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高松塚古墳墳丘地盤の 現状と保存に向けた取り組みについてGeotechnical condition of Takamatsuzuka Tumulus and Action for Preservation

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Academic year: 2021

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高松塚古墳墳丘地盤の現状と保存に向けた取り組みについて

Geotechnical Condition of Takamatsuzuka Tumulus and Action for Preservation

〇 三村 衛・石崎武志

〇 Mamoru Mimura, Takeshi Ishizaki

Takamatuzuka Tumulus, having found in 1972 at Asuka village in Nara Prefecture was constructed with mural paintings in the stone chamber around at the end of 7th century or at the beginning of 8th century. Because of fungi appearance on the lime plaster wall, the paintings suffer from serious damage. Sampling of the mound soils and various sounding tests were carried out to know the present condition of the mound to derive the essential geotechnical information to establish the restoration procedure. Moisture and density of the mound has been detected together with PS wave velocities measured in the same borehole of sampling. (102 words)

1.はじめに 1972 年 3 月に奈良県明日香村において,墳丘内 部石室に極彩色の漆喰壁画を有する高松塚古墳が 発掘され,その後,保存設備を設置し現地にて保 存されてきた。ところが近年,カビの発生による 壁画の損傷が認められ,その修復と保存対策が必 要となっている。本稿は,発掘調査と併せて実施 された地盤調査結果について報告する。具体的に は,墳丘コアのサンプリング,含水比・密度検層, PS 検層による墳丘地山の地盤工学的特性を調査 し,恒久保存に対する基礎資料を得ようとするも のである。 2.墳丘・石室の環境について 石室内部における室温測定結果によれば,石室 内部の温度は外気温の上昇と呼応して上昇してお り,1980 年と比べて現在は 2°程度高くなってい る。また年間の季節変動による温度変化について は,15°∼19°の周期性があり,気温の変化に比 べて 3 ヶ月程度遅れて変動することが確認されて いる。一方石室内の相対湿度はほぼ 100%を保っ ている。 3.墳丘土のサンプリングの土質特性 墳丘地山の土質特性を調べるために,石室の周 囲 3 ヶ所でボーリング試料採取を実施した。国宝 壁画,特別史跡の古墳ということで,ボーリング マシンの墳丘上への直置き,泥水の使用,ディー ゼルエンジンの使用が禁止され,覆屋基礎に反力 を取る仮設足場上で,電気モーター式のマシンを 使用し,泥水の代わりに空気圧を送り込むという 特種な方法で試料採取を行った。また採取試料の 目視観察のため,アクリルの試料管を用いた。採 取試料の目視観察により,鉄分の沈積と思われる 縞模様が水平方向に繰り返し存在する様子が確認 された。また,コア密度検層から,版築構築時の 締固め効果によると思われる約 5cm ごとに密度の 周期的な変動が認められた。試料の先端部の土を 用いて実施した粒度試験より,いずれも細粒分を 20%前後含有する砂質土であることがわかった。 また,ボーリング孔内 RI 密度・含水比検層と PS 検層により,墳丘の含水比はほぼ 15%程度で変動 は少なく,S 波速度は 70∼160m/s であることがわ かっている。硬質である版築土に比べて低い速度 は,墳丘内で確認されている地震のためと思われ る多数の地割れの影響であると考えられている。 4.今後の保存対策について 漆喰面上へのカビや細菌の繁殖を現在の石室環 境で止めることは極めて難しい。緊急対策として 墳丘下の地山部と墳丘表面冷却管を設置し,石室 の温度を低下させ,カビの生育を一時的に抑える 措置がとられている。一方,恒久保存対策として は,墳丘から石室を取り出し,温湿度を管理でき る環境下での修復と保存措置の施行が決まってい る。これに向け,墳丘部の発掘調査とそれに続く 石室解体のために,クレーン基礎の設置に対する 版築の強度特性,直壁掘削に対する版築地盤の安 定性など,地盤工学に求められる課題は多い。室 内土質試験などを通じた貢献が求められている。

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