グローバルな事業環境の変化はダイナミックで予測不可能であり、多国籍企業にと
って、移転価格ポリシーの立案とその文書化は非常に困難なものとなっています。特
に、クロスボーダー取引の急増に伴い、移転価格税制は国際税務問題における最重
要課題に位置づけられています。米国や経済協力開発機構（OECD）における議論
を通じて、各国の税務当局は移転価格税制を制定し、多国籍企業にアームズレング
ス基準（独立企業間基準）の遵守と関連者取引に関する文書化を義務付けていま
す。NERAの移転価格チームは、独立的な立場から、批判に耐えうる経済分析を提
供することにより、入り組んだ国際移転価格税制の下でのクライアントの移転価格
対応を支援します。
NERAのエコノミストは半世紀にわたって、世界的に注目された訴訟事案や、規制・
ビジネス上の課題解決において重要な役割を果たし、クライアントを成功に導いて
きました。NERAのグローバル移転価格サービスは、移転価格リスクの最小化と同
時にグローバルなサプライチェーンの最適化を支援します。NERAの移転価格チーム
は、バリューチェーンや産業構造分析、ベンチマーク調査および厳密な価値の算定
方法を含む市場ベースの価格設定方法を適用、健全な事業戦略と確立された経済
原則に則った移転価格ポリシーを設計し、クライアントのビジネス上の目的と税務
当局の独立企業間基準の双方の要件を満たす移転価格の解決策を導きます。
NERAのグローバル移転価格サービス
NERAは、エコノミックコンサルティング業界の中でも、最も多数の社内エコノミ ストを有しています。NERAの移転価格チームは、移転価格サービス、独立性に基 づく助言、価値評価のサポートを広範囲にわたって提供しており、主要拠点のエ コノミストが効率的なチームを組成、多国籍のクライアントに対してグローバル な解決策を提案しています。NERAは実際的かつ実践的な移転価格アプローチを 重視しているため、高品質なサービスを提供するだけでなく、より効果的にクラ イアントと協働することが可能になります。NERAのエコノミストはまた、多くの 大手法律事務所より、独立的立場に立つ、バイアスのない訴訟・仲裁専門家とし て、多国籍企業のクライアントのための価値ある持続可能な解決策の策定を依 頼されています。NERAのチームはこうした専門家としての経験を豊富に有してお り、多国籍企業とその法律・税務顧問と協力し、困難な課題に対しては必要に応 じて洗練された経済学的手法を適用することで、最高レベルの実務的な助言と 支援を提供しています。NERAのクライアントは、世界的大手や有名企業から中堅 企業に至っており、数多くの著名ブランドを有しています。NERAの移転価格チームは、移転価格サービス、独立的立場からの助言、価値
評価のサポートを広範囲にわたって提供しており、世界主要拠点のエコノミス
トが効率的なチームを組成、多国籍のクライアントに対してグローバルな解決
策を提案しています。
NERAの専門家は、広範な業界について実務的な経験と、市場構造についての深 い理解を有しています。これらはクライアントを成功に導くための極めて重要な 要素となります。私たちは的確さ、独立性、批判に耐えうる牽牢性、および明解性 という基本理念を重視しています。移転価格分野における主要領域は以下の通 りです。 移転価格リスクの評価 NERAのエコノミストは、数多くの産業や地域における広範で実務的な移転価格 サポートだけでなく、当局による調査への対応の経験や、事業ごとの移転価格リ スク分析の能力も有しています。NERAはクライアントが抱える移転価格調査の 可能性を迅速に評価し、移転価格ポリシーの変更、文書化による防衛など有効 な解決策を策定、効果的な実行プロセスを提案します。また、これらの手法を活 用して米国財務会計基準審議会（FASB）の「法人所得税の不確実性に関する会 計処理」（FIN 48）や関連する税務当局の開示要件への対応も支援しています。 アームズレングス（独立企業間）移転価格の文書化 移転価格の各国規則・指針において、納税者は機能、資産、リスク負担の観点か ら検証対象取引と、比較可能な非関連取引の利益率を参照することによって、関 連者間取引の独立企業間基準を文書化することが要求されています。NERAは通 常、分析プロセスや情報の出所を明示した包括的な報告書の作成により、文書 化のための準備をサポートします。報告書は多くの場合、税務当局の調査の際に 当局に提供されています。
主要業務領域
移転価格システムの設計 多国籍企業の事業モデルは絶えず変化しています。これに伴いグループ内の取引 フローが変化し、新たな価格設定が余儀なくされます。既に一般的となったネット ワーク志向のグローバル統合型事業モデルにどう対応していくかが今日における 経営課題となっています。NERAは移転価格制度の設計に豊富な経験を有してお り、独立企業間原則に則した、新規事業モデルを成功に導くシステムを構築しま す。このプロセスにおいては、単純な機能分析にとどまらず、多国籍企業グループ 内で行なわれる起業家的活動がいかに価値や無形資産の共同形成に関与してい るのかを見極めることが求められます。 移転価格システムの導入 企業の事業モデルにおけるダイナミクスを理解し、独立企業間原則に則した基 本的な移転価格制度を設計することは第一ステップに過ぎません。重要な第二 ステップは制度の導入プロセスです。詳細な制度設計なくしては導入段階で直面 する数々の実務上の問題に対する解決策を導き出すことは不可能であり、したが ってどのようなシステムを設計するかが導入の成功を左右するといえます。また、 システムを設計する際、どのようにビジネスが発展するのかを見越したうえで、将 来の事業展開にも適合するよう配慮し、社内外の利害関係者の理解が得られる よう努める必要があります。NERAは多国籍企業グループの移転価格システム導 入と管理プロセスにおけるこのような問題についての深い知見を有しています。 事前確認制度（APA）、紛争および訴訟に係る支援 紛争解決の局面では、NERAのエコノミストは裁判における専門家(expert witness)としての高い評価を得ており、税務訴訟においては合理的で独創的な経 済理論を適用する能力を有しています。NERAは訴訟や紛争に係る支援にとどま らず、タックスプラニングに係る案件においても大手の法律事務所、税理士法人、 監査法人と提携し、経済的観点からの助言を提供した経験を豊富に有していま す。NERAは事前確認制度(APA)における移転価格手法の策定やこれら手法に関す る税務当局との交渉支援について、豊富な実務上の経験を有しています。NERAは また、法律事務所とは独立した立場に立ち、単に法律事務所のクライアントが期 待する回答ではなく、あくまで正しい結果を伝えます。こうした厳格な独立性に基 づく助言は税務当局やクライアントから高く評価されています。
コストシェアリング契約 多国籍企業は長年にわたり、コストシェアリング契約をタックスプラニング戦略の 一環として採用してきましたが、最近の米国における規則改正以降は当局による 調査姿勢が厳しくなっています。新しい規則では、関連者間での無形資産（一般 的に利益を生み出す資産や能力と定義）の移転は、無形資産から生み出されるあ らゆる利益（将来の追加的な開発から生み出される便益も含む）は当初の開発者 に帰属するという枠組みの下で評価される可能性があります。NERAのエコノミス トはこうした新しい要件への対応や、既存無形資産の評価、新たな評価システム への適合を目指した取引の再構築に際して、クライアントを支援しています。 価値評価調査 NERAは事業再編、タックスプラニング、合併・吸収に関連する事業資産および知 的財産の公正かつ正確な価値評価方法を構築し、クライアントを支援していま す。NERAのカバーする領域は事業価値評価、無形資産の価値評価、比較対象取 引、グループ内利益分割など広範囲にわたっています。 金融取引に係る価格設定 2008年9月以降の金融危機と景気後退を受けて、独立企業間原則に則した価格 設定を金融取引に適用するのは納税者や移転価格の専門家にとって、解決困難 な課題となっています。NERAの業務はローン、債務保証の価格設定、ストラクチャ ード・ファイナンス、リース、過小資本、財務サービス、プライベート・エクイティ、投 資信託の管理等の企業間金融におけるあらゆる領域に広がっています。NERAの アプローチは、税務当局に受け入れられており、訴訟においても有効性が証明さ れています。
NERAの専門家は常に正しい解決策を導くことに注力しています。以下の事例では 移転価格分野におけるNERAの豊富な実績を紹介します。 世界規模のメーカー NERAは世界的な機械メーカーからの要請を受け、米国内国歳入庁（IRS）による アジア本社と米国子会社との間の取引に係る移転価格についての調査対応に あたりました。IRSは特定の製品群に関して、米国子会社側の利益が著しく不足 していると主張。これに対し、本国の税務当局は米国事業に比べて、本国側の 利益額が不足していると主張しました。NERAのエコノミストは、関連者双方の 北米事業に係る機能・リスクや有形資産及び無形資産の相対的な貢献度に関 する調査を行い、同事業に係るバリューチェーンを詳細に分析した結果、両国の 独立企業間原則に則した利益水準の決定と検証のためのアプローチとして残余 利益分割法の採用を提案しました。NERAは期中に予算ベースで移転価格モデル （TPM）との適合をリアルタイムでモニターすることが可能な財務報告システム や、TPMの導入プロセスで必要となる、知的財産やその他資産による相対的な 貢献度の決定やグループ内のロイヤルティと利幅水準の決定のための評価プロ セスの策定を支援しました。 世界的な小売会社のサプライチェーン再構築 NERAはEUを拠点とする大規模多国籍企業からグループにおける世界的な移転価 格ポリシーの実行に関する設計と支援を依頼されました。NERAは包括的なサプ ライチェーン分析を根拠として、移転価格制度を同社のグローバル事業の価値創 造プロセスと整合的になるよう整備しました。NERAはサポート書類を作成し、ポ リシーの正当性を立証するための二国間APAにおいて税務当局との協議に参加し ました。
プロジェクト事例と実績
NERAのグローバル移転価格チームは移転価格リスクを最小化させるともにグ
ローバルなサプライチェーンの最適化を支援します。
製薬会社の税務調査支援 米国の大手製薬会社はアジアにおいて困難な移転価格調査に直面していました。 現地の税務当局は、徹底的な移転価格調査を実施し、多額の更正処分を提示しま した。NERAは当該会社の要請により、現地の関連市場を分析した上で、最適な現 地の比較可能企業を特定し、適切な調整を施した結果をベンチマークとして適用 しました。私たちの分析に基づく資料は税務当局に客観的事実を提供するもので あり、困難な二重課税問題を解決へと導きました。また、NERAはクライアントが APAを取得することで、将来の税務リスクの軽減を図るとともに、アジア各国にお ける円滑な事業環境を確保できるよう支援しました。 中国における移転価格調査対応と文書化の遵守 日系の多国籍メーカーは中国子会社が税務当局による移転価格調査を受けた ため、NERAに移転価格ポリシーの評価と関連者間取引の中国における規則へ の対応を依頼しました。クライアントの商取引を精査した後、NERAは詳細なベ ンチマーク調査を実施し、個々のグループ間取引に対して、独立企業間原則に則 した利益水準を決定しました。中国国内における他地域の税務当局とNERAと の間の建設的な関係も手伝って、当該地域の当局はNERAの分析結果を積極的 に検討しました。NERAはクライアントの代理として税務当局と協議し、クライ アントと税務当局の双方が納得できる解決策を導きました。現状の税務リスク をさらに低減させるため、NERAは当局との交渉で使用した分析結果を基に、関 連規則に則して中国子会社の文書化対応を支援しました。 グローバル・ヘッジファンド 世界的に事業展開するヘッジファンドは同社の自己資本の公正価値算定を NERAに依頼しました。ここで評価される価値は新規株主が公平に享受できる 価値の一部となります。NERAは価値評価分析と移転価格分析の両方を実施 し、自己資本の資産の価値が同社とグループ会社との間でのアームズレングス な価格設定に基づいているかを確認しました。NERAは基本的な前提条件とし て、ファンドの運用成績とボラティリティ、投資家がファンドから資産を引き揚げ る運用水準、運用手数料や成功報酬、無リスク金利、資産がファンドのある水 準を下回った場合に投資顧問会社が清算するまでの許容範囲などを設定し、オ
