平 成 2 2 年 度 高 等 学 校 授 業 力 向 上 研 修 実 践 記 録
パ ワ ー ポ イ ン ト を 利 用 し た 授 業 実 践
- 機 械 設 計 「 材 料 の 強 さ 『 曲 げ 』 」 の 指 導 を 通 し て - 県 立 新 発 田 南 高 等 学 校 教 諭 小 熊 幸 成 1 指 導 学 年 ・ 科 目 名 ・ 単 元 名 第 2 学 年 機 械 設 計 「 材 料 の 強 さ 『 曲 げ 』 」 2 指 導 目 標 ・はりの種類やはりに荷重が加わったときに生じる変化に興味を持たせ、授業に参加させる。 (関心・意欲・態度) ・パワーポイントを使い、はりに荷重が加わったときに生じる変化について考えさせ、説明できる ようにさせる。(思考・判断・表現) ・具体的な例を示し、基礎的な問題を解けるようにさせる。(技能) ・まとめプリントを利用し授業の確認をさせる。(知識・理解) 3 本 単 元 に お け る 「 研 究 テ ー マ 」 に 迫 る た め の 視 点 「機械設計」では、機械を動かした時にかかる負荷や材料の強度などを定量的に表すために数式 を使い計算することが多い。この場面では、どうしてこの式を使うのかというよりも、この公式に 数字を当てはめれば答えが出てくるというような、問題が解ければよいという事に流されてしまう ことがある。そこで、公式に頼るのではなく、自分で考えられる力を身に付けさせたい。そのため に、板書する時間やノートに写す時間を減らし、なるべく図を多く用いてイメージできるようにす る。 4 指 導 と 評 価 の 計 画 ( 全 5 6 時 間 ) 時 学習内容 学習活動 評価と方法 1 学 期 ・ 機 械 の な り た ち ・ 機 械 設 計 ・ 力 ・ 演 習 問 題 ・ 機 械 ・ 機 構 ・ 機 械 要 素 ・ 設 計 ・ 力 の 合 成 と 分 解 ・ 力 の モ ー メ ン ト と 偶 力 ・ 力 の つ り あ い ・ 重 心 ・ ま と め の 演 習 問 題 定 期 考 査 ・ 課 題 提 出 ・ 授 業 態 度 な ど を 十 分 に 考 慮 し て 評 価 2 学 期 ・ 材 料 に 加 わ る 荷 重 ・ 引 張 ・ 圧 縮 荷 重 を 受 け る 材 料 の 強 さ ・ せ ん 断 荷 重 を 受 け る 材 料 の 強 さ ・ 熱 応 力 ・ 材 料 の 破 壊 と 強 さ ・ 曲 げ ・ 演 習 問 題 ・ 応 力 と ひ ず み ・ 弾 性 係 数 ・ せ ん 断 力 と せ ん 断 ひ ず み ・ 横 弾 性 係 数 ・ 熱 応 力 ・ 線 膨 脹 係 数 ・ 材 料 の 種 類 と 荷 重 ・ は り の せ ん 断 力 と 曲 げ モ ー メ ン ト ・ せ ん 断 力 図 と 曲 げ モ ー メ ン ト 図 ・ ま と め の 演 習 問 題 定 期 考 査 ・ 課 題 提 出 ・ 授 業 態 度 な ど を 十 分 に 考 慮 し て 評 価3 学 期 ・ 曲 げ ・ ね じ り ・ 曲 げ 応 力 と 断 面 係 数 ・ は り の 断 面 の 形 状 ・ 寸 法 ・ は り の た わ み ・ 軸 の ね じ り ・ ね じ り 応 力 と 極 断 面 係 数 定 期 考 査 ・ 課 題 提 出 ・ 授 業 態 度 な ど を 十 分 に 考 慮 し て 評 価 5 評 価 規 準 Ⅰ 関心・意欲・態度 Ⅱ 思考・判断・表現 Ⅲ 技能 Ⅳ 知識・理解 機 械 設 計 に 関 す る 諸 問 題 に つ い て 関 心 を 持 ち 、 そ の 改 善 ・ 向 上 を 目 指 し て 意 欲 的 に 取 り 組 む と と も に 、 社 会 の 発 展 を 図 る 創 造 的 、 実 践 的 な 態 度 を 身 に 付 け て い る 。 機 械 設 計 に 関 す る 諸 問 題 の 解 決 を 目 指 し て 広 い 視 野 か ら 自 ら 考 え 、基 礎 的 な 知 識 と 技 術 を 活 用 し て 適 切 に 判 断 し 、創 意 工 夫 す る 能 力 を 身 に 付 け て い る 。 機 械 設 計 に 関 す る 基 礎 的 な 技 術 を 身 に 付 け 、安 全 や 環 境 に 配 慮 し 、実 際 の 仕 事 を 合 理 的 に 計 画 し 、適 切 に 処 理 す る と と も に 、そ の 成 果 を 的 確 に 表 現 す る 。 機 械 設 計 に 関 す る 基 礎 的 な 知 識 を 身 に 付 け 、 工 業 の 発 展 と 環 境 と の 調 和 の 取 れ た 在 り 方 や 現 代 社 会 に お け る 機 械 の 意 義 や 役 割 を 理 解 し て い る 。 6 本 時 の 計 画 (33/56時 間 ) ( 1 ) ね ら い 本時は、はりに集中荷重が加わり、つり合いの状態にあるとき、①支点の反力、②力のモーメ ントについて考え問題が解けるようにする。 ( 2 ) 本 時 に お け る 「 研 究 テ ー マ 」 に 迫 る た め の 指 導 の 構 想 ・パワーポイントを利用したシミュレーション ・公式にだけ頼らず、図からイメージし考えられるようにする ( 3 ) 展 開 時間 学習活動 教師の働きかけと予想される生徒の反応 支援・評価・留意点 導 入 1 0 分 ○ は り の 種 類 と は り に 加 わ る 荷 重 ・プ リ ン ト 説 明・本 時 の 授 業 説 明 ・ は り の 種 類 を 説 明 ・ 集 中 荷 重 と 等 分 布 荷 重 説 明 ・プ リ ン ト の「 1 は り の 種 類 と 荷 重 の 種 類 」 に 名 称 記 入 ・ 観 察 ・ 考 察 を 中 心 に 授 業 を 進 め る 展 開 1 1 0 分 5 分 ○ は り の つ り 合 い と 支 点 の 反 力 (1) ・ パ ワ ー ポ イ ン ト ○ 発 問 ・ プ リ ン ト 記 入 ・ 単 純 支 持 ば り に 集 中 荷 重 が 1 個 加 わ っ た と き の つ り 合 い の 条 件 を 説 明 す る ・ 長 さ の 比 で 求 め ら れ る ・ 単 純 支 持 ば り に 集 中 荷 重 が 1 個 加 わ っ た と き の 支 点 に か か る 反 力 の 大 き さ を 式 を 導 い て 説 明 す る ・ プ リ ン ト の 「 2 1個 の 集 中 荷 重 が 加 わ っ た 時 の 反 力 の 式 」 を 確 認 す る 観 察 プ リ ン ト 記 入
展 開 2 1 0 分 5 分 展 開 3 1 0 分 ○ は り の つ り 合 い と 支 点 の 反 力 (2) ・ パ ワ ー ポ イ ン ト ○ 発 問 ・ プ リ ン ト 記 入 ○ 例 題 1 0 , 例 題 1 1 問 1 6 ・ 単 純 支 持 ば り に 集 中 荷 重 が 多 数 加 わ っ た と き の つ り 合 い の 条 件 を 説 明 す る ・ 単 純 支 持 ば り に 集 中 荷 重 が 多 数 加 わ っ た と き の 支 点 に か か る 反 力 の 大 き さ を 式 を 導 い て 説 明 す る ・プ リ ン ト の「 3 多 数 の 集 中 荷 重 が 加 わ っ た 時 の 反 力 の 式 」 を 確 認 す る ・ 例 題 や 問 題 を や り 理 解 を 確 か め る ・プ リ ン ト の「 4 問 題 」を や り で き る か 確 認 す る 観 察 プ リ ン ト 記 入 観 察 練 習 問 題 ま と め 5 分 ○ ま と め ・ プ リ ン ト 記 入 ( 4 ) 評 価 ○ 「関心・意欲・態度」 授業中の様子から、今単元について関 心 を 持 ち 、意 欲 的 に 取 り 組 も う と す る 態 度 を 見 る 。 ○ 「 思 考 ・ 判 断 ・ 表 現 」 練 習 問 題 に 対 す る 受 け 答 え か ら 、 自 ら 考 え 、 基 礎 的 な 知 識 を 活 用 し て 適 切 に 判 断 し 、 解 答 し よ う と す る 様 子 を 見 る 。 ○ 「技能」、「知識・理解」 配布プリントの解答状況から、理解と知識の活用技能が身についてるか見る。 7 実 践 の 考 察 と ま と め (1)研修内容 ○第1日目 期日 平成22年6月16日(水) 会場 県立教育センター 内容 講義「 本 県 高 等 学 校 に お け る 各 教 科 の 課 題 と 授 業 改 善 の 視 点 」 演 習 ・ 協 議 「 課 題 の 明 確 化 、 個 々 の 課 題 検 討 」 ○第2日目 期日 平成22年9月6(月) 会場 県立教育センター 内容 講義「課題解決への方法」 長岡技術科学大学准教授 上村 靖司 様 協議・演習「単元の指導計画・学習指導案の検討、模擬授業等」 ・教員が、生徒によい課題を与ると、知りたいという欲求が生まれる。そこで、教員が答え の方向に導いてやり、生徒に気づかせる。 ・板書するときは、アンダーラインを「虫食い」にし、生徒に考え答えさせ、機械的板書と ならないように工夫している。 ・教育とは「感性」を引き出し、それを磨く「場」を用意すること。 ・プレゼンテーションの中に付箋を貼ることで、隠された答えに意識を集中させる効果を持 たせる。
○第3日目 期日 平成22年11月1日(月) 会場 県立新発田南高等学校 機械総合実習室 内容 研究授業 生徒評価 4.1(5段階) 生徒感想 ・プレゼンテーションでわかりやすかった。 ・パソコンでやったほうが見 や す い 。 ・ プ リ ン ト だ と 分 か り や す い 。 ・図 を 使 っ て の 説 明 が 分 か り や す か っ た 。 ・ 穴 埋 め の 問 題 も 出 て い て よ か っ た 。 ・い つ も の 授 業 の 方 が 書 い て 覚 え ら れ る と 思 っ た 。 ・ 静 か だ っ た か ら 授 業 に 集 中 で き た 。 ・ ノ ー ト を 取 ら な い ぶ ん 聞 き や す か っ た 。 研 究 協 議 ・ 図 を 分 解 し て 詳 し く 説 明 し た り 、 色 を 使 っ た ら 分 か り や す い 。 ・ 生 徒 と の や り と り が 足 り な か っ た 。 ・ 絵 が 動 く な ど , 動 き を つ け た 方 が 理 解 し や す か っ た 。 ・ パ ワ ー ポ イ ン ト に 偏 り す ぎ て い た の で は な い か 。 ホ ワ イ ト ボ ー ド も 併 用 し た 方 が 良 い 。 ・ 書 く こ と も 大 事 な 勉 強 。 ・ プ リ ン ト の 提 出 を 最 初 に 説 明 し 、 ア ン ケ ー ト の 項 目 も 明 確 に 示 し た ほ う が よ い 。 研究授業反省点 ①準備のところでパワーポイントでの教材作りに時間を取られ過ぎた。 ②授業中はパワーポイントでの説明に偏りすぎ、中には眠くなる生徒もいた。 ③プレゼンテーションで使った画像が静止画のみで、動画を見慣れた生徒には印象が薄かった のではないか。 ④所々で生徒に発問したが、かけられた生徒のみが考え他の生徒は人ごとのような所があった。 ○第4日目 期日 平成22年12月3日(金) 内容 演 習 「 研 究 授 業 の 考 察 、 実 践 記 録 の 検 討 ① 」 見学「ワイン蔵見学」 講義「ワインの製造販売、飲食店経営について」 (株)欧州ぶどう栽培研究所代表取締役 落 希一郎 様 ・自分でブドウを育て、自分のところでワインを作る。 ・自社で製造したワインは流通にのせず、自分の店でのみ売る。 ・ターゲットをきっちり絞る。 ・自分のやりたいことをきちんと相手に伝える。 (2)考察・感想 ○公開授業についての考察 ①生徒の感想に、「図を使っての説明で分かりやすかった。見やすかった。」とあったことから、 パワーポイントを利用した成果が考えられる。 ②「見にくかった。」という感想もあったことから、教室内の明るさや、図の配色、文字の大きさ などに気をつける必要がありそうだ。 ③生徒の注意をひくために付箋で隠すような画像を使ったが、感想の中に穴埋めがありよかった と評価され、ある一定の効果はありそうだ。 ④静止画だけではなく、よりイメージしやすくするために動きをつけたり、動画を使うなど工夫 が必要である。 ⑤説明とノートすること、考えることのバランスを考慮し、メリハリのある授業展開をする必要 がある。
⑥プレゼンテーションソフトを使った授業は、その効果が期待できるが、製作に時間がかかるこ とが課題である。 ○研修全体の感想 今回の研修は、私にとって今後授業を進めていく上で非常に役に立ち、得るものが多い研修だっ た。最近は、3学年の担任を持ち進路指導や生徒指導さらに校務分掌と、日々の仕事に追われるこ とが多く、自分の授業を振り返ることが少なかったが、そのような中で、改めて授業を通して生徒 と関わることや生徒が興味関心を深めながら学べるような工夫をすることを考え研修することがで きた。 公開授業を行うに当たり、研修の中で長岡技術科学大学准教授の上村先生の講演に使用されてい たプレゼンテーションは非常にわかりやすく、私がパワーポイントで授業をする際に大いに参考と なった。また、効率よく教えることばかりを考えて授業することが多かったが、上村先生は、教師 が「良い課題を与え、導いてやること」で、生徒自身が「知りたい、気づく」喜びを感じ取れる授 業を作り上げていくことの大切さを説かれていた。 「ワイン蔵見学」では、落様より、「自分でぶどうを育て、ワインをつくり、そして販売する」と いう目標を持ち取り組んできた話を聞かせていただいた。工業とは違う分野ではあるが、「良いもの をつくり、適正な価格で販売し、喜んでもらう」という事は共通するものがあると思った。苦労も 多い中、講師の前向きな姿勢から多くのエネルギーをいただいた。そして、生徒への接し方につい ても教える側の前向きな姿勢はプラスに働くことから、私自身、日々の生徒とのかかわり方につい て再検討していきたい。 今回の研修で取り組んだこと、得たことを今後さらに生かしていきたいと思う。 最後に、今回の研修にあたり多数の方々のご支援・ご協力をいただいたことを、この場を借りて 感謝申しあげます。