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Kekkaku Vol. 85, No. 1: 47_60, 第 84 回総会ミニシンポジウム. 1 2 キーワーズ QFT TNF-α HIV QFT LTBI LTBI LTBI CT QFT 1 LTBI TNF-α TN

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第 84 回総会ミニシンポジウム

Ⅳ. ハイリスク者の結核発病予防

座長 1

佐々木結花  

2

豊田恵美子

キーワーズ:結核発病予防,医学的ハイリスク,潜在性結核感染治療,QFT シンポジスト: 1. 副腎皮質ステロイド剤投与者における結核予防可能   例の検討    川島正裕(国立病院機構東京病院) 2. 関節リウマチ治療における結核発病の問題点─ステ   ロイドから抗 TNF-α製剤について    松本智成(大阪府立呼吸器・アレルギー医療セン ター) 3. 血液透析患者における結核予防可能例の検討    川﨑 剛(国立病院機構千葉東病院) 4. HIV 感染者からの結核発病予防について    藤田 明(東京都立府中病院) 5. 潜在性結核感染治療者の管理上の問題    白井千香(神戸市保健所)  本邦の結核は,過去 10年間は順調に減少傾向を続け低 蔓延に向かっているが,ここで再び罹患率減少鈍化の傾 向が懸念される。一方,結核諸分野において著しい進歩 が あり,QFTによる結核感染診断や潜在性結核感染 (LTBI)治療の普及もその一つである。2007年より感染 症法下に潜在性結核感染が治療の対象として明確化され たいま,結核発病予防可能例への対策はコーナーストー ンであろう。すでに 2004 年本学会および日本リウマチ 学会より「さらに積極的な化学予防の実施について」の 勧告があり,発病のハイリスク者への LTBI治療を促し ている。免疫低下患者の結核発症が続出している一方 で,医学的弱者に対する臨床現場での結核への関心は薄 く,化学予防へのステップは今なお停滞している。  本シンポジウムは,臨床現場で免疫低下者や免疫抑制 治療が必要である医学的弱者を対象として,各分野の臨 床専門家から潜在性結核感染と結核発病へのリスクの状 況,その予防対策や問題点を報告していただき,具体的 推進策を検討し提言するものである。  国立病院機構東京病院の川島正裕氏から,副腎皮質ス テロイド剤投与中に結核を発病した患者群では,結核発 病リスクの配慮はほとんどなく,予防可能例への LTBI 治療はされていないことが述べられた。自施設呼吸器科 で副腎皮質ステロイドを開始したほとんどの症例で CT,QFT 検査あるいはツ反により結核発病のリスクは 検討しているものの,定期的に慎重に観察する手段とし ており,このうちからの発病は 1 例であったが,基礎疾 患の予後を不良にする要因となった。今後は予防内服と しての LTBI治療を実施する方向性を示された。  大阪府立呼吸器・アレルギー医療センターの松本智成 氏は,関節リウマチ治療とくに抗 TNF-α製剤投与によ る結核発症への予防対策について述べられた。治療開始 前にリスクのある対象者は適正な予防治療を行うことで 結核を発症することなく抗 TNF-α製剤投与ができるこ とが示され,同時並行して投与することや,結核発症し た場合も結核治療しながらの抗 TNF-α製剤投与の可能 性も検討された。結核の発症を原病の悪化と誤診しない ことを警告された。  国立病院機構千葉東病院の川﨑剛氏は,血液透析患者 への予防内服について,透析施設へのアンケート調査の 結果に基づいて,多くの施設では透析患者の結核発症の リスクへの関心が薄いこと,施設内での感染防止には配 慮しているものの,ハイリスク患者の予防内服はほとん ど行っていないことから,結核教育の普及が重要と報告 された。  東京都立府中病院の藤田明氏から,HIV感染症例への 1独立行政法人国立病院機構千葉東病院,2独立行政法人国立病 院機構東京病院 連絡先 : 豊田恵美子,独立行政法人国立病院機構東京病院,〒 204 _ 8585 東京都清瀬市竹丘 3 _ 1 _ 1 (E-mail: etoyota-in@tokyo-hosp.jp) (Received 1 Oct. 2009)

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低蔓延化に備えた対策につなげる必要があることを述べ られた。  2007年より感染症法のもとで,予防内服は LTBI治療 として確立され,QFT検査により確実に感染を診断でき るようになった。医学的ハイリスク者の結核発症防止 は,基礎疾患の治療を順調に進めるうえでもメリットで あり,周囲への感染制御にとっても有効な手段である。 安全性を確認しながらアドヒアランスを維持することは さらなる注意と支援を要するが,まずこのような基礎疾 患を治療する医師への情報を発信し結核発病のリスクと 防止へのアピールが重要である。この目標の実践につい ては,呼吸器学会をはじめ他学会への積極的な呼びかけ を今後の課題として挙げた。また医学的ハイリスク者の LTBI の届出と登録は,サーベイランスばかりでなく治 療支援のうえでも,医療と行政の連携に不可欠である。 QFT 等 IGRAs の適応や,先に HIV 感染症が診断されそ の後に結核を発病した自施設の症例の結核予防について 検討された。結論として,① HIV感染者に対して,CD4 +が 50/μL 以上の場合は QFT 検査を推奨する。とくに 複数のリスクをもつ「スーパーハイリスク者」には年 1 回検査を実施し,CDC ガイドラインに準じた対応を行 う,② HAART開始後はそのアドヒアランス維持に留意 する,③結核患者接触時に HIV 感染者を見逃さずに適 切な対応を行う,ことが提案された。  神戸市保健所の白井千香氏から,神戸市保健所で行っ ている接触者健診における QFT 検査による結核感染診 断および LTBIの現状報告と,近畿地域の保健所のアン ケート結果から LTBI の届出と登録の意義が検討され た。主治医も行政も届出の意義を理解し,医学的ハイリ スク要因の現状を公衆衛生の課題として共有し,将来の は じ め に  本邦において結核既感染率は中・高年齢層で急速に高 まり,糖尿病・担癌状態・自己免疫疾患・腎不全等の基 礎疾患あるいはそれらに対する医療的介入も影響し免疫 抑制状態に陥り,結核発症を惹起しやすい状況にある。 免疫抑制宿主では結核の重症化ならびに基礎疾患のコン トロール状態の悪化を招きやすい。さらに周囲の同様な 基礎疾患を有する患者への結核感染のリスクも高く, 中・高年齢層の免疫抑制宿主に対する結核発病リスクの 評価ならびに潜在性結核感染症(LTBI)治療は,結核 制圧における戦略の一つとして重要である。TNFα阻害 薬の使用に伴う結核発症の著明な増加を契機として,本 学会および日本リウマチ学会より「さらに積極的な化学 予防の実施について」1)の勧告がなされ,結核発病リス ク要因を有する者を対象とした LTBI治療を行うことは 容易となった。しかしながら,免疫抑制療法の基本的薬 剤である副腎皮質ステロイド(以下,ステロイド)投与 例における LTBI治療の現状は明確でない。ステロイド 定期投与中に結核を発症し当院に入院した患者ならびに 当院で呼吸器疾患に対してステロイド定期投与を開始し た患者の臨床情報をもとに,ステロイド投与中に結核を 発症した患者の背景因子,ステロイド導入時の結核発病 リスクの評価の現状ならびに LTBI治療の実施状況等に つき検討を行ったので報告する。 対象と方法  2006 年から 2008 年の 3 年間に,ステロイド定期投与 中に結核を発症し当科に転院した 41 症例,ならびに呼 吸器疾患に対し当科にてステロイド定期投与中の結核未 発症患者のうち 2008年に当科に入院歴のある61症例を 対象とした。両群の各症例に関して,カルテ,臨床検査 データおよび胸部画像検査等の臨床資料をもとに,患者 背景,ステロイド導入時の結核発病リスク評価の内容な らびにそれに基づく LTBI治療の実施の有無を中心に検 討を行い,それをもとに結核発症予防可能例の拾い上げ の方策について考察した。 結   果 (Ⅰ)ステロイド定期投与中に結核を発症し当科に転院 した症例(n=41)の検討  結核発症年齢は 72.1±13.7 歳(mean±SD),男女比は 13:28 と高齢かつ女性患者の比率が高かった。ステロ イド投与の基礎疾患は,肺病変を認めない膠原病 61%, 膠原病肺 20%,特発性間質性肺炎 7%,サルコイドーシ ス 5%,COPD・気管支喘息 5%,ANCA関連肺疾患 2% であり,呼吸器科領域の病態に対するステロイド導入は 39% であった。ステロイド投与以外の結核発症リスク要 因として,糖尿病 15例,慢性腎不全(血清 Cr≧1.5 mg/ dl)3 例,悪性腫瘍 1 例の合併を認めた。結核発症時に おけるステロイド投与量は平均 10.5±1.2 mg/日(mean

1. 副腎皮質ステロイド剤投与者における結核予防可能例の検討

独立行政法人国立病院機構東京病院呼吸器科 

川島 正裕

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Fig. 1 Steroid-dose distribution on episode with tuberculosis

during steroid therapy (n=41, mean ; 10.5±1.2 mg/day)

Fig. 2 Duration from starting of steroid therapy to episode

with tuberculosis (n=34, mean ; 59.1±12.5 months)

Fig. 3 Dose on the last observation during steroid therapy

among patients in our hospital (n=61, mean ; 10.7±1.2 mg/day)

Fig. 4 Duration from start of steroid therapy to the last

observation among patients in our hospital (n=60, mean ; 35.4±7.2 months)

less than

5 mg from 5to 10 from 10to 15 from 15to 20 from 20to 30 more than30 mg 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0

*Steroid doses were converted to Prednisolone

less than

5 mg from 5to 10 from 10to 15 from 15to 20 from 20to 25 from 25to 30 more than30 mg 25 20 15 10 5 0 less than

3 months from 3to 6m to 12mfrom 6 form 1 to3 years from 3to 6y from 6to 10y 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 more than 10 years less than

3 months from 3to 6m to 12mfrom 6 form 1 to3 years from 3to 6y from 6to 10y 16 14 12 10 8 6 4 2 0 more than 10 years ±SE ; プレドニゾロン換算)であり 5 mg 以上 10 mg 未 満 /日を内服している症例の頻度が最も高かった(Fig. 1)。内服開始から結核発症までのステロイド投与期間 (n=33)は 59.1±12.5 カ月(mean±SE,Fig. 2)であり, 1 年以上ステロイドを内服している患者が 76% に上っ た。また 39%で MTXや Bucillamineを主体とした免疫抑 制剤を併用しており,うち 3 例では TNFα阻害剤を併用 していた。  結核発病のリスク評価において結核菌感染の既往の評 価はきわめて重要であるが,問診により上記 41 例のう ち,結核発症の既往を有するが適切な化学療法歴がない 症例が 4 例,結核患者との接触歴を有するが LTBI治療 未施行の症例が 9 例存在することが明らかとなった。ス テロイド導入前のツベルクリン反応実施例は 41 例中 3 例であり,うち 1 例は陽性であった。またステロイド導 入前の胸部画像検査を検討できたものは 41 例中 4 例で あり,うち 2 例では陳旧性肺結核病変(肺門・縦隔リン パ節 /胸膜/肺内石灰化病変,胸膜癒着,線維化病変等) が存在していた。問診,ツ反および胸部画像検査より LTBI 治療の適応に含まれると考えられる症例は上記の 検討から 15例存在していたが,実際に LTBI治療が実施 されていたのは 1 例のみであり,その 1 例もアドヒアラ ンス不良で治療中断に至っていた。  副腎皮質ステロイド投与中に結核を発症した患者の重 症度に関する検討では,41例中40例に肺結核を発症し, うち 28 例が両側性陰影で 6 例(15%)が胸部画像所見 上粟粒結核パターンを呈していた。罹患臓器 2 臓器以上 の粟粒結核は 7 例(18%)に認められた。予後に関する 検討では,平均在院日数は 99.0±13.9日と長く,41例中 7 例(17%)が在院死亡であり,うち 4 例が結核による 死亡であった。 (Ⅱ)当科にて経過観察中であるステロイド定期投与中 の呼吸器疾患症例(n=61)の検討  最終観察時での年齢は 69.2±10.6歳(mean±SD),男 女比は 31:30 と高齢で性差は認められなかった。ステ ロイド投与の基礎疾患は,膠原病に伴う間質性肺炎 25 %,特発性間質性肺炎 20%,COPD・気管支喘息 11%, ANCA 関連肺疾患 8 %,ABPM 8 %,薬剤性肺障害 7 %, サルコイドーシス 3%,その他18%であった。ステロイ ド剤投与以外の結核発症リスク要因として,糖尿病 29 例,慢性腎不全(血清 Cr≧1.5 mg/dl)2 例,悪性腫瘍 4 例および胃切除後 1 例の合併を認めた。最終観察時にお

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けるステロイド投与量は平均 10.7±1.2 mg/日(mean± SE ; プレドニゾロン換算)であり 5 mg 以上 15 mg 未満/ 日を内服している症例が全体の約 6 割を占めていた (Fig. 3)。内服開始から最終観察時までのステロイド投 与期間は 35.4±7.2 カ月(mean±SE,Fig. 4)であり,ス テロイド投与中に結核を発症し当科に転院した症例群と 比較し,平均副腎皮質ステロイド投与量はほぼ同じだが 平均内服期間は約 2 年短かかった。20例(33%)で CyA 等の他の免疫抑制剤を併用しており,1例のみ TNFα阻 害剤を併用していた。  結核菌感染の有無の評価に関して上記 61 例のうち, 結核症既往等に関する問診では 8 例,ツ反では 2 例,胸 部画像検査では 12例が結核菌感染の既往があると考え られ,LTBI治療の適応に含まれる症例は17例存在して いた。しかしながら,LTBI に対する治療実施例は 1 例 もなく,さらに経過観察中に肺結核の発症を 1 例に認め た。 考   察 ( 1 )ステロイド投与中の結核発症の背景因子  ステロイド投与中の免疫能低下に伴って発症する結核 症が,どの程度のステロイド投与量ならびに投与期間で 発症するか明確に論じられている報告は皆無である。選 択的ツベルクリン反応検査と LTBIの治療に関する声明 (2000,ATS/CDC)2)においては,①プレドニゾロン 15 mg を 2 ∼ 4 週間使用するとツ反の抑制が生じる,② ① よりも低用量の場合,あるいは間歇的にこの量が投与さ れた場合に結核発病の上昇はみられていない,を理由に この量を結核発病リスクの下限と定めている。本学会お よび日本リウマチ学会より勧告されている「さらに積極 的な化学予防の実施について」においては,ATSのガイ ドラインを参考にしたうえで「 1 日に10 mg以上のプレ ドニゾロンと同等量の投与を 1カ月以上予定している場 合,同時あるいは可及的早期にイソニアジドの投与を開 始する」とされている。本研究での検討でも,結核発症 例のステロイド投与量の平均値は 10.5±1.2 mg/日(mean ±SE ; プレドニゾロン換算)であり,LTBI 治療の適応を 決定する際の境界値として 10 mg/日(プレドニゾロン 換算)は妥当な値と考えられる。さらにステロイド投与 開始から結核発症までの投与期間は平均 59.1±12.5カ月 (mean±SE)であり 1 年以上の投与期間を有するものが 76% を占めていたが,ステロイド投与期間 3 カ月未満で の発症例も約 1 割存在することから,本邦でのガイドラ インで示されているステロイドの投与期間「 1 カ月以 上」に関しても妥当性のあるものと考えられた。またス テロイド投与の原因となった基礎疾患について肺病変の ない自己免疫疾患が約 6 割を占めることから,ステロイ ド投与下では正常肺構造の破壊の有無に左右されずに結 核が発症しうることが示唆され,糖尿病の合併や他の免 疫抑制剤の併用も高率でありこれらも結核発病リスクと して寄与しているものと推測された。 ( 2)ステロイド投与前の結核発病リスク評価の現状  「さらに積極的な化学予防の実施について」の勧告に 基づき,問診,ツ反および胸部画像所見を基準に LTBI に対する治療適応を判断した場合,ステロイド投与中の 結核発症例 41 例中 15 例(36.6%),当科で経過観察中の ステロイド投与患者 61 例中 17 例(27.9%)において, LTBI 治療の適応ありとレトロスペクティブには判断さ れたが,LTBI治療が実施されたのは 1 例のみであった。 このような症例のうち,LTBI治療を実施することで結 核の発症をどの程度抑制できるか明確にすることは困難 であるが,医療者側の LTBI治療に対する認識が低かっ たことは否めない。また当院のような結核専門病院にお いて LTBI治療が実施され難い状況に関しては,①基礎 疾患による既存肺病変と結核性病変の鑑別が困難な状況 では,活動性肺結核の可能性も考慮し,できるかぎり単 剤の抗結核薬治療である LTBI治療は避けたい(耐性誘 発を避けたい),②結核専門病院では活動性結核を見逃 す危険性は低く,結核発症時に適切な治療を実施できれ ばよい等の考えが存在するためと思われる。しかし,ス テロイド投与が必要な基礎疾患存在下での結核発症が不 良な予後につながること・結核発症に伴い基礎疾患のコ ントロールが悪化しやすいこと・医療コスト増などの負 の側面を考慮すれば,ステロイド投与例に対する LTBI 治療をより積極的に実施してゆくことが適正な医療と考 えられる。 ま と め  本検討の結果から副腎皮質ステロイド投与前の結核発 病リスク評価が不十分なのは明白である。基礎疾患に対 して副腎皮質ステロイド投与が必要な患者に対しては, 本学会「さらに積極的な化学予防の実施について」の勧 告に沿った形で,また必要な場合には抗酸菌検査・胸部 CT・QFT 検査も実施し,活動性結核の除外と LTBI 治療 の適応を判断する。LTBI治療の実施にあたってはアド ヒアランスの維持が重要であり,基礎疾患の治療を行う 主治医,LTBI治療を行う呼吸器科医・感染症科医およ び保健所が連携をとり治療完遂させるための環境づくり が重要である。 文   献 1 ) 日本結核病学会予防委員会, 有限責任中間法人日本リ ウマチ学会:さらに積極的な化学予防の実施につい て. 結核. 2004 ; 79 : 747_748.

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2 ) ATS/CDC : Targeted Tuberculin Testing and Treatment of Latent Tuberculosis Infection. Am J Respir Crit Care Med.

2000 ; 161 : S221 _ S247.

2. 関節リウマチ治療における結核発病の問題点

─ステロイドから抗 TNF- α製剤について─

大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター臨床研究部 

松本 智成

 抗サイトカイン療法の出現により,関節リウマチの加 療は大きく変化し,早期に積極的な治療を行えば寛解導 入が可能となってきた。その中心の一つを担う抗 TNF 阻害療法が結核発症の頻度を上げることが発表され結核 問題がクローズアップされている。  世界の人口の約 3 分の 1 が結核感染している中,関節 リウマチ患者に対して早期に抗 TNF 製剤を含む生物製 剤投与が推奨されることは,結核発症の爆発的な増加を 引き起こす可能性がある。このような観点により結核発 症なしに抗 TNF 製剤を投与することは重要な課題の一 つである。  2005 年,日本での抗 TNF 製剤投与における結核問題 について,以下の内容を本学会総会にて発表した。 1. 結核感染の診断が難しい。 2. 結核発病に対する予防内服法が確立していない(い   つから,いつまで)。 3. 典型的な結核像をとらないため,抗 TNF 製剤投与中   の結核発病診断が難しい。膠原病診療におけるステ ロイドを含む免疫抑制治療で注意しなければならな いことは,結核,特に粟粒結核の発病による症状を 現疾患の悪化ととらえて免疫抑制療法を強化してし まうことである。 4. Paradoxical response を起こし結核加療が難しくなる。 5. 結核発病にて抗 TNF 製剤を中止するとリバウンドを   起こすので結核発病時の関節リウマチの治療が難し い。また抗リウマチ薬と抗結核薬の薬の数が多くな り薬の相互作用に気をつけねばならない。 6. 結核治療後の関節リウマチの加療法が確立していな   い。 7. 結核と関節リウマチ療法を診療できる医療機関の確   保が難しい。  結核発病において問題の残るレミケードであるが,日 本におけるレミケード投与が 5,000人を超え結核に対し ても新たな知見が得られてきた。一つは,INH予防内服 をしたリウマチ患者からは,レミケードを投与しても結 核が発症しなかったことである。このことは,適切に INH 予防内服を行うことにより,結核を発症することな しにレミケード治療できることを意味する。また,今ま で不可能と思われてきたが,適切な抗結核薬の存在下で は結核発病することなしに抗 TNF 製剤を投与できる可 能性が出てきた1)  これらの事実から,抗 TNF 製剤療法,特にレミケー ドを投与するときは,結核感染のスクリーニングを徹底 するのみならず,少しでも感染しているリスクがあれば 肝障害といった副作用に注意しながらも積極的に INH 予防内服を行うことである。  さらに膠原病診療におけるステロイドを含む免疫抑制 治療で注意しなければならないことは,結核,特に粟粒 結核の発病による症状を現疾患の悪化ととらえて免疫抑 制療法を強化してしまうことである。したがって症状悪 化時は,現病悪化と判断するより先に結核を含めた感染 症の発病を念頭におき,診断の遅れをきたさないように しなければならない。 文   献

1 ) Matsumoto T, Tanaka T, Kawase I : Infliximab for rheuma- toid arthritis in a patient with tuberculosis. N Engl J Med. 2006 ; 355 : 740 _ 741.

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は じ め に  本邦の結核罹患率の減少が鈍化しており,結核罹患率 をさらに低下させるためには,本邦での結核発病が高齢 者,免疫抑制宿主などに偏在している現状から,結核発 病のハイリスク者への対応が重要である1)。結核発病の ハイリスク者への対策として,本学会と日本リウマチ学 会は「さらに積極的な化学予防の実施について」を勧告 しており2),この中でハイリスク者として透析患者など の重症腎疾患患者が含まれているが,この勧告が透析医 療現場に浸透しているかどうかは不明である。透析施設 に対して行ったアンケート調査結果を基に,今後の透析 医療現場における結核予防策について検討したので報告 する。 透析患者の現状  日本透析医学会の報告(日本透析医学会統計調査委員 会:わが国の慢性透析療法の現況(2007年12月31日現在). 日本透析医学会. http://docs.jsdt.or.jp/overview/index.html)に よると,慢性透析患者数は年々増加しており,2007 年 12 月末時点で全国で約 27 万人と報告されている。透析 導入の主要原疾患については,慢性糸球体腎炎の割合が 減少傾向である一方で,糖尿病性腎症は増加傾向であり, 1998 年を境に糖尿病性腎症が第 1 位となっている。年 齢,性別の分布では,男女とも 50代後半から70代の割 合が高く,透析導入時の平均年齢は上昇傾向にあり,全 透析患者の平均年齢は 1983 年には 48.3 歳であったが, 2007 年には 64.9 歳となった。以上のことから,透析患 者は増加,高齢化しており,糖尿病性腎症による透析導 入患者の増加が今後も推測される。 透析患者における結核症  結核既感染者の年齢別分布については,年齢階級別既 感染率の推計では,50 代以上では既感染率が右肩上が りに上昇しており,高齢者では高い既感染率が推定され ている(大森正子:結核既感染者の推計. 結核予防会結核研 究所疫学情報センター. http://jata.or.jp/rit/ekigaku/)。透析患 者の年齢別人数と結核の推計年齢別既感染率を用いた透 析患者における結核既感染者数の推定では,50 代以降 に結核の既感染者が偏在し,その数が少なくないことが 推測された。  透析患者の結核発病リスクについては,本邦では 1982 年の稲本の報告では一般人口の男性6.4倍,女性12.4倍3) 2002 年の佐々木らの報告では男性 1.55 倍,女性 2.79 倍, 全体で 1.99 倍4),一方海外では 10∼25.3 倍高い5)との報 告がある。発病リスクの原因については,腎不全に伴う 免疫細胞機能の低下,糖尿病,糸球体腎炎,膠原病など の透析導入の基礎疾患およびその治療の影響および加齢 などによる細胞性免疫能の低下が報告されている。以上 のことから,透析患者は結核発病のハイリスク者である と言える。  透析患者の結核発病時期の特徴については,透析導入 前後および長期透析期に多く6),発病部位の特徴につい ては,リンパ節結核や粟粒結核などの肺外結核の割合が 高く,全結核の約 50% が肺外結核との報告がある4) 7) 透析施行中には,肺外結核も念頭に結核発病に注意しな がら,患者管理を行う必要がある。 透析施設における結核予防の現状  現状を把握するために千葉県内透析施設にアンケート 調査を行った。127 施設中回答は 55 施設(43.3%)であ った。本学会からの透析患者における潜在性結核感染治 療の勧告については,「知っていた」が 8 施設(14.5%), 「知らなかった」が 46 施設(83.6%)と本学会からの勧 告が十分に周知されていないことが明らかとなった。血 液透析導入前に潜在性結核感染あるいは結核発病を考慮 して精査を行うかについては,「自施設で施行している」 が 21 施設(38.2%),「他院または他科に依頼している」 が 4 施設(7.3%),「現在は施行していない」が 30 施設 (54.5%)と潜在性結核感染および結核発病の有無を評価 していない施設が大半であった。また,自施設で潜在性 結核感染の有無を評価していると回答した 21施設にお いて,ツベルクリン反応検査(以下,ツ反)またはクォ ンティフェロン TB-2G(以下 QFT-G)による精査を行う 施設は 5 施設(23.8%),行わない施設は16施設(76.2%) であり,血液透析導入前に結核発病の精査を目的として 胸部画像検査を行うかについては全 21施設で行うとの 結果であった。以上のことから,結核感染の評価方法が 施設間で異なり,ツ反や QFT-G などの活用方法が周知 されていないことが判明した。  次に「自施設で潜在性結核感染の評価を行う」と回答 した 21 施設において,診断した場合に治療を行うかに ついては「自施設で行う」が 5 施設(23.8%),「他院ま たは他科に依頼している」が 7 施設(33.3%),「施行し

3. 血液透析患者における結核予防可能例の検討

国立病院機構千葉東病院 

川﨑  剛

(7)

ていない」が 9 施設(42.9%)であった。自施設で施行 している 5 施設において,治療に際して心配があるかに ついては,「ある」が 3 施設,「ない」が 2 施設であり, あると答えた施設の具体的な心配点は「潜在性結核感染 の診断が正しいのか疑問が残る」が 3 施設,「患者への 説明が難しい」が 2 施設であった。また診断しても治療 を行わないと回答した 9 施設の理由は,「潜在性結核感 染の治療指針がわかりにくい」および「診断が正しいの か疑問である」がそれぞれ 4 施設,「治療の副作用が心 配」「多忙である」がそれぞれ 1 施設であった。  次に結核病学会からの勧告が透析医へ浸透していると 感じるかについては「感じる」が 3 施設,「感じない」 が 51 施設であり,潜在性結核感染治療については「さ らに積極的に行っていくべきである」と考えているのが 30 施設,「どちらかといえば行ったほうがよい」が 21 施 設との結果であった。以上のことから,本学会からの勧 告は周知されているとは言えない一方で,大半の施設で 潜在性結核感染治療が必要であると考えていることが判 明した。  次に透析中の患者が結核発病した経験があるかについ ては,「ある」と回答したのが 20施設,「ない」が35施 設であった。また結核を発病した患者の内訳では平成 18 年 1 月から平成 19 年 12 月の 2 年間において 11 施設で 結核発病があり,発病部位は肺結核 10例,肺外結核11 例であった。このことから透析施設における結核発病が いまだに少なくないことが判明した。  また結核発病した血液透析患者による院内感染の経験 があるかについては,「ある」と回答した施設はなく, 全 16 施設で「ない」との結果であった。院内感染対策 としてどのような結核感染予防対策を行っているかにつ いては,院内感染対策マニュアルの策定や職員採用時の ツ反検査などを施行している施設が多い一方で,「行っ ていない」と回答した施設が 7 施設であった。結核感染 予防対策を行っていない 7 施設の理由では,「標準化さ れた方式がわからない」が 4 施設,「多忙であり手が回 らない」が 3 施設との結果であった。  以上,アンケート結果より,「さらに積極的な化学予 防の実施について」の勧告が透析医に周知されていない こと,LTBIの評価方法が施設により異なり,ツ反や QFT 検査などの活用方法が周知されていないこと,LTBIの 診断および治療に困惑している透析医が少なくないこ と,結核の院内感染対策を行っていない施設もあること などが判明した。 透析患者における結核予防対策  透析患者では感染した場合の発病リスクが高く,発病 した場合に周囲の透析患者に感染が拡大する可能性があ り,潜在性結核感染治療による発病予防,発病者の早期 発見および治療,院内感染対策が大変重要である。  透析患者の発病予防策については,CDC は「保健医 療関連施設における結核感染予防ガイドライン」におい て,慢性維持透析を必要とする末期腎疾患患者は LTBI の判定のため,一度は結核菌感染の検査を受けるべきで あるとしており8),また本学会は LTBIと判断した場合に 積極的に治療を行うことを勧告している2)  また結核の院内感染対策については,本学会予防委員 会からの指針や透析施設内における感染予防に関するマ ニュアルが作成されており,参考にすべきと考えられ る9)(秋葉 隆:透析医療における標準的な透析操作と院内 感 染 予 防 に 関 す る マ ニ ュ ア ル, 3 訂 版. 2008. http://www. touseki-ikai.or.jp/htm/07_manual/doc/20080627_kansen.pdf)。 ま と め  透析患者は結核発病のハイリスク者であり,結核を発 病した場合に新たな感染源となって院内感染など周囲へ の感染をもたらす可能性があるため,発病予防,発病者 の早期発見および早期治療が重要である。  発病予防策として透析患者に対して積極的に LTBIの 評価を行い,治療することが重要であり,透析医師への 啓発が必要である。 文   献 1 ) 結核予防会:「結核の統計 2008」. 結核予防会, 東京, 2008. 2 ) 日本結核病学会予防委員会, 有限責任中間法人日本リ ウマチ学会:さらに積極的な化学予防の実施について. 結核. 2004 ; 79 : 747_748. 3 ) 稲本 元:透析患者の結核症 第 3 報 肺結核の疫学. 結核. 1982 ; 57 : 477_481. 4 ) 佐々木結花, 山岸文雄, 森 亨:血液透析患者におけ る結核発病の現状. 結核. 2002 ; 77 : 51_59.

5 ) ATS/CDC : Targeted Tuberculin Testing and Treatment of Latent Tuberculosis Infection. Am J Respir Crit Care Med. 2000 ; 161 : S221 _ 247.

6 ) 中山 均, 桜林 耐, 宮崎 滋, 他:透析患者の呼吸 器合併症 Ⅵ 肺結核. 臨床透析. 2008 ; 24 : 1135_1142. 7 ) 稲本 元:第Ⅱ部 臓器別のアプローチ 1 結核. 臨床

透析. 2008 ; 24 : 986_988.

8 ) CDC : Guidelines for Preventing the Transmission of Myco-

bacterium tuberculosis in Health-Care Settings, 2005. MMWR. 2005 ; 54 : 1 _ 141.

9 ) 日本結核病学会予防委員会:結核の院内感染対策につ いて. 結核. 1998 ; 73 : 95_100.

(8)

Table 1 Large numbers of HIV/AIDS patients were reported in

the urban areas with high tuberculosis incidence in 2008

Top 10

prefecture Number of HIV-infected persons Number ofAIDS patients TB incidence 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Tokyo Osaka Kanagawa Aichi Fukuoka Hyogo Saitama Chiba Shizuoka Kyoto Tokyo Osaka Aichi Chiba Kanagawa Saitama Hyogo Fukuoka Hokkaido Tochigi Osaka Hyogo Tokyo Wakayama Nagasaki Aichi Tokushima Oita Kagoshima Fukuoka は じ め に  HIV感染症は結核発病の最大のリスク因子であり,20 ∼200倍発病の危険が高まると言われる。また,結核は AIDS の日和見感染症であるニューモシスチス肺炎など と比較して,CD4陽性リンパ球数(CD4+)が減少して いなくとも発病する。日本人における AIDS報告症例に おける指標疾患件数のうち活動性結核は第 5 位で6.8%, 外国人においては第 3 位,15.0%を占めている(1985∼ 2007 年累計,エイズ動向委員会)。一方,安岡らによる 医療機関対象調査では,2007 年度までの活動性結核の 累計数はエイズ指標疾患中第 4 位,9.2%を占めている1)  日本における HIV 感染症に合併した結核(HIV 感染 結核)患者数の正確な統計はないが,2008 年度全国入 院結核患者 HIV 合併調査(加藤ら)によると入院結核 患者の HIV陽性率0.37%であり2),2008年新登録結核患 者数 24,760人をもとに,入院・外来を無視した粗計算を 試みると,年に 92 人発生となる。アフリカおよび東南 アジアでは結核と HIV の重感染が問題になる地域が多 いが,日本国内においても HIV/エイズ患者数が多い地 域と結核罹患率が高い地域は大都市圏を中心にかなり重 なっており(Table 1),今後,HIV感染者の増加に伴っ て HIV感染結核も増加することが懸念されている。  HIV 感染結核の発病予防のためには,① HIV 患者数 そのものを減らす,②感染源となる塗抹陽性結核患者を 減らす,③潜在性結核感染症(LTBI)の早期発見・治 療,④ HIV感染以外の発症リスク対策,⑤免疫再構築へ の対策(CD4+<100/μLの場合),⑥院内感染予防対策, ⑦外国人(HIVおよび結核高蔓延国)への対応,などが 挙げられる。HIV感染結核の発病形式としては,(1)既 感染から再燃する場合と,(2)初感染からそのまま発病 する場合,があるが,本ミニシンポジウムの趣旨は「予 防可能例」の検討なので,③,④を中心に述べる。 HIV 感染者において潜在性結核感染症の 診断は可能か?  米国では,1989 年から HIV 感染者に対してツベルク リン反応(ツ反)による LTBI治療の基準があったが3) 日本では,BCG 接種の影響や HIV 感染結核ではツ反陰 性例が多い,などの理由から,ツ反の適用が困難であっ た。近年,クォンティフェロン(QFT)が開発され,HIV 感染者を対象とした研究も国内外で進められており,演 者らの検討(QFT-2Gによる検討,2007年日本結核病学 会総会発表)では CD4+>50/μL以上の例において QFT は結核感染診断に利用できそうであり,また LTBI治療 の判断基準となりうることが示された。  すなわち,非 HIV感染者の基準を採用した場合,CD4+ <50 の HIV 感染者においては,32 例中 8 例(25%)が QFT「判定不能」で,また活動性結核 3 例中 2 例は QFT 「陰性」,1 例は「判定不能」であったことから,QFTの 感度は低いことが示唆されたが,一方,CD4+>50 の HIV 感染者においては,75 例中「判定不能」 例が 1 例の み,また活動性結核 6例(治療開始時)中では QFTは5 例「陽性」,1 例「疑陽性」であり,QFT の診断的有用 性が示唆された。海外からも HIV 感染者における QFT の検討が報告されており,CD4+<100では判定不能例 が少なくないことが報告されている(Table 2)4) ∼ 7)  一方,ツベルクリン反応の結果(25例,日本人)ツベ

4. HIV 感染者からの結核発病予防について

東京都立府中病院 藤田  明

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Table 2 QuantiFERON-TB for LTBI diagnosis in HIV-infected persons

Author, year,

QFT generation Study region Casenumber Proportion of indeterminate Rangaka4), 2007, QFT-2G Luetkemeyer5), 2007, QFT-3G Brock6), 2006, QFT-3G Talati7), 2007, QFT-3G

Fujita, (unpublished data) QFT-2G South Africa San Francisco Netherlands Atlanta (80% African) Tokyo 74 294 590 706 107 7% CD4 median : 392 (<200, 10 cases) 8.5% 16% (5/31) in CD4+<100 24% (4/17) in CD4+<100 CD4 +≦ 200 OR = 3.4 (multivariate analysis) 25% (8/32) in CD4+<50 QFT-2G : QuantiFERON-TB Gold, QFT-3G : QuantiFERON-TB Gold in Tube,

CD4+ : CD4 positive lymphocytes (/μL) ルクリン反応の硬結 5 mm以上を「陽性」と設定すると, 活動性結核 8 例中 4 例で「陽性」であった。一方,「陽 性」8 例のうち 4 例が活動性結核であり,診断上の精度 は高くないと推測された。  以上の結果を踏まえて,日常の HIV 診療に QFT 検査 を適用した。2007∼08年度,府中病院に通院・入院中の HIV 感染者のうち,活動性結核を除く 20 例(CD4+ : 25 ∼679/μL)に QFTを実施した結果,陽性 1 例,疑陽性1 例が発見された。陽性例は糖尿病性腎症を合併してお り,先に INHを当初開始し,その 2 カ月後に HAARTを 開始した。疑陽性 1 例はその後実施したツ反が 0 mm× 0 mm であり,慎重に経過観察中である。 HIV 感染診断後に結核を発病した症例から学ぶ  日本では HIV 感染診断先行の例よりも HIV と結核の 同時期診断例が全体の 60% と多いが,今回,先に HIV 感染症が診断され,その後に結核を発病した症例につい て,結核発病予防の観点から検討した。対象は 1997∼ 2007 年に都立駒込病院および府中病院で診断された HIV 感染結核 71 症例のうち,HIV 感染症としてすでに 医療機関受診歴がありながら結核を発病した 28例であ る。結核発病までの期間は HIV 感染症診断 2 カ月∼19 年後,結核発病時の CD4+は 17∼567/μL とさまざまで あった。  健診発見は 2 例(7%),肺外結核(合併含む)16例(57 %)であった。肺外結核には粟粒結核 5 例,リンパ節結 核 6 例が含まれており,喀痰・胃液検査での塗抹陽性は 8 例(29%)で,必ずしも結核の診断が容易でないこと が示された。  抗 HIV薬のアドヒアランス不良(治療拒否を含む)6 例(21%)は 注 目 す べ き 数 で あ る。HAART 開 始 後 の CD4+や HIV ウイルス量の回復反応は結核発病リスク と関連していると報告8)されていることと併せると,ア ドヒアランス不良は免疫回復を阻害することから,HIV 感染症の治療失敗に加えて結核発病のリスクを高める可 能性が示唆された。  HIV 感染以外の結核発病リスクについて 71 例全体の 検討では,38%の例にホームレス,糖尿病,アルコール 多飲,胃切除後,悪性腫瘍などの 1 つ以上の結核発病リ スク因子が存在していた。HIV感染以外にもこれらの因 子を有する患者は「スーパーハイリスク者」として対応 すべきであろう。  HIV診療の領域では,CD4+が少ない例に HHARTを 開始した後に発症する免疫再構築症候群が問題になって いる。本症候群としての結核発病は 28例中 3 例(11%) であった。QFTの結果により LTBI治療を先に開始しそ の後に HAARTを開始する方法も勧められる。 接触者健診におけるハイリスク者として再確認を  HIV感染症は,結核接触者健診において「ハイリスク 接触者」として定義されており,健診の優先度は高い。 しかしながら,地域で接触者健診の対象者を決める際に HIV 検査は実施されていない。都市部など HIV 感染者 数が多い地域ではこの機会に HIV 検査を勧めたい。一 方,HIV 感染者自身は申告しないことも想定されるの で,HIV感染者に関わる医療関係者や機関は,周囲に結 核患者が発生した場合にはハイリスク者として健診を受 けて必要な措置を受けることを,HIV感染者にあらかじ め情報提供しておくよう望まれる。2009 年 4 月,米国 で HIV 感染者の日和見感染予防治療の新ガイドライン が出され,HIV感染者で結核患者に接触した場合,QFT 等が陰性であっても結核発病がないことを確認後, LTBI の治療を行うことを推奨している9)

(10)

Fig. Schema for the diagnosis of latent tuberculosis infection according to “Guidelines for Prevention and

Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents” in 2009 by CDC, NIH, and IDSA. In Japan, interferon-gamma release assay is recommended because BCG have been vaccinated.

Test for LTBI (e.g., tuberculin test of interferon-γrelease assay) in HIV-infected person Negative Positive Contact to an active case of tuberculosis No Yes CD4+ T-lymphocyte count ≧200 No Yes Chest radiography Clinical evaluation

Retest for LTBI once ART started and CD4+ T-lymphocyte count >200 cells/mm3

Treatment for LTBI not indicated Retest annually if ongoing high risk of tuberculosis exposure (area endemic, congregate setting)

Initiate treatment for LTBI Alternative cause identified for symptoms and abnormal chest radiograph

Active tuberculosis excluded with negative smears and cultures in the setting of low suspicion No symptoms and normal chest radiograph

Symptoms (e.g., fever, cough, weight loss) OR abnormal chest radiograph

Evaluate for active tuberculosis (obtain samples for AFB smear and culture)

Moderate to high suspicion or evidence for active tuberculosis

Initiate four-drug regimen for active tuberculosis

HIV 感染症における潜在性結核の治療指針の提案  前述の米国ガイドラインのアルゴリズムを Fig.に示す9) LTBI の診断のための検査としては,ツ反とインターフ ェロンγ遊離試験(IGRA)(QFT,T-SPOT)が記述され, ①すべての HIV感染者にツ反または IGRA検査を行う, ②ハイリスク者,すなわち集団生活者など活動性結核患 者との接触危険度が高い場合,社会的地域的リスクが高 い場合には,毎年検査する,③検査陽性の場合には胸部 X 線撮影や活動性結核を除外するための臨床評価を行 う。④ツ反もインターフェロンγ遊離試験も偽陰性があ りうるが,IGRAsの最適な応用に関しては今後判明する 研究結果より決まるであろう。⑤治療レジメは 9 カ月間 の INH 投与で,週 2 回の間歇療法もオプションとして 提示(演者註:対面による直接服薬が必要である)。ビ ドキサール併用も推奨する。  日本は結核中蔓延国であり,BCG 接種が行われてい る。ツ反陽性をもって結核感染と診断できないことから も,結核臨床においてツ反より IGRAs が利用されつつ ある。CD4+が50/μL以上の場合は QFTを実施し,CDC ガイドラインに準じた対応を行うことを提案したい。し かし,CD4 が 50 未満例においては今後に課題が残され ている。 結   論  HIV 感染者の結核発病予防のために,① HIV 感染者 に対して,CD4+が 50/μL 以上の場合は QFT 検査を推 奨する。とくに複数のリスクをもつ「スーパーハイリス ク者」には年 1 回検査実施し,CDC ガイドラインに準 じた対応を行う,② HAART開始後はそのアドヒアラン ス維持に留意する,③結核患者接触時に HIV 感染者を 見逃さずに適切な対応を行う,ことを提案する。 (共同研究者:都立駒込病院感染症科 村松 崇,味澤 篤) 謝   辞  研究・資料提供にご協力いただいた方々に深謝致しま す。 1. 東京大学医学部附属病院感染症内科:畠山修司 2. 東京都立駒込病院感染症科:今村顕史,柳沢如樹,   菅沼明彦 3. 結核予防会結核研究所:原田登之,樋口一恵,村上   邦仁子,山田紀男,加藤誠也,森 亨 文   献 1 ) 安岡 彰:重篤な日和見感染症の早期発見と最適研究

(11)

に関する研究. 厚生労働科学新興・再興感染症研究費 補助金エイズ対策研究事業. 2008年度総括・分担研究 報告書. 2 ) 加藤誠也:日本における HIV 合併結核に関する調査. (総括・分担)研究報告書「結核菌に関する研究」. 2008 年度厚生労働科学新興・再興感染症研究費事業. 3 ) CDC : Tuberculosis and Human Immunodeficiency Virus

Infection : Recommendations of the Advisory Committee for the Elimination of Tuberculosis (ACET). MMWR. 1989 ; 38 (14) : 236 _ 238, 243 _ 250.

4 ) Rangaka MX, Wilkinson KA, Seldon R, et al. : Effect of HIV-1 infection on T-Cell-based and skin test detection of tuberculosis infection. Am J Respir Crit Care Med. 2007 ; 175 : 514 _ 520.

5 ) Leutkemeyer AF, Charlebois ED, Flores LL, et. al.: Compar- ison of an interferon-γ release assay with tuberculin skin test in HIV-infected individuals. Am J Respir Crita Care

Med. 2007 ; 175 : 737 _ 742.

6 ) Brock I, Ruhwald M, Lundgrren B, et al.: Latent tuberculosis in HIV positive, diagnosed by the M. tuberculosis specific interferon-γ test. Respiration Research. 2006 ; 7 : 56 _ 64. 7 ) Talati NJ, Seybold U, Humphrey B, et al.: Poor concordance

between interferon-gamma release assays and tuberculin skin tests in diagnosis of latent tuberculosis infection among HIV- infected individuals. BMC Infect Dis. 2009 ; 9 : 15.

8 ) The Antiretroviral Therapy Cohort Collaboration : Incidence of Tuberculosis among HIV-Infected Patients Receiving Highly Active Antiretroviral Therapy in Europe and North America. Clinical Infectious Diseases. 2005 ; 41 : 1772_1782. 9 ) Kaplan JE, Benson C, Holmes KK, et al. : Guidelines for Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents : Recommendations from CDC, NIH, HIV Medicine Association of IDSA ; 2009. 58 ; RR-4.

5. 潜在性結核感染治療者の管理上の問題

神戸市保健所 

白井 千香

は じ め に

 潜在性結核感染症(Latent tuberculosis infection: LTBI) の診断は,保健所では接触者健康診断の結果として把握 されることが多い。臨床現場では,医学的ハイリスク要 因がある患者において,LTBIと診断された場合に,抗 結核薬を発病予防として選択されることが多い。ただ し,投与の条件に,明らかに結核患者との接触があった かどうかという点では,必須ではない場合もある。  このシンポジウムの前段では臨床から各疾患に関して の課題が挙げられたが,私の役割は行政の立場として, LTBI の治療を保健所がどのように把握しているか現状 を提示し,予防可能な結核発病を防ぐための対策として, 臨床との課題の共有を図りたい。 感染症法による潜在性結核感染症の法制度  2007 年に結核予防法が廃止され,感染症法に「結核 症」が統合された。この法律では,法第 12条に基づき, 結核は二類感染症に位置づけられ,患者(疑似症患者を 含む)および無症状病原体保有者(ただし,治療を必要 としない者は除く)を,最寄りの保健所へ直ちに届け出 ることとなっている。つまり,治療が必要な LTBI は, 年齢にかかわらず無症状病原体保有者として届け出る対 象となった。従来の「初感染結核」のみならず,既感染 者で免疫抑制剤を使用する者を含めて,顕性発症の前に 治療を行う場合は届け出る必要がある1)  LTBIの治療を行う際には,法第37条の 2 により公費 負担申請の対象となるため,保健所は診断,治療につい て感染症診査協議会の結核診査会に諮問し,公費負担の 是非を決定する。届出を受理した保健所は,顕症の活動 性結核患者と同様に,LTBIについても,患者登録を行 い患者の治療に必要な保健指導および DOTSを含めた治 療継続支援を行う(法第 27条の 8,法第53条の12,13, 14)。また,必要に応じて積極的疫学調査(法第 15 条, 第 17条)により,立ち入り調査や接触者健診を行う。 神戸市の潜在性結核感染症  感染症法改正後の 2007年 4 月 1 日から2009年 3 月31 日までの 2 年間で神戸市に登録された LTBI の患者は, 男性 37人,女性71人,計108人だった。年齢分布は 0∼ 29 歳が 68 人(63%),30 歳以上が 40 人(37%)であった。 これらの LTBI の患者発見方法は,接触者健診で見つ かった患者家族が 51人,家族以外の接触者が38人,医 療機関での受診が 12人,定期健診が7人であった。また, その中で,医療従事者として看護師 13人(うち 5 人は定 期健診による発見),乳児の BCG接種後に起こったコッ ホ現象からの発見が 1 人,明らかな医学的ハイリスク要 因を有する者は 2 人であった。医学的ハイリスク要因に ついては,それぞれ慢性関節リウマチ治療中であるこ と,結核既感染者で悪性腫瘍を合併していることであっ た。

(12)

Table 1 Significance of LTBI report

Table 2 Registration of high-risk clinical cases about LTBI

Search for infectious source via contact investigation In order to support medication (like DOPT*)

Corresponding for early treatment for active TB patient Tactics to eliminateTB through low spread

Total 51 ( 94%) 36 ( 67 ) 33 ( 61 ) 24 ( 44 ) 54 (100 ) DOPT* : Directly observed preventive treatment

(the plural answer)

Report Public expenses Physician’s decision

Clear contact with active TB patient Unclear contact with active TB patient Others Total Need Need Needless By advisory committee Opportune Improper 44 ( 81%) 12 ( 22 ) 1 ( 2 ) 4 ( 7 ) 54 (100 ) (the plural answer) 潜在性結核感染症における届出の意義  LTBIを届出の対象とする理由は以下のとおりである。 ①コッホ現象や若年者が初感染結核と判明したような場 合には,周囲の感染源探索のため接触者健診を行う必要 がある。② LTBIの治療は脱落が多いので,服薬支援の 対象とするべきである。③ LTBIの治療を行っても発病 する可能性があるので有症状時の早期受診勧奨など,適 切な健康教育をする必要がある。④ LTBIの治療は,欧 米の低蔓延状況の国々で,結核の根絶に向けた重要な戦 略となっている2) 潜在性結核感染症の管理について, 保健所の対応状況  近畿保健所長会の協力を得て,平成 21 年 5 月に近畿 2 府 4 県 74 保健所へ潜在性結核感染症についてのアン ケートを行った。回答は 54 保健所から得られた(回収 率 73%)。アンケートの目的は,LTBIの届出の意義につ いて保健所での認識を調べ,医学的ハイリスク者の届出 や登録の現状を知り,法に基づく患者管理の実際を提示 し,臨床と公衆衛生との間で課題を共有することである。  前述の LTBIの届出の意義について,保健所の認識は 以下のとおりである。①接触者健診からの感染源探求に ついては,51保健所(94%)が届出の意義を認識してい た。②服薬支援のため,は 36 保健所(67%),③有症状 受診の勧奨や健康教育のため,は 33 保健所(61%)で, ④低蔓延化に向けた結核根絶のための戦略,は 24 保健 所(44%)であった(Table 1)。  医学的ハイリスク者における LTBIの届出や登録につ いては,結核患者との接触の有無にかかわらず,主治医 の判断で治療が必要と判断された場合は,「届出が必要 で公費負担の適用は結核診査会で決定する」と答えたの が最も多く 44保健所(81%)であった。結核患者と最近 の接触が明らかな場合に,「届出が必要でありかつ公費 負担の適用である」と答えたのが 12 保健所(22%)で, 結核患者と最近の接触が不明の場合は,「届出も不要で 公費負担の適用にならない」と答えたのは 1 保健所(2%) であった(Table 2)。  LTBIに対する服薬支援については,医学的ハイリス ク要因の有無にかかわらず DOTSに準じてすべて対象と するとしたのが 23保健所(43%)で,ケースによって個 別対応としたのが,31 保健所(57%)であった。DOTS は活動性結核患者でかつ塗抹陽性患者に優先されるが, 無症状の LTBIは,単剤治療のため耐性化の危険は大き く,中断や断続的治療にならないよう,服薬支援の必要 性は十分にある。  また,LTBI の治療評価として,治療終了後の経過観 察について,治療終了時に胸部 XP撮影を行うのが33保 健所(61%),さらに 1 年後に改めて胸部 XP撮影を行っ たり,主治医の判断でケースに応じて観察期間を決めた り,という経過観察をするとしたのが 42保健所(78%) であった。複数回答のため回答した保健所は重複してい るが,経過観察を主治医のみに任せて確認しないとか, 全く行わないという保健所はなかった。 管理上の問題と結核発病を防ぐための 対策を進めるために  医学的ハイリスク要因をもつ者については,保健所に LTBI の発生届が出されなければ登録されず,かつ公費 負担申請もされなければ,どのような背景で結核感染が 起こり,どのような治療をされているのか実態は把握で きない。届出がなければ保健指導や服薬支援,接触者調

(13)

査などにつながらず対策の評価ができない。治療開始前 には,①患者と支援者の信頼関係,②発病リスク,③規 則的な服薬ができるか,④副作用,⑤ケースに合った最 善の治療計画であるかどうかを評価し,終了時には,① 服薬が十分できたか,②患者個人の発病を防げたか,の みならず,③公衆衛生上,感染拡大防止に有効だったか という視点で評価をすべきである。主治医も行政も届出 の意義を理解し,医学的ハイリスク要因の現状を公衆衛 生の課題として共有し,将来の低蔓延化に備えた対策に つなげる必要がある。 文   献 1 ) 改正感染症法における結核対策. IASR. 2007 ; 28 : 190 _ 192.

2 ) ATS/CDC, Targeted tuberculin testing and treatment of latent tuberculosis infection, Am J Respir Crit Care Med. 2000 ; 161 : S221 _ S247.(邦訳:中薗, 他:選択的ツベルクリン 反応検査と潜在結核感染症の治療. 資料と展望. 2001 ; 36 : 25 _ 68.)

−−−−−−−− The 84th Annual Meeting Mini-Symposium −−−−−−−−

PREVENTION OF TUBERCULOSIS IN MEDICALLY HIGH-RISKED PATIENTS

Chairpersons :1Yuka SASAKI and 2Emiko TOYOTA

Abstract In the last ten years, prevalence rate of tubercu-

losis have been successfully decreasing under 20/100,000 in Japan and great advance has been brought about in this field ; for instance IGRAs (QFT etc) and diagnosis of LTBI. The Japanese Society for Tuberculosis declared statement to per- form more active prophylaxis in 2004 but we have still many of compromised patients with TB who could be prevented from getting active tuberculosis. With this symposium, we discussed how to work up actually on this problem in each clinical sites. We should alert physicians participating with medically high-risk patients to recognize the risk of tubercu- losis and to promote prevention, In addition, treatment of LTBI should be registered to Public Health Center.

1. A study how to prevent the appearance of active tuberculo- sis in patients with corticosteroids: Is the state of implementa- tion of medication for LTBI proper?: Masahiro KAWASHIMA (National Hospital Organization Tokyo National Hospital)  The statement for treatment of LTBI by the Japanese Society for Tuberculosis in 2004 gives a concrete description about treatment of LTBI in patients with corticosteroids, but the state of implementation of medication for LTBI in patients with corticosteroids is unclear. 41 cases with active tubercu- losis occurred during steroids therapy were studied and at least 15 cases were thought to have been indicative of LTBI retrospectively. Evaluation of risk for TB before and during steroids therapy were insufficient and medication for LTBI were unpracticed. On the other hand, 61 cases who started steroids therapy in our hospital were studied. Examination of sputum, chest-CT scanning, QFT or PPD were performed in most of all patients and then 17 cases were thought to be indi- cation of treatment of LTBI but actually only followed. One patients progressed active TB. Promotion of treatment of LTBI for patients with corticosteroids may leads the decrease of active tuberculosis in those patients.

2. Tuberculosis among patients with rheumatoid arthritis ; steroids to anti-TNFα: Tomoshige MATSUMOTO (Osaka Prefectural Medical Center for Respiratory and Allergic Diseases)

 Anti-TNFα agents made rheumatoid arthritis remittent effectively but occurrence of TB disease increase as more use of them. We already reported some of problems as follows : 1) diagnosis of LTBI, 2) method and duration for treatment for LTBI not sufficiently established, 3) difficult diagnosis of TB because of atypical figures, 4) paradoxical response, 5) to stop anti-TNFα agents make control of RA difficult for rebound, 6) not established treatment for RA after TB treat- ment, 7) less professional institutions to treat both RA and TB. Data of over 5000 cases who were treated by Remicade revealed TB did not occur among cases with INH prophylaxis. Furthermore there are possible use of anti-TNFα agent with antituberculous agents. Then it is recommended that screen- ing for TB is necessary before starting anti-TNFα agent and prophylaxis by INH if possible LTBI. We should be careful not to misdiagnose worsening RA by sign of TB or other infectious diseases.

3. A consideration of the prevention from tuberculosis in hemodialysis patients : Takeshi KAWASAKI (National Hos- pital Organization Chiba-East National Hospital)

 Hemodialysis patients have been increasing and aging in Japan, and they are in great danger of tuberculosis. When hemodialysis patients become tuberculosis, there is a possibil- ity of infection to other patients, so the prevention, early detec- tion and treatment for tuberculosis are very important. It became clear by questionnaires that many medical dialysis did not know about the recommendation of treatment for latent tuberculosis infection from the Japanese Society for Tubercu- losis. It is important to examine and treat actively for latent tuberculosis infection of hemodialysis patients for the pre-

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vention of tuberculosis, and needed to enlighten to medical dialysis.

4. Prevention of active tuberculosis in HIV-infected persons : Akira FUJITA(Tokyo Metropolitan Fuchu Hospital)  The risk for active TB among HIV-infected persons is about from 20 to 200 times higher than among the general popula- tion. In Japan which is one of TB middle-burden countries and has BCG vaccination program, interferon-gamma release assay (IGRA) is useful rather than tuberculin skin test for the diagnosis of latent TB infection (LTBI). IGRA for the diagno- sis of LTBI is recommended for HIV-infected persons with CD4 positive lymphocyte (CD4+) counts above 50 cells/μL, because our study suggested the sensitivity of QFT-G in the patients with CD4+ below 50 cells/μL may be low. Appro- priate TB contact investigation for HIV-infected persons is important. For example, contacts who do not know their HIV-infection status should be advised to take HIV testing in the urban areas with high HIV prevalence rate. A possible correla- tion between non-adherence to highly active antiretroviral therapy and the risk of active TB development suggests that good adhere to antiretroviral drugs will be able to prevent

active TB in HIV-infected patients.

5. Administration’s problems for latent tuberculosis infection (LTBI) : Chika SHRAI (Public Health Center of Kobe City)  Clinician is obliged to report medication-required LTBI to Public Health Center, based on the Infectious Diseases Control Law. The Administration is unable to assess measures for TB without these reports. It is mandatory to own significance of LTBI reports and high-risk factors jointly by clinicians and public health facilities. It ought to acknowledge these proce- dures as essential tactics to eliminate TB through low spread.

Key words : Preventive therapy, Medically high risked

patients, Treatment of LTBI, QFT

1National Hospital Organization Chiba-East National Hospital, 2National Hospital Organization Tokyo National Hospital

Correspondence to : Emiko Toyota, National Hospital Organi- zation Tokyo National Hospital, 3_1_ 1, Takeoka, Kiyose-shi, Tokyo 204 _ 8585 Japan. (E-mail:etoyota-in@tokyo-hosp.jp)

Fig. 2 Duration from starting of steroid therapy to episode  with tuberculosis (n=34, mean ; 59.1±12.5 months)
Table 1 Large numbers of HIV/AIDS patients were reported in  the urban areas with high tuberculosis incidence in 2008
Table 2 QuantiFERON-TB for LTBI diagnosis in HIV-infected persons  Author, year,
Fig. Schema for the diagnosis of latent tuberculosis infection according to “Guidelines for Prevention and  Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents” in 2009 by CDC, NIH, and  IDSA
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