施工要領書
(ベントナイト系遮水マット・製品名:ベントフィックス)
1.製品について ベントフィックスは 1987 年にドイツナウエファーザーテクニク社において製品開発され、現 在世界的に池・河川・ゴミの最終処分場等の遮水材として広く採用されており、1984 年にはI SO9001にも認証された最も信頼性の高いGCL(=ベントナイト系遮水材)です。 製品の断面構造はベントナイト(粉状Na型ベントナイト)を強靱で柔軟性のあるポリプロピ レン系の不織布・織布で挟み込み、不織布・織布間をニードルパンチで結合・一体化させた遮水 マットです。 1-1製品規格 項目 規格値 厚さ(自然乾燥状態) 6mm 幅 2.4m 長さ 25m 重量(自然乾燥状態) 5、500g/m2 1-2製品の断面構造
2.施工フロー 工事計画の立案(施工計画書の作成・材料承認願い) →基盤工事(基盤整備・地盤沈下対策・湧水対策) →基盤仕上がり確認(材料搬入) →敷設工事(マットのタワミ並びにシワの修正・継目部の確認・構造物との取り合い) →敷設完了検査(破損箇所の補修) →覆土工事(撒きだし方向並びに締め固め方法の確認) →覆土工事完了検査 →完了 3.搬入・保管要領 1)製品重量が330kg/本前後ありますので、搬入・保管方法には十二分に留意して下さい。 2)搬入・保管場所は平坦且つ強固な水はけが良好な場所を用意して下さい。 3)ベントフィックスは黒色のポリエチレンシートで包装されていますが、保管中はパレットの上 に仮置きし、ブルーシート等で覆って降雨対策を行なって下さい。 (積上げ高さ:3段以下) 4.気象条件 1)ベントフィックスは乾燥した気象条件下での施工が最適ですが、敷設後速やかに養生シート或 いは覆土で被覆する限り、雨中における施工も可能です。 2)気温については実用使用(-20℃~40℃)の範囲において施工可能です。
5.下地盤処理 遮水資材に備わった本来の遮水性能を 100%以上発揮させる為には、下地及び保護覆土層にあ る一定以上の条件が求められます。 反対にこれらの条件以上でなければ、漏水事故等を引き起こす可能性もありますので、設計・ 施工に関しては十二分留意願います。 尚、ベントフィックスは上部に保護被覆層を必要とする資材であり、下地盤及び覆土の土質条 件等を以下に記しました。 5-1下地盤表面及び覆土の土質条件等 1)覆土の厚さ並びに土質:300mm 厚以上/砂質土~粘性土(レキを含まず) *覆土の代用にコンクリート(現場打ち)を採用の場合、ベントフィックスとコンクリート 間にフィルムシートが必要な場合あり 2)下地盤の土質並びに表面の条件:土質は砂質土~粘性土(レキを含まず)
○平滑な表面 ×凹凸が生じている表面
下地盤の表面は、遮水層への局部的な荷重を避ける為にも、急な変化並びに凹凸が生じない よう突起物(レキ・木先・木根等)を除去して、支持力に不足の無いよう整地・転圧を十分に行 い、平滑に仕上げて下さい。 また下地盤の不等沈下・圧密沈下・軟弱地盤対策、加えて湧水・降雨等により敷設した製品(ベ ントフィックス)が水没しないように適宜万全な対策を実施して下さい。5-2その他下地盤関連事項 1)不等沈下・圧密沈下対策 不等沈下・圧密沈下が起きない様に、十分な転圧を行うのは勿論の事、基盤の安定をはかる為 に、様々な処置を施して下さい。(地盤改良・適用土への置換等) 2)軟弱地盤対策 基盤が軟弱地盤で、大きな地盤沈下が予想される場合には、基盤の土質・規模に応じて、セメ ントによる地盤改良工法・置換工法・サンドドレーン工法等の処置を施し、基盤の安定を図る必 要があります。 特に切盛土の取り合い部、大きな抜根跡・コンクリート構造物周囲等は、局部沈下・陥没が生 じないよう十分に転圧して下さい。 3)遮水層下部の暗渠排水について ベントフィックスは遮水層上部に被覆層(荷重が必要)を設ける事を条件としております。 この被覆層の設置により、“遮水層下部よりの地下水・湧水の背水圧”による製品の破損・浮 き上がり(ベントナイト分の吸出等)を軽減する事が可能となっております。 但し現場の地下水・湧出水の状態によっては、適切な対策が必要な場合もあり、地下水位を遮 水層の位置より低く保つ為に、状況に応じて暗渠排水の設置が必要な場合があります。 4)降雨対策 降雨・地下水等で底面が軟弱になる場合には、排水路・釜場を設置の上、ポンプ排水を行い、 マットの施工に支障の無いように処置して下さい。 5)製品が水濡れした場合の対応 水没させたまま放置しないよう注意して下さい。 万一製品が濡れる或いは水没した場合、必ず製品を踏み、もし製品内部のベントナイトが糊状 に変化し、製品に足形がつくようであれば、濡れた部分のみ新品と交換或いは部分パッチをあて た方が性能上無難です。 いずれにせよ排水対策を実施し、下地盤を極力乾燥状態にする等の対応をお願い致します。
《標準的な締め固め方式(参考例)》 形式 機械 適合土質 まき出し厚 回数 備考 転圧 重量式 タイヤローラ タンピングローラー 粘土質用土(乾) 15~25cm 6~10 多軸式 10~30t 以上が良い 同上(湿) 同上 6~10 3~6t 被けい引 式 玉石混じり土、破 砕岩 30~45cm 5~7 22t 自走式 (特殊例) 振動式 タイヤローラ 粘土質用土(乾) 20~25cm 6~8 3~11t 砂礫混じり土 25~30cm 5~7 3~11t フラットローラー 砂礫 20~30cm 5~7 3~5t(転圧面 か き 荒 ら し が 必要) コンパクタ 砂礫混じり土、又 は 地 山 取 り 付 け 等 20~30cm 3~5 0.5~2t(転圧 面 か き 荒 ら し が必要) タンパ 地 山 取 り 付 け 部 等、狭いところ 10~20cm 3~5 50~500kg タン ピングランマ、 バイブレショ ンランマ 衝撃式 ランマ 地 山 取 り 付 け 部 等、狭いところ 10~20cm 3~5 50~500kg ラン マ、 15kg 圧縮空気 サンドランマ
6.敷設 当製品はロール単位の重量が330kg前後の為、レッカー等の重機で吊り下げた敷設方法 をお薦めします。 但し敷設現場に重機が入れない場合等は、敷設箇所の寸法を計測の上、別途材料仮置き場等 で製品を裁断して、小運搬・敷設する事も可能であります。 6-1 一般的な敷設作業前の準備 1) ロール中心部の紙管へ鉄パイプを挿入して下さい。 2)鉄パイプの両端部にワイヤー並びに吊り金具をかけて、敷設用重機に連結して下さい。 3)ベントフィックスを敷設箇所へ小運搬して下さい。
6-2 ベントフィックス敷設に必要な小道具 ○左官用のコテ ○ジョウロ ○ほうき(竹ぼうき不可) ○デッキブラシ(車のタイヤを洗うものでも可) ○バケツ ○ひしゃく(ポリの使い捨てコップでも可) ○カッターナイフ(事務所用の小さなものは不向き、大きなものが良い) 6-3 敷設要領 1)敷設箇所への小運搬後、マットの端部を引っぱり出して、その端部に作業員がのって、重機 を後退させ、マットを次々と引っぱり出しながら、敷設して下さい。 敷設後、敷設中に生じた「しわ」・「たわみ」を直して下さい。
2)原則としてマットの織布面を下地盤側に向けて敷設して下さい。 *下図の要領で敷設すれば、自然と織布面が下地盤側に接する様になります。 3)マットの切断には、カッターナイフ或いはカーペット切断用の電動カッターが最適です。 また敷設中における切断面からのベントナイトのこぼれ対策として、切断面に別途簡単な加工 を施す事で軽減できます。 詳しくは弊社並びに弊社推薦の販売店・施工店にお問合せ願います。 4)必ず地表面に転がす要領で敷設して下さい。
○ ×
地表面を転がしながら敷設する 極力地表面から離して敷設しない6-4 吊り金具について ベントフィックス(2.4m×25m 約330kg/ロール)の吊り金具の参考例は、次ペー ジに記載しています。 尚、一般的且つ敷設規模が小さな場合、下の写真の様に仮設パイプとワイヤー等を使用した簡 易な吊り金具でも対応可能なので、安全対策に十分に注意し、金具の変形並びに破損が生じる前 に、適宜交換すれば、施工性は良いと思います。(下の写真参照→パイプ両端にはワイヤーが外 側にずれ、パイプから外れないようにパイプ止めを施して下さい) 1) 運搬・敷設は丁寧に行ない、ベントフィックスの損傷と災害防止にご注意下さい。 2) 強風時は作業を中止し、敷設中のベントフィックスが振られないように対策を施して下さい。
ベントフィックス吊り金具(参考例) 敷設現場の状況等によって、吊り金具全体の強度向上が必要な場合もありますので、使用す る吊り金具の仕様・寸法等については事前に十二分な検討が必要です。 シャックルφ12mm ワイヤー用 ワイヤーφ12mm/長さ 1500mm 丸鋼φ13 加工 550mm 溝型鋼 6m/m×125×65(13.4kg/m) ワイヤーφ12mm/長さ 1000mm *外れないように補強 黒鋼管 80A×4.2m/m×8.79kg/m(ベントフィックスのロール中心部に通すパイプ) 吊金具の幅:2800mm
7.法面部(斜面)の敷設例 7-1 3m未満の法長の場合 ベントフィックスの端部を水平に30cm以上埋設・固定して下さい。 7-2 3m以上の長い法面の場合 アンカー溝にベントフィックスの端部を埋設・固定して下さい。 (アンカー部分の土を埋め戻す際には、十二分締め固めを行って下さい)
7-3 下地盤がベンチカット(段切り)の施工例 アンカーピン打設はシートのずれ止めが目的であり、基本的に上図の二箇所(法肩並びに継目部 分=平坦部に継目を設け、斜面部で継目部を設ける事は避ける)のみで可能と考えますが、現場 条件並びに工程の違いにより打設箇所については適宜ご検討願います。 7-4 下地盤がベンチカット(段切り)小段部分の施工例 基本的にマットは法面~底面にかけて敷設しますが、割付け上やむを得ない場合は小段、底面 の水平部分に限り、横方向に敷設する事をおすすめします。
8.継目処理要領 1) 継目密着面より土・その他の異物を除去して下さい(=作業中は極力継目部を汚さない)。 2) 粉状ベントナイトを継目密着部全面の布地が隠れる程度の厚みで散布して下さい。 3) 継目密着部に隙間が生じないよう、当該部分のシワ・タワミを修正して下さい。 4) 強風或いは風の多い時、継目部分に軽く散水して下さい(但し雨天施工時は散水不要)→継目 部に散布するベントナイトに粘り気を持たせ、ベントナイトの飛散が軽減出来ます。 8-1 継目処理に最適な幅 各ベントナイト系遮水剤公表の継目幅(10~30cm)の違いは、各製品の性能差によるものでな く、各メーカーが自主的に設定しているだけで、最小幅で一定にしても、個々の遮水性能に差異 はありません。 最も注意が必要なのは現場の諸条件(下地盤の沈下・覆土工の際の影響等)を加味し、各現場 条件による継目幅を設定するのが最良と思われます。 弊社では継目面への覆土の侵入も考慮し、20cm以上をおすすめします。
9.管口周囲の処理方法
10.損傷箇所の修復方法
遮水マットに穴が開く等の損傷をした場合、下図の要領でa点~d点を結んだ大きさの四角形 の継ぎ当てを行って下さい。(継ぎ当て部にはベントナイト散布)
11.コンクリート構造物周囲の処理(標準例) 11-1 敷設面が法面の場合 *裾部に散布充填する粉状ベントナイトの容量の目安 30mm 50mm 11-2 敷設面が階段状(ベンチカット)の場合 一般的に構造物周囲は、ベントフィックスをL型に躯体面に立上げ、躯体にピン止めしますが、 下地盤の形状がベンチカットの場合、同様の処理を行うと、製品に複雑な負荷がかかる為、加え て覆土工事時において製品が敷設場所より動く等、漏水を招く可能性もあり、下図二例の要領を おすすめします。
11-3 敷設面が階段状(ベンチカット)の場合
《その他コンクリート構造物周囲の処理に関する注意点》
●構造物周囲の遮水基盤が沈下を起こさないように十分に配慮する必要があります。
12.覆土工事の要領 1)製品の敷設完了後、上部に覆土を撒きだし、ローラー等で平滑に締め固めて下さい。 (保護覆土厚≧30cm) 2)原則として製品の敷設部分の保護覆土工はその日中に完了させて下さい。 (斜面部であれば、養生用シートでも可) 尚、翌日にまたがって敷設の場合は、マット端部(翌日施工するつなぎ部分)を50cm 程度養 生用シート等で被せ、その上に重しとして土・土のう袋等をのせて下さい。 3)施工中に雨が降り出した場合、速やかに覆土工を行って下さい。 (斜面部であれば、養生用シートでも可) 急な雨を想定し、池底等のシートが水没する箇所には、シート敷設後直ぐに、覆土を設置して下さい。 それ以外の箇所についてはシート上部に養生シートを設置し、直に雨水等がシートに接しないよう注意して下さい。 《養生シートの定義》 一般的にはブルーシートを指しますが、薄い透明なPPシートを代用としても構いません。
4)ベントフィックス上部を直接重機が走行しないよう、また保護覆土層の上であっても、重機走 行中に急ブレーキ・急旋回は控えて下さい。
覆土工の際にマット継目部に土が入り込まない様に注意して下さい。
5)法面部の保護覆土工事は土を池底から法肩に持ち上げる要領で行って下さい。
13.取扱上の諸注意 13-1 輸送・保管に関する注意 1)ベントフィックスは重量物の為、荷扱いには十二分にご注意下さい。 2)輸送・保管の際は荷崩れ防止措置を施して下さい。(積上げ高さ:3段以下) 3)日光・雨に直接さらす事は避けて下さい。 13-2 施工に関する注意 1)ベントフィックスの運搬・敷設は丁寧に行ない、ベントフィックスの損傷と災害防止にご注意 下さい。 2)強風時は作業を中止し、敷設中のベントフィックスが飛ばないよう対策を施して下さい。 13-3 その他 その他、施工に際しては”労働基準法”等の諸規則を遵守し、安全には十二分な配慮をお願 いします。
14.その他 ベントフィックスの地下水・湧出水の対策(参考例1) ベントフィックスの地下水・湧出水の対策(参考例2) ◎留意事項 1)逆止弁先端のゴム蓋付近に異物が混入した場合、ゴム蓋が開いたままとなり、水の逆流(池水 位の低下)が考えられ、定期的にゴム蓋付近のチェックが必要となります。 2)ウィープホールの設置方法・本数・間隔等については、別途同品のマニュアルを参照願います。