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昭和57年7月長崎豪雨における土石流の発生・非発生ルールの抽出

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Academic year: 2021

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(1)土木学会論文集F Vol.66 No.4,593-598,2010.11. 昭和57年7月長崎豪雨における 土石流の発生・非発生ルールの抽出 杉原 成満1・小林 央宜2・川崎 雄大3・篠崎 嗣浩4・大石 博之5・古川 浩平6 1正会員. 山口大学助教 2正会員. 西日本技術開発株式会社(〒810-0004 福岡県福岡市渡辺通1-1-1) E-mail: [email protected]. 3非会員. 4正会員. 山口大学大学院理工学研究科(〒755-8611 山口県宇部市常盤台2-16-1) E-mail: [email protected]. 大成建設株式会社(〒163-0606 東京都新宿区西新宿1-25-1) E-mail: [email protected]. 大日本コンサルタント株式会社(〒343-0851 埼玉県越谷市七左町5-1) E-mail: [email protected]. 5正会員. 西日本技術開発株式会社(〒810-0004 福岡県福岡市渡辺通1-1-1) E-mail: [email protected]. 6フェロー会員. 山口大学特命教授 山口大学大学院理工学研究科 (〒755-8611 山口県宇部市常盤台2-16-1) E-mail: [email protected]. 本研究では,昭和57年7月23日に長崎県で起こった土石流災害における土石流の発生・非発生ルールの 抽出を試みた.解析手法としては,篠崎ら1)の提案する"パターン分類に優れたサポートベクターマシン2) と,ルールとして災害の要因を明確化できるラフ集合3)を組み合わせた手法"を用いた.抽出したルールは, ラフ集合のみを用いた既往研究4)に比べると,精度は若干劣るものの,少ないルールでより多くの渓流に おける土石流災害の発生・非発生を説明することが可能であった.このことから,篠崎ら1)の提案するル ール抽出手法は,昭和57年7月23日に長崎県で起こった土石流災害の事例についても十分な精度と高い汎 用性を有するルールを抽出できる手法であることが確認され,手法としての有用性が示された.. Key Words : support vector machine, rough set theory, expand area of rules, debris flow torrents. 1. はじめに. を用いたルールの抽出は,その過程において分析対象の データベースから発生・非発生を分離するために必要な 重要要因を抽出するという機能を有しており,これらの 要因を組み合わせることで,実際の崩壊現象を特徴的に 説明できる最適なルールを抽出することができる.この ような特徴は,複雑な条件下で発生するものと考えられ る土砂移動現象をルールとして再現する上では非常に適 したものといえる.しかしながら,ラフ集合は膨大なデ ータベースを用いて簡約化を行う分析手法であるため, 土砂災害のように局所的かつ特例的な条件により災害の 発生・非発生が区分されるデータに適用した場合,多様 な重要要因やルールが抽出されてしまうという傾向があ る.このような特徴は,各斜面固有の災害メカニズムを 導き出すためには適したものであるが,防災事業計画へ の活用を考えると,対象地域における最も一般的な災害. 土砂災害から被害を防ぐためには,ハード対策の実施 が効果的であるが,ハード対策はそれを必要とする箇所 が多いことに加え,近年の厳しい経済状況により施設整 備のための財源確保が難しいために,思うように事業の 進展が図れていないという実情がある.そのため,地域 に広く散在する土砂災害危険箇所の中から特に危険な箇 所や比較的安全な箇所の分布を把握する等のソフト対策 による支援を行い,効率的に土砂災害の予防強化を行う ことが重要であると考えられる. このような分野に関する既往の研究としては,その一 つとしてラフ集合3)を用いて過去の災害事例から土砂移 動現象の発生・非発生に関する規則性(以下,ルール) 等の基礎知識を得る方法が提案5)されている.ラフ集合. 593.

(2) 土木学会論文集F Vol.66 No.4,593-598,2010.11 発生データ(教師値-1). 1) 解析データの収集・整理. x2. 非発生データ(教師値1). 分離面f(x)=0から危険側に 離れるほど危険度が高い f(x)<0. 2) SVMによる危険度評価. f(x). f(x)>0. 3) 代表データの抽出. f(x). f(x)=0. 分離面f(x)=0から安全側に 離れるほど危険度が低い. 4) ラフ集合によるRuleの抽出. x1. 図-1 土石流の発生・非発生ルールの抽出フロー. 図-2 SVM の概念図. 要因B 「例 流域最大傾斜(°)」. 発生条件を把握することの方が肝要であるため,現象に 対する説明精度を確保しながら高い汎用性を有した実用 的なルールを抽出することが重要な課題となる. この課題を克服するための方法としては,膨大なデー タベースの中から,土砂災害の発生と非発生を分離する 上で重要となるデータ(以下,代表データ)をサポート ベクターマシン2)(以下,SVM)を用いて抽出し,当該 代表データのみを用いてラフ集合によりルールを抽出す るという方法が篠崎ら1)により提案されており,平成11 年6月29日に発生した広島災害を対象とした検討におい て,ルール数を抑制させるとともに,高い精度と汎用性 を有した実用的なルールの抽出に成功している.しかし ながら,他の災害事例を対象とした検討は行われておら ず,手法としての汎用性は確認されていない.また,手 法の有用性に関する検討としては基本的なラフ集合のみ を用いた既往研究5)との比較は行われているが,より実 用的なルールの抽出方法であるルール領域の拡張4),6)お よびルールの組合せ4)の概念を導入した竹本ら4)の提案す る手法との比較は行われていない.そのため,手法の有 用性に関して十分な検討が行われているとは言い難い. そこで,本研究では竹本ら 4)が研究の対象とした昭和 57 年 7 月 23 日の長崎豪雨における土石流災害(以下, S57.7 長崎豪雨災害)の事例を用いて,篠崎ら 1)が提案す るルール抽出手法の汎用性についての確認を行った.そ の上で,ルールの精度および汎用性に関して既往研究 4) との比較を行い,手法としての有用性の検証を試みた.. 発生ルールA. 3 (40~50). 非発生ルール a. ルール領域 :発生ルール. 2 (30~40) 1 (0~30). 発生データ 非発生データ. 発生ルールC. 整合データ. 非発生ルール b. :非発生ルール. 非発生ルール c 非発生ルール d. 1. 2. (0~9.9). 発生ルール B. 3. :矛盾ルール 矛盾データ. (10~14.9) (15.0~19.9). 要因A 「例 最急渓床勾配(°)」. 図-3 ラフ集合の概念図. SVMは,線形分離不可能なデータ群を非線形関数を 用いることにより高次元特徴空間にマッピングし,線形 分離可能な状態とすることで明確に分離する機能を持つ. この時,高次元特徴空間でデータを分離する面を分離超 平面と呼ぶ(図-2のf(x)=0の面).この機能を用いて, 災害の発生・非発生を判別する分離超平面と各データと の距離f(x)を算出することで危険度を評価することもで きる7).本研究ではこの危険度評価手法を用いて,ルー ル抽出に用いる代表データを抽出した. (2) ラフ集合の概要 ラフ集合は類似と近似を基本概念としたデータマイニ ング手法3)の一つである(図-3). 全体集合を複数の要因を用いてデータの領域を区分し た時,同じ領域内のデータがすべて同種である領域をル ールとして考えることができる(図-3のハッチ領域). この時,ルール抽出に用いる要因の組み合わせの評価指 標としては式(1)に示す整合度が用いられ,抽出したル ールの精度と汎用性の評価指標としては式(2)に示す確 信度と式(3)に示すサポートが用いられる.. 2. SVMとラフ集合を用いたルールの抽出 SVM とラフ集合を用いた土石流の発生・非発生ルー ルの抽出フローを図-1 に示す.. 整合データ数 全データ数. (1). ルール領域内の整合デ ータ数 ルール領域内の全デー タ数. (2). 整合度 =. (1) SVMの概要 SVMは1995年にVapnikらによって提案されたパターン. 確信度 =. 2). 分類手法 の一つである(図-2).. 594.

(3) 土木学会論文集F Vol.66 No.4,593-598,2010.11 表-1 検討に用いる要因と各要因のカテゴリ区分 要 因 1 水系模様 2 流域平均勾配(゜). 渓流 地 形 要 因. 斜面. 3. 1.00. 0.95~0.99. 0.90~0.94. 0~14.9. 15.0~19.9. 20.0~24.9. カテゴリ区分 4 5 ~0.90 25.0~29.9. 30.0~. 6. 7. -. -. 8 -. -. -. -. 3 最急渓床勾配(゜). 0~9.9. 10.0~14.9. 15.0~19.9. 20.0~24.9. 25.0~. -. -. -. 0~0.09. 0.10~0.19. 0.20~0.29. 0.30~0.39. 0.40~. -. -. -. 5 流域面積(km2). 0~0.049. 0.050~0.099. 0.100~0.149. 0.150~0.199. 0.200~. -. -. -. 6 流域長(km). 0~0.149. 0.150~0.299. 0.300~0.449. 0.450~0.599. 0.600~. -. -. -. 7 流域幅(km). 0~0.09. 0.10~0.19. 0.20~0.29. 0.30~0.39. 0.40~. -. -. -. 8 流域形状比. 0~0.29. 0.30~0.49. 0.50~0.69. 0.70~0.89. 0.90~. -. -. -. 9 谷深比. 0~0.19. 0.20~0.39. 0.40~0.59. 0.60~0.79. 0.80~. -. -. -. 10 渓流方位(注). 北. 南. 西. 東. -. -. -. -. 11 0次谷の数. 0個. 1個. 2個. 3個. 4個以上. -. -. -. 0~34.9. 35.0~39.9. 40.0~44.9. 45.0~49.9. 50.0~. -. -. -. 12 流域最大傾斜(゜) 13 源頭部面積(km2). 流域評価 15 降雨集中度評価. 降雨 要因. 2. 4 主渓流長(km). 14 源頭部最急谷勾配(゜) 地質要因. 1. 16 地質小分類(注). 0~0.0049 0~19.9. 0.0050~0.0099 0.0100~0.0149 0.0150~0.0199. 20.0~29.9. 30.0~39.9. 40.0~49.9. 0.0200~. -. -. -. 50.0~. -. -. -. 1. 2. 3. 4. 5. -. -. -. 結晶片岩類. 安山岩質凝灰岩. 輝石安山岩. 第三紀層. 下平閃緑岩類. 変朽安山岩. 角閃石安山岩. その他. 短期. 17 時間雨量(mm/hr). ~100. 100~115. 115~130. 130~145. 145~. -. -. -. 長期. 18 実効雨量(半減期 72hr)(mm). ~240. 240~270. 270~300. 300~330. 330~. -. -. -. (注):既往研究 4)において発生率で並び変えを行った後のカテゴリ区分. サポート =. ルール領域内の全デー タ数 全データ数. 表-2 的中率 100.0%となるパラメータにおける f(x)値カテゴリ. (3). 毎のデータ分布 パラメーター. なお,土砂災害などの自然現象に対してラフ集合を用 いた場合,抽出した個々のルールで説明できる範囲は少 なく,有用なルールとは言い難い場合がしばしば生じる. そのような場合,ルール領域の拡張4),6)およびルールの 組合せ4)を行うことが効果的である4).そのため,本研究 でも同様の手順でルールの抽出を行った.. C. r. f ( x )<-1. 5 10. 1 1 1 2 1 2 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 4. 0 0 0 4 0 4 0 4 25 0 4 25 0 4 25 0 4 25 32. 50 100 200. 300. 400. 3. 使用データの概要 500 4). 本研究では,竹本ら が研究対象とした長崎市内の土 石流危険渓流 567 渓流(発生 150 渓流,非発生 417 渓 流)を検討対象データとする.また,検討に用いる地 形・地質要因および降雨要因は,既往研究 4)と同様の要 因を用いる.ここで,ラフ集合は連続値データを扱うこ とができないため,連続値データをカテゴリ値に離散化 する必要がある.本研究では,既往研究 4)を参考にデー タの最大値,最小値等を考慮し,等間隔の 5 区分を基本 としてカテゴリ区分を決定した(表-1).. f ( x )値カテゴリ毎のデータ個数 -1≦f ( x )≦0 0<f( x )≦1 150 150 150 146 150 146 150 146 125 150 146 125 150 146 125 150 146 125 118. 400 400 400 231 400 231 400 231 183 400 231 183 400 231 183 400 231 183 157. 1< f ( x ) 17 17 17 186 17 186 17 186 234 17 186 234 17 186 234 17 186 234 260. ※サポートベクターのみとなるパラメータは除く. (1) SVMによる危険度評価 SVMの分析を行う際には,最適な解析を行うための パラメータスタディが必要である.ソフトマージン法の SVMでは,誤判別の度合いを調整するCとガウシアンカ ーネルの半径(データの影響度)であるrの2つのパラメ ータを設定する必要がある.本研究では,C=5,10,50, 100,200,300,400,500の8ケース,r =0.1,0.5,1,2, 3,4,5の7ケースの計56ケースでパラメータスタディを. 4. 土石流の発生・非発生ルールの抽出 上記データを用い,図-1 のフロー図に示す手順に従 って,S57.7 長崎豪雨災害に関する新たな土石流発生・ 非発生ルールの抽出を行った.また,抽出したルールの 精度および汎用性について既往研究 4)との比較を行った.. 595. 行った.パラメータスタディでは,次式に定義する的中 率により各ケースにおいて構築される分離超平面の精度 (いかに正確にデータ分類が行われるか)を検証した.. 的中率 =. 的中データ数 全データ数. (4).

(4) 土木学会論文集F Vol.66 No.4,593-598,2010.11. ここで,SVMによる危険度設定に用いるパラメータ は,既往研究1)におけるパラメータの選定方法を参考に, 的中率100.0%のパラメータセットのうち,サポートベク ターとなるデータ(|f(x)|≦1となるデータ)数が最も少 なくなるC=500,r=4を採用した(表-2).また,当該パ ラメータを用いて各渓流の危険度評価を行った. (2) 代表データの抽出 代表データは,土砂災害の発生と非発生を分離する上 で重要となるデータであることから,災害発生データと してはより危険度の高いもの(f(x)値が-1よりも小さい もの),非発生データとしてはより安全度の高いもの (f(x)値が1よりも大きいもの)を抽出する1).ここで, 抽出する代表データの割合は元のデータベースにおける 発生・非発生データの割合を乱さない方法が最も有効で ある1).そのため,本研究でも同様の方法を採用した. 上記パラメータに基づくSVM解析により算出したf(x) 値に着目すると,f(x)値が-1よりも小さくなる発生の代 表データ数は32個であった(表-2).そのため,非発生 の代表データは,元のデータベースにおける発生・非発 生データの割合(150:417)が保持できるようにf(x)値 が大きい87個を抽出した.. 数となる組合せが多数存在する場合は,土石流の発生・ 非発生に対して分離性が高い要因4)(以下,高分離性要 因)(主渓流長,流域長,渓流方位,流域幅,流域最大 傾斜,源頭部面積,地質小分類,実効雨量(半減期 72hr))を多数含む組合せを採用した. b) 組合せ拡張ルールの抽出 汎用性が高いルールを抽出するため,ラフ集合を用い て抽出されたルールを基に,ルール領域の拡張 4),6)およ びルールの組合せ 4)を行った(以下,組合せ拡張ルー ル).ここで,組合せ拡張ルールに用いるルールは,あ る程度の誤判別を許容できる割合として確信度が 90.0% 以上のもののみとした. (4) 検討結果および考察 代表データから抽出した組合せ拡張ルールを元のデー タベースに適用した場合の精度(以下,適用精度)を表 -3に示す.また,本研究で抽出したルールと竹本ら4)の 研究で抽出されたルールの比較結果を表-4に示す. a) 組合せ拡張ルールの評価 表-3 および表-4 より,ルールを構成する要因に着目 すると,最急渓床勾配と地質小分類は竹本ら 4)の研究に おいて抽出された重要要因と一致しているとともに,主 渓流長,流域幅,地質小分類は高分離性要因 4)に該当し ている.このことから,本研究で抽出したルールを構成 する要因は,土石流の発生・非発生に起因する重要要因 として妥当な要因であると考えられる.これらの 4 要因 を用いた組合せ拡張ルールは,7 個のルール(発生 2 個, 非発生 5 個)で構成されており,当該ルールの適用精度 は,確信度 78.8%,サポート 84.1%と,ともに高い水準 を示しており,現象に対する精度を確保しながら高い汎 用性を有したルールが抽出されているものと考えられる. 抽出したルールから推測される S57.7 長崎豪雨災害の 実態としては,「渓床勾配が緩くて流域の規模が小さく, かつ結晶片岩類もしくは安山岩質凝灰岩,結晶安山岩が 分布する地域の渓流」では土石流は発生しておらず, 「渓床勾配が急で流域の規模が大きく,かつ変朽安山岩. (3) ラフ集合によるルールの抽出 a) ラフ集合における整合度の設定と最小要因 代表データからルールを抽出するには,ラフ集合を用 いる.ここで重要となるのがラフ集合を用いた解析に必 要な最小要因数と整合度との関係である.一般的に整合 度を高くすると要因数が増えルールが煩雑になり,要因 数を減らすとルールの簡素化は可能となる一方で整合度 が低下する傾向を示すため,解析時には適切な整合度を 設定することが必要となる. 本研究では土砂災害の発生と非発生を分離する上で重 要となる代表データのみを用いてルールの抽出を行うた め,整合度100.0%を満足する要因の組合せのうち,最 小要因数で構成されるものを採用した.なお,同じ要因. 表-3 組合せ拡張ルールの適用精度 要因 ルール 番号. 最急 渓床勾配 (°). 主渓流長. 流域幅. (km). (km). 地質小分類. 判定. 含まれる データ数. 整合 データ数. 矛盾 データ数. D1. D2. D3. 残り 箇所数. D4 567. 累計 確信度 サポート D5= D6= D2/D1 D1/567. ルール16. *. 0.09↓. 0.29↓. *. 非発生. 222. 184. 38. 345. 82.9%. ルール8. *. 0.29↓. *. 安山岩質凝灰岩 結晶片岩類. 非発生. 326. 269. 57. 241. 82.5%. 57.5%. *. 非発生. 361. 299. 62. 206. 82.8%. 63.7%. 結晶片岩類 輝石安山岩 安山岩質凝灰岩 結晶片岩類 変朽安山岩 角閃石安山岩 その他. 非発生. 387. 319. 68. 180. 82.4%. 68.3%. 非発生. 394. 324. 70. 173. 82.2%. 69.5%. 発生. 460. 364. 96. 107. 79.1%. 81.1%. *. 発生. 477. 376. 101. 90. 78.8%. 84.1%. ルール7 ルール1. 19.9↓ *. * *. 0.19↓ *. ルール5. *. *. 0.19↓. ルール22. *. *. 0.20↑. ルール19. *. 0.40↑. 0.40↑. 596. 39.2%.

(5) 土木学会論文集F Vol.66 No.4,593-598,2010.11. 竹本らの研究 4 ) [ラフ集合のみ] デ タ 危 険 度 設 定. データ数. 使 用 S V M に よ る. ラ フ 集 合 に よ る ル ル 抽 出. 代表データの 抽出方法. 100.0% 発生:90.0%以上 非発生:90.0%以上. データ数. 発生:150 非発生:417. 発生:32 非発生:87. 最急渓床勾配. 最急渓床勾配 主渓流長. 流域長. 流域最大傾斜 地質小分類. 100. 地質小分類. 実効雨量(半減期72hr). 適 用 精 度. ルール数. 発生:10 非発生:12. 発生:2 非発生:5. 累計確信度. 87.4% (305/349). 78.8% (376/477). 累計サポート. 61.6% (349/567). 84.1% (477/567). 100% 個数. 400 300. 発生率. 90%. 非発生 (ルール8). 発生 (ルール19) 80%. 70%. 非発生 (ルール16). 60% 50%. 個数. 200. 40% 30%. 100. 20%. 20% 10%. 10% 0. 0. 0%. 0%. 主渓流長(km)のデータ区分. 最急渓床勾配(°)のデータ区分. 図-5 主渓流長と発生率との関係. 図-4 最急渓床勾配と発生率との関係. 300. 90%. 非発生 (ルール7,5). 非発生 (ルール16). 200. 40% 30%. 100. 発生率. 非発生 (ルール5). 70% 発生 (ルール19) 60% 50%. 個数. 400. 80%. 発生率. 発生 (ルール19). 個数. 300. 個数. 400. 500. 100%. 発生 (ルール22). 個数. 発生率. 500. 発生率. 30%. 渓流方位. 500. 発生率. 個数. 40%. 流域幅. 抽出された 重要要因. 60%. 200. ― 95.0%以上. 70% 50%. C =500, r =4 全発生データに占める-1より小さい データ21%(32個)を抽出する ↓ 全非発生データの21%(87個)を抽出. 発生:67.5%以上 非発生:92.4%以上. 80%. 300. ―. 整合度の 要求水準 確信度の 要求水準. 90%. 非発生 (ルール7). 地形・地質16要因,降雨 2要因. パラメータ. 200. 非発生 (ルール8) 非発生 (ルール1). 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30%. 100. 20%. 20% 10%. 10% 0. 100%. 0. 0%. 0%. 地質小分類のデータ区分. 流域幅(km)のデータ区分. 図-7 地質小分類と発生率との関係. 図-6 流域幅と発生率との関係. 597. 発生率. 発生率. 本研究 [SVM+ラフ集合]. [長崎市] 567渓流 (発生150 非発生417). 要因. 100% 個数. 400. 表-4 既往研究との比較結果. ー. 500. を総括すると,本研究で抽出したルールは,要因やルー ル数の減少と汎用性の面において優れたルールであると 評価できる. 要因やルール数を削減することは,今後のデータ作成 において地形図からデータを抽出する時間が大幅に削減 できるほか,抽出したルールをもとに現地を確認する場. ー. もしくは角閃石安山岩が分布する地域の渓流」で土石流 が発生したという特徴が挙げられる.これは,カテゴリ 区分の中でも発生率が高い区分で発生ルールが構成され, 発生率が低い区分で非発生ルールが構成されていること からも S57.7 長崎豪雨災害の実態と良く整合した妥当な 結果であると考えられる(図-4~図-7). これらのことから,篠崎ら 1)の提案する手法は,S57.7 長崎豪雨災害の事例に対しても現象に対する精度を確保 しながらも高い汎用性を有した実用的なルールを抽出す ることが可能な手法であると考えられる. b) 既往研究との比較 篠崎ら 1)の提案する手法の妥当性を確認するために竹 本らの研究 4)との比較を行った.表-4 より,ラフ集合に ルールの拡張概念 4),6)を導入した竹本ら 4)の研究では,6 つの要因を用いた 22 個のルール(発生 10 個,非発生 12 個)が抽出されている.また,確信度が 87.4%と非常に 高く,サポートも 61.6%と高い水準を示している. 一方,篠崎ら1)の提案するルール抽出方法を用いた本 研究では,4つの要因を用いた7個のルール(発生2個, 非発生5個)となっており,要因やルール数が大きく削 減されている.また,当該ルールの確信度は78.8%と竹 本ら4)のルールに比べて劣る結果となったものの,その 低下量は約9%に留まっていることから,現象に対する 精度は大きく損なわれていない.一方,サポートは 84.1%と大きく上回る結果となっている.これらのこと.

(6) 土木学会論文集F Vol.66 No.4,593-598,2010.11. 合においても,注視すべき箇所を少なくすることが可能 となり,調査時間の短縮にも寄与するものと考えられる. また,ルールの汎用性を向上させることにより,抽出し たルールを用いた危険箇所の特定がより容易になること から,詳細な現地調査を行う際の優先順位の検討や危険 箇所の把握等,防災事業計画の策定において有効に活用 できるものと考えられる. これらのことから,篠崎ら 1)の提案するルール抽出方 法は,要因やルール数を大きく削減しながらも,現象に 対する高い精度と汎用性を有したルールを抽出すること が可能な有用性が高い手法であると考えられる.. ることとなり,災害の発生・非発生ルールを検討する ための手法としてさらに適用性が高いものであること が明らかとなった. 本研究では,既往研究1),4)の取り組み同様,土砂災害 を対象に検討を行ってきたが,篠崎ら1)の提案するルー ル抽出手法は,土砂災害に限らず複雑な意思決定問題に ついても非常に有用性の高い手法であると考えられる. 今後は維持管理分野における各種点検等,より幅広い分 野への適用に取り組んでいきたい. 参考文献 1). 5. まとめ 2). 本研究では篠崎ら 1)の提案するルール抽出手法を用い て,竹本ら 4)が研究対象とした S57.7 長崎豪雨災害にお ける土石流の発生・非発生ルールを改めて抽出し,ルー ルの適用精度に関する既往研究 4)との比較から手法とし ての有用性の検証を試みた.本研究における主要な結論 を以下に示す. ・本研究で抽出したルールでの分析の結果,S57.7 長崎 豪雨災害における土石流発生・非発生事例の 84.1%を, わずか 7 つのルールで説明できる非常に汎用性の高い ルールを得ることができた. ・ルールの確信度は 78.8%と既往研究 4)に比べやや劣る 結果となったものの,全データの 84.1%を説明できる 汎用性の高いルールであることを勘案すると,精度と しては十分な水準を有しているものと考えられる. ・篠崎ら 1)の提案するルール抽出方法を活用することで, 要因やルール数を大きく削減しながらも,現象に対す る高い精度と汎用性を有したルールを抽出できる. ・本研究での取り組みにより,元々優れた利点があった ラフ集合が SVM を組み合わせることで課題を解消す. 3). 4). 5). 6). 7). 篠崎嗣浩,森田真人,大石博之,古川浩平:SVM と ラフ集合を用いた土石流の発生・非発生ルールの作 成方法に関する研究,土木学会論文集 F,Vol. 65, No.4,pp.448-460,2009. Cortes, C. and Vapnik, V.: Support vector networks, Machine Leaming, Vol.20, pp.273-297, 1995. 河野浩之:データベースからの知識発見の現状と動 向,人 工知能 学会誌 ,Vol.12,No.4 ,pp.497-504 , 1997. 竹本大昭,杉原成満,佐藤丈晴,荒木義則,中山隆 弘,水山高久,古川浩平:ラフ集合を用いた土石流 発生・非発生ルールの抽出と危険度の設定手法に関 する研究,砂防学会誌,Vol.57,No.2,pp.4-15,2004. 岡本正男,荒木義則,中山弘隆,古川浩平,水山高 久:ラフ集合を用いたデータマイニングによる土砂 移動現象の重要要因及びルール抽出に関する研究, 砂防学会誌,Vol.54,No.6,pp.4-15,2002. Greco, S.: An Algorithm for Induction of Decision Rule Consistent with the Dominance Principle, Lecture Notes in Artificial Intelligence, Vol.2005, Springer-Verlag, Berlin, pp.304-313, 2001. 大石博之,小林央宜,尹禮分,田中浩一,中山弘隆, 古川浩平:サポートベクターマシンによる対策工効 果を考慮した斜面災害危険度の設定,土木学会論文 集 F,Vol.63,No.1,pp.107-118,2007. (2009. 11. 17 受付). EXTRACTION OF OCCURRENCE AND NON-OCCURRENCE RULES OF DEBRIS FLOW BY HEAVY RAINFALL IN NAGASAKI IN JULY, 1982 Shigemitsu SUGIHARA, Hiroki KOBAYASHI, Yudai KAWASAKI, Tsuguhiro SHINOZAKI, Hiroyuki OHISHI and Kohei FURUKAWA We set an occurrence and non-occurrence rule of debris flow disaster in Nagasaki on July 23, 1982, based on comparison analyses among the collected data of it. The analytical method was proposed by Shinozaki et al., combining Support Vector Machine with Rough Set Theory. The rule made it possible to explain more cases of occurrence and non-occurrence debris flow disaster in torrents compared to the case of using only the Rough Set Theory. As these results, we assumed that the analytical method proposed by Shinozaki et al. achieved a high efficiency to extract rule with high versatility, maintaining sufficient accuracy in case study analyses of occurrence and non-occurrence of the disaster.. 598.

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参照

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