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活動基準変動予算の有効性

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Academic year: 2021

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(1)

活動基準変動予算の有効性

The Effectiveness

of Activity-Based

Flexible

Budgeting

and Variance

Analysis

Tadashi Shimura

[Abstract]

The objective of this paper is to examine the effectiveness of activity-based flexible budgeting and variance analysis.

The traditional flexible budgeting and variance analysis has been adapted for controlling the indirect activity or support activity of productions and sales. It is tailored, however, on unit based cost driver, hence it only provide managers a limited, rough, and misleading information for control.

In contrast, activity-based flexible budgeting and variance analysis provides managers for the clear relationship between resource inputs(costs) and outputs(products, services, etc.), and hence the informations encourage managers to promote a effective use of activity capacity resources, provides a clue for cost improvement and for improving a business performance. It's paticularly due to the higher correlation between the cost driver and consumption of activity costs.

We can expect to further increase the effectiveness of activity-based flexible budget for cost control by introducing the value-added and nonvalue-added classifications of activity, and the efficiency variance into the variance analysis.

1.は じ め に 変 動 予 算 な い しは 弾 力 性 予 算(flexiblebudgeting)は 、 間 接 的 支援 活 動(費 目的 に は製 造 間 接 費 や販 売 費 ・一 般 管 理 費)を コ ン トロ ー ル す る管 理 技 法 と して今 世 紀 初 頭 に 開 発 さ れ 、 こ μ まで 実 際 に採 用 さ れ て きて い る 。 つ ま り、 間 接 的 活 動 を コ ン トロ ー ル す る た め の代 表 的 な 管 理 会 計 手 法 が この 変 動 予 算 な の で あ る。 変 動 予 算 で は、 そ れ らの 費 用 が 単 一 の ボ リ ュ ー ム(操 業 度)と の 関 連 に お い て変 動 費 と固 定 費 と に 区分 さ れ て 予 算 編 成 され 、 事 後 的 に実 際 操 業 度 にス ラ イ ドさせ て 予 算 が 修 正 され 、 実 際 発 生 額 と比 較 さ れ る。 ボ リ ュ ー ム ・ベ ー ス の 変 動 予 算 で は 、 予 算 の 精 緻 化 に お い て も、 したが って 予 算 実 績 差 異 分 析 に お い て も、 コ ン トロ ー ル 目的 に は 限 ら れ た 情 報 、 ラ フ な情 報 しか提 供 して こ な か っ た とい う批 判 が あ る 。 つ ま り、 そ れ ら の差 異 は 資 源 の 消 費 能 率 を測 定 し、 非 能 率 の原 因 を発

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見 す る 手 段 と し て は 不 十 分 で あ る と い う わ け で あ る 。 そ れ で は 、 コ ス ト ・ ビ ヘ イ ビ ア に 関 す る 全 く新 しい 考 え 方 、 技 法 で あ るABC/ABM(Activity -BasedCostingandActivity-BasedManagement)で は 、 従 来 に 勝 る コ ン トロ ー ル 情 報 を提 供 で き る の で あ ろ う か 。 本 稿 の 目 的 は 、ABC/ABMに よ る 変 動 予 算(Activity-BasedFlexibleBudgeting:ABFB) と そ の 差 異 分 析 の 展 開 か ら 、ABCの 特 性 を 把 握 す る と と も に 、ABFBの 有 効 性 を 見 極 め る こ と に あ る 。 亙.ABCに よ る 予 算 編 成 従 来 の 予 算 編 成 で は 、 直接 労 務 費 予 算 を編 成 す る さ い に見 積 も られ た総 直 接 作 業 時 間 が 製 造 間 接 費 予 算 設 定 の 基 準 操 業 度 と して用 い られ て い た 。 つ ま り、 そ の 基 準 操 業 度 は 来 るべ き予 算 期 間 に 予 期 され る操 業 度 、 す な わ ち予 算 操 業 度 な い しは 期 待 実 際 操 業 度 あ らた 。 した が っ て、 そ こ で 算 出 され る操 業 度 差 異 は 、 個 々 の 間接 費 の キ ャパ シ テ ィ不 足 や 余 剰 を指 示 す る 情 報 で は なか っ た 従 来 の 変 動 予 算 で は 、 個 々 の 間 接 費 項 目が ボ リュ ー ム 関 連 基 準(volume-related)に よ っ て編 成 さ れ 、 実 際 操 業 度 にス ラ イ ドさ れ て い た 。 しか し、変動 予算 が有効 に機能 す る(意 味あ る情報 を産 出 す る)た め に は 、 発 生 す る コ ス ト と発 生 の 原 因 と な る コ ス ト ・ ドラ イバ ー とが密 接 に 関 連 して い な け れ ば な らな い 。 ABCは 、 多 元 的 な コス ト ・ ドラ イバ ー(原 価 作 用 因)を 示 唆 す る。 つ ま り、ABCで は 単 一 の操 業 度 尺 度 で は な く、 ア ク テ ィ ビ テ ィ別 に把 握 さ れ て 集 計 され た 費 用 を 関 連 す る コ ス ト ・ビヘ イ ビ ア(原 価 態 様)に 関 して 変 動 す る もの と して 捉 え る 。 した が っ て 、活 動別 に異 なった、多元 的 な 測 定 尺 度 で 予 算 設 定 され る こ と に な る。 第1表 と第2表 は 、ABCを 用 い た2つ の タ イ プ の 製 造 間 接 費 の変 動 予 算 表 を例 示 した もの で あ る。 ABCで は 、 活 動 を、 ユ ニ ッ ト ・レベ ル 、 バ ッチ ・レベ ル 、 製 品 維 持 レベ ル 、そ して設備維持 レ ベ ル に分 類 す る 。 バ ッチ ・レベ ル と製 品 維 持 レベ ル の 活 動 か ら生 ず る コ ス トは 、操 業 度 関 連 基 準 で は 固 定 費 で は あ るが 、他 の コ ス ト ・ドラ イ バ ー で は 短 期 的 に も変 動 し得 る。 第1表 で は 、 ユ ニ ッ ト ・レベ ル は コス トプ ー ル1に 、 バ ッチ ・レベ ル は コス トプ ー ルIIに、 製 品 維 持 レベ ル は コス トプ ー ル 皿 に 、 設 備 維 持 レベ ル は コス トプ ー ルNに 対 応 して い る。 コス トプ ー ル1∼ 皿 は 、 短 期 的 に該 当 す る コ ス ト ・ ドラ イ バ ー に応 じて 変 動 す るが 、 コ ス トプ ー ルIVは 、変動 しない ことを示 して い る 。 も ち ろ ん 、 コス トプ ー ル1に 属 す る コ ス トは操 業 度 関 連 基 準 で 設 定 さ れ る 従 来 の 変 動 予 算 と変 わ ら な い 。 従 来 は 、 実 績 と比 較 さ れ るベ ンチ マ ー ク と して の予 算 が 修 正 さ れ る の は あ く ま で も操 業 度 との 関 係 に お い て 変 化 す る コ ス トの み で あ り、 固定 費の予算 は修 正 されない。(た だ し、 実 査 法 に よる変 動 予 算 で は準 固 定 費 は修 正 さ れ る こ とが あ る) 。 一2一

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第1表 ア ク テ ィ ビ テ ィ ・ベ ー ス の 変 動 予 算 表 ① [Hilton,1994,p.521 コ ス ト ・プ ー ル1(コ ス ト ・ ドラ イ バ ー:機 械 時 間) .._. 間 接 材 料 費: ラ ッ カ ー 6,000 $12,000 2,000 2,000 6,000 4,000 3,000 1,000 活 動 の レ ベ ル 7,500 $15,000 2,500 2,500 7,500 5,000 3,750 1,250 9,000 $18,000 3,000 3,000 9,000 6,000 4,500 1,500 弁 潤滑油 プ ラス チ ッ ク製 弁 栓 工場 消耗 品費 間接 労務 費:修 繕 費 水道 光熱費: 電気代 天然 ガス代 計 $30,000 $37,500 $.45,000 コ ス ト ・プ ー ル ∬(コ ス ト ・ ドラ イ バ ー:生 産 回 数)一 一 一一一 間 接 労 務 費: 検 査 費 8 $2,200 3,000 12 $3,300 4,500 16 $4,400 ・!11 段 取費 計 $5,200 ':11 $10,400 コ ス ト ・プ ー ル 皿(コ ス ト ・ ドラ イ バ ー:設 計 変 更 回 数) _ 技 術 費 20 $1,200 30 :11 40 $2,400 計 $1,200 $1,800 $2,400 コ ス ト ・プ ー ルN(コ ス ト ・プ ー ル:材 料 運 搬 重 量)一 一 一一 材 料 運 搬 費 20,000 $2,000 30,000 $3,000 40,000 $4,000 計 $2,000 $3,000 $4,000 コ ス ト ・プ ー ルV(設 備 レベ ル ・コ ス ト) 間接 労 務 費:製 造 管 理 者 給 料 $6,000 500 100 $6,000 500 100 $6,000 500 100 減価 償却 費:建 物設備 保 険料,固定資産税 計 $6,600 $6,600 $6,600 製造 間接 費合計 $45,000 $56,700 X11

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第2表 ア ク テ ィ ビ テ ィ ・ベ ー ス の 変 動 予 算 表 ② [Hansen&Mowen,1997,p.403] ドラ イバ ー 直接 労 務 時 間 公 式 ア ク テ イ ビ テ イ の レ ベ ル 固 定 変 動 10,000 20,000 直接 材料費 直接 労務費 工 場消耗 品費 小 計 $ $ $ $ 10 8 2 $100,000 :1111 20,000 $200,000 160,000 40,000 $ 0 $20 $200,000 $400,000 ドライ バ ー:機 械 時 間 公 式 ア ク テ ィ ビ テ ィ の レ ベ ル 固 定 変 動 !1! $64,000 31,000 16,000 修 繕保全費 電 力 料 小 計 $20,000 15,000 $550 2.00 $108,000 47,000 $35,000 $7.50 $95,000 $155,000 ドラ イ バ ー:段 取 回 数 公 式 ア ク テ ィ ビ テ ィ の レ ベ ル 固 定 変 動 25 30 段 取 費 検 査 費 小 計 $ :1111 $800 2,100 $20,000 132,500 $152,500 $24,000 143,000 $80,000 $2,900 $167,000 ドラ イバ ー:注 文 回 数 公 式 ア ク テ イ ビ テ イ の レベ ル 固 定 変 動 120 150 受 取 費 合 計 $6,000 $200 $30,000 $477,000 $36,000 $758,000 ハ ン セ ン&モ ー ウ ェ ン は 、 変 動 予 算 にABCを 取 り 入 れ る こ と は 、 業 績 評 価 の 健 全 性 と信 頼 性 を 増 す と い う[Hansen&Mowen,1992,p.930]。 そ れ は 、ABCに よ れ ば 原 価 の 透 明 性 が 増 大 す る こ と と 関 係 し て い る 。ABCに よ る 変 動 予 算 は 、 そ の イ ン プ ッ ト と ア ウ ト プ ッ ト と の 関 係 の 可 視 性 (visibility)の ゆ え に 、 従 来 の 方 法 よ り も 正 確 な 予 測 、 し た が っ て 実 際 の コ ス ト と比 較 す る た め の よ り正 確 な ベ ン チ マ ー ク を 提 供 す る[Hilton,1994,p521]と も い え る の で あ る 。 ア ク テ ィ ビ テ ィ と コ ス ト と の 間 の よ く理 解 さ れ た 関 係 に 基 づ か な い 予 算 は 、 劣 っ た 業 績 指 標 で あ る と ま で 言 い 切 る 論 者 も い る ほ ど で あ る[Borjesson,1997,p.10]。 ABFBの 設 定 は つ ぎ の 手 順 を 踏 ん で 実 施 さ れ る 。 一4一

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① ま ず 、 あ る特 定 部 門 で遂 行 され る仕 事 の分 析 、 つ ま り ア ク テ ィ ビテ ィ分 析 を行 う。 ② ア クテ ィ ビ テ ィ別 に コ ス ト ・ドラ イバ(i)と ア ウ トプ ッ トを確 定 す る 。 ③ 資 源 必 要 量 が 見 積 も られ る 。 ④ 資 源 が ア ク テ ィ ビテ ィ に割 り当 て られ 、 ア ク テ ィ ビテ ィ別 の コ ス トが 見 積 も られ る 。 以 上 に よ り、 資 源 利 用 の 見 積 も りを 中 心 と したABFBの 予 算 設 定 プ ロ セ ス と予 算 編 成 段 階 で の 未 利 用 キ ャパ シ テ ィへ の対 策 を概 略 的 に 図示 した の が 、 第1図 で あ る。 販売 予測 な ど 製 品 ・サ ー ビス 別 の予 定 生 産 量 の見 積 製 品 ・サ ー ビス 別 の 必 要 ア ク テ イ ビテ イ量 の 見 積

ア ク テ イ ビテ イ別 の総 需 要 量 (予 定 消 費 量) の算 出 / / 対 策 ア クテイビテ イ別 の 総 供 給 量 との 比 較 余剰 不足 〈短 期 〉 余 剰 キ ャパ シ テ ィ の 転 用 〈短 期 〉 ア ク テ ィ ビテ ィ遂 行 能 率 の 向 上 、 非 付 加 価 値 活 動 の検 討 〈長期 〉 余 剰 キ ャパ シ テ ィ の処 分 〈長期 〉 不 足 アクテイビテ イ の キ ャパ シ テ ィ の 拡 大 第1図ABFBの 予 算 編 成 プ ロ セ ス い わ ば不 足 キ ャパ シ テ ィ を もつ ア クテ ィ ビ テ ィが 制 約 要 因(constraints)と な る。 こ れ を解 決 す る た め に は 、 残 業 を行 っ て あ る製 品 ・サ ー ビ ス の 予 算 生 産 量(提 供 量)を 遂 行 す る か 、 制 約 要 因 と な る キ ャパ シ テ ィ を有 す る ア ク テ ィ ビ テ ィ を 拡 大 す る方 策 を考 えね ば な ら ない だ ろ う。 な お 、 各 ア ク テ ィ ビ テ ィの コ ス ト ・ ドラ イ バ ー 量 の 見 積 に 当 た っ て は 、 そ れ ぞ れ の ア ク テ ィ ビ 第3表 予 算 期 間 に お け る ア ウ トプ ッ ト(製 品),活 動 別 資 源 予 定 利 用 量

A B c D

総需

要量

総供

給量

未 利 用 キ ャパ シ テ ィ

コス トドライバー

購入注文

購入回数

5 一 6 4 92 100 8 段 取 り

段取回数

2 3 3 5 55 50 一5 ●● ● ●● ● ●● ● ●● ● ... ... oo● ● ● ● ● ●● り ■■

(6)

テ ィの1回 当 た りの 標 準 作 業 量(workload)が 予 定 され て い る 必 要 が あ ろ う。 ま た 、 効 率 に つ い て の情 報 を入 手 す る た め に は資 源 提 供 量 と資 源 消 費 量 とを 区 別 す る こ とが 重 要 で あ る。 この 点 につ い て 詳 し くは 後 述 す る 。 以 上 を加 味 して 予 算 表 の 一例 を示 せ ば 、 第2表 の よ う に な るで あ ろ う。 第2表 にお い て 、 総供 給 量 の 決 定 に は実 際 的 キ ャパ シテ ィ(practicalcapacity)が 用 い られ る。 実 際 的 キ ャパ シ テ ィは 、最 高 の 能 率 を もっ て遂 行 した場 合 に達 成 され る技 術 的 水 準 に よ っ て 決 定 され た生 産 能力 、 つ ま り達 成 可 能 操 業 度 で あ る が 、不 可 避 の 機 械 の故 障 な ど を考 慮 した もの で あ る 。 総 需 要 量 は 、 い わ ば予 算 キ ャパ シテ ィ に対 応 す る 。 この よ う に、 変 動 予 算 設 定 の段 階 で未 利 用 キ ャパ シ テ ィが分 別 さ れ る 。 未利 用 キ ャパ シ テ ィに つ い て 予 算 が 執 行 さ れ る前 に、 他 の 活 動 へ の資 源 の 流 用(人 的 キ ャパ シ テ ィの 配 置 転換 な ど)を 通 じて 該 当 す る資 源 の 有 効 活 用 を図 る よ う管 理 者 を動 機 付 け る こ と に よ っ て利 益 向 上 を図 る こ と に資 す る こ とが で き る。 しか し、 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ を も つ 資 源 が ア ク テ ィ ビテ ィ問 で移 動 不 能 な らば 、 未 利 用 キ ャパ シ テ ィの可 能性 を もつ こ と に な り(後 述 す る予 算 未 利 用 キ ャパ シテ ィ ・コス ト)、 管 理 者 は 該 当 資 源 に つ い て供 給 と需 要 との バ ラ ンス を と る た め に将 来 縮 小 す る こ と を考 慮 せ ね ば な らな い だ ろ う。 各 ア ク テ ィ ビ テ ィに対 す る予 算 額 は 、 総 需 要 量 に各 ア ク テ ィ ビ テ ィ ・レー ト(予 定)を 乗 ず る こ とに よっ て算 定 され る。 言 う まで も な く、ABC/ABMの 特徴 がABFBに も反 映 され る こ と にな る 。 そ の特 徴 を要 約 す れ ば 、 第1に 、 資 源 消 費(利 用)を 測 定 す るモ デ ル(resourceusagemodel)に 依拠 して い る こ と、 そ の結 果 、 第2に 、 未 利 用 キ ャパ シ テ ィに対 す る コス ト ・ダ ウ ンは 直 ち に支 出の 減 少 とな っ て現 れ るの で は な く、 そ こに は タ イ ム ラ グが あ る こ と、 第3に 未利 用 キ ャパ シ テ ィに 関す る情 報 が 物 量尺 度 で も提 供 され る こ とで あ る。 た だ、 ア クテ ィ ビテ ィ を どの よ うな ポ リ シーで 識 別す るか は そ の 目的 に依 存 す る だ ろ う。 な お 、 予 算 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ ・コ ス トは 、 実 際 的 キ ャ パ シ テ ィ と予 算 キ ャパ シテ ィ との 差 を 表 現 した もの で次 の よ う に して計 算 され る。(ア ク テ ィ ビ テ ィご と に算 定 され る) 予 算 活 動 コ ス ト(実際 的 キ ャ パ シ テ ィ ー予 算 キ ャパ シ テ ィ)× 実 際 的 キ ャパ シ テ ィ な お 、 イ ネ ス&ミ ッ チ ェ ル は 、 各 活 動 コ ス トの ビ ヘ イ ビ ア ー の 分 析 が 予 算 設 定 プ ロ セ ス を 支 援 す る と 述 べ て 、 資 源 を 活 動 変 動 的 な 資 源(activity-variableresources)と 活 動 維 持 的 な 資 源 (activity-sustainingresources)と に 区 分 す る 。 後 者 に は 、 当 該 活 動 を 管 理 す る コ ス ト と そ の 間 接 的 活 動 の た め の 最 小 の キ ャ パ シ テ ィ を 提 供 す る コ ス トが 含 ま れ る 。 前 者 は 、 そ の 特 定 の 活 動 の ア ウ ト プ ッ ト ・ レ ベ ル に よ っ て 直 接 ドラ イ ブ さ れ る[Innes&Mitchel,1995a]。 皿.ABCに よ る差 異 分 析 ABC/ABMに よる ア ク テ ィ ビテ ィ別 の 業 績 報 告 書 は 、概 念 上 は第4表 と第5表 の よ う な形 式 で作 成 され る 。 各 ア ク テ ィ ビ テ ィの 予 算 額 は 、 実 際 利 用 量 に 後 述 す る ア クテ ィ ビテ ィ ・レ ー トを乗 じ て算 定 す る 。 第4表 の 方 は 固 定 的 タ イ プ の ア クテ ィ ビテ ィ ・コス トを想 定 した も の で あ り、 第5表 の 方 は ミ ック ス ・タ イ プの ア ク テ ィ ビテ ィ ・コス トを想 定 した もの で あ る。 と くに第4表 は未 利 用 キ ャパ シ テ ィの析 出 を、 第5表 は 予 算 差 異 の 析 出 を ク ロ ーズ ア ッ プ して作 成 した 。 前 節 で も指 摘 し た よ う に、 未 利 用 キ ャパ シテ ィ につ い て は 金 額 だ け で は な く、物 量 単 位 で も表示 さ れ て い る。

●.

(7)

第4表ABFBに よ る 業 績 報 告 書 ① ア ク テ ィ ビ テ ィ 予 算 キ ャ パ シ テ ィ 予算額 実 際利用量 実 際発生額 差 異 未 利 用 キャパ シテ ィ 予算差異 購 入注文 92回 @1,250 115,000円 93回 126,000円 1回 1,250円 (不 利) 9,750円 (不 利) 製品検査 55回 @1,775 97,625円 57回 96,000円 (2回) 3,550円 (有 利) 4,575円 (有 利) 第5表ABFBに よ る業 績 報 告 書 ② ア ク テ ィ ビ テ ィ ・コ ス ト

実際原価

予算原価

予算差異

購買費

固定費

変動費

検査費

固定費

変動費

段取費

固定費

1

変動費

:

イ ネ ス&ミ ッチ ェル は 、ABCに よ る差 異 分 析(予 算 実 績 比 較)が 次 の2つ の理 由 で 意 義 が あ る と い う(2)。つ ま り、 伝 統 的 な 部 門 を越 え た ア ク テ ィ ビ テ ィ に基 づ い て 分 析 さ れ る こ と と、 物 量 尺 度 (コ ス ト ・ドラ イバ ー量)で の 差 異 の 分析 と調 査 に光 を 当 てて い る点 で あ る。 と くに後者 の点 が 、 関 係 す る管 理 者 の ア クシ ョ ンを とる の に優 れ た指 標 で あ る と考 え て い る[㎞es&Mitchell,1995a,p.131]。 まず 、 活 動 コス トの構 成 内容 を どの よ う な もの と して捉 え るか に よっ て 、差 異 の 分析 方 法 や 活 動 コ ス トを どの よ う に コ ン トロ ー ルす るか が 決 まる とい う こ とを確 認 して お く こ とが 重 要 で あ る。 断 る ま で もな く、 ユ ニ ッ ト ・レベ ル の ア ク テ ィ ビテ ィ ・コス ト分 析 は、標 準 原 価 計 算 にお け る差 異 分 析 と変 わ らない が 、ABC/ABMに よる差 異 分析 の 焦 点 は と くにバ ッチ ・レベ ルの ア クテ ィ ビテ ィ にあ る 。 例 え ば、 ク ーパ ー&キ ャ プ ラ ンの 論 文[Cooper&Kaplan,1992]で は 、 購 買 部 門 にお け る購 入 注 文 処 理 活 動 の 例 が 取 り上 げ られ て い る。 そ こ で の 購 入 注 文 処 理 活 動 の コス トの 中 に は 、 正 社 員 の 給 与 の ほ か に フ リ ン ジ ・ベ ネ フ ィ ッ ト、秘 書 ・管 理 サ ー ビ ス 、 設 備 コ ス ト、 お よ び ス ペ ー ス ・コ ス トが 含 ま れ て い る 。 こ の コス トの 見 積 額 を実 際 的 キ ャパ シ テ ィ を表 す 購 入 注 文 処 理 回 数 で 割 っ

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て 、 チ ャ ー ジ ・レ ー ト(ア ク テ ィ ビテ ィ ・レ ー ト)を 算 出 して い る。 し たが っ て 、 彼 ら は 、 活 動 コス トを す べ て 短 期 的 に は 固 定 的 な もの と して 捉 えて お り、 そ れ ゆ え に こ れ を変 動 予 算 に よ っ て 編 成 し差 異 分 析 を行 う さい に は 、 固 定 費 の 差 異 分 析 あ る い は 固 定 予 算 の 差 異 分 析 の よ う に 処 理 さ れ る 。 と ころ で 、 彼 ら は こ の論 文 で 次 の 式 を用 い てABCの 資 源 消 費 モ デ ル を説 明 して い る 。 活 動 利 用 可 能 量(供 給 量)=活 動 利 用 量+未 利 用 キ ャパ シ テ ィ 彼 ら は も と も と、 活 動 コス トは支 出(spending)ベ ー ス にお い て 、 つ ま り財 務 会 計 的 な測 定 にお い て 、 操 業 度 に 関 し て は短 期 的 に は 固 定 的(し か し、ABCに お け る資 源 消 費 ベ ー ス で は 変 動 的)で あ る とす る考 え 方 か ら議 論 を出 発 して い る 。 そ し て、 こ の 分 析 か ら は ユ ニ ッ ト ・レベ ル ・ア ク テ ィ ビテ ィ を 除外 して い る 。 ク ーパ ー&キ ャ プ テ ン は 、 特 定 の ア ク テ ィ ビ テ ィ の た め に利 用 さ れ る 資 源 は 、 需 要 に全 く弾 力 的 で あ る か(別 の 表 現 で は 、 必 要 に応 じて 消 費 され る)利 用 に 先 立 っ て 全 く コ ミ ッ トさ れ る と仮 定 して 差 異 分 析 を行 っ て い る(3)。需 要 に弾 力 的 な 資 源(機 械 を稼 働 す るエ ネ ル ギ ー 、超 過 労 働 な ど) か らは未 利 用 キ ャパ シ テ ィ(コ ス ト)(unusedcapacitycost)は 全 く生 じな い 。 こ れ に対 して 、 利 用 に先 立 っ て供 給 され る コ ミ ッテ ッ ド資 源(建 物 、 設 備 、 機 械 、 リー ス 建 物 ・設 備 な ど の 長 期 使 用 契 約 の 資 源)か ら この 未 利 用 キ ャパ シ テ ィが 発 生 す る 。 上 の算 式 は 、 ま さ に後 者 の 資 源 を想 定 して い る こ と を示 唆 す る 。 した が っ て 、 そ こ で はABCの 状 況 下 に お い て は 、 変 動 予 算 の 編 成 と差 異 分 析 が 、 ア ク テ ィ ビテ で ・コス ト(と く に非 ユ ニ ッ ト ・レベ ル)を 管 理 す る の に 限 られ た役 割 しか 果 た して い な い とい う こ とで あ る[Cooper&Kaplan,1992]。 つ ま り、 変 動 予 算 は 基 本 的 に は変 動 費 か 変 動 費 と 固定 費 の ミ ッ クス ・コス トの コ ン トロ ー ル に効 果 的 な の で あ っ て 、 固 定 費 の み の コ ン トロ ー ル に は 効 果 は 期 待 で き な い とい う こ とで あ る。 しか し、 彼 らの こ の仮 定 は 実 際 的 で は な い 。 なぜ な ら、 購 入 注 文 処 理 活 動 に含 ま れ る、 変 動 費 に相 当 す る コ ス ト(例 え ば 、 事 務 用 消 耗 品 費)を 無 視 し て お り、 そ れ らを実 際 利 用 量 に応 じて ス ラ イ ドさせ て い な い か らで あ る。 しか し、後 に キ ャプ ラ ン は単 独 の論 文 【Kaplan,1994]で 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ の他 に予 算 差 異 ま た は 消 費 差 異(spendingvariance)を 追 加 し、 さ ら に 固定 費 と短 期 的 に変 動 す る コ ス トと を含 む ア ク テ ィ ビテ ィ ・コス トの 差 異 分 析 も考 慮 して い る 。 固 定 費 は 実 際 的 キ ャパ シ テ ィに基 づ い た レー ト で 、 変 動 費 は実 際 消 費 に基 づ い た レー トで 製 品 にチ ャ ー ジ され る。 また 、 未 利 用 キ ャパ シ テ ィを 、 変 動 予 算 編 成 時 に す で に析 出 さ れ て い る 予 算 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ とキ ャ パ シ テ ィ利 用 差 異 と に 区 分 して い る 。 した が っ て 、 次 の等 式 の よ う に な る。 実 際 の 原 価 発 生 額 一 製 品 に チ ャー ジ さ れ る 原 価= キ ャパ シ テ ィ利 用 差 異+予 算 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ ・コス ト +消 費 差 異(予 算 差 異) こ れ らの 差 異 の算 定 方 法 を示 せ ば、 第2図 の よ う に な る 。 ま た、 以 上 の 分 析 を図 解 的 に示 した の が 、 第3図 で あ る 。 従 来 の差 異 分 析 と比 較 す る と、 キ ャ プ ラ ンの 差 異 分 析 の 特 徴 は 、 許 容 標 準 量 で は な く、 実 際 の 一8一

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実際 固定費 固定 費 予 算 額 (実 際 的 キ ャパ シ テ ィ) 固 定 費 予 算 額 (予想 キ ャパ シ テ ィ) チ ャー ジ 固定 費 (実 際 利 用 量)

↑__一

↑__一 」

消費差 異 予 算 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ キ ャパ シ テ ィ利 用 差 異 第2図 キ ャプ ラ ンの 差 異 分 析 金 額 0 実際 利用量 予 算 実 際 的 キ ャパ シ テ ィ キ ャパ シテ ィ 第3図ABCの 図 解 に よ る差 異 分 析 活 動 利 用 量 に基 づ い て製 品 に チ ャ ー ジ さ れ る と い う こ とで あ る(し た が っ て従 来 の 「能 率 差 異 」 は算 出 され な い)。 そ の た め に 、上 記 の よ う に、 実 際 的 キ ャパ シテ ィの 予 算 額 と実 際 利 用 量 にお け るチ ャ ー ジ固 定 費 との 差 を未 利 用 キ ャパ シ テ ィ(コ ス ト)と して 析 出 して い る。 さ ら に 、 キ ャ プ ラ ン は コ ミ ッテ ッ ド資 源 と弾 力 的 資 源 を含 む 活 動 コ ス トの 差 異 分 析([Yang& Wu,1993]の 言 う キ ャパ シ テ ィ ・ベ ー ス のABC(4))に つ い て も言 及 して い る。 そ こ で は 、予 算 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ ・コ ス トも キ ャパ シ テ ィ利 用 差 異 も コ ミ ッテ ッ ド資 源 の ドラ イバ ー ・レー トの み に よっ て 計 算 さ れ て い る(第4図)。 予 算 差 異 は 、 こ れ を コ ミ ッテ ッ ド資 源 に対 す る もの と弾 力 的 資 源 に対 す る もの と に 区別 しな い で 一 括 して 算 定 さ れ て い る。 マ ル コ ム は 、 ア ク テ ィ ビ テ ィ ・コ ス トを変 動 費 と捉 え 、 こ れ を価 格 差 異 と数 量 と に分 析 して い る[Malcom,1991]。 彼 の差 異 分 析 の大 き な特 徴 は 、 ス テ ィ ッキ ー ・コス ト(stickeycosts>(5)の 差 異 分 析 に言 及 して い る点 で あ る 。 こ の コス トの(全 般 的)数 量 差 異 を戦 略 的 数 量 差 異 と業 務 的 数 量 差 異 と に分 離 す る。 そ の 論 拠 を簡 単 に 述 べ れ ば 、 熟 練 間接 作 業 員 の 人 員 配 置 は 主 に よ り高 位 の マ ネ ジ メ ン トの意 思 決 定 で あ り、 現 場 の 管 理 者 は 、 で きる だ け 能 率 的 に これ らの 配 置 さ れ た 作 業 員 を用 い る こ と に責 任 が あ る か らで あ る[Malcom,1991,p.77]。 ABC/ABMの 機 能 の 一 つ と して は 、 ア ウ トプ ッ トの 生 産 に と っ て価 値 を付 加 す る 活 動(value-addedactivity)と 価 値 を付 加 しな い活 動 と を峻 別 し、 後 者 の 活 動 を可 能 な 限 り最 小 化 す る ア ク シ ョ ン を管 理 者 に促 す とい う もの で あ る 。 こ の 点 か らす る と、 キ ャ プ ラ ンの 分 析 で は非 付 加 価 値 活 動

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ア ク テ ィ ビ テ ィ ・コ ス ト 差 異 コ ミ ッ テ ッ ド 資 源 コ ス ト 実 際 的 キ ャパ シ テ ィ ・ レ ー ト \ 〉 予 算 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ / 〉 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ 弾 力 的 資 源 コス ト \ /予 算 差異 第4図 ア クテ ィ ビ テ ィ ・コ ス トの差 異 分 析 を分 別 して い な い 。 ク ーパ ー&キ ャ プ ラ ンは 、ABCの 最 大 の 特 徴 を資 源 消 費 モ デ ル と して 規 定 し、 そ こで 測 定 され る 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ を変 動 予 算 差 異 分 析 の核 と して お り、 予 算 編 成 時 にお け る 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ(不 足)に 対 す る対 策 と して 、 資 源 を よ り能 率 的 に利 用 す る 方 策 を あ げ て い る(こ の 点 は余 剰 キ ャパ シ テ ィの 存 在 に も当 て は ま る)。 しか し、ABCは 能 率 に 関 す る情 報 を提 供 して い な い 。ABCは 能 率 を測 定 す る メ カ ニ ズ ム が こ れ まで 欠 如 して きた と い う点 で 、 コス ト ・コ ン トロー ル に は不 十 分 で あ っ た と思 わ れ る 。 これ らの点 を差 異 分 析 の 中 に取 り込 ん だ のが 、 マ ッ ク&ロ ー シ ュ、 ハ ンセ ン&モ ー ウェ ンで あ る。 マ ッ ク&ロ ー シ ュ は 、 短 期 的 に ア ク テ ィ ビテ ィ ・コス トを固 定 ア ク テ ィ ビ テ ィ ・コ ス トと変 動 ア ク テ ィ ビテ ィ ・コ ス トと に 区別 す る こ とが 、ABC環 境 下 で は 、 依 然 と して コス ト ・コ ン トロ ー ル と業 績 評 価 の た め に は重 要 で あ る と指 摘 す る[Mak&Roush,1994,p.100]。 彼 らが 提 案 す る差 異 分 析 の 概 要 図 は 第5図 の 通 りで あ る[Mak&Roush,1994,p.101]。 図 中 の 標 準 コス ト ・ ドラ イバ ー量 は 、 あ る期 間 の 生 産 計 画 が 与 え られ た場 合 に 必 要 と され る コ ス ト ・ドラ イバ ー量 の こ と で あ る 。 マ ック&ロ ー シ ュ の ア プ ロ ー チ が 従 来 の 差 異 分析 と相 違 す る 点 は 、ABCで は よ り同 質 的 な コ ス ト ・プ ー ル と 因 果 連 関 す る コ ス ト ・ ドラ イバ ー が 用 い られ て い る こ と と、ABC下 で の 標 準 が マ ネ ジ メ ン トに よ る各 ア クテ ィ ビテ ィの 付 加 価 値 レベ ル の 識 別 に基 づ い て い る こ とで あ る 。した が って 、 従 来 の 差 異 分 析 の 結 果 と比 べ て 、 能 率 差 異 と価 格 差 異 が 純 粋 な形 で 算 出 され る こ と に な る 。 ま た、 キ ャパ シテ ィ差 異 は 、 各 ア クテ ィ ビ テ ィの 非付 加 価 値 要 素 を排 除 す るか ら利 用 可 能 な 長期 的 原 価 節 約 を表 す こ とに な る 。 他 の 差 異 と同 様 、 能 率 差 異 の 算 定 の仕 方 は 従 来 の そ れ と同 じで あ る。 ハ ンセ ン&モ ー ウ ェ ンは 、 マ ネ ジ ャー に 改 善 の 機 会 を提 供 した り、 無 駄 ・浪 費 の箇 所 を指 示 す る 情 報 を得 るた め に は 、 予 算 の なか で ア ク テ ィ ビテ ィ を付 加 価 値 と非付 加 価 値 とに 区 別 す る こ と、 各 ア ク テ ィ ビ テ ィ に 関 わ る標 準 的 な コ ス ト ・ドラ イ バ ー量 を識 別 す る こ との 重 要 性 を 指 摘 して い る [Hansen&Mowen,1997,p.404]。 そ して 、 この 付 加 価 値/非 付 加 価 値 区分 を差 異 分析 に適 用 す る 。 一10一

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パ ネ ルA:変 動 ア ク テ ィ ビ テ ィ ・コ ス ト を コ ン トロ ー ル す る た め の フ レ ー ム ワ ー ク 実際 原価 変動予算 額(実 際 コス ト ・ 変動予算額(標 準 コス ト ・ ドライバ ー量 に基 づ く)ド ライバ ー量 に基 づ く) 一_____∠ 卜 个___一 価格 差異 能率差 異 パ ネ ルB固 定 ア ク テ ィ ビ テ ィ ・コ ス ト を コ ン トロ ー ル す る た め の フ レ ー ム ワ ー ク 実際 原価 予算 ア クテ ィビテ ィ支 出額 予算 アクテ イビテ イ利用 額( コス ト ・ドライバ ーの利用(標 準 コス ト ・ドライバ ー量 可 能性 に基づ く)に 基づ く*) 个___二_二_二_∠ 卜 一 予算差異 キ ャパ シテ ィ差異 *コ ス ト ・ ド ラ イ バ ー の 実 際 量 を 用 い て も 算 定 で き る 。 第5図 マ ッ ク&ロ ー シ ュ に よ る差 異 分 析 ハ ンセ ン&モ ー ウ ェ ンは 、 固定 ア ク テ ィ ビ テ ィ差 異 と変 動 ア ク テ ィ ビ テ ィ差 異 とに 分 け て 分 析 して い る 。 第6図 に見 られ る よ う に、 固 定 ア ク テ ィ ビテ ィ差 異 は さ ら に消 費 差 異 ま た は価 格 差 異 と ボ リ ュ ー ム差 異 、 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ差 異 と に分 析 され 、 変 動 ア ク テ ィ ビテ ィ差 異 は 消 費 差 異 と 能 率 差 異 とに 分 析 さ れ る 。 図 中 で 、 標 準 量 とは 利 用 され る付 加 価 値 ア ク テ ィ ビ テ ィの 標 準 量 で あ り、 非 付 加 価 値 ア ク テ ィ ビテ ィの 場 合 には 、 この標 準 量 は ゼ ロ(0>と な る 。 ボ リ ュ ー ム差 異 は あ る ア クテ ィ ビ テ ィの 非 付 加 価 値 コス トを 表 し、 ア ク テ ィ ビ テ ィ の分 析 と管 理 を通 じて 可 能 な 改 善 額 を測 定 す る。 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ差 異 は ア ク テ ィ ビテ ィ利 用 可 能 性 と実 際 の ア ク テ ィ ビ テ ィ利 用 との 差 で あ り、 非 付 加 価 値 ア クテ ィ ビテ ィの 場 合 には 、 実 際 の 改 善 度 を表 す 。 つ ま り、 非 付 加 価 値 ア ク テ ィ ビテ ィに 関 して は 、 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ差 異 は 余 剰 キ ャパ シテ ィ(実 際 利 用 量 く 実 際 キ ャパ シ テ ィ)が 多 くな れ ば な る ほ どそ れ だ け有 利 に な る とい う こ とで あ る 。 とい うの は 、 非 付 加 価 値 ア ク テ ィ ビテ ィ は最 終 的 に は排 除 され るべ き もの だ か らで あ る 。 ま た 、 能 率 差 異 は あ る ア ク テ ィ ビ テ ィ を遂 行 す る非 付 加 価 値 コ ス トを表 し、 基 本 的 に は ボ リ ュ ー ム差 異 と類 似 す る 。 能 率 差 異 は 、 将 来 引 き下 げ られ るべ き非 付 加 価 値 コス トの 目標 値 と して の 意 味 を も っ て い る 。 し た が っ て 、 従 来 の 能 率 差 異 とは 性 質 を 異 に して い る 点 に注 目で きる 。 と こ ろ で 、 キ ャパ シ テ ィ利 用 差 異 は 、 従 来 の操 業 度 差 異(ま た は 製 造 量 差 異)と 同 じ も の だ ろ うか 、 そ れ と も異 な る もの で あ ろ うか 。 ク ー パ ー&キ ャ プ ラ ン 自 身 は異 な る もの で あ る こ と を強 調 して い る[Cooper&Kaplan,1992】 。 キ ャパ シテ ィ差 異 は 、 上 の 図 に も示 した よ う に 、 あ る ア ク テ ィ ビ テ ィの 実 際 的 キ ャパ シテ ィ と実 際 利 用 量 の 差 に 当 該 ア ク テ ィ ビ テ ィ ・レー トを乗 じて 求 め ら れ る 。 一 方 、 従 来 の 操 業 度 差 異 は 、 実 際 的 キ ャ パ シ テ ィ ま た は予 算(予 定)操 業 度(ボ リ ュ ー ム ・ベ ー ス)な ど と実 際操 業 度 また は許 容 標 準 操 業 度 と の差 に 固 定 間接 費 配 賦 率 を乗 じて 求 め ら れ る。 そ の 主 要 な差 は 、 マ ー ク&ロ ー シ ュが 指 摘 して い る よ う に 、 操 業 度 差 異 が ボ リ ュ ー ム 関連 コス ト ・ ドラ イ バ ー を用 い て部 門 、 工 程 ま た は 工 場 全 体 に つ い て 算 定 され て い る の に対 して 、 未

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〈固定 ア クテ ィビテ ィ差異 の分析 〉 実際固定費 予算 固定 費 実 際利 用量 (実際的 キャパ シテ ィ× × 固定 レー ト)固 定 レー ト L_一!L______二_个 未利 用 キャパ シテ ィ差異 消 費差異 ボ リューム差異 〈変動 アクテ ィビティ差異 の分析〉 アクテ ィビテ ィ利 用可能量 × 実際鯉 量TX量

実際レート

予定レート

予定レート

个_____个

消費差異

能率差異

標 準 量 X 固 定 レ ー ト 第6図 ハ ン セ ン&モ ー ウ ェ ンに よ る差 異 分 析 利 用 キ ャパ シ テ ィ ・コス トは ボ リ ュ ー ム ま た は 非 ボ リ ュ ー ム 関 連 コス ト ・ドラ イ バ ー を 用 い て ア ク テ ィ ビテ ィ別 に算 定 さ れ て い る と こ ろ に あ る[Mak&Roush,1994,p.95]。 キ ャパ シテ ィ な い しは 操 業 度 の差 に乗 ぜ られ る レー トが 異 な るが 、 ク ーパ ー とキ ャ プ ラ ンが ア クテ ィ ビテ ィ ・コ ス トを 固 定 的 な もの と捉 え て い る 限 りは 、 未 利 用 キ ャパ シテ ィ ・コス トは 従 来 の操 業 度 差 異 に 類 似 して い る とい え る だ ろ う。 な お 、ABCに お け る未 利 用 キ ャパ シ テ ィ ・コ ス トと従 来 の 操 業 度 差 異 に関 す る情 報 とで は 、 マ ネ ジ メ ン トに とっ て の情 報 価 値 は 前 者 の 方 が 高 い こ と は い う まで も な い{6)。 さて 、 こ こ まで で つ ぎの 点 を確 認 す る こ とが で きた 。 まず 、 こ こで と りあ げ た す べ て の 論 者 は 、 そ の 呼 称 が ど うで あ れ 、 ア ク テ ィ ビテ ィ ・コス トを固 定 と変 動 とに 区 分 して 差 異 分 析 を行 っ て い る 。 さ ら に 能 率 差 異 を算 出 す る必 要 性 を痛 感 して い る し、 差 異 分 析 に ア ク テ ィ ビ テ ィ の付 加 価 値/非 付 加 価 値 分 類 を関 連 づ け て い る こ とで あ る 。私 見 で は 、 非 付 加 価 値 ア ク テ ィ ビ テ ィ に対 す るハ ンセ ン&モ ー ウ ェ ンの ア プ ロ ー チ は大 変 興 味 深 い が 、 あ る ア クテ ィ ビテ ィ が 非 付 加 価 値 と し て取 り分 け ら れ 、 そ の す べ て を排 除 す べ き もの と して 標 準 量 を ゼ ロ とす る 考 え 方 も一 つ あ る と思 わ れ る が 、 現 在 の 生 産 シス テ ム で は顧 客 満 足 の た め に あ る程 度 の 非付 加 価 値 ア クテ ィ ビ テ ィ量 を 定 め て ゆ く方 法 もあ る と思 わ れ る。 また 、 これ らの差 異 の 責 任 所 在 が ど こ に あ る の か と い う問 題 点 も指 摘 して お きた い 。 N.差 異 分 析 にお け る会 計 の 役 割 差 異 分 析 にお け る会 計 の役 割 は、 異 質 の活 動 間 の 同 質 化 、 全 体 的視 点 か ら の差 異 の経 済 的 重 要 性 を示 す 情 報 を管 理 者 に提 供 す る こ と に あ る 。 そ れ に よ って 、 経 済 的 に重 要 性 を持 つ差 異(異 常 な差 一12一

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異)に 管 理 者 の注 意 を喚 起 す る こ とで あ る。 しか し、 クー パ ー とキ ャ プ ラ ン は、 未 利 用 キ ャ パ シテ ィの コ ス トだ け で は な く、 そ の物 量 情 報(未 利 用 キ ャパ シテ ィ資 源 量)を も提 供 す る こ と にABC にお け る差 異 分 析 の役 割 を拡 大 して い る 点 が 特 徴 的 で あ る 。 これ は 、彼 らが 原価 情 報 ・管 理 会 計情 報 は業務 統 制(operationscontrol>に 役 立 た な けれ ば無 意 味 で あ る とす る考 え の表 れ で あ ろ う。 従 来 の 操 業 度 差 異 の デ ー タが 部 門 別 ・工 程 別 に分 析 され た も の で あ っ て も、 ア イ ドル ・キ ャパ シ テ ィ を物 量 尺 度 で測 定 して そ の 結 果 を 関 係 責 任 者 に提 供 した と して も、 彼 らが ア ク シ ョ ン を と る術 を もた な か っ た こ とか ら比 較 して 、 前 述 の よ う に 、 活 動 別 の 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ量 を提 供 す る こ と は情 報 価 値 を高 め る もの で あ ろ う。 近 年 、 『レ リバ ンス ・ロ ス ト』 の 共 著 者 で あ る ジ ョ ン ソ ン は 、 なぜ ア メ リ カで 管 理 会 計 情 報 の レ リバ ンス ・ロス トが 生 じ た の か に つ い て の納 得 の ゆ く説 明 を考 え 出 した 。 そ れ に よ る と、 「管 理 会 計 を業 務 統 制 に使 用 す る とい う考 え 方 そ の もの 」 に あ っ た の で あ り、 管 理 会 計 の 内 容 が 戦 後 の新 しい 諸 条 件 に 適 応 で きず 陳腐 化 したせ い で は な い[Johnson,1992,p.103]、 ま た レ リバ ンス は管 理 の た め に 「不 適 切 な会 計 情 報 」 を使 用 す る こ と に よ って 失 わ れ た の で は な く、 「会 計 情 報 の不 適 切 な 使 用 」 に よっ て 失 わ れ た の で あ る[Johnson,1992,p.104]。 この よ うに 割 り切 っ た意 見 には 全 面 的 に 組 み す る もの で は な いが 、基 本 的 に は 筆 者 もジ ョン ソ ン と同 意 見 で あ る 。 生 産 現 場 の1的 な環 境 変 化 に伴 っ て 、 現 在 実 施 さ れ て い る 原 価 計 算 はABCに 取 っ て代 わ ら れ る べ き で あ る と主 張 され て きた 。 伝 統 的 原 価 計 算 は、 現 場 の 管 理(オ ペ レー シ ョナ ル ・コ ン トロ ー ル)に 役 立 た な い と も言 わ れ て い る 。 そ れ は 、 言 い 換 え る と、 日常 的 管 理(ま た は 事 中管 理)に 役 立 た な い とい う こ とで もあ る。 現 場 で は 、 工 数 で 物 事 を考 え、 管 理 して い る と言 った 主 張 も同 じ範 疇 に 含 まれ る で あ ろ う。 しか し、 わ れ わ れ は 、 原 価 情 報 を含 め 、 会 計 情 報 が 事 後 的 な 管 理 に 関 わ る こ と を 知 っ て い る。 そ れ で 、伝 統 的 な原 価 計 算 は 、 現 場 の 管 理 に は役 立 た な い か ら、 こ れ をABCに 改 め るべ きで あ る とい う批 判 は、 的 を射 た主 張 とは 言 え な い 。 で あ る か ら、 現 行 の 原価 計 算 が 現 場 の 管 理 に用 い よ う と して も役 立 た な い か ら、ABCに して現 場 に役 立 つ よ う にす べ きで あ る と す る論 法 に は賛 同 で き な い 。 そ れ は 、 原 価 情 報 の本 質 と限 界 に 対 す る認 識 の 欠 如 以 外 の 何 もの で も ない 。 こ の こ と か らす る と、 現 場 管 理 に 資 す べ し とす る使 命 を帯 び たABCが 非 財 務 的 指 標 の 提 供 を期 待 す べ き必 然 性 が あ っ た とい う こ とが で き よ う。 マ ック&ロ ー シ ュ は 、 キ ャパ シ テ ィ関 連 差 異 が 活 動 コス トの 将 来 の 潜 在 的 節 約 ま た は増 加 に つ い て 有 用 な 情 報 を提 供 す る が 、 も し これ らが コ ン トロ ー ル と業 績 評 価 の た め にふ さわ し く用 い ら れ な い な ら ば 、 逆 機 能 が 生 ず る可 能 性 が あ る こ と を指 摘 す る 。 例 え ば 、 余 剰 キ ャ パ シ テ ィの ゆ え に不 利 な キ ャパ シ テ ィ差 異 が発 生 し、 こ の 余 剰 キ ャ パ シ テ ィ につ い て ほ か に有 利 な 収 益 的 な用 途 が 全 く見 当 た ら な い な らば 、管 理 者 は不 必 要 な 在 庫 を生 産 す る な ど して不 適 切 な 方 法 で こ の 差 異 を 減 ら した り排 除 し よ う とす る 誘 惑 が あ る[Mak&Roush,1996,p.145]。 した が っ て、 問題 は こ れ らの 情 報 を どの よ う に用 い る か とい う こ とで あ る。 これ らの 情 報 は 、 管 理 者 に よる 意 思 決 定 を容 易 にす る た め の 有 益 な情 報 シ グ ナ ル と して 用 い るべ きで あ る とい う の で あ る 。 こ の こ とは 、ABC 情 報 を注 意 志 向 ・注 意 喚 起 情 報 と して用 い る べ き と主 張 す る ク ー パ ー の 意 見 を想 起 す る[Cooper, 1990]o 最 後 に 、 ア ク テ ィ ビ テ ィ別 に予 算 編 成 し差 異 分 析 す る こ と は 、従 来 の業 績 評 価 や 責 任 会 計 シ ス テ ム の廃 止 と変 更 あ る い は パ ラ ダ イ ム ・シ フ トを意 味 す る の か とい う疑 問 点 が 提 出 され る が 、 本 稿 の 論 点 を越 え て い る(7)。あ え て 敷 衍 す る な らば 、 そ れ は 、 前 に も触 れ た よ う に、 ア クテ ィ ビテ ィ を どの よ う に編 成 す る の か とい う こ と と 関連 して こ よ う 。

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V、 お わ り に 本 稿 で は 、 こ れ まで 、変 動 予 算 に焦 点 を 当 て て 、 そ の 予 算 編 成 の特 徴 や 差 異 分 析 で 析 出 さ れ る 差 異 の種 類 と そ の情 報 価 値 な い しは 限界 につ い て 論 じて きた 。 問 題 は 、ABC/ABMに よ る予 算 編 成 をす る と従 来 の 予 算 編 成 と どの よ う に異 な っ て い るか とい う こ とで あ る 。 ABCの 測 定 は 資 源 消 費 モ デ ル を土 台 と して お り、 そ こ で は 未 利 用 キ ャパ シ テ ィ(コ ス ト)が ア ク テ ィ ビテ ィ別 に識 別 され 、 有 意 味 な情 報 を提 供 し う る と は い え 、 能 率 に 関 す る情 報 は 提 供 して い な い し、 ま た 付 加 価 値/非 付 加 価 値 ア クテ ィ ビ テ ィが 差 異 分 析 に どの よ う にか か わ っ て くる か も不 明 で あ っ た 。 しか しな が ら、 最 近 のABFBの 論 議 は 、 この 能 率 差 異 の 析 出 を 目指 して い る よ うで あ る 。 付 加 価 値/非 付 加 価 値 ア ク テ ィ ビ テ ィの 考 え を標 準 ア ク テ ィ ビ テ ィ量 の 決 定 に 関 わ ら せ て 能 率 差 異 を算 出 す る試 み は新 しい傾 向 で あ り、ABC/ABMの 有 用 性 を一 層 高 め る も の で あ る。 筆 者 は 、ABCを 採 用 す る企 業 で も依 然 と して 変 動 予 算 の フ レ ー ム ワ ー ク は 有 効 で あ り、 む しろ イ ン プ ッ ト とア ウ トプ ッ トとの 有 意 味 な 関 連 づ け を通 して 、 この 変 動 予 算 の重 要 性 を高 め る も の で あ る とす る マ ック&ロ ー シ ュ と意 見 を同 じ くす る もの で あ る[Mak&Roush,1994,P.99]。 と くに、 コス ト ・ ドラ イ バ ー と ア ク テ ィ ビ テ ィ ・コス トの 高 い相 関 に よ り、 差 異 分 析 か ら得 られ る コ ン ト ロ ー ル 情 報 の 価 値 を増 す こ と に な ろ う。 ABC情 報 が 予 算 管 理 に活 用 さ れ る と き 、 す で にABCを 実 施 し て い る な ら 、 予 算 編 成 に お い て ABC情 報 を す ぐ に利 用 で きる の で 実 行 可 能 性 が 高 い と主 張 され る。 果 た して そ う で あ ろ うか 。 と い うの は 、 予 算 編 成 で 用 い る ア ク テ ィ ビ テ ィ と正 確 な製 品 原 価 の 計 算 を 目指 して 製 品 へ 割 り当 て る と き の ア ク テ ィ ビ テ ィ とは 異 な る で あ ろ う し、 部 門 ご と の ア ク テ ィ ビテ ィ に対 応 して い ない こ と もあ りう る か らで あ る(8}。

ABC/ABMの 予 算 管 理 へ の 適 用 はABB(Activity-BasedBudgeting)と 呼 ば れ る 。ABFBは 、 ABBの 一 環 で あ るが 、 い ず れ に して も、 そ の 成 否 は ア ク テ ィ ビ テ ィ分 析 に か か っ て い る と言 っ て も過 言 で は な い 。ABBに 関 す る議 論 は 、 ア メ リ カ よ り も イ ギ リ ス に お い て さ か ん で あ る 。 イ ネ ス&ミ ッチ ェ ル に よ る イ ギ リス企 業 の 実 態 調 査 に よれ ば、ABCを 予 算 管 理 目的 に利 用 して い る会 社 が29社(ABC採 用 企 業 の59.2%)あ っ た[Innes&Mitchell,1995b,PP.144-146]。 こ れ らの 会 社 が ABBを 従 来 の 予 算 管 理 と ど の よ う な 関係 に お い て どの よ うに 用 い 、 どの 程 度(部 分 的 に か 全 体 的 に か 〉 用 い て い るの か は不 明 で あ る が 、 こ れ ら の 会 社 は か な りの 成 功 度 と満 足 度 を も っ て 適 用 し て い る こ と は 、 注 目に値 す る。 一 方 、 わが 国 で は 、ABC/ABMを 予 算 編 成 と統 制 に活 用 して い る とこ ろ は 少 な い と思 わ れ る 。 現 時 点 で は 、ABFBお よびABBは 企 業 全 体 の マ ネ ジ メ ン ト ・プ ロセ ス を形 成 す る まで に は 至 っ て お らず 、 した が っ て 、 た とえ 適 用 され た と して も、 そ れ は現 行 の 予 算 制 度 で は お そ ら く補 完 的 な役 割 しか果 た して い ない と思 わ れ る 。 しか し、 早 晩 、 ア ク テ ィ ビ テ ィ ・ベ ー ス な い しは プ ロ セ ス ・ベ ー ス の 予 算 管 理 が 従 来 の 部 門 別 予 算 管 理 に 取 っ て代 わ る と きが くる で あ ろ う 。 そ の と き こ そ 、責 任 会 計 のパ ラ ダ イ ム ・シ フ トが 実 現 して い る こ とで あ ろ う(9}。 一14一

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[注] (1)ベ ル ジ ェ ソ ン は 、 コ ス ト ・ ドラ イ バ ー で は な く ト リ ガ ー(ア ク テ ィ ビ テ ィ を イ ニ シ エ イ トす る シ グ ナ ル)を 用 い て い る[Borjesson,1997]。CAM-1の 用 語 法 で は 、 コ ス ト ・ ドラ イ バ ー は 「原 価 を 発 生 せ しめ る 原 因 と な る 事 象 」 を 意 味 し て い る の で 、 ベ ル ジ ェ ソ ン の ト リ ガ ー と 同 じ も の と考 え ら れ る[Raffish&Tumey,1991,p.53]。 (2)[Innes&Mitchell,1995a]は 、ABB(Activity-BasedBudgeting)に つ い て 言 及 し た も の で あ る が 、 こ の 叙 述 はABCに も あ て は ま る 。 (3)当 初 、 彼 ら は こ れ ら の2つ の タ イ プ の 資 源 を 明 示 的 に 認 識 して い な か っ た 。 た だ 、 遊 休 施 設 費 を 最 初 か ら 製 品 の 割 り当 て 計 算 か ら 除 外 し て い る こ と を 考 え る と 、 コ ミ ッ テ ッ ド資 源 の 存 在 は 彼 ら に と っ て は 既 知 で あ っ た の か も し れ な い 。 (4)ヤ ン&ウ ー は 、 コ ス ト ・ ド ラ イ バ ー ・ レ ー トの 算 出 を 、 シ ン プ ルABC(ア ク テ ィ ビ テ ィ ・キ ャ パ シ テ ィ ・コ ス ト を 予 算 キ ャパ シ テ ィ 量 で 除 す る)、 キ ャ パ シ テ ィABC(実 際 的 キ ャ パ シ テ ィ で 除 す る)、 お よ び 戦 略 的ABC(正 常 キ ャ パ シ テ ィ 量 で 除 す る)の3つ に 区 分 す る 。 シ ン フ゜ルABC は 、 一 般 元 帳 の 費 用 と の 直 接 的 リ ン ク を 提 供 す る 。 キ ャ パ シ テ ィABCは 、 増 分 意 思 決 定 に お い て 原 価 見 積 も り 目 的 の た め に 遂 行 さ れ る 最 低 可 能 な コ ス ト を 表 す 。 戦 略 的ABCは(実 際 的 キ ャ パ シ テ ィ の70%の 利 用 レ ー ト)は 、 計 画 設 定 期 間 枠 の 原 価 見 積 も り と して 最 も ふ さ わ し い 。 戦

略 的ABCは 、 シ ン プ ルABCを 用 い る 価 格 設 定 よ り も攻 撃 的 で あ り、 キ ャ パ シ テ ィABCよ り も攻

撃 的 で は な い[Yang&Wu,1993]。 (5)基 本 的 に は 非 変 動 費 で あ る 。 短 期 的 に は 増 加 は す る が 、 ア ク テ ィ ビ テ ィ の 減 少 に よ っ て は 短 期 的 に は 減 少 し な い コ ス トで あ り 、 例 え ば 、 間 接 労 務 費 が あ げ ら れ る 。 (6)ABCに よ る 未 利 用 キ ャ パ シ テ ィ(コ ス ト)情 報 の 優 位 性 に つ い て は 、[Cooper&Kaplan,1992], [志 村,1995]で 論 じ ら れ て い る 。 (7)責 任 会 計 制 度 と の 関 係 に つ い て は 、 わ が 国 で も い ろ い ろ な こ と が 指 摘 さ れ て き た 。 プ ロ セ ス 志 向 のABCに つ い て(正 し く はABMと 呼 ぶ べ き か も し れ な い が)、 部 門 間 の 相 互 依 存 性 を 反 映 し た 新 し い 責 任 会 計 制 度 の 必 要 性 を 主 張 す る 意 見[小 倉,1992】 、 組 織 横 断 的 な 新 責 任 会 計 へ の パ ラ ダ イ ム ・シ フ トを 主 張 す る 意 見[古 賀,1994]が 提 出 さ れ て き た 。 そ れ で は 、 従 来 の 責 任 会 計 は ど の よ う に な る の か 、 新 し い 責 任 会 計 と は ど の よ う な 姿 を して い る の か に つ い て の 具 体 的 な 提 案 に つ い て は ほ ぼ 不 透 明 で あ る 。 櫻 井 通 晴[1994,P.153]は 、 新 しい 責 任 会 計 制 度 で は 部 門 、 事 業 部 、 企 業 組 織 の ほ か 、 活 動 、 プ ロ セ ス が 加 え ら れ る こ と に な る と述 べ て 、 従 来 の 責 任 会 計 も そ の ま ま存 続 し う る こ と を 示 唆 し て い る(傍 線 は 筆 者)。 そ の さ い に 、 プ ロ セ ス に お け る 業 績 を 利 益 と の 関 係 で も 測 定 で き る セ ン タ ー と し て 設 け る 方 が 妥 当 で は な い か と の 提 案 を 行 っ て い る 。 (8)例 え ば 、 製 品 原 価 計 算 の た め に は 、 共 通 し た コ ス ト ・ ド ラ イ バ ー を も つ コ ス ト群(ア ク テ ィ ビ テ ィ ・コ ス ト ・プ ー ル)を 設 け る こ と が 行 わ れ る 。 他 方 、 コ ス ト ・コ ン トロ ー ル や 継 続 的 改 善 活 動 の た め に は 、 ア ク テ ィ ビ テ ィ は プ ロ セ ス 志 向 で 編 成 さ れ る こ と に な ろ う 。 (9)こ の 点 に つ い て は 、[Morrow&Connolly,1991]を 参 照 さ れ た い 。

(16)

[参考 文 献] ・Brimson ,JimandRobinFraser,"TheKeyFeaturesofABB,"ManagementAccounting(U.K.),Jan. 1991,pp.42-43. ・Borjesson ,Sofia,"ACaseStudyonActivity-BasedBudgeting,"JournalofCostManagement,Winter 1997,pp.7-18. ・Cooper ,Robin,"ExplicatingtheLogicofABC,"ManagementAccounting(U.K.),November1990, pp.58-60. ・Cooper ,Robin,andRobertS.Kaplan;"Activity-BasedSystems:MeasuringtheCostsofResource Usage,"AccountingHorizons,September1992,pp.1-13. ・Hansen ,DonR.andMaryanneM.Mowen,ManagementAccounting,2ndedition,South-Western Publishing,1992. ・Hansen ,DonR.andMaryanneM.Mowen,ManagementAccounting,4thedition,South-Western Publishing,1997. ・Hilton ,RonaldW.,ManagerialAccounting,2nded.,McGraw-Hill,Inc.,1994. ・Innes ,John;andFalconerMitchell[1995a],"Activity-BasedCosting,"ineditedbyAshton,David,T. Hopper,andRobertW.Scapens,IssuesinManagementAccounting,2nded.,Prentice-Hall.Inc.,1995, Ch.6(pp.115-136). ・Innes ,John,andFalconerMitchell[1995bJ,"ASurveyofActivity-BasedCostingintheU.K.'s LargestCompanies,"ManagementAccountingResearch,1995,pp.137-153. ・Johnson ,H。Thomas(河 田 信 訳 ・解 説)「 『レ リ バ ン ス ・ ロ ス ト 』 刊 行5年 後 に あ た っ て 」 『経 営 研 究 』,第43巻 第2号,1992年,101-115頁 。 ・Kaplan ,RobertS.,"FlexibleBudgetinginanActivity-BasedCostingFramework,"Accounting Horizons,June1994,pp.104-109. ・古 賀 勉 稿 「責 任 会 計 とABC」 『原 価 計 算 研 究 』 ,第18巻 第2号,1994年,1-18頁 。 ・Mak ,Y.T.,andMelvinL.Roush,"FlexibleBudgetingandVarianceAnalysisinanActivity-Based CostingEnvironment,"AccountingHorizons,June1994,pp.93-1 .03. ・Mak ,Y.T.,.andMelvinL:Roush,"ManagingActivityCostswithFlexibleBudgetingandVariance Analysis,"AccountingHorizons,September1996,pp.141-146. ・Malcom ,RobertE.,"OverheadControlImplicationsofActivityCosting,"AccountingHorizons,Dec. 1991,pp.69-78. ・Morrow ,MichaelandTimConnolly,"TheEmergenceofActivity-BasedBudgeting,"Management Accounting(U.K.),Feb.1991,p.38,39,41. ・小 倉 昇 稿 「活 動 基 準 原 価 計 算 に よ る 責 任 会 計 の 拡 張 に つ い て 」 『原 価 計 算 研 究 』 ,第17巻 第1号, 1992年,25-38頁 。 ・櫻 井 通 晴 著 『間 接 費 の 管 理 』 中 央 経 済 社 ,1995年 。 ・志 村 正 稿 厂ABCの 意 思 決 定 に お け る 役 割 と 資 源 消 費 モ デ ル 」 『情 報 研 究 』(文 教 大 学 情 報 学 部) , 第16号,1995年12月,99-111頁 。 ・Raffish ,N.andP.B.B.Turney(editors),"GlossaryofActivity-BasedManagement,"JournalofCost Management,Fall1991,pp.53-63. ・Yang ,GilbertY.andRogerC.Wu,"StrategicCosting&ABC,"ManagementAccounting,May1993, pp.33-37. 一16一

参照

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