1.研究成果
ウ ンシュウ ミカ ンにおける特殊肥料 の施用効果の検討
桑 木 信 輔 ・大 平 猪 一 朗 (岡山大学大学院自然科学研究札 株式会社バイオバンク) 高 畑 真 澄 (株式会社バイオバンク) 村 田 芳 行 ・多 田 幹 郎 (岡山大学農学部生物資源化学講座) 緒言 瀬戸内は 日本の地中海 と称 されるほ ど温暖で雨の 少ない気候であ り,水はけの よい傾斜地では, ウン シュウ ミカンの栽培が盛んである。果実の うまみは, 糖度 ・酸度のバ ランス (糖酸比)が重要であると言 われるが, ウンシュウ ミカンの うまみ も同様 に糖酸 比が左右 している。糖度の増加 と酸度の減少は, ミ カンの成熟 に伴 って進行 し,貯蔵中には時間の経過 とともに酸度が減少す ることが知 られているO 本研究では,2001年2月か ら2004年3月の間,岡山 大学農学部附属 山陽圏 フィール ド科学セ ンター本島 農場で ウンシュウ ミカンに有機質及び特殊肥料 を施 用 し,果実の うまみの指標である糖酸比 に及ぼす影 響 を比較検討 した。 材料 と方 法 岡山大学農学部附属 山陽圏 フィール ド科学セ ンタ ー本 島農場 に栽植 の ウ ンシ ュ ウ ミカ ン (Citrus unshiuMare.) `宮川早生'20樹供試 し,半数 には 特殊肥料 (BTO(A)級,株式会社バ イオバ ンク) を 施用す るBTO処理区,残 りの半数 を無処理の対照 区 としたO処理 開始前の2000年12月に土壌 を採取 し, 土 壌 のpH, 陽 イ オ ン交 換 容 量 (CEC、cation exchangecapacity), リン酸 (P),石灰 (CaO).普 土 (MgO),加里 (K)を測定 した。CEC,P,CaO, MgO,Kは,土壌 ・作 物体 総合分析 装 置 (SPAD SFP-3.富士平工業株式会社) を掃いて測定 した,, これ らの土壌 分析 の結 果 を基 に有機 質の選定 を行 い,2001年3月3日に完 熟 堆 肥 (ソ イル メ ー ク) 200kg,苦土石灰60kgを全ての樹 の両端 に溝 を掘 っ て埋 め 込 む土壌 改 良 を行 っ た (図 1)。 さ らに, 2001年10月23日に菜種油粕25kgを,2()02年3月3日 に完熟堆肥100kg,発酵鶏糞100kg,菜種油粕25kg, 苦土石灰40kgを,2003年5月23日に完熟堆肥160kg, 菜種油粕50kg,苦土石灰40kgを2001年3月3日の 作業 と同様 に全ての樹 の根 圏に施用 した。特殊肥料 BTO(A)液 は,基本 的 には水 で100倍希釈 した もの を90L調製 し,10本の試験樹の根 の周 りに,休眠期 か ら春枝伸長期 に一度,開花 ・結果期に一度,果実 成熟期 に2度の計4回散布 した。散布 日の前後に雨が 降った場合 はBTO(A)液の希釈倍率 は高 くして (50 檀)散布 した。 なお,供試樹 の摘果 と勢走は樹 園管 理慣行栽培 に準 じて行 った。 2001年か ら2003年 にかけて 1本の ミカン樹か ら成 熟 した1
0
0
g
前後の果実 を約20個ずつ収穫 した。 ウン シュウ ミカン成熟果実の糖 度 と酸度の測定は,近赤 外光 に よる非破壊 測 定 を行 う青果物 品質評価装置 (フルー ツセ レク ター K-BAIOO,株式会社 クボ タ) を用いて行 った。午
o
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C
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⑳
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O
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⑳
0 lrr()/LSl叩L< 0 諌軌彰 ⑳ 楕死 - 有機賞埋退丁重苛 図1 本島農場 ミカン樹配置図 結 果 処理 開始前 の土壌分析結果 をみ ると,本島農場の 土はpHが非常 に低 く,CECの値 が低 い ことか ら有 機物 が 乏 しい と考 え られ,MgOも不足 してお り, P・Kが多 い傾 向が あ る こ とがわか った。 これ は主 として化学肥料 に依存 して きたことが原因 と考 え ら れた。そ こで,図に示 した ように試験対象 としたウ ンシュウ ミカ ン樹 の周 りの土 を掘 って,苦土石灰, 岡山大 農セ ンター報告 No.26 2004 11完熟堆肥,油粕 を施用 し,土壌改良を試みた。処理 前の2000年12月と2001年3月の土壌分析の結果 を比 較すると,pHが4.34か ら4.79に高 くなっていた。処 理前の2000年12月 と2003年5月に対照区か ら採取 し た土壌分析の結果を比較す ると,土壌pHが4.34か ら 6.85に上昇 し,土壌pHの適正範囲 (5.5-6.5)より はやや高い ものの,改善が認め られた。 また,有機 質を施用することによって増加すると言われる土壌 の横衝能を示す値であるCECも5.7'か ら10.3にそれぞ れ高 くなってお り,土壌改良されたことが明 らか と なった (表 1)。特殊肥料BTO(A)液を施用 した場合 には,更なる改良程度の変化は認め られなかった。 収穫 された ミカン果実は,糖度 ・酸度 を測定する ことにより晶質評価 した。表
2
に示 したように,今 回行ったBTO(A)液の施用方法 (回数)では,処理 樹の果実 と無処理樹の果実の糖度 ・酸度の間に有意 な差は認め られなかった。糖酸比は,BTO処理 区, 対照区 ともに平成13年は16,平成14年は20,平成15 年は 9であった。 表1 土壌分析pH CEC 吉7,b': .i'q芸 cao MgO K ∫- 手嶋 2CNX)イr12月 434 57 98 234 99 109 368 t;5 2001年 3J1 479 51 45 314 70 ()9 168 63 2α)3年 5月 627 8.9 158 429 211 327 315 111 BTO処理 区 2003年 5H 685 103 392 483 474 729 686 214 対照 区 考察 本研究期間中の土壌への有機質の施用 により,土 壌の媛衝能 (保肥力)を示すCEC値の上昇が認め ら れたが,果樹 を栽培するのに目標 とされるCEC値は 15.0-25.0であるので,高品質のウンシュウ ミカン を今後 も継続 して栽培す るには,今後 も有機質によ る土壌改良を継続すべ きであろう。 近年,異常気象等が要因となって,ウンシュウミ カンは隔年結果性が助長 され,平均反収 も減少傾向 にあると言われている。本島農場のウンシュウ ミカ ンで も過去10年間の生産量 をさかのぼって調べてみ る と,隔年結果 による生産量 の変動が続 いている (岡山大学農学部附属農場,1995;岡山大学農学部 附属農場,1996;片岡,近藤,1998;松 田,近藤, 1999;松田,近藤,2000;松田,近藤,2001;近藤, 12岡山大農セ ンター報告 No26 2004 永臥 2002;近藤,永田,2003)。隔年結果 を防 ぐ には,干ばつや寒風害を防ぎ,勢定 ・摘果で着果を 調節 し,肥培管理で樹勢の安定を図るなど総合的な 技術対策が必要である。 しか し,その ような総合的 な技術対策 をするには現状では人手不足等の問題が あ りそうである。 研究実施期間の収穫量 に注 目すると,2001年の収 穫量は,表年のため2000年 よりも増加 し
,
港水量や 施肥量が少 なかったため食味は優れていた (近藤, 永田,2002)。2002年は,夏期の高温 と少雨,湛水 設備 の故 障,技能補佐 員の交代,労力不足 な どの 様 々な要因が重な り栽培管理が行 き届かず,大幅な 着果過多 とな り,直径50mm以下の販売不可能な果 実の割合が多かった (近藤,永田,2003)。施肥過 多 と除草時期の影響で窒素の遅効 きが認め られ,果 実の着色が遅れ,果実の酸味が強かった (近藤,永 田,2003)と本島農場全体 としてはコメン トしてい るが,試験圃場では2002年における酸度の平均分析 値が示す ように,施肥過多による酸度の増加は認め られなかった (表2
) ことか ら,試験圃場ではもし かすると農場全体か らすると高品質の果実が得 られ たのかもしれない。2003年の収穫量は,表年にも拘 らず2002年 よりは増加 したものの2001年 より大 きく 減少 し,2001年の収穫量の68%であった。表年 とし ては,過去10年間で最低であった。 また,2002年に 引 き続 き栽培管理上の問題 と考えられる果実の着色 の遅れ,果実の酸度が高い傾向が認め られた。 表 2 ウンシュウミカンのBTO処理による果実晶質に 及 ぼす影響 午 処理 区 果実産 額 俊 酸 度 糖酸比 (gl (aBri芙) (0/a) 2001 BTO処押 区 119±27 133±10 079±0.08 168 対月1日束 117±25 135±09 0.83±008 163 BTO処糊 Ix. 67±17 134±08 064±011 209 対照rズ 9g±26 141±11 069±013 204 BTO処押区 143±33 94±10 111±013 85 対矧ヌ
100±23 90±1.0 103±0.09 87 ウンシュウミカンでは,一般的に糖度11度になる と味が よくなると言われている。糖度 も高ければよ いというものでな く, うまみの限界点は14度前後 と 言われている。糖度は11度か ら14度の間が うまみを 感 じる数倍の ようである。本島農場のウンシュウ ミ カンは,2003年は,天候や栽培管理の影響で糖定が 9度前後であった ものの,2001,2002年は,糖度が13-14度 と糖度の高い果実が収穫 で きた。糖酸比 で 考えると, ウンシュウ ミカンでは糖酸比11-15の も のが品質優 良 とされている (熊代,2000)。本 島農 場のウ ンシュウミカンは,いずれ もこの範囲外であ った。栽培管理技術 を向上 させ,安定 した品質の果 実 を毎年得 ることがで きるようにな らない と研究圃 場 として利用す るのは難 しいか もしれない。 謝辞 試験期 間中岡山大学農学部附属 山陽圏フィール ド 科学セ ンター本島農場技能補佐員の石川登氏及び原 田一志氏 には,圃場の栽培管理で多大 なるご尽力 を いただ きました。 また,岡山大学農学部助手の福 田 文夫氏 には報告書作 成 に際 して ご助 言 を賜 りま し た。 さらに,収穫 した ミカン果実の迅速 な品質評価 のために岡山県立農業試験場専 門研究員の高野和夫 氏 より糖度 ・酸度の非破壊測定装置 をお借 りしまし た。上記の方々のご協力に感謝いた します。 参考文献 岡山大学農学部附属農場,1995:岡山大学農学部農 場報告,18,pp.28 岡山大学農学部附属農場,1996:岡山大学農学部農 場報告,19,pp.22 片 岡衛 ・近藤毅典,1998:岡山大学農学部農場報 告,20,pp.62 熊代克 巳,2000:農学基礎 セ ミナー果樹栽培 の基 礎,農 山漁村文化協 会 近藤毅典 ・永 田恵美,2002:岡山大学農学部セ ンタ ー報告,24,pp.32 近藤毅典 ・永 田恵美,2003:岡山大学農学部セ ンタ ー報告,25,pp.34 松 田政紀 ・近藤毅典,1999:岡山大学農学部農場報 告,21,pp.45 松 田政紀 ・近藤毅典,2000:岡山大学農学部農場報 告,22,pp.47 松 田政紀 .近藤毅典,2001:岡山大学農学部農場報 告,23,pp.37 岡山大農セ ンター報告 No26 2004 13
二酸化炭素の フラックス と勾配の関係
猪 原 幸 子 (岡山大学大学院自然科学研究科)岩 田
徹 ・三 浦 健 忘 は じめ に 近年,大気 中の二酸化炭素濃度の増加 と地球温暖 化 問題 を背景 として,各種陸上生態系一大気間の二 酸化炭素,水蒸気,熱 フラックスの長期的観測 に基 づいた炭素収支,水収支,熱収支の正確 な把握が求 め られている (Yamamoto,1999;Harazonoe
ta
l" 2003)。我 々は,1998年12月か ら日本の一般 的な耕 作形態 を とっている岡山大学農学部附属農場 を利用 して,耕作地における二酸化炭素 と水蒸気 フラック スの通年的な特徴 を把揺す るための観測 を実施 して いる。 フラックス観測 は,主 として渦相関法 に基づ いているが,セ ンサーの動作不安定 による欠側が避 け られない。特 に,降雨時にはオープ ンパス型の二 酸化炭素 ・水蒸気 セ ンサーは作動不能であ る。長期 観測 では,測定セ ンサーの保守管理 に留意す る と共 に,複数の観測手法 を併用 させてお き,デー タの品 質確保 と欠測値の補てんに備 えてお くことが大切 で ある。 二酸化炭素変動計が開発 されて以 来 (Ohtakiand Matsui,1982;Ohtaki,1984),二酸化炭素 フラックス が渦相関法で直接測定で きるようになって きた。 こ の渦相 関法 によるフラックスデー タと 2高度間の二 酸化炭素密度差のデー タを組み合わせ る と,二酸化 炭素 の無次元勾 配量 が評価 で きる (Monjie
t
a
l.
, 2002;Ohtaki,1985)。 この無次元勾配の安定度依存 の関数形 を確立す ることがで きれば,二酸化炭素の2
高度間の密度差の情報 と組み合わせ て傾度法 によ ってフラックスを推定することがで きる (Harazonoe
ta
l.
,1996I,Miyata,2001 )。我 々は,渦相 関法 による欠側 を少 な くするために, この新 しい考 えによる 傾度法 を併用す ることを考え,2002年夏季 に集中観 測 を実施 した。二酸化炭素のフラ ックス と勾配の関 係 に基づいた傾度法の実用性 を検討 したので報告す る。 二酸化 炭素 フラ ックスに関 す る基 本式 渦相関法による二酸化炭素 フラ ックスは,次式で 表 される (Webb
e
t
a
l.
,1980)。 14岡山大農セ ンター報告 No26 2004 (岡山大学環境理工学部) wc=W7C7+w c り) ここで,
Wは鉛直風速成分,
Cは二酸化炭素密度であ る。 は時 間平均 を示 し,'は平均か らの偏差 であ るoWebbe
tal
.(
1
9
8
0
)
は.乾燥空気の鉛直 フラッ クスはゼ ロと仮定 して,(1)式の蒜を求めた。 uJpa-W'p.L'+wp。-0(
2
)
ここで, paは乾燥 空気 の密 度であ る。鉛直風 速成 分蒜を測定で きるパ ラメー ターで置 き換 え,(1)式に 代入す る。 wc-W'
C
'
-
(C/P。)W'p'I' (3)=W
'C'+Aw'q'+BuJ'T' 1項 2項 3項(
3
')(
3
'
)
式の右辺各項の意味は次の通 りである。1
項 :渦相関セ ンサーによって測定 した生の二酸化 炭素 フラックス。二酸化炭素密 度と鉛直風速の 乱流変動成分か ら求める。本報ではFc(eddy)と 表す。 2項 :潜熱 フラックスが寄与す る二酸化炭素 フラッ クスO 係 数 は,A
-(ma/mq)(C/Pa)であ る。 た だ し,maとmqは乾燥空気 と水蒸気 の分子量で ある。 3項 :顕熱 フラックスが寄与する二酸化炭素 フラッ クス。係数 は,B-[
1+
(q/pa)(mo/mq)](i/チ) である。 ただ し,qとT
は水蒸気密度 と絶対温 度である。 渦相関法で欠測 となった二酸化炭素 フラックスを 傾度法で補完す る 2通 りの方法 を述べ る。二酸化炭 素の無次元勾配 魂を利用す る方法 と二酸化炭素の混 合比 (C/Pa)を利用す る方法である。 a)二酸化炭素の無次元勾配 dcを利用する方法 二酸化炭素の無次元勾配 dcは,次の(4)式で定義 されている (Monji.2003)。 dTc--(kzu*/a ,)di/dz (4) -ku*(cl-C2)/[W'C'ln(22/zl)] (4') 乱 流 変 動 成 分 に よ る 二 酸 化 炭 素 の フ ラ ッ ク ス 項,W'C', は (3・)式 の右辺 第1項 の
u
1
'
と同 じもの であ る。 ここで は,
読手-Fc(eddy)と置 く。 また,k は カルマ ン定 数 (0.4),u*は摩擦 速 度,Zは測 定 高 度 であ るO この測 定高度Zは植物群 落 の零面 変位dを 考慮 して2-dと記すべ きであ るが,簡単 の ため に本 論 文 で はZと して い る。 また,添 え字 1と Zは測 定 高 度で, 本研 究 で は, 地 上1.3mと3.9mを意 味 して い るO (4')式 を求 め るには,二酸化 炭素密 度 の鉛 直 分 布 が 対 数 別 に 従 う と仮 定 し,diT/dz-(C.-C2) / [zln(22/zl)], I- (zIZ2)i/2と してい る。 DyerandHicks(1970)は,大気 成層 の不安 定度 が 強 くな って もこの徴 係 数 近似 の誤 差 を0.5%以 下 としてい る。 仮 定 はあ るが ,渦相 関法 で〟*と二酸化 炭 素 フ ラ ックスuJ'C', 2高度 における二酸化 炭素密 度clとC3 を測定す れ ば, (4')式 に よって 4?Cを求 め る こ とが で きる。 もし, い ろいろな気象 条件下 で 魂を求 め,そ の安定度依存 の関数形が確 定 で きれ ば,逆 に考 えて, u*とdc関数,2
高度の二酸化 炭素密 度c
lとC=の情 報 か ら二酸化 炭素の乱流変動 に よるフラ ックス (Lif ) を推 定す るこ とがで きる。二酸化炭素密 度差 の情 報 を利 用す るので, この方法 で得 られ る二酸 化炭素 フ ラ ックス をF。(aero)と書 くO 実 際 に は,F。(aero)が 高 さに よ らない として,(4)式 を積 分 して得 た次 の 関 係式 を利用 してFc(aero)を求 め るこ とになるo FL.(aero)-ku*(C2-7 1)/f(E)(
5
)
こ こ で .E-I/L(ニーkzk/T)W'T'/u*3)はM oni n-Obukhovの安 定 度パ ラ メー ターで あ り,g
は重力 の 加 速 度,Tは温 度 で あ るO また, 後 述 す る よ うに,i
(
E)は bcの安 定 度依 存 性 に よっ て決 まる関数 で あ る。 b)二酸化炭素の混合比(C
/P
a)を利 用す る方法 (3)式 に 混 合 長 理 論 の 関 係 , C'--1∂C7∂Z, 仇'=-lap/∂Zを代 入す るo こ こで,lは混 合 距離 で ある。 読 --wl ∂t/∂Z+
(C/Pa)W'l∂pa/∂Z --(W'l)pa
l
a
(C/Pa)/∂zi (6) ただ し, 房 は拡 散係 数 で あ る。 2
高 度 間の二酸 化 炭素 の混合比 の差 を測定 し,拡散係 数 を乗 ず る と二 酸化炭 素 の トー タル フラ ックスw
cを直接 求 め る こ とがで きる (Webbe
t
a
l.
,1980),J 観 測 場 所 とデ ー タ選 抜 1)観測場所 観測 は岡 山県玉野市八浜 町の児 島湾干拓 地 にあ る 八浜 農場 (34032'N,133056'E)の水稲 圃場 で実施 した (図 1)。 八 浜農場 は約300mx300mの広 さを 有 してお り,周 辺 も同様 の農耕地 であ るO主風 向に 対す る最短 の 吹走 距 離 は約500mで あ る。解析 対 象 期 間であ る2002年 9月の水稲 の平均草 高 は1mであ っ た 。 地 上1.65mに 設 置 した 超 音 波 風 速 温 度 計 (KaijoCo.,DA-600-3T)で風 速 変動 と気 温変動 を, Coョ/H20アナ ラ イザ ー (L卜CorCo.Ltd.,Lト7500) で二酸 化 炭 素 密 度 変動 と水 蒸気 密 度 変 動 を測 定 し た。 これ らの測 定 器 の信 号 を10Hzでサ ンプ リ ング し,ハ ー ドデ ィス クに記録 した。デー タ解析 時 には, (1)風 速計 の傾 斜補正 と風 向方向- の座標 変換 ,(2)横 風補正 ,(3)直線 回帰 に よる トレン ド除去 ,(4)二酸化 炭素 フラ ックスはWebbetal.(1980)補 正項 の計算 を行 った。 フラ ックス等 の統計量 は30分 間の平均値 として算 出 したr,N
L
I
5
J
4Uc li■ tしJヽ■・■500m .- ヽ一-図 l 岡山大学農学部八浜農場 (●) とその周辺地形図 滴相 関法 セ ンサ ーか ら約5m離 れた地点 に観 測塔 を立 て , 地上1.3mと3.9mにお け る温 度 と相対 湿 度 をVaisala製 のセ ンサ ー (HMP45A)で測定 し,二酸 化 炭素 密 度 を高 分 解 能CO=アナ ラ イザ ー (Li-Cor 岡山大 農セ ンター報告 No26 2004 15Co.Ltd.,Lト6252)で測定 した。Lト6252は絶対値測 定モー ドで使用 した。 2高度か ら試料空気 を吸引 し,過塩素酸マグネシ ウムを充填 したカラムを通過 させて除湿する。 3万 電磁弁 を使 って3分毎に除湿 された試料空気の流路 を切 り替え,交互にLI-6252の測定セルに導入 した。 ガス流路の切 り替 え直後の 2分 間のLト6252の信号 は,試料空気のサ ンプリング回路内のガス置換 に必 要な信号 と考えて無視 し,最後の
1
分間の信号の平 均値 を読み取 った。読み取 り値 5個 を平均 して二酸 化炭素の30分平均密度 とした。Z)
デー タ選抜 今回,我 々は二酸化炭素の無次元勾配の計算 に使 用するデー タを下の 2段階で選抜 した。 1)摩擦速度を利用 した選抜 Miyata (2001)は,傾度法 と渦相関法で求めた フラックスを比較 し,摩擦速度〟*
が0
.
0
5
ms
L未 満の場合にフラックスが大 きく異なることを指 摘 して い る。 我 々 もMiyataに従 い,〟*<0
.
0
5
ms
-1の場合のデー タを排 除 した。 2)Monin-Obukhovの相似則 を利用 した選抜 Monin-Obukhovの相似則 による と,二酸化炭 素の標準偏差qcを摩擦濃 度C*(ニーW
7 /u*)で無 次元化す ると,q
Jc
*が安定度パ ラメー ターの 普遍関数G。と表 される.このGeの値 を利用 して, 2種類のデータ選抜 を行った。a) l
Gc
Lは不安定成層時 (E<0
)
にはE l/3に 比例 して減少 し (Ohtaki,1
9
8
5
)
,安定成層(
E<0
)
にはE l′3に比例 して増加することが 分 か って い る。 この経験 則 に従 って い る の場合には,二酸化炭素の密度変動が小 さく, 測定限界 レベ ルの信号 を扱 うことにな り,意 味のある議論 とならない恐れがある。 b)水稲の生育が著 しい 8月∼ 9月には,群落 上の大気が不安定成層 (E≦ 0)を示すのは 7時頃か ら1
4
時頃までで,残 りの時間帯は安 定成層 (E≧ 0)となっている。 また,二酸 化炭素は 6時過 ぎか ら1
8
時頃まで鉛直下向に 輸送 され,その他の時間帯 は鉛直上向に輸送 されている。安定成層時に もかかわ らず,1
4
16 岡山大農セ ンター報告 No26 2004 時∼1
9
時の間はG。≧0であ り,20時∼翌朝6時 の間はC
。≦
0である。同 じような状況 は不安 定時にも発生することがある。浮力 と風のシ アーの項か ら決まるMonin-Obukhovの安定度 パ ラメーター Eを指標に して,それ とは別の 要因の影響 も受ける二酸化炭素の変動特性 を まとめる場合には,この種の問題は避けられ ない。逆に,我々は,Monin-Obukhov相似則 に不確かさが生 じている1
4
時∼1
9
時の時間帯 で,熱 と二酸化炭素の変動特性が どのような 相違 を示すのかに注 目している。 もう少 しデ ータを集めて,相似性 に関する成果をまとめ たい と思っている。今回は安定成層時 ((≧ 0) にG。≧
0となるデー タ,不 安 定成 層時 (E≦ 0)にG。≦0となるデータは削除 した. 以上, 1), 2)
の選抜方法 をク リア したのは, 全デー タ576個の約63%,362個であった。 これ らの デー タを使 って二酸化炭素の無次元勾配の関数形を 求めた。 結果 と考察 1)二酸化炭素の無次元勾配 dIc 2002年 9月の晴天時に得 られた二酸化炭素の無次 元勾配 在の値 を図2
に示す。図の横軸は安定度パ ラ メー タ EであるO大気 が中立成層 とみ なせ る領域(
I
EF
<0
.
0
5
)
ではB
)
。
-1
である。大気の不安定成層が 強 くなるにつれて(狛ま小 さくな り,図中の実線 de -(1-8E)-1/2で近似で きるo他方,安定成層の時には, プロッ ト点の乱れが大 きいが, 4)C-1+5
Eで近似で きる と考 えた。近似 した関数形 を下 にまとめてお く。 100 10 や 1 0 1 0.01 10 1 01 001 0,001 -I 1 00 1 0 18 1 0 1 0.01 0001 001 0.1 1 10 と 図2 二酸化炭素無次元勾配 4Cの安定度依存性 不安定成層(
E
<0
)
:dIc-(1-8
E) 1/2(
7
)
安定成層 (E≧0
)
:d
I
c
-1+5E
(
8
)
射 こ関 しては,Monji
e
t
al.(2002)の報告があるだ けであ る。彼等 は,
4'。をBusingere
t
al.(1971)が 温度の無次元勾配 に対 して提案 している関係式 (玩) と比較 し,不 安定成層状態 で は両者 は一致す るが, 安定性成層状態では両者 の不一致が大 きい ことを示 しているo 4)Cに関す る文献値が ないので,Brutsaert (1982)に まとめ られてい る温度 と水蒸気 の無次元 勾 配 4)kと¢qの 関数形 と比較 してみ る。一般的には, あと也の関数形は不安定成層時には4'-A(卜 BE)Jl/2, 安定成層時には¢=C+DEの形で表現 される。不安定 成層の場合 には,Aは約1であ り,Bは8と16の2 系統 に分かれる傾 向がある。今 回我 々が示 した関数 形 は,Busingere
t
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l.
(1971)の 壷-0,84(1-7.9E )1/2 とSmedman-HOgstr6m andH6gstr6m (1973)の dTq-(1-9E)l/2と似 てい る。安定成層時の報告例 は 少 ないが,C-1,D-5-7であ る。 この ような既 出 の 4)hとbqの特徴 と比較すれ ば,今 回得 られた(狛 ま, あや dIqと同 じような安定度依存性 を示 しているよう に思 える。 これは二酸化炭素 の乱流変動特性が,水 蒸 気 や 温 度 の 変動 特 性 と似 て い る とい うOhtaki (1985)の報告 とも整合 している。 2)傾度法 と渦相関法 による二酸化炭素 フラックス a)二酸化炭素の無次元勾配 dIcを利用す る方法 (7),(8)式で与 え られた 在の関数形 を(4)式 に代入 し, 二酸化炭素 フラ ックスが高 さによらず一定である と 仮定 して積分すれば,(
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式 の分母f
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図3 Fc(aero)とFc(eddy)との比較 上 の結果 は, (3')式 の右辺 第 1項 のFc(eddy)が 欠 測 となった時, (5)式 のFc(aero)に よってそれ らの値 を補完す る こ とが可能であ るこ とを意 味 している。 例 として,2002年 9月26日∼30日 (DOY:269日∼ 273日)のFc(aero)とFc(eddy)の 日変化 を図4に示す。 9月27日13時 頃か ら翌28Elの7時頃 まで連続 した降 雨があ った。 9月26日と29日は曇天で, 9月30日は 晴 天 で あ っ た 。 曇 天 と晴 天 日に は,Fc(aero)と Fc(eddy)の値 は よ く一致 している. しか し,降雨 日 には,二酸化 炭素の渦相 関法セ ンサーは正常作動で きず,Fc(eddy)は大 きく乱 れ,測 定不能 を示 してい る。 これ に対 し,Fc(aero)は-0.3-0.3mgm 2slの値 を示 している。 降雨時の値の正確 さを検証す ること はで きないが,今 回の結果は,降雨時には二酸化炭 素が水稲群落 内外 で等濃度 にな り, フラ ックスが小 さ く な る と い う以 前 の 観 測 結 果 と矛 盾 し な い (OhtakiandSeo,1974)。現在,二酸化炭素 フラ ック スの測定 は渦相 関法 に基づ いているが,セ ンサーの 動作不安定 による欠測 が避 け られ ない。特 に5月∼ 6月の梅 雨期 に欠測が多 く,水稲 生育初期の二酸化 炭素 フラ ックスの議論 に苦慮す ることがある。今回 提案 した傾度法 は,渦相 関法 による欠測 を少 な くす るための有力 な方法 である。 もちろん,Webb
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al. (1980)が提 案 した補正項 を含 む二酸化 炭素の トー タルフラ ックス(wc)を把握するには, (3')式の右辺 第2項 と第3項の値 を測定 してお く必要がある。残 念 なが ら,雨天 日には渦相関法で潜熱 を測定す るこ とが困難 なので,上 と同 じ要領で,傾度法で潜熱 と 顕熱 を求めて右辺第2項 と第3項の値 を推定す ること になる。 9月27日∼28日の降雨期 に,傾度法で推定 した右辺第2項 と第3項の和 は-0.1-0.1mgm Zs-1で 岡山大農セ ンター報告 No.26 2004 17あ った。雨天時 にはuJ'C'項 も顕熱 と潜熱 フラ ックス に よる補正項 も小 さいのが現実であ る。したが って, 雨天 日には,顕熱 と潜熱 フラ ックス による補正項の 割合が
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C'
項 に対 して大 きくなるこ ともあ るが, ト ー タル な二 酸化 炭 素 フラ ックス値 が 小 さいの で, Fc(aero)だけの補完 で も深刻 な影響 は無 い と考 え ら れ る。 0 5 1 0 ︻ s uJ叫 E oL T ∼・ LL' 2 - Fc(e
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269 270 271 272 273 DOY 図4 Fc(aero)とFc(eddy)の 日変化 b)二酸化炭素の混合比(C/Pa)を利用す る方法 (6)式 を適用す る と,二酸化炭素の混合比 の勾配 と 拡散係数の情報か ら二酸化炭素の トー タル フラ ック ス (wc)を求め ることがで きる (Webbe
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,1980)O 問題 は二酸化炭素の混合比 に対す る拡散係数 言わ が 不 明 なことである。試行 として,今 回は中立成層近 似の条件下で許 される拡散係数 を使用す る。すなわ ち,拡散係 数 は測定高 度Zで代表 され る渦 の大 きさ と摩擦 速度〝*
で代 表 され る渦速度 との積 に比例 す る と考 える (蒜亨-ku*
Z)
。比例定数ktまカルマ ン定 数であ る。渦相 関法 と二酸化炭素の混合比 を使用 し た方法 とで計算 した二酸化炭素 フラ ックスの関係 を 図5に示す。 デー タは,図3に示 したデー タの中か ら不 安 定 な大気 成層 時の もの を選 んで プ ロ ッ トし た。 また, 国中の直線 は1:1の関係 を示 してい る。 両測定法 に よる値 の相関係 数 は0.78であ るが,乱れ は大 きいQ特 に,-wTEが0.5-1mgm-2S 1の範 囲の値 の乱れが大 きい。水稲群落上では不安定成層が発達 しに くく,Monin-Obukhov安定度パ ラ メー ターが -0.5≦
E≦0で あ る期 間のデー タが多 いが ,上述 の 乱 れが大 きい値 は, 中程 度の不安 定性 (-2≦
E ≦ -0.5)を示す時間帯 に測定 された ものが多 い。 もし, 使用 した拡散係数がku*
Z/
4)Cの形 で安定度補正で き る と仮 定すれば,混合比 を使 った二酸化 炭素 フラ ッ クス値 が2- 3倍 され ることにな り,両測定法 によ るフラ ックスの一致性が改善 され ることになる。 二 18 岡山大農セ ンター報 告 No26 2004 酸化炭素の混合比 か らフラ ックスを測定す る方法は 理論 的に明快 であ り,実用性 に も優 れているので, 今後検討すべ き測定法である。 l ・ O o ・ 5 T S z ・E B ∈3JU
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0 0.5 1.0 1.5 kul
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8(-dpIJ/az l咽 m-2s'1 図5 -wcと(W'/)paI∂(C/Pa)/∂Z)の関係 まとめ 二酸化炭素 の無次元勾配 を測定 し,傾度法 と渦相 関法 に よる二酸化 炭素 フラ ックスの比較 を行 った。 得 られた成果 は以下の通 りである。 二酸化炭素の無次元勾 配は以 下の関数で表現 で き る。 不安定成層 (E<0):bc-(118
E) '/2 (7) 安定成層 (E≧0):4)C-1+5E (8) 晴 天 と曇 天 時 には,渦 相 関セ ンサ ー で測 定 した Fc(eddy)と傾度法 で推定 したFc(aey10)は一致す る。 降 雨時 にお いて も,Fc(aero)は有意 な フラ ックスを提 供す る可能性がある。 二酸化炭素 の トー タル フラックス (wc)を把握 す るには,Webbe
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(1980)が指摘 した顕熱 と潜 熱 による補正項 を別途測定 してお く必要があ る。実 際 には,雨天 日の顕熱 と潜熱 フラックスは小 さいの で,上の補正項の影響 は小 さい。 二酸化炭素の混合比 を利用 して トー タルフラ ック ス (読 )を測定す る傾 度法 の有用性 を調べ た。拡 散係数の定量化 と 2高度での二酸化炭素の混合比の 精密測定 について見通 しがつ けば, この傾度法に よ る二酸化炭素 フラ ックス の実用化 は可能であ ること がわか った。謝 辞 本研究 の一部 は科学研究 費補助 金
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を 用 いて行 われた。快 く農場 の使用 を許可 して くだ さ った岡 山大学農学部八浜農場 の多 田正 人主任 に感謝 します。 参考文献Br
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二酸化炭素 と水蒸気濃度変動 に関する
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牛 川 希 望 (岡山大学大学院 自然科学研究科)岩 田
徹 ・三 浦 健 忘 は じめ に 野外観測期 間中,気象要素のモニ ター記録 には興 味深 い特徴が示 されることがある。その典型的な例 として,2003年 8月1日12:00-12:05に水稲群落上 で観測 した鉛直風速変動W',二酸化炭素変動C',水 蒸気変動q'の時間変化 を図1
に示す。C'とq'は逆相関 であるが非常 によく似 た変化 を示 し,uJ'とC'
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(岡山大学環境理工学部) なぜか とい う疑問を明 らかにす ることが我 々の研究 動機である。同 じような現象について,Hill(1989) はモニ ン ・オブコフ相似則 に基づいてスカラ一畳間 の相 関係 数 につ い て の理論 を展 開 し,Liue
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(1998)は水蒸気変動 と気温変動 の相 関係数 を求め ている。本報では,二酸化炭素変動 と水蒸気変動の 相関に関す る特徴 を,観測 に基づいて,兄いだそ う とした。得 られた結果 を報告す る。I
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1)二つのス カラー量の相関係数 我 々はモニ ン・オブ コフ相似則が成立す ることを 仮 定す る。す なわち,気象要素の統 計量F
が,F
と 同 じ次 元 を持つ スケー リングパ ラメー タF*
で規格 化 され る とき,F/
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は大気 の安定度 に よって一義 的 に決 まる と仮定す る。今 ,風速成分 をuとW,磨 擦 速度 をu*-
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*3)の普遍 関数B
x4'(E)で表せ る。 ただ し, は平均値,'は平均値か らの偏差,I
は測定高度,kはカルマ ン定数,gは重力の加速度, Tは温度である。 り1ここで,Bxは Eによらない定数であるO 式(1)の右辺 の関数形 は実測デー タで決 まるものであるが,最 も 単純 な系 として,スカラー量の
¢(
E)は同 じ形の安 定度関数で近似 で きる と仮定す る。∬に二酸化炭素 密度Cや水蒸気密度qを代入す ると,qJL
c
*
I-B。
47(E) となる。式(2)と式(3)か ら次式が得 られる。 また,
Cとqの相関係数I
Rc
。1は次式で定義 される。 (5) 式(
4
)
,(
5
)
か ら, ただ し,B
。
。
-
Gc
。
J(
Bc
Bq
)
(7)
である。 また,式(2),(3),(6)よ り,次の関係式が得 られる。[
4
'
(
E
)
]
2
=[
(
q
c
/l
c
*l
)
/
B。
]
2
-(
I
行 L
/l
c*q*
t
)
/
B
。
。
(
8
)
わせが考え られる (例 えば,DeBruine
t
a
l
.
,
1
9
9
3
)
0Bc
。
-
B
q
2
,l
i
T
i
Il
-q
q
2
1
C
*L
/l
q*P
(1
0) 式(
9
)
あるいは式(
1
0
)
を式(
7
)
に代入すると,相関係数がBc
>B
。あるいはBc
<B
。により次の ような組み合わせ になる。Rc
。
I
-Bc
/
B
。
Rc
q
I
-Bq
/
Bc
'(
::
,
'B
B
?
,
i
(ll,B。
-B
。の ときは,式(ll)よ り 把 E となる。 これは,モニ ン・オブコフ相似則が二つのス カラー量 に有効 で,そのスカラー量の安定度の無次 元関数が等 しい とき,二つのスカラー量の相関係数 が1になると論 じたHill(
1
9
8
9
)
の結果 と一致す る0 2)鉛直風速 とスカラー量の相関係数 モニ ン.オブコフ相似則 よ り,摩擦速度u*で規格 化 した鉛直風速uJの標準偏差o
l
w
/
u*
は,安定度のパ ラメー タ 亡の関数A
w¢W(()と表せ る。ow
/
u
*
-Aw¢W(
E
) 潤 ただ し,A
wは定数であ る。 また,鉛直風速Wとスカ ラー量∬の相関係数 は次式で定義 される。匿
w
x
l
-l
読
手l
/(
q
wc
T
x
)
(14) 式(1),(13),(14)か ら次の ように変形で きる。灰w
x
I
-i
/[
Aw
Bx
¢W(
E
)め(
E
)
]
(15) xに二酸化炭素密度Cや水蒸気密度qを代入す ると,kw
。
1
-1
/l
Aw
B。
4
)
W(
E
)め(
E
)]
(16)kw
。
J
-1
/[
Aw
Bq
4
'
W(
E
)
4
'
(
E
)]
(17) となる。 これ らと式(ll)を組み合わせ ると,次の関係 式 を得 る。 岡山大農セ ンター報告 No26 2004 21観測方法 観測 は2003年 8月の晴天 目 (15日間) に, 岡山大 学 農学 部付 属 八浜 農場 の水稲 群 落上 で実 施 され た。 実験 農場 は約300×300m2の面積 を もち.周辺 は同様 の水稲 群 落が広 が ってい る。 吹 走距 離 は500m以 上 であ る。卓越風 は南東か ら南西 であ り,観測期 にお け る水稲 群 落の高 さは約1mであ った。水稲群 落上 1.65mの 高 さに,三次元超 音波風速温 度計 (m IJO, DA-600),二酸 化炭 素一水 蒸気 セ ンサ ー (LI-COR, L1-7500)を取 り付 けた。両測 定器 の取 り付 け 間隔 は約20cmで あ るが ,主風 向 に直交 す る向 きに設 置 してい る。 これ らの渦相 関測 定器か らの 出力信号 を デ ジ タル化 し,10Hzでハ ー ドデ ィス クに保存す る。 デー タ解析 時 には,(1)風速計 の傾斜補正 と風 向方 向 へ の座標 変換 ,(2)横風補正 ,(3)直線 回帰 に よる トレ ン ド除去 を行 った。乱流 フラ ックスや他 の乱流統計 不安定成層 2003.Åug I I h Y l ○ ● l I
:
i
t l 10 1 0.1 0.01 0.001 -I 値 は30分 デー タを使 って計算 した。 ただ し,弱風 時 の フ ラ ックス は乱 れが大 きい とい うMiyata (2001) の研 究 を参 考 に して,摩擦 速度〟*が0.05ms1未満 の デー タは排 除 した。 結 果 と考 察 1)無次元標準偏差 八浜農場 の水稲 群 落上 で得 られ た鉛直風 速Wの無 次元標準偏 差qw
/u*を安定度のパ ラメー タ Eの関数 として図 2に示すO安定成層時 (E>0) には,qw
/
u
*は1.2(1+2.OE)1/3で表せ る。 E≒0の 中立成層時 に はJ
w
/〟*=1.2で あ る。 この値 は水 平方 向の一様性 が 保 障 された場 所 で観測 した値 に一致 してお り (e.g., Wyngaarde
ta
l"1971;PanofskyandDutton,1984; MaitaniandOhtaki,1987),八浜実験 農場 が野外 観 測 に適 した条 件 を備 えて い る こ とを示 唆 して い る。 不 安 定 度 (E<0)が 強 くなるにつ れ,c
T
w
/u*も増 加 し, 自由対流領域 では,q
w
/u*=1.2 (卜 2.OE)1/3 で表せ る。 この ような結果 も多 くの研 究者 に よって 確認 されてい る (e.g.,Wyngaarde
t
a
l.
,1971;Maitani andOhtaki,1987;Stull,1988;DeBmi ne
t
a
l.
,1993)。 安定成層 2003Augl
L.,○二
t
L
T-0
.001 0.01 0.1 1 10 E 図2 鉛直風速の無次元標準偏差qw
/u*と安定度パラメータI Eとの関係 時 にはそ れぞ れB。-3.0,B。-2.9の値 を とる。 これ ら 中立成 層 時の値 と,q
c
/l
c
*
‖二
c
r
q
/
Lq
一再ま不 安 定成層 が 強 くな り自由対流 領域 にな る とE 1/3に比 例 して 減 少 し,安 定成層 で は (1/3に比例 して増加す る と仮 22 岡山大農セ ンター報告 No.26 2004定 して (e.g.,Ohtaki,1985;OhtakiandOikawa, 1991),それぞれの係 数 を決 め るこ とに した。 ただ, プロ ッ トした値 が乱 れてい るので (安 定成層 時 に著
しい),値 が集 中 してい る所 を通 る よ うに係 数 を決 め た。 国 中 に実線 で示 した 関数 形 は次 の通 りで あ る。
不安定成層 2003.Åug l t ● 10 1 0.1 0.01 0.001 -I I I l l I-ーOP'l l ・○l: 一〇 ≡ ○ ・-l与 ..・Ilエも I I l I I 0.001 0.01 0.1 1 10 f ".:Y .O 一 〇 ○ .也 : I l l ・一斗こ.; -I I I 10 1 0.1 0.01 0.001
0
.001 0.01 0.1 1 10 -II
不安走時 (-10< E<0) 安定時(0< E<2) qc
/L
c
*
f-3.0(
1+
7.06)L/3 同 じような安定度依存性 を示す結果 となったが,Cと qの変動が,主 として水稲葉面 での光合成 ・蒸散活動 に律 されていることを反映 している もの と思われる。 ここで は示 してい ないが , 気温 変動 の標 準偏 差(
q
T
)
を摩擦温度T*=-5 '/u*で規格化 したJ
T
/鶴l
の特 徴 につ いて触 れ てお く。 中立 成層 とみ なせ るL
E
l<0.03の範 囲で は,顕 熱 フラ ックスし示戸)が小 さ くなるので摩擦温度T.は小 さ くな り,qT/LT.
1が10 より大 きな値 となる。 しか し,大気が不安定成層であ 同 じよ うな安 定 度依 存 性 を示 し,U
T
/
1T *巨 3.0 (117.06 )1/3で近似 で きるO この場 合,気層が十分 な乱流状態 にあ るので,水稲群落上での温度,二酸 化炭素 ,水蒸気の変動が相似 的な振 る舞い を してい る と考 えるこ とがで きるO安定成層時 (0.03< E<10) この安 定成 層 時 の現 象 を調べ る こ とが,熱 と物 質 (二酸化 炭素 ,水 蒸気 )の変動特性 の相似性 ・非相 似性 の条件 を理解す る ヒン トに繋が るのではないか と注 目してい る。 もう少 しデー タを蓄積 し,その結 果 をまとめて報告す る予定である。 2)相関係数 には,安定度が増 す につ れWとC,qの相 関が低 くな 増す につれて増 加す るが , E--10程度で一定値 と なるoその値 はL
Rw
。
L
-0.42, L
Rw
。
l
-0,44である。 岡山大農セ ンター報告 No26 2004 23不安定成Jf 2003Aug
I
II
l
lI
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l一
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■
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J
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守
-- _ ____-A_ . I -1 0.1 0.01 0.001 -II l ー l I - l -一一 一「○ I l l l l l 0.01 0.001 0.01 2003Aug J L t t l l ー l l匂
b T"
-_‥
○I
r l 0.001 0.01 0.1 1I
l ー l l I l l ー l II 0.001 0.01 0.001 0,001 0,01 0.1 1 10 E 図4 相関係数I
F
t
w
c
l、J
R
w
q
l
、
一方, l
Rc
q
l
は多少乱れているが,安定成層時に は0.90-0.98,不安定成層時には0.95-0.99の値 を示 す。 この結果 は,B。-3.0,B。-2.9で与え られるとき の式(ll)で予想 された値0.97と一致 し,更 に式(18)と(19) の正当性 を支持 している。水稲群落上では,二酸化 炭素は,昼間下向き,夜間上向きに輸送 される。 日 出直後 と日没直前にその輸送の方向が変わる。 しか し,水蒸気は,港軟水や豊富な土壌水分のため,ほ は,二酸化炭素の輸送方向が変化する時間帯のデー タによるものが多い。 温度変動 と二酸化炭素や水蒸気変動 との相関係数 の特徴 を略述 してお く。不安定成層時 (-10<(
< -0.03)には,気温 と二酸化炭素,水蒸気 間の相関 となる。安定度領域 (0.5<E)では,l
Rt
el
とI
R.
。l
は 24 岡山大農セ ンター報告 No26 2004 lFTcqlと安定度パラメーター ことの関係 0.5-0.9の範 囲内で乱れている。 この結果は,前節 で述べたように,安定成層時の観測デー タが熟 と物 質 (二酸化炭素,水蒸気)の輸送特性の相似性 ・非 相似性 を調べ るための有効な手がか りとなる可能性 を示唆 している。 まとめ 2003年8月に岡山大学農学部付属八浜農場で測定 された鉛直風速,二酸化炭素 と水蒸気変動の統計量 をモニ ン・オブコフ相似則の枠組で解析 した。二酸 化炭素 と水蒸気の変動が,水稲葉面での光合成 ・蒸 が同 じような安定度依存性 を示す と仮定 した。観測 デー タは, このqe
/J
c
*
lとq
q
/l
q
*
Iの単純化 した扱い が可能なことを示 した。 しか し,Hill(1989)が指 摘 しているように,研究対象 とする物理量の発生源 の位置の相違,熟か物質か という物性 的な相違により相関係数の値が異なることが予想される。我 々は, 安定成層時の観測データにHillの指摘 に関する理解 を深め るヒン トが内在 されている ように感 じてい る。 もう少 しデータを蓄積 し,その結果 をまとめて 別の機会に報告する予定である。 最後に,不安定成層時 と安定成層時に得 られた鉛 直風速,二酸化炭素変動,水蒸気変動の無次元標準 偏差の関数形 をまとめてお く。 不安走時
(
-
1
0
<E<0
)
q
w
/
Iu*l-1.2(112.OE)1/3 gJJc*J-3.0(1-7.06)1/3 lRw。1-1
/[3.6(卜 2.OE)L/3(1-7.06)一1/3]I
R
w。I-1/[3.5(1-2.OE)1/3(1-7.OE)ー⊥/3]安定時
(
0
<
E
<
2
)
u
w
/
lu*l-1.2(1+2.OE)1/3 gJPc*1-3.0(1+7.OE)1/3g
。
/
1q*L-2.9(1+7.OE)i/3P
R
weL-1
/[3.6(1+2.OE)1/3(1+7.06)1/3]t
R
w。l-1/[3.5(1←2.OE)1/3(1+7.OE)i/3] 謝 辞 本研究の一部は科学研究費補助金 (13308027)を 用いて行われた。また,野外観測 を快 く許可 して く ださった岡山大学農学部付属八浜農場多田正人主任 に感謝 します。参考文献
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.2
8
, 117ト1182.水 田と畑の放射収支の特徴 と
放射収支計の機種の違いによる測定値の差異
吉 崎 文 人 ・黒 田 訓 宏 (岡山大学大学院自然科学研究科) 三 浦 健 忘 ・諸 泉 利 嗣 は じめに 超音波風速計の普及 に伴い潜熱 と顕熱伝達 を単独 に計測可能 とな り,個別に測定 された潜熱伝達,蘇 熱伝達,地中熱伝導の合計が純放射量 に等 しくなら ない とい う問題が指摘 されている (Finnigane
t
.a
l.
, 2003,宮崎他,2001)。その原因の一つ として純放射 の測定値が過大ではないか とい う指摘 もある。 ここ では,昨年実施 した水 田と普通畑 (冬瓜畑)での放 射の測定結果か ら, 日本で最 も多 く使用 されている 英弘精機製CN-11型 (現MF-11型) とREBS社製Q *7型 と比較 した。 さらにKipp&Zonen社製CNRl型 を加 えて現在測定 を継続 している。 測定方法 CN-11型 とQ*7型 は,ポ リエチ レン ドームに覆 われた黒色受光板の上下面温度差 を計測す る放射収 支計で,CNRl型 は長波 ・短波別,上下方向別に放 射 を独立測定す るタイプである。 測定圃場 と測定期間は以下の通 りである。 水 臼 :岡山県玉野市八浜,岡山大学農学部八浜農場, 2003年7月9日∼10月28日,2004年3月12-現在 ま で。 普通畑 (冬瓜畑) :岡山県邑久郡牛窓町長浜,2003 年 5月30日∼ 8月28日 両地点 間の距離 は直線距離で約23kmである。測 定値 は30秒 に1回サ ンプ リングされた値 を30分平均 値に直 して用いた。 図2 Q*7型とCNll型の瞬間値の比較 (牛窓,普通畑, 2003) 26 岡山大農セ ンター報 告 No26 2004 (岡山大学環境理工学部) 測定結 果 と考察 1)水田 と畑の放射収支の特徴 典型的 な晴天 日であ った7月17日の測定結 果 を 図1に示す。両地点での測定値の差異 は,湛水状態 の水田 と普通畑の違 いにより説明で きる。地表面の ア ルベ ドは水 田面 にお い て12.9%,冬 瓜 畑 で は 24.7% (日積算 日射量 に対す る反射 日射量の比)で あった。そのため 日射か ら反射 日射 を引いた吸収短 波放射 は水 田の方が大 きく, また水 田面の方が表面 温度 も低 く地表放射 も畑 に比べ若干大 きいので,紘 果 として水 田面が受 ける純放射 は畑面 より大 きくな った もの と考 え られる。 1 0 0 0 0 0 (l uJ JN H ) 岳 E )宗 y ・宗 皿 ・高 嶺 雀 図1 日射および純放射等の日変化 (2003.7.17)2
)機種の違 いによる測定値の差異 機種 間の違 いを見 るため,2003年のCN-11型 とQ *7型の牛窓 ・八浜両地点での関係 をそれぞれ図2
, 3に示す。図中には1:1直線 と回帰直線 とその式 を 記入 している。 さらに,原点 を通る回帰直線 も加 え ている。CN-11型の測定値 は6- 8%程度Q*7型 を 上 まわっているが両地点で若干係数 も異なっている。 図3 Q`7-2型 とCN11-2型の瞬間値の比較 (八浜水田, 2003)そ こで, 機種 お よび個 々の計器 に よる測 定値 の 違 い を詳細 に調べ るため に同時観測 を行 った。図