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ロタテック内用液に関する資料 本資料に記載された情報に係る権利及び内容の責任は MSD 株式会社にあります 当該製品の適正使用の利用目的以外の営業目的に本資料を利用することはできません MSD 株式会社

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ロタテック内用液に関する資料

本資料に記載された情報に係る権利及び内容の責任はMSD

株式会社にあります。当該製品の適正使用の利用目的以外の

営業目的に本資料を利用することはできません。

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V260

1.4 特許状況

1.4 特許状況

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V260 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 - 1 -

目次

頁 表一覧... 2 図一覧... 3 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯... 4 1.5.1 起原又は発見の経緯... 4 1.5.2 外国における開発の経緯... 5 1.5.2.1 外国における第Ⅰ相試験から第Ⅲ相試験に至る経緯 ... 6 1.5.2.2 外国における主な第Ⅲ相試験... 7 1.5.2.3 外国におけるその他の臨床試験... 8 1.5.3 品質試験... 9 1.5.3.1 製造用細胞... 9 1.5.3.2 製造用種ウイルス... 9 1.5.3.3 製造方法... 10 1.5.3.4 安定性... 10 1.5.4 非臨床試験... 10 1.5.5 本邦における開発の経緯... 11 1.5.5.1 本邦における臨床試験... 11 1.5.6 経緯のまとめ... 12

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V260 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

表一覧

頁 表1.5: 1 米国本社の臨床開発プログラム以前に実施された臨床試験一覧... 5 表1.5: 2 V260 に含まれる 5 種類の再集合体ロタウイルスワクチン株の抗原構成 ... 6

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V260 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 - 3 -

図一覧

頁 図1.5: 1 V260 開発の経緯... 13

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V260 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 1.5.1 起原又は発見の経緯 1973年に、乳児における下痢症の原因としてロタウイルスが同定されて以来、多くのロタウイ ルスワクチンが開発されてきた[資料5.4: 1]。特に、腸内でのロタウイルスに対する免疫反応が、 その感染予防に関与していることから、経口生ロタウイルスワクチンの開発に焦点が当てられた [資料5.4: 2]。 他社におけるロタウイルスワクチンの開発は、当初、ウシロタウイルス(RIT 4237株)及びア カゲザルロタウイルスを用いた臨床試験が実施されたものの、その安全性及び有効性の問題から 開発が中止された[資料5.4: 3]。さらに、アカゲザル-ヒト再集合体ロタウイルスワクチン RotaShield (Wyeth-Ayerst 社)に関しては、市販後に腸重積症との関連性が問題となり、販売が中止された[資 料5.4: 4]。

こ の よ う な状 況 に お いて 、H フレッド・クラーク博士(Children's Hospital of Philadelphia, Pennsylvania, U.S.A.)は、1981年に、米国ペンシルベニア州で下痢を発症した仔牛からウシロタ ウイルス(Wistar Calf 3:WC3株)を分離し、12代継代培養したものを用いて複数の臨床試験を実 施した[資料5.4: 5][資料5.4: 6]。その結果、良好な忍容性は認められたものの、一定した予防効果 は得られず、ヒトロタウイルスに対する中和抗体反応も誘起されなかった。そこで、このウシロ タウイルス(WC3株)と Viral protein 7, referred to as the glycoprotein "G" protein[VP7(G 血清型)] 又はViral protein 4, referred to as the protease-sensitive "P" protein[VP4(P 血清型)]を含むヒトロ タウイルスを用いて、ヒト-ウシ再集合体ロタウイルスを開発した。これは、ロタウイルス遺伝子 に元来備わる遺伝子再集合を利用して、培養細胞中でウシロタウイルスWC3とヒトロタウイルス 株を混合感染させることで、ヒト-ウシ再集合体を作成したものである。 当初、ロタウイルス胃腸炎の主要な原因ウイルスであるG1血清型を含む再集合体が開発され、 その後、ロタウイルス自然感染後の主要な免疫抗原といわれていたP1A 血清型を含む再集合体が 開発された[資料5.4: 7]。これらのヒト-ウシ再集合体ロタウイルスを用いて19 年より実施された 8つの臨床試験において、1価(G1血清型)ワクチンが約400例の乳児に接種され、G1血清型ワク チン及び P1血清型ワクチンが36例の乳児に接種され、P1及び G2再集合体を用いた臨床試験も実 施された。

これらのヒト-ウシ再集合体は、その後、Merck Sharp & Dohme Corp., a subsidiary of Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.(以下、米国本社)により開発された5価ヒト-ウシ再集 合体ロタウイルスワクチンであるV260のベースとなった。しかし、これらのヒト-ウシ再集合体 ワクチンを用いた上記臨床試験は、米国本社が臨床開発プログラムに関わる以前に実施されたも のであった。これらの試験の概要を[表1.5: 1]に示す。

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V260 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 - 5 - 表1.5: 1 米国本社の臨床開発プログラム以前に実施された臨床試験一覧 ワクチン/再集合体 試験標題/内容 試験期間 WC3ウシロタウイルス ワクチン 安全性、免疫原性、有効性 –親 WC3ロタウイルス ワクチンの臨床試験 19 ~19 年 G1再集合体ワクチン (WI79-9) 安全性/免疫原性に関する第Ⅰ相臨床試験 19 年 G1再集合体ワクチン (WI79-9) 安全性/有効性に関する第Ⅰ相臨床試験 19 年 G1再集合体ワクチン (WI79-9) 免疫原性に関する第Ⅰ相臨床試験、ICAAC 試験 19 年 G1再集合体ワクチン (WI79-9) 有効性に関する第Ⅰ相臨床試験 19 ~19 年 G1再集合体ワクチン (WI79-9) 有効性に関する第Ⅰ相臨床試験 19 ~19 年 P1再集合体(WI79-4) 免疫原性に関する第Ⅰ相臨床試験 19 年 G1, P1再集合体 (WI79-9、WI79-4) G1再集合体/P1再集合体(WI79-9/WI79-4)の 臨床試験 19 ~19 年 G2再集合体(SC2-9) G2再集合体(SC2-9)の臨床試験 19 年 1.5.2 外国における開発の経緯 米国本社におけるワクチン開発戦略は、ロタウイルスの抗原性が多岐にわたっていることから、 modified Jennerian approach を採用し、広範な抗原性をカバーすることとした。このため、5種類の ヒト-ウシ再集合体ロタウイルス株(WI79-9、SC2-9、WI78-8、BrB-9、WI79-4:簡略化のためそ れぞれG1、G2、G3、G4、P1と略記する)を含んだ5価ワクチンを開発することとした。 この5価ワクチンに含まれるロタウイルスの G 血清型(G1、G2、G3及び G4血清型)は、全世 界で発現するロタウイルス胃腸炎の85%超の起因ウイルスであることが判明しており、同様に、 P1血清型は、最も高頻度でロタウイルス胃腸炎の原因となっている[資料5.4: 8][資料5.4: 9]。 また、これらの再集合体は、いずれもH フレッド・クラーク博士が分離したウシロタウイルス (WC3株)をベースとしている。つまり、培養細胞中でウシロタウイルス WC3とヒトロタウイル ス株を重感染させることで、再集合体を作成した。なお、このヒトロタウイルス株は、WI79 (P1A[8],G1)、SC2(P2A[6],G2)、WI78(P1A[8],G3)及び BrB(P2A[6],G4)を用いており、WI78 株及びWI79株が、 ( )の患者糞 便検体から、SC2株及び BrB 株が、それぞれ ( )及び )の患者糞便検体から分離し たものである。 V260に含まれる5種類の再集合体ロタウイルスワクチン株の抗原構成を[表1.5: 2]に示した。

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V260 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 表1.5: 2 V260 に含まれる 5 種類の再集合体ロタウイルスワクチン株の抗原構成 再集合体株 ウシロタウイルス親 ヒトロタウイルス親 表面たん白質構成 (斜体はヒトロタウイルス成分) WI79-9 WC3 WI79 G1, P7[5] SC2-9 WC3 SC2 G2, P7[5] WI78-8 WC3 WI78 G3, P7[5] BrB-9 WC3 BrB G4, P7[5]

WI79-4 WC3 WI79 G6, P1A[8]

1.5.2.1 外国における第Ⅰ相試験から第Ⅲ相試験に至る経緯 米国本社におけるV260の臨床開発は、19 年に実施された4価ヒト-ウシ再集合体ロタウイルス ワクチン(G1、G2、G3及び P1血清型)を用いた成人対象の第Ⅰ相試験(001試験)から開始され た[資料5.4: 10]。001試験では、健康成人被験者における4価ロタウイルスワクチンの安全性、忍容 性及び免疫原性が評価され、接種後14日間に重篤な全身性・消化器系有害事象を発現しないこと が示された。 続いて、19 年から翌年にかけて、同じく4価ワクチン製剤を用いた健康乳児を対象とした前期 第Ⅱ相試験(002試験)が実施され、健康乳児における4価ロタウイルスワクチンの忍容性、安全 性、免疫原性及びロタウイルス胃腸炎に対する予防効果(有効性)が確認された[資料5.4: 11]。 19 年から19 年にかけて、緩衝液が添加された2価ワクチン製剤(G1及び G2血清型)を用い た前期第Ⅱ相試験(003試験)が実施された[資料5.4: 12]。本試験では、ワクチンを胃酸から保護 し、胃酸の中和を目的とした接種前の食事摂取や制酸剤投与が不要となるように緩衝剤を含み、 冷蔵条件(2℃~8℃)での保存を可能とする製剤の安定化が行われ、その免疫原性が確認され、 予防効果についても推定された。これらの試験結果を参考に、第Ⅲ相臨床試験のワクチン製剤の 最終処方が決定された。 19 年には、1価ワクチン製剤(G4血清型)を用いた接種後42日間の有効性及び安全性を評価 する後期第Ⅱ相試験(004試験)も実施された[資料5.4: 13]。本試験では、ロタウイルス G4血清型 も、ヒトにおける胃腸炎の主要な原因であることが示されているため、G4再集合体ワクチンを 1107 PFU で接種するプラセボ対照安全性試験を実施した。その結果、同血清型を V260に加える ことが可能と考えられた。 さらに、19 年から20 年にかけて、5価ワクチン製剤(G1、G2、G3、G4及び P1血清型)の 用量範囲を設定する前期第Ⅱ相試験(005試験)[資料5.3.5.1: P005]が実施された。本試験では、5 価(3種類の力価)、4価及び1価ワクチン製剤を用いて、本ワクチンの再集合体組成の確定及び予 防効果が保証できる力価範囲が検討され、その忍容性、安全性、免疫原性及び有効性が確認され た。本試験結果に基づき、第Ⅲ相以降の試験では、V260として5価(G1、G2、G3、G4及び P1血 清型)再集合体組成を選択することとした。また、第Ⅲ相試験(007試験)で用いた V260の使用 期限を設定する力価は、005試験の中間力価を参考に設定した。 これらの試験成績から、V260の製剤、用量(力価)及び再集合体の構成が推測され、引き続き 実施された3つの第Ⅲ相試験により5価(G1、G2、G3、G4及び P1血清型)ヒト-ウシ再集合体ロ

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V260 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 - 7 - タウイルスワクチンであるV260の有効性、免疫原性及び安全性が評価された。 一方、第Ⅱ相試験(005試験)の 中で、 中であった1999年7月に、米国 疾病予防管理センター(CDC)から既承認のロタウイルスワクチンである RotaShield(Wyeth-Ayerst 社)接種と腸重積症の発症との関連性が否定できないとの報告があった[資料5.4: 14]。 さらに、部分集団試験やケースコントロール試験成績から、RotaShield の接種を受けた被験者 では、年齢を適合させた対照被験者と比較し、腸重積症のリスクが増大することが確認され、特 に初回接種後2週間と2回目接種後1週間で、そのリスクが増大した。RotaShield 接種者での腸重積 症の発現頻度は10,000例あたり1例と推定された[資料5.4: 15]。 このように、RotaShield 接種と腸重積症の関連性は報告されたものの、米国本社では主に以下 の理由からV260の開発を継続することを決定した。 1) ロタウイルスは世界中で乳幼児の罹患及び死亡の重要な原因であり、公衆衛生上、安全か つ有効なロタウイルスワクチンが求められている。 2) ロタウイルス自然感染が腸重積症の主要な原因ではなく、アカゲザルロタウイルス株が原 因であることを示すデータが存在する[資料5.4: 16]。 3) 第Ⅰ相/第Ⅱ相試験成績より、V260は、ロタウイルス胃腸炎の予防効果及び良好な忍容性 を有することが示されている[資料5.4: 11] [資料5.3.5.1: P005]。なお、第Ⅰ相/第Ⅱ相試験 において報告された腸重積症は、2,470例の乳児のうち1例であった[資料5.3.5.1: P005]。 4) RotaShield と V260では、分子構造的、非臨床的及び臨床的に異なる。 上記のように、この2つのワクチンには相違があるものの、RotaShield と腸重積症の関連が認め られたことで、V260の第Ⅲ相臨床開発プログラムを変更することとなった。つまり、第Ⅲ相試験 では、V260の安全性を腸重積症の観点から証明することを主な目的とした。しかし、腸重積症の 発症はまれなため、V260の安全性プロファイルが臨床的に問題ないことを証明するには、膨大な 症例数が必要であった。そこで、第Ⅲ相試験である大規模安全性試験[006試験(REST)]内で、 いくつかのコホート試験を実施し、有効性、免疫原性及び安全性を検討した。さらに、第Ⅲ相臨 床開発プログラムの終了前に、2つの追加試験(007試験及び009試験)を実施し、最終製剤の使用 期限を設定した力価を有するV260の予防効果及び V260の製造工程の一貫性について確認した。 1.5.2.2 外国における主な第Ⅲ相試験 外国における製造販売承認申請時に用いた3つの第Ⅲ相試験(006試験、007試験及び009試験) では、71,799例の乳児が V260又はプラセボの接種を受け、そのうち36,203例が V260の最終製剤の 接種を受けた。3つの第Ⅲ相試験とは、2001年から20 年にかけて実施された V260(出荷時力価) の有効性、免疫原性及び安全性(特に、腸重積症の発現)を評価した大規模臨床試験{006試験 [Rotavirus Efficacy and Safety Trial(REST)]}[資料5.3.5.1: P006]、2002年から20 年にかけて実

施されたV260の最終製剤の使用期限を設定した力価での有効性を確認した用量確認試験(007試

験)[資料5.3.5.1: P007]、及び20 年から20 年にかけて実施された V260の製造工程の一貫性を臨 床的に評価(免疫原性)した製造ロットの一貫性確認試験(009試験)である[資料5.3.5.1: P009]。

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V260 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 これらの3試験はいずれも同様の試験方法(急性胃腸炎の発症有無の判定、データ収集、安全性及 び有効性の評価項目及び免疫原性の測定)を用いて実施された。 006試験(REST)の有効性の主要目的は、出荷時力価(67.2106~124106 感染単位/用量)の V260を3回経口接種し、3回接種後14日目以降に発症する G1、G2、G3又は G4血清型に起因した ロタウイルス性疾患に対するV260の予防効果を評価することであった。また、副次目的として、 推奨される小児期定期予防接種ワクチンをV260と併用した場合の有効性、安全性及び免疫原性に ついて検討した。また、006試験は、治験薬各接種後42日間に発症した腸重積症をもとに V260の 安全性を評価するために大規模な臨床試験として実施された。このため、いくつかのコホートに 分けて世界各国で実施し、同時に腸重積症との関連性及び安全性が有効性及び免疫原性とともに 評価された(コホートの構成図:[図2.7.3E: 2])。 V260のロタウイルス胃腸炎予防効果については、有効性の部分集団の2,207例で検討した結果、 予防効果の推定値(重症度を問わない場合)及びその95%信頼区間は、74.0%(95% CI:66.8%, 79.9%)であり、有意な予防効果が認められ、免疫原性の結果も全般的に良好であった。 V260による腸重積症の発症リスクは、安全性の部分集団の34,002例で検討した結果、V260接種 後42日以内で、プラセボと比較して増加することはなく、安全性も全般に良好であった。 007試験は、V260の最終製剤の使用期限を設定した力価(約1.1107 感染単位/用量)における 有効性、免疫原性及び安全性を検討するために実施された。本試験では最終製剤の使用期限を設 定した力価を有する V260の予防効果が確認された。したがって、V260は、G1、G2、G3及び G4 血清型に起因したロタウイルス胃腸炎に対して有効であった。V260は初発の中等度~重度ロタウ イルス胃腸炎を76.3%予防し、重度ロタウイルス胃腸炎を100%予防した。V260の免疫原性は、評 価されてきた力価から予想されたものであり、その忍容性はおおむね良好であった。 009試験は V260の製造ロットの一貫性に関する試験で、V260製造工程での一貫性を確認する目 的で実施された。本試験で使用された実生産スケールの3ロットについて、3回目接種後における ロタウイルスG1、G2、G3、G4及び P1血清型に対する血清中和抗体反応の幾何平均では、ほぼ同 様の抗体産生反応を誘導し、その忍容性はいずれもおおむね良好であった。 以上の臨床試験成績により、V260の有効性及び安全性が確認されたことから、2005年11月にメ キシコで承認されて以来、本剤は2011年8月時点で、世界100以上の国又は地域で承認されている。 また、外国では、本ワクチンが定期予防接種に組み込まれた後、毎年みられたロタウイルス胃腸 炎の発生が明確に遅延し、かつ明瞭なピークが認められないままにロタウイルスの検出率が低下 しているなどの変化が観察されている[資料5.4: 17][資料5.4: 18][資料5.4: 19][資料5.4: 20]。 1.5.2.3 外国におけるその他の臨床試験 外国においては、その他に以下に示す4つの製造販売後臨床試験を実施して終了している。健康 乳児におけるV260と6種混合ワクチン(INFANRIX HEXA)併用時の安全性及び免疫原性に関す る製造販売後臨床試験(010試験)[資料5.4: 21]、健康乳児における V260の免疫原性及び安全性に 関する製造販売後臨床試験-韓国での試験(013試験)[資料5.4: 22]、健康乳児における V260と経 口ポリオワクチン[Oral poliovirus vaccine(OPV)]の同時又は交互接種時の安全性及び免疫原性

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V260 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 - 9 - に関する試験(014試験)[資料5.3.5.2: P014]、及び V260と C 群髄膜炎菌コンジュゲート(MCC) ワクチンを併用時の安全性及び免疫原性に関する試験(016試験)[資料5.4: 23]である。 010試験では、V260を小児用6種混合ワクチン(INFANRIX HEXA)と併用した場合の免疫原性 及び安全性について検討した。本試験の結果、併用時の忍容性はおおむね良好であり、V260は、 これらのワクチンの免疫原性に対して影響を与えないことが示された。 013試験は、韓国における V260の承認要件を満たすために実施された。本試験の結果、健康乳 児において、血清抗ロタウイルス IgA の抗体価測定による V260の免疫原性が示され、忍容性も おおむね良好であることが示された。 014試験では、健康乳児に対して V260及び経口生ポリオワクチン(OPV)を同時又は交互接種 し、安全性及び免疫原性を評価した。有効性の主要目的は、V260と同時接種した場合の OPV の 免疫原性、及びOPV と同時接種した場合の V260の免疫原性を評価することであった。本試験の 結果、V260との同時接種は、OPV の免疫原性に影響を与えないことが示唆された。一方、血清抗 ロタウイルスIgA の抗体価は、交互接種群と比べて同時接種群で約50%少なかった。同時接種群 で血清抗ロタウイルス IgA が3倍以上増加した割合は、交互接種群よりも若干低かったものの、 非劣性が示された。また、G1、G2、G3、G4及び P1A 血清型に対する血清中和抗体反応の幾何平 均において、同時接種群の交互接種群に対する非劣性が確認された。さらに、OPV 同時接種時の 免疫反応レベルから、重度ロタウイルス胃腸炎に対して高い予防効果が期待された。安全性につ いては、V260と OPV を同時接種した場合の V260の忍容性がおおむね良好であることが示された。 016試験では、MCC ワクチンが乳児に定期接種されている国において V260の使用を支持するた め、MCC ワクチンとの同時接種の申請に必要な安全性及び免疫原性を評価した。本試験で使用し たMCC ワクチンは、C 群髄膜炎菌多糖コンジュゲート沈降ワクチン(NeisVac-C)であった。免 疫原性に関しては、同時接種群における MCC 抗体保有率は、逐次接種群に対して非劣性である ことが証明され、また、V260の併用により免疫反応は影響されなかった。V260と MCC ワクチン を同時接種した場合の安全性プロファイルは、いずれもそれぞれのプロファイルと一致し、安全 性上の問題は認められなかった。 1.5.3 品質試験 1.5.3.1 製造用細胞

V260の製造用細胞には Vero 細胞を使用する。ATCC(American Type Culture Collection)から入

手した 代の細胞を 代継代して増殖させた 代細胞をマスターセルバンク、それを更に 代継

代して増殖させた 代細胞をワーキングセルバンクとした。V260はワーキングセルを更に 代継

代して増殖させた 代細胞で製造する([2.3.S.2.2項] 及び[2.3.S.2.3項]参照)。

1.5.3.2 製造用種ウイルス

V260に含まれる5つの再集合体ロタウイルスワクチン株は、遺伝子再集合というロタウイルス 本来の性質を利用することによって選択された。Children's Hospital of Philadelphia から受領した再

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V260 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 さらにVero 細胞で 回継代したものをストックシードとした([2.3.S.2.3項]参照)。 1.5.3.3 製造方法 Vero 細胞を一連の工程により拡大培養する。得られた Vero 細胞に適切なストックシードを接 種し、培養後に細胞溶解液を回収し、ろ過及び濃縮したものをワクチン原液とする。各型のワク チン原液、希釈液及び安定剤溶液を混合し、容器に充てんしたものを小分製品とする([2.3.P.3.3 項]参照)。初期の臨床試験に使用した製剤は、経口接種前に被験者に食事をさせ胃酸を中和させ る必要があり、また、凍結して保存する必要があった。外国第Ⅲ相臨床試験(006試験、007試験 及び009試験)、外国製造販売後臨床試験(014試験)及び本邦で実施した第Ⅲ相試験(029試験) で使用した製剤は、以下の条件を有するように設計された:(1)再溶解の必要がない経口接種可 能な単回接種用の溶液であること、(2)十分な酸中和能があり、胃酸の中和を目的とした接種前 の食事を必要としないこと、及び(3)冷蔵条件(2℃~8℃)で24ヵ月間の保存が可能なこと。な お、外国第Ⅲ相試験以降は製剤処方の変更を行っていない。ロット分析の情報は[2.3.P.5.4項]に記 載する。 1.5.3.4 安定性 V260は経口液剤であり、2℃~8℃に保存する。有効期間は安定性試験の結果([2.3.P.8項]参照) から製造後2年間とする。 1.5.4 非臨床試験 V260の非臨床試験は、米国本社において、20 ~20 年にかけて実施された。 V260の安全性を裏付けるため、マウスを用いた10週間反復経口投与毒性試験、並びにラットを 用いた6試験の Vero 細胞 DNA(L-001233704)取込み試験を行った。これらの試験は外国第Ⅲ相 臨床試験と並行して実施された。マウスの反復経口投与毒性試験により、V260の非臨床安全性に 関する広範な評価がなされた。本試験において、V260は良好な忍容性を示し、生前所見及び病理 所見に投与に関連した変化は認められなかった。Vero 細胞 DNA 取込み試験は、V260中に残存す るVero 細胞由来 DNA の安全性を裏付けるため実施した。本試験により、V260中の Vero 細胞由

来残存DNA 量が容認されるレベルであることが示された。 V260の活性成分は、異なるロタウイルス株により構成されていること、また、親株のウシロタ ウイルスWC3株が複製できる動物種に制限があり、実験動物モデルに対して免疫原性及び複製能 をほとんど示さないことから、V260中の再集合体ロタウイルス株の薬理作用を、実験動物モデル により適切に評価することは困難である。したがって、V260の薬理試験は行わなかった。V260 は乳児のみに適用されるため、生殖発生毒性は評価しなかった。また、V260の遺伝毒性試験及び がん原性試験も実施しなかった。EMEA 及び WHO のガイドライン[資料4.3: 1] [資料4.3: 8]によれ ば、ワクチンの遺伝毒性試験及びがん原性試験は通常必要とされていない。V260は経口接種され るため、ワクチン接種を受ける者に皮膚刺激や眼刺激反応が生じる可能性は極めて低いことから、 V260の局所刺激性試験も行わなかった。

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V260 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 - 11 - 1.5.5 本邦における開発の経緯 本邦における臨床開発は、本邦におけるロタウイルスワクチンの必要性及び外国臨床試験成績 を考え、また、本ワクチンを本邦の小児の医療現場に提供することは、ロタウイルス胃腸炎の予 防に貢献するものと考えて計画した。 本邦における開発を始めるにあたり、臨床データパッケージ及び国内第Ⅲ相試験の試験デザイ ンについて、20 年 月 日に医薬品医療機器総合機構(以下、総合機構)との を行った。また、国内第Ⅲ相試験(029試験)開始前の20 年 月 日に も行った[2.5.1.7.1項]。上記の総合機構からの助言を基に、外国臨床試験成績を基に設定した V260 の用法・用量を用いて、日本人健康乳児を対象に国内第Ⅲ相試験(029試験)を実施した。 今回の製造販売承認申請で提出する臨床データパッケージには、以下の本邦における日本人の 健康乳児を対象とした第Ⅲ相試験(029試験)に加え、上記の外国で実施した第Ⅱ相用量範囲設定 試験(005試験)、第Ⅲ相試験(006試験、007試験及び009試験)、並びに外国において製造承認取 得後に実施した経口生ポリオワクチンを併用した場合の安全性及び免疫原性に関する試験(014 試験)を評価資料として含めた。 以下に、品質試験、非臨床試験及び国内臨床試験の経緯を示し、本剤の開発の経緯を[図1.5: 1] に示した。 1.5.5.1 本邦における臨床試験 国内第Ⅲ相試験(029試験)は、日本人健康乳児を対象に V260を3回経口接種した場合の有効性 及び安全性を評価した無作為化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験である[資料5.3.5.1: P029]。本試験の主要目的は、V260を3回接種した際の、G1、G2、G3、G4及び P1A[8]を含む G 型 (G9など)に起因したロタウイルス胃腸炎(重症度を問わない)に対する3回接種後14日目以降 の予防効果を評価することである。生後6~12週目の健康乳児に対して、出荷時力価の V260又は プラセボを初回接種し、その後28~70日の間隔を開けて2回目接種を行い、3回目接種を生後32週 目までに行った。本試験では、無作為化された被験者762例中、761例が治験薬の接種を受けた。 029試験における有効性の主要評価項目である血清型 G1、G2、G3、G4又は P1A[8]を含む G 型 (G9等)に起因したロタウイルス胃腸炎(重症度を問わない)に対する V260の予防効果の推定 値は74.5%(95% CI:39.9%, 90.6%)で、有意な予防効果が認められた。また、外国臨床試験の006 試験及び007試験を併合した場合の、血清型 G1、G2、G3又は G4型に起因したロタウイルス胃腸 炎(重症度を問わない)に対する予防効果の推定値は73.8%(95% CI:67.2%, 79.3%)で、029試 験と同様に有意な予防効果が認められた。したがって、国内臨床試験と外国臨床試験では、評価 するロタウイルス胃腸炎の血清型に若干相違がみられたものの、いずれも有意な予防効果が示さ れた。以上の結果より、外国臨床試験成績から推定した力価及び接種方法を用いたV260は外国と 同様に、日本人乳児に対しても高い有効性が確認された。 安全性に関しては、V260は、生後6~12週の日本人健康乳児への接種に対して良好な忍容性を 示し、また、V260の接種によって日本人乳児に特有、又は高頻度に発現する有害事象はなかった。

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V260 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 特に国内外の臨床試験成績において特に、注目すべき有害事象である「下痢、体温上昇、行動の 変化(易刺激性)、嘔吐」に関してV260の忍容性は全般的に良好であり、日本人乳児においても、 注目すべき有害事象である「腸重積症」のリスクは認められなかった。 1.5.6 経緯のまとめ 外国臨床試験の結果をもとに推定した用法・用量を用いたV260の国内臨床試験(029試験)に より、日本人乳児に対するV260の有効性及び安全性が確認された。また、029試験における乳児 に対する有効性及び安全性のプロファイルは外国試験結果と同様であり、その忍容性は全般的に 良好であった。さらに、V260と腸重積症の発症に対する影響については、大規模な外国臨床デー タを用いて評価し、V260の安全性が確認された。また、他のワクチン併用時の評価について外国 第Ⅲ相試験(006試験)においては、V260を他の既承認ワクチン、製造販売後臨床試験(014試験) においては、OPV と併用(同日接種)した結果、いずれの免疫原性にも影響を与えないことが示 された。以上より、本邦ではV260の接種により、ロタウイルス胃腸炎の予防が可能であり、ロタ ウイルス胃腸炎による医療機関利用状況の顕著な改善が十分に可能であると考えられることから、 V260を本邦に導入することが医療及び医療経済のベネフィットに大きく貢献すると考えられた。 以上の試験結果及び経緯により、本剤の血清型G1、G2、G3、G4及び P1A[8]を含む G 型(G9 など)によるロタウイルス胃腸炎の予防に対する有効性、安全性及び有用性が確立されたと判断 し、「血清型G1、G2、G3、G4及び P1A[8]を含む G 型(G9型等)によるロタウイルス胃腸炎の予 防」の効能・効果により製造販売承認申請を行うこととした。

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V260 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 - 13 - 試験項目 品質に関する試験 非臨 床試 験 反復投与毒性試 験及びその他の 試験 臨床 試験 有効性及び 安全性試験 図1.5: 1 V260 開発の経緯 :本邦で実施 :海外で実施

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V260 1.6 外国における使用状況等に関する資料 1.6 外国における使用状況等に関する資料

目次

頁 表一覧... 2 1.6.1 外国における使用状況等... 3

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V260 1.6 外国における使用状況等に関する資料 1.6 外国における使用状況等に関する資料 - 2 -

表一覧

頁 表1.6: 1 主要国におけるV260 の使用状況 ... 4 表1.6: 2 米国添付文書の要約... 6 表1.6: 3 EU添付文書の要約... 14

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V260 1.6 外国における使用状況等に関する資料 1.6 外国における使用状況等に関する資料 1.6.1 外国における使用状況等 V260(RotaTeq)は乳幼児におけるロタウイルス胃腸炎の予防を目的とする5価の経口生ロタウ イルスワクチンであり、2011年8月現在、世界100以上の国又は地域で承認されている。 V260の主要国における効能・効果及び用法・用量等の使用状況を[表1.6: 1]に示す。また、Merck Sharp & Dohme Corp., a subsidiary of Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.が作成した米 国及びEUにおける添付文書の概要(和訳)を[表1.6: 2]、 [表1.6: 3]に示すとともに、それぞれの 添付文書の原文を添付した([1.6.2.1]、 [1.6.2.2])。なお、EUでは中央審査方式により承認され、 EU各国の添付文書の内容は同様である。

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V260 1.6 外国における使用状況等に関する資料 1.6 外国における使用状況等に関する資料 - 4 - 表1.6: 1 主要国におけるV260 の使用状況 国名 販売名 承認年 月日 剤型・含量 効能・効果 用法・用量 米国 RotaTeq 2006年 2月3日 経口液剤 1回用量(2 mL)中に含まれ るヒト-ウシ生ロタウイル ス再集合体*及び力価の下 限を以下に示す。 G1 2.2 × 106 感染単位 G2 2.8 × 106 感染単位 G3 2.2 × 106 感染単位 G4 2.0 × 106 感染単位 P1A[8] 2.3 × 106 感染単位 なお、総力価は116 × 106 染単位以下である。 * Vero 細胞(アフリカミドリ ザル腎臓由来株化細胞)を 用いて作成 本剤は、乳幼児のG1、G2、 G3及び G4血清型に起因す るロタウイルス胃腸炎の予 防に使用する。初回接種は 生後6週から12週までの間 に行い、生後6週から32週ま での間に3回の接種を完了 する。 本剤は経口接種のみに使用 し、注射してはならない。 本剤はそのまま接種可能な 液剤であり、3回経口接種す る。初回接種は生後6週から 12週までの間に行い、次の 接種まで4週間から10週間 の間隔をあける。3回目の接 種は生後32週を超えてはな らない。 本剤接種前後の母乳を含む 飲食物の摂取に関して制限 はない。 EU RotaTeq 2006年 6月27日 経口液剤 1回用量(2 mL)中に含まれ るヒト-ウシ生ロタウイル ス再集合体*及び力価の下 限を以下に示す。 G1 2.2 × 106 感染単位 G2 2.8 × 106 感染単位 G3 2.2 × 106 感染単位 G4 2.0 × 106 感染単位 P1A[8] 2.3 × 106 感染単位 * Vero 細胞(アフリカミドリ ザル腎臓由来株化細胞)を 用いて作成 本剤は、生後6週以降26週ま での乳児におけるロタウイ ルス感染による胃腸炎を予 防するための能動免疫に使 用する。 本剤の使用に当たっては、 公的な指針に従うこと。 用量: 生後6週まで 本剤は当該部分集団の小児 患者には適応がない。 生後6週までの乳児におけ る本剤の安全性及び有効性 は確立していない。 生後6週以降26週まで 本剤は3回接種を行う。初回 接種は生後6週以降、生後12 週までに行う。 投与間隔は4週間以上あけ る。生後20~22週未満で3 回の接種を完了することが 望ましい。生後26週までに3 回の接種を完了する。 生後26週以降18歳まで 本剤は当該部分集団の小児 患者には適応がない。 用法 本剤は経口接種のみに使用 する。 いかなる場合においても、 本剤を注射してはならな い。 本剤は飲食物や母乳に関係 なく接種可能である。

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V260 1.6 外国における使用状況等に関する資料 1.6 外国における使用状況等に関する資料 表1.6: 1 主要国におけるV260 の使用状況(続き) オース トラリ ア RotaTeq 2006年 5月3日 経口液剤 1回用量(2 mL)中に含まれ るヒト-ウシ生ロタウイル ス再集合体*及び力価の下 限を以下に示す。 G1 2.2 × 106 感染単位 G2 2.8 × 106 感染単位 G3 2.2 × 106 感染単位 G4 2.0 × 106 感染単位 P1A[8] 2.3 × 106 感染単位 * Vero 細胞(アフリカミドリ ザル腎臓由来株化細胞)を 用いて作成 本剤はロタウイルス胃腸炎 の予防に使用する。 本剤は経口接種のみに使用 し、注射してはならない。 本剤はそのまま接種可能な 液剤であり、乳児に3回経口 接種する。初回接種は生後6 週から12週までの間に行 い、次の接種まで4週間以上 の間隔をあける。3回目の接 種を生後32週までに完了す る。 本剤接種前後の母乳を含む 飲食物の摂取に関して制限 はない。 カナダ RotaTeq 2006年 8月1日 経口液剤 1回用量(2 mL)中に含まれ るヒト-ウシ生ロタウイル ス再集合体*及び力価の下 限を以下に示す。 G1 2.2 × 106 感染単位 G2 2.8 × 106 感染単位 G3 2.2 × 106 感染単位 G4 2.0 × 106 感染単位 P1A[8] 2.3 × 106 感染単位 * Vero 細胞(アフリカミドリ ザル腎臓由来株化細胞)を 用いて作成 本剤は、乳児のG1、G2、 G3、G4及び P1A[8]を含む G 血清型に起因するロタウイ ルス胃腸炎の予防に使用す る。 本剤は経口接種のみに使用 し、注射してはならない。 本剤はそのまま接種可能な 液剤であり、乳児に3回経口 接種する。初回接種は生後6 週から12週までの間に行 い、次の接種まで4週間から 10週間の間隔をあける(生 後2、4、6ヵ月での接種スケ ジュールを含む)。 本剤接種前後の母乳を含む 飲食物の摂取に関して制限 はない。

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V260 1.6 外国における使用状況等に関する資料 1.6 外国における使用状況等に関する資料 - 6 - 表1.6: 2 米国添付文書の要約 国名 米国 販売名 RotaTeq

会社名 Merck Sharp & Dohme Corp., a subsidiary of Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.

効能・効果 本剤は、乳幼児のG1、G2、G3及び G4血清型に起因するロタウイルス胃腸炎の予防に使用する。初 回接種は生後6週から12週までの間に行い、生後6週から32週までの間に3回の接種を完了する。 [Dosage and Administration (2)参照]

用法・用量 本剤は経口接種のみに使用し、注射してはならない。 本剤はそのまま接種可能な液剤であり、3回経口接種する。初回接種は生後6週から12週までの間に 行い、次の接種まで4週間から10週間の間隔をあける。3回目の接種は生後32週を超えてはならない。 [Clinical Studies (14)参照] 本剤接種前後の母乳を含む飲食物の摂取に関して制限はない。 本剤を他のワクチンや溶液と混合してはならない。再調製又は希釈してはならない。[Dosage and Administration (2.2)参照]

保存方法については[How Supplied/Storage and Handling (16.1)参照]

本剤は1回接種分ごとに、柔らかいプラスチック製の接種用チューブ(ねじ切りキャップ付)に入っ た状態で供給され、直接経口接種することが可能である。接種用チューブは保存袋に包装されてい る。[Dosage and Administration (2.2)参照]

他のワクチンとの併用

本剤は臨床試験において、他の既承認の小児用ワクチンとの併用接種を行った。[Adverse Reactions (6.1)、Drug Interactions (7.1)及び Clinical Studies (14)参照]

使用方法 本剤の接種方法: 保存袋を開封し、接種用チューブを取り出す。 接種用チューブを垂直に持ち、キャップをはじいて接種口の先端部分 の液体を除去する。 簡単な2 つのステップで、接種用チューブを開封する。 1. キャップを時計回りにきつくなるまでねじり、接種口の先 端に穴を開ける。

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V260 1.6 外国における使用状況等に関する資料 1.6 外国における使用状況等に関する資料 表1.6: 2 米国添付文書の要約(続き) 用法・用量(続き) 2. 反時計回りにねじり、キャップを外す。 接種用チューブが空になるまで、乳児の口腔のほおの内側に向かって ゆっくりと液体を絞り入れる(少量の液体がチューブの先端に残って もよい)。 乳児が本剤を吐き出す又は嘔吐する等の理由で全量が接種されなか った場合、その回の追加接種は行わないこと(臨床試験において検討 が行われていない)。用法・用量に従い、次回に接種を行うこと。 使用後のチューブ及びキャップは地方条例に従い、感染性廃棄物容器 に廃棄する。 剤型・含量 本剤はG1、G2、G3、G4及び P1A[8]血清型のヒト-ウシ生ロタウイルス再集合体を含む経口接種用ワ クチンであり、そのまま接種可能な液剤である。2 mL あたりの各血清型の力価は2.0~2.8 × 106 感染 単位(血清型により異なる)以上であり、総力価は116 × 106感染単位以下である。 本剤は1回接種分が、柔らかいプラスチック製の接種用チューブ(ねじ切りキャップ付)に入った状 態で供給され、直接経口接種することが可能である。接種用チューブは保存袋に包装されている。 禁忌 1.過敏症 本剤の成分に対して過敏症の既往歴がある者。 本剤の接種後、過敏症が疑われる症状を発現した乳児に対しては、それ以降の接種は行わないこと。 2.重症複合型免疫不全 重症複合型免疫不全を有する乳児に対しては、本剤の接種を行わないこと。市販後の自発報告で、 本剤接種後に重症複合型免疫不全と診断された乳児において、胃腸炎(重篤な下痢及び持続的なワ クチンウイルス株の排出を含む)が報告されている[Adverse Reactions (6.2)参照]。 3.腸重積症 腸重積症の既往のある者には本剤の接種を行わないこと。 警告及び使用上の注意 免疫障害のある集団 臨床試験において、以下を含む免疫障害の可能性がある乳児に対して本剤を接種した場合の安全性 及び有効性データは得られていない: ・ 血液障害、白血病、各種リンパ腫、又は骨髄やリンパ系に影響を及ぼす他の悪性腫瘍のある者 ・ 免疫抑制療法(高用量の全身性副腎皮質ステロイドを含む)を受けている者。ただし、局所又 は吸入ステロイドを使用している者への本剤の接種は可能である。 ・ HIV/AIDS 又はヒト免疫不全ウイルス感染による他の臨床症状(細胞性免疫不全、低 γ グロブリ ン血症及びγ グロブリン異常)を呈する者を含む先天性及び後天性の免疫不全状態にある者。 HIV/AIDS 感染者の母親から生まれ、HIV の感染状態が不明な乳児に対する本剤の接種につい ては、臨床試験で十分な情報が得られていない。 ・ 42日以内に輸血又は免疫グロブリンを含む血液製剤の投与を受けた者 本剤の被接種者から非接種者(家族又は他の接触者)へのワクチンウイルスの感染が報告されてい る。[Warnings and Precautions (5.4)参照]

胃腸疾患

活動性の急性胃腸疾患を有する者を含む胃腸疾患の既往歴のある乳児、慢性下痢及び発育障害のあ る乳児、並びに先天性腹部障害及び腹部手術の既往歴のある乳児に対する本剤接種の安全性又は有 効性データは得られていない。これらの乳児に対して本剤の接種を検討する際には注意すること。

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V260 1.6 外国における使用状況等に関する資料 1.6 外国における使用状況等に関する資料 - 8 - 表1.6: 2 米国添付文書の要約(続き) 警告及び使用上の注意 (続き) 腸重積症 過去に承認されていたアカゲザルのロタウイルス由来の生ワクチンの接種後に、腸重積症のリスク の増大が認められた。本剤の有効性及び安全性試験(REST)(n=69,625)において、本剤はプラセボ と比較して腸重積症のリスクを増大させなかった。市販後の使用経験において、本剤と時間的関連 のある腸重積症の症例が報告されている。[Adverse Reactions (6.1 and 6.2) 参照]

排出及び伝播 REST 試験では、被験者部分集団において採取した各接種後4~6日目の糞便検体及びすべての被験者 において提出されロタウイルス抗原陽性を呈した糞便検体についてワクチンウイルスの排出の評価 を行った。本剤の初回接種後に360例中32例[8.9%、95%信頼区間(6.2%, 12.3%)]、2回目接種後に 249例中0例[0.0%、95%信頼区間(0.0%, 1 5%)]、3回目接種後に385例中1例[0.3%、95%信頼区間 (<0.1%, 1.4%)]の被験者において、ワクチンウイルス株が排出された。第Ⅲ相試験では、接種後1 日目から15日目までの間に排出がみられた。ワクチンウイルス株の伝播についての評価は第Ⅲ相臨 床試験では実施していない。 ワクチン被接種者から非接種者へのワクチンウイルス株の伝播が市販後に確認されている。 野生型ロタウイルスへの自然感染及び伝播のリスクを考慮してワクチンウイルス株の伝播の潜在的 なリスクを慎重に検討すること。 悪性腫瘍又は免疫障害のある者、原発性免疫不全のある者又は免疫抑制療法を受けている者のよう な免疫不全患者と密接な接触がある者に本剤の接種を検討する際には注意すること。 熱性疾患 熱性疾患を有する者に対しては、医師が本剤接種を延期することでより大きなリスクが生じると考 える場合を除き、本剤の接種を延期できる。軽度の発熱[100.5 F(38.1 C)未満]及び軽度の上気 道感染は、接種可能である。 接種スケジュールの未完了 本剤の1回又は2回接種による予防効果を評価するための臨床試験は実施していない。 本剤の有効性の制限 本剤の接種は被接種者全員に予防効果を示すものではない。 感染後予防 ロタウイルス感染者に対して本剤を接種した臨床データはない。 副作用 臨床試験成績 3つのプラセボ対照臨床試験において、71,725例の乳児(RotaTeq 群:36,165例、プラセボ群:35,560 例)の評価を行った。各接種後7、14及び42日目に、保護者(代諾者)に対して連絡をとり、腸重積 症並びにその他の重篤な有害事象の発現に関する情報を収集した。人種分布は白人(各群69%)、ヒ スパニックアメリカン(各群14%)、黒人(各群8%)、混血(各群5%)、アジア人(各群2%)、ネイ ティブアメリカン(RotaTeq 群2%、プラセボ群1%)及びその他の人種(各群1%未満)であった。性 別の分布は両接種群において、男児が51%及び女児が49%であった。 臨床試験は一般的な臨床現場とは異なる状況で実施されるため、下記に示す有害事象発現率は実際 に臨床現場でみられる有害事象発現率を反映しないことがある。 重篤な有害事象 第Ⅲ相臨床試験において、いずれかの接種後42日以内に、RotaTeq 群の2.4%及びプラセボ群の2.6% が重篤な有害事象を発現した。RotaTeq 群で高頻度に認められた重篤な有害事象は、以下のとおりで あった。 細気管支炎(RotaTeq 群0.6%、プラセボ群0.7%) 胃腸炎(RotaTeq 群0.2%、プラセボ群0.3%) 肺炎(RotaTeq 群0.2%、プラセボ群0.2%) 発熱(RotaTeq 群0.1%、プラセボ群0.1%) 尿路感染(RotaTeq 群0.1%、プラセボ群0.1%) 死亡 臨床試験を通して、52例の死亡が報告された。内訳は、RotaTeq 群25例、プラセボ群27例であった。 最も高頻度に報告された死亡の原因は乳児突然死症候群で、RotaTeq 群で8例、プラセボ群で9例にみ られた。

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V260 1.6 外国における使用状況等に関する資料 1.6 外国における使用状況等に関する資料 表1.6: 2 米国添付文書の要約(続き) 副作用(続き) 腸重積症 REST 試験では潜在的な腸重積症を特定するため、各接種後7、14、42日目、その後は初回接種後1 年間にわたり6週間ごとに積極的調査を行い、RotaTeq 群の34,837例及びプラセボ群の34,788例を追跡 した。主要な安全性結果である、いずれかの接種後42日以内に腸重積症を発現した被験者数は、 RotaTeq 群で6例及びプラセボ群で5例であった(表1参照)。プラセボ群と比較して腸重積症のリスク の増大は示唆されなかった。 表1 REST 試験における RotaTeq 群及びプラセボ群で腸重積症が確認された症例 RotaTeq (n=34,837) プラセボ (n=34,788) いずれかの接種後42日以内に腸重積症が確認された 被験者数 6 5 相対リスク(95%信頼区間)* 1.6 (0.4, 6.4) 初回接種後365日以内に腸重積症が確認された被験者数 13 15 相対リスク(95%信頼区間)* 0.9 (0.4, 1.9) * 相対リスク及び95%信頼区間は、REST 試験で用いた群逐次デザインの中止基準に基づく。 RotaTeq 群で、初回接種後42日以内(アカゲザルロタウイルス由来のワクチンにおいて最もリスクが 高かった時期)に腸重積症が確認された症例はなかった(表2参照)。 表2 REST 試験における接種回数及び接種後期間別の腸重積症の症例 1回目接種 2回目接種 3回目接種 いずれかの接種 接種後 期間

RotaTeq プラセボ RotaTeq プラセボ RotaTeq プラセボ RotaTeq プラセボ

1-7日 0 0 1 0 0 0 1 0 1-14日 0 0 1 0 0 1 1 1 1-21日 0 0 3 0 0 1 3 1 1-42日 0 1 4 1 2 3 6 5 3回接種後98日目に腸重積症を発症し術後敗血症により死亡した生後9ヵ月の男児を除き、腸重積症 を発現したすべての被験者が後遺症なく回復した。第Ⅰ相及び第Ⅱ相臨床試験(プラセボ群716例) において、RotaTeq 群の2,470例中、生後7ヵ月の男児1例に腸重積症が認められた。 血便排泄 いずれかの接種後42日以内に有害事象として報告された血便排泄は、RotaTeq 群0.6%(39例/6,130 例)及びプラセボ群0.6%(34例/5,560例)であり、重篤な有害事象として報告された血便排泄は、 RotaTeq 群0.1%未満(4例/36,150例)及びプラセボ群0.1%未満(7例/35,536例)であった。 痙攣 第Ⅲ相臨床試験において報告されたすべての痙攣(接種後期間別)を表3に示す。 表3 第Ⅲ相臨床試験で報告された接種後期間別の痙攣 接種後期間 1-7日 1-14日 1-42日 RotaTeq 10 15 33 プラセボ 5 8 24 重篤な有害事象として報告された痙攣は、RotaTeq 群0.1%未満(27例/36,150例)及びプラセボ群0 1% 未満(18例/35,536例)であった(有意差なし)。10件の熱性痙攣が重篤な有害事象として報告され、 内訳はRotaTeq 群5件、プラセボ群5件であった。 川崎病 第Ⅲ相臨床試験において、接種後42日間のフォローアップを行った。川崎病は RotaTeq 群36,150例中 5例、プラセボ群35,536例中1例で報告され、無調整の相対リスクは4.9(95%信頼区間:0.6, 239.1) であった。

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V260 1.6 外国における使用状況等に関する資料 1.6 外国における使用状況等に関する資料 - 10 - 表1.6: 2 米国添付文書の要約(続き) 副作用(続き) 高頻度の有害事象 報告を求めた有害事象 REST 試験の部分集団並びに007試験及び009試験の全被験者(詳細な安全性コホート)を含む11,711 例の乳児(RotaTeq 群6,138例)において安全性の詳細データを収集した。保護者(代諾者)はワク チン日誌を用いて、各接種後7日間の体温、下痢及び嘔吐の発現を記録した。表4にこれらの有害事 象及び易刺激性の発現頻度を示す。 表4 1、2及び3回目接種後7日間に報告を求めた有害事象(詳細な安全性コホート) 有害事象 1回目接種 2回目接種 3回目接種 RotaTeq プラセボ RotaTeq プラセボ RotaTeq プラセボ 体温上昇* n=5,616 17.1% n=5,077 16.2% n=5,215 20.0% n=4,725 19.4% n=4,865 18.2% n=4,382 17.6% n=6,130 n=5,560 n=5,703 n=5,173 n=5,496 n=4,989 嘔吐 6.7% 5.4% 5.0% 4.4% 3.6% 3.2% 下痢 10.4% 9.1% 8.6% 6.4% 6.1% 5.4% 易刺激性 7.1% 7.1% 6.0% 6.5% 4.3% 4.5% * 100.5 F(38.1 C)以上、直腸温相当(耳温及び口腔体温には1 F、腋窩温には2 F を加えた) その他の有害事象 11,711例の乳児の保護者(代諾者)は、各接種後42日間に発現したその他の有害事象もワクチン日誌 に記録した。発熱はRotaTeq 群(N=6,138)とプラセボ群(N=5,573)で同程度の頻度で認められ、 それぞれ42.6%、42.8%であった。いずれかの接種後42日以内に、プラセボ群と比較し、RotaTeq 群で 有意に[すなわち、P 値<0.05(両側)]高頻度で発現した有害事象を表5に示す。 表5 いずれかの接種後42日以内に、プラセボと比較し、RotaTeq 群で有意に高頻度で発現した有害事象 有害事象 RotaTeq N=6,138 プラセボ N=5,573 n (%) n (%) 下痢 1,479 (24.1%) 1,186 (21.3%) 嘔吐 929 (15.2%) 758 (13.6%) 中耳炎 887 (14.5%) 724 (13.0%) 鼻咽頭炎 422 (6.9%) 325 (5.8%) 気管支痙攣 66 (1.1%) 40 (0.7%) 早産児における安全性 REST 試験において、2,070例の早産児(妊娠週齢25~36週、中央値34週)に、RotaTeq 又はプラセボ を生後週齢に従って接種した。すべての早産児において重篤な有害事象の発現をフォローアップし、 308例の乳児の部分集団においてすべての有害事象の発現をモニタリングした。試験期間を通して、 RotaTeq 群で2例(乳児突然死症候群が1例及び自動車事故が1例)、プラセボ群で2例(乳児突然死症 候群が1例及び原因不明が1例)の計4例が死亡した。腸重積症の報告はなかった。RotaTeq 群の5.5% 及びプラセボ群の5.8%に重篤な有害事象が発現した。最も高頻度に認められた重篤な有害事象は細 気管支炎であり、RotaTeq 群の1.4%及びプラセボ群の2.0%に発現した。保護者(代諾者)は各接種後 7日間の体温並びに下痢及び嘔吐の発現を記録した。表6に初回接種後7日間のこれらの有害事象及び 易刺激性の発現頻度を示す。

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V260 1.6 外国における使用状況等に関する資料 1.6 外国における使用状況等に関する資料 表1.6: 2 米国添付文書の要約(続き) 副作用(続き) 表6 早産児において1、2及び3回目接種後7日間に報告を求めた有害事象 1回目接種 2回目接種 3回目接種 有害事象 RotaTeq プラセボ RotaTeq プラセボ RotaTeq プラセボ

N=127 N=133 N=124 N=121 N=115 N=108 体温上昇* 18.1% 17.3% 25.0% 28.1% 14.8% 20.4% N=154 N=154 N=137 N=137 N=135 N=129 嘔吐 5.8% 7.8% 2.9% 2.2% 4.4% 4.7% 下痢 6.5% 5.8% 7.3% 7.3% 3.7% 3.9% 易刺激性 3.9% 5.2% 2.9% 4.4% 8.1% 5.4% * 100.5 F(38.1 C)以上、直腸温相当(耳温及び口腔体温には1 F、腋窩温には2 F を加えた) 市販後の使用経験 市販後の本剤の使用において、以下の有害事象がワクチン有害事象報告制度(VAERS)に報告され た。接種後のVAERS への有害事象の報告は自発的であり、ワクチン接種回数は不明である。したが って、VAERS データを用いて有害事象の発現頻度の推定及び正確なワクチンとの因果関係を明らか にすることはできない。 市販後の使用経験において、本剤の接種を受けた乳児に以下の有害事象が報告された: 胃腸障害: 腸重積症(死亡を含む) 血便排泄 重症複合型免疫不全の乳児におけるワクチンウイルス株の排出を伴う胃腸炎 皮膚および皮下組織障害: 蕁麻疹 感染症および寄生虫症: 川崎病 ワクチン被接種者から非接種者へのワクチンウイルス株の伝播 プロスペクティブ市販後安全性観察研究 大規模な医療費請求データベースを用いたプロスペクティブ市販後安全性観察研究において、本剤 の接種を1回以上受けた85,150人の乳児における各接種後30日間の救急外来受診又は入院に至った腸 重積症又は川崎病の発生リスクを解析した。これらの診断を確認するため、カルテをレビューした。 評価には、本剤未接種で、ジフテリア、破傷風、沈降精製百日せきワクチン(DTaP)の接種を受け た乳児の同時期対照群(62,617例)及びヒストリカル対照群(2001年から2005年にかけて接種を受け た100,000例)を含めた。 ワクチン接種を受けた乳児の年齢群では、腸重積症及び川崎病の予想背景発現率は、50/100,000人 年及び20/100,000人年であった。 ワクチン接種後30日以内に確定症例と判定された腸重積症は、RotaTeq 群の6例(1回目接種後7、21 日目、2回目接種後3、6、7、8日目)及び同時期 DTaP 対照群の5例(1回目接種後12、27日目、2回目 接種後23日目、3回目接種後4、21日目)に発現した。各接種後7日以内に、RotaTeq 群の4例及び同時 期DTaP 群の1例が腸重積症を発現した。RotaTeq 群においてワクチン接種後30日以内に腸重積症を 発現する相対リスクは、同時期DTaP 対照群と比べ0.8[95%信頼区間(0.22, 3.52)]、2001年から2005 年にかけて接種を受けたヒストリカル対照群と比べ1.4[95%信頼区間(0.37, 5.97)]であった(5件 の腸重積症が発現したが、いずれもワクチン接種後7日以内ではなかった)。 1件の川崎病(3回目接種後23日目)が RotaTeq 群の乳児で確定症例と判定され、1件の川崎病(2回 目接種後22日目)が同時期 DTaP 対照群において確定症例と判定された[相対リスク=0.7; 95%信頼 区間(0.01-55.56)]。 また、一般的な安全性について、本剤の各接種後30日間のすべての救急外来受診又は入院に関して、 1)本剤各接種後31~60日(self-matched 対照群)、2)DTaP ワクチンの各接種後30日間(2004~2005 年に接種を受けたヒストリカル対照部分集団、40,000例)と比較し、自動記録データベースを電子的 に検索してモニタリングした。ワクチン接種後の複数のフォローアップ枠(0~7日後、1~7日後、8 ~14日後、0~30日後)を評価した安全性解析では、self-matched 対照群及びヒストリカル対照部分 集団との比較において、RotaTeq 群の乳児に安全性の問題は認められなかった。

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V260 1.6 外国における使用状況等に関する資料 1.6 外国における使用状況等に関する資料 - 12 - 表1.6: 2 米国添付文書の要約(続き) 副作用(続き) 有害事象の報告 副作用が発現した場合には、医療機関に報告するよう保護者(代諾者)に指示すること。 医療機関はすべての有害事象を米国保健社会福祉省(Department of Health and Human Services)のワ クチン有害事象報告制度(VAERS)に報告すること。

VAERSは1986年の小児期ワクチン被害法(National Childhood Vaccine Injury Act)で定められた事象を 含む(ただしこれらに限定されない)、ワクチン接種後の有害事象の疑いのあるすべての報告を受け 付けている。有害事象の報告に関する情報又はワクチン報告用紙については、VAERS [1-800-822-7967(フリーダイアル)]に連絡するか、オンラインでwww.vaers.hhs.gov.に報告するこ と。 相互作用 放射線、代謝拮抗剤、アルキル化剤、細胞毒性薬及び生理学的投与量を超える副腎皮質ステロイド を含む免疫抑制療法は、本剤に対する免疫反応を低下させることがある。 ワクチン併用接種 臨床試験において、本剤をジフテリア・破傷風・沈降精製百日せきワクチン(DTaP)、不活化ポリオ ワクチン(IPV)、ヘモフィルス b 型ワクチン(Hib)、B 型肝炎ワクチン、並びに肺炎球菌結合型ワ クチンと併用した[Clinical Studies (14)参照]。安全性データは副作用のセクションに記載する [Adverse Reactions (6.1)参照]。本剤と併用したワクチンに対する抗体反応が減弱したということを 示す所見はない。 特別な患者集団への 投与 妊娠 カテゴリーC:動物での生殖発生毒性試験は実施していない。妊婦に接種した場合の胎児への影響又 は受胎能への影響は明らかではない。本剤は出産年齢の女性に対する適応はなく、妊婦への接種は 避けること。 小児への使用 生後6週未満又は生後32週を超える乳児に対する安全性及び有効性は確立されていない。 早産児に対する生後週齢に従った本剤の使用を支持する臨床試験データが得られている[Adverse Reactions (6.1)参照]。 コントロールされた胃食道逆流性疾患の乳児に対する本剤の使用を支持する臨床試験データが得ら れている。 解説 本剤は5種類の再集合体生ロタウイルスを含有する5価経口生ワクチンである。再集合体のロタウイ ルス親株はヒト及びウシから分離された。4種類の再集合体ロタウイルスは、ヒトロタウイルス親株 由来の外層カプシドたん白質(G1、G2、G3及び G4血清型)の一つをウシロタウイルス親株由来の 付着たん白質(P7血清型)とともに発現する。5種類目の再集合体ロタウイルスは、ヒトロタウイル ス親株由来の付着たん白質であるP1A(遺伝子型 P[8])、以下 P1A[8] 血清型をウシロタウイルス親 株由来の外層カプシドたん白質(G6血清型)とともに発現する。(表7参照)。 表7 再集合体 ヒトロタウイル ス親株及び表面 たん白質構成 ウシロタウイル ス親株及び表面 たん白質構成 再集合体の表面たん 白質構成 (ヒトロタウイルス 成分を下線で示す) 最小力価 (106 感染単位) G1 WI79 – G1P1A[8] G1P7[5] 2.2 G2 SC2 – G2P2[6] G2P7[5] 2.8 G3 WI78 – G3P1A[8] G3P7[5] 2.2 G4 BrB – G4P2[6] G4P7[5] 2.0 P1A[8] WI79 – G1P1A[8]

WC3 - G6, P7[5] G6P1A[8] 2.3 再集合体は、抗真菌薬の非存在下で標準的な細胞培養法を用いてVero 細胞で増殖させる。再集合体 は、緩衝液中に懸濁し安定化している。本剤は精製白糖、クエン酸ナトリウム、リン酸二水素ナト リウム一水和物、水酸化ナトリウム、ポリソルベート80、組織培地及び微量のウシ胎仔血清を含有 する。本剤は保存料を含まない。 本剤は製造工程で、ブタ由来成分を使用している。ブタサーコウイルス(PCV)1及び2の DNA が本 剤から検出されている。PCV-1及び PCV-2がヒトにおいて疾患を引き起こすかどうかは不明である。 本剤はうすい赤色がかった淡黄色澄明の液体である。 プラスチック製の接種用チューブとキャップはラテックスを含まない。

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V260

1.6 外国における使用状況等に関する資料

1.6 外国における使用状況等に関する資料

表1.6: 2 米国添付文書の要約(続き)

過量投与 市販後の報告として、乳児が嘔吐後、本剤の接種又は追加接種を1回以上接種されたとの報告がある [Dosage and Administration (2.2)参照]。報告された過量投与に関する限られた市販後の経験から、 RotaTeq の推奨用量を超える誤った用量を接種後に報告された有害事象は、承認された用量及び用法 により認められた有害事象と同様であった。

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V260 1.6 外国における使用状況等に関する資料 1.6 外国における使用状況等に関する資料 - 14 - 表1.6: 3 EU 添付文書の要約 国名 EU 販売名 RotaTeq

会社名 Merck Sharp & Dohme Corp., a subsidiary of Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A. 組成・含量 1回用量(2 mL)中に以下を含有する: ロタウイルスG1血清型* 2.2 × 106 IU1, 2以上 ロタウイルスG2血清型* 2.8 × 106 IU1, 2以上 ロタウイルスG3血清型* 2.2 × 106 IU1, 2以上 ロタウイルスG4血清型* 2.0 × 106 IU1, 2以上 ロタウイルスP1[8]血清型* 2.3 × 106 IU1, 2以上 * Vero 細胞(アフリカミドリザル腎臓由来株化細胞)を用いて作成したヒト-ウシ生ロタウイルス再 集合体 1 感染単位(Infectious Units) 2 信頼限界の下限として(P=0.95) 添加剤: 本剤は精製白糖1,080 mg を含有する(4.4項を参照)。 すべての添加剤の一覧は、6.1項を参照。 剤型 経口用液剤 本剤はうすい赤色がかった淡黄色澄明の液体である。 効能・効果 本剤は、生後6週以降26週までの乳児におけるロタウイルス感染による胃腸炎を予防するための能動 免疫に使用する(4.2項、4.4項及び5.1項を参照)。 本剤の使用に当たっては、公的な指針に従うこと。 用法・用量 用量 生後6週まで 本剤は当該部分集団の小児患者には適応がない。 生後6週までの乳児における本剤の安全性及び有効性は確立していない。 生後6週以降26週まで 本剤は3回接種を行う。 初回接種は生後6週以降、生後12週までに行う。 妊娠週齢25週以上の早産児への本剤の接種は可能である。これらの乳児への初回接種は生後6週以降 に行うこと。4.4項及び5.1項を参照。 投与間隔は4週間以上あける。 生後20-22週以前に3回の接種を完了することが望ましい。 生後26週までに3回の接種を完了する。 本剤と他のロタウイルスワクチンの互換性に関するデータがないため、ロタウイルス予防接種とし て本剤の初回接種を受けた乳児は、本剤の追加接種を続けることが推奨される。 全量が接種されなかった場合(例えば、乳児が吐き出す又は嘔吐する等)又はその疑いが強い場合、 同来院時に追加接種を1回行うことができるが、臨床試験では検討されていない。同じ問題が再発し た場合は、更なる追加接種は行わないこと。 3回接種完了後の追加接種は推奨されない。(予防効果の持続性についての情報に関しては4.4項及び 5.1項を参照)。 生後26週以降18歳まで 本剤は当該部分集団の小児患者には適応がない。 用法 本剤は経口接種のみに使用する。 いかなる場合においても、本剤を注射してはならない。 本剤は飲食物や母乳に関係なく接種可能である。 用法については、6.6項を参照。 禁忌 本剤の有効成分又は添加剤に対して過敏症がある者。 過去にロタウイルスワクチン接種後に過敏症症状を呈した者。 腸重積症の既往歴がある者。

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