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Keysight Technologies フィールドにおけるRF/マイクロ波の干渉問題をリアルタイム・スペクトラム・アナライザ(RTSA)で解決する方法

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(1)

Keysight Technologies

フィールドにおける

RF/

マイクロ波の干渉問題を

リアルタイム・スペクトラム・アナライザ

(RTSA)

で解決する方法

(2)

はじめに

このアプリケーションノートでは、フィールドにおけるRF/マイクロ波の干渉問題をリアルタイムスペクトラム解析に よって解決する方法を紹介します。また商用および航空宇宙/防衛(A/D)用の無線通信ネットワークで直面するさまざま な種類の干渉についても説明します。従来の干渉解析にはさまざまな欠点があり、バースト信号や発生頻度の低い信号 を伴う今日のネットワークにおける干渉をトラブルシューティングするのは困難です。これらの問題をリアルタイムス ペクトラム解析でどのように解決できるかを詳細に説明します。 RF/マイクロ波の干渉問題 1. 無線の干渉問題 1.1 LTEネットワークの干渉問題 1.2 マイクロ波バックホールの干渉問題 2. 航空宇宙/防衛および公共業務用無線の干渉問題 2.1 公共業務用/双方向無線の干渉問題 2.2 衛星地上局の干渉問題 3. 従来の干渉解析の問題 リアルタイム・スペクトラム・アナライザ 4. スペクトラム・アナライザ・レシーバーのアーキテクチャー 4.1 掃引の同調 4.2 スナップショットFFTレシーバー 4.3 リアルタイム・スペクトラム・アナライザ(RTSA) 4.4 リアルタイム・スペクトラム・アナライザの信号フロー/データ処理 4.5 リアルタイム・スペクトラム・アナライザの主要な性能指標 5. 干渉問題の根本原因を特定する効率が大幅に向上するリアルタイム・スペクトラム・アナライザ 5.1 同一チャネル干渉 5.2 LTEアップリンク動作の検証と干渉 6. 干渉を軽減/除去するための対策 7. フィールドにおける高精度測定 8. まとめ 通信ネットワークの無線方式の増加に伴い、必ず直面する1つの問題が干渉です。ネットワークの種類に関わらず、性能 は常にシステムのノイズレベルによって制限されます。このノイズは、内部でも外部でも発生する可能性があります。 干渉の管理レベルによって、サービスの品質が決まります。例えば、LTEネットワークのアップリンク・ノイズ・レベ ルを管理すれば、その性能は大幅に向上します。社内無線LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)のチャネル割り当て と再利用を適切に行えば計画どおりの接続速度を保証でき、衛星地上局のアンテナ位置/パターンを最適化すればあら ゆる気象条件で信頼性の高い通信を実現するのに役立ちます。 測定の困難な信号を検出してネットワークの問題をトラブルシューティングするには、フィールドテスト向けのリアル タイム信号解析機能が必要です。この資料では、さまざまなネットワークの干渉について検討し、リアルタイム信号解 析テクノロジーとその主要な性能指標について説明します。さらに、通信ネットワークのレーダー、EW、干渉問題をト ラブルシューティングするためのアプリケーションについて解説します。

目次

(3)

さまざまな

RF/

マイクロ波の干渉問題

1.

無線の干渉問題

商用デジタル無線ネットワークでは、使用可能なスペクトラム範囲でできるだけ大きな容量を提供 することが重要な課題です。このようなデザイン目標により、周波数の再利用が極めて厳密になり、 チャネルの配備範囲が広くなります。セルサイトは互いに非常に近接していて基地局の送信は同時 なので、ダウンリンク(基地局からの方向、つまり、基地局から移動体への方向)のノイズレベルが かなり高くなります。移動体アンテナでダウンリンクのノイズレベルが高くなると、それがトリガ となり移動体は出力パワーを上げて高いノイズレベルを克服しようとします。これにより、基地局 アンテナではアップリンク(移動体から基地局への通信方向)のノイズレベルが上昇します。基地局 アンテナのノイズレベルが高くなると、セルサイト容量が減少します。このような例は、ネットワー クの内部干渉と考えられています。 現在は、内部干渉に加えて、外部干渉の問題がますます増加しています。その原因は、ネットワー クプロバイダ間の周波数ガードバンドが狭いこと、ネットワークのプランニング/最適化が不十分 なこと、スペクトラムが不正に使用されていることです。

1.1 LTE

ネットワークの干渉問題

LTEネットワークはノイズによって制限されるネットワークです。1つの周波数を再利用して、す べてのセルサイトがまったく同じ周波数チャネルを使用しています。LTEネットワークを適切に運 用するには、高度で効率的な干渉管理の仕組みが必要です。 ダウンリンクでは、LTE基地局は移動体からレポートされるCQI(チャネル性能指標)を使用してカ バレージエリアの干渉を予測しています。CQIはダウンリンク上または特定のリソースブロック上 の信号対干渉比の指標で、基地局が帯域幅をスケジューリングして移動体への送信スループットを 決定するための重要な情報です。この干渉は、セルサイト内部で発生したノイズと、外部トランス ミッターに起因する干渉を合計したものです。ダウンリンク上に外部干渉が存在すると、これによ りCQIが低下します。そのため、データの再送信が増加し、最終的にはネットワークの速度が低下 します。干渉が存在することを示すフィードバックが基地局から直接得られないため、ダウンリン ク干渉は非常に対応が難しい状況の1つです。 図1. LTEのパワー制御/リソースブロック割り当て セル境界 セル境界 タイムスロット タイムスロット タイムスロット 周 波 数 周 波 数 周 波 数

(4)

LTEではサービングセルと隣接セルが同じ周波数チャネルを共有するので、精度の高いパワー制御 が干渉管理の重要な役割を果たします。ネットワークは、セル境界で干渉を最小化するのと同時に、 境界にいるユーザーが高品質のサービスを受けられるように十分なパワーを供給する必要がありま す。LTE基地局は、セル中央ではすべてのスペクトラムを低パワーで出力し、セル境界には極めて 少数のリソースブロック(サブキャリア)を割り当てて高いパワーを送信します(図1参照)。この手 法により、セル全体のスループットが向上し、干渉が最小になります。 LTE制御チャネルはシステムのチャネル帯域幅とは関係なくチャネルの中央に配置され、その帯域 幅は1.08 MHzです。主なダウンリンク制御チャネルは、プライマリー同期チャネル、セカンダリー 同期チャネル、報知チャネルです。プライマリー同期チャネルとセカンダリー同期チャネルは、移 動体とセルを同期してシステム情報のデコードを開始するために使用されます。LTEチャネルの中 央近くに狭帯域の干渉が存在すると、移動体の同期プロセスに多大な影響を及ぼす可能性があり、 すべてのセルがブロックされてしまう場合もあります。例えば、700 MHzのFMアナログ無線マイ クロフォンの中には、LTEセルの妨害になりやすいものがあります。このような無線マイクロフォ ンはFCC(アメリカ連邦電波管理委員会)によって禁止されています。

1.2

マイクロ波バックホールの干渉問題

世界中の基地局のうち約50 %が、マイクロ波無線でバックホールに接続されています。最近のギ ガビットイーサネットoverマイクロ波の開発により、マイクロ波無線は、4G/LTEを配備するため のバックホールオプションとして非常に魅力的なものになっています。 他の無線テクノロジーとまったく同様に、ネットワークには干渉があります。マイクロ波無線ネッ トワークの場合、以下に示す要因によって主要な干渉が生じます。 反射と屈折 移動体ネットワークで、マイクロ波無線はポイント・ツー・ポイント接続に広く使用されています。 無線機は都市部に配備されることもありますがその送信経路が妨害されると、送信信号が反射され てリモートレシーバーに向かうエネルギーが減少したり、信号の方向が変わったりする場合があり ます(これは屈折と呼ばれています)。両方のケースで、システムが停止します。 免許が不要なバンドの干渉 近年、移動体のバックホールにポイント・ツー・ポイントのイーサーネットマイクロ波リンクが広 く使用されています。これは使いやすく低コストです。ポイント・ツー・ポイントのマイクロ波リ ンクは、免許が必要なバンドでも免許が不要なバンド(5.3 GHz/5.4 GHz/5.8 GHz)でも動作します。 免許が不要なバンドでは、干渉に関連するシステム停止がより頻繁に生じます。これらのバンドは 802.11n/802.11ac無線LANが使用している周波数に非常に近いので、この2つのシステム間で干 渉が生じます。例えば、無線LANが5.8 GHzのマイクロ波無線機の近くで動作すると、マイクロ波 無線レシーバーでのパワーレベルが上昇するため、マイクロ波無線機が誤解して、そのリンクの送 信パワーを低下させる必要があるという判断をします。その結果、無線機は十分なパワーを送信し なくなり、実際に必要な信号が維持できなくなってシステムが停止します。

(5)

2.

航空宇宙/防衛および公共業務用無線の干渉問題

一般的な航空宇宙/防衛通信システムの多くが、衛星、レーダー、電子戦(EW)システム、公共業 務用通信ネットワークです。商用と航空宇宙/防衛分野では無線テクノロジーの開発が加速し、気 付かないうちに航空宇宙/防衛システムに影響を及ぼす干渉がますます増加しています。このよう な問題を軽減するために、航空宇宙/防衛システムは高周波へと移行し、非常に幅の狭いレーダー パルスが採用され、高度に暗号化されたデジタル無線システムが通信用に実装されています。 これらのテクノロジーは外部干渉を防止するのに効果的ですが、フィールドにおけるトラブル シューティングが従来よりも非常に難しくなります。航空宇宙/防衛通信システムのメンテナンス を効果的に行うには、新しいツールと測定手法が必要です。

2.1

公共業務用/双方向無線の干渉問題

図2. 700 MHzバンド公共業務用無線の狭帯域/広帯域チャネル割り当て 公共業務用無線システムには主要な問題が2つあります。1つは隣接チャネル干渉、もう1つは相互 変調歪みです。通常、公共業務用無線はバンド幅が25/12.5/6.25 kHzの狭帯域システムで、商用 システムよりも非常に高いパワーを送信します。これには80∼100 dBのチャネル除去が必要に なります。デュプレクサーまたはダイプレクサーが適切に調整されていない場合は、基地局が動作 チャネル間で隣接チャネル干渉を発生し、これによりカバレージエリアが縮小します。 公共業務用トランスミッターは非常に高いパワーレベルで動作しているので、パワーアンプが飽和 すると相互変調成分が生じ、その高調波が隣接バンドに侵入しやすくなる可能性があります。この ような高調波成分がLTE制御周波数(図2参照)に侵入すると、ネットワークサービスに障害が生じ ます。 ATT UL ATT DL VZW DL VZW UL PSB DL PSNB PSB DL PSNB 下側700 MHzバンド (TVチャネル52∼59) (上側TVチャネル700 MHz60バンド∼69)

(6)

2.2

衛星地上局の干渉問題

衛星通信システムは、航空宇宙/防衛ネットワークに広く配備されています。この分野の傾向の 1つとして、軍用基地に対する大容量通信リンクの提供があります。システム容量を増やす主な手 法は2種類あり、1つは動作周波数をCバンド/KuバンドからKバンドに上げる方法、もう1つは複数 のビームを使用して周波数の再利用を行なう方法です。 周波数が高くなると、大幅にビームサイズが縮小します。非常に高精度のアンテナ調整が必要にな り、調整ミスがあると同一チャネル干渉や隣接チャネル干渉が生じる可能性があります。マルチビー ムによる周波数の再利用により、隣接エリアは同じ周波数プランと偏波を共有できます。システム が適切に最適化されていない場合は、強度の同一チャネル干渉、隣接チャネル干渉、交差偏波干渉 が生じる可能性があります。 - 同一チャネル干渉 - 隣接チャネル干渉 - 交差偏波干渉 F1 F2 F1 F1 F1 直交偏波 ターゲットES ターゲットESと同じ偏波 図3. 衛星地上局の動作における干渉の種類

(7)

3.

従来の干渉解析の問題

干渉を分類する方法は2つあります。信号の相互作用の観点からは、同一チャネル干渉、隣接チャ ネル干渉、相互変調(パッシブ/アクティブ)に分類することができます。ネットワーク動作の視点 からは、ダウンリンク干渉(BSからMS)、アップリンク干渉(MSからBS)、外部干渉にグループ化 できます。 ネットワークに干渉問題が生じると、システム性能監視ツールが、大量のトラフィックがないのに アップリンク・ノイズ・フロアが上昇する状態、接続障害、S/N比が高すぎる状態などの問題をレ ポートします。さらに、次のステップで干渉の発生源を検出します。干渉を検出/検索するツール としては、従来からスペクトラム・アナライザと指向性アンテナが選択されてきました。 従来の掃引同調FFTスペクトラム・アナライザは、レベルが比較的変化しない信号の検出に非常に 有効です。また、マックスホールド機能によって間欠的な信号を検出することができます。従来の アナライザは、すべて、再トレース中にデータを捕捉できない長いデッドタイムが生じます。デッ ドタイムは予測できないため、ランダムなバースト信号、レーダーのような幅の狭いパルス、ネッ トワークのトラフィック条件によって持続時間が変化する信号に対応するのは困難です。 広帯域無線ネットワークのバースト性が今までにないほど顕著になっているので、より効果的なス ペクトラム解析を行える補完ツールを検討する必要があります。

リアルタイム・スペクトラム・アナライザ

(RTSA)

干渉を検出するときに直面する問題は2つあります。1つは、デジタル無線信号の時分割多重化の 性質によって、調査対象の干渉が非常に高いバースト性を備えていること、もう1つは、スペクト ラム・アナライザのデッドタイムが非常に長いために信号が欠落することです。 このような問題を軽減する最も効果的な方法は、従来のスペクトラム・アナライザに存在するデッ ドタイムを最小化すること(理想的にはなくすこと)です。最も困難な信号を検出するには新しい ツールが必要です。これは、ギャップフリースペクトラム解析またはリアルタイムスペクトラム解 析と呼ばれています。

(8)

4.

スペクトラム・アナライザ・レシーバーのアーキテクチャー

リアルタイム・スペクトラム・アナライザの機能を十分に理解するには、従来のスペクトラム・ア ナライザ・レシーバーのアーキテクチャーと、その長所/短所を知ることが重要です。

4.1

掃引同調レシーバー

図4. スーパーヘテロダイン・スペクトラム・アナライザ/掃引同調スペクトラムレシーバー スーパーヘテロダイン・スペクトラム・アナライザは掃引同調スペクトラム・アナライザとも呼ば れます。ヘテロダインには混合という意味があり、このシステムはRFの入力信号とLO信号を混合 して、入力信号を高周波から低周波であるIF(中間周波数)に変換します。信号振幅は包絡線検波器 によって検出され、垂直軸のポイントとして表示されます。 水平軸(周波数軸)の表示を制御するために、ランプ/掃引発生器を使用して動作を制御し、さらに、 LOを目的の周波数に同調します。LOの同調速度は、掃引時間と周波数スパンによって制御するこ とができます。スペクトラム・アナライザのフロントエンドにはシグナルコンディショニング回路 が組み込まれています。具体的には、アッテネータとプリセレクター(ローパスフィルター)です。 これらの回路の役割は、入力信号がミキサーに到達する前に、確実に最適なレベルにすることです。 フロントエンドのプリセレクターによって帯域外ノイズがブロックされ、レシーバーのダイナミッ クレンジと感度が向上します。LOが同調するとレシーバーの感度が向上します。これによって自 然に不要な帯域外信号がブロックされるため、スーパーヘテロダインレシーバーは優れたダイナ ミックレンジを備えています。 ランプ発生器は一定の速度で掃引するので、周波数スパン全体で精密に掃引時間を制御できます。 掃引速度の制御によって、レシーバーは非常に広いスパンを高速フーリエ変換(FFT)アナライザよ りも高速に掃引できます。 スーパーヘテロダインレシーバーの最大の欠点は、間欠的な信号成分が欠落する可能性があること です。特に、広帯域のデジタル変調信号ではその可能性が高くなります。もう1つの問題は、分解 能帯域幅(RBW)が狭い場合に掃引時間が非常に長くなることです。 入力信号 RF入力 アッテネータ ミキサー 局部 発振器 基準 発振器 IF利得 IFフィルター ログアンプ 包絡線 検波器 ビデオ フィルター ディスプレイ プリセレクター、または、 ローパスフィルター ランプ 発生器

(9)

4.2

スナップショット

FFT

レシーバー

図5. スナップショットFFTスペクトラム・アナライザ スナップショットFFTアナライザ/レシーバーは、広帯域信号を扱えるようにデザインされていま す。フロントエンドでブロック変換が行われ、ブロック変換サイズはIF帯域幅とA/Dコンバーター のサンプリングレートによって決まります。局部発振器(LO)は連続的に同調するのではなく、全周 波数スパンでステップ変化します。LOが正しい周波数に同調すると、レシーバーはA/Dコンバー ターでデータをサンプリングし、それらをI/Q(同相/直交)ペアに変換します。データは適切な FFTタイムフレームに収容され、タイム・ドメイン・フレームはFFTスペクトラムデータに変換さ れます。最終的にスペクトラム結果が表示されてから、次のデータ収集が再開されます。これはシ リアルな動作なので、画面の更新と次の更新の間に時間の空白が生じ、入力信号が欠落します。こ の時間はデッドタイムと呼ばれ、その期間は予測不可能です。 FFTはブロック変換なので、ブロック内または情報帯域幅内のあらゆる信号を完全に捕捉して、デ ジタル復調信号などのさらに詳細な解析が行えます。スナップショットFFTは、広帯域デジタル信 号を解析するのに最適です。例えば、LTE信号テストなど、その信号の規格に基づいたデジタルレ シーバーの動作を再現できます。 FFTエンジンは特定のタイムフレーム内で動作を完了できないので、FFTレシーバーの掃引時間を 厳密に制御することはできません。信号帯域幅がレシーバーの情報帯域幅よりも広い場合は、信号 をつなぎ合わせる必要があり、その結果、広帯域信号成分の一部が欠落する可能性があります。

4.3

リアルタイム・スペクトラム・アナライザ

(RTSA)

図6. リアルタイム・スペクトラム・アナライザ リアルタイム・スペクトラム・アナライザは、デッドタイムのないFFTアナライザです。レシーバー は目的の周波数スパンでのみ動作します。このスパンはリアルタイム周波数帯域幅によって制限さ れています。同調または掃引はありません。大容量の信号バッファー、FFTエンジン、表示エンジ ンを備え、次のデータフレームが入ってくる前にメモリを処理して空にします。 捕捉帯域幅の範囲内で、あらゆる過渡信号、ダイナミック信号、RFパルスを検出できます。 しかし、リアルタイム・スペクトラム・アナライザも帯域幅によって制限されます。レシーバーで リアルタイム帯域幅を超えた信号を測定しようとする場合は、LOの同調が必要になり、この場合 の処理はリアルタイム/ギャップフリーではなくなります。 リアルタイム・スペクトラム・アナライザは同調しないので、検出する信号の位置が中心周波数に ない場合があり、検出した信号レベルが従来のスペクトラム・アナライザで測定したレベルほど正 確ではない可能性があります。そのため、リアルタイム・スペクトラム・アナライザは正確なパワー 測定には適していません。 ATT フィルター ミキサー サンプルスケジューラー ミキサー ギャップ・フリー・サンプリング/ バッファリング ATT フィルター

(10)

4.4

リアルタイム・スペクトラム・アナライザの信号フロー/データ処理

リアルタイム・スペクトラム・アナライザではFFT処理が行われますが、スナップショットFFTア ナライザのようなデッドタイムはありません。A/D変換に必要な時間よりも高速に信号を処理/表 示して、与えられた情報帯域幅で循環バッファーを満たします。当然、欠点は、リアルタイム・ス ペクトラム・アナライザの同調が常に固定されることと帯域幅が制限されることです。与えられた 帯域幅では信号の欠落はありません。これは発生頻度の低い信号を検出するのに最適です。 リアルタイム・スペクトラム・アナライザは、超高速FFTエンジンと大容量循環メモリバッファー の他に、オーバーラッピングFFTと呼ばれる最も重要な手法を採用しています。オーバーラッピン グFFTを使用することにより、リアルタイム・スペクトラム・アナライザは、デューティーサイク ルがランダムな幅の狭いパルスを確実に検出できます。 図7. リアルタイム・スペクトラム・アナライザの信号処理フロー 上図はリアルタイム・スペクトラム・アナライザの信号フローです。一番最初に、A/Dコンバーター がIFチェーンからのデータをサンプリングし、それらを各データフレームに収容します。Fieldfox の場合は、各データフレームは1,024サンプルで構成され、これがFFTエンジンのサイズになります。 Fieldfoxでは、FFTサイズを固定して効率を上げています。 1フレームの生データを一度に処理するのではなく、実際には、リアルタイム・スペクトラム・ア ナライザが生データフレーム(データ1、データ2、データ3)を新しいフレーム(T1、T2…)に再配 置しています。T2が一番最初で、T1からサンプルの一部を取り出してこれを新しいデータ(データ 2の一部)と結合してT2を形成します。T3も同様で、直前のT2のサンプルの一部とデータ2から得 られる新しいサンプルの一部を結合します。これはオーバーラッピングFFTと呼ばれ、データ1と データ2の境界で生じた信号が、必ず、次のFFTの中心に正しく配置されます。これにより、確実 に信号を正しく検出できます。 信号をフレームの中心に移動するのは、データフレーム/タイムレコード端の有用な信号がウィン ドウによるフィルタリングによって除去されてしまうのを防止するためです。上図では説明をわか りやすくするために、データがバッファーに保存される2倍の速度でFFT演算を行って表示する例 を示しています。

A/D

コンバーター

データ

1

計算1 計算2 計算3 計算4 計算5 ウィンドウ 関数

データ

2

データ

3

(11)

オーバーラッピングFFTでは、幅の狭いパルスや過渡信号を捕捉できる確率が大幅に上昇します。 下の2つのスクリーンキャプチャーでは、上図が更新間にデッドタイムがありFFTオーバーラッピ ングを使用していないレシーバーの結果、下図がオーバーラッピングFFTを使用したリアルタイム・ スペクトラム・アナライザの結果を示しています。 図8. FFTオーバーラッピングなし、更新間のデッドタイムあり 図9. FFTオーバーラッピングあり、ギャップなしのキャプチャー

(12)

4.5

リアルタイム・スペクトラム・アナライザの主要な性能指標

リアルタイム・スペクトラム・アナライザには、いくつかの主要な仕様があり、これらは非常に重 要です。1つはリアルタイム帯域幅で、一般的には帯域幅が広いほど性能が良くなります。欠点は、 帯域幅が広くなるとデータを処理するFPGAが大型になることで、大型のFPGAは広いスペースと 大きな電力が必要なので、ユーザーが携帯性と帯域幅のトレードオフを検討する必要が生じます。 多くの無線アプリケーションは、10 MHzの帯域幅で十分です。 もう1つの仕様は、100 %の信号捕捉率(POI)で捕捉できる最小信号持続時間と呼ばれるものです。 これは、目的の信号を100 %の確率で検出したときにCW信号と同じ振幅確度で測定できる、最小 の持続時間です。幅の狭いパルス信号を周波数ドメインで適切に検出するには、確実に信号が RBWのサイズに収まる広いRBWが必要です。RBWが広いということは、つまり、タイムドメイ ンのウィンドウサイズが小さいということです。ウィンドウサイズが小さ過ぎると、ウィンドウの 端の信号が欠落する場合があり、隣接した2つ以上のパルスを区別するのが困難になります。幅の 狭いパルス信号を必ず検出するために、FieldFoxは自動モードによってウィンドウサイズ(分解能 帯域幅/RBW)とオーバーラッピングを最適化して、目的の信号を確実に検出します。 リアルタイム・スペクトラム・アナライザをフィールドで使用する主な目的は干渉の検出なので、 ダイナミックレンジと入力に対するスプリアス性能が重要な仕様になります。使用できるダイナ ミックレンジは、フロントエンドの利得圧縮、プリアンプの利得、レシーバーのノイズフロアの組 み合わせによって決まります。 フロントエンドのRFチェーン/IFチェーン・シグナル・コンディショニングは、優れたスプリアス・ フリー・ダイナミックレンジ(SFDR)を保証する重要な役割を担っています。フィールドテストでは、 レシーバーの周辺に多くの無線信号が存在します。フロントエンドが、高度な無線信号に対応でき る優れた性能を備えていない場合は、リアルタイム・スペクトラム・アナライザで自己スプリアス と目的の信号を識別するのが困難になります。 図10. 入力に対するスプリアスとダイナミックレンジの比較 図10の左図は、設計が不十分な低価格のリアルタイム・スペクトラム・アナライザです。入力信 号に多くのスプリアスが生じていることがわかり、中には、実際の信号と30 dBしか差がないもの もあります。このような表示によって、ユーザーは、存在しない干渉源を調査して本当に存在する 脅威を見逃してしまいます。 対照的に、適切に設計されたRFチェーンでは、ダイナミックレンジが拡張され、潜在的な干渉を 検出する能力が大幅に向上しています。例えば、右図の場合、FieldFoxは非常にクリーンなスプリ アス性能を備えているため同じ設定でも目に見えるスプリアスが表示されません。フィールドで干 渉のトラブルシューティングを行うのに非常に効果的です。 フロントエンドのシグナルコンディショニングが 不十分なリアルタイム・スペクトラム・アナライザ フロントエンドのシグナルコンディショニングが 適切なFieldFoxリアルタイム・スペクトラム・アナライザ

(13)

5.

干渉問題の根本原因を特定する効率が大幅に向上するリアルタイム・

スペクトラム・アナライザ

フィールドで最も困難な干渉は2種類あります。1つは同一チャネル干渉で、もう1つはアップリン ク干渉です。このセクションでは、両方の干渉を検証し、リアルタイム・スペクトラム・アナライ ザでこのような干渉を検出/特定する方法を紹介します。

5.1

同一チャネル干渉

同一チャネル干渉は、サービングキャリアと同じ周波数にある干渉信号で、そのチャネル帯域幅内 にあります。これはアナログシステムに適した定義で、デジタル無線ネットワークでは、もう少し 詳細に条件を考察する必要があります。干渉信号がデジタル無線システムに対して大きな影響を及 ぼすには、干渉が同じ周波数に存在するだけでなく、ベースバンドフレームに同期している必要も あります。デジタルシステムは非同期の干渉はノイズとして扱うので、非同期信号はシステム性能 にそれほど悪い影響を及ぼさない場合があります。 下の図は、同一チャネル干渉の影響です。フィールドでコンスタレーションを取得するのは困難な ので、コンセプトを説明するためにラボ・テスト・システムで測定しました。図11は、同一チャ ネル干渉がないLTEの信号品質です。バイナリー位相シフトキーイング変調(BPSK)の同期チャネ ル、4相位相シフトキーイング(QPSK)変調の物理ブロードキャストチャネル、16QAMのダウンリ ンク共有チャネル(トラフィックチャネル)が表示されています。同期チャネルとブロードキャスト チャネルの変調により図11のような円が形成されます。同期チャネルとブロードキャストチャネ ルの両方が割り当てられたLTEチャネルの中心で無線マイクロフォン信号(FM)が送信されると、コ ンスタレーションがぼやけて、図12のように制御チャネルとトラフィックチャネルが識別できな くなります。これにより、移動体がネットワークと同期できなくなり、最終的にはコールが切断さ れます。 図12. 同一チャネル干渉条件の16QAM LTE信号 システムは、ダウンリンクの同一チャネル干渉を直接フィードバックする機能を備えていないの で、一般的に、同一チャネル干渉は、主にダウンリンクのネットワーク品質に影響を与えます。例 えば、違法な無線マイクロフォンからLTEダウンリンクチャネルの中央にRFエネルギーが放射さ れると、移動体はS/N比が悪いという状態しかわからないので、アップリンクでより高いパワーを 送信する必要が生じます。システムは、これがダウンリンクの同一チャネル干渉によるものだとは 認識できません。 図11. 干渉のない16QAM LTEのコンスタレーション/スペクトラム

(14)

同一チャネル干渉の検出/トラブルシューティングは、通信ネットワークプロバイダにとって最も 困難な作業です。干渉がサービング周波数信号の下に埋もれている可能性があるからです。通常、 別の信号が同じ周波数チャネルにあるのかどうかを検出するにはキャリアトランスミッターをオフ にしてから、問題の信号を特定して、影響を除去したり軽減したりする必要があります。トランス ミッターをオフにする影響は非常に大きく、通常の通信サービスの障害になります。多くの環境で、 サービングトランスミッターをオフにすることは現実的なソリューションではありません。 リアルタイム・スペクトラム・アナライザの密度表示は、発生頻度を確認できるように拡張された スペクトラム測定機能です。表示にはトレース輝度を表すカラーが割り当てられ、残光表示機能に より、古いデータの輝度を下げて新しいイベントに注目することができます。 密度表示は、周波数、パワー、信号発生頻度を、設定時間内で表示します。干渉の信号レベル分布 はサービングキャリアとは異なるため、密度表示によって、同じチャネルの重複した信号を検出す るのが非常に容易になります。図13は、W-CDMA信号と、同じチャネル内に埋もれた双方向無線 FM信号です。スペクトラム・アナライザではサービングキャリアをオフにしなければ隠れた信号 を検出できませんが、リアルタイム・スペクトラム・アナライザの密度表示では、侵入信号を容易 に特定できます。 図13. 従来のスペクトラム・アナライザとの同一チャネル干渉検出の比較 リアルタイム・スペクトラム・アナライザでは、周波数とパワーレベルという2次元に、発生時刻 という次元が追加され、シグナルインテリジェンスが拡張されます。この機能によって、同じチャ ネルの重複した信号を区別することができます。 埋もれた 信号 従来のスペクトラム・アナライザ・モード。 ダウンリンクキャリア内に埋もれた干渉信号を 検出するのは困難です。 狭帯域信号(中心877 MHz、帯域幅12 kHz) リアルタイム・スペクトラム・アナライザでは、 密度表示によって、877 MHzに埋もれた信号を 明確に区別できます。

(15)

5.2 LTE

アップリンク動作の検証と干渉

LTEネットワークは、多くの広帯域無線システムと同様に、機能/性能がアップリンクノイズによっ て制限されます。これは、すべてのセルサイトと移動体デバイスが同じ周波数上で動作するためで、 ネットワークの内外から生じるノイズを制御することが重要になります。 ギャップフリー捕捉と密度表示は、デジタル無線信号を評価するために不可欠です。ギャップフリー によってアナライザで特定の信号の時間特性を解析でき、密度表示によって信号のパワー統計分布 を解析するのが容易になります。タイミングと信号レベル分布によって、ユーザーは、同じネット ワーク内でもさまざまな信号の種類を分離できます。 図14. LTEアップリンクチャネルの動作 図14のように、リアルタイム・スペクトラム・アナライザはLTEアップリンクのリソースブロック (RB)割り当てをスキャンできます。残光表示設定によって、ユーザーはRB割り当ての頻度を確認 でき、ネットワークの輻輳の非常に優れた指標が得られます。LTE以外の信号がバンド内に表示さ れた場合は、すぐに特定できます。従来のスペクトラム・アナライザでは、ノイズフロアの上昇を 累積表示できるだけでした。発生している外部干渉はノイズフロアの上昇に埋もれてしまうので、 このツールだけで干渉を検出するのは非常に困難です。 図15. アップリンク制御チャネル割り当て これは重大な問題となります。例えば、狭帯域干渉によってLTEシステムは頻繁にダウンする可 能性があります。ダウンリンクのLTE制御チャネルは、10 MHzまたは20 MHzチャネルの中央で 1.08 MHzを占有しています。しかし、アップリンクでは、ランダム・アクセス・チャネル(RACH)、 ハイブリッド自動再送要求(HARQ)、チャネル性能指標(CQI)のような物理アップリンク制御チャネ ルは、チャネル境界のサブキャリアによって搬送されます(図15参照)。例えば700 MHz無線マイ クロフォンのような何らかの干渉がこのような2つの領域に生じた場合、ネットワーク動作に障害 が生じるか、セルサイト全体のサービスが妨害される可能性があります。 アップリンク制御チャネル アップリンク・リソース・ブロック リアルタイム・スペクトラム・アナライザで、さまざまなアップ リンクRB割り当てを確認できます。 eNBの輻輳を評価するのに有用です。 干渉を迅速に特定できます。 従来のスペクトラム・アナライザは、積算されたノイズフロアの 上昇を検出してeNBの負荷を予測できますが、ノイズの上昇の原 因がトラフィックなのか干渉なのかを判別できません。 ノイズの上昇 バンド境界の間をホッピングする LTEアップリンク制御チャネル

(16)

6.

干渉を軽減/除去するための対策

干渉は、ネットワークコンポーネントの異常の兆候である可能性があります。実際、50 %以上の 干渉は、ネットワーク内のRFサブシステムやコンポーネントの異常によって生じます(図16)。 図16. セルサイトの主要なRFサブシステム – アンテナ、ケーブル、アンプ、フィルター アンテナは、無線ネットワークで最も重要なコンポーネントです。アンテナは物理ネットワークと 無線電波の間を接続する唯一のインタフェースです。主な性能パラメータは、リターンロスと電圧 定在波比(VSWR)です。トランスミッターアンテナのリターンロス性能が異常な場合は、カバレー ジエリアに送信できるエネルギーが低下します。信号が低下すると、移動体は基地局からの距離が 遠いと判断して自身の送信パワーを上げます。、その結果、基地局レシーバーにおけるノイズが上 昇して、基地局はこれを外部干渉と判断してしまうので、技術者が間違った方針で解決法を検討す る可能性があります。したがって、外部干渉の疑いがある場合は、最初にアンテナを徹底的に調査 することを強くお勧めします。 ケーブルシステムもネットワークの動作を維持する重要な役割を担っています。フィーダーライン は変化の激しい外部環境にさらされているため、風のような外部の刺激によって、コネクタは腐食 し、ケーブルは曲がります。このような変化によって、ケーブル損失が最初に設置したときよりも 高くなります。ケーブル損失が高くなると受信パワーレベルがセル境界と近いレベルまで低下しま す。これによって、S/N比が劣化します。ネットワーク内部の干渉問題を回避する積極的な方法は、 リンクバジェットに対するケーブル損失を定期的に測定することです。 低雑音増幅器(LNA)は基地局のレシーバーチェーンに広く使用され、通常、基地局レシーバーアン テナの真後ろに取り付けられています。LNAは、リバース・リンク・カバレージの向上に非常に有 効で、アップリンクデータのスループットが向上します。しかし、屋内システムのように移動体が 受信アンテナに非常に近い場合や、都心の道路のような歩行者の交通に非常に近い位置に受信アン テナが取り付けられている場合には、LNAが妨害される可能性があります。妨害されたLNAがアッ プリンク干渉のような動作をすると、これによっても相互変調成分が生じます(図17)。これがさ らにネットワークに干渉します。問題を解決するために、圧縮ポイントが高いLNAを選択する方法 があります。LNAの前段にバンド・パス・フィルターを使用してLNAの数を最小限にして、完全に パワー制御されたリピーターまたは基地局に置き換えます。 図17. 飽和したLNAによって生じた相互変調信号 セルサイト構成: BTSラック RFモジュール ベースバンド モジュール GPSまたは 外部クロック アンプ フィルター フィルター フィルター アンプ アンプ UPS/ベンド型 バッテリー T1、E1、 ATM、OC3、 イーサネット 制御 クロック トランス ポート 電源 ケーブル アセンブリー

(17)

7.

フィールドにおける高精度測定

Keysight FieldFoxシリーズハンドヘルド・アナライザは、フィールドキットのあらゆる側面の価 値は証明されなければならないという考えのもとで開発されました。干渉のトラブルシューティン グなどのアプリケーションでFieldFoxを使用すれば、迅速に問題を検出でき、干渉信号であろうと 異常なコンポーネントであろうと問題の原因を特定して、それを修正してからシステム性能を検証 できます。 アナライザは高精度のマイクロ波/ミリ波測定を実行可能で、定期的なメンテナンス、詳細なトラ ブルシューティングを含むあらゆる作業をサポートするのに必要な以下の特長を備えています。 – 周波数カバレージ:5 kHz∼最大50 GHz – さまざまな機能:ケーブル/アンテナテスター(CAT)、スペクトラム・アナライザ、リアルタ イム・スペクトラム・アナライザ(RTSA)、パワーメータ、ベクトル・ネットワーク・アナラ イザ(VNA)、パワーメータ、独立した信号源、周波数カウンター、GPSレシーバーなど – 堅 牢 な デ ザ イ ン:MIL PRF 28800 F ク ラ ス2に 準 拠、IP 53お よ びMIL-STD 810G 511.5 process 1(爆発の危険がある環境)の型式試験済み – フィールドに最適:3.2 kgの重量と最長4時間(代表値)のバッテリー寿命 内蔵の干渉アナライザは、捕捉信号を記録/再生する機能を備えています。FieldFoxでスペクトラ ム・アナライザモードとUSBパワーセンサーを使用してパルス測定も可能です。 FieldFoxリアルタイム・スペクトラム・アナライザの主な仕様は、フィールドテストに最適です。 このアナライザを、リアルタイム・スペクトラム・アナライザの主な指標と比較して評価すると非 常によく一致します。多くの無線(OTA)アプリケーションで、外部干渉は、通常、非常に狭いバン ド内で生じるので、10 MHzの最大リアルタイム帯域幅(RTBW)は十分に余裕があります。もう1つ の重要な指標になる仕様は信号捕捉率(POI)です。これは、目的の信号を100 %の確率で検出した ときにCW信号と同じ振幅確度で測定できる、最小の持続時間です。リアルタイム・スペクトラム・ アナライザを備えたFieldFoxのPOI性能はベストケースで12.2 μs(10 MHzスパン、最大RBW)で、 1 μs程度の狭い信号を検出できます。 図18. フィールド保守担当者が干渉問題を検出/特定/修正できるデザイン。リアルタイム・スペクトラム・アナライザを備えた 堅牢なFieldFoxハンドヘルド・アナライザ(重量:3.2 kg、バッテリー寿命:約4時間)。

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8.

まとめ

最新の通信システムに要求されるのは、与えられた帯域幅で最大の容量を実現することです。この 目的を達成するネットワークは、当然、TDMAで、多くのユーザーは同じチャネルを共有できます。 信号特性がバースト性を備え、さらに、広範囲で周波数の再利用が厳密に行われるため、ネットワー ク全体の容量が増加します。一方、これによって、ネットワーク内部の同一チャネル干渉が生じま す。フィールドエンジニア/技術者が干渉問題をトラブルシューティングするには、ギャップフリー スペクトラム解析またはリアルタイムスペクトラム解析が必要です。 無線システムはますます複雑になり、異なる無線フォーマットのサポートが要求されます。例えば、 公共業務用無線は、アナログ変調とデジタル変調の両方で25 kHz/12.5 kHz/6.25 kHzをサポート する必要があります。システム・フィールド・エンジニアは、ネットワークのスペクトラム性能だ けでなく、制御チャネルとトラフィックチャネルのタイミングプロファイルを評価する必要があり ます。リアルタイム・スペクトラム・アナライザの残光表示による密度表示で、信号動作に関する 独自の見解が得られ、従来のスペクトラム・アナライザでは不可能だった解析が可能になります。 干渉は症状であり、そこには根本的な原因があります。ハードウェア障害、例えば、アンテナ、ケー ブル、ダイプレクサー/デュプレクサー、低雑音増幅器による問題が原因で、ネットワークの干渉 が生じる可能性があります。FieldFoxハンドヘルド・アナライザは、スペクトラム・アナライザ、 リアルタイム・スペクトラム・アナライザ、ケーブル/アンテナテスター、ベクトル・ネットワー ク・アナライザ、独立した信号源を組み合わせたもので、指向性アンテナも追加できます。フィー ルドにおける干渉問題の検出、特定、修正に有効なツールとして利用できます。

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