ポルトガル月報 1
-2017年4月号
(本月報は報道などの公開情報を大使館で取りまとめたものです) 在ポルトガル日本国大使館 【主要ニュース】 【内政・外交】★コエーリョ前首相、社会民主党の党首続投に意欲/★ソウザ大統領、革命記念日の式典で演説 【経済】★安定化プログラム・国家改革プログラムの発表/★ポルトガル・中国間の直行便、7月26日に就航 【社会・その他】★ポ治安機関、ローマ法王訪問時の警備体制を確認 内政・外交 ●ポルトガル・東ティモール、アーカイブ分野で協力 4月4日、ポルトガルと東ティモールは、両国の歴 史にまつわる貴重な文書の保存・共有・発表を推進す るための協力覚書を交わした。記念式典がリスボン市 内のトーレ・ド・トンボ国立公文書館で行われ、カス トロ・メンデス文化大臣と東ティモールのバボ・ソア レス国家行政大臣が出席した。 同覚書は、ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP) が推進する加盟各国間の歴史に関わる文書を保全する 活動の一環。両国のアーカイブ分野における知見を共 有し、歴史文書のデジタル化を通じた資料の複製や活 用を促すことが目的にある。 【写真】覚書の調印式にて(ポ ルトガル政府プレスリリース より転載) ●マカオ返還共同声明から30年、外相が基調講演 4月4日、1987年4月にマカオ返還に関するポ ルトガル・中国政府による共同声明が署名されてから 30年を迎えたことを記念して、オリエンテ財団(リ スボン市)は、ポルトガル外務省研修所(IDI)と リスボン新大学ポルトガル国際関係研究所(IPPI) と共催で、「共同声明から30年:ポルトガル、中国と マカオ」と題したカンファレンスを開催した。 基調講演したサントス・シルヴァ外相は、「ポルトガ ルは中国国内で起きていることを最もよく理解してい る西欧の一国。1999年に中国の特別行政区として マカオを返還することに合意した30年前から、ポル トガルと中国は特別な関係で結ばれている」と述べた。 その一例として、昨年の国連事務総長選で常任理事国 の中国が仏に次いですぐにグテーレス氏の支持に回っ たとのエピソードを紹介した。 両国間の経済については、「5年や10年前に比べて 格段に進展している」とした上で、中国からの投資は 「短期的なリターンを求めるのではなく、(ポルトガル に)留まること」を前提にしたエネルギーや金融・保 険業など、ポルトガル経済にとって「大変重要な分野」 に既に浸透していると説明した。一方で、中国からの 投資が更に増えるように試みているとしつつも、今後 はこの投資が製造業や農業関連産業などの生産分野に 向けられることを期待したいと述べた。 4月13日、ソウザ大統領は公式訪問先のセネガル で「本共同声明を導いたポルトガルと中国間の交渉プ ロセスは、コンセンサスを形成できる国、また、文化 の架け橋として、ポルトガルの名を(世界に)広める ことになった。このことは、今日においても国連事務 総長選でグテーレス氏が選出されたことで改めて確認 された」との声明を発表した。 ●ポルトガル・ルクセンブルク、計5つの覚書締結 4月5日、コスタ首相はルクセンブルクを公式訪問 した。コスタ首相はベッテル首相の歓迎を受けた後、 アンリ大公と会談し、約10万に上る同国のポルトガ ル人コミュニティーの重要性について話し合った。ポルトガル月報 2 -両国閣僚等を交えた実務会合の後、科学調査、宇宙 技術、観光促進、起業家(スタートアップ)育成及び 教育の計5分野で覚書を交わし、2国間の協力関係を 発展させることで一致した。特に教育分野については、 ルクセンブルクの各公的教育機関の判断に基づき、3 ~6歳児のポルトガル人子弟を対象にした就学前教育 として、ルクセンブルク語とポルトガル語を同時に学 習する機会や、6歳以上の子弟に対するポルトガル語 の補習機会が提供される予定という。 コスタ首相は、同国におけるポルトガル人の母国語 教育の重要性に触れながらも、「あくまでポルトガル 語は補完でなくてはならず、ルクセンブルク社会への 順応や教育プロセスで彼らが大きく成功する上での足 かせになってはならない」と付け加えた。ベッテル首 相は、同国のポルトガル人が母国語とそのルーツを維 持したいと考えるのは自然なことと理解を示しつつも、 「ルクセンブルク語は今後も(移民の)当国社会への 統合に向けた言語であり続けるだろう」と述べた。 コスタ首相はこの後、国民議会を訪れてディ・バ ルトロメオ議長や同国議員らと面会し、EUの現状な どについて意見を交わしたほか、現地のベンチャー企 業やポルトガル人コミュニティーを訪問した。 ベッテル首相は2016年11月、リスボン市で開 催されたネットビジネスイベント「ウェブ・サミット」 へ出席し、コスタ首相とも会談している。 【写真】両国閣僚による覚 書の調印(コスタ首相の公 式ツイッターより転載) ★コエーリョ前首相、社会民主党の党首続投に意欲 4月6日、パッソス・コエーリョ社会民主党党首(前 首相)はTV局SICの公開インタビュー番組に出演 し、今年10月1日の統一地方選挙で同党が敗北した としても、同選挙はあくまで地方であり、国政を反映 するものではないとして、党首の座に留まる意向を示 した。 同党首は「社会民主党を見捨てることになるような 地方選挙結果を私が望んでいるとは誰も考えていない だろう。(選挙に負けたとしても)悲劇になるわけで はない」との考えを示した。同党の次期党首候補とし て、ルイ・リオ元ポルト市長が有力視され始めている 点については「一切の恐れもない。党内の私のリーダ ーシップはとても安定している」と自信をのぞかせた。 経済面については「2016年に他国が油価の下落 を活かして成長を遂げた一方、ポルトガルは足踏みし てしまった」とコスタ政権を批判した。国立統計院(I NE)によると、2016年のポルトガルの経済成長 率は1.4%だった。 4月28日、同じく社会民主党内で支持を集めてい るモンテネグロ議員(同党会派長)は、セーザル議員 (社会党会派長)と公開討論番組に出演し、パッソス・ コエーリョ現党首との間で次期党首選を争う考えがな いことを明らかにした。モンテネグロ議員は「(コエ ーリョ党首の)政治生命が死んでいるというニュース は非常に大げさである」と述べた上で、2015年の 前回総選挙で勝利したのは社会党ではなく、あくまで 社会民主党と民衆党の右派連立だったと振り返った。 【写真】インタビューに応える コエーリョ社会民主党党首(同 党HPより転載) ●ユーロソンダージェン社の世論調査結果―4月 4月7日、週刊エスプレッソ紙は、ユーロソンダー ジェン社が実施した世論調査の結果を発表した。20 16年11月以降の政党別支持率は以下の通り。 【問】本日が選挙日ならばどの政党に投票するか % 2017 年 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 4 月 PS 37.0 38.0 37.3 37.8 38.3 39.3 PSD 30.4 30.0 30.0 29.2 28.8 29.3 BE 9.7 9.1 9.5 9.2 9.2 9.0 CDU 8.2 7.7 7.8 8.3 8.0 7.5 CDS 6.6 6.8 6.9 7.0 7.2 6.4 PAN 1.1 1.6 1.6 1.5 1.8 1.4 今回、昨年8月に32.5%を記録してから下落が 続いていた社会民主党の支持率が0.5ポイントの回 復を見せたものの、社会党も前月から1ポイント上昇
ポルトガル月報 3 -させたことで、両党の差は2015年11月の現政権 発足以降初めて10ポイントに広がった。 ■調査期間:3月30~4月5日、対象者:ポルトガ ル本土居住の18歳以上の有権者1,169人、調査方 式:電話帳から固定電話番号を無作為に抽出、回答率: 85.8%、統計上の誤差:3.09% ■PS=社会党、PSD=社会民主党、BE=左翼連 合、CDU=統一民主連合(ポルトガル共産党・緑の 党)、CDS=民衆党、PAN=人と動物と自然の党 ●コスタ首相、第3回南欧首脳会合に出席―スペイン 4月10日、コスタ首相はマドリードで開かれた第 3回南欧首脳会合に出席した。会合後の記者会見で、 EUと英国の関係について「英国はEU最大の同盟国 かつ最も近い友人として、欧州経済におけるより密接 なパートナーとなるべき」との見解を示した。 英国の離脱交渉については「友好的」に進めること が重要と指摘した上で、欧州への移民流入や安全保障 を含むEUの将来に関わる全てに関し、「議論の中心は 欧州市民のことでなくてはならない」と述べた。 今会合には前回同様、コスタ首相のほか、ラホイ・ スペイン首相、オランド仏大統領、ジェンティローニ 伊首相、チプラス・ギリシャ首相、アナスタシアディ ス・キプロス大統領及びムスカット・マルタ首相が参 加した。共同宣言では、4日にシリアで化学兵器が使 用されて多数の死傷者が発生したことを受け、米軍が 同国の軍事基地を攻撃したことに関し、「化学兵器の 使用拡散を抑止・禁じる意図があり、理解できる」と の文言を盛り込んだ。 同首脳会合の第1回は2016年9月にギリシャ で、第2回は今年1月にリスボンで開催された。 【写真】第3回南欧首脳会 合後の共同記者会見に臨む コスタ首相(左端:同首相 公式ツイッターより転載) ●ソウザ大統領、カーボヴェルデを公式訪問 4月8~12日、ソウザ大統領は旧ポルトガル植民 地のカーボヴェルデを公式訪問した。サントス・シル ヴァ外相やポルトガルの国会議員6名が随行した。 8日、ソウザ大統領はサンティアゴ島の首都プライ ア市で、フォンセッカ・カーボヴェルデ大統領に迎え られた後、市内を視察した。9日はフォーゴ島の火山 やワイン製造所などを視察後、プライア市に戻り、現 地のポルトガル人コミュニティーと交流を深めた。 10日、大統領宮殿で開かれた歓迎式典に出席後、 フォンセッカ大統領と会談した。両国の政治や経済、 社会に関して課題を幅広く共有するとともに、欧州を 中心とした国際情勢について意見を交わした。特にカ ーボヴェルデとEUがパートナーシップ協定を締結し てから今年で10年の節目にあることから、この関係 を強化させる必要性についても協議した。 ソウザ大統領は共同記者会見で「両国はこの度、ポ ルトガル語圏諸国共同体(CPLP)の事務総長に対 し、同共同体における移動の自由を目指す共同文書を 提出した。ほかのCPLP加盟諸国もこのアイデアを 検討してもらいたい」などと述べた。フォンセッカ大 統領は「カーボヴェルデは可能な限りEUとの連携を 広げたいと考えている」などと語った。 その後、ソウザ大統領は同国のコレイア・イ・シル ヴァ首相と実務会合を開いたほか、同国議会を訪問し、 「両国は共に成熟した民主国家であり、この絆は強固。 国際社会におけるポルトガルの声は、カーボヴェルデ の声でもある」と演説した。 11日、ソウザ大統領はサンヴィセント島を訪れ、 ミンデロ市内のポルトガル人学校を訪問後、サンティ アゴ島に戻り、フォンセッカ大統領主催の晩さん会に 出席した。 【写真】フォンセッカ大 統領(左)とソウザ大統 領(ポルトガル大統領府 HPより転載) ●ソウザ大統領、セネガルを公式訪問 4月12~13日、ソウザ大統領はカーボヴェルデ に続いて隣国のセネガルを公式訪問した。同国はポル トガル語圏諸国共同体(CPLP)のオブザーバー国 で、1974年のカーネーション革命(ポルトガルの 民主化革命)以降、ポルトガルの大統領が訪問するの
ポルトガル月報 4 -は初めて。 ソウザ大統領は首都ダカールの国際空港でサル大 統領らの歓迎を受けた後、2,000人近くの学生がポ ルトガル語を学んでいるシェーク・アンタ・ジョップ 大学(UCAD)で名誉博士号を授与され、「アフリカ とポルトガル」をテーマに仏語でスピーチした。 共同記者会見でソウザ大統領は「両国は欧州とアフ リカをつなぐ戦略的な同盟国。アフリカ諸国とともに ギニア湾地域の治安安定化に取り組むとともに、テロ 対策に向けた協力関係を強化する。セネガルは経済発 展と政治的安定を保っており、アフリカ及び世界にお いて卓越した存在である。セネガルはポルトガルから の投資に期待しており、ポルトガル企業もこの国への 更なる投資を考えている。両国には経済関連の共同プ ロジェクトが多くある」などと語った。 サル大統領は経済面について「セネガルの対ポルト ガル輸出品の多様化、エネルギーや通信分野などでの 投資促進など、両国の共通利益となるプロジェクトの 実現に向けて関係を更に強化していく」と述べた。ま た、同国が支持したグテーレス氏の国連事務総長の就 任に祝意を示した上で、「両国の協力関係は多方面で 長年にわたっている」と語った。 13日、ソウザ大統領は、世界遺産に登録されてい るダカール市沖合のゴレ島で奴隷貿易に関する史跡や 両国の合弁企業などを視察した。また、アブドゥ・ジ ュフ国際会議センター(CICAD:ダカール市)でポ ルトガル語を学ぶ学生らと意見交換したほか、同国の 国会議長を表敬した。その後、現地のポルトガル大使 館でポルトガル人コミュニティーやポルトガル企業の 代表者らと交流し、帰国の途に就いた。 同大使館によると、現地のポルトガル人は約200 人。同国ではアフリカに進出しているポルトガル企業 への就職を主な目的に、4万6,000人以上の学生が ポルトガル語を学んでいるという。 【写真】ソウザ大統領(左) とサル大統領(ポルトガル 大統領HPより転載) ●サントス・シルヴァ外相、キューバ外相と会談 4月19日、サントス・シルヴァ外相はポルトガル を訪問したキューバのブルーノ・ロドリゲス外相とリ スボン市内で会談し、2国間の自由な交流を通じて政 治、外交、文化、経済のあらゆる側面で関係を強化し ていくことで一致した。 ロドリゲス外相は、ポルトガルが米国による対キュ ーバ経済制裁の解除を求める国連決議案に賛成してき たことに謝辞を述べたほか、2016年12月に調印 されたEU・キューバ間の政治対話・協力協定交渉に おけるポルトガルの貢献を強調した。 ●アソーレス国際研究センター設置に向け、国際会議 4月20~21日、アソーレス諸島テルセイラ島の プライア・ダ・ヴィトリア市で、「アソーレス国際研 究センター(AIRセンター)」の設置に向けた第1 回国際会議が開催された。 同会議はポルトガル政府が2016年11月に発 表していたもので、政府、企業、科学系の学術機関の 代表者らが計29か国から集まった。欧州の航空当局、 欧州委員会、欧州議会及び国連の代表団も加わり、2 00人以上の参加者が航空宇宙、気候・大気変動、再 生可能エネルギー、データ処理に関する大西洋の研究 拠点となる同センターの設置計画を話し合った。 このセンターは、各国の研究機関を交えた政府間組 織として、官民合同の基金から資金を調達の上、同諸 島のサンタ・マリア島に2018年末までに設置予定。 同会議にはポルトガルからサントス・シルヴァ外相、 エイトール科学・技術・高等教育相、コルデイロ・ア ソーレス州知事、メネゼス同州海洋・科学・技術担当 長官らが出席した。 サントス・シルヴァ外相は別途、22日にテルセイ ラ島のアングラ・ド・エロイズモ市で「アソーレス諸 島と大西洋における中心性」と題したカンファレンス に出席し、大西洋におけるポルトガルの立場を高める 上で、テルセイラ島北東部のラージェス空軍基地を使 用している米国との関係強化は地政学的にも引き続き 重要との考えを示した。
ポルトガル月報 5 -【写真】会議の様子(ポルトガ ル政府プレスリリースより転載) ★ソウザ大統領、革命記念日の式典で演説 4月25日、ソウザ大統領は、共和国議会で開かれ た1974年4月25日のカーネーション革命を記念 した式典で約20分間演説した。 大統領就任1年目の昨年の演説では、国内政治の安 定や幅広い分野における合意形成の重要性を訴えたも のの、今年は欧州他国などで台頭するポピュリズムや ナショナリズムへの懸念を念頭に、議会で毎年開催す る伝統的なこの式典が民主主義の重要性を再認識する 上で重要な機会になっていると強調した。 大統領は最近の国際的な風潮について「物事の本質 が形式的なものに、勉学や能力が即興的かつ表面的な ものに、討論が聴衆に耳触りの良いことを言うだけで、 本来言うべきことを口にしない単純な意見表明にそれ ぞれ取って代えられている。これらは全て、利己的か つ排他的な過激思想、人種差別、外国人排斥、民主主 義から都合の良い部分だけを活用するような政治的な メシア信仰への道を開けることになる、倫理的及び論 理的な貧困につながるものである」と警鐘を鳴らした 上で、「それ故にこの(記念式典の)伝統を続けるこ とに意味がある」と述べた。 ポピュリズムについては「政治権力の欠陥、緩慢、 能力不足、無責任、混乱、または経済的・社会的な権 力との癒着に起因している」として、あらゆる政治権 力機関は透明性や迅速性、効率性を高めることが重要 と指摘した。ナショナリズムについては「国を愛する ことは大きく異なる2つの方法がある。1つは残念な ことに他の社会で広がり始めているように、自分たち 以外の者を拒絶、排除しながら、全てに対して終わり のない恐怖を抱きながら生きるという、反グローバリ ズム的なナショナリズムである。もう一方は、我々が そうであるように、普遍的な精神をもって、オープン な心で国家を愛するものである。これは、偽りの過去 にしがみついた自己中心的なナショナリズムではなく、 普遍的な性質を備えた愛国的ナショナリズムである」 と説明した。 大統領はまた、民主主義の不完全さやポルトガル社 会の更なる改革の必要性を指摘しながらも、「(ポル トガルは)非常に安全で、人種差別や外国人嫌悪をせ ず、宗教や文化の違いを受入れ、献身的な社会制度を 有し、たゆみのない地方行政と柔軟な政治システムを 有する平和国家」と評価した上で、「まるで混とんか ら天国が誕生するといった、青々とした素晴らしい明 日を語る人魚の歌声に導かれて民主主義を諦めるよう なことはしてはならない」と語った。 【写真】現職の閣僚や国会議員、在 ポルトガル外交団らで埋まった議場 で演説するソウザ大統領(大統領府 HPより転載) ●ポ政府、緊急時対応計画を準備-ベネズエラ情勢で 4月26日、カルネイロ・コミュニティー担当外務 副大臣は、ポルトガル政府は政情不安に陥っているベ ネズエラ国内のポルトガル人を対象にした緊急時対応 計画を既に策定したものの、発動する必要性が生じな いことを望んでいると記者会見で述べた。 一方で、同大臣は「(ベネズエラが現地のポルトガ ル人の)国外退避及び特別な形での保護を余儀なくさ れるような深刻な状況になった場合には(同計画を) 実行し得る」と付け加えた。 報道によると、同国のポルトガル人コミュニティー は40万人以上で、1940年~80年代にマデイラ 諸島から移住した人が全体の8割を占める。治安悪化 に伴い、殺人や誘拐事件に巻き込まれたり、ポルトガ ル人移民が経営する小規模な商店が襲撃されたり、薬 などの必需品が大幅に不足したりして生活が困難に陥 る人が出ており、一部は同諸島に戻ったり、スペイン に移り住んだりするケースが見られるという。 【写真】カルネイロ・コミュニ ティー担当外務副大臣(政府プ レスリリースより転載)
ポルトガル月報 6 -経済 ●ポ・中両国、行政手続きの効率化について協議 4月7日、ロッシャ・アンドラーデ税務担当副大臣 は中国を訪問し、同国の税務及び通関当局の高官と両 国間の通商及び投資にかかる行政手続き上の障害を取 り除くことを目的とした会合を行った。 この会合で、両国は2重課税防止協定の履行の明確 化を目的とした行政協定に署名するとともに、ポルト ガルも参加しているEU加盟国の一部と中国間の国際 貿易の簡素化を図る試験プロジェクト「スマート・ア ンド・セキュア・トレードレーンズ(SSTL)」に 沿った特別な通関手続きの採用を促していくことで合 意した。 同副大臣はこのほか、中国人民銀行の副総裁と最近 のポルトガル経済や両国間の直接投資の動向などにつ いて意見交換を行った。 ●2016年財政赤字、対GDP比2.0%に修正 4月12日、国立統計院(INE)は2016年の対 GDP比財政赤字を2.1%から2.0%に修正した と発表した。地方政府会計に関する情報の誤りを見直 した結果という。 これに伴い、同年の財政赤字は3月24日に発表し ていた38.07億ユーロから37.22億ユーロに 減った。なお、INEはまだ全ての必要情報がそろっ ていないとして、2015年と2016年の財政収支 は引き続き暫定版になると補足した。 ●S&P、ポルトガルの信用格付の引上げを示唆 4月12日、米大手格付会社S&Pのポルトガルの 信用格付を担当するアナリストが投資家向けにオンラ インカンファレンスを開き、3月17日に「BB+」 (非投資適格級)、見通し「安定的」に据え置いた同国 の格付について、国内銀行の不良債権を減らし、経済 成長も想定を上回ることができれば、引き上げも考え られるとの見方を示した。 同アナリストは今年3月末の「新銀行(ノーヴォ・ バンコ)」の米投資ファンド「ローンスター」への売却 発表や、国営ポルトガル貯蓄銀行(CGD)の自己資 本強化プロセスに触れた上で、「ポルトガルは正しい道 筋を歩んでいる」と評価した。 ●長期国債の発行 4月12日、ポルトガル国庫公債管理庁(IGCP) は、5年物及び8年物長期国債の入札を実施し、総額 12億5,000万ユーロを調達した。落札平均利回り は5年物が2.174%、8年物が3.303%。 ★安定化プログラム・国家改革プログラムの発表 4月13日、ポルトガル政府は2017-21年の 中期財政目標をまとめた「安定化プログラム」と持続 的な経済成長に向けた目標・施策をまとめた「国家改 革プログラム」をそれぞれ閣議承認した。 政府が安定化プログラムで示した2017年の経済 成長率見通しは1.8%で、2017年政府予算案で 想定する1.5%から引き上げられた。2017年に 建設業を中心とした設備投資が前年比で4.8%増加 する見込みのためという。 4月19日、センテーノ財務大臣は同プログラムに 関して「今日のポルトガルは経済、財政及び社会的に 以前よりも素晴らしい状況にある」と国会答弁した。 政府関係者によると、両プログラムは4月29日ま でに欧州委員会に提出されたという。 【安定化プログラムの主なマクロ経済指標見通し】 年 2017 2018 2019 2020 2021 GDP 1.8 1.9 2.0 2.1 2.2 財政収支 ▲1.5 ▲1.0 ▲0.3 0.4 1.3 公的債務 127.9 124.2 120.0 117.6 109.4 失業率 9.9 9.3 8.6 8.0 7.4 ※上記単位は%。財政収支、公的債務、失業率は対GDP比。 ●ポルトガル投資・貿易振興庁、新長官が就任挨拶 4月17日、ルイス・カストロ・エンリケス新長官 率いるポルトガル投資・貿易振興庁(AICEP)の 新運営審議会(長官1名、副長官4名)の就任式が同 庁を管轄するポルトガル外務省で行われた。 エンリケス新長官は就任挨拶で「目標ははっきりと している。より良い投資を更に呼び込むとともに輸出 強化に向けた支援を続ける。更なる投資と輸出を実現 してこそ、我々はポルトガルの長期的かつ持続的な経 済成長を保証することができる」と述べた。
ポルトガル月報 7 -同新長官は1978年6月3日、リスボン生まれの 38歳。14年4月からミゲル・フラスキーリョ前長 官(元社会民主党議員)の下で、同庁の運営審議会委 員(副長官)を務めていた。新運営審議会は近々、同 庁の次期3か年の戦略計画を発表する予定。 同就任式ではサントス・シルヴァ外相とカルデイ ラ・カブラル経済大臣もそれぞれ挨拶し、ポルトガル 経済の更なる国際化や競争力の向上、国内雇用の創出 に向け、同庁が果たす役割は一層大きくなると期待を 寄せた。 【写真】就任式で挨拶するカストロ・ エンリケスAICEP新長官(同庁公 式フェイスブックより転載) ★ポルトガル・中国間の直行便、7月26日に就航 4月18日、ポルトガル航空(TAP)に間接出資 する海南航空(HNA)グループ傘下の北京首都航空 は、今年7月26日(水)からリスボン-北京-杭州 の3都市を結ぶ新路線を週3便就航させると発表した。 中国の大手旅行予約サイト「Ctrip」によると、 チケットは往復エコノミークラスでおおむね6,40 0元(約860ユーロ)で販売されている。使用機体 はエアバスA330-200(475席)を予定する。 ポルトガル観光庁によると、2016年に18.3 万人(前年比19%増)を記録した中国人観光客の4 0%は観光パックを利用してポルトガルを訪れ、延べ 宿泊者数は30.7万人泊(同14%増)だった。中 国は2016年の国籍別観光客数で第14位、宿泊者 数で第18位と、それぞれ全体の1.6%、0.8% にとどまったものの、現在の増加率を踏まえれば、今 後は上位10位に入る可能性が高いと見られている。 ポルトガル政府は中国人観光客と観光消費の増加が経 済成長を後押しするとして、大きな期待を寄せている。 4月26日、メンデス・ゴディーニョ観光担当副大 臣はポルトガル議会の経済専門委員会に出席し、現在 は旅行会社と連携の上、中国でポルトガルの魅力を売 り込む「ロードショー」を展開するとともに、中国版 ツイッターとして知られる「微博」や中国の大手イン ターネットサービス企業アリババの小売店サイトを活 用したり、在ポルトガル中国人コミュニティーと連携 したりしながら、中国人観光客の更なる呼び込みに向 けて積極的に動いていると説明した。 政府は中国や非EU圏から直接ポルトガルを訪れ る観光客の入国審査時間を短縮するため、リスボン空 港の国境・移民管理局の人員を増やす予定でいる。 ●1-2月期の国内宿泊者数、前年同期比で大幅増加 4月20日、ポルトガル中央銀行は、冬期の観光オ フシーズンにあたる今年1-2月期の国内ホテルの宿 泊者数が前年同期比11%増の約2百万人だったと発 表した。旅行・観光消費額も前年比15.2%増の1 3億6,220万ユーロと大幅に増えた。 同期間の観光客の国籍順位は英国(消費額2億1, 520万ユーロ、前年同期比11%増)を筆頭に、仏 (同2億1,230ユーロ、同14%増)、スペイン(同 2億200万ユーロ、同10%増)、独(同1億4,6 00万ユーロ、同13%増)と続いた。滞在先ではリ スボン地域やアソーレス自治州、南東部アレンテージ ョ地域での伸び率が大きくなっている。 ●DBRS、ポルトガルの信用格付を維持 4月21日、カナダの格付会社DBRSは、ポルト ガルの信用格付を投資適格級で最下限の「BBB(l ow)」、格付見通しを「安定的」にそれぞれ据え置 くと発表した。 同社はレポートで「(ポルトガルの)有利な公的債 務の償還構造と少額の経常黒字がこの格付けを支えて いる」と評価しながらも、高水準の公的及び民間債務、 潜在成長率の低さ、財政上の圧力といった大きな課題 に直面しているとの従来の見方を維持した。 コスタ首相は同日、「この発表に目新しさはないも のの、(ポルトガル経済の)ポジティブな動向に対す る認識が見られる。ポルトガルは今年、過剰財政赤字 手続を終了して新たなページをめくり上げるとともに、 ポルトガルに対する格付各社の見方も変えることにな ろう。ポルトガルが2011年時と同じ格付に留まっ ていることは今や誰も理解できない」と述べた。 ●一般政府財政、前年より改善―今年1-3月期 4月26日、ポルトガル財務省は2017年第1四
ポルトガル月報 8 -半期(1-3月期)の一般政府の財政赤字が前年同期 比2.9億ユーロ減り、3.58億ユーロに改善した と発表した。基礎的財政収支の黒字額も前年同期比2. 8億ユーロ増え、15.0億ユーロに改善した。 同省によると、歳出の伸び率が0.3%にとどまっ た一方、歳入が同1.9%と好調だった。特に付加価 値税(IVA)や社会保障税の歳入が想定を上回った という。同省は「経済活動の改善を反映している」と 評価している。 社会・その他 ★ポ治安機関、ローマ法王訪問時の警備体制を確認 4月6日、5月12~13日に予定されるローマ法 王の聖地ファティマ訪問に先立ち、政府関係者とポル トガル治安機関(警察、情報機関、市民保護局)の間 で合同会議が開かれ、各治安機関の任務が確認された。 共和国警備庁(GNR)はファティマとその周辺地 域の警戒、道路交通、避難経路に関する全ての運用管 理を行うほか、国境管理の支援を担当する。治安警察 庁(PSP)はローマ法王及び要人警護にあたり、司法 警察(PJ)はテロ等凶悪犯罪の捜査ほか、現場の警 戒にあたる。 治安機関が最大の脅威と捉えられているのは、イス ラム過激派によるテロ攻撃。攻撃対象としてインパク トが大きく、巡礼者など多くの犠牲者が生じることや、 攻撃によりイスラム教徒がキリスト教徒を駆逐すると いう構図が成り立つ点などが理由に挙げられている。 これらはマグレブ諸国出身者が仏の教会で神父を 殺害した上で人質を取った事件や、チュニジア人がベ ルリンで開催されていたクリスマスマーケットにトラ ックで突入した事件など、最近の欧州のテロ事件にも 当てはまる。 治安情報局(SIS)は同日時点で、ポルトガルや ローマ法王を標的とした具体的な脅威は存在しないと しながらも、潜在的な脅威に対応するため、国内の脅 威度評価を引き上げるべきとの見解を示した。 ●小型飛行機がリスボン近郊で墜落、計5名が死亡 4月17日12時5分頃、リスボン郊外のカスカイ ス市サン・ドミンゴス・デ・ラナ地区ティーレス発マ ルセイユ行きの小型飛行機が離陸直後、近隣のスーパ ーマーケット「Lidl」に隣接した倉庫付近に墜落 した。この事故で乗員乗客4名ほか、地上で作業して いたトラック運転手1名が巻き添えになり死亡した。 消防車18台、隊員50人が出動し、墜落によって 生じた火災をすぐに鎮火したものの、煙を吸うなどし て数名が軽傷を負った。一報を受けたソウザ大統領も 現場に駆け付けた。 2009年以降、ポルトガル国内でのヘリコプター を含む小型航空機の墜落事故は51件で、計45人が 死亡している。 ●17歳の少女、麻しん感染で死亡 ポルトガル保健省保健総局によると、2017年初 から4月17日現在までに国内で確認された麻しんの 感染数は21件で、うち12件がワクチン未接種者、 9件が医療関係者、13件が成人感染だった。 19日、ワクチン未接種の生後13か月の乳児から 感染して治療を受けていた17歳の少女が死亡した。 少女も健康上の理由からワクチン未接種だった。ポル トガルで麻しんの死亡例は23年ぶり。 フランシスコ・ジョルジ同総局長は、麻しんの予防 接種は義務化されていないものの、国民の大半が接種 しており、大規模な感染拡大の心配はないとしている。 ポルトガルの公立学校では、入学手続きの際に予防 接種に関する証明を求めており、未接種の生徒につい ては学校から当該地域の地域医療センターに対する報 告が義務付けられている。しかし、教育省によると、 未接種を理由に入学が拒否されることはないという。 ●リスボン都市部の外国人不動産取得者の状況 ポルトガルの不動産情報を扱うコンフィデンシャ ル・イモビリアーリオ社の統計によると、2016年 上半期に外国人投資家がリスボン都市部で取得した不 動産909件(総額170万ユーロ)のうち、中国人 の割合は25%と最も多かった。2位は仏人の同2 3%。 (了)