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震災による科学技術に対する国民の意識・期待の変化~科学技術に関する月次意識調査の結果を基にして~

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震災による科学技術に対する国民の意識・期待の変化

~科学技術に関する月次意識調査の結果を基にして~

平成23年5月31日

科学技術政策研究所

資料4-2

科学技術・学術審議会

総会(第36回)

H23.5.31

(2)

月次意識調査の実施状況と比較の方法

科学技術政策研究所では、2009年11月から科学技

術に関する国民の意識の変化を測ることを目的に、「科

学技術に関する月次意識調査」を実施している。震災

の前までは、科学技術に関する一般的な意識を聞いて

いたが、今般の東日本大震災を受けて、4月からは、原

発の事故に関する問いを新たに加えて調査を継続して

いる。

具体的には、4月以降の調査では、今回の原発事故

に関し、内閣府や財団法人電力中央研究所等が過去

に実施した調査に用いられていた質問項目等を新たに

追加している。

このため、今回の報告では、科学技術政策研究所が

震災前に実施していた調査結果と震災後の調査結果

を比較するだけでなく、一部の問いにおいて、他の機関

が実施した調査結果との比較も参考として行っている。

調査の方法

インターネット調査会社の有する登録モニターのうち、

依頼に応じた者が、調査会社がインターネット上に設置

している調査画面にアクセスして回答。

調査の回答回収目標数

月次調査の各回の調査において、10代から60代まで

の男女それぞれ60名以上(合計で720名以上)の回答

が得られるように実施。

調査の実施期間及び有効回答回収数

調査回数

実施期間

有効回答回収数

第 1 回

2009 年 11 月 27 日(金)~11 月 30 日(月)

734 人(男 368、女 366)

第 2 回

2009 年 12 月 25 日(金)~12 月 29 日(火)

726 人(男 363、女 363)

第 3 回

2010 年 1 月 22 日(金)~ 1 月 25 日(月)

740 人(男 368、女 372)

第 4 回

2010 年 2 月 19 日(金)~ 2 月 23 日(火)

741 人(男 371、女 370)

第 5 回

2010 年 3 月 19 日(金)~ 3 月 24 日(水)

741 人(男 374、女 367)

第 6 回

2010 年 4 月 27 日(火)~ 4 月 30 日(金)

768 人(男 385、女 383)

第 7 回

2010 年 5 月 28 日(金)~ 5 月 31 日(月)

777 人(男 387、女 390)

第 8 回

2010 年 6 月 25 日(金)~ 6 月 31 日(月)

786 人(男 393、女 393)

第 9 回

2010 年 7 月 23 日(金)~ 7 月 27 日(火)

772 人(男 382、女 390)

第 10 回

2010 年 8 月 27 日(金)~ 8 月 31 日(火)

764 人(男 378、女 386)

第 11 回

2010 年 9 月 24 日(金)~ 9 月 27 日(月)

768 人(男 382、女 386)

第 12 回

2010 年 10 月 8 日(金)~ 10 月 13 日(水)

779 人(男 391、女 388)

第 13 回

2010 年 10 月 22 日(金)~ 10 月 26 日(火)

790 人(男 391、女 399)

第 14 回

2010 年 11 月 26 日(金)~ 11 月 30 日(火)

785 人(男 393、女 392)

第 15 回

2010 年 12 月 22 日(水)~ 12 月 25 日(土)

795 人(男 401、女 394)

第 16 回

2011 年 1 月 28 日(金)~ 1 月 31 日(月)

797 人(男 400、女 397)

第 17 回

2011 年 2 月 25 日(金)~ 2 月 28 日(月)

777 人(男 384、女 393)

第 18 回

2011 年 3 月 25 日(金)~ 3 月 29 日(火)

805 人(男 401、女 404)

第 19 回

2011 年 4 月 26 日(火)~ 4 月 29 日(金)

756 人(男 377、女 379)

調査実施会社

第1回~第5回

マイボイスコム株式会社

第6回~第18回 NTTレゾナント株式会社

第19回

マイボイスコム株式会社

1

(3)

・科学技術のニュースや話題に関心がある者の割合を震災の前後で見ると、2011年の2月から3月にかけて、女性の関心

度が8ポイント近く上がっているものの、全体的に見れば、震災の前後で国民の科学技術に対する関心度に特段の変化は

ない(図1)。

科学技術に対する関心度の推移

85.9 80.4 79.1 79.0 84.8 78.4 84.8 84.7 81.9 80.7 84.3 84.1 79.0 83.2 83.0 87.0 83.3  81.0  84.1  72.9 69.3 64.9 66.9 68.5 66.8 68.7 72.6 71.4 68.9 71.8 70.1 68.5 69.2 71.1 71.6 67.8  70.7  70.8  59.8 58.1 50.8 54.8 51.8 55.1 52.8 60.3 61.0 57.5 59.6 55.9 58.1 55.1 58.9 56.2 52.7  60.4  57.5  0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 11月 n=734 12月 726 10年1月 740 2月 741 3月 741 4月 768 5月 777 6月 786 7月 772 8月 764 9月 768 10月上旬 779 10月下旬 790 11月 785 12月 795 11年1月 797 2月 777 3月 801 4月 756 % 男性 全体(男女計) 女性 新型インフルエンザ猛威、 事業仕分け第1弾、 エコポイントの継続検討、 NASAの月面探査 鈴木章氏・根岸栄一氏のノーベル 化学賞受賞 「はやぶさ」の採取した微粒子 が小惑星イトカワのものと判明 日本人宇宙飛行士 山崎 さんと野口さんの活躍、 事業仕分け第2弾 チリの巨大地震 小惑星探査機 「はやぶさ」が 地球へ帰還 15歳未満の移植を可能 にした改正臓器移植法 の施行 多剤耐性菌の出現 レアアース問題 東日本大震災、 緊急地震速報システムの活用

図1 科学技術のニュースや話題に関心を有する者の割合

注:1)「あなたは、科学技術についてのニュースや話題に関心がありますか」という問に対して、 「非常に関心がある」、「どちらかといえば関心がある」、「どちらかといえば関心がな い」、 「全く関心がない」の4つの選択肢を設けて聞いている。本図では、「非常に関心がある」又は「どちらかといえば関心がある」と答えた者の合計割合を掲載している。 2)各月の文字の下にある数値は、各月で得られた有効回答数(男女計)を提示している。

2

(4)

・社会の様々な課題が解決・解明されることの重要性に対する認識は、震災直後の3月の調査では、「資源・エネルギー問題

の解決」、「地球規模の食料・水問題の解決」、「自然災害の予知・被害の軽減」、「安全・安心な原子力の開発・利用」といっ

た社会的な課題が解決されることへの認識が急激に高まっていた(図2)。

社会的な課題解決の重要性に対する認識

図2 社会的な課題が解決・解明されることの重要性に対する認識(提示した21課題のうち10課題を掲載)

注:1) 調査では、「あなたは、以下のような社会の実現や、社会的な課題が解決・解明されることが重要だと思いますか。」と尋ね、 回答欄は「重要だと思わない=1点」~ 「ある程度重要だと思う=3点」~「極めて重要だと思う=5点」までの5段階を設定し、提示した21の課題全てにおいて一つずつ、重要性の認識を選べるようにしている。 2) 本図では、各課題の平均得点(最低点が1点で満点は5点)を用いて図を作成している。

3

3.99 4.22 3.75 4.03 3.70 3.92 3.25 3.50 3.75 4.00 4.25 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 点

1位 資源・エネルギー問題の解決

(平均4.091点)

2位 食の安全の確保

(平均4.087点)

3位 地球規模の食料・水問題の解決

(平均4.069点)

4位 高い水準の医療の提供

(平均4.016点)

6位 自然災害の予知・被害の軽減

(平均3.916点)

12位 安全・安心な原子力の開発・利用

(平均3.793点)

13位 日本の経済的な国際競争力の維持・

向上 (平均3.792点)

15位 日本の学問水準の向上

(平均3.771点)

16位 迅速・安全な交通システムの整備

(平均3.545点)

17位 快適な住環境の確保

(平均3.543点)

(2010年) (上旬) (下旬) (2011年)

(5)

・科学技術が様々な社会的な課題の解決・解明に寄与することへの期待は、長期的に見れば、ほぼ全ての課題において上

昇傾向にある。特に、震災直後の3月は、「資源・エネルギー問題の解決」、「自然災害の予知・被害の軽減」、「安全・安心な

原子力の開発・利用」に対する期待が高くなっている(図3) 。

・このことから、震災後も、科学技術に対する国民の期待は低下していないということが窺える。

社会的な課題解決に科学技術が寄与することへの期待

図3 社会的な課題が解決・解明されることに科学技術の発展が寄与することへの期待(提示した21課題のうち10課題を掲載)

注:1) 調査では、「あなたは、以下のような社会の実現や、社会的な課題が解決・解明されることが重要だと思いますか。また、科学技術の発展が、そのような社会の実現や、社会的 課題の解決・解明にどの程度寄与できると期待しますか」と尋ね、期待度を測る回答欄は「期待しない=1点」~「ある程度期待する=3点」~「強く期待する=5点」までの5段階を 設定して、提示した21の課題全てにおいて一つずつ、科学技術が社会的な課題の解決・解明に寄与することへの期待を選べるようにしている。 2) 本図では、各課題の平均得点(最低点が1点で満点は5点)を用いて図を作成している。 3) 本図で掲載した10課題以外の社会的課題は、期待度の順で、「5位 インフルエンザ等の感染症対策の推進」、「6位 資源の再生利用等による循環型社会の実現」、「7位 自然環 境の保全、環境浄化技術の向上」、「10位 CO2の削減等による低炭素社会の実現」、「13位 高齢者が自立して生活できる社会の実現」、「14位 宇宙や海洋等の未知の領域の解 明」、「15位 新しい産業や雇用の創出」、「18位 情報の利用が高度化した効率的で便利な社会の実現」、「19位 テロ等の不安や脅威の解消」、「20位 仕事や生活の利便性の向 上」、「21位 科学的知識・思考力の普及した社会の実現」の11課題を提示した。

4

3.84 4.11 3.64 3.94 3.89 3.62 3.00 3.25 3.50 3.75 4.00 4.25 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 点

1位 高い水準の医療の提供

(平均3.908点)

2位 資源・エネルギー問題の解決

(平均3.902点)

3位 地球規模の食料・水問題の解決

(平均3.783点)

4位 自然災害の予知・被害の軽減

(平均3.769点)

8位 安全・安心な原子力の開発・利用

(平均3.699点)

9位 食の安全の確保

(平均3.693点)

11位 日本の経済的な国際競争力の維

持・向上(平均3.481点)

12位 迅速・安全な交通システムの整備

(平均3.419点)

16位 日本の学問水準の向上

(平均3.379点)

17位 快適な住環境の確保

(平均3.327点)

(2010年) (上旬) (下旬) (2011年)

(6)

・震災前の2月で国民の関心が高かった話題は、複数選択方式で「探査機『はやぶさ』の活動」など、宇宙関連が上位を占め

ていたが、震災後は、「原子力発電所の事故とその影響」、「緊急地震速報システム」、「太陽光発電の利用や省エネ」など、

災害やエネルギーに関する話題への関心が高まっている(図4,5)。

科学技術に関する最近の話題への注目度の変化

図4 科学技術に関する最近の話題への注目度(2011年2月調査)

注:1) 調査では、「以下に示した事例について、あなたがある程度興味・関心を抱いた出来事をいくつでもお選びください。また、お選びになったものの中で、最も興味・関心を抱いた出来事 を1つだけお選びください。」という問を出題し、回答欄は、複数選択できる欄と1つだけしか選択できない欄を並列して設けている。 2) 本調査で提示した科学技術に関する最近の話題は、調査月の話題を中心に、昨年から今年にかけて新聞に多く掲載されるなど、科学技術に関して話題となったと思われる出来事を 科学技術政策研究所で選定している。

図5 科学技術に関する最近の話題への注目度(2011年4月調査)

74.1 64.4 58.3 54.2 53.0 52.5 51.5 50.5 48.7 47.4 47.4 45.5 43.3 40.9 38.5 35.8 34.5 31.0 1.2 5.4 34.3 6.2 7.0 4.5 1.5 4.5 3.0 8.7 3.8 2.5 3.2 2.1 1.9 3.2 0.8 2.6 0.9 1.6 0.4 7.3 0 20 40 60 80 1 原子力発電所の事故とその影響 2 緊急地震速報システム 3 太陽光発電の利用や省エネ 4 改正臓器移植法の施行後の動き 5 LED照明の利用 6 「レアアース」の代替品開発 7 人の遺伝子情報の解析 8 iPS細胞の研究・実用化 9 探査機「はやぶさ」の活動 10 新型インフルエンザ対策 11 電気自動車(EV)の開発・普及促進 12 ロボット技術の研究・実用化 13 日本人宇宙飛行士の活動 14 米国NASAの宇宙開発 15 2010年のノーベル化学賞受賞者 16 花粉症や食物アレルギーの原因究明 17 インターネットを利用した犯罪 18 事業仕分けと科学技術予算 その他 特にない % ある程度関心を抱いた (n=756)[複数選択可] 最も関心を抱いた (n=756) [一つだけ選択]

5

57.4 56.9 55.0 53.7 49.3 48.5 48.1 48.0 47.5 46.5 43.6 43.2 40.0 33.1 32.0 32.0 25.6 23.4 0.9 4.1 12.9 6.4 5.5 5.3 5.9 7.1 2.4 5.9 11.8 7.2 9.3 2.2 2.8 1.0 3.6 1.7 1.9 2.4 0.4 4.1 0 20 40 60 80 1  探査機「はやぶさ」の活動 2 日本人宇宙飛行士の活動 3 米国NASAの宇宙開発 4  「レアアース」の代替品開発 5  太陽光発電の利用や省エネ 6  電気自動車の開発・普及促進 7  LED照明の利用 8  新型インフルエンザ対策 9 iPS細胞の研究・実用化 10 改正臓器移植法の施行 11 花粉症や食物アレルギーの原因究明 12 新燃岳の噴火予知・被害予測 13  2010年のノーベル化学賞受賞者 14  事業仕分けと科学技術予算 15 人工光合成の研究構想 16 HTV2号機の打ち上げ成功 17  鳥の先祖が恐竜だと証明した研究 18 スーパーコンピューターとクイズ対決 その他 特にない % ある程度関心を抱いたもの (n=777) [複数選択可] 最も関心を抱いたもの (n=777) [1つだけ選択]

(7)

・インターネット調査は、科学技術に関する質問に対して肯定的な意見がやや強く出る傾向にあるためネット調査と訪問調査

の結果を単純に比較することは適切でない。

・このため、過去の訪問調査の結果と比較しての議論はできないものの、震災後に行ったネット調査で科学技術のプラス面

を多く評価する者の割合が7割近くに及んでいることや、「科学技術は我々の生活を快適にした」などの考えが8割を超えて

いることから、震災後も、国民の科学技術のプラス面を評価する考えは低下していないと思われる(図6,7)。

科学技術のプラス面とマイナス面の評価

図6 科学技術のプラス面とマイナス面どちらが多いと思うか

図7 科学技術に対する考え方

注:1) 調査に用いた問では、「科学技術の発展には、プラス面とマイナス面があると言 われておりますが、全体的に見た場合、あなたはそのどちらが多いと思いますか」 と聞いている。 2) 1998年から2010年までの4回の調査は、内閣府が実施した訪問面接方式による 調査の結果である。 3) ネット調査の結果は、科学技術政策研究所で実施した月次意識調査の結果であ る。 図7 注:1) 調査では、「以下のそれぞれの文章(意見)について、あなたはどのように考えますか。あな たの考えに最も近い選択肢を一つだけお選びください」と聞いている。 2) 2011年4月のネット調査は、科学技術政策研究所が実施した月次意識調査の結果である。 3) 2001年3月の調査は、科学技術政策研究所が訪問面接方式で実施した「科学技術に関す る意識調査」の結果である。 4) 2009年11月の調査の結果は、財団法人電力中央研究所が訪問留め置き方式で実施した 「科学技術の利用と安全に関する意識調査」の結果である。

[参考]

過去の調査の結果(2001年又は2009年調査)

19.6  18.6 20.7 23.7 22.1 48.8  34.9 39.8 35.6 35.6 24.9  35.2 24.9 24.4 26.8 3.2  4.7 3.4 7.0  4.8 2.6  5.1 7.3 5.6 6.6 0.9  1.5 3.9 3.7 4.1 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2011年4月調査 (n=756) 2010年1月調査 (n=1,916) 2007年12月調査 (n=1,667) 2004年2月調査 (n=2,084) 1998年10月調査 (n=2,115) プラス面が 多い どちらかというと プラス面が多い 両方同じ くらいである わからない どちらかというと マイナス面が多い マイナス面が 多い [ 参] 訪 問 調 査 ネッ ト 調 査 (53.5) (68.4)

6

15.9 44.2 22.1 70.2 40.1 47.8 6.0 6.3 10.3 0.3 0.7 1.6 7.7 8.7 18.3 0% 20% 40% 60% 80% 100% 科学技術は我々の生活をより健康的に、便利で、 快適なものにした 科学技術自体に害はないが、それを誰がどのよう に扱うかで危険になる 政府は、科学技術の研究開発を支援する予算を 増やすべきである 強く 賛成 どちらかと いえば賛成 どちらかと いえば反対 強く 反対 わからない (86.1) (84.3) (69.9) (2011年4月 ネット調査 n=756) 6 67 13 1 13 0% 20% 40% 60% 80% 100% 科学技術は我々の生活をより健康的に、簡単に、快適 なものにした (2001年3月 訪問調査 n=2,146) 強く 賛成 どちらかと いえば賛成 どちらかと いえば反対 強く 反対 わからない (73) 69.3 19.6 11.1 0.0 0.0 0% 20% 40% 60% 80% 100% 科学や技術自体に害はないが、それを誰がどのように 扱うかで危険になる (2009年11月 訪問調査 n=685) 1 そう思う 2 3 どちらともいえない 4 5 そう思わない (88.9)

(8)

・4月末現在で、国民の8割近くは福島第1原子力発電所の事故に対する不安を感じている(図8)。

・不安要因で、最も高いのが「事故がいつ収束するのか分からないことに対する不安」、次に「放射能・放射性物質による身

体への影響が分からないことに対する不安」となっている(図9)。

・一方、不安を感じない人の理由で最も高いのが「放射能・放射性物質の身体への影響の有無が分かってきた」こと、次に

「水道水や食材の安全性が確保されていると考えられる」ことが挙げられている(図10)。

福島第1原子力発電所の事故に対する不安

図8 事故に対する不安を感じているか(4月末現在)

図10 不安を感じない理由(不安を感じていない人の回答)

図8 注:「福島第1原子力発電所の事故の影響に対する不安について、あなたが現在感じている不安 の度合いを、以下の選択肢の中から一つだけお選びください」と聞いている。 図9 注:図8で、「非常に不安である」又は「どちらかと言うと不安である」を選んだ561人の回答である。 図10 注:図8で、「どちらかというと不安でない」又は「全く不安でない」を選んだ91人の回答である。 39.6 34.7 12.3 9.3 2.8 1.5 0% 20% 40% 60% 80% 100% n=756 非常に 不安である どちらかというと 不安である どちらとも いえない どちらかというと 不安でない 全く 不安でない わからない

図9 どのような不安を感じているか(不安を感じている人の回答)

82.7 79.5 76.1 73.4 70.4 59.9 49.0 31.9 4.3 26.4 23.9 11.9 11.9 11.9 5.2 3.2 3.4 2.1 0 20 40 60 80 100 事故がいつ収束するのか分からないことに対す る不安 放射能・放射性物質による身体への影響が分か らないことに対する不安 事故の情報が十分得られていないことに対する 不安 日本の経済活動が停滞することに対する不安 同じような事故がまた起きるのではないかという 不安 水道水や食材に対する不安 電力不足に対する不安 今後の生活が成り立つかどうかという不安 その他 % 不安を感じていること (n=561) [複数選択可] 最も不安だと思うもの (n=561) [一つだけ選択] 46.2 40.7 38.5 35.2 35.2 23.1 22.0 9.9 13.2 24.2 16.5 11.0 11.0 13.2 4.4 7.7 0.0 12.1 0 20 40 60 放射能・放射性物質による身体への 影響の有無が分かってきたため 水道水や食材の安全性が確保され ていると考えられるため 自分の経済活動に対する影響は生 じていないため 居住地域での電力不足に対する心 配がないため 今後の生活に不安を感じていないた め 事故がこれ以上悪化しないと考えら れるため 事故に関する情報が十分に得られ ているため 今後このような事故が起きることは ないと思われるため その他 % 不安をあまり感じない理由 (n=91) [複数選択可] 不安を感じない最もな理由 (n=91) [一つだけ選択]

7

(9)

・ネット調査の結果と訪問調査の結果を単純に比較することはできないが、震災後の4月に行った調査で、「原子力発電の

利用を推進していくほうがよい」と考えている者の比率(33.5%)は、2007年に社会経済生産性本部が実施した調査結果

(32.9%)とほぼ同等の値となった。ただし、4月のネット調査では、2007年の調査結果よりも「現状を維持する」が大きく低

下し、「現在動いている全ての原子力発電を止める」の比率が大幅に高くなっている(図11)。

今後の原子力発電の利用に対する考え方

図11 今後、原子力発電の利用を推進していくべきと思うか、減らすべきと思うか

注:1) 調査では、「あなたは、今後の原子力発電についてどのようなご意見をお持ちですか」と聞いている。また、選択肢は、「積極的に推進していくほうがよい」「慎重に推進して いくほうがよい」「現状を維持したほうがよい」「現状より減らすほうがよい」「現在動いている全ての原子力発電を止めたほうがよい」「わからない」の6つを提示している。 2) 2007年までの調査は「財団法人 社会経済生産性本部」(現在の「公益財団法人 日本生産性本部」)が実施しており、本図では全国の市町村(一般都市地域)に在住する 成人を対象にして行われたものを利用している(この他に、原子力発電所立地地域を対象にした調査もある)。 3) 1998年の調査は郵送法で、1999年から2007年までの調査は訪問留置法で行われている。2011年の調査は、科学技術政策研究所が実施したインターネット調査である。 2.9  5.4  8.8  0.4  1.5  2.1  2.4  1.4  3.2  7.1  30.6  27.5  33.7  15.2  20.5  17.0  35.7  30.0  38.8  49.9  17.0  30.5  25.7  20.4  29.0  39.7  28.1  23.3  14.8  14.6  31.5  18.7  14.5  58.3  30.6  23.5  20.3  24.6  23.6  16.4  10.6  2.4  2.1  1.1  3.4  4.0  2.8  3.0  4.2  5.0  7.3  15.4  15.0  4.5  15.0  13.8  10.6  17.7  15.3  7.0  0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2011年4月調査 (n=756) 2007年7月調査 (n=2,499) 2006年1月調査 (n=2,527) 2004年10月調査 (n=4,325) 2003年12月調査 (n=4,322) 2002年11月調査 (n=4,344) 2001年11月調査 (n=4,367) 2000年11月調査 (n=4,354) 1999年11月調査 (n=4,332) 1998年11月調査 (n=1,986) 積極的に推進していく 慎重に推進していく 現状を維持する 現状より減らす 現在動いている全ての 原子力発電を止める わからない・無回答 郵 送 又は 訪 問 調 査 ネッ ト 調 査 (32.9) (33.5)

8

(10)

・震災前は単独の問いで出題し、震災後は他の質問に含めて聞くなど出題方法が異なることに留意する必要があるが、「科

学者の話は信頼できる」かどうかという問いの結果を比較したところ、震災前の2010年11月の調査では、科学者の話は信頼

できると答えた者の比率は83.3%であったのに対して、震災後の4月の調査では40.6%に低下している(図12)。

・「技術者の話は信頼できる」も同様に、震災前の11月に86.6%あった信頼度が震災後の4月は51.6%に低下している(図

13)。

科学者・技術者に対する信頼の低下

図12 科学者の話は信頼できる

図12,13 注:1) 2010年の5月から11月までの調査では、「あなたは、科学者の話は信頼できると思いますか」又は「あなたは、技術者の話は信頼できると思いますか」と個別に聞いている。 2) 2011年4月の調査では、他の問いで、「以下の文章(意見)について、あなたはどのように考えますか。あなたの考えに最も近い選択肢を一つだけお選びください」と聞いた上で、 『科学者の話は信頼できる』と『技術者の話は信頼できる』という文章を提示し、「強く賛成」「どちらかといえば賛成」「どちらかといえば反対」「強く反対」「わからない」の5つの選択肢 から選ぶようにしている。

図13 技術者の話は信頼できる

9

2.9 15.8 16.1 11.7 11.3 37.7 67.5 69.6 65.1 63.6 22.6 3.9 4.6 8.8 6.9 5.6 1.4 0.4 3.1 3.1 31.2 11.3 9.4 11.3 15.1 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2011年4月 ネット調査 n=756 2010年11月 ネット調査 n=785 2010年10月 ネット調査 n=790 2010年6月 ネット調査 n=786 2010年5月 ネット調査 n=777 信頼できる どちらかといえば 信頼できる どちらかといえば 信頼できない 信頼できない わからない (76.8) (40.6) (74.9) (85.7) (83.3) 震災前 震災後 5.4 23.8 23.2 18.1 19.4 46.2 62.8 66.3 66.4 62.7 17.2 3.1 2.9 5.5 5.4 3.3 0.6 0.5 1.5 1.7 27.9 9.7 7.1 8.5 10.8 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2011年4月 ネット調査 n=756 2010年11月 ネット調査 n=785 2010年10月 ネット調査 n=790 2010年6月 ネット調査 n=786 2010年5月 ネット調査 n=777 信頼できる どちらかといえば 信頼できる どちらかといえば 信頼できない 信頼できない わからない (84.5) (51.6) (82.1) (89.5) (86.6) 震災後 震災 前

(11)

・今回の原発の事故に関し、科学者・学会等は専門家・専門家集団としての意見表明を行っていると思うかを尋ねたところ、

「行っている(積極的に行っていると思う1.3%、どちらかというと行っていると思う18.3%)」と評価した人は、全体の2割にとど

まっている(図14)。

・一方、今回の原発の事故に関して、科学者・学会等による意見表明を聞いてみたいかを尋ねたところ、7割(是非とも聞いて

みたい31.5%、どちらかというと聞いてみたい38.9%)に及ぶ人が聞いてみたいと答えている(図15)。

科学者によるメッセージの発信

図14 原発の事故に関し、科学者・学会等による意見表明が行われていると思うか

図15 原発の事故に関し、科学者・学会等による意見表明を聞いてみたいと思うか

注:問は、今回の福島第1原子力発電所の事故に関して、日本の科学者・学会等が、それぞれの分野における専門家・専門家集団としての意見表明を行っているか(メッセージを 発信しているか)どうかについて、お伺いいたします。と前書きした上で、(1)「あなたは、今回の福島第1原子力発電所の事故に関して、科学者・学会等は、専門家・専門家集 団としての立場から、政府や国民に対して意見表明を行っていると思いますか。以下の選択肢の中から、あなたの考えに最も近いものをお選びください」と聞いている。 注:問は、(2)「あなたは、今回の福島第1原子力発電所の事故に関して、科学者・学会等による専門家・専門家集団としての意見表明を聞きたいと思いますか。以下の選択肢の 中から、あなたの考えに最も近いものをお選びください」と聞いている。

10

1.3 18.3 29.5 27.0 18.5 5.4 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2011年4月 ネット調査 (n=756) 積極的に 行っていると思う どちらかというと 行っていると思う どちらとも いえない どちらかというと 行っていないと思う 行っていないと思う わからない (19.6) 31.5 38.9 18.8 4.1 3.4 3.3 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2011年4月 ネット調査 (n=756) 是非とも 聞いてみたい どちらかというと 聞いてみたい どちらとも いえない どちらかというと 聞いてみたいとは 思わない 聞いてみたい とは思わない わからない (70.4)

(12)

11

まとめ

○ 震災は、様々ある社会的課題のうちの防災やエネルギーに関する事項への国民の関心を増大させた。

○ 震災後も、科学技術が社会的課題の解決・解明に寄与することへの国民の期待は低下していない。

○ しかしながら、科学者や技術者に対する国民の信頼は低下している可能性が大きい。その一方で、今回の原発の

事故に関し、専門家としての意見表明を求める声もかなり強い。

● 科学技術に対する国民の期待が依然として高いことを踏まえ、これに応える具体的な政策を展開すること。

● 科学者や技術者は、原発の事故に関し、それぞれの分野の専門家としての立場からメッセージの発信を積極的に

行うべきである。

なお、今回の震災後のデータは、3月、4月と2ヶ月分のみの観測結果であるため、今後も、国民の意識やニーズがど

のように変化していくかを継続的に把握していくことが必要である。

参照

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