えもある. 「能だけに限らず, 日本の伝統芸に共通した問題なのであるが, -中略-何事においても, 稽古するというのは, 自己をまったく抹殺してただただ習練のみに没頭するのだ という考え方, また演戯者の場合はとく に, 役者馬鹿ということばで代表されるごとく, 頭で考えるのは邪 道であるといっ た考えが圧倒的となり, とく に能の場合には江戸式楽となって固定化され, 技術本位のみに なったことの残津が強く感じられるのである‐ 側」 能楽ではなにものにも囚われないこと, 無心が重視される. それを目的とし, あるいはそれを原因として 様々な技術を体得し, それを駆使して演技が行なわれる‐ 謡では子音の強さ, 続く母音への緊張の移り変わ りに様々な変化をつけ, 「ふけゆく月の」 と女性が昔を回想するならば 「内にとる声」 といって声を前に張 らずに内に響かせる. しかしこういった技術を駆使しながらも, 伝承された型をふまえて 「自然のような存 在」 になることがその理想とされるから, 個人が作為的に何かを表現することは戒められる. これはなぜか, また何のためか, 次のように考えられる‐ 私たちは 「桜のはなびらが散り続ける」 前で, ある時は言葉をこえ, 意識で分割さ れない 「総体」 として 捉え, またある時は自分で総体から部分を選択し 「朝の林に舞う山桜」 と名付けて捉える. この総体の感覚 的受け入れと, 名付けるという認識の交替が繰り返して行なわれ, 感覚により認識の枠組みが広がることが 楽しみを作る‐ 能楽で作為的表現が戒められるのは見る人の意識が特定の部分に引きつけられて限定される 358.

(14) . 音楽史の指導内容と考察. ことを避けるためと考えられる. これに類する考え は, たとえこれほど複雑でなくとも日本に多いのではないだろうか‐ 毎日新聞 「余録」 に武満徹氏の追悼記事があり 「私は, 作曲という仕事を, 無から有を形づくるというよりは, 既に世界に遍 在する歌や声にならないつ ぶやきを聴きだす行為なのではないかと考えている. 音楽は紙の上の知的操作か ら生ま れ る はず の もの で はな い. 」 と いう文 章 を 氏の 「時 間の 園丁」 か ら引用 し ている. 1996, 2, 21‐. 全国紙の編集者がこれを使い, 例えば 「ぼくの場合はいつでも, 作曲を開始する前に, 言葉との激しい交渉 をもたなければなりませんし, そうしなければ音楽的な表現, 音楽的な行為は生まれてこないからです伽」 を引用しなかっ たことは, 日本人の多くが作為的表現をきらっている表れと取れるだろう. これは西洋にお いて 「Ar t 」 が 天然 自然 に た い して人 工, 技 巧, 手 管 を意 味 し 「作曲」 がCom 十Poserと して 「自然 が 離 し. ておいたものを組み合わせる」とは反対の考えである.こうしたことから, 小中学生から大学生までメカニッ クな技巧には関心が強くても, 音楽表現の技巧に関心が弱く, 自然に又は楽譜に従って音をだせば, 音楽に なる と考え る癖 が つ い て い るの か も しれな い.. しかし, だからこそ教師をめざす学生は技巧に関する考え方の相違も含めて, 西洋芸術音楽に特有の表現 技法を理解し言語化できることが必要であろう. 指導方法についてさらに考えたい.. ;王 { 1 } P・ヴァレリー, 『カイエ・第8巻』 「詩学」,. 筑摩書房, 19 2,p,188 8. 6 5 { 2 } 池内友次郎ほか 「和声 理論と実習」, 音楽之友社, 19 { 3 ) 海老沢敏編 「モーツァルト探求」, 中央公論社, i992, 他 i ipi ig,Burchard編. ion Bre 3341,Le t ( 4 )W‐A‐Mozart,「Andante C-dur」 Edi tkopf z , No‐. 958, pp,1 2巻」, 音楽之友社, 1 41-1 45 ( 5 ) 堀内敬三編, 「世界大音楽全集,フルート名曲集,器楽編, 第7 ( 6 } ク ル ト・ パ ー レ ン, 「モ ー ツ ァ ル ト」, 朝 日 出 版 社, 1974, p, 514 ( 7 }ibd p,562. ( 8 ) アインシュタイン, 「モーツァルト」, 白水社, 1961,p,643 { 9 }Franz ×a ) 始めに父に音楽を学び, 17 8 4年からM・ピエシンガーその他に作曲を学ぶ. 17 88年から 17 66-1803 ve rsussmayer(. ウイーンに定住‐ 1 90年ごろモーツァルトと知人になり作曲を学ぶ‐ 宗教曲は南 ドイツ・オーストリアバロックの伝統を引継ぎ 7 19世紀中頃まで演奏された‐ 「レクイエム」 の他に 「ティ トの慈悲」 のレシタティ ーフ・セッコを作曲. モーツァルトの死後サリ i エリから声楽の作曲を学んだ. The New Grove Dict 18 l lanl980 onary VOI . , Macmi ,pp,380 - I. Q のGunterBrosche, 「Requiem」 Musica Manuscripta, Barenrei ter,1990, ( 1 1 )Joseph Eybl ) ハ イ ドン, モ ー ツ ァ ル トの 友 人. 6歳でピアノ協奏曲を演奏. 1 7 77 6-17 9 er (1765一1846. 年作曲をJ・G・アル. ブレヒツ・ベルガーに学ぶ. 180 3, マリア・テ レジアに求められレクイ エム・ハ短調を作曲. これによりサリエリと知り合う. 26 歳のときモーツァルトのレクイエムの補作をコ ンスタンツェ に頼まれるが, 途中であきらめる. Th ionary e New Grove Dict 4ac・ l lanl980,pp,336-7 VO1 6,ハ ni ‐. Q 2 )Gunt i 34-36 t erBros che c pp, . .この後26歳のジュスマイヤーが全曲を完成させた‐また,最後にに書かれた部分は 「ラクリモー ,op. , サ」 の8小節ではなく, 「ホスティ アス」 の 54 小節 の あ と に, Qu im‐ dacapoと あ る 3ケ所の文字であり, その一番下の記入が anol ‐ i 958年, ブリュッセルで展示中に誰かに破り取られたこと, 自筆譜の透し模様から17 88年オーストリアで作られた紙であることが 85年作曲説は問題外となることがのべられている‐ 判明し, 従って17 ’s Re ui 「mozar ion」 ( ing a New Edi t 25-37 1 3 〉Ri t 166-179 vPress char e Maunder q em on Prepar , .oxford Uni ,pp, ,. 2 97 3p,7 2,高野紀子訳, 「最初期のモーツァルト伝」 回 海老沢敏, 「モーツァルト研究ノート」 99 , 音楽之友社, 1 , 音楽之友社,1 鰯. ク ル ト・ パ ー レ ン,op.c i t ,P 137. 359.

(15) . 浅. 井. 良. 之. ( 1 6 ) 海老沢敏, 「新モーツァルト考」 NHK市民大学, 日本放送出版協会, 1 98 2 { 1 の ク ル ト・ パ ー レ ン,op i 221 t ,p, q 8 }ibd,p, 642 0 9 } アイ ン シ ュ タイ ン 「シ ュ ー ベ ル ト」, 白 水 社, 1963, p 20 ,. 節 } ピーター・シェファー. 「アマデウス」 ニューヨーク版, 1 9 8 0年,. 刺書房、. 訳・江守徹、 19 8 4. m ) アイ ンシ ュ タイ ン, 「モ ー ツ ァ ル ト」 op.ci t ,p,214 鰹} 浅井良之 「音の動きに関心をもたせること」 『教育音楽・中学高校版』 3月~9月, 音楽之友社. 198 3 - 1984 筋 E&P・バ ドゥラ=スコダ, 「モーツアルト 演奏法と解釈」, 音楽之友社, 196 3,pp, 93 ÷ 100 園 ロマン・ロラン, 「ベー トーベン偉大な創造の時期」 全集第2 9 8 0,p 2 5巻, みすず書房, 1 ,7 吃 5 )The New Grove Di ionary Vo l lan1980, P, 1 t l 397 c ・ , Macmi. 筋 ) ドメル・ディ エニー, 「演奏家のための和声分析と演奏解釈」 -ショパン, シンフォニア, 1 988,p1 7 翻. しイボヴィッツ, 「シェーンベルクとその楽派」, 音楽之友社, 1 966,pp,20 - 22. 乾 綴 白洲正子, 「お能 老木の花」, 講談社, 1 9 93,p,46 吃 勃 観世寿夫, 「演戯者からみた世阿弥の習道論」 『観世寿夫著作集 i』, 平凡社, 1 980, p,28 { 3 0 ) 武満徹, 「樹の鏡, 草原の鏡」, 新潮社, 1 32 975,p,1. (本学助教授 釧路校). 360.

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参照

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