印 度 學 佛 教 學 研 究 第 四 十 雀 第 二 號 卒 成 四 年 三 月 九 四
義
楚
六
帖
引
用
典
籍
考
二
-尼
高
僧
伝
(
比
丘
尼
伝)
に
つ
い
て-山
路
芳
範
義 楚 六 帖 二 十 四 巻 は、 義 楚 に よ っ て 編 纂 さ れ た 仏 教 類 書 で あ る。 一 般 に 類 書 は 時 代 の 要 請 に よ っ て 編 纂 さ れ た も の で あ る こ と か ら、 仏 教 類 書 は そ れ が 編 纂 さ れ た 当 時 の 仏 教 の 実 態 を 示 す 重 要 な 資 料 で あ る と 位 置 づ け、 評 価 す べ き で あ る。 こ う い つ た 面 か ら 本 書 は、 編 纂 さ れ た 当 時 の 仏 教 の 実 態 を 探 る 重 要 な 資 料 と い え る。 ま た、 刊 本 大 蔵 経 が 編 纂 さ れ る 直 前 に 編 纂 さ れ た と い う こ と か ら も、 本 書 に 引 用 さ れ る 典 籍 を 検 討 す る こ と が、 重 要 で あ る と い え る。 こ う い っ た 視 点 か ら、 当 時 の 仏 教 の 実 態 等 を 探 る こ と を 目 的 と し て、 本 書 に 引 用 さ れ て い る 典 籍 の 検 討 を 進 め て い る。 こ の 第 一 段 階 と し て 本 書 に み ら れ る 引 用 書 名 の 一 覧 及 び 五 十 音 索 引 を 作 成 し た。 そ し て こ れ を も と に 巻 九 か ら 巻 十 二 に つ い て そ こ で 使 用 さ れ た 典 籍 に つ い て 検 討 を 行 い、 そ の 結 果 こ の 四 巻 は 高 僧 伝 の 分 類 に よ っ て 求 法 高 僧 伝、 高 僧 伝、 続 高 僧 伝 を 中 心 と し て 編 集 さ れ て い る こ と が わ か っ た。 ま た、 こ の う ち 続 高 僧 伝 に つ い て は、 現 在 知 ら れ て い る 刊 本 と 異 な っ た ( 1) 可 能 性 が あ り、 今 後 検 討 す る 必 要 が あ る こ と を 指 摘 し た。 今 回 は 比 丘 尼 伝 と の 関 係 に つ い て み て い く こ と に す る。 比 丘 尼 伝 は 経 律 異 相 の 編 纂 者 で あ る 梁 の 宝 唱 の 撰 で あ る と さ れ、 そ の 名 の 示 す 通 り 尼 僧 に 関 す る 伝 記 集 で あ る。 こ の 撰 ( 2) 者 が 宝 唱 で あ る か ど う か に つ い て は、 疑 問 が 出 さ れ て い る が、 中 国 の 尼 僧 に 関 す る 伝 記 集 で は 椎 一 の も の と い え、 高 僧 伝 等 の 僧 伝 に も 劣 ら ぬ 価 値 を 持 つ 貴 重 な 資 料 と い え る。 現 行 本 で は 比 丘 尼 伝 と い う 題 名 で あ る が、 こ こ で は 尼 高 僧 伝 と い う 名 称 で あ げ ら れ て い る も の が 比 丘 尼 伝 所 載 の 記 述 に 相 応 す る。 本 書 で こ の 尼 高 僧 伝 が 引 用 さ れ て い る 箇 所 は 現 時 点 で 二 箇 所 あ げ る こ と が 出 来 る。 一 つ は 巻 八 の 高 行 諸 尼 部 第 十 一、 伝 ( 3) 列 高 行 三 に あ げ ら れ る 六 十 八 項 目 の 内、 初 め か ら 六 十 五 項 目-610-比 丘 尼 傳 ・義 楚 六 帖 所 引 尼 高 僧 傳 対応 項 目表 *比 丘 尼 傳 収載 順 番 ・尼 僧 名 ・大 正藏 第 五 十 巻 頁数 段 別 ・義楚 六 帖 見 出 項 目 ・朋 友 本 頁 数 段 別 の順 に あ げ る。 *朋 友 本 の 頁数 の後 のa・b・c・dは そ の 頁 の 上段 右 ・同左 ・下段 右 ・同 左 を あ らわ す。 義 楚 六 帖 ( 山 路 ) 九 五
-611-義 楚 六 帖 ( 山 路) 九 六 が 比 丘 尼 伝 に 相 応 す る も の で あ り、 も う 一 つ が、 巻 二 十 二 の 助 道 資 身 部 第 四 十 六、 袈 裟 二、 勇 華 義 服 ﹁ 尼 高 僧 傳 云 石 勒 與 ( 4) 澄 勇 華 納 袈 裟 象 鼻 操 錘 等 ﹂ で あ る。 後 者 は 安 令 首 尼 伝 か ら 袈 裟 に つ い て の 一 文 を 引 く も の で あ る。 ( 対 応 文 ・ 大 正 五 〇 ・ 九 三 五 a) 前 者 は 比 丘 尼 伝 に 掲 載 さ れ る 六 十 五 伝 全 て を (略 出 さ れ て い る も の が あ る も の の)、 現 行 本 に み ら れ る 順 序 に し た が っ て ( ほ と ん ど が 比 丘 尼 名 を 含 む) 四 字 か ら な る 見 出 し 項 目 が あ げ ら れ、 引 か れ て い る。 ( 対 応 項 目 表 参 照) こ の 前 者 に よ っ て 尼 高 僧 伝 を 考 え て い く こ と に す る。 大 正 蔵 所 収 本 と こ こ に 引 用 さ れ て い る 各 伝 を 比 較 し て み る と、 略 出 ・ 要 約 が あ る も の の 内 容 は 大 き く 変 わ る と こ ろ は な く、 字 句 を 比 較 し て い く と、 第 十 三 道 儀、 十 六 慧 玉、 二 十 四 僧 端、 四 十 五 浄 暉、 四 十 九 超 明、 五 十 三 僧 念、 六 十 二 妙 緯、 六 十 五 法 宣 は ほ ぼ そ の ま ま 全 て を 引 い て い る。 多 く は 略 出 ・ 要 約 さ れ て い る が、 大 正 蔵 の 底 本 で あ る 高 麗 本 よ り も 宋 ・ 元 ・ 明 本、 特 に 宋 本 と よ く 一 致 す る。 内 容 的 に は 大 正 蔵 所 収 本 と 同 様、 大 き な 増 減、 異 文 が な い と い っ て よ い。 特 に、 宋 本 と 一 致 す る 字 句 が 多 い。 し か し、 人 名 等 に 異 な り が 若 干 み ら れ る。 以 上 の こ と か ら、 義 楚 の 使 用 し た 尼 高 僧 伝 を 考 え て み る と、 本 書 以 前 に、 ま た 以 後 に も 略 出 ・ 要 約 が あ る も の の 比 丘 尼 伝 に 所 載 さ れ る 六 十 五 伝 を そ の 順 序 通 り 引 く も の は 知 ら れ な い こ と か ら、 こ こ で 尼 高 僧 伝 と い う 名 称 で あ げ ら れ る も の が 比 丘 尼 伝 で あ り、 比 丘 尼 伝 そ の も の を 使 用 し た こ と は 間 違 い が な い と い え る。 ま た、 字 句 を 比 較 し た 結 果、 若 干 の 異 な り が 見 ら れ る も の の、 宋 本 に き わ め て 近 い も の を 用 い た と 考 え ら れ る。 各 刊 本 大 蔵 経 と 異 な る も の を 使 用 し た の で は な い か と 考 え ら れ る も の が あ る な か で、 宋 本 に き わ め て 近 い も の を 使 用 し て い る と 言 う こ と は、 注 目 す べ き で あ る と い え る。 1 拙 稿 ﹁ 義 楚 六 帖 引 用 典 籍 考 -巻 九 か ら 巻 十 二 に つ い て -﹂ (﹃ 仏 教 史 学 研 究 ﹄ 第 三 十 四 巻 第 一 号) 参 照。 ま た、 本 書 に 見 ら れ る 引 用 書 名 に つ い て 牧 田 諦 亮 校 閲 ・ 筆 者 編 ﹃ 義 楚 六 帖 引 用 書 名 索 引 ﹄ (朋 友 書 店) を 参 照 さ れ た い。 2 鈴 木 啓 造 ﹁ 伝 釈 宝 唱 撰 比 丘 尼 伝 に 関 す る 疑 義 ﹂ ( ﹃ 史 観 ﹄ 八 九 号) 参 照。 3 朋 友 本 一 四 一 c-一 五 一 a。 こ の 分 類 項 目 で あ る ﹁ 伝 列 高 行 三 ﹂ が 本 文 中 に 埋 没 し て い る の で 注 意 を 要 す る。 4 朋 友 本 四 八 六 b。 ﹁偲 趙 建 賢 ﹂ に も ほ ぼ 同 じ 文 を 引 い て い る。 ( 一 四 一 d) * 対 応 項 目 表 26 の ﹁ 〇 ﹂ は ﹃ 義 楚 六 帖 校 託 ﹄ ( 京 都 大 学 所 蔵) で は ﹁ 善 ﹂ と し て い る。 < キ ー ワ ー ド > 義 楚、 比 丘 尼 伝、 類 書、 続 高 僧 伝 ( 佛 教 大 学 研 究 生)