緩和病棟等患者の一時帰宅に於ける緩和薬物療法等支援のための実態調査研究
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(2) 背景). 在宅医療・介護を推進する動きが全国で行われている。医療関係、介護関係、多職種連携強 化などや市民への在宅医療・介護に関する啓発活動も多く、患者本人、家族など、医療・介護関 係者多くの連携が大切であることは揺るぎないものである。当然、自宅で医療・介護を行い、自 宅で看取るまでの過程に各々の地域の特異性を考慮して、医療・介護の連携がなされているから こそ、在宅の看取りの成功事例が多いと思われる。 北九州地区の背景として、医療機関で死亡する者の割合は 86.4%(福岡県)(全国 80.0%)、 自宅で死亡する者の割合 13.6%(全国 20.0%)(2004 年 人口動態調査 社会保険旬報 )であ り、全国平均よりも早く高齢化が進んでおり、政令指定都市の中でも高齢化率が一番高い。ま た、世界文化遺産に登録された官営八幡製鉄のある北九州市は以前より医療機関が充実してお り、北九州地区での自宅で看取られる者の割合は全国平均より低いと推察される。 その一方で、療養場所に関する~県政モニターアンケート調査(H23~(末期のがん等の場合、) 『どこで最期を過ごしたいですか?』では『自宅で療養したい 86.5%』という高い在宅療養ニー ズもあることが判っている。 そこで、『庄内プロジェクト』における『・・・終末期の在宅診療を行っていない 41 診療所の 中で、今後も末期がん患者の受け入れは不可能と回答したのは 30 診 療 所(73. 2%)であっ た。・・・』1)と末期がん患者への受け入れを増加させることが困難と思われた。しかしながら、 『・・・荘内病院緩和ケアチームへの依頼件数は3年間で 252 件(年平均 84 件)にのぼり、介 入前3年間の 10 倍以上に増加した。・・・一方、在宅医をサポートする地域緩和ケアチームの活 動では、病院、診療所、訪問看護ステーションや調剤薬局をつなぐ電子カルテシステム・Net4U を使って情報共有が行われた。Net4U を利用することで、いつでも緩和ケアの専門家や病院主治 医にアドバイスを求めることができ、緩和ケアのスキルや知識がまだ十分とはいえない一般の在宅 主治医や訪問看護師の大きな安心感につながった。「地域緩和ケア症例検討会」は在宅へ移行した 患者の療養状況を多職種で検討する場で、担当訪問看護師やケアマネからの状況の説明や今後の対 応について話しあわれ、月1回の割合で開催された。毎回 20~30 名が参加した。』2)との報告か ら、 『庄内プロジェクト』の 3 年という短期間で、終末期に於ける在宅療養を担う地域連携を築く に至ったことは、既存の緩和ケアに関する地域のリソースに関わらず、在宅緩和ケアを推進するこ とができると考えた。そこには、地域特異性もあることが推察されたため、北九州市八幡東西区で 在宅緩和ケアを推進することができるか検討するため、 『庄内プロジェクト』の 3 年間の詳細を知 るため、視察に赴いた。また、公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 2011 年度在宅医療 助成(後期)一般公募「在宅医療研究への助成」鶴岡市立荘内病院 内科医長 和泉 典子先生 研 究テーマ「地域におけるがん薬物療法と緩和医療に関する薬薬連携を促進するための取り組み」か ら、北九州市八幡東西区はもとより、多くの地域で、この『庄内プロジェクト』と同様の薬薬連携 を発展できると調査するに至った。 目的) 北九州市八幡東西区で在宅看取りの啓発活動の前に、地域特異性をも調査することが必要と考え られた。ところが、漠然とした在宅看取りの調査では、北九州市八幡東西区の現実味のある実態調 査を行うことは難しい。そこで、『自宅に帰りたい患者や患者家族のニーズ』と『自宅に帰してあ げたいという医療機関のニーズ』が顕著にあらわれるのは、緩和病棟等患者の外泊・一時帰宅等と 考えた。 緩和病棟等患者の外泊・一時帰宅の際には、医薬品や医用機器の使用方法など懸念され点も多い.
(3) ため、外泊・一時帰宅を取り止めなることも少なくない 1)。この送り出す側の取りやめる理由は、 老々介護 で医薬品の管理ができるか心配、医療機器の使用方法が心配、急なことで退院時カンフ ァレンスなど行う時間的余裕がない等といったことがあると推察された。つまり、薬剤に関連する 医療材料、衛生材料等、薬物療法の確認等、非常に困難で、24 時間、迅速性を求められる対応が 求められる場合が存在すると推察した。この点に関しては、「地域におけるがん薬物療法と緩和医 療に関する薬薬連携を促進するための取り組み」では調査されていないことが分かった。そこで、 薬剤に関連する緩和病棟等患者の外泊・一時帰宅する困難事例の患者や問題点等の有無を調査する こととした。 意義) アンケート調査にて、緩和病棟等患者の外泊・一時帰宅する困難事例の患者や問題点等の有無が 判ることで、今後、緩和病棟等患者の外泊・一時帰宅の支援の多職種ネットワークを構築していく ことにつなげる。こういった地域レベルでの多施設間人材教育と相互理解を促進することで、保険 薬局においても、在宅看取りの薬物療法への貢献が見込める。その貢献とは、院外処方せん等を介 した医薬品の供給だけでなく、医療材料や衛生材料等の医療機関への小分け提供に及ぶ。この地域 レベルでの多施設間相互理解が進むことは、例えば、 『医療機関で使用していた医薬品、医療材料、 ..... ..... 衛生材料等と同一のモノを在宅領域で使用することが経済的側面からも容易となれば、異なるモノ に変更するよりも、結果的に緩和病棟等からの外泊・一時帰宅を希望する患者、家族等への安心』 にもつながる可能性が開ける。さらに医薬品、医療材料、衛生材料等の地域における不動在庫解消 が見込め、継続的な在宅医療・介護の連携が構築できる。本調査に於いて、薬剤に関連する緩和病 棟等患者の外泊・一時帰宅する困難事例の患者や問題点等が存在し得るという結果となれば、患者 にも、医療者、介護者にも安全で安心できる、保険薬局薬剤師による迅速な対応方法を検討する契 機となり、他の地域でも利用可能な調査結果につながると思慮される。 方法) ・アンケート調査を行うにあたり、郵便による他の地域のおける予備アンケート調査を行う ・予備アンケート調査資料より、各医療機関の地域連携室等との意見交換をデルファイ法参考に行う ・八幡地区基幹病院地域連携室等通した郵便によるアンケート調査を行う ・郵送にて、アンケート調査結果を得ることにより、個人情報への配慮を行う ・OPTI M 介入前後の庄内地区の地域医療連携(庄内プロジェクト)への視察を行う ・外泊・一時帰宅に関与する薬局薬剤師の法的問題の調査を行う 対象) 予備アンケート調査は、総合病院 国保旭中央病院、公立富岡総合病院の 2 つの医療機関に於 いて、また、緩和に関する学会などの学術大会、研究会全国大会におけるポスター発表の閲覧者に 於いて、匿名の予備アンケート調査対象者とした。また、各医療機関の地域連携室等との意見交換 後に八幡地区基幹病院地域連携室等通した郵便によるアンケート調査は、各基幹病院におけるスタ ッフを匿名のアンケート調査対象者とした。.
(4) [1]アンケート調査を行うにあたり、郵便による他の地域のおける予備アンケート調査結果 予備アンケート調査結果)n=67 予備アンケート調査用紙・・・図 1. 図1. n=67. 予備アンケート調査:図 2.
(5) 予備アンケート調査:図 3. 回答なし:25 名除く 予備アンケート調査:図 4.
(6) 予備アンケート調査:図 5. 予備アンケート調査:図 6.
(7) 予備アンケート調査:図 2~6 までが集計結果となる。また、各項目の自由記載内容(原文の儘 引用)は以下の 1)~6)であった。 1)病院から、緩和病棟など から一時帰宅、外泊して頂くことはありますか? ご意見 ) "時々あります" "入院患者様の状態によりムラがあるので週に数名のこともあれば 0 名のこともある" "②と③の間ですが、1~2 ヶ月に 1 名以上あり" "一時帰宅や外泊はあるが、②より頻度は少ない" "あるが週に 1 名以上ではない" "時々ある 月に数名" "いま増やしたいと思っている" "②と③の間くらい" 2)外泊して頂く際に、外泊先での薬剤等の管理が原因で 外泊を中止したことはありますか? ご意見) "薬剤管理がきちんとできなくても、 その患者さんの生活に合わせて服用できる方法を考えるとよい" "個包装にしてあり薬剤管理はあまり問題がない印象" "1 泊外泊しかできない等、どうにかなる方が殆どだが、 退院となると薬がネックになることが多い" 3)外泊を中止した原因に関して、具体的にお教えください。 ご意見) "患者本人の体調の変化" "不安に思うことや心配なことをどのように解決していくか話し合い、外泊に向かっていくので、 体調不良以外で中止になることはあまりない" "体調の悪化" "薬剤管理が原因で外泊を中止するよりも患者さんの状態によって中止することの方が多い" "不安というか家族の準備ができず中止になった事はあります" "患者様の状態悪化" "家族介護者側の不安があったが、医師からの説明で納得し外出、 外泊等可能になった事は数回あ りました" "本人の状態が悪化した時" "状態の変化に伴い外泊を中止する症例はあります" "状態の変化" "病状の悪化" "患者の状態の悪化" 4)どのような職種のフォローがあれば安心できますか? ご意見、ご要望など) "アドヒアランス?正しく内服できているかの確認ができると安心できる(薬剤師や訪問看護師、ヘ ルパーなど)独居者は生存の確認なども必要だと思う" "看護師さんの随時フォロー" "痛み以外に快眠、快便へのフォロー".
(8) "Dr,薬剤師、MSW,理学療法士" "色々・・・薬剤師、医師、リハビリ、etc" "訪問看護、介護" "外泊中の訪問看護を気軽に利用できるとよい" "訪問看護師や在宅医在宅訪問が可能な薬剤師" "医師(在宅医師)、訪問看護" "訪問看護" "薬剤師、看護師" "MSW、薬剤師など" "訪問看護" "看護師、MSW の方などのフォローがあるとよいと思います(特に訪問看護師) " "看護師の医療、生活面での指導リハビリでの移乗の指導" "Ns、リハビリ、薬剤師" "訪問看護や介護" "外泊中の訪問看護、薬剤指導があると安心" "外出先でのフォロー(近隣ならよいのですが)医師、薬剤師、訪問看護師" "訪看、在宅医" "救急時 TEL 対応" "訪問 Ns、薬剤師" "いつでも連絡できる" "看護師、薬剤師" "かかりつけ薬局があれば ENT 前のカンファレンスに入って一緒に話ができるといいと思う" "Ns,MSW,など他職種" "薬剤師さん" "薬局薬剤師に指導して頂ける機会が増えることを期待しています" 上記 4)の職種の記載回数は、医師:6 回、看護師:20 回、薬剤師:14 回、MSW:4 回であっ た。 5)使用薬剤により、外泊の困難事例の際、 薬剤部に相談されたことはありますか? ご意見、ご不安な点など) "混注や配合変化の問い合わせ一包化などの依頼、在宅用の輸液の準備など相談を受けることが多い" "自分が薬剤部だがあまりない" "退院に向け、独居、麻薬レスキューの使い方が一番難しいです" 6)薬局薬剤師が医薬品、医療機器などの確認や家族への説明を行うこととで、病院から、緩和病 棟など からの一時帰宅、外泊が可能になる場合はありますか? ご意見、ご不安な点など) "病期で入院する前からのかかわりがあると、 よりスムーズに帰宅や外泊が可能になると思う" "看護師よりも専門的なことを説明してくれるので安心できると思う" "基本は Dr との相談の上で決定するので" "本人の希望があれば、体調のいい時に可能な限り、 ENT もしくは外泊でもさせる方向で画策し ています".
(9) 尚、予備アンケート調査 医師:7 名. 職種内訳)は以下の通りであった。. 歯科医師:1 名 看護師: 34 名 MSW:2 名 薬剤師: 4 名 CM: 1 名 介護職: 1 名 理学療法士(リハビリ職): 3 名 管理栄養士: 4 名 その他( ):2 名 無記名:8 名. n=67. [2]予備アンケート調査を踏まえ、各医療機関の地域連携室等との意見交換 北九州市八幡地域での会合等に参加した際に、アンケート作成、実施にあたり、アンケートを実 施可能か?、各医療機関における倫理委員会等に申請が必要であるか?、在宅診療所や緩和病棟の 医師、看護師、薬剤師、管理栄養士等、法律関係者より講師を招き、調査アンケート内容、配布先、 アンケート実施期間等の検討は必要であるか?、アンケート調査作成委員会に参加可能か?、意見 交換を行った。この意見交換は、明確な Delphi technique ではないものの、他地区における予備 調査を共有し十分に意見を交換できる状況下で行った。この意見交換の結果、『テーマが外泊・外 出に限定されているのですが、その状況では介護保険は使用できません。介護サービスの利用が必 要であれば、患者さんは自費でサービスを使用せざるを得ません。当然往診等も不可です。退院前 カンファも適応ではありません。まずは短期間の退院(1 泊でも可能だと思います。)に向けての 支援だと上記が可能となります。』や『すでに行う保険薬剤師の事業ならば、費用は?』、『バイア スがかかっているアンケート調査になっており、正しい属性も見えない』などの意見が出された。 そのため、このアンケートの目的は『今後のより規模の大きな調査研究に向けての妥当性をはかる 予備調査であること』と説明した。.
(10) [3]八幡地区基幹病院地域連携室等通した郵便によるアンケート調査結果 八幡地区基幹病院地域連携室等通したアンケート調査結果)n=44 八幡地区基幹病院地域連携室等通したアンケート調査用紙・・・図 7. 図7. n=44. アンケート調査:図 8.
(11) アンケート調査:図 9. アンケート調査:図 10.
(12) アンケート調査:図 11. アンケート調査:図 12.
(13) アンケート調査:図 13. アンケート調査:図 14.
(14) アンケート調査:図 15. アンケート調査:図 16.
(15) ご意見、ご不安な点など) ・全く無料ではなく介護保険制度の利用などで コストがかかることの承諾は必要と思います ・ただし、主治医や在宅医、CM との連携が成 熟していることが必要. アンケート調査:図 17. アンケート調査:図 18.
(16) [4]郵送にて、アンケート調査結果を得ることにより、個人情報への配慮 個人情報に配慮しつつも、アンケート調査が多数行われていることを配慮して、敢えてバイアス の回避をせずに、短時間で回答できるような質問内容、選択肢とした。また、自由記載を設けなる べく多くの意見を個人情報に配慮しつつ収集することとした。 [5]OPTI M 介入前後の庄内地区の地域医療連携(庄内プロジェクト)への視察を行う 『OPTIM 介入前の地域の緩和ケア提供体制』、 『庄内プロジェクトの活動内容』、 『庄内プロジェク ト 3 年間の結果、成果』、『これからの庄内プロジェクトと地域医療連携の在り方』を中心に詳細 な説明を受けた。その中で、地域の緩和ケア提供体制の構築には、それぞれの地域での歴史的流れ も重要で、その体制構築を一般化するためには新しい文化を醸し出す必要があることが推察され た。さらに、『庄内プロジェクト』において、診療所等への訪問を行い緩和ケアに関する説明を行 い、在宅緩和医療実施への障害となっていること①手技への不安、②病診連携体制への不安、③患 者・家族・市民の心構えなど自由記載にて一つ一つの克服すべき障害を解決していったことが第一 歩であった。また、10 ヶ月たって浮上した問題点をコアメンバーで検討し、多職種連携の会を単 に次々と立ちあげるだけでなく、インターネット VPN を利用した ICT 連携ツール『Net4U』を 活用していることも非常に重要であった。介入後の追跡調査も行っており、市民の知識や安心感に ついての調査において、『緩和ケアに関する知識』に関する事項の改善は経時的に変化があまり見 られなかったが、『緩和ケアに関する安心感』に関する指標は経時的にマイナスの変化がみられる ことの説明を受けた。 [6]外泊・一時帰宅に関与する薬局薬剤師の法的問題の調査 意見) 緩和病棟等からの外泊、一時帰宅は、その病棟の性質から、入院患者にとってストレス軽 減等の重要な心のケアの効果が期待できるのではないかと考える。その際に、医薬品の管理に関す る不安や医療機器の使用方法に対する不安により、外泊や一時帰宅が取りやめになることは、患者 や家族にとっても、自宅で家族と時間を共有するという貴重な機会を失うことになる。 そこで、「かかりつけ薬剤師」の役割が期待される。 現状の法律の範囲内では、薬剤師が患者に薬を調剤する際には、医師の処方箋を確認する必要が ある。つまりは処方箋がないと薬を出すことはできない。一部保険薬局及び保険薬剤師療養担当規 則、介護保険サービスの範囲内では、「かかりつけ薬剤師」の活躍が認められてはいるが、緩和病 棟などに入院している患者のすべてをカバーしきれていない。 もっとも薬剤師は、特定の保険医療機関とは独立して薬局を運営することが義務付けられ、むし ろ「お薬手帳」を確認することにより、特定の患者のすべての薬を把握することができる等、患者 の日々の健康状態等を具体的に把握し、配慮できる立場にある。そのような薬剤師が患者の「かか りつけ薬剤師」として活躍できる仕組みがあることは、医療法にも定められた、「医療連携体制の 構築」や、「居宅等において医療を提供し、または福祉サービスとの連携を図りつつ、居宅等にお ける医療の提供に関し必要な支援」を行うという医療法の目的に資するのではないか考える。 以上 福岡県弁護士会所属. 平和通り法律事務所. 弁護士. 小鉢由美.
(17) 考察) ⅰ)予備アンケートと本アンケートを比較すると、予備アンケートでは緩和病棟医師、薬剤師か らアンケート依頼が行われていることから、職業に関するバイアスが内在すると思慮される。その ことを踏まえて、予備アンケートと本アンケートを比較する。 ⅱ)予備アンケート図 2 において選択肢①~③の合計が 83%であり、本アンケート図 8 にお いて選択肢①~③の合計が 95%であり、 『病院から、緩和病棟等からの外出・・』の経験を大半が 経験している同様な母集団であることが分かった。 ⅲ)予備アンケート図 3、本アンケート図 9 より『医薬品や医療機器の使用方法、管理・・・が 理由』で『外出(外泊も含む)・一時 帰宅などを中止される場面に遭遇』したことは、予備アンケー トにて 83%、本アンケートにて 84%で同じ頻度であった。 ⅳ)予備アンケート図 4、本アンケート図 10 より『外出(外泊も含む)・一時帰宅などを中止し た原因』に関して『在宅の場における不安』は予備アンケートにて 61%、本アンケートにて 56% で同様の頻度であった。 ⅴ)図 12 より、 『外出(外泊も含む)・一時帰宅などを中止した原因』の中止例で、何らかの『不 安』が原因であったものは本アンケートで 57%であった。 ⅵ)図 12 より、 『外出(外泊も含む)・一時帰宅などを中止した原因』の中止例で、何ら原因に関 して回答がなかったものは本アンケートで 43%であった。 ⅶ)予備アンケート図 4、本アンケート図 13 より『外出(外泊も含む)・一時帰宅などを中止し た原因』に関して、 『注射等に関する不安』は、予備アンケートにて 33%、本アンケートにて 33% と同一頻度であった。 ⅷ)予備アンケート 4)の職種の記載回数は、 『医師:6 回(13%)、看護師:20 回(45%)、薬 剤師:14 回(32%)、MSW:4 回(9%)』であった。その一方、本アンケート図 14 より『医師: (9%)、看護師:(31%)、薬剤師:(21%)、MSW:(3%)』と異なった。 ⅸ)予備アンケート図 5、本アンケート図 15 より『使用薬剤により、外出(外泊も含む)・一時 帰宅などの困難事例の際、薬剤部に相談されたことはありますか?』に関して、『薬剤部』に『何 を相談すればいいのかわからない』は、予備アンケートにて 5%、本アンケートにて 7%と同一程 度存在した。 以上より、ⅵ)から『中止理由』書かれていないということは、 『外出(外泊も含む)・一時帰宅な どを中止した原因』の中止理由が共有化されず、放置(表現が適切ではないが)されている可能性が ある。また、本アンケート図 14 から、八幡地区における『医療職』の評価がより低いわけではな く、八幡地区では医療機関内でも『介護領域の在宅における職種』への認識高いと推察することも できる。八幡地区では、多職種連携研修会実行委員会を通して、多職種研修会を行っており、八幡 在宅医療・介護連携支援センターを通じた啓発活動の賜物であるのが理由である。その一方で、医.
(18) 療職の役割に関して啓発活動も継続して必要であることが伺える。 このような検討に加え、本調査は、地域文化、医療・介護のインフラの複雑さ等、それらの存在 を明確にするという目的もある。以前よりあり、新しく出現する地域レベルでの多施設間連携に於 いて、『医療・介護連携支援センター』などと協働し、薬剤に関連する医療材料、衛生材料等、薬 物療法の確認等、非常に困難で、24 時間、迅速性を求められる対応が求められる場合に備え、多 職種連携を実行力のあるものにするためには、多施設に所属する多職種が、既存の薬局機能に目を 向けることも必要であり、既存の薬局であるが故、薬局の薬剤師の経済的ポテンシャルを利用する ことはアンケート結果によらずとも明白であると思慮される 4)。 図 1~18 の内容から、薬剤に関連する医療材料、衛生材料等、薬物療法の確認等、非常に困難 で、24 時間、迅速性を求められる対応が求められる場合に備えて、デルファイ法を踏まえたうえ で、八幡東西区における、より規模の大きい『緩和病棟等患者の外泊・一時帰宅に於ける緩和薬物 療法等支援のための実態調査研究』を行うことが、地域住民がより安心できる在宅医療を推進する ことにつながることが推察された。 回答者職種 返答記載職種. 医師 看護師 介護職 薬剤師 家族なの支援等 回答なし CM 管理栄養士 MSW 臨床工学士 その他 理学療法士(リハビリ職). 表1. 医師(1名) 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0. 歯科医師(0名) 看護師(24名) MSW(6名) 薬剤師(3名) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0. 3 7 3 8 0 3 0 0 2 1 5 1. 0 3 1 1 1 2 0 0 0 0 0 0. 0 2 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0. CM(0名). 介護職(0名). 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0. 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0. 理学療法士(リハビリ職)(1名) 管理栄養士(1名) その他(5名). どのような職種のフォローがあれば安心できますか?. 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0. 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0. 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0. 回答なし(8名). 計. 0 3 1 2 0 3 1 1 0 0 0 0. 5 18 6 12 1 9 1 1 2 1 5 1. 多職種間相互の頻度. また、表 1 より薬剤師の機能について看護師からの評価は高いものの、他の職種からの認知度 は高いとは言えない。さらに、図 18 より『緩和ケアに習熟した薬局薬剤師が、病院、緩和病棟な どと連携し 医薬品、医療機器などの確認や家族への説明を行うことで、外出(外泊も含む)・一時帰 宅などできる患者が増える可能性』に関して、『④ わからない』 と回答した 10 名のうち、『5) 使用薬剤により、外出(外泊も含む)・一時帰宅などの困難事例の際、薬剤部に相談されたことはあ りますか?』の回答属性について、相談するのは 20%、相談しないのは 70%であることが分か った。現在、多くの多職種連携研修会が行われているが、単に研修会であり相互の連携がなされて いないのか、そもそも必要がないと思い込んでいることが分かった。. 結語) アンケート用紙の余白に、 『質問紙の校正が良くないと思います。 ・薬剤師のフォローが必要と いう結果に導きたいのはわかりますが、バイアスがかかっていると思います。 ・回答 4 段階の指標 がおかしい・属性を聞く質問がない以上のため中途半端な回答です』との意見があった。確かに、 Delphi technique を明言して行っていなかったものの、予備アンケート調査票を提示し、その結 果を踏まえて本アンケート調査票を修正した。また、本調査は、その薬剤師のフォローが必要であ るとの結果ではなく、その有無を知るためのコミュニティー研究に向けた予備調査という位置づけ であることを、本アンケート調査票作成に関する意見交換に際し、明確に伝えてあることから問題 ないと思慮される。予備アンケート調査、本アンケート調査の双方とも校正が良くないこと、属性 に配慮した質問がないという指摘は考慮の値する。しかしながら、これも他のアンケート調査を多 く受けている負担を軽減すること、コミュニティー研究に向けた予備調査という位置づけでもある.
(19) ことから、簡易で、少ない設問とすることは、本アンケート調査票作成に関する意見交換に際し、 明確に伝えてあることもあり、問題ないと思慮される。回答 4 段階の指標に関しては、中間的選 択肢への回答が多い質問は、『その時々の状況によって異なるようなどちらの回答もあり得るよう な質問』と『普段考えたことがないような内容の質問』で多いことがわかっている 5)。 この多施設間連携を実行力あるものにする、一つとして図 18『緩和ケアに習熟した薬局薬剤師』 だけでなく、在宅での経験ある多職種が医療機関にて、医療機関職員と在宅医療・介護職員の混成 の『地域医療連携在宅促進チーム』を結成し、院内のラウンド、相談業務などの相互理解と人材育 成を兼ね備えた業務などを行っていく必要性があると提言したい。そのために日本緩和医療薬学会 緩和薬物療法認定薬剤師、麻薬教育認定薬剤師の活用も視野に入れ、今後より具体的な『緩和病棟 等患者の外泊・一時帰宅に於ける緩和薬物療法等支援』に向けた実態調査、保険薬剤師の教育プロ グラムを構築していく方向性が自ずと示されるであろう。また、ここで提言した『地域連携在宅推 進チーム』は、スクリーニング機能も期待できる。『地域連携在宅推進チーム』創設には、医療介 護連携支援センター等と連携が必須であり、責任ある在宅移行を担う制度が必要であるが、それは 地域レベルでの制度であるべきであり、診療報酬・調剤報酬改定を待たずに取り組むべきと考える。 この『地域連携在宅推進チーム』は、既存の NST、CPT などに『在宅での経験ある多職種』が加 わることで、簡易に結成できると思慮される。さらに、相互の医療・介護情報共有、コンサルト対 応なども継続して行うことが可能となる。この『地域連携在宅推進チーム』創設は、地域の研修会 だけの関係ではない実のある多職種連携を創造し、急性期からの転院先医療機関でより求められる 活動に繋がり、医療・介護の新しい地域文化が醸し出され、新しい風土・風習となっていく可能性 を内蔵していると思慮される。今回の調査結果を、さらに解析することで『緩和病棟等患者の外泊・ 一時帰宅に於ける緩和薬物療法等支援』の処方が明確になると推察される。 おわりに) 予備アンケート調査に於いて、総合病院 国保旭中央病院 院長補佐兼緩和ケアセンター長 小 早川晶医師、公立富岡総合病院 薬剤部 齋田和江氏に快くご協力頂いた。 また、鶴岡市立荘内病院 外科系診療部長・地域医療連携室室長 鈴木聡医師、鶴岡市立荘内病 院 内科医長 和泉典子医師、鶴岡市立荘内病院 診療部薬局 阿部和人薬剤主任、鶴岡市立荘内 病院 地域医療連携室・緩和ケアサポートセンター相庭伸氏をはじめとする皆様、山形県薬剤師会 星利佳氏、鶴岡地区薬剤師会 篠田太朗氏、栗原智広氏、さらに、北九州市立八幡病院 医療連携 室、産業医科大学病院 患者サポートセンター(地域連携・退院支援室)、がんセンターがん相談支 援センター、JCHO 九州病院 地域連携室、製鐵記念八幡病院 地域医療情報センター医療相談 室、福岡県済生会八幡総合病院 総合相談センターの皆様より、多大なご協力を頂いたことに感謝 の意を表する。船頭多くして船山に上ることないよう肝に銘じ、患者のための『緩和病棟等患者の 外泊・一時帰宅に於ける緩和薬物療法等支援』となるよう、八幡東西区の地域多職種の連携を祈念 致します。 参考) 1)秋山美紀,的場元弘,武林亨,他: 地域診療所医師の在宅緩和ケアに関する意識調査: Palliative Care 」Research 2009;4(2):112-22 2)鈴木聡先生,庄内プロジェクトの3年間を振り返って 鶴岡地区医師会 鶴岡市立荘内病院:山形 県医師会会報:平成 23 年5月,第 717 号 3)小林 友美, 村上 真基, 山本 直樹,他:看取り間近の終末期がん患者の外出・外泊支援に関する検.
(20) 討:Palliat Care Res 2014; 9: 301-7. 4)「医学的研究のデザイン」木原雅子他訳. メディカルサイエンスインターナショナル. 5)小野寺典子:郵送法調査における中間的選択肢の研究~郵送実験調査による分析~ NHK 放送 文化研究所 世論調査部,放送研究と調査,2013; 3:45-59 ※本研究は、公益財団法人. 在宅医療助成. 勇美記念財団の助成により行われました。.
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