ITIL実践における改善活動を通じたモチベーション向上推進に関する事例研究
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(2) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2017-IS-142 No.4 2017/12/2. 適用した改善活動の推進を提案する.この提案の特徴は,. したろころで,システム運用部門の社員全員に対してアン. 改善活動の利用とワークモチベーション理論の適用の 2 点. ケート調査を実施した.質問項目は達成志向・競争志向・. である.両者は実践の視点が異なっている.改善活動の利. 協力志向・学習志向の 4 つの分類に対して各 3 項目の全 12. 用は施策をどのようにして実践するかという提案の HOW. 項目とした.回答も池田他を参考にリッカートスケールの. にあたる.一方,ワークモチベーション理論の適用は施策. 5 件法とした.. の内容に関することであり,いわば提案の WHAT にあたる.. (2)結果. 以下に両者の詳細について述べる. 3.1 改善活動の利用. 対象者のうち,休暇・出張・社外等を除く 45 名から回答 を得た.45 名の内訳は,管理職が 13 名,担当者が 32 名で. 通常,改善活動とモチベーションの関係では, 「改善活. ある.モチベーション向上策の実施前後の平均点の差が統. 動を促すためにモチベーション向上を図ること」が一般的. 計的に有意か確かめるために t 検定(両側検定)を行った. である.しかしながら,本研究では,それとは逆に「モチ. ところ,4 つの分類全てで 1%以内の有意差があることを確. ベーション向上のために改善活動を利用すること」を提案. 認した.実施後の平均値は学習志向,協力志向,達成志向,. する.あえて極端に言えば,改善活動の成果(効率化など). 競争志向の順となった.学習志向については実施前後の平. を度外視しても,モチベーションさえ向上すれば,実践は. 均値と上昇値のいずれも高い数値を示しており,最も効果. 成功したと位置付ける.. 的であったことが分かった.次に高いのは協力志向であっ. 3.2 ワークモチベーション理論の適用. た.一方, 競争志向は平均値とその差の両方とも最も低い.. システム運用部門メンバーのモチベーション向上策の. 特に管理職では唯一,平均値の差に有意が認められなかっ. 内容を検討するにあたり,ワークモチベーション理論を活. た.以上からモチベーション向上策を検討する際には,学. 用する.具体的には池田他の理論を用いて,達成志向,競. 習志向や協力志向を促す内容にすると高い効果が見込める. 争志向,協力志向,学習志向の 4 つの観点から施策の検討. と推察される.. を行う.また,施策実施後のアンケート調査では,池田他 から提案されている質問項目を用いて評価を行う.池田他. 5. 今後の課題. の論文に 4 つの観点で各々9 個,合計で 36 個の質問項目が. アンケート調査を実施した 2017 年 9 月以降も改善活動は. 掲載されており,本研究ではそれらを参考にアンケート調. 続いており,10 月には新たなモチベーション向上策を実施. 査の質問項目を作成する.以上により,4 つの分類のうち. 予定している.ついては,それを実施後の 11 月にも 2 回目. どれに力点を置いて施策の内容を検討すべきか明らかにな. のアンケート調査を同じ質問項目で実施して,1 回目との. る.. 変化を分析するなど,事例の観察を継続的に続けていきた. 4. 事例への適用 4.1 モチベーション向上策の検討と実践 A 社のシステム運用部門では,2017 年 4 月に改善活動を. い.. 参考文献 [1] Office of Government Commerce (OGC): ITIL® 2011. 開始した.それを実施するにあたり最初にモチベーション. edition: Service Strategy, Service Design, Service Transition,. 向上策の内容について KJ 法を用いて検討した.KJ 法に参. Service Operation, Continual Service Improvement, TSO. 加したメンバーは,システム運用部門の管理職 2 名と担当 者 3 名の合計 5 名である.まず冒頭に KJ 法の手続きとワ ークモチベーション理論について確認を行い,その後は KJ 法に習熟したメンバーがファシリテータを担って施策の案 出を行った.検討は社内の会議室で 4 時間ほど実施した.. (2011). [2] 岡田英行:IT プロジェクトのメンタルヘルス問題への 脳科学からのアプローチ,プロジェクトマネジメント 学会誌,Vol.10 No.1,pp.9-14(2008) . [3] Iden,J., Eikebrokk,T.R.:. Implementing IT Service. 施策はワークモチベーション理論の 4 つの分類についてバ. Management: A systematic literature review, International. ランス良く案出した.それらのモチベーション向上策は順. Journal of Information Management, Vol.33, No.3,. 次実施された.. pp.512-523 (2013).. 4.2 評価 モチベーション向上策の評価のためにアンケート調査. [4] Barrick, M.R., Stewart, G.L., and Piotrowski, M.: Personality and job performance: test of the mediating effects of. を実施した.評価対象はワークモチベーション理論の 4 つ. motivation among sales representatives. Journal of Applied. の分類とし,モチベーション向上策の実施前後の意識の変. Psychology, Vol.87 No.1, pp.43-51 (2002).. 化を検証した. (1)方法 2017 年 9 月に,モチベーション向上策を 5.5 か月間実施. ⓒ2017 Information Processing Society of Japan. [5] 池田浩,森永雄太:我が国における他側面ワークモチ ベーション尺度の開発,産業・組織心理学研究,Vol.30 No.2,pp.171-186(2017) .. 2.
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