実数関数の連続性
alg-d
http://alg-d.com/math/ac/
2013
年
3
月
23
日
命題 1. f : R −→ Rを関数,x∈ Rとする. f がxで連続⇐⇒点列{xn}n=0∞ がnlim→∞xn = xを満たすならば lim n→∞f (xn) = f (x) 証明. (=⇒)任意のε > 0を取る.fがxで連続だから,あるδ > 0が存在して「|x−y| < δ ならば|f(x) − f(y)| < ε」である.この時, lim n→∞xn = xより,あるN > 0が存在して 「n≥ N ならば|xn− x| < δ」とできる.よって「n≥ N ならば|f(xn)− f(x)| < ε」で ある.故に lim n→∞f (xn) = f (x)が分かった. (⇐=) f がxで不連続であると仮定する.即ち,あるε > 0が存在して,任意のδ > 0 に対してあるy ∈ Rが存在して「|x − y| < δかつ|f(x) − f(y)| ≥ ε」が成り立つ.その 様なε > 0を一つ取る.正整数nに対して,「|x − xn| < 1n かつ|f(x) − f(xn)| ≥ ε」を 満たすようなxn ∈ Rが取れる.すると lim n→∞xn = xかつ nlim→∞f (xn)̸= f(x)となり矛 盾する. この ⇐=の証明には選択公理が使われている.それは,各n > 0に対してxn ∈ Rを 取っているところである.具体的には次のようになる.Xn:={y ∈ R | |x − y| < n1 かつ |f(x) − f(y)| ≥ ε}と置けばXn ̸= ∅である.よって選択公理により(xn)∞n=1 ∈ ∞ ∏ n=1 Xn が取れる. 実は次の同値が知られている. 定理. 次の命題は(ZF上)同値. (1) Rの空でない部分集合からなる族{Xn}∞n=0 は選択関数を持つ. (2) 命題1 (3) 非有界集合A⊂ Rは非有界な点列を含む. 1証明. (1 =⇒ 2) 命題1の証明から明らか. (2 =⇒ 3) A ⊂ Rを非有界集合,h : R −→ (0, 1) を同相写像とする.Aが非有界だか ら,0か1がh(A)の集積点である.0がh(A)の集積点としてよい.関数f :R −→ Rを f (y) := { 1 (y ∈ h(A)のとき) 0 (y /∈ h(A)のとき) と定義すれば,0がh(A)の集積点であるからf は0で不連続である.従って仮定により 点列{xn}∞n=0 でn→∞lim xn = 0かつ lim n→∞f (xn)̸= f(0) となるものが存在する.f (0) = 0 であるから lim n→∞f (xn) = 1.{xn} の部分列を適当に取ることにより,各 n に対して f (xn) = 1としてよい.このとき{h−1(xn)}∞n=0は明らかにAの非有界な点列である. (3 =⇒ 1) R の 空 で な い 部 分 集 合 か ら な る 族 {Xn}∞n=0 を 取 る .Yn := n ∏ i=0 Xi と す る .全 単 射 f : R2 −→ R と g : R −→ (0, 1) を 取 る .f0(x) := x, f1(x, y) := f (x, y), f2(x, y, z) := f (f (x, y), z), · · · として全単射の族 {fn: Rn+1 −→ R}∞n=0 を 得る.σn: R −→ Rをσn(x) := x + nで定める. Zn := σn◦ g ◦ fn(Yn), Z = ∞ ∪ n=0 Znと置けば,Zn ⊂ (n, n + 1)であるからZ は非有 界である.従って仮定3により,Z は非有界な点列{zn}∞n=0 を含む. M := {m ∈ N | ある n ∈ N が存在して zn ∈ Zm} と置く.m ∈ M に対して n(m) := min{n ∈ N | zn ∈ Zm} とすれば (zn(m))m∈M ∈ ∏ m∈M Zm である.ym := (σn(m)◦ g ◦ fn(m))−1(zn(m))∈ Ymと置けば(ym)m∈M ∈ ∏ m∈M Ymとなる.Ym= m ∏ i=0 Xi だったからym = (x (m) 0 ,· · · , x (m) n ) (x (m) i ∈ Xi)と書ける.この時 m(n) := min{m ∈ M | n ≤ m}と置けば(x(m(n))n )∞n=0 ∈ ∞ ∏ n=0 Xnである. 一方,次の命題はZFで証明できる. 命題 2. f : R −→ Rとする. f がRで連続⇐⇒収束点列{xn}∞n=0に対してnlim→∞f (xn) = f ( lim n→∞xn) 証明. (=⇒) 命題1の時と同様. (⇐=) x ∈ Rとする.A :=Q ∪ {x}とすれば,f|A: A −→ Rはxで連続である. . ..) f がxで不連続であると仮定する.即ち,あるε > 0が存在して,任意のδ > 0 に対してある y ∈ A が存在して「|x − y| < δ かつ |f(x) − f(y)| ≥ ε」が成り立 2
つ.その様なε > 0を一つ取る.正整数nに対して,Xn := {y ∈ A | |x − y| < n1 かつ|f(x) − f(y)| ≥ ε} と置けば Xn ̸= ∅ である.A = Q ∪ {x}は可算集合だか ら,A = {am | m ∈ N}と書ける.このとき各n > 0 に対してm(n) := min{m ∈ N | am ∈ Xn}とすれば(am(n))∞n=1 ∈ ∞ ∏ n=1 Xn である.すると lim n→∞am(n) = xかつ lim n→∞f (am(n))̸= f(x)となり矛盾する. 任意のε > 0を取る.f|A: A−→ Rがxで連続だから,あるδ > 0が存在して「y∈ Q かつ|x − y| < δならば|f(x) − f(y)| < ε 2」とできる.このとき「z ∈ Rかつ|x − z| < δ ならば|f(x) − f(z)| < ε」である. . ..) 先と同様にして,f|Q∪{z} もzで連続だから,あるδ′ > 0が存在して「y∈ Qか つ|z −y| < δ′ならば|f(z)−f(y)| < ε 2」である.この時|x−y| < δかつ|z −y| < δ ′ なるy∈ Qを取れば|f(x) − f(z)| ≤ |f(x) − f(y)| + |f(y) − f(z)| < ε 2 + ε 2 = ε 故にf はRで連続である. また,この命題を距離空間に一般化すると次の同値が成り立つ. 定理. 次の命題は(ZF上)同値. (1) 可算選択公理(即ち,非空集合の族{Xn}∞n=0は選択関数を持つ) (2) M を距離空間,f : M −→ Rを関数とするとき f がM で連続⇐⇒収束点列{xn}∞n=0 ⊂ M に対してnlim→∞f (xn) = f ( lim n→∞xn) 証明. (1 =⇒ 2) M = Rの時と同様. (2 =⇒ 1) 非空集合の族{Xn}∞n=0が選択関数を持たないと仮定する. Yn := n ∏ k=0 Xk, Y := ∞ ∪ n=0 Yn とする.m̸= nならばYm∩ Yn =∅としてよい.∞ /∈ Y なる∞を一つ取りM := Y ∪ {∞}と定める.M 上の距離dを d(x, y) := 0 (x = yのとき) 1 (x, y∈ Y, x ̸= y のとき) 1 n+1 (x∈ Yn, y =∞のとき) により定める.関数 f : M −→ R をf (x) := { 1 (x∈ Y のとき) 0 (x /∈ Y のとき) で定めればf は ∞ で連続でない.故に仮定 2 から lim n→∞f (an) ̸= f( limn→∞an) となるような収束点列 3
{an}∞n=0 が存在する.明らかにnlim→∞an =∞である.部分列を取ることにより,初めか ら各n∈ Nについてan ∈ Y としてよい.mn := 1 d(an,∞) − 1 ∈ N と置く.dの定義か らan ∈ Ymn である. 集合 S ⊂ Nを「i, j ∈ Sかつ i < j ならばmi < mj」を満たすように任意に取る.S は有限集合である. . ..) 無限集合であると仮定する.すると任意の k ∈ N に対してある n ∈ S が存 在して k < n となる.an ∈ Ymn だったからan = (x (n) 0 ,· · · , x (n) mn)と書ける.そ こで k ∈ N に対して nk := min{n ∈ S | k < n} と置き bk := x (nk) k と置けば (bk)∞k=0 ∈ ∏∞ k=0Xkであり,{Xn}∞n=0 が選択関数を持たないことに矛盾する. S は任意だったから,{an | n ∈ N} ⊂ N ∪ n=0 Ynとなるような番号N が存在しなければな らない.よってlim an̸= ∞となり矛盾する.
参考文献
[1] Horst Herrlich, Axiom of Choice,Springer, 2006
[2] Norbert Brunner, Sequential Continuity, Kyungpook Math. J. 38 (1982), 233