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情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report Vol.2013-AVM-83 No /12/6 スーパーハイビジョンの放送に向けたメディアトランスポート技術 MMT 1 青木秀一 2016 年にスーパーハイビジョン (SHV) の試験放送を開始することを目指し

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スーパーハイビジョンの放送に向けた

メディアトランスポート技術

MMT

青木秀一

†1 2016 年にスーパーハイビジョン(SHV)の試験放送を開始することを目指し,映像符号化・音声符号化方式,多重化 方式,伝送路符号化・変調方式などを含む新たな放送システムの技術開発・標準化が進められている.アナログ放送 からの移行を実現した現在のデジタル放送では,放送システムのメディアトランスポート方式としてMPEG-2 Systems に規定されるTransport Stream (TS)が広く用いられた.現在のデジタル放送の基本的な仕組みが開発されてからおよそ 20 年が経過し,コンテンツ配信の環境は大きく変化した.多様なネットワークを用いて,多様な端末で,多様なコン テンツが利用されるようになった.こうした新たなコンテンツ配信の環境に対応するため,MPEG では新たなメディ

アトランスポート方式であるMPEG Media Transport(MMT)の標準化を進めている.本稿では,MMT の概要と MMT を用いることで実現されるスーパーハイビジョンの放送システムについて述べる.

MMT, Media Transport Technology

for Super Hi-Vision Broadcasting System

SHUICHI AOKI

†1

The development and standardization of Super Hi-Vision broadcasting system including various technologies such as audio/video coding, multiplexing, and channel coding/modulation are in progress in order to launch test broadcasting services in 2016. Todays’ broadcasting systems that achieved transition from analogue to digital TV broadcasting have widely adopted Transport Stream (TS) specified in MPEG-2 Systems as their media transport technology. Almost 20 years have passed since fundamental technologies of todays’ broadcasting systems were developed, and the environment surrounding content delivery has significantly changed. A wide variety of content delivered on one or more different types of delivery channels have become to be consumed by various devices. In order to effectively respond to the todays’ environment of content delivery, MPEG is developing a new media transport technology called MPEG Media Transport (MMT). This paper describes an overview of MMT and our proposed MMT-based Super Hi-Vision broadcasting system under development.

1. はじめに

2016 年の試験放送実施を目指し,スーパーハイビジョン の放送システムの開発と標準化が進められている. 筆者らは,ますます多様化するコンテンツ配信の環境に 対応し,利用者が情報をより活用できるコンテンツ配信の 実現を目的とし,スーパーハイビジョンの放送システムで は通信伝送路も積極的に利用することを検討している.そ のため,放送伝送路と通信伝送路を同様に用いることが可 能 な メ デ ィ ア ト ラ ン ス ポ ート 方 式 で あ る MPEG Media Transport(MMT)を用いた放送システムを提案している. 本稿では,放送・通信のハイブリッド配信の実現に適した メディアトランスポート方式として標準化が進められる MMT について述べると共に,MMT を導入した放送システ ムの概要について述べる.

2. MMT 標準化の背景

世界のデジタル放送の多くは,メディアトランスポート 方式としてMPEG-2 Systems に規定される Transport StreamTS)を用いている.この MPEG-2 Systems が標準化され てから,およそ20 年が経過しようとしている.

†1 NHK 放送技術研究所

NHK, Science and Technology Research Laboratories

この間,放送を取り巻くコンテンツ配信の環境は大きく 変化した.その一つが,デジタル信号処理技術の進歩によ るコンテンツの多様化である.利用者の嗜好がさまざまに なり,映像と音声だけのコンテンツから,静止画やアプリ ケーションなどさまざまなデータを含めたマルチメディア コンテンツが一般的となったことに加え,種々の解像度や フレームレートの映像などさまざまな品質の多種多様なコ ンテンツが利用されるようになった.これに対応し,コン テンツを利用する端末も多様化した.かつては,単一フォ ーマットの信号しか表示できないテレビ受信機が一般的で あったが,現在では複数フォーマットの信号を表示できる ディスプレイが広く普及している.ハイビジョンを超える 超高精細のディスプレイも利用可能となり,据え置き型か ら携帯型まで多種多様な形態の端末が利用されるようにな った.さらにネットワーク技術も進歩し,コンテンツを配 信する伝送路も多様化した.現在のデジタル放送が開発さ れた当時は,放送波が端末に情報を届ける主な伝送路であ ったのに対し,現在では放送波に加えインターネットや携 帯電話網などの高速な通信伝送路が手軽に利用可能となり, 放送と通信など複数の伝送路に同時に接続可能な端末も増 えている. このように,多様なコンテンツが多様なネットワークを

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用いて配信され,多様な端末で利用されるようになり,コ ンテンツ配信はさまざまな面で多様化が進んだ.このよう な多様化は今後もより一層進むであろう.

こ う し た コ ン テ ン ツ 配 信 の 環 境 変 化 を 受 け ,Moving Picture Experts Group(MPEG)は,従来のメディアトラン スポート方式の機能に限界があることから,多様なネット ワークでのメディア配信を想定した新たなメディアトラン スポート方式であるMMT の標準化を 2009 年から進めてき [1][2].

3. MMT の概要

MMT は,ISO/IEC 23008 MPEG-H“High efficiency coding and media delivery in heterogeneous environments”のシステム パートとして標準化が進められている.

MPEG-H パート 1 が MMT の主要パートであり,映像・ 音声などの符号のカプセル化形式や配信時のパケット形式 及び制御メッセージを規定している.パート10 は,パケッ トロスを回復するためのApplication Layer - Forward Error Correction(AL-FEC)の符号を規定している.MMT の AL-FEC フレームワークで用いることができる,リードソ ロモン符号,LDPC 符号,LDGM 符号などを規定している. パート11 は,コンテンツの構成を記述するために用いる, HTML 5 を拡張したシーン記述であるコンポジッション情 報を規定している.これらのパートに加え,MMT を実装 するためのガイドラインがパート 12 として標準化される 見込みである. MMT のプロトコルスタックを図 1 に示す.MMT は, 配信のための形式としてMMT パケット及び MMT ペイロ ードを規定するとともに,コンテンツの論理的な構成とし てパッケージを規定している.MMT パケットは,User Datagram Protocol(UDP)や Transmission Control Protocol (TCP)などの IP 上のプロトコルで伝送するパケットであ る.IP パケットでの伝送に適するよう可変長形式であり, 一つのMMT パケットが一つの MMT ペイロードを格納す る.MMT ペイロードには同一メディアのデータのみを格 納し,異なるメディアのデータや制御信号は混載しない. しかし,互いに異なるメディアのデータを格納した MMT パケットを,同一のIP データフローに多重し伝送すること が可能となっている. 多様なネットワークを用いるハイブリッド配信におい てコンポーネントの同期提示を実現するため,協定世界時 刻であるCoordinated Universal Time(UTC)を基準時刻と して,Media Processing Unit(MPU)の先頭に位置するアク セスユニット(AU)の提示時刻を制御メッセージに記述す る.クライアント端末は制御メッセージを解析し,コンテ ンツを構成する MPU とその提示時刻を特定する.この結 果,異なる伝送路で伝送する MPU を同期して提示するこ とができる(図 2). MPU には,図 3 に示すように任意の数のアクセスユニ ットを含めることができる.図 3 (a)は 6 個の AU を一つの MPU に含めた例であり,図 3 (b)は MPU により異なる数の AU を含めた例である.また,すべての AU がランダムア クセスポイントの場合には,図3 (c)のように 1 個の AU を MPU とすることもできる.放送システムでは,カプセル化 の遅延を抑える必要があること,また,任意のタイミング 図 1 MMT のプロトコルスタック Figure 1 Protocol stack of MMT.

制御メッセージ ・テーブル ・記述子 RTPや HTTP UDPやTCP NAL ユニット IPパケット MMT パケット MMTペイロード

Media Processing Unit (MPU) Media Fragment Unit

(MFU) アセット ファイル (連結) (連結・分割) アクセス ユニット 配信形式 コンテンツの 構造 パッケージ 図 2 制御メッセージによる MPU の組み合わせ Figure 2 Signaling message and MPUs.

制御メッセージ

MPUxyの取得先 MPUxyの提示時刻 MPUxyの提示位置 ………… ………… ディスプレイ ビデオ1 オーディオ1

MPU

12

MPU

13

MPU

11

MPU

22

MPU

21 伝送路1 伝送路2

AU…AU AU AU AU…AU AU…AU

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で受信を開始できる必要があることから,映像信号はGOP の単位でAU を MPU とすること,また,音声信号は映像GOP に相当する時間の AU を MPU とすることが考えら れる. MMT では多様なネットワークでの伝送をサポートする ため,伝送時にパケットロスが発生する可能性も考慮して いる.そのため,一方向の伝送においてもパケットロスを 復元するための手段としてAL-FEC を用いることができる. AL-FEC の基本的な仕組みを図 4 に示す.送信側は,符号 化処理によりデータパケットからリペアパケットを生成し 送信する.受信側は,リペアパケットを用いて復号処理を 行うことでロスパケットを復元することができる.AL-FEC を用いることで,伝送品質が低下した場合にも,コンテン ツの再生品質低下を抑制することが可能となっている. さらにMMT では,パッケージの利用及び伝送に必要な 制御信号を規定している.ISO/IEC DIS 23008-1 [3]に規定さ れる制御信号を表 1 に示す.制御信号は,1) テーブルや 記述子を格納する“メッセージ”,2) 特定の情報を示す要 素や属性を持つ“テーブル”,3) より詳細な情報を示す“記 述子”の3 階層から構成される.表 1 のうち,PA メッセ ージは,クライアント端末が最初に受信・処理する制御信 号であり,複数のテーブルを含むことができる.また MP テーブルは,パッケージを構成する映像信号や音声信号で あるアセットの情報を伝える制御信号である. MMT は ISO/IEC 標準として多くの用途に対応できるよ う,基本的な制御信号だけを規定する.そのため,個別の サービスに応じて必要となる具体的な制御信号を,ISO/IEC 標準とは別に規定する必要がある [4][5].

4. スーパーハイビジョン放送システムの概要

4.1 提案する放送システムのレイヤーモデル 放送は,多数の利用者に同時に安定してコンテンツを伝 送できる特徴がある.しかしながら一方向にしか伝送でき ない.これに対し,通信伝送路は双方向の伝送が可能であ り,要求に応じたコンテンツを伝送できる特徴があるが, (a) 送信側:データパケットから演算により リペアパケットを生成 (b) 受信側:ロスしたパケットを, リペアパケットを用いて復元 図 4 AL-FEC によるロスパケットの回復 Figure 4 Recovery of lost packets with AL-FEC.

1 2 3 4 5 A B データパケット リペアパケット 1 3 A 2 4 B 5 2 5 表 1 ISO/IEC DIS 23008-1 に規定される制御信号 Table 1 Signaling messages specified in ISO/IEC DIS 23008-1.

(a) パッケージの利用のためのメッセージ Package Access (PA) メッセージ

MMT Composition Information (MCI) メッセージ Clock Relation Information (CRI) メッセージ MMT Package Table (MPT) メッセージ Device Capability Information (DCI) メッセージ

(b) パッケージの伝送のためのメッセージ Measurement Configuration (MC) メッセージ Application Layer-Forward Error Correction (AL-FEC) メッセージ

Hypothetical Receiver Buffer Model (HRBM)メッセージ Reception Quality Feedback (RQF) メッセージ

(c) テーブル PA テーブル MCI テーブル MP テーブル CRI テーブル DCI テーブル

Security Information (SI) テーブル (d) 記述子 CRI 記述子 (a) 6 個の AU を MPU に含めた例 (b) 異なる個数の AU を MPU に含めた例 (c) 1 個の AU を MPU に含めた例 図 3 MPU 内のアクセスユニットの例

Figure 3 Examples of AUs in MPU. AU 7 AU8 AU9 AU10 AU11 AU12 MPU2 AU 1 AU2 AU3 AU4 AU5 AU6 MPU1 AU 1 AU2 AU3 MPU1 AU 4 AU5 AU6 AU7 AU8 AU9 MPU2 AU 10 AU11 AU12 AU13 MPU3 AU 2 MPU2 AU 1 MPU1

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送信設備やネットワークに輻輳が発生しサービス品質が低 下する可能性がある.このように特徴の異なる放送と通信 を組み合わせてコンテンツを配信することで,それぞれの 伝送路の利点を活用することができるため,多様化が進む コンテンツ利用環境に対応し,より利便性の高いサービス の実現が期待できる [6][7][8].特に超高精細のディスプレ イでは,ハイビジョンのディスプレイと比較し極めて多く の情報を提示できるため,放送と通信を組み合わせてコン テンツを配信するメリットがより大きくなる. そのためスーパーハイビジョンの放送システムは,現在 の放送システムのように放送単独の配信システムとして機 能するだけでなく,必要に応じ通信も利用するコンテンツ 配信システムの一部として機能することが必要になると考 えられる.一方,利用者にとってはコンテンツの伝送路よ りもコンテンツ自体が重要な要素であり,良質なコンテン ツを手軽に利用できることが必要となる.そのため,利用 者が伝送路を意識せずコンテンツを利用できるよう,放送 と通信が協調してコンテンツを配信する仕組みが必要にな る. これらの方針に基づき,筆者らが提案しているスーパー ハイビジョンの放送システムのレイヤーモデルを図 5 に 示す.放送番組の映像信号・音声信号の符号や,放送番組 に関連するデータコンテンツや字幕の信号はMFU/MPU と し,MMT ペイロードに乗せ MMT パケット化し IP パケッ トで伝送する.一方,データコンテンツの一部や Electric Program Guide(EPG)などに必要なファイルは,MMT を 用いずIP 上のデータ伝送方式 [9]を用いて伝送する.コン テンツダウンロードサービスなどの拡張サービスも IP 上 のデータ伝送方式で実現することが可能である. MMT を用いる場合あるいはデータ伝送方式の場合のい ずれも,伝送する情報はIP パケット化される.そこで放送 伝送路では,IP パケットを TLV パケットの形式として多重 し伝送する [10].また,通信伝送路では IP パケットのま ま,ユニキャストあるいはマルチキャストの配信形態で伝 送する. こ れ ら の メ デ ィ ア デ ー タ を 伝 送 す る 仕 組 み に 加 え , MMT-SI,IP-SI,TLV-SI の 3 種類の制御信号を設ける. MMT-SI は,放送番組の構成など放送番組に閉じた範囲の 制御信号である.MMT の制御メッセージの形式とし,MMT ペイロードに乗せMMT パケット化し IP パケットで伝送す る.IP-SI は,放送番組に閉じない放送サービス全般に関す る制御信号である.エンジニアリングサービスのダウンロ ード情報や,放送サービス全体の配信セッションの情報を 提供する.TLV-SI は,IP パケットの多重に関する制御信号 であり,放送波を選択しIP パケットを分離するための情報IP アドレスとサービスの対応情報を提供する. 4.2 MMT のパッケージとサービスの関係 放送伝送路におけるMMT のパッケージとサービスの関 係を図 6 に示す.スケジュールに従って送出される番組の 5 スーパーハイビジョン放送システムの レイヤーモデル

Figure 5 Layer model of Super Hi-Vision broadcast system.

MMT IP HEVC コンテンツ ダウンロード 等 放送 通信 AAC 映像 音声 字 幕 データ EPG IP -SI データ サービス M M T-SI TLV TLV-SI データ伝送方式 拡張サービス スーパーハイビジョンサービス 図 6 放送伝送路におけるパッケージとサービスの関係 Figure 6 MMT packages and services on broadcasting channel.

映像コ ン ポ ー ネ ン ト 音声コ ン ポ ー ネ ン ト デ ー タ サービス (例: ch101) パッケージ (M2TSでのプログラム) 映像コ ン ポ ー ネ ン ト 音声コ ン ポ ー ネ ン ト デ ー タ マルチ編成のサービス (例: ch102) パッケージ IPデータフロー (放送あるいは通信の伝送の単位) イベント (番組) 物理チャンネル TLVストリーム … TLVストリーム (放送での伝送の単位) パッケージ サービス (例: ch103) パッケージ サービス (例: ch104) … 映像コ ン ポ ー ネ ン ト 音声コ ン ポ ー ネ ン ト … … 映像コ ン ポ ー ネ ン ト … … …

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連続としての“サービス”は,現在の放送と同様に用いる. MMT では,コンテンツの単位をパッケージとして定義し ているが,このパッケージをサービスと一対一に対応付け て用いる.現在の放送では,MPEG-2 Systems の“プログラ ム”をサービスに一対一に対応付けて用いているが,MMT を導入することでプログラムからパッケージに変わること となる.パッケージがサービスに対応し,一つのサービス において開始及び終了時刻により区切られる“番組”はイ ベントとする. また,MMT では放送伝送路と通信伝送路を同様に扱う ことができる.放送伝送路と通信伝送路の両方を用いるサ ービスの構成を図 7 に示す.図 7 は,映像コンポーネント 1,音声コンポーネント 1,データ 1 を放送で,映像コンポ ーネント2,音声コンポーネント 2,データ 2 を通信伝送路 で伝送する様子を示している.放送伝送路では3 つのコン ポーネントを1 つの IP データフローに多重し,同一の TLV ストリームで伝送している.放送伝送路では送信した情報 がすべてのクライアント端末に伝送されるため,3 つのコ ンポーネントを1 つの IP データフローに多重している.こ れに対し,通信伝送路で伝送するコンポーネントは,個別 の要求に応じるため,互いに独立したIP データフローで伝 送することとしている.このようにMMT では,異なる伝 送路で伝送するコンポーネントを一つのパッケージに含め ることができるため,放送と通信の両方を用いたサービス を実現することが可能になる. 4.3 制御信号による MPU の提示先の指定 スーパーハイビジョン8K は 7680×4320 の画素数がある ため,これに対応した超高精細のディスプレイにさまざま な情報を提示するためには,提示位置を指定できることが 望ましい. MMT では,MPU の提示時刻とあわせ,レイアウト番号 と領域番号により提示位置を指定することができる.具体 的な領域の割り当ては制御メッセージとして伝送するレイ アウト設定テーブルにより指定する.図 8 にレイアウトの 7 ネットワーク横断的なサービスの構成

Figure 7 A service over both broadcast and broadband.

映像コ ン ポ ー ネ ン ト 1 音声コ ン ポ ー ネ ン ト 1 デ ー タ 1 サービス パッケージ (M2TSでのプログラム) IPデータフロー (放送あるいは通信の伝送の単位) イベント (番組) 物理チャンネル TLVストリーム (放送での伝送の単位) 映像コ ン ポ ー ネ ン ト 2 デ ー タ 2 音声コ ン ポ ー ネ ン ト 2 通信回線で伝送する IPデータフロー … 図 8 MPU の描画領域の指定の例 Figure 8 Examples of presentation areas of MPUs.

レイアウト番号: 0 (デフォルトレイアウト) 領域0 device_id: 0 レイアウト番号: 1 領域0 領域2 領域 1 device_id: 0 レイアウト番号: 2 (領域1と2は領域0の前面) 領域0 領域2 領域 1 device_id: 0 レイアウト番号: 3 (メインデバイス以外のデバイスにも出力) 領域0 device_id: 1 領域0 device_id: 0

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例を示す.これらの制御信号を用いることで,MPU を提示 する領域を指定できるため,スーパーハイビジョンに対応 する超高精細のディスプレイを活用するサービスが可能に なる. 4.4 MMT により実現されるサービスの例 放 送 と 通 信 の 伝 送路 を 同様 に 利 用 す る こ と が可 能 な MMT を用いることで,図 9 に示すようなサービスが可能 になる. 図 9 (a)は,放送と通信で伝送するコンポーネントを同期 して提示する例である.多くの利用が予想される映像や音 声などのコンポーネントを放送で伝送する一方,あまり多 くの利用が見込めない,あるいは,即時性が必要とされな いデータコンポーネントなどを通信伝送路で提供すること が想定される.MMT では,これらのコンポーネントをメ ディアトランスポートのレイヤで参照し,コンテンツを構 成することができる.また,スーパーハイビジョンの高品 質映像にオーバーラップしないよう,関連する情報をサブ デバイスに提示することもできる.こうしたサービスは, MMT の制御メッセージが IP アドレスによりコンポーネン トを特定していること,また,MPU のプレゼンテーション のタイムスタンプが UTC を基準時刻として用いているこ と,さらに,レイアウト設定テーブルにより MPU の提示 場所を指定できることなどのMMT の仕組みにより実現さ れる. 図9 (b)は,放送を受信している際に,緊急ニュースなど が発生した場合,その映像・音声信号の提示位置を指定し て提示する例である.現在の放送では,緊急ニュース等を 放送中の映像と同じ映像コンポーネントとして伝送してい るが,MMT を用いることで超高精細のディスプレイで提 示位置を指定し,放送中の映像コンポーネントとは別のコ ンポーネントとして伝送することが可能になる. 図 9 (c)は,衛星放送が降雨により正常に受信できなくな った場合,通信伝送路で伝送する代替のコンポーネントに 切り替えて提示する例である.MMT では,コンポーネン トの参照はIP アドレスを用いて行うため,放送伝送路だけ でなく通信伝送路のコンポーネントも参照することができ る.さらに,制御メッセージでは,MPU 単位で提示時刻を 指定することから,放送伝送路のMPU が正常に受信でき なくなった場合,通信伝送路で伝送する別の MPU を受信 し提示することが容易に行える.同様の仕組みで,放送伝 送路のコンポーネントを正常に受信できるようになった場 合,通信伝送路からの受信を停止し,放送の受信に切り替 えることも可能である. 放送と通信のハイブリッド配信に対応するMMT の仕組 みを用いることで,これまでのテレビの利用とは異なる, 情報をより活用する新たなサービスの実現が期待される.

5. おわりに

本稿ではMMT の概要とともに,筆者らが提案している MMT を用いるスーパーハイビジョンの放送システムの概 要について述べた.MMT を用いることで,放送伝送路と 通信伝送路を同様に用いることができるため,超高精細の ディスプレイにさまざまな情報を効果的に提示することが 可能になる.今後,MPEG 及び ARIB での標準化を進める とともに,送信装置・受信装置を開発する予定である.

参考文献

1) Lim, Y.: IP-Friendly MPEG Media Delivery Standards for Next Generation Broadcasting,IEEE International Symposium on Broadband Multimedia Systems and Broadcasting (2012).

2) Lim, Y., Park. K., Lee, J., Aoki, S. and Fernando, G.: MMT: An Emerging MPEG Standard for Multimedia Delivery over the Internet, IEEE Multimedia Mag., Vol.20, No.1, pp.80-85 (2013).

3) Text of ISO/IEC DIS 23008-1 MPEG Media Transport, ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 Doc. N13516 (2013).

4) 青木,他:次世代放送システムにおける MMT の運用方法の検討, 第12 回情報科学技術フォーラム(FIT2013), I-050 (2013). 5) 大槻,他:放送・通信ハイブリッド配信における制御情報の提案, 信学総大 B-6-129 (2013).

6) Concolato, C., Thomas, S., Bouqueau, R. and Feuvre, J. L.: Synchronized Delivery of Multimedia Content over Uncoordinated Broadcast Broadband Networks, MMSys '12 Proc. of the 3rd Multimedia Systems Conference, ACM Digital Library, pp. 227–232 (2012).

7) Chiao, H. -T., Tseng, C. -T., Jiang, J. -W. and Hou, H. -A.: Hybrid Streaming Delivery over DVB-H Broadcast and WiMAX Mobile Networks, IEEE 6th International Conference on Wireless and Mobile Computing, Networking and Communications (2010).

8) Heuck. C.: An Analytical Approach for Performance Evaluation of Hybrid (Broadcast/Mobile) Networks, IEEE Trans. Broadcast. Vol.56, No.1, pp. 9–18 (2010).

9) デジタル放送におけるダウンロード方式, ARIB STD-B45 (2011).

10) Multiplexing scheme for variable-length packets in digital broadcasting systems, Recommendation ITU-R BT.1869 (2010). (a) 放送と通信で伝送するコンポーネントを

同期して提示

(b) コンポーネントを提示する位置を指定して提示

(c) 利用可能な伝送路からの情報を提示 図 9 MMT により実現されるサービスの例 Figure 9 Examples of services realized by MMT. 通信 映像 音声 データ 制御 放送 放送 映像 音声 映像 音声 通信 映像 放送 映像 映像 映像 映像 映像

Figure 3  Examples of AUs in MPU. AU7AU8AU9AU10AU11AU12MPU2AU1AU2AU3AU4AU5AU6MPU1AU1AU2AU3MPU1AU4AU5AU6AU7AU8AU9MPU2AU10AU11AU12AU13MPU3AU2MPU2AU1MPU1
Figure 5  Layer model of Super Hi-Vision broadcast system. MMTIPHEVCコンテンツダウンロード等放送通信AAC映像音声字幕データEPGIP-SIデータサービスMMT-SITLVTLV-SIデータ伝送方式拡張サービススーパーハイビジョンサービス 図   6  放送伝送路におけるパッケージとサービスの関係  Figure 6  MMT packages and services on broadcasting channel
Figure 7  A service over both broadcast and broadband. 映像コンポーネント1音声コンポーネント1データ1サービスパッケージ(M2TSでのプログラム)IPデータフロー (放送あるいは通信の伝送の単位) イベント(番組)物理チャンネルTLVストリーム(放送での伝送の単位)映像コンポーネント2データ2音声コンポーネント2通信回線で伝送するIPデータフロー… 図   8  MPU の描画領域の指定の例  Figure 8  Examples of present

参照

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