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︲
介護を含んだ世代交代モデル
は じめ に 介護保険制度が施行 され,一 年以上が経過 した。施行直前 には,多 くの議論 が繰 り返 され,政 治的な駆け引 きも見 られたが,現 在 はその時に較べ ると介護 保険制度が活発 な議論の対象 にはなっていない ように も思 える。 しか し,利 用 実態 についてのデータが出始めてお り,現 行介護保険制度の問題点が再 び指摘 され,改 善の方向性が大 きな議論 となるときが必ず来るであろう。 介護保険制度施行前 に問題点 として指摘 された ものには,利 用手続 きの問題 (煩雑 さ,公 平性他),負 担 の問題(負担割合,地 域格差他),財 源確保 の問題(社 会保 険方式 か,税 方式か他)等がある。 これ らは引 き続いて現在で も大 きな問 題 として残 っている といえるだろう。そ して問題 とい うよ りも話題 になった点 ではあるが,介 護保険制度が家族で介護 を行 うとい う美風 を損 なう,と い うこ とが当時の自民党政調会長 によつて発せ られた。この発言に対 しては,多 くの 批判 もなされ,実 際,全 体的な発言内容 に対 しては,高 齢化社会の到来や核家 族化等 による家族介護力の低下 とい う現状 を無視 した側面があるだろう。 この ことが再び論点 になるか どうかは筆者 には分か らない。 しか し,そ の発言 には 介護 に関す る重要 な観点 も一部含 まれているようにも思える。それは,介 護に は家族が行 う介護(家庭内介護)と,市 場で購入す る介護サービス(家庭外介護)が 存在 し,そ れ らの家庭内,親 子間の決定が どの ような動機 によつて,ま たどの ように決 まって くるのか とい う問題 に絡 んだ側面があるか らである。親子 間の 1 ) 決 定 が 親 と子 供 の利 己 主 義 ,戦 略 的動 機 に よ っ て決 ま っ て くる の で あ れ ば ,制 1)例えば,多 くの議論,実 証分析がすでになされている遺産に関する問題にしても,遺 産 が どのように決まるのかについては,多 くの説,実 証結果がある。利己主義を仮定 し,不 確実性 を伴 ったライフ・サイクル・モデル,利 他主義を含んだ王朝モデル,戦 略的動機/ 之 俊 日 日 去 午 ヤ可184 千 本木修一教授追悼号 (第332号) 度 導入 に よるその戦略 的立場 の変化 , そ の変化 の有利不利対 して, 何 らかの リ
アクション
が発せられても
おかしく
ないから
であるとまた,そのような介護に
関す る決定過程 を無視 して,介 護問題 を論 じることはで きないであろう。 本稿 においては,利 己的な個人である親 と子供が戦略的な動機か ら最終的に 交渉 を行い,家 庭内介護,家 庭外介護の量 を決定するとい うモデルを設定 し, 外生的な変化 に対 して,介 護が どの ような影響 を受けるのかを分析する。そ し て介護保険制度 に対する若干の議論 を行いたい。 家庭 内介護 と家庭外介護 を考 え,介 護量の変化 を分析 している論文 として, Sloan,Picone and Hoerger(1997)がある。子供 は家庭内介護 と家庭外介護は 完全代替で きると考 えているのに対 し,親 は子供が行 う介護 には特別の ものが ある と考 える(家庭外介護 と完全代替ではない)モデル設定 をしている。そ して 家庭 内介護の量 と家庭外介護の量の選択 を,子 供が行 った場合,親 が行 った場 合,親 と子供が交渉(戦略的動機)して行 った場合の三つを比較 しているとCremer,Kessler and Pestieau(1992),Cremer and Pestieau(1993)も戦略 的な介護 を考察 している。前者 は遺産 と教育 と介護 を戦略的に決定するモデル を考察 してお り,後 者は同様 な問題 を特 にナ ッシュ交渉解を採用 した二段階ゲー ムの枠組み を使 って議論 している。 どちらも世代交代モデルであ り,社 会的な 最適性 を満 た さない点,公 的な所得移転 による厚生改善の可能性等が指摘 され てい る。ただ し,よ り具体 的な問題への言及 は少 ない。田近 ・林(1997)は,介 \モデル等がある。特 に戦略的動機 については,介 護 に関する論文 にも既 に多 く言及 されて いる。特 によ く引用 されるのが,そ の重要性 を指摘 した Bernheim,Shleifer,and Summ― ers(19851であろ う。 2)た だ し,発 言 にはその こと以上 の内容(意図)を含 んでいるのであろ う。 また一部制度の 変更 も行 われたわけであるか ら,本 来 は話題 とい うことだけで済 ま してはいけないか もし れない。 3)こ の論文 は利他主義的な親子 を考 えているの も特徴であ り, しか しなが ら親子 間の相違 点 も導入 している。 分析結果 として,特 に子供が選択 を行 った場合 に較べ,親 が選択する場合,交 渉 に依 る 場合 の方が家庭 内介護量 を重視す るとい うものが得 られている。基本的にこの論文は実証 の論文であ り,実 証 データは戦略的動機の側面 を説明 していない との結論 を述べている。 本稿 のモデルでは,こ の論文の特 に親 と子供の家庭内介護 と家庭外介護 に対する考 え方 の違い とい う観点 は導入で きなかった。
■ 田 F ri 卜 ︰ ほ ︰ i f ll l l l l 1 1 1 ︰ ︱︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ 介護を含んだ世代交代モデル 1 8 5 護 を受 けるようになるか否かには不確実性が存在す る 3期 間モデルを使 って, 年金,介 護保険 と予備的貯蓄の関係 を分析 している。また介護保険の導入によ る厚生改善 をシ ミュレーシ ョンによつて確認 している。ただ し世代交代モデル ではな く,よ つて戦略的動機 は考察の対象 にはなっていない。 本稿 の 目的は,先 行論文の特徴 を組み合わせたモデルを構成 して,外 生変化 による家庭内介護 と家庭内介護 に対す る影響 を考察することである。本稿のモ デルのその基本的な骨格 はCremer and Pesheau(1993)の.二段 階ゲームを含 む 世代交代モデルであるが,家 庭内介護 と家庭外介護 を明確 に区別 して,介 護問 題 を中心 に取 り扱 っている。不確実性 も導入 し,た だ し,計 算 を可能 とす るた め に,ナ ッシユ交渉解 は使 わず にSloan,Picone and Hoerger(1997)流の簡易 的な考 え方の ものを使用 し,ま た関数の特定化等 も行 っている。 モデル 老年期 に介護が必要になるか もしれない とい う不確実性 を含 んだ世代交代モ デル を考 える。 各個 人 は 3期 間(幼年期 ,壮 年期 ,老 年期)生きる もの とし,大 まかには次 の ようなかたちで,そ のライフ・サ イクルが進 んでい くもの とす る。 まず幼年期 には,親 に育て られ,教 育 を受ける。 しか し,そ の際に具体的な 効用 を得 るとい うことは無視 される。次 に壮年期 に進み,そ の最初 に子供が誕 生 し,働 いて所得 を得,子 供 と暮 らし,教 育 を施 した り,生 活の基盤 を作 る。 そ して最後 に,親 (老年期)を助 けなが ら生 きてい く時期がやって くると考 える。 その壮年期 の効用 は 7(s)十 」(c,あ)とす る。ただ し,7(s)は 老年期 にも渡 っ て得 られる効用であ り,壮 年期の最初 に決定するsは ,子 供への教育,ま た壮 年期 ,老 年期 の基本的な消費や,消 費の基礎 となるもの(家屋等),な どを想定 している。」(c,あ)は親 との関係で決 まって くる壮年期の最後 に得 られる効用 である。とは親への介護 を示 し,そ の量が増 えると効用 は減少す るもの と考 え る。 老年期 には仕事 を引退 して過 ご し,最 後 に子供 に助 け られなが ら暮 らす時期
186 千 本木修一教授追悼号 (第332号) が来る もの と考 える。す なわち老年期 の最後 に病気 になる可能性があ り(確率 は?),病 気 になる と介護が必要 となる。その介護 は子供 か ら得 るか(と,家 庭 内介護), もしくは市場か ら購入(ェ 家庭外介護)しなければならない。老年期 単独 の効用 は,元 気であれば〃(冴),病 気 になればr(メ十五)十【(ろ)と仮定 し, 家庭外介護 と家庭内介護か ら得 られる効用 は,完 全 に代替で きる部分 と,子 供 に して もらえるか らこそ得 られる部分 に分 けられるもの とする。老年期の親 と 壮年期の子供 とは,交 渉によってその消費,介 護量等 を決定 しているもの とす る。 図 を使 いなが ら,正 確 に定式化 していこう。ただ し,す でに述べたように, 幼年期 はその時期の効用 を考 えないので,以 下では捨象 している。
ヽ
ジ 拘 倣 急 この個人が まず決定するのはsで ある。そのsを 決めた後,そ の個人の親が 確率 ?で 病気 にな り,親 との交渉 によって,病 気の時はァとと,元 気 なときは 冴を決定す る。その個人 自身が老年期 になった後,そ の子供(壮年期)がs+1を 決定す る。そ して個人 自身が確率 ?で 病気,確 率 1-?で 元気 にな り,子 供 と の交渉 によってみ 1,五十1,″+1が決定 される。添 え字の +1は 期 間が進 んだ ことを示 している(-1は 1期 間前の決定であることを示すこととなる)。 個人の生涯 に渡 る効用最大化問題 は次のようなものである。 max 7(s)十 (1-?)[」 (cガ,0)十 (1-?)灯 (冴+1) 十 ? { r O 年 1 + 五 十1 ) 十【( 五十1 ) } ]十? [ び
( c r ル
) 十( 1 - ? ) 「
( 冴
+ 1 ) 十
? t r O 年
1 + ん
+ 1 ) 十
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+ 1 ) } ]
壮年期伯
拶多み
滑穐
子
戦がきふ群方
譜
介護を含んだ世代交代モデル 187 た だ し,交 渉 に よって決 まるみ 1,あ+1,″+1,及 び五 五,″ について(また c五十1, C五十1,Cr,C″)は,次 の最大化 問題 に よって決 まる。 まず,病 気 になった個 人 自 身(老年期 ,親 )とその子供(壮年期 ,+1世 代)との交 渉 を示す問題 は,
み
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ま
岳
Ъ
, 戸辞 百 1 r 1 / t l + あ
H ) 十
純. l l l
十 弧 句Ⅲ, h ) s u b . t o . c r , + 1 = 妃S + 1 p メ + 1 であ り,元 気 なその個人 とその子供 との交渉を示す問題は,ガ 播" 瓜
外D 十 晩
もの
s u b . t o . c 五十1=妃 S + 1 ″ +1 である。兄は賃金(一定),pは 家庭外介護の価格であ り,一 般消費財の価格の 1 よ りは大 きい もの とする。s及 びs+1が与えられた下で,こ の問題が解かれる。 交渉による決定は,そ れぞれの力関係(交渉力)によって,効 用のウエイ ト付 けというかたちで現れるものとしている。{親の交渉力に依るウエイ ト}×{親の 効用}十t子供の交渉力に依るウエイ ト}×t子供の効用}というかたちである。交 渉力は,親 にとっては子にかけた教育や,子 供 と一緒に暮 らした壮年期の基本 的な消費,ま た家屋等を念頭に置いたsの値 にあたると考え,ま た子供の交渉 力は所得の残額妃一s+1と考えている。本来はナッシュ交渉解を使用するのが 望ましいと考えられるが,計 算の簡単化のために,こ のような定式化を行った告 その個人自身が子供の時にもその個人の親(-1世 代)との同様な交渉の問題 が存在する。s_bsを 所与 とした下での五 と,″の値が得 られる。 さて,最 初 にsを 決め,そ の後に交渉によって,と ,冴を決めることになっ 4 ) S i a o n , P i c o n e , a n d H o e r g e r ( 1 9 9 7 1 が, 交 渉力 を効用のウエイ トとして使用 して,同 じ ように交渉過程の定式化 を行っている。 本稿 における ア( s ) という設定の仕方,交 渉力をs,妃一sと考えること等は,計 算可能 性, 尤 もらしい解の存在等によって選択 した面 も少なからずある。改善の余地が種々残っ ているものと考える。188 千 本木修一教授 追悼号 (第332号) 0 ているために,こ の問題 は二段階ゲームの形式 を採 る。すなわち,ま ず交渉の 問題 を解 き,そ の個人 自身が親の場合,み 1=ム す(S,S+1),あ+1=Aん (s,s+1), ″+1=A″ (s,s+1)が得 られる。逆 にその個人が子供の場合の交渉 による解 は, メ=ム ァ(s_1,s),L=AL(s_1,s),″ =ム ″(s_1,s)となる。 これ らが生涯 に渡 る 効用最大化の問題 に代 入 され,s l,s+1が 所与の下で,sに よって最大化 され る。s=B(s_1,s+1)が 導出 され,Steady state(s_1-s=s+1)の 仮定 をお く ことによってlsが 決定 し,そ の sを 使 って最終的に全 ての内生変数の解が得 られる とい うこととなる。 皿.均 衡解 具体 的な均衡解 を導出 して分析 を行 うために,効 用関数の特定化 を行 い,計 算 してい く。r/(c,ぁ)=10gc一 θL,【 (あ)=九 あ とし,こ れ以外 は log関数 と す る。ただ し,θ >九 >0で あ り,え は適切 に小 さい もの とする。 二段階ゲームの形式 なので,ま ず second stageから計算する。 5)こ のモデルにおいては,貯 蓄 を明示的には考 えていない(sの中の一部 とは考えられるだ ろ う)。しか し,sと い う記号 を使 っているところか らも推測で きるか もしれないが,当 初 は貯蓄 を行 うモデル を構成 していた。 しか しなが らsを 最初 に決める とい う形のため,貯 蓄 と考 えるの には不 自然 な点 も残 る と考 えた(よって 7(s)を導入 した)。sを 最初 に決め る とい う形式 は,不 確実性 を含 んだ二段 階ゲーム として考察が簡単で,計 算 も容易 とい う利 点がある。 もし貯蓄 を明示的 に考 えた場合,親 が病気 になった場合 と元気 な場合 とで,貯 蓄の大 きさが変 わって くる と考 えるのが普通 である と思 われ,か な り複雑 になる もの と思 われ る。 しか し,遺 産 を考察の対象 にで きるなど長所 も多いだろう。 この点 について も, 改善の余地 は大 きい と考 える。 6)s_1=s=s+1と い うような,前 後併せ て 3期 の値が等 しい とい うsteady stateの仮走 をお い て,均 衡解 を求 めてい る もの に,本 稿 が その枠組 みの基礎 と した Cremer and Pestieau(1993)や,子 供数の決定 と社会保 障問題 をナ ッシュ均衡 の枠組みで分析 している
Nishimura and Zhang(1995)等があ る。 しか しなが ら,こ の考 え方 は,必 ず しも望 ま し い方法 とはいえない と考 えられる。sを 決める際 にまだ決 まっていない将来の s+1を 使 う ことや,均 衡への安定性の議論 と不整合 だか らである。 一つの合理的であろうと思われる方法 は,s+1=φ (S)と仮定 したうえで,sに よる最 大化 の解 として再 びs=φ (s_1)を導出す ることである。s=φ (s_1)は無理 のない差分体 系であるか ら,均 衡解 の安定性 の議論 も可能であろう。 この ような予想整合性 の基本 的な 考 え方 は,藤 生(1998),Fttiu(2000)等に もある。河相0001)においては,ナ ッシュ均衡型の 介護 モデルにおいて,予 想整合的な考 え方で計算可能 なモデル を構成 しているが,モ デル のかたちに融通性が な く,か な り限定的なモデル となっている。 この問題 には,動 学ゲー ム等への筆者 自身の理解 を深める必要性 も感 じている。
介護を含んだ世代交代モデル 189 病気 にな り,子 供 と交 渉す る場合 の最大化 問題 は,
ズ
号
賛l s十
月
―s+l tbg(み
1+あ
+1)十
れ+1}
十 1 1 0 g l 妃 一p み 1 - 弟 対 ―" Ⅲ ] である。 これを解いて,家 庭外介護,家 庭内介護の量はそれぞれ次のようにな る。 貴 S + 1 月 S + 1 メ+1=― ― p θ ( 妃 S + 1 ) 九 S h l = 一 学 病気 にはな らず, 元 気 な ときは, そ の交渉の最大化 問題 は, サ ?声 s十 貴 ― s+lbダ ・ltt s十 月 一 s+1崎 g竹 ― 冴.l― stl) こ れ を解 い て , S ( 妃 S + 1 ) ″+ 1 s 十 月― s + 1 となる。その個人自身が親 と交渉する子供(壮年期)である場合は,以 上の解で, sをs l,s+1をsとすればよい。 さて,次 にnrst stageに移る。その最大化問題は整理 して,次 のようにな る 。m a x 竹
滅o g s 十
( 1 - 2 ) { l o g ( 妃
―″―s ) + 1 0 g ″
+ 1 }
十 ? [ 1 0 g t 角 ― p メー s } ― θr + 1 0 g 匂 年 1+五 十1)十 九五十1] s e c o n d s t a g e で解 いたみ 1 , 二十1 , ″+ 1 を, ま た五 あ, ″も代入す ると, 最 大化 問題 は晋
X t t b g S 十
( 1 - ? ) b g l 石
ざギ十毛│ 二百」
十( 1 - ? ) b g l 挙
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190 千 本木修一教授追悼号 (第332号)
十抽 g l l ―
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である。一階の条件式 は, 以 下の ようになる。 苦 十 ( 1 - α ) ( 巧ボ1 そ戸一 十 芋 ― 真再百五モ= 瓦= 一 ) 十 。 ( f 十 一 而 だ ■ 石 十 十 一 面 戸 詳 戸 戸 )一
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S t e a d y s t a t e を仮定 して,s l=s‐ s+1と し,整 理すると,半 ―
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の となる。 この式 を満 たす s が 本 モデルの均衡解である。家庭外介護量 克 家庭 内介護量のと, 元 気 な場合 の老年期 の消費 " は , 次 式 に均衡値 s を代入 した も の となる。 妃 ― s 月 一 s y = p θ 妃 一 (え 十 θ)s あ 三 一 二里 テ 王≧ ″ 三 二玉 ギ告 ■三と 伸 ) 71均 衡解の存在 は,(2)式 においてその第一項のみが s→ 0の とき無限大 になること,第 二項のみがs→ 九十 θ虫 )の ときマイナス無 限大 になる (θ>九 >0よ り)こ とか ら, 0<S<え 十 θ角の範囲内で保障 されるであろう。E 騨 ⋮ ⋮ ! ︰ ⋮ ︱ ト ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 介護を含んだ世代交代モデル 191 Ⅳ . 比 較静学
比較静学を行う。まず(2)式を使ってsに対する影響を計算すると,以 下の
ようになる。
券=―
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一 脚体 〓位十
の
2?九角(R-2s)2(論妃_sド
+7
駒 ( 希 妃―s )(希 妃
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券>0 稼 =a流
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幡 器 >o
である。家庭外介護,家 庭内介護への影響は, げ = 十一 芋 ― 市 戸 沸 覇 丁 1 冴s ―翌; 濠ダ 上の 十 1 1 2 冴 θ十 1 芋 十稲 房 十 希 蒋 仇 = 1 芋 十 百詳 戦 鋒 w l 】 s 十三ジ 上 の 8)厳 密 には,特 に第三項の分子の値 によっては,確 証で きない。 しか し,(2)式 も考慮 に 入れて,九 ,物,θ,夕の値 を適切 にとれば,ほ ぼ大丈夫であろう。 〓体
一 況
( 妃2 - ? _ s ) 2 2 ただ し,△ =― 1 + 物百
吉
争
≡
ゼ
予
戸
十
1況
千本木修一教授追悼号 (第332号 ) 妃 ( 兄一 s ) [θ妃―(九 十 θ)s]2
溺
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十
十
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[θ妃―(え十 θ)s]2 ( 九 十 θ) s1況
と計算 して, 券 < 0 券 >0稼=揃guO岨
(稼<0の
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三 げ 一 況 attbiguous稼=a曲
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u。
ぃ(梯<0の
と
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三 ambiguousとなる。比較静学の符号があまり定まらない。交渉を伴う世代交代モデルであ
の る の で , 複 雑 な動 きを して い る と も言 え よ う。 V . 若 干の議論 ここでは介護保険制度 に関連 した議論 を行 う。本稿のモデルでは明確 には介 護保険制度 は導入 されていないが, 介 護保険の導入 を, 家 庭外介護( サー ビス) の価格であるpの 下落 と考 えることによつて可能であろう。保険によって もし 1 0 ) もの時 には安 く購入で きるとい う観点である。 前章の比較静学 によれば,pの 下落 によって,家 庭外介護量 は増加 し,家 庭 内介護量 は減少する。普通の結果ではある。 しか し,こ の ときに考 えなければ な らないのは,家 庭外介護の量 メよ りも,介 護全体 の量,メ十二の量である。 r 十 二が効用 に直接 的に関係す る。計算すれば, 以 下の ようになる。 9)モ デル構成が世代交代等 を導入 して相違 しているものの,Siaon,Picone,and Hoerger (1997)の親 と子 が交渉 して選択す る場合 の結果 と較べ て大 きな違 いがでてい る とも言 えな い。特 にpの 影響 は同一である。 10)現在 の介護保険制度 は,介 護サー ビス毎 に 1割 の負担が必要である。 この点 については 介護サー ビス利用 の抑制 につ なが っている との批判がある。介護保険制度施行前 まで に地 方 の社会福祉制度 によつてほぼ無料 で介護サー ビスを利用 していた人々 も多 く,そ こか ら の負担増 に対す る不満 も多い と聞 く。肱
一 況
況 θ妃 介護 を含 んだ世代交代 モデル 】(メ十五)= αs + 0 。 の 一 s ( 妃一 s ) 冴θ [θ妃―(え 十 θ)s]2 [θ月―(え 十 θ)s]2 θs [θ妃―(几 十 θ)s]2 特 に, >0 であることが分かる。 よって,pが 下落 した とき,介 護量の総計 は減 ることに なる。家庭内介護量が減ることと考 え合わせれば,す なわち,病 気 にな り,介 護が必要 になった時の効用 は減少することを示 している。 す なわち介護保険制度の導入が,介 護 を必要 としている人々の効用 を必ず し も増加 させ るとは限 らないことになる。 よって,介 護 を必要 とするか もしれな い老年期の人々か らは,介 護保険制度導入に対する何 らかのリアクションがあっ て もおか しくはない。個人は生涯 に渡 る効用 を最大化 しているのであるか ら, ある時期の特定の場合 に効用が下がることによってのみその損得が判断 されて はならないが,政 治的な問題,現 在 どの世代に属するのかという個々人の現実 的な問題を考えれば,そ のようなリアクションを全 く無視 して良いとはならな 1 1 ) いであろう。 当然なが ら,こ の結果は変わりうるもので,常 に生 じるものとはいえない点 には気 をつけるべ きであろう。本稿は単にこういうことも起こり得るというこ とを示 したにすぎない。このような結果が生 じたのは,10g関数への特定化や, 交渉問題の設定の仕方,ま たsteady stateの設定の仕方等,種 々の要因による ものと思われる。また,生 涯に渡る効用を最大にしているのであるから,こ の 1 1 ) ここで, p の 減少 によって, 生 涯 に渡 る全効用が増加す るとい う保障は必ず しもない と い う問題 も存在す るように思われる。 これは交渉 による介護量の決定過程が,非 効率 を生 み出 している可能性があるか らである。pの 減少の際 に全効用が著 しく減 っているな ら,
誘先
懇
声
嘉
舞
添
訟孫
韻亀
醒寓
義
薫
、
鏑I禰繰緋 t,S晶
星
署
縫
をしている壮年期の効用の増減は確定せず,ま た不確実性に関連 しない7(s)の値は減少 する。全般に渡って,筆 者の能力,時 間不足による,種 々のミスのないことを祈っている。194 千 本木修一教授 追悼号 (第332号) ようなことも起 こ り得 るともいえよう。 介護保険制度の導入 をpの 下落 とい うことで考 えたが,同 時に保険料 もとる ので,月 の下落 も同時 に考 えるべ きか もしれない。ただ し,妃 の比較静学の結 果が必ず しも確定 していないので,直 ちに有意味 な結果 を導 けない。介護保険 の導入 を明確 に捉 えることは今後の課題である。 違 う方向か らの議論 として,介 護保険の導入 を θの値 の上昇 を伴 うとい う ことが考 えられるか もしれない。介護保険の導入 によって,介 護 を家庭内です ることよ りも,家 庭外介護サービスを使 うことが当た り前 とい う風潮 を生む と の発想である。θの比較静学の結果が必ず しも確定 していないので,直 ちに結 論 は導 けないが,直 感的な点か らいって も家庭内介護の減少,家 庭外介護の増 加が考 えらだ│ま たその時, も 負 であるか ら,や は り,介 護の受 ける老年期の人々の効用 は減少す ることとな り,こ の場合 も介護保険への反対 の声が生 じるとも言 えるだろう。 Ⅵ.終 わりに 本稿 の 目的は,家 庭内介護 と家庭外介護が存在する世代交代モデルを構成 し て,外 生的な変化が介護 にどの ような影響 を与 えるのかを分析 し,わ が国で導 入 された介護保険制度 に対する若子の議論 を行 うことであった。介護 は病気 に なつたがために必要になるので,病 気 になる不確実性 も導入 し,ま た介護量の 決定は家族 内の交渉によって決 まるとい う枠組みにもなっている。 比較静学の結果 は直感的な もの と大 きく外れることはない ものであったが, そ こか ら,介 護保険制度導入 に伴 う世代 間のギャップの生 じる可能性が示 され た。介護保険の導入が必ず しも介護 される側の効用 を増大 させるものではない
p s の
均
衡
値
が
チよ
になる可能性がある。 い 。 り小 さければ確定 L ま た 孝 よ り大 きくて も, ま だ稼 の値 は負 よつて直感的な, ギタ> 0 , 場 チ< 0 を 考慮す ることは無駄ではな介護を含んだ世代交代モデル 1 9 5 ため,導 入 に対 して摩擦 の生 じる可能性 であ る。 この ような結果は,本 稿モデルにおける関数の特走化,家 族間の交渉過程の 設定 についての特定化,長 期的均衡の特定化等 にもよって生 じている可能性 も あるので,関 数の一般化,交 渉過程の精密化 もしくはナ ッシュ交渉解の採用, そ して整合性の高い長期均衡の仮定,等 によってより広範囲な分析がなされる べ きであろう。また,利 他主義 を考慮するか, もしくは利他主義が中心のモデ ルを考 えること,遺 産 を含 むかたちにすること等が,課 題 として残 されている であろう。介護保険制度 を明確 に定式化 して議論すること,ま た税問題や地方 格差の問題への展開 も考 えられる。 参考文献
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