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花咲大橋花咲大橋山橋花咲大橋山橋花咲大橋金星橋永山橋花咲大橋2. 河床低下による露岩の状況変化 (1) 露岩範囲の経年変化河床低下プロセスを整理するにあたり まず河床低下に伴う露岩状況の変化を確認した 昭和 53 年から平成 18 年までの露岩範囲の経年変化を図 -4 に示す 昭和 53 年では 1

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(1)

Hayato Takei, Masashi Yamaguchi, Fumiaki Mori

平成28年度

石狩川上流における河床低下プロセスを

踏まえた順応的管理について

旭川開発建設部 旭川河川事務所 ○武井 隼人

山口 昌志

森 文昭

石狩川上流では,河床砂礫が流出し,岩盤洗掘を伴う河床低下の進行により河川管理施設の 安定性低下が懸念され、河床低下対策工を実施している。対策工実施後の順応的管理に向けて 河床低下プロセスを踏まえたモニタリングの留意点を考察した。河床低下が進行するプロセス を整理し、露岩後の局所洗掘を早期発見し対策を講ずることが順応的管理上肝要であることが 示唆され、管理基準及びモニタリング計画案を策定したので報告する。 キーワード:河床低下、岩盤洗掘、順応的管理、モニタリング

1.はじめに

近年、石狩川上流のKP157~KP166区間(図-1)では河 床低下が進行しており、既設護岸の機能喪失や橋脚の安 定性低下が懸念されている1)、2)。さらに河床低下の進行 に伴い河床砂礫が流出し、岩盤の露出(以下、「露岩」 という。)が確認されている(図-2)。当該区間におい てはサケの遡上が確認されている3)ことから、河床低下 により露岩面積が増大するとサケの産卵適地が減少する ことも懸念される。そのため、当該区間では河床低下を 抑制し、砂礫床河川を復元することが課題となっており、 現在その対策手法について検討を行っているところであ る。 河床低下の対策手法については、当該区間の河床低下 に至った現象の進行過程を遡って元に戻すという基本コ ンセプトのもと、図-3に示す低水路拡幅及び掘削土砂を 用いた岩盤床被覆を行うこととした。対策工については、 河床変動計算などの数値計算のほか、2次元流れや河床 変動、様々な流況などの場合について、より明確に現象 を把握するため、大型模型実験にて効果検証を行い4),5),6)、 対策工を最終決定した。 対策工実施後には、モニタリングによって変化を把握 し、実験や計算結果との比較や必要に応じて維持補修を 実施し、計画にフィードバックする順応的管理を行って いくことが不可欠である。対策工実施後の順応的管理に 向けて、これまで収集したデータから河床低下プロセス を考察した結果、KP161付近から露岩が発生し、その後 上流へ岩盤洗掘が拡大進行し河床低下が進行するプロセ スが整理できた。 本報告は、順応的管理に向けた管理基準案及びモニタ リング計画案を策定したので報告するものである。 図-1 河床低下区間の位置 図-2 河床に岩盤が露出している様子(KP162.2) 図-3 河床低下対策工 石狩川流域 石狩川上流域 堤防 堤防 高水敷 高水敷 河岸保護工 河岸保護工 低水路掘削により川幅を広げ、掘削土砂で 軟岩洗掘箇所を埋め戻す 堤防 堤防 高水敷 高水敷 河岸保護工 河岸保護工 軟岩 軟岩

(2)

2. 河床低下による露岩の状況変化

(1) 露岩範囲の経年変化 河床低下プロセスを整理するにあたり、まず河床低下 に伴う露岩状況の変化を確認した。昭和53年から平成18 年までの露岩範囲の経年変化を図-4に示す。昭和53年で はKP157、KP161、KP163の3箇所において局所的な露岩 が存在しており、昭和60年まではこれら3箇所において 露岩は進行するものの局所的なものにとどまっている。 その後、平成7年にかけて、KP157およびKP161付近の露 岩が進行し、特にKP161付近の露岩拡大が大きくみられ る。平成13年ではさらに進行し、上下流の露岩箇所が連 続していき、平成18年までにはほぼ全区間にわたり露岩 が進行しており、図-5に示す露岩面積の経年変化からも、 平成7年から平成13年にかけての露岩面積拡大が顕著に 表れていることが確認できる。 (2) 岩盤洗掘量の経年変化 次に、局所的な露岩が存在していた昭和53年を基準に、 岩盤洗掘量の経年変化を整理した。各年次の横断測量結 果の差分から岩盤洗掘部分の面積を求め、区間距離を乗 じて算出した岩盤洗掘量の経年変化を図-6に示す。最も 露岩範囲の拡大がみられたKP161付近では、早い時期か ら岩盤洗掘が進行し、平成7年から平成13年にかけて顕 著に表れ、その後平成18年にかけて上流側への岩盤洗掘 の進行がみられた。KP157付近の露岩範囲の拡大箇所は、 KP161、KP163付近と比べると岩盤洗掘量は少ないもの の経年的に進行している。また、これとは対照的に KP159.2付近では岩盤洗掘量が経年を通して少ない箇所 がみられた。

3. 露岩・洗掘進行要因

前述の上流へ河床低下が進行するプロセスを縦断的に 考察するため、各種縦断データを整理した。 (1)最深河床高および平均河床高と岩盤線の関係 最深河床高および平均河床高の変遷と岩盤線の関係を 図-7、図-8に示す。最深河床高変遷図から、昭和53年時 点でKP160.6~KP163.0区間は岩盤線と河床高が概ね同程 度であることから露岩していると推測される。平均河床 高変遷図から、昭和53年時点でKP160.8~KP161.0区間の 岩盤線と河床高の差が小さく砂礫層が薄くなっていたと 推測され、最深河床高および平均河床高ともに昭和60年 から平成7年にかけて河床低下が進行している。 図-4 露岩範囲の変遷 図-5 露岩面積の経年変化 図-6 岩盤洗掘量の経年変化 KP166 KP166 :露岩箇所 昭和53年 露岩状況 ※背景は平成8年空撮 KP157 KP158 KP159 KP160 KP161 KP162 KP163 KP164 KP165 金 星 橋 北 旭 川 大 橋 永 山 橋 花 咲 大 橋 秋月 橋 :露岩箇所 昭和60年 露岩状況 ※背景は平成8年空撮 KP157 KP158 KP159 KP160 KP161 KP162 KP164 KP165 KP166 金 星 橋 北旭 川 大 橋 花 咲 大 橋 秋 月 橋 KP163 永山 橋 :露岩箇所 平成7年 露岩状況 ※ 背景は平成8年空撮 KP157 KP158 KP159 KP160 KP161 KP162 KP164 KP165 金 星 橋 北旭 川 大 橋 花 咲 大 橋 秋 月 橋 KP163 永 山 橋 平成13年 露岩状況 ※背景は平成8年空撮 KP157 KP158 KP159 KP160 KP161 KP162 KP164 KP165 KP166 金 星 橋 北 旭 川 大 橋 花 咲 大 橋 秋 月 橋 KP163 永 橋 :露岩箇所 KP157 KP158 KP159 KP160 KP161 KP162 KP163 KP164 KP165 平成18年 露岩状況 ※背景は平成19年空撮 旭 橋 金 星 橋 花 咲 大 橋 北 旭 川 大 橋 永 山 橋 :露岩箇所 :露岩箇所 S53 S60 H7 H13 H18 露 岩 面 積 (m 2 ) 0 50000 100000 150000 200000 250000 300000 350000 露 岩 面 積 (m 2 ) 0 100000 50000 150000 200000 250000 350000 300000 露 岩 面 積 ( ㎡ ) -40000 -35000 -30000 -25000 -20000 -15000 -10000 -5000 0 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 岩 盤 洗 掘 量 (m 3 ) KP S60-S51 H7-S51 H13-S51 H18-S51 岩盤洗掘が上流側に進行 KP161付近の岩盤洗掘が 大きく進行 岩盤洗掘量が少ない 洗掘量は少ないが、岩盤洗掘が 経年的に進行 岩 盤 洗 掘 量 ( ㎥ ) 0 -5000 -10000 -15000 -30000 -40000 -20000 -25000 -35000 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 KP S60-S53 H7-S51 H13-S51 H18-S51

(3)

Hayato Takei, Masashi Yamaguchi, Fumiaki Mori (2)水面幅・露岩幅の経年変化 平均年最大流量流下時の水面幅および露岩幅の経年変 化をそれぞれ図-9、図-10に示す。水面幅の経年変化か ら、昭和53年におけるKP160.6~KP160.8付近(岩盤凸部) の水面幅は、河床低下によって上下流に比べて狭く、概 ね半分以下となっている。 露岩幅の経年変化から、昭和60年においてKP160.8付 近の露岩幅の拡大が顕著であり、KP160.8下流側は昭和 53年~平成7年の期間で水面幅縮小および露岩幅拡大が 生じているが、近年は安定傾向にある。一方、KP160.8 上流側は、昭和60年以降、水面幅縮小および露岩幅拡大 が上流へ進行していることが確認できる。 (3)上流への河床低下進行プロセスの整理 河床高と岩盤線の関係および水面幅・露岩幅の経年変 化を整理した結果を踏まえて、上流への河床低下進行プ ロセスを縦断的に考察した。 各年代の急勾配変化点を把握すべく、図-8の平均河 床高縦断図のKP160.8~KP161.2付近を拡大した平均河床 高と岩盤線の関係を図-11に示す。昭和53年~昭和60年 にKP160.8付近で局所的に河床が低下し、大きく露岩す るとともに上流側が急勾配となる。以後、急勾配部が後 退し上流方向へ河床低下が進行している。図-9の水面幅 の経年変化から、昭和60年以降KP160.8付近から水面幅 縮小が進行し、図-4の露岩範囲の経年変化から、昭和53 年~昭和60年にKP160.8付近で大きく露岩した以降、上 流方向へ経年的に露岩範囲が拡大している。このことか ら、砂礫層の薄い箇所から局所的に河床低下し、露岩部 が拡大することで水面幅が縮小したものと思われる。 図-12の澪筋の変遷から、砂州の形態が複列砂州(昭和 年代)から単列砂州(平成年代)に変化しており、平成6年 ~平成15年の期間で澪筋の固定化が進行がしている。図 -13の樹木範囲の変遷を合わせて確認すると、昭和60年 以降、澪筋の固定化により樹林化が進行するといった河 道内の二極化がみられる。 以上から、河床低下の上流進行プロセスを整理すると、 ➀昭和53年~昭和60年にKP161付近で局所的な河床低下 が生じ、大きく露岩するとともに上流側が急勾配となる。 ➁急勾配化した区間では砂礫層が流出して河床が低下し、 澪筋部が露岩。➂急勾配区間下流側の露岩部が、砂礫が 流出する際に洗掘され河床が低下。➃急勾配区間全体が 河床低下し、水面幅の減少により掃流力が増大。また、 図-9 平均年最大流量流下時の水面幅縦断図 図-10 年平均最大流量流下時の露岩幅縦断図 図-11 平均河床高と岩盤線の関係 図-7 最深河床高変遷図 図-8 平均河床高変遷図 100 105 110 115 120 125 130 157 158 159 160 161 162 163 164 標 高 ( m) KP 秋月橋 KP161.08 花咲大橋 KP159.42 北旭川大橋 KP163.01 金星橋 KP158.1 旭橋 KP157.27 花咲大橋 KP159.42 秋月橋 KP161.08 北旭川大橋KP163.01 158 159 160 KP 161 162 163 164 157 標 高 (m ) 旭橋 KP157.27 金星橋 KP158.10 花咲大橋 KP159.42 岩盤凸部 KP160.6~163.0: S53時点で岩盤線と河床高が概ね同程度であ り、露岩箇所が存在 S53 S60 H07 H13 H18 岩盤線 130 105 100 105 115 120 125 100 105 110 115 120 125 130 157 158 159 160 161 162 163 164 標 高 ( m) KP 昭和51・53年測量横断 昭和60・61測量横断 平成7年測量横断 平成13年測量横断 平成18年測量横断 岩盤線(H19・20ボーリング調査より) 秋月橋 KP161.08 花咲大橋 KP159.42 北旭川大橋 KP163.01 金星橋 KP158.1 旭橋 KP157.27 標 高 (m ) 秋月橋 KP161.08 北旭川大橋KP163.01 旭橋 KP157.27 金星橋 KP158.10 花咲大橋KP159.42 158 159 160 KP 161 162 163 164 157 KP160.8~161.2: S53時点で砂礫層厚が薄い 岩盤凸部 S51 S60 H7 H13 H18 S53 S60 H07 H13 H18 岩盤線 130 105 110 115 120 125 100 0 50 100 150 200 250 300 350 400 157 158 159 160 161 162 163 164 平 均 年 最 大 流 量 流 下 時 の 水 面 幅 ( m ) KP S51 S60 H7 H13 H18 157 158 159 160 161 162 163 164 KP 157 平 均 年 最 大 流 量 流 下 時 の 水 面 幅 (m ) KP160.6~160.8(S53):上下流に比べて水面幅が狭い S60以降、水面幅の縮小が上流方向へ進行 主にS53~H7の期間で水面幅が縮小しているが近年は安定 S51 S60 H7 H13 H18 400 350 300 250 200 150 100 50 0 S53 S60 H07 H13 H18 0 50 100 150 200 157 158 159 160 161 162 163 164 露 岩 幅 ( m ) KP S51 S60 H7 H13 H18 露 岩 幅 (m ) 158 159 160 KP 161 162 163 164 157 KP160.8(S60):露岩幅の拡大が顕著 S60以降、露岩幅の拡大が上流方向へ進行 主にS53~H7の期間で露岩幅が拡大している が近年は安定 S51 S60 H7 H13 H18 0 50 100 150 200 S53 S60 H07 H13 H18 110 112 114 116 118 120 122 160 161 162 163 標 高 (mKP S53 S60 H07 H13 H18 岩盤線 岩盤洗掘 :各年代の急勾配変化点

(4)

砂州の冠水頻度が減少して樹林化し、澪筋が固定化され る。➄澪筋の固定化によりさらなる河床低下を助長し、 急勾配部が上流へ後退。以降、➁~➄を繰り返す。以上 の結果、上流方向へ澪筋化および澪筋部と樹林範囲の二 極化が進み、露岩部が連続するものと考えられる。

4. 代表地点における河床低下プロセスの整理

縦断的な河床低下進行プロセスの整理から、局所低下 や砂礫流出による露岩、澪筋の固定化などが起点となっ ていることが示唆された。このことを踏まえ、順応的管 理に向けて横断的な河床低下進行プロセスを代表地点で 整理した。 (1)KP161.0における河床低下プロセス 最初に岩盤洗掘が始まり、上流の砂州形成後に岩盤洗 掘が大きくなったKP161.0について重点的に整理した。 河床高横断図を図-14に示す。➀昭和53年~昭和60年に かけて護岸前面の左岸側に澪筋が移動して岩盤上の砂礫 が流出し、澪筋部で1m程度の岩盤洗掘が発生した。➁ 昭和60年~平成7年かけて水衝部となった左岸寄りの澪 筋部で、さらに0.7m程度の露岩洗掘が進むとともに、露 岩した澪筋部が中央、右岸方向にも広がり露岩面積が増 加する。➂平成7年~平成13年にかけて、露岩および岩 盤洗掘が横方向に広がり、澪筋が左岸寄りから中央寄り に移動した。露岩幅拡大後の澪筋部ではさらに最大1.8m 程度の岩盤洗掘が進行している。➃平成13年~平成18年 にかけて露岩幅には大きな変化はないが、露岩幅全幅で 深さ方向に洗掘が進み、中央部の澪筋部で最大0.8mの岩 盤洗掘が進行した。 図-13 樹木範囲の変遷

S60空撮

H6空撮

H15空撮

H18空撮

S60以降樹林化が進行

大きな変化なし

樹木範囲

①大きな変化なし ②大きな変化なし ③大きな変化なし ④大きな変化なし ①中州が左岸へ ②中州が右岸へ ③澪筋が中央へ ④澪筋が中央へ ①中州化 ②中州化 ③大きな変化なし ④中州の規模縮小 ① ② ③ ④

複列砂州の形態

① ② ③ ①④ ①中州化 ②中州化 ③大きな変化なし ④中州の規模縮小 ①中州化が左岸へ ④澪筋が中央へ ③澪筋が中央へ ②中州化が右岸へ ①大きな変化無し ②大きな変化無し ③大きな変化無し ④大きな変化無し

S60

H6

H15

H18

図-12 澪筋の変遷 図-15 KP162.4における河床高横断図 図-14 KP161.0における河床高横断図

(5)

Hayato Takei, Masashi Yamaguchi, Fumiaki Mori (2)KP162.4における河床低下プロセス KP161.0付近に続いて岩盤洗掘が発生し、近年洗掘量 が大きいKP162.4について整理した。河床高断面図を図-15に示す。➀昭和53年から昭和60年にかけては露岩範囲 は大きくはなく、砂礫層も確保されていた。➁昭和60年 ~平成7年にかけて左岸側に発生した砂州が固定されて 徐々に樹林化が進んで川幅が縮小し、澪筋が右岸側に固 定されて流水の集中が進み、澪筋部で0.5m程度の岩盤洗 掘が進行した。➂平成12年には低水路全体の水面幅が縮 小し、河床砂礫が流出しやすい状態となり、急激に河床 低下が進行した。➃平成13年~平成18年にかけては最深 河床高はほぼ一定のまま、露岩および岩盤洗掘が横断方 向に拡大している。 KP161.0の河床低下プロセスから考えると今後はさら にある一定の露岩幅まで横断方向に岩盤洗掘が拡大した のち、深さ方向に岩盤洗掘が進行していくと推測される。

5.

河床低下プロセス整理からの管理基準案の検討 代表地点における河床低下プロセスの整理結果を踏ま え、洗掘深及び露岩幅に着目して河床低下対策工実施後 の順応的管理に向けた、管理基準となる閾値を検討した。 (1) 平均洗掘深と最深洗掘深の関係 局所的な岩盤洗掘が断面全体(横断方向)へと広がる変 化点を把握するため、露岩部の最深洗掘深(推定岩盤高 を基準とした最深岩盤高との比高)がどの程度まで発達 すると、露岩部の平均洗掘深が増加するかを整理した。 例としてKP161.2の露岩部の平均洗掘深と最深洗掘深 の関係を図-16に示す。露岩部の最深洗掘深が2.5m程度 まで発達すると露岩部の平均洗掘深が増加する傾向が見 られた。このような平均洗掘深と最深洗掘深の関係を代 表地点の全断面において整理した結果を図-17に示す。 露岩部の平均洗掘深と最深洗掘深にはある程度の相関が あり、露岩部の最深洗掘深が0.5m程度まで発達すると、 露岩部の平均洗掘深が若干増加し、最深洗掘深が1.5m程 度まで発達すると、平均洗掘深がさらに増加する傾向が みられた。 以上の結果より、露岩部の最深洗掘深が0.5mを超える ような場合、岩盤洗掘が断面全体(横断方向)へと拡大す る可能性があるため監視を強化し、最深洗掘深が1.5mを 超えるような場合、必要に応じて別途対策の検討を行う ものとする。 (2) 露岩幅と岩盤洗掘量の関係 露岩幅の拡大に伴い、岩盤洗掘量が大きく増加する変 化点を把握するため、露岩幅がどの程度拡大すると、岩 盤洗掘量の増加量が上昇するかを整理した。 例としてKP161.2の露岩幅と累計岩盤洗掘量の関係を 図-18に示す。露岩幅が100m程度まで拡大すると岩盤洗 掘量が増加する傾向がみられた。このような露岩幅と累 計岩盤洗掘量の関係を代表地点の全断面において整理し た結果を図-19に示す。露岩幅と累計岩盤洗掘量にはあ る程度の相関がみられ、露岩幅が20m程度まで拡大する と岩盤洗掘量が上昇する傾向にあり、60m程度まで拡大 すると岩盤洗掘量がさらに上昇する傾向がみられた。 図-19 代表地点における露岩幅と累計岩盤洗掘量 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 露 岩 部 の 平 均 洗 掘 深 (m ) 露岩部の最深洗掘深(m) KP 157.6 KP 157.8 KP 158 KP 158.2 KP 158.4 KP 160.6 KP 160.8 KP 161 KP 161.2 KP 161.4 KP 162 KP 162.2 KP 162.4 KP 162.6 KP 162.8 監視強化 対策検討 通常 モニタリング 露 岩 部 の 平 均 洗 掘 深 (m ) 露岩部の最深洗掘深(m) 図-17 代表地点における露岩部の平均洗掘深と最深洗掘深 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 0 20 40 60 80 100 120 累 計 岩 盤 洗 掘 面 積 (m 2 ) 露岩幅(m) KP 161.2 累 計 岩 盤 洗 掘 量 (m 2) 露岩幅(m) 累 計 岩 盤 洗 掘 量 (m 2) KP161.2 0 50 100 150 200 250 0 20 40 60 80 100 120 各 断 面 の 累 計 岩 盤 洗 掘 量 (m 2 ) 露岩幅(m) KP 157.6 KP 157.8 KP 158 KP 158.2 KP 158.4 KP 160.6 KP 160.8 KP 161 KP 161.2 KP 161.4 KP 162 KP 162.2 KP 162.4 KP 162.6 KP 162.8 監視強化 対策検討 通常 モニタリング 各 断 面 の 累 計 岩 盤 洗 掘 量 (m 2 ) 露岩幅(m)

-17 ○○

KP 161.2 露岩部の最深洗掘深(m) 露 岩 部 の 平 均 洗 掘 深 (m ) KP161.2 図-16 KP161.2の露岩部の平均洗掘深と最深洗掘深 図-18 KP161.2の露岩幅と累計岩盤洗掘量

(6)

以上の結果より、露岩幅が20mまで拡大するような場 合、岩盤洗掘量が上昇する可能性があるため監視を強化 し、露岩幅が60m程度まで拡大するような場合、必要に 応じて別途対策の検討を行うものとする。

6.

モニタリング計画案 河床低下対策の目的および河床低下プロセスの整理、 順応的管理に向けた管理基準案を踏まえて設定した対策 工実施後のモニタリング項目を図-20に示す。これら8つ のモニタリング項目について、対策工完了までには数年 要することから、各年度の施工後における効果・影響を 詳細に把握するため、施工中からモニタリングを実施し、 対策工完成後から3年程度を経過観察期間として設定し た。特に、対策工の効果検証に必要な河床変動データに ついては、毎年、融雪出水後、夏期出水後に横断測量や 河床材料調査を実施し、出水前後の変化比較、変化の要 因分析、閾値として設定した管理基準値と照合すること とし、必要に応じて維持補修や計画へのフィードバック を行っていく。3年経過後は、低水路横断測量、河床材 料調査、航空写真撮影の3項目については、維持管理計 画に基づく調査結果で代用するものとし、概ね5年間で 実施するものとした。また、魚類・底生動物調査および サケの産卵床調査、河畔林機能評価調査についても5年 毎に追跡調査を実施する。 以上の計画でモニタリングを実施予定であるが、設定 した管理基準値である露岩部の最深河床高が0.5mまたは 露岩幅が20mに達する場合には、必要に応じて監視強化 および対策工の検討を行い、さらに露岩部の最深河床高 が1.5mまたは露岩幅が60mに達する場合は、必要に応じ て対策工を実施する。また、出水により河床が大きく変 動した場合などには、その変化を把握することが順応的 管理上重要なため、必要に応じて適宜モニタリングを実 施する。

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まとめ 本報告では、河床低下対策工実施後の順応的管理に向 けて、河床低下が進行するプロセスを整理し、露岩後の 局所洗掘を早期に発見し対策を講ずることが順応的管理 上肝要であることから、管理基準及びモニタリング計画 案を策定した。 露岩範囲の経年変化、岩盤洗掘量の経年変化からは、 昭和60年~平成7年にかけて増加傾向となり、平成13年 にかけて増加が顕著であることが確認された。 露岩、洗掘進行要因検討からは、最深河床高および平 均河床高と岩盤線の関係、水面幅・露岩幅の経年変化、 澪筋・樹林範囲の変遷を整理し、KP161において生じた 局所洗掘が、その後上流へ河床低下が進行していくプロ セスを考察することができた。 代表地点における横断的な河床低下プロセスの整理か らは、水面幅縮小による掃流力増加に伴い砂礫が流出し て露岩が発生し、局所的な岩盤洗掘による河床低下が発 生した。その後、岩盤洗掘が横断方向に広がり一定の幅 まで拡大した後、一定幅を維持しながら深さ方向に岩盤 洗掘が進行するプロセスが整理できた。 これらのことから、河床低下対策工実施後の順応的管 理に向けて、露岩部の局所洗掘や露岩幅を閾値とした検 討を行い「露岩部の平均洗掘深と最深洗掘深の関係」、 「露岩幅と累計岩盤洗掘量の関係」を見出し、管理基準 案を設定することができた。 河床低下対策工実施後のモニタリングに向けて、河床 低下対策の目的および順応的管理に向けた管理基準案を 踏まえたモニタリング項目を設定し、モニタリング計画 案を策定した。 今後の課題としては、管理基準との照合上最も重要な データとなる低水路横断測量について、現在は線データ が主体であるが、急流河川特有の複雑な河床変動を的確 に把握するためには面的な三次元データが不可欠であり、 グリーンレーザと呼ばれる水中部の計測が可能な航空レ ーザ測深を用いた三次元データの取得などの検討を進め ることが挙げられる。 謝辞.本研究にあたって、石狩川上流河道管理ワーキン グ委員をはじめ、多くの方にご助言を頂きました。ここ に記して謝意を表します。 参考文献 1)松本勝治、田代隆志、根元深:石狩川上流における河床低下 について、第52 回(平成 20 年度)北海道開発技術研究発表会. 2)松本勝治、森田共胤、根元深:石狩川上流における河床低下 について、第53回(平成 21 年度)北海道開発技術研究発表会. 3)北海道開発局旭川開発建設部:石狩川上流のサケ遡上の状況 について、 http://www.as.hkd.mlit.go.jp/chisui04/tyuubetu_kawadukuri/p df/sake_sojyo.pdf 4)田中雅基、米元光明、佐藤貴弘:石狩川上流の河床低下対策 に関する大型模型実験による検証について、第56 回(平成 24年度)北海道開発技術研究発表会. 5)柴田宙、佐藤貴弘、八十嶋邦英:石狩川上流の河床低下対策 に関する大型模型実験による検証について(第2報)、第 58 回(平成26年度)北海道開発技術研究発表会. 6)笹谷佑人、山口昌志、八十島邦英:石狩川上流の河床低下対 策に関する岩盤洗掘を考慮した大型模型実験について、第 59回(平成 27年度)北海道開発技術研究発表会. 図-20 河床低下要因別モニタリング項目 掃流力の増大 岩盤洗掘 河床低下要因 掃流力低下 砂礫床回復、維持 岩盤被覆 低水路拡幅 河床低下対策 1.融雪・洪水時の流況 2.被覆形状・粒度の変化 他影響 3.生物・環境 4.その他 1.水位観測 2.低水路横断測量 3.定点現地写真撮影 4.河床材料調査 ※水位観測、低水路横断測 量、河床材料調査結果をもと に掃流力を算出 2.低水路横断測量 4.河床材料調査 5.航空写真撮影 6.魚類、底生動物調査 7.サケの産卵床調査 8.河畔林機能評価調査 3.定点現地写真撮影 5.航空写真撮影 ※河道形成状況、再 ※露岩状況、樹林化 ※状況の把握等

参照

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