自動車開発におけるCAD/CAM/CAE/CAPEの活用
著者名(日)
田口 正和
雑誌名
工業技術 : 東洋大学工業技術研究所報告
号
32
ページ
5-8
発行年
2010
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00002048/
**講演会から**
自動車開発におけるCAD/CAM/CAE/CAPEの活用
一Method of digital engineering for automotive sector一
田口正和*
1.はじめに 3次元CADの利用は、航空機産業が先導し自動車産業が 製品開発に定着させた。自動車は、製品特徴から数多い部 品から構成され、設計段階で発生する部品干渉や組立性を 図面検証で発見しづらい。このため緻密な製品構成を検討 しやすい3次元CAD適用ができたと考える。 また自動車製造メーカは、部品や金型をサプライヤへ開 発・生産を委託するため業界全体で3次元CAD活用を進め る必要があった。これにより3次元CADを中心に技術系 ITシステムを活用した開発プロセスを、自動車製造メー カ・1次部品サプライヤ・金型メーカなどの2次サプライ ヤを含めて、3次元モデルデータを軸とした開発システムを 構築した。 部品サプライヤの開発部門と金型部門で製品開発期間の 短縮を目指した技術系ITシステムの構築を経験しました。 この経験を活かしてCAD/CAM/CAE/CAPE構築のコンサ ルタントも経験しました。今日の自動車生産における開発 から生産前、量産プロセスに3次元モデルデータを活用し て「世界一の品質」や「開発期間を短縮」に役立てている 現状をまとめました。1.1 3次元CADシステムの歴史
自動車製造メーカは、1960年代の後半から自動車開発に 内製3次元CADを開発し、製品設計のデジタル化が進みま した。これにより部品間の組立て精度が向上し、レイアウ トの精度向上に向け3次元検討範囲が拡大しました。1980年代以降は、3次元CADモデルのソリッド化が可
能になり設計者の求める項目が容易に検討できるようにな り設計精度・設計品質の向上を求める設計者から支持され ました。これに加えてTime to Marketの企業要求が「開発期間の短縮」を実現するために3次元CADデータを
CAD/CAM、 CAD/CAE、1次サプライヤと3次元CADデー タを授受するなど、設計内容の最適化に向けて3次元CAD活用の活動が業界全体へ展開され、現在は
CAD/CAM/CAE/CAPEへと拡大している。2.1 CAD
2.3次元CAD設計システム
CADの目的は、形状の図面表現を過去資産の編集や図面記載の編集などを効率的に行うために2次元CADが開発
された。3次元化のスタートは部品間の3次元検討を行う 目的で、3次元形状をワイヤーフレーム表現のCAD、3次 元形状をサーフェス表現するサーフェスCAD、3次元サー フェス間に物性を持たせたソリッドCADへ変化した。3次 元CADのソリヅド化は、重量・干渉などが容易に求められ 設計内容の精度を高めることができた。また自由曲面形状 に対する表現の曖昧さを排除でき、複雑な部品構成を持つ 製品の設計へ3次元CADの適用が拡大した。 現在は、製品の設計ノウハウをCADモデルに折り込むノ ウハウ設計システムを指向し、製品設計、設備設計、金型 設計などの検討の効率化に活用されている。 i技 i壊_}s 紙ヘースの 撫綿暴準 ε違禽動箪 サブライヤー⊂二=穀妄碁司
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手碩のナビゲ…ド化 ●ノウハウを組み込んだ設計支援システムの考え方 滋※の技術標●霜を簸に,ベテラン毅獄緒の波針の違め方をずぺWQ一表kして作成してある.殼計者がこ れから実施しようと夢る作業を擢定するζ この手願がWebブラウザで参照でき,ひな型となる3次冗デーダ が提桝される、設計者は手瀬に揺つご3次元デー・・Nを改良してい(。部品の纏騒関係が成立しない鰯古琢どは、 聾篶を出す性縄みもシステムに盛り込〆)でいる. [日経ものつくり」誌〔2005・T}rV3P記申・」2.2 CAE
設計者は、イメージした形状を図面化し強度や性能を計 算で評価していたが、3次元モデルをべ一スに有限要素法や 境界要素法などコンピュータで計算(GAE)が用いるよう になった。設計者は、3次元CADで作成したモデルに接触 条件などを入力して強度などの設計内容を評価した。複合 的な評価を必要とする操縦安定性や乗り心地などの性能評 価へ進化している。 自動車産業では、製品設計段階の性能解析・機構解析・ 強度解析・熱解析・音振動解析・流動解析への適用に加え、 生産技術段階の機構解析、強度解析、熱解析、塑性解析、 樹脂流動解析、工具パス解析(金型設計、設備設計)へ適n動車開発におけるCAD/CAM/CAE/CAPEの活用 用されている。 CAE効果の評価は、設計検討業務の項目数を対して、 CAE評価できる項目数で適応率を、また実験結果との差異 をCAEの結果として代用する合格率で評価している。 (a) により、具体的な治工具の要否、設計意図のスポット打点 の成立性を「見える化」し設計段階でより具体的な検討を 可能にした。自動車産業における適用は、ライン配置・ロポッ トシミュレーション・組立シミュレーション・作業指示の3 次元モデル活用などを実施している。 生産技術部門は、従来フィジカルフェーズで生じていた 「設計変更」の「ゼロ化」、「生産準備期間」の「短縮化」、「出 来上がり品質」の「一発良品化」を目指してデジタル的に 評価できる項目の増加、DB化による精度向上が期間短縮の 具体的な方策として取り組んでいる。 図4●解析する項目数と精度 ノウ八ウを蓄積することで,解析の精度は上がり.また評価項目も増えてい る。例えば,近年では衝突解析の車体変形量は士10%以内で予灘が可能にな った(a)。「ノート」では,解析による評価項目を,すべての性能評価項目数 の約45%にまで増やしている(b)。また,一一発OK$は約95%まで向上し ている (C)。 新プロセス 1◎o(%) 綬■㎜ 霞帥(タツタルカエPズ 民 7ツタル篭ツケアツフ冨件 9直準●(7∀ジカル)フセ【一ヌ @ 〔1 生魔準●驚閥の大糟短館(崇霜 鶴籏 酬タ脚ルカェーズ @ タ”ル壱”7∀7 @ ワツタルgxタφ〃 @ 9”〃〉ア勿〃 フィジ刎レ7罵始ス じ ^卯一ス
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「U経ものづくり」誌(2005/7)rV3POI己事」2.3 CAM
従来は、図面から形状、加工部を理解して加工方法・工具・ 治具を検討し部侃製作していた。図面で表現できない自由 曲面は、形状の「ならい治具」を製作しfならい加工」し ていた。加工機の発達は、3次元CADモデルの3次元曲面 から加工するNC加工機と自動プログラミングシステムに より加工が可能になった。これは3次元CADモデルからコ ンピュータ計算により3次元形状を製作することで、設計 意図を高い精度の形状を作り出すことが可能となり、自動 車車体のデザインをより高精度の金型製作で、製品形状へ 転化が可能になった。2.4 CAPE
工程設計は、生産技術者が図面情報から判断した形状に ノウハウ、経験から判断して、ライン配置、加工・組立工程、QC工程、作業方法などを検討していた。3次元CADは、
製品モデルから治工具の共用性、加工機械の検討、組立性 の検討などバーチャル検討を容易にした。 自動車産業は、ロボットシミュレータを用いた工程検討 i/. 一…rvSt ・生魔成立雪生,作捲性などの碗詩 ’浪働仕様の検鉦 ’組立作換性などの碑認 ’漕措以ホットの恥作プロタ∋ム作成 ・ジクなどの佳棟のralff 骸 善 殴計アータ1ノリースまでに 吐計テータリリ・スtでに 紛傭テータ作成完Z「 全作藁τ榿櫓鉦完了 田5●すべての生皇工繧は3次元データで検証 ロポットなどの霞続設偶菅中心として蘭み立てる車体1軽 人手作頴に綬るところが大きい最饅絹貢工1樫とも シ1ユレーHシ∋ンで襖竃L般尉アータをリリース亨るよで’v,生●要件に窟する問題はずべて解決しておく, 「日経ものづくり」誌t2005i7)rV3P記’1‘]2.5 PDM/PLM
PDM/PLMは、1990年代からE−Bomを基本に製lh;1ライ フサイクルに関わる製品データを管理する概念からスター トした。具体的活用は、バーチャル検討段階に於ける製品 設計者と生産技術者のコンカレントエンジニアリングを データ活用で可能にするツールとして、モデルデータ・部 品番号管理、承認データの保護・アクセスの制限・過去の 知財活用・業務プロセスのコントロールに利用されている。 近年は、生産技術の生産工程の検討内容、生産ラインの 一貫したデータモデル化により、設計段階の製品設計者と 生産技術者のコミュニケーションをフェーズ管理や承認 データのDBとして管理ツールとして活用している。 また自動車製造メーカは、自動車部品メーカへ品質要求 をISO規格TS 16949として開発から生産段階まで1〒1質の エビデンス、開発プロセス、生産工程管理を定めている。田口正和
この対応で、部品サプライヤの製品開発ノウハウの共有や 部品共有を効果的に行い、技術の新規性を効率的に判断し エビデンスにするためPDM/PLMシステムによる「検索性 の維持」と「保管・廃却」の管理水準向上に活用されている。 参考:TS 16949の規格要求&コアツール APQP・品質多機能展開による計画的解決 CP: 製造管理ツールの使用 PPAP:顧客承認の製品/プロセスの承認手順に従うFMEA’設計/製造FMEAの実施
MSA,測定解析システムで安定性の証明 SPC: 統計的工程管理の実施 2.6 開発プロセス3次元CADや技術系ITツールは使いこなすためには製
品開発プロセスに変化を要求します。複雑な構造を持つ製 品は、ITツールの活用と開発プロセスの構築が重要と考え ます。 製品開発は、東京大学の藤本教授により「組み合わせ/ すり合わせ」型と「オープン/クローズド」型に分析され ています。 ①「組み合わせ」型(モジュラー型)アーキテクチャ: 企業を超えた業界標準インターフェースを用いて 企業間で「寄せ集め設計]が可能 a、オープン・アーキテクチャ 例:メインフレーム、工作機械 b、クローズド・アーキテクチャ 例:パソコン、ソフト、インターネット、自転車 ②「すり合わせ」型(インテグラル型)アーキテクチャ 製品ごとに部品を相互調整してカスタム設計(最適設計) し、製品全体の機能発揮にためには、各部品の最適設計 化が必要 例:自動車、バイク、ゲームソフト、軽薄短小家電 日本で競争力を持つ製品は、②「すり合わせ」型で日本的 開発の特徴を必要とする製品に多く存在します。 自動車産業の開発は、自動車製造メーカと、多くの部品 メーカで開発を行っている。「すり合わせ」開発は、ヅール として3次元モデルを基本(デジタルプロセス(株)は、「デー タ衝」と呼称)にしたプロセス構築している。企業間に関 わるコンカレントなフィジカルフェーズの開発は、過去の 問題点を解決しながら「ものづくり」の問題解決を製品玉 成プロセスに積み上げ、構築されてきました。データを基 本にしたバーチャルフェーズは、データを造り込んでいく プロセスを構築していくことが重要である。 図は、自動車製造メーカと部品サプライヤの開発プロセ スにおけるバーチャルフェーズの位置を示す。 下図は、デジタル化の進展が与えた自動車開発プロセス の変化をイメージで示す。盤醗羅灘欝灘灘羅懸羅欝一羅
波検肘 酵緒廿画 違庖捧簡発 バーチヤルフェーズ 醐計 鮒$配 寅験cAE=一諜ぽ』
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田2●デジタル化の違尻とブ0セスの変化 以前は顧作車を4回冶iって製晶の完成痙を縄めてし、た、これを200|年から取り鱒みを本婿傭さ叉た図画レス では,3次元ffデルによ,《:題磁を勘倒ぴする乙こにより蹴i乍の数を、3魎に削漬魯さらに∨ぐ{Pで{‡、デヅイ ンフtックス衛点で基本的にりぺでの住薦墾口件の輸も終⇔らセるため 試作直みlfiMt..h、 t.,ない. 「目経ものづくり1誌(2005/7)「V3P記事」 3.まとめ ITツールは、発展途上である。事務効率をOAツールで 改善を積み重ねてきたが、技術開発も各種ツールの使いこ なしで技術ノウハウの蓄積と業務改革を図れると確信して います。 現在のITツールでは、製品開発を全項目の検討を行うこ とは出来ていないが、既存のノウハウ蓄積を3次元モデル や技術ITシステムにDB化することで、新製品開発へ活か せる新技術開発に活かせる。灘/wぷ裁厚o
習?■波計変更の鞍B対陪 に灘少 書宴試f乍 ffff i}!ICIny・W●α鯉馨聾砂責 易8●部品寸法8楕淳のフ0ントロ∼子イング ー fi ±g th漆 |㌫芸㌃卜’ 1誌ぼ’灘蒜ト翌驚1灘三ス忽『 聞螢怜讐警撃 Tくζ頁C 「ヒ1経もぴ)づくり」、江(2005/7)「V3P記事」自動車開発におけるCAD/CAM/CAE/CAPEの活用 さらにグローバル化した日本の企業活動は、開発から生 産まですべて国内で行うことが困難になっている。開発段 階のバーチャルフェーズの検討は、海外拠点の円滑な生産 開始に頭要項日を伝達するに有効なツールとなります。