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ゼミナールによるマーケティングの教育効果とコンピテンスの育成

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Academic year: 2021

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要旨  平成 28 年度「大学教育再生加速プログラム」に採択された補助事業は,コンピテンス(汎用的能力)の 育成を柱とする。昨年度より,各科目でコンピテンスの育成も目指し,ルーブリックに基づいた評価を行い, その学習成果を学生に提示することで学生指導に役立てている。  本報告では,マーケティングの実践的な活動に取り組むゼミナールでのコンピテンス育成に焦点を当てる。 今年度,マーケティングの知識や実践力を身につけるだけでなく,コンピテンスの育成を教員と学生がとも に意識し,活動することができた。他方で,ルーブリックを用いた評価方法については課題が残された。 キーワード:マーケティング,コンピテンス,ルーブリック,アクティブラーニング

Ⅰ.はじめに

 本学では,平成 28 年度「大学教育再生加速プログ ラム」に採択された補助事業の一環として,コンピテ ンス(汎用的能力)の育成に取り組んでいる。全学的 に育成しているコンピテンスは,「情報リテラシー」, 「論理的思考力」,「コミュニケーション力」,「課題解 決能力」,「チームで働く力」の 5 つである。あわせて, 達成すべき目標を段階的に整理したルーブリックも作 成し,各科目におけるコンピテンス評価の共通化を 図っている1)  教員は授業を通じて育成するコンピテンスを,シラ バスとコンピテンス配分表に記載し,学生はそれらを 参考にし,自分が強化すべきコンピテンスも視野に入 れて履修科目を決める。学期末には各科目の成績評価 とともに,ルーブリックに基づいたコンピテンス評価 を行い,その学習成果を提示することで学生指導に役 立てている。  本報告では,短期大学におけるゼミナールでの活動 に焦点を当てる。担当するゼミナールでは,マーケ ティングの学びを深めることだけでなく,実践力を身 につけることを目的として,学生たちは商品開発など に挑戦している2)。今年度から着手したゼミナールで のコンピテンス育成の取組を踏まえ,ゼミナールの教 育効果とコンピテンス育成について,その成果と課題 を具体的に述べる。

Ⅱ.ゼミナールにおける活動とコンピテン

スの育成

1.ゼミナールでの実践的な活動  担当するゼミナールの研究内容はマーケティングで あり,学生が知識を得るだけではなく,その知識を活 用することに主眼を置いている。そのため,地域での 実践的な活動やアクティブラーニングを導入し,学生 には主体的かつ能動的に学習するよう促している。  卒業研究のテーマであり,主力の活動として位置づ けているのが,おにぎりの商品開発である。地元 JA から依頼があり,JA のブランド米を使用したおにぎ りの商品開発を 11 年前より続けている。また,数年 前からはバレンタインスイーツの企画・販売のプロ ジェクトにも関わることとなり,継続的な取組となっ ている。これらの活動については,同じことを繰り返 すのではなく,進化を目標として,新たな挑戦や試み を積み重ねるよう努めている。

ゼミナールによる

マーケティングの教育効果と

コンピテンスの育成

The Journal of Economic Education No.38, September, 2019

Effect of marketing education and development of competence in seminar class

KANEKO, Noko

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 さらに,地域からの要請やイベントへの参加など依 頼があれば,学生が実践力を鍛える機会になるため, 積極的に応じている。たとえば,地元のハーブセン ターからの依頼で店舗のディスプレイを改善したり, 近隣の理容室からの協力要請で,DM(ダイレクト メール)広告の企画・制作を担当した。さらに地元 JA からの要望があり,摘果リンゴを原料としたリ キュールの商品化に携わった。学生たちは,リキュー ルの商品名やパッケージデザインなどを考案するとと もに,そのリキュールに合うリンゴのスイーツも企画 し,商品の販売まで手がけた。今年度は,学内で物品 の販売などを担当する部署から,トートバッグのプロ デュースを委託され,デザイン,価格などの企画から プロモーションまで関わっている。  商品の企画や開発,プロモーションなど,実践的な 活動に注力する中で,学生たちは課題解決を目標に据 えて,計画実行する力を鍛えることができる。その成 果は売上に直結することもあるため,責任感と緊張感 を要する活動になっている。  このほか,現場で学ぶ「アウトキャンパス・スタ ディ」も実施し,これまで県内の食品加工会社,ワイ ナリー,卸売市場,ハーブ園,道の駅,農業の生産現 場,商業施設や外資系小売店舗など,多彩な学習の場 を得てきた。現場で五感を使って学ぶことは,学生に とって刺激的な体験となり,知識の吸収を促すととも に,マーケティングの活用力を強化することにつなが ると考えられる。 2.ゼミナールで育成するコンピテンス  ゼミナールでは,地域での活動を積み重ね,アク ティブラーニングを繰り返している。これにより,学 生がマーケティングの実践力を身につけることを目的 としているが,同時に社会に出る上で必要とする力を 鍛えることも意図してきた。  おにぎりの商品開発では,自ら考え,調べ,アイ ディアを“かたち”にするプロセスを通して,主体的 に一歩前に進む力が強化される。また,バレンタイン スイーツのプロジェクトにおいても,企画の実現に至 るまでには,発想力と創造力,そして実行力が鍛えら れる。また,販売においては,商品の魅力をどのよう に伝えるかといった表現力も求められるため,プレゼ ンテーション能力も磨かれる。ゼミナールでの活動は, チームで作業を進めることも多く,そうした中では協 調性が身につくことが期待される。チームで働く力と ともに,コミュニケーション能力も向上するよう,学 生自身が主体性を持って活動に参加するよう図ってい る。  今年度から全学的にコンピテンス育成を目指すこと となり,本学のコンピテンスとも合致する以下の 3 つ の力について,ゼミナールで重点的に育成することを 目標として掲げた。ひとつめは,課題を発見し,解決 に向けて主体的に目的と目標を設定し,計画的かつ着 実に実行に移す力,すなわち「課題解決能力」である。 ふたつめは「コミュニケーション力」,そして最後の ひとつは「チームで働く力」である。

Ⅲ.コンピテンス育成の成果と課題

1.コンピテンス育成の成果  ゼミナールでは学生に対して意識づけをするために, 育成するコンピテンスを明示し,コンピテンス育成の 重要性について説明を行っている。ゼミナールの授業 時間には,グループワークやグループディスカッショ ン,商品の試作などを行うことが多く,アクティブ ラーニングが中心の授業内容になっている。作業を中 断させたり,流れを止めてしまわないよう,具体的な 到達目標については授業開始時に掲げ,授業終了時や 翌週の授業開始時には,フィードバックを行うよう心 掛けた。どのようなことをがんばればコンピテンスを 育むことができるか学生自身が理解し,納得できるよ う,わかりやすく説明することを心掛けた。  先にも述べたように,コンピテンス育成の取組以前 から,ゼミナールではマーケティングの実践力を強化 するプロセスにおいて,そうした力を強化しようと意 図してきた。しかしながら,これまでは抽象的かつ感 覚的にコンピテンスを捉えていたため,教員と学生が 具体的な目標を共有していたとはいえない。また育成 しようとする意図はあったものの,具体的な指導には 至らなかった。  今年度から,コンピテンス育成という目的を明確化 し,教員だけでなく,学生もコンピテンスを伸ばそう とする意識づけが進み,コンピテンスを鍛えようとす る意志を持って,そのための努力をする姿勢が醸成さ れたといえる。  学期末には,学生に対しコンピテンス育成に関する アンケート調査を行った。設問は,問 1「コンピテン スの育成を意識していたか」,問 2「コンピテンスの自 己評価」,問 3「ゼミナールではコンピテンスを育成す るためにどのようにがんばったか」,問 4「コンピテン

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スをさらに強化するための課題」であり,問 3 と問 4 は自由記入欄を設けた。  問 3 の回答には以下のようなものがあった。  「課題解決能力」については,「こういうおにぎりが 作りたい!という目標のもと,何回も試作をして,た くさん改良して,理想のおにぎりに近づけることがで きた。おにぎりチェック票の意見もうまく取り入れる ことができた。」,「自分のだけではなく仲間の改善策 も考えることができた。」など,自分なりに目標を設 定し,そこに向かって努力できたことを述べている。 課題としては,「1 つのミスに気をとられて,別のミ スをしてしまった。計画や準備をもっと丁寧にした い。」,「わからないことをそのままにするクセをなお したいです。」など,自分を客観視し,できていない ことに目を向けながら,それを改善しようとしている ことが読み取れる。  「コミュニケーション力」については,「話し合いの 時は少しでも自分の意見を出すようにしました。人の 話をよく聞くことを心掛けました」,「作業がスムーズ に進むように,声をかけ合うよう努力した。」などが あり,今後の課題については,「相手の伝えているこ とをよく考えて,正しく意味が受け取れるようにした い。自分の思い込みを減らしたい。」,「自分の意見を もう少しわかりやすく伝えたい。」,「相手のことを 思って行動したい。」といったコメントがあった。ま た,人前で発表することに対しては苦手意識を持つ学 生が多いものの,「スイーツのプレゼンテーションを 通じて,皆の話を聴く力や,前に立って発表する力が ついたと思います。」と,授業中にプレゼンテーショ ンを行うことが効果的であることが窺える記述もあっ た。今後,そうしたアクティブラーニングの機会を増 やしていくことも,有効であると考えられる。  「チームで働く力」については,「自分が今どうすれ ば皆で効率よく動けるか?を考えて動くことができ た。」「指示を待つだけでなく,これをしたら次の作業 が楽になると先読みして行動するようになりました。」, 「みんなで協力をし,役割を分担しながら作業を進め ることができた。欠点を補うことができたと思う。」, 「準備や片づけを率先してできた。手が足りていない ところはないか意識して活動できた。」,「率先して洗 い物をしにいった」など,自分の役割を意識しながら 全体の成果を上げようと努力できたことが伝わった。 課題としては,「先を見通して考える。考えて行動し, 考えながらも行動できるようにしたい。」,「後期は自 分のチームだけでなく,ゼミ全体を見て行動できるよ うにしたい。」といように,意欲的な言葉が目立って いた。  以上のように,学生たちはコンピテンスを育成しよ うと努め,その成果を得ているように観察される。ま た,コンピテンスを意識し,それを育もうとすること で,ゼミナールでの活動が充実し,学習成果が大きく なったことも副次的な効果としてあげられる。たとえ ば,「課題解決能力」を強化しようと意識することで 商品を企画するためのリサーチなども自主的に行うな ど,各自創意工夫することが増え,企画内容が高度化 した。また,「コミュニケーション力」を向上させよ うと努力することで,互いに理解を深めながら作業を 進展させたり,作業を円滑化することができるように なった。さらには「チームで働く力」を鍛えようとす る中で,ルールや人との約束を守ることなども意識す るようになり,周囲に迷惑をかけないよう心がけたり, 思いやりの気持ちを持って周囲に接したりすることが 増えたように実感される。 2.ルーブリック評価についての課題  学生に対するコンピテンスの評価は,達成目標を明 確化した「ルーブリック」を用いる。ルーブリックの 評価レベルは 5 段階で,教員は学生がどのレベルまで 達しているかを判断する。ゼミナールのコンピテンス 評価は授業後に行い,学期末にそれらの平均値を算出 し,成績評価とともに提示する。学生は各科目の成績 だけでなく,コンピテンス評価(履修科目の平均値) も確認し,自らのコンピテンスについて状況を把握す ることができる。  成績評価と教員および学生のコンピテンス評価を表 1 にまとめた。教員がつけたコンピテンス評価と学生 の自己評価を較べると,それほど大きな乖離は見られ ない。自己評価を低くする学生は謙虚な性格とも,自 分を過小評価しがちとも捉えられる。他方で,自分を 過大に評価する学生もいる。とりわけ,「チームで働 く力」の自己評価を最高レベルの 5 とする学生(L と O)については,ルーブリックに即して判断している とは考えにくく,主観や感覚に頼って自己評価を行っ たものと推察される。  表 1 から,ゼミナールの成績とコンピテンスの評価 には相関が見出せる。繰り返しになるが,ゼミナール ではコンピテンス育成も視野に入れ,地域での実践的 な活動やアクティブラーニングを取り入れている。 よって,ゼミナールでの活動に力を入れることが,学 習成果を大きくするだけでなく,コンピテンスを鍛え

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ることにも結びつくことは当然のことといえよう。 アンケートでコンピテンス育成を意識していたかを質 問したところ,①毎回,意識していた,②たいていは 意識していた,③ときどき意識していた,④たまに意 識した,⑤まったく意識していなかった,の 5 項目中 で,①を選択した学生はいなかった。②が 9 名,③が 5 名であり,1 名のみが⑤を選んでいた。  ゼミナールで活動する際に,コンピテンスについて 説明を加えるよう心がけていたものの,作業やアク ティブラーニングの内容によっては,説明を省くこと もあった。①の回答がなかったように,毎回のゼミ ナール中,学生がコンピテンスの育成について意識し 続けることは難しかったといえる。しかしながら,ゼ ミナールでコンピテンスの育成を図ることも目標とし て設定している以上,毎回必ず教員が説明をし,コン ピテンスの育成に必要な指導を適宜行う必要があろう。  アンケートで唯一「まったく意識していなかった」 と回答した学生は,表 1 の学生 J であり,成績とコン ピテンス評価の数値はすべて平均より低い。学生が意 識し,自らコンピテンスを育成しようと努力しなけれ ば,得られる成果を大きくすることは難しい。このこ とからも,学生への意識づけは不可欠であり,今後は それを強化していくことが第一の課題となろう。  まったく意識していない学生がいることは問題外で あるが,「たいてい」や「ときどき」意識するに留ま らず,全員が毎回コンピテンスの育成を意識しながら 授業に参加できるよう,頻繁に丁寧な説明を重ねる必 要がある。さらには,一人ひとりの理解や認識を確認 する機会をつくり,コンピテンスを強化するために何 をすべきか具体的な指導に努め,学生が前向きに取り 組むことができるよう促すことにも注力したい。  第二に課題としてあげられるのは,評価方法の見直 しである。コンピテンスの育成において,評価に用い るのはルーブリックである。そのためにはアクティブ ラーニングを導入するなどして,学生のパフォーマン スを評価の対象とすることが望ましい。ゼミナールで は以前から学生が主体的に取り組むようアクティブ ラーニングを取り入れてきた。そのため,パフォーマ ンスを観察する機会は多く,ルーブリックを用いたコ ンピテンスの評価は容易であると考えていた。  しかしながら,評価のためにパフォーマンスを観察 しようとすると,情報量が多すぎて処理しきれないこ とが判明した。ゼミナール中,学生一人ひとりのパ フォーマンスをつぶさに観察し続け,ルーブリックを 活用して評価を行うことは不可能である。ゼミナール では予定する活動内容を円滑に進めること,学生に対 して的確な指導を行うこと,その日の学習到達目標お よびゼミナールの最終的な学習到達目標を見据えて, より成果を大きくしようと努めている。その一方で, いかに学生のパフォーマンスを見極めてルーブリック 評価を行うことができるか,極めて難しい課題が浮き 彫りになった。  ゼミナールの学生に対するアンケートでは,チーム で働く力について,「洗い物を 1 人でやっていた子を 表 1 ゼミナールでの成績とコンピテンスの評価 教員の評価 自己評価 学生 成績 コミュ 課題解決 チーム コミュ 課題解決 チーム A 95 3.5 3.5 3.5 3 3 4 B 90 4.0 3.5 4.0 3 3 3 C 70 2.0 1.5 1.5 3 3 3 D 90 3.0 3.5 3.5 3 2 3 E 85 3.0 3.8 3.5 3 3 4 F 95 4.0 3.5 4.0 3 3 3 G 95 3.0 3.5 3.5 4 3 4 H 90 4.0 3.5 4.0 3 3 4 I 90 3.0 3.8 3.5 3 3 3 J 80 2.5 2.5 3.0 3 2 2 K 90 2.5 3.5 3.0       L 85 3.5 3.5 3.5 4 4 5 M 82 3.0 3.5 3.5 3 3 3 N 95 4.0 4.0 4.0 3 4 3 O 95 4.0 4.0 4.0 4 4 5

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手伝い,スムーズに洗い場が回るようにした。」など, 教員の目が届かないところでのがんばりについても書 かれていた。教員の観察範囲外における学生のパ フォーマンスまでをも評価することは,至難の業であ る。とはいえ,観察しきれないパフォーマンスは評価 外とすると妥当性が乏しくなる。  以上のことから,コンピテンスの評価については, 授業中のパフォーマンスを観察するだけでなく,評価 方法を多様化することで適正化を図る。たとえば,授 業の最後に振り返りの時間を設け,学生がコンピテン スを育成しようと努力したことについてまとめ,自己 評価をする。あくまで学生の見解ではあるが,教員が 把握すべき情報も少なからず含まれよう。コンピテン スを評価する際には,教員が判断材料として活用する こともできる。また,振り返りとともに次回の課題や 目標なども学生自身が設定すると,コンピテンスの育 成を促進することにもつながる。  さらには,コンピテンスの育成を目的とするレポー トなどを課し,その取組内容を評価対象に加えること も有効であろう。ゼミ以外の講義科目では,コンピテ ンスの育成に「出席レポート」3)を活用している。こ れは,平成 21 年度教育 GP に選定された取組の一部と して導入し,現在も継続しているものである。「出席 レポート」のようにパフォーマンス評価を可能にする 課題を,ゼミナールにおいても学生に課すことにより, 評価方法の多様化を図ることとする。

Ⅳ.終わりに

 今年度からゼミナールに導入したコンピテンス育成 の取組による成果は,コンピテンスを重視し,それを 育成しようとする意識づけが,学生と教員双方に対し 進んだことである。具体的に何をすべきであるか,ど んな対応をするよう心がけるべきかなど,ゼミナール での指導を手厚くすることができ,コンピテンス育成 の成果を実感することができた。また,副次的な効果 としては,コンピテンスを育成しようと努めることで, ゼミナールの活動が活発化し,活動内容も充実したこ とがあげられる。  とはいえ,学生への意識づけは未だ不充分であると 言わざるを得ず,対応を強化することが来年度以降の 課題として残された。学生に対しては,これまで以上 に丁寧な説明を重ね,一人ひとりの理解や認識を確認 する機会も増やしていくことが求められよう。また, 学生がコンピテンスの育成に前向きな気持ちで積極的 に取り組むことができるよう,学生のモチベーション を高めるような創意工夫も要する。  コンピテンスの評価方法を見直し,多様化させるこ とも,取り組むべき課題である。今年度,ゼミナール では作業をしている学生の様子を観察し,それに基づ きルーブリック評価を行った。しかしながら,授業中 に全員にまんべんなく目を向け,しかも断片的ではな くすべての行為を把握しようと目で追うことは不可能 である。よって,コンピテンスの評価は,授業中の観 察に依るだけでなく,学生の自己評価および振り返り の記録や,コンピテンスの育成を目的として提出させ る課題の取組内容も評価の対象として加え,多様化を 図ることとする。評価方法の多様化を含め,評価の見 直しは今後も継続的に行い,ルーブリックを活用した 正当な評価を行うことができるよう努める。評価は ルーブリックに即して行うものの,そこには感覚や主 観による判断が入り込む余地が全くないとは言えない。 評価結果についても分析を行い,評価を適正化するた めの検証を重ねる必要もあろう。 註 1) 本学で取り組むコンピテンスの育成とその評価について は,経済教育学会第 33 回全国大会(2017a)で報告し, 同学会誌『経済教育』に報告内容を発表した。コア・コ ンピテンスやルーブリック評価方法などについて,資料 も掲載し,詳しく説明している(参考文献[1])。 2) 地域社会と積極的に関わり,課題解決型の学習を取り入 れているゼミナールでの活動については,経済教育学会 第 32 回全国大会(2016 年)で報告し,同学会誌『経済教 育』に報告内容を発表している(参考文献[2])。 3) 「出席レポート」の取組とその効果については,参考文献 [3]-[7]で報告している。 参考文献 [1] 金子能呼(2018)「短期大学におけるコンピテンスの育成 とその評価について」『経済教育』第 37 号 pp. 125-131 [2] 金子能呼(2017a)「地域で実践するゼミナールの学習効 果」『経済教育』第 36 号 pp.89-943 [3] 金子能呼(2017b)「授業外学習時間の確保とその効果に 関する一考察」『松本大学研究紀要』第 15 号 pp.115-122 [4] 金子能呼(2014a)『「出席レポート」に関するアンケート 調査結果』『松本大学研究紀要』第 12 号 pp.125-133 [5] 金子能呼(2014b)『「出席レポート」を活用したコンピテ ンスの育成』『経済教育』第 33 号 pp.92-97 [6] 金子能呼(2012)『「出席レポート」の効果に関する一考 察』『経済教育』第 31 号 pp.48-5 [7] 金子能呼・飯塚徹・糸井重夫(2011)『「出席レポート」 を活用した「就業力」と「学士力」向上への取り組み』 経済教育』第 30 号 pp.147-154

参照

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