* 2019.11.1 受付
** 熊本大学大学院自然科学教育部 〒860-8555 熊本県熊本市中央区黒髪 2–39-1 TEL: (096)342-3753 FAX: (096)342-3753 E-mail: [email protected] *** 熊本大学大学院先端科学研究部
論 文
T 字混合部を持つマイクロチャンネル内
気液スラグ流に及ぼす非ニュートン性の影響
*Non-Newtonian Effects on Gas-Liquid Slug Flow in Micro-channel with T-junction Mixer
新 垣 陽 一
**米 本 幸 弘
***川 原 顕磨呂
*** ARAKAKI Yoichi YONEMOTO Yukihiro KAWAHARA AkimaroAbstract The length of liquid slug and gas bubble, gas bubble velocity and pressure drop of gas-liquid two-phase flow in a rectangular channel were measured using a high speed camera and a different pressure transducer. Water and Glycerol-solution as Newtonian liquids and Sodium carboxymethyl cellulose, Xanthan gum and Polyacrylamide-water solution as non-Newtonian liquids were used as the liquid phase, and N2 gas was used as the gas phase. The equivalent hydraulic
diameter of the rectangular channel was 0.51 mm. The measured pressure drop data were compared with unit cell model, which applied to gas bubble pressure drop prediction proposed by Kurimoto et al. (2017). The following conclusions were obtained: (1) Different flow pattern was observed only in Polyacrylamide-water solution. (2) Frictional pressure drop on two-phase flow can associate with an effective viscosity of liquid. (3) Effects of elasticity of liquid on non-Newtonian two-phase two-phase flow should be accounted to predict accurately pressure drop.
Keywords: Micro-channel, Non-Newtonian liquid, Two-phase flow, Pressure drop, Unit cell
1. 緒 言 近年、微小な加工技術の発展により管内径が 1 mm 以下の流路(マイクロチャンネル)の製作 が容易になり、装置の小型化や機器の設計にお いて柔軟な対応が可能になってきている。特に、 熱交換器やマイクロリアクタ、燃料電池などで は、単位体積当たりの反応表面積が大きいこと からマイクロチャンネルが広く用いられている。 これらの機器では化学反応や熱の移動による状 態の変化の為に、気体と液体の二相流の発生が 確認されており、マイクロチャンネル内の気液 二相流における流動機構の解明が必要不可欠と なっている。 マイクロチャンネル内の流れでは従来の大口 径流路と異なり、慣性力や重力などの体積力よ りも粘性力や表面張力などの面積力がより支配 的となる。そのため、従来の予測モデルがマイ クロチャンネル内の流動特性を正確に評価でき るかは分からない。作動流体に水などのニュー トン流体を用いた研究は多くあるものの[1-3]、 マイクロリアクタなどの化学の分野では非ニュ ートン流体が見られる。熱交換器で使用される 冷媒の氷スラリーを見かけ粘度の変化から非ニ ュートン流体として扱うことも提案されている [4]。また、非ニュートン流体を用いた流動様式 線図[5]や、高分子水溶液の濃度を変化させ気泡 形状や気泡速度、液相内の速度分布に与える影 響を調査した研究もあるが[6, 7]、非ニュートン 流体を用いた気液二相流の研究は少なく、更な る現象の解明が求められている。 そこで、本研究ではマイクロチャンネル内で 支配的である粘性力に着目し、マイクロチャン ネル内気液二相流に及ぼす液粘度の影響を実験 的に調査することを目的とした。具体的には矩 形断面を持つマイクロチャンネルを水平に設置 し、その流路内に気体として窒素ガス、液体と してニュートン流体及び非ニュートン流体を流 した時の気液二相流の観察実験を行った。非ニ ュートン流体にはせん断速度の増加に伴い粘度 が減少する擬塑性流体を使用し、その液粘度の 変化によって流動様式、圧力損失に及ぼす影響 を調査した。また、二相流の圧力損失に関して は、ユニットセルモデルを考慮した既存の予測 式による計算値と本実験で得られた値を照らし 合わせ、予測式との比較を行った。 2. 実 験 2.1 実験装置と試験流路 Fig. 1 に試験流路を含む実験装置の概略を示す。 供 試 液 体 は シ リ ン ジ ポ ン プ ( Pump 11 Elite、 Harvard Apparatus)を用いて任意の流量で押し出 し、熱電対(TX1002、YOKOGAWA)で液温度を 測定した後、試験流路の入口へと送られた。供試 気体には窒素ガスを用いた。ボンベ出口に取り付 けたレギュレータで 0.2 MPa に減圧し、マスフロ ーコントローラ(HM5141、Tokyo Keiso Co., Ltd.) で流量を調節し熱電対で気体温度を測定した後、 試験流路入口へと送られた。 Fig. 2 に試験流路の詳細を示す。試験流路は二 枚の透明アクリル樹脂板で構成された。幅 W = 0.50 mm、高さ H = 0.52 mm の溝が加工された下 板にもう一枚の上板を覆い被せボルトで締結す ることにより矩形断面を構成した。試験流路の水 力学相当直径は DH(= 2WH /(W + H))は 0.51 mm であった。試験流路は地面に対して水平に設置さ れ、重力は紙面奥行き方向となる。Port 1 から供 試液体を、Port 2 から窒素ガスを流入させること により T 字混合部(Section 1)で気液二相流を発 生させた。気液二相流は、助走区間・試験区間を 流れた後、Port 5 より大気へ解放された。流れが 安定であることを確認した後、Port 5 から流出し た液の質量を計測し、液体の質量流量を求めた。 Port 3 と Port 4 に差圧変換器(DP15-32、Validyne) を接続し、試験区間での圧力差を測定した。ここ で、差圧変換器からのアナログ信号 はアンプ (PA501-S、Validyne)で増大させ、A/D 変換器(NR-2000、KEYENCE)に接続し信号処理を行い、PC で波形データ観測ソフト(WAVE SHOT! 2000、 KEYENCE)を用いて電圧値を読み取った。取得 した電圧値は、事前に作成した検定式を用いて、 圧力の値に変換した。サンプリング周波数は 1000 Hz で、データ取得数は 40000 点である。試験区 間での圧力差はこの 40000 点の平均値である。 また、気液二相流の流動様式を観察するために、 Section 1 と Section 2 においてハイスピードカメ ラ(MEMRECAM Q1v、nac Image Technology Inc.) を用いた。Section 1 では T 字混合部で気泡発生の 様子を観察し、Section 2 では気泡長さ、液体スラ グ長さ、気泡速度を調査するために流れを撮影し た。撮影時のフレームレートとシャッタースピー ドはそれぞれ 4000 fps、1/10000 s であった。
Fig. 1 Experimental apparatus.
10 40 50 20 Test section Port 2 (Gas inlet) Liquid Gas (N2) Section 1(Mixer) Section 2 Port 1 (Liquid inlet) Port 3 Port 4 Entry section Port 5 (Outlet)
Fig. 2 Schematic of rectangular micro-channel. 2.2 供試溶液 供試液体にはニュートン流体として、水と質量 濃度が 36%のグリセリン水溶液(化学式 C3H8O3、 以後 GLY)を使用した。また、非ニュートン流体 として質量濃度が 0.1 及び 0.2%のカルボキシメ チ ルセル ロース ( 化学式 CH2CO2H 、 分 子 量 ∼ 250,000、Sigma-Aldrich、以後 CMC)、キサンタン ガム水溶液(化学式 C35H49O29、分子量 2,000,000、 Sigma-Aldrich、以後 XG)、質量濃度が 0.4%のポ リアクリルアミド水溶液(化学式 C3H5NO、分子 量 5,000,000∼6,000,000、Polysciences、以後 PAM) MF Δ P N2gas bottle Syringe pump
Differential pressure transducer Mass flow controller
High speed video camera
Micro-channel Thermocouple
4
* 2019.11.1 受付
** 熊本大学大学院自然科学教育部 〒860-8555 熊本県熊本市中央区黒髪 2–39-1 TEL: (096)342-3753 FAX: (096)342-3753 E-mail: [email protected] *** 熊本大学大学院先端科学研究部
論 文
T 字混合部を持つマイクロチャンネル内
気液スラグ流に及ぼす非ニュートン性の影響
*Non-Newtonian Effects on Gas-Liquid Slug Flow in Micro-channel with T-junction Mixer
新 垣 陽 一
**米 本 幸 弘
***川 原 顕磨呂
*** ARAKAKI Yoichi YONEMOTO Yukihiro KAWAHARA AkimaroAbstract The length of liquid slug and gas bubble, gas bubble velocity and pressure drop of gas-liquid two-phase flow in a rectangular channel were measured using a high speed camera and a different pressure transducer. Water and Glycerol-solution as Newtonian liquids and Sodium carboxymethyl cellulose, Xanthan gum and Polyacrylamide-water solution as non-Newtonian liquids were used as the liquid phase, and N2 gas was used as the gas phase. The equivalent hydraulic
diameter of the rectangular channel was 0.51 mm. The measured pressure drop data were compared with unit cell model, which applied to gas bubble pressure drop prediction proposed by Kurimoto et al. (2017). The following conclusions were obtained: (1) Different flow pattern was observed only in Polyacrylamide-water solution. (2) Frictional pressure drop on two-phase flow can associate with an effective viscosity of liquid. (3) Effects of elasticity of liquid on non-Newtonian two-phase two-phase flow should be accounted to predict accurately pressure drop.
Keywords: Micro-channel, Non-Newtonian liquid, Two-phase flow, Pressure drop, Unit cell
1. 緒 言 近年、微小な加工技術の発展により管内径が 1 mm 以下の流路(マイクロチャンネル)の製作 が容易になり、装置の小型化や機器の設計にお いて柔軟な対応が可能になってきている。特に、 熱交換器やマイクロリアクタ、燃料電池などで は、単位体積当たりの反応表面積が大きいこと からマイクロチャンネルが広く用いられている。 これらの機器では化学反応や熱の移動による状 態の変化の為に、気体と液体の二相流の発生が 確認されており、マイクロチャンネル内の気液 二相流における流動機構の解明が必要不可欠と なっている。 マイクロチャンネル内の流れでは従来の大口 径流路と異なり、慣性力や重力などの体積力よ りも粘性力や表面張力などの面積力がより支配 的となる。そのため、従来の予測モデルがマイ クロチャンネル内の流動特性を正確に評価でき るかは分からない。作動流体に水などのニュー トン流体を用いた研究は多くあるものの[1-3]、 マイクロリアクタなどの化学の分野では非ニュ ートン流体が見られる。熱交換器で使用される 冷媒の氷スラリーを見かけ粘度の変化から非ニ ュートン流体として扱うことも提案されている [4]。また、非ニュートン流体を用いた流動様式 線図[5]や、高分子水溶液の濃度を変化させ気泡 形状や気泡速度、液相内の速度分布に与える影 響を調査した研究もあるが[6, 7]、非ニュートン 流体を用いた気液二相流の研究は少なく、更な る現象の解明が求められている。 そこで、本研究ではマイクロチャンネル内で 支配的である粘性力に着目し、マイクロチャン ネル内気液二相流に及ぼす液粘度の影響を実験 的に調査することを目的とした。具体的には矩 形断面を持つマイクロチャンネルを水平に設置 し、その流路内に気体として窒素ガス、液体と してニュートン流体及び非ニュートン流体を流 した時の気液二相流の観察実験を行った。非ニ ュートン流体にはせん断速度の増加に伴い粘度 が減少する擬塑性流体を使用し、その液粘度の 変化によって流動様式、圧力損失に及ぼす影響 を調査した。また、二相流の圧力損失に関して は、ユニットセルモデルを考慮した既存の予測 式による計算値と本実験で得られた値を照らし 合わせ、予測式との比較を行った。 2. 実 験 2.1 実験装置と試験流路 Fig. 1 に試験流路を含む実験装置の概略を示す。 供 試 液 体 は シ リ ン ジ ポ ン プ ( Pump 11 Elite、 Harvard Apparatus)を用いて任意の流量で押し出 し、熱電対(TX1002、YOKOGAWA)で液温度を 測定した後、試験流路の入口へと送られた。供試 気体には窒素ガスを用いた。ボンベ出口に取り付 けたレギュレータで 0.2 MPa に減圧し、マスフロ ーコントローラ(HM5141、Tokyo Keiso Co., Ltd.) で流量を調節し熱電対で気体温度を測定した後、 試験流路入口へと送られた。 Fig. 2 に試験流路の詳細を示す。試験流路は二 枚の透明アクリル樹脂板で構成された。幅 W = 0.50 mm、高さ H = 0.52 mm の溝が加工された下 板にもう一枚の上板を覆い被せボルトで締結す ることにより矩形断面を構成した。試験流路の水 力学相当直径は DH(= 2WH /(W + H))は 0.51 mm であった。試験流路は地面に対して水平に設置さ れ、重力は紙面奥行き方向となる。Port 1 から供 試液体を、Port 2 から窒素ガスを流入させること により T 字混合部(Section 1)で気液二相流を発 生させた。気液二相流は、助走区間・試験区間を 流れた後、Port 5 より大気へ解放された。流れが 安定であることを確認した後、Port 5 から流出し た液の質量を計測し、液体の質量流量を求めた。 Port 3 と Port 4 に差圧変換器(DP15-32、Validyne) を接続し、試験区間での圧力差を測定した。ここ で、差圧変換器からのアナログ信号 はアンプ (PA501-S、Validyne)で増大させ、A/D 変換器(NR-2000、KEYENCE)に接続し信号処理を行い、PC で波形データ観測ソフト(WAVE SHOT! 2000、 KEYENCE)を用いて電圧値を読み取った。取得 した電圧値は、事前に作成した検定式を用いて、 圧力の値に変換した。サンプリング周波数は 1000 Hz で、データ取得数は 40000 点である。試験区 間での圧力差はこの 40000 点の平均値である。 また、気液二相流の流動様式を観察するために、 Section 1 と Section 2 においてハイスピードカメ ラ(MEMRECAM Q1v、nac Image Technology Inc.) を用いた。Section 1 では T 字混合部で気泡発生の 様子を観察し、Section 2 では気泡長さ、液体スラ グ長さ、気泡速度を調査するために流れを撮影し た。撮影時のフレームレートとシャッタースピー ドはそれぞれ 4000 fps、1/10000 s であった。
Fig. 1 Experimental apparatus.
10 40 50 20 Test section Port 2 (Gas inlet) Liquid Gas (N2) Section 1(Mixer) Section 2 Port 1 (Liquid inlet) Port 3 Port 4 Entry section Port 5 (Outlet)
Fig. 2 Schematic of rectangular micro-channel. 2.2 供試溶液 供試液体にはニュートン流体として、水と質量 濃度が 36%のグリセリン水溶液(化学式 C3H8O3、 以後 GLY)を使用した。また、非ニュートン流体 として質量濃度が 0.1 及び 0.2%のカルボキシメ チ ルセル ロース ( 化学式 CH2CO2H 、 分 子 量 ∼ 250,000、Sigma-Aldrich、以後 CMC)、キサンタン ガム水溶液(化学式 C35H49O29、分子量 2,000,000、 Sigma-Aldrich、以後 XG)、質量濃度が 0.4%のポ リアクリルアミド水溶液(化学式 C3H5NO、分子 量 5,000,000∼6,000,000、Polysciences、以後 PAM) MF Δ P N2gas bottle Syringe pump
Differential pressure transducer Mass flow controller
High speed video camera
Micro-channel Thermocouple
を用いた。ここで、供試液体のレオロジー特性は、 式(1)の Power-law モデルで評価した。
(
)
=K du dy n τ (1) ここで、τ はせん断応力、K は擬塑性粘度、n は構 造粘度指数、及び du/dy はせん断速度を示す。円 管(内径 D = 0.25 mm)に液単相流の層流を流し、 圧力損失と流量を測定してせん断応力とせん断 速度の関係から各供試液体の K と n の値を求め た[8]。その結果を Table 1 に示す。CMC、XG 及 び PAM 水溶液は構造粘度指数 n が 1 より小さく、 擬塑性の特性を示す。すなわち、せん断速度の増 加に伴い粘度が減少する性質を持つことが分か る。なお、本実験における供試液体の平均温度は 22.0℃で、窒素ガスのそれは 22.4℃であった。Table 1 K and n value for working liquids.
2.3 実験条件 気液二相流実験は、液体の見かけ速度(体積流 量を流路断面積で除した値)jL = 0.1、0.2、0.3、0.4 m/s の 4 条件と、気体の見かけ速度 jG = 0.1、0.2、 0.3 m/s の 3 条件を組み合わせた計 12 条件につい て行った。なお、Port 3 と Port 4 に接続された差 圧変換器から求めた圧力損失勾配を Port 5 の大気 圧へ外挿し、Port 3 と Port 4 の中央部の Section 2 における圧力から気体密度を求め、気体の見かけ 速度 jGを計算した。 3. 実験結果及び考察 3.1 流動様式 Fig. 3 に一例として、jL = 0.1 m/s、jG = 0.1 m/s の条件での GLY 36 水溶液の気液二相流を流した 時 の (a) T 字 混 合 部 (Section 1) 、 (b) 試 験 区 間 (Section 2)の静止画を示す。Fig. 4 に同条件での PAM 0.4 水溶液のそれらを示している。T 字混合 部の左側から供試溶液を、それと垂直に窒素ガス を流入させている。また、Section 1 から 70 mm 下 流部分が試験区間の中央部である Section 2 に当 たる。本研究では 7 種類の溶液を用いて実験を行 なったが、PAM 0.4 水溶液を除く 6 種類の溶液で ニュートン流体・非ニュートン流体に関係なく、 Fig. 3 の GLY 36 のようにほぼ同じ長さの気泡と 液体スラグが周期的に観察された。一方、PAM 0.4 水溶液のみ Section 2 で 2 つの気泡が接触・合体 し 1 つの大きな気泡になることが確認できた。以 降、PAM 0.4 水溶液のみ気泡の接触・合体が観察 されたことについて考察する。Table 1 より PAM 0.4 水溶液は CMC、XG 水溶液と比べて構造粘度 指数 n の値に大差がない。つまり擬塑性の大きさ、 すなわち非ニュートン性によって気泡の接触・合 体が生じたとは考えにくい。ここで、各高分子材 の分子量に着目すると、CMC が 25 万以下、XG が約 200 万、PAM が約 500 万~600 万であった。 Arratia et al. [9] は、幅及び高さが 50µm の十字混 合部を持つ矩形マイクロチャンネルを用いて、液 体の分子量の変化で液滴がどのようにせん断さ れるか観察し、液体の分子量の増加に伴い液体の 弾性が大きくなることを示している。すなわち、 本実験では PAM 0.4 水溶液が最も弾性の大きい 溶液であると考えられる。
(a) Section 1 (Mixer) (b) Section 2 (Test) Fig. 3 Two-phase flow pattern (GLY 36)
jL = 0.1 m/s, jG = 0.1 m/s.
(a) Section 1 (Mixer) (b) Section 2 (Test) Fig. 4 Two-phase flow pattern (PAM 0.4)
jL = 0.1 m/s, jG = 0.1 m/s.
Fig. 5 Schematic of PAM 0.4 flow at Section 2. Liquids K [m Pa・sn] n[-] du /dy [1/s]
Water 0.958 1.00 1500-16000 GLY 36 2.96 1.00 1000-8000 CMC 0.1 5.64 0.90 1500-16000 CMC 0.2 18.8 0.82 1200-8000 XG 0.1 21.4 0.74 2700-12000 XG 0.2 54.8 0.68 2700-11000 PAM 0.4 16.1 0.83 900-18000 Liquid Gas 次に、Fig. 5 に気泡の接触・合体の考察におけ るメカニズムの概略図を示す。気泡の通過により、 流路内の液体は流路壁面と気泡の間の液膜に移 動する。気泡の存在の為、液膜は半径方向の力を 気泡から受け、流路壁面側に押し込められる状況 となる。その半径方向の力は気泡通過後に除荷さ れ、液膜内の液体は気泡後方の液体スラグ内に戻 る。液体の弾性が大きいと、力が除荷された際に 液体が気泡後方に戻ろうとする力が大きくなる ものと考えられ、Fig. 5 のような後流が発生し後 続の気泡を巻き込んだのではないかと考えられ る。すなわち、後流の大きさは液体弾性の大きさ に依存し、弾性の大きい PAM 0.4 水溶液では大 きな後流が発生したため気泡の接触・合体が観察 されたと考えられる。 Meyer et al. [10] は、幅及び高さが 2 mm の垂直 矩形流路でグリセリン水溶液を使用し、µPIV 技 術を用いた気液二相流実験と数値シミュレーシ ョンを行い、気泡通過後の液相内で液体の循環の 発生を確認している。また、Sousa et al. [6] は CMC 水溶液を用いテイラー流を PIV 技術で観察し、気 泡後端が溶液濃度によって変化することを報告 している。同様に Imaizumi et al. [11] は、比較的 強い粘弾性を持つ SAP(Sodium acrylate polymer) 水溶液を用い静止液体中を上昇する気泡を観察 した結果、気泡後端が細長く尖る様子を観察し、 気泡後流及び気泡後端の形状が粘弾性流体の持 つせん断ひずみエネルギーの影響を受けている と考察している。しかし、本実験のように 2 つの 気泡の接触・合体が観察された例は珍しく、液体 スラグ内の速度分布や各供試液体の物性、流路全 体にわたる気泡挙動等について今後、詳しく調査 する必要がある。 3.2 気液二相摩擦圧力損失 Fig. 6 に供試液体として GLY 36、CMC 0.1、XG 0.2 水溶液を用いた二相摩擦圧力損失勾配を液体 の平均速度に対してプロットしたグラフを示す。 図の煩雑さを避けるために、全溶液ではなく非ニ ュートン性の影響が顕著に表れた 3 つの溶液を 比較・考察する。ここで、液体の平均速度 uLは以 下の式によって計算した。
=
1
L Lj
u
-α
(2) 上式中、α はボイド率である。ボイド率 α は試験 区間で測定した気泡速度 uGと気体の見かけ速度 jGより以下の式で算出した。=
G Gj
u
α
(3)Fig. 6 Effects of different liquids and mean velocity of liquid on two-phase frictional pressure drop gradient.
Fig. 7 Relationship between effective viscosity and mean velocity of liquid.
Fig. 6 より液体の平均速度の増加に伴い、二相摩 擦圧力損失勾配が増加していることが分かる。 ここで、二相摩擦圧力損失勾配の関係を矩形流 路内の気液二相流の液体の有効粘度μeffに基づき 検討する。有効粘度μeffは式(1)より次式で表され る[5, 12]。
(
)
-1 8 + = n L eff H u a bn n D K μ (4) 混相流 34 巻 1号(2020) 95を用いた。ここで、供試液体のレオロジー特性は、 式(1)の Power-law モデルで評価した。
(
)
= K du dy n τ (1) ここで、τ はせん断応力、K は擬塑性粘度、n は構 造粘度指数、及び du/dy はせん断速度を示す。円 管(内径 D = 0.25 mm)に液単相流の層流を流し、 圧力損失と流量を測定してせん断応力とせん断 速度の関係から各供試液体の K と n の値を求め た[8]。その結果を Table 1 に示す。CMC、XG 及 び PAM 水溶液は構造粘度指数 n が 1 より小さく、 擬塑性の特性を示す。すなわち、せん断速度の増 加に伴い粘度が減少する性質を持つことが分か る。なお、本実験における供試液体の平均温度は 22.0℃で、窒素ガスのそれは 22.4℃であった。Table 1 K and n value for working liquids.
2.3 実験条件 気液二相流実験は、液体の見かけ速度(体積流 量を流路断面積で除した値)jL = 0.1、0.2、0.3、0.4 m/s の 4 条件と、気体の見かけ速度 jG = 0.1、0.2、 0.3 m/s の 3 条件を組み合わせた計 12 条件につい て行った。なお、Port 3 と Port 4 に接続された差 圧変換器から求めた圧力損失勾配を Port 5 の大気 圧へ外挿し、Port 3 と Port 4 の中央部の Section 2 における圧力から気体密度を求め、気体の見かけ 速度 jGを計算した。 3. 実験結果及び考察 3.1 流動様式 Fig. 3 に一例として、jL = 0.1 m/s、jG = 0.1 m/s の条件での GLY 36 水溶液の気液二相流を流した 時 の (a) T 字 混 合 部 (Section 1) 、 (b) 試 験 区 間 (Section 2)の静止画を示す。Fig. 4 に同条件での PAM 0.4 水溶液のそれらを示している。T 字混合 部の左側から供試溶液を、それと垂直に窒素ガス を流入させている。また、Section 1 から 70 mm 下 流部分が試験区間の中央部である Section 2 に当 たる。本研究では 7 種類の溶液を用いて実験を行 なったが、PAM 0.4 水溶液を除く 6 種類の溶液で ニュートン流体・非ニュートン流体に関係なく、 Fig. 3 の GLY 36 のようにほぼ同じ長さの気泡と 液体スラグが周期的に観察された。一方、PAM 0.4 水溶液のみ Section 2 で 2 つの気泡が接触・合体 し 1 つの大きな気泡になることが確認できた。以 降、PAM 0.4 水溶液のみ気泡の接触・合体が観察 されたことについて考察する。Table 1 より PAM 0.4 水溶液は CMC、XG 水溶液と比べて構造粘度 指数 n の値に大差がない。つまり擬塑性の大きさ、 すなわち非ニュートン性によって気泡の接触・合 体が生じたとは考えにくい。ここで、各高分子材 の分子量に着目すると、CMC が 25 万以下、XG が約 200 万、PAM が約 500 万~600 万であった。 Arratia et al. [9] は、幅及び高さが 50µm の十字混 合部を持つ矩形マイクロチャンネルを用いて、液 体の分子量の変化で液滴がどのようにせん断さ れるか観察し、液体の分子量の増加に伴い液体の 弾性が大きくなることを示している。すなわち、 本実験では PAM 0.4 水溶液が最も弾性の大きい 溶液であると考えられる。
(a) Section 1 (Mixer) (b) Section 2 (Test) Fig. 3 Two-phase flow pattern (GLY 36)
jL = 0.1 m/s, jG = 0.1 m/s.
(a) Section 1 (Mixer) (b) Section 2 (Test) Fig. 4 Two-phase flow pattern (PAM 0.4)
jL = 0.1 m/s, jG = 0.1 m/s.
Fig. 5 Schematic of PAM 0.4 flow at Section 2. Liquids K [m Pa・sn] n [-] du /dy [1/s]
Water 0.958 1.00 1500-16000 GLY 36 2.96 1.00 1000-8000 CMC 0.1 5.64 0.90 1500-16000 CMC 0.2 18.8 0.82 1200-8000 XG 0.1 21.4 0.74 2700-12000 XG 0.2 54.8 0.68 2700-11000 PAM 0.4 16.1 0.83 900-18000 Liquid Gas 次に、Fig. 5 に気泡の接触・合体の考察におけ るメカニズムの概略図を示す。気泡の通過により、 流路内の液体は流路壁面と気泡の間の液膜に移 動する。気泡の存在の為、液膜は半径方向の力を 気泡から受け、流路壁面側に押し込められる状況 となる。その半径方向の力は気泡通過後に除荷さ れ、液膜内の液体は気泡後方の液体スラグ内に戻 る。液体の弾性が大きいと、力が除荷された際に 液体が気泡後方に戻ろうとする力が大きくなる ものと考えられ、Fig. 5 のような後流が発生し後 続の気泡を巻き込んだのではないかと考えられ る。すなわち、後流の大きさは液体弾性の大きさ に依存し、弾性の大きい PAM 0.4 水溶液では大 きな後流が発生したため気泡の接触・合体が観察 されたと考えられる。 Meyer et al. [10] は、幅及び高さが 2 mm の垂直 矩形流路でグリセリン水溶液を使用し、µPIV 技 術を用いた気液二相流実験と数値シミュレーシ ョンを行い、気泡通過後の液相内で液体の循環の 発生を確認している。また、Sousa et al. [6] は CMC 水溶液を用いテイラー流を PIV 技術で観察し、気 泡後端が溶液濃度によって変化することを報告 している。同様に Imaizumi et al. [11] は、比較的 強い粘弾性を持つ SAP(Sodium acrylate polymer) 水溶液を用い静止液体中を上昇する気泡を観察 した結果、気泡後端が細長く尖る様子を観察し、 気泡後流及び気泡後端の形状が粘弾性流体の持 つせん断ひずみエネルギーの影響を受けている と考察している。しかし、本実験のように 2 つの 気泡の接触・合体が観察された例は珍しく、液体 スラグ内の速度分布や各供試液体の物性、流路全 体にわたる気泡挙動等について今後、詳しく調査 する必要がある。 3.2 気液二相摩擦圧力損失 Fig. 6 に供試液体として GLY 36、CMC 0.1、XG 0.2 水溶液を用いた二相摩擦圧力損失勾配を液体 の平均速度に対してプロットしたグラフを示す。 図の煩雑さを避けるために、全溶液ではなく非ニ ュートン性の影響が顕著に表れた 3 つの溶液を 比較・考察する。ここで、液体の平均速度 uLは以 下の式によって計算した。
=
1
L Lj
u
-α
(2) 上式中、α はボイド率である。ボイド率 α は試験 区間で測定した気泡速度 uGと気体の見かけ速度 jGより以下の式で算出した。=
G Gj
u
α
(3)Fig. 6 Effects of different liquids and mean velocity of liquid on two-phase frictional pressure drop gradient.
Fig. 7 Relationship between effective viscosity and mean velocity of liquid.
Fig. 6 より液体の平均速度の増加に伴い、二相摩 擦圧力損失勾配が増加していることが分かる。 ここで、二相摩擦圧力損失勾配の関係を矩形流 路内の気液二相流の液体の有効粘度μeffに基づき 検討する。有効粘度μeffは式(1)より次式で表され る[5, 12]。
(
)
-1 8 + = n L eff H u a bn n D K μ (4)上式中、a と b は流路断面形状に依存する係数で あり、矩形断面の場合、そのアスペクト比に依存 する。本研究では、a = 0.2122、b = 0.6773 である。 Fig. 7 に液体の平均速度と有効粘度(式(4))の関 係を Fig. 6 と同じ 3 つの溶液のみ示す。 Fig. 6 中の uL = 0.2 m/s に着目すると、二相圧力 損失勾配は XG 0.2、GLY 36、CMC 0.1 の順に小 さくなっている。Fig. 7 で uL = 0.2 m/s のときに着 目すると、式(4)から、XG 0.2 は μeff = 4.14 m Pa・
s、GLY 36 は μeff = 2.96 m Pa・s、CMC 0.1 は μeff =
2.51 m Pa・s となり、圧力損失と有効粘度の大小関 係が一致していることが分かる。次に、Fig. 6 で uL = 0.49 m/s のときに着目すると、XG 0.2 と GLY 36 の圧力損失勾配は同程度であり、CMC 0.1 は uL = 0.2 m/s のときよりも GLY 36 との二相圧力損 失勾配の差が大きくなっている。Fig. 7 で uL = 0.49 m/s のとき、式(4)から、XG 0.2 は μeff = 3.11 m
Pa・s、GLY 36 は μeff = 2.96 m Pa・s、CMC 0.1 は μeff
= 2.30 m Pa・s であった。したがって、二相圧力損 失勾配と液体の有効粘度の大小関係はおおよそ 相関があると考えられる。 3.3 二相摩擦圧力損失の予測 気液二相流の圧力損失の予測を、ユニットセル モデル[13]を用いて考察する。ここでユニットセ ルモデルの概念を Fig. 8 に示す。 L LG LL uG uL
Liquid slug Gas bubble
Fig. 8 Schematic of unit cell model. 長さ LGの気泡と長さ LLの液体スラグを一つのユ ニットセルとし、一つのユニットセルの長さを L (= LG + LL)とする。一つのユニットセルの圧力 損失ΔPUCは次式で表される。 = + UC G L P P P Δ Δ Δ (5) ここで、ΔPGは気泡による圧力損失、ΔPLは液体 スラグにおける圧力損失である。また、ユニット セルの圧力損失ΔPUCを用いて二相流の摩擦圧力 損失勾配 (dPf / dZ)TPは次式で表される。
(
f)
=
Δ
UC TPP
dP dZ
L
(6) また、液体スラグの圧力損失ΔPLはダルシー・ワ イズバッハの式を利用し次式で与えられる。 2Δ
=
2
L L L HL
j
P
λ
D
ρ
(7) ここで、ρLは液体の密度である。また、気泡と液 体スラグは一つのセルとして流れるため、液体ス ラグ速度には全体積流束 j(= jG + jL)を用いる。 気泡部の圧力損失に関しては様々な予測式が考 えられている[1, 13-15]。本研究では、200~700µm の 4 種類の大きさの円管と水及び 2 種類のグリセ リン水溶液を用いた実験から、他の予測式の修正 を行った Kurimoto et al. [16]の式を用いる。彼ら は気泡部の圧力損失モデルに、Han and Shikazono [17]が提案している液膜厚さのモデルを適用する ことで気泡部の圧力損失を以下の式に基づき予 測している。 Δ G = 7.16 lf σ P f D (8) ( )2/3 2/3 0.762 0.589 0.629 3 = 1 + 3.13 + 0.504 0.352 lf Ca f Ca Ca Re - We (9) 上式中、σ は表面張力である。D は流路径である が、本実験では矩形流路を使用しているため水力 学相当直径 DHを用いる。flfは圧力損失に対する 液膜厚さの寄与を表す関数である。Ca は粘性力 と表面張力の比であるキャピラリー数、We は慣 性力と表面張力の比であるウェーバー数である。 ここで、Re は慣性力と粘性力の比であるレイノ ルズ数であるが、本実験は矩形流路かつ供試液体 に非ニュートン流体を使用している。その為、レ イノルズ数 Re には Kozicki et al. [12]が様々な流 路断面形状を考慮することで提案している一般 化レイノルズ数 Re*を使用する。一般化レイノル ズ数は次式で表される。 Unit cell(
)
1 2 *8
=
+
n n L H n n KD
j
n
Re
a bn
- -ρ
(10) 上式中の a と b は流路断面形状に依存する係数で あり、式(4)で用いた値と同様の値を用いる。 Fig. 9 に、式(6)-(9)から計算した気液二相流の 摩擦圧力損失勾配と実験値とを比較した結果を 示す。図中の実線は計算値と実験値が等しい場合 を示し、破線は誤差(±20%)の範囲を示す。Fig.9Comparison of two-phase pressure drop gradient between experiment and calculation by unit cell model. 水、GLY 36、CMC 0.2 では破線の範囲内でおおよ そ一致している。しかし、XG 0.1、0.2、PAM 0.4 では、計算値より実験値が大きい。これはユニッ トセルモデルで、気泡通過後に発生する後流の影 響が考慮されていないことが原因と考えられる。 Fig. 5 で示したように、気泡通過で発生する後流 の影響によって、PAM 0.4 では気泡の接触・合体 が発生したと推察される。後流の大きさは液体弾 性の大きさに影響すると考えられ、弾性の大きさ は液体の分子量に依存する。供試液体の分子量は CMC、XG、PAM の順に大きくなっており、Fig. 9 でも計算値は XG 0.1、0.2、PAM 0.4 の順に実験 値を過小評価している。よって、マイクロチャン ネルにおいて気液二相流の圧力損失を正確に予 測するには気泡通過後に発生する後流の影響及 び液体の弾性を考慮に入れる必要があると考え られる。様々な研究者[6, 7, 10, 11, 18]によって気 泡後流についての議論が行われているが、気液二 相流の圧力損失と結びつけた例は少なく、今後よ り詳細な調査が必要である。 4. 結 言 水力学相当直径が DH = 0.51 mm の矩形流路内 の窒素ガス-非ニュートン流体二相流に関する、 流動様式と圧力損失を実験的に調査した。非ニュ ートン流体には CMC、XG、PAM 水溶液を用い た。また、既存の予測式との比較を行い、以下の 知見を得た。 (1) 分子量の大きい PAM 0.4 水溶液のみ気泡の 接触・合体が観察された。 (2) 液体の平均速度の増加に伴い、二相摩擦圧力 損失勾配が増加した。液体の有効粘度と二相 圧力損失には相関がある。 (3) 二相摩擦圧力損失を正確に予測するには、気 泡通過後の後流及び液体の弾性を考慮に入 れる必要がある。 謝 辞 本研究の一部は科研費(19K04172)の支援に依 ったことを記してお礼申し上げます。 Nomenclature a, b : geometric constants [-] Ca : Capillary number [-] D : tube diameter [m]
du/dy : shear rate [1/s] dP/dZ : pressure drop gradient [Pa/m] flf : function representing the contribution of the
liquid film thickness [-]
H : channel height [m]
j : total superficial velocity [m/s] jG : superficial velocity of gas [m/s]
jL : superficial velocity of liquid [m/s]
K : consistency coefficient [Pa・sn]
L : length [m]
n : flow index [-]
P : pressure [Pa]
Re : Reynolds number [-] Re* : generalized Reynolds number [-]
u : mean velocity [m/s]
W : channel width [m]
We : Weber number [-]
上式中、a と b は流路断面形状に依存する係数で あり、矩形断面の場合、そのアスペクト比に依存 する。本研究では、a = 0.2122、b = 0.6773 である。 Fig. 7 に液体の平均速度と有効粘度(式(4))の関 係を Fig. 6 と同じ 3 つの溶液のみ示す。 Fig. 6 中の uL = 0.2 m/s に着目すると、二相圧力 損失勾配は XG 0.2、GLY 36、CMC 0.1 の順に小 さくなっている。Fig. 7 で uL = 0.2 m/s のときに着 目すると、式(4)から、XG 0.2 は μeff = 4.14 m Pa・
s、GLY 36 は μeff = 2.96 m Pa・s、CMC 0.1 は μeff =
2.51 m Pa・s となり、圧力損失と有効粘度の大小関 係が一致していることが分かる。次に、Fig. 6 で uL = 0.49 m/s のときに着目すると、XG 0.2 と GLY 36 の圧力損失勾配は同程度であり、CMC 0.1 は uL = 0.2 m/s のときよりも GLY 36 との二相圧力損 失勾配の差が大きくなっている。Fig. 7 で uL = 0.49 m/s のとき、式(4)から、XG 0.2 は μeff = 3.11 m
Pa・s、GLY 36 は μeff = 2.96 m Pa・s、CMC 0.1 は μeff
= 2.30 m Pa・s であった。したがって、二相圧力損 失勾配と液体の有効粘度の大小関係はおおよそ 相関があると考えられる。 3.3 二相摩擦圧力損失の予測 気液二相流の圧力損失の予測を、ユニットセル モデル[13]を用いて考察する。ここでユニットセ ルモデルの概念を Fig. 8 に示す。 L LG LL uG uL
Liquid slug Gas bubble
Fig. 8 Schematic of unit cell model. 長さ LGの気泡と長さ LLの液体スラグを一つのユ ニットセルとし、一つのユニットセルの長さを L (= LG + LL)とする。一つのユニットセルの圧力 損失ΔPUCは次式で表される。 = + UC G L P P P Δ Δ Δ (5) ここで、ΔPGは気泡による圧力損失、ΔPLは液体 スラグにおける圧力損失である。また、ユニット セルの圧力損失ΔPUCを用いて二相流の摩擦圧力 損失勾配 (dPf / dZ)TPは次式で表される。
(
f)
=
Δ
UC TPP
dP dZ
L
(6) また、液体スラグの圧力損失ΔPLはダルシー・ワ イズバッハの式を利用し次式で与えられる。 2Δ
=
2
L L L HL
j
P
λ
D
ρ
(7) ここで、ρLは液体の密度である。また、気泡と液 体スラグは一つのセルとして流れるため、液体ス ラグ速度には全体積流束 j(= jG + jL)を用いる。 気泡部の圧力損失に関しては様々な予測式が考 えられている[1, 13-15]。本研究では、200~700µm の 4 種類の大きさの円管と水及び 2 種類のグリセ リン水溶液を用いた実験から、他の予測式の修正 を行った Kurimoto et al. [16]の式を用いる。彼ら は気泡部の圧力損失モデルに、Han and Shikazono [17]が提案している液膜厚さのモデルを適用する ことで気泡部の圧力損失を以下の式に基づき予 測している。 Δ G = 7.16 lf σ P f D (8) ( )2/3 2/3 0.762 0.589 0.629 3 = 1 + 3.13 + 0.504 0.352 lf Ca f Ca Ca Re - We (9) 上式中、σ は表面張力である。D は流路径である が、本実験では矩形流路を使用しているため水力 学相当直径 DHを用いる。flfは圧力損失に対する 液膜厚さの寄与を表す関数である。Ca は粘性力 と表面張力の比であるキャピラリー数、We は慣 性力と表面張力の比であるウェーバー数である。 ここで、Re は慣性力と粘性力の比であるレイノ ルズ数であるが、本実験は矩形流路かつ供試液体 に非ニュートン流体を使用している。その為、レ イノルズ数 Re には Kozicki et al. [12]が様々な流 路断面形状を考慮することで提案している一般 化レイノルズ数 Re*を使用する。一般化レイノル ズ数は次式で表される。 Unit cell(
)
1 2 *8
=
+
n n L H n n KD
j
n
Re
a bn
- -ρ
(10) 上式中の a と b は流路断面形状に依存する係数で あり、式(4)で用いた値と同様の値を用いる。 Fig. 9 に、式(6)-(9)から計算した気液二相流の 摩擦圧力損失勾配と実験値とを比較した結果を 示す。図中の実線は計算値と実験値が等しい場合 を示し、破線は誤差(±20%)の範囲を示す。Fig.9Comparison of two-phase pressure drop gradient between experiment and calculation by unit cell model. 水、GLY 36、CMC 0.2 では破線の範囲内でおおよ そ一致している。しかし、XG 0.1、0.2、PAM 0.4 では、計算値より実験値が大きい。これはユニッ トセルモデルで、気泡通過後に発生する後流の影 響が考慮されていないことが原因と考えられる。 Fig. 5 で示したように、気泡通過で発生する後流 の影響によって、PAM 0.4 では気泡の接触・合体 が発生したと推察される。後流の大きさは液体弾 性の大きさに影響すると考えられ、弾性の大きさ は液体の分子量に依存する。供試液体の分子量は CMC、XG、PAM の順に大きくなっており、Fig. 9 でも計算値は XG 0.1、0.2、PAM 0.4 の順に実験 値を過小評価している。よって、マイクロチャン ネルにおいて気液二相流の圧力損失を正確に予 測するには気泡通過後に発生する後流の影響及 び液体の弾性を考慮に入れる必要があると考え られる。様々な研究者[6, 7, 10, 11, 18]によって気 泡後流についての議論が行われているが、気液二 相流の圧力損失と結びつけた例は少なく、今後よ り詳細な調査が必要である。 4. 結 言 水力学相当直径が DH = 0.51 mm の矩形流路内 の窒素ガス-非ニュートン流体二相流に関する、 流動様式と圧力損失を実験的に調査した。非ニュ ートン流体には CMC、XG、PAM 水溶液を用い た。また、既存の予測式との比較を行い、以下の 知見を得た。 (1) 分子量の大きい PAM 0.4 水溶液のみ気泡の 接触・合体が観察された。 (2) 液体の平均速度の増加に伴い、二相摩擦圧力 損失勾配が増加した。液体の有効粘度と二相 圧力損失には相関がある。 (3) 二相摩擦圧力損失を正確に予測するには、気 泡通過後の後流及び液体の弾性を考慮に入 れる必要がある。 謝 辞 本研究の一部は科研費(19K04172)の支援に依 ったことを記してお礼申し上げます。 Nomenclature a, b : geometric constants [-] Ca : Capillary number [-] D : tube diameter [m]
du/dy : shear rate [1/s] dP/dZ : pressure drop gradient [Pa/m] flf : function representing the contribution of the
liquid film thickness [-]
H : channel height [m]
j : total superficial velocity [m/s] jG : superficial velocity of gas [m/s]
jL : superficial velocity of liquid [m/s]
K : consistency coefficient [Pa・sn]
L : length [m]
n : flow index [-]
P : pressure [Pa]
Re : Reynolds number [-] Re* : generalized Reynolds number [-]
u : mean velocity [m/s]
W : channel width [m]
Greek letters
α : void fraction [-]
Δ : difference [-]
μeff : effective viscosity [Pa・s]
ρ : density [kg/m3]
σ : surface tension [N/m]
τ : shear stress [Pa]
Subscripts
cal : calculation value exp : experimental value f : friction
G : gas phase L : liquid phase TP : two-phase 参考文献
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____________________________________________________________________________________________
* 2019.10.11 受付
*** 福井工業大学工学部機械工学科 〒910-8505 福井市学園 3 丁目 6-1 TEL: (0776)29-2481 FAX: (0776)29-2481 E-mail: [email protected] ** 原子燃料工業株式会社エンジニアリング事業部
論 文
冷却機能喪失時の使用済み燃料プールのボイド率
*Void Fraction in Spent Fuel Pool under Loss of Cooling Accident
久 保 雄一郎
**奥 井 翔 大
**笹 川 達 也
**水 谷 義 隆
** KUBO Yuichiro OKUI Shota SASAKAWA Tatsuya MIZUTANI Yoshitaka河 野 智 美
**片 岡 勲
*** KAWANO Tomomi KATAOKA IsaoAbstract Thermohydraulic behavior in spent fuel pool is quite important in evaluating safety of a nuclear reactor under accidental conditions. Particularly, accurate prediction of void fraction in spent fuel pool is indispensable for evaluating cooling characteristics of spent fuel. In view of these, experimental and analytical studies were carried out for void fraction in spent fuel pool. The experiment was performed to measure the heat-up and void fraction transient during the postulated SFP accident. In this experiment, a simulated 7x7 BWR rod bundle that consists of 49 heater rods, 7 spacer grids and upper tie-plate was used. The measured data was compared with the some drift-flux correlations under the low pressure and the low flow rate condition related to SFP accident. Keywords: Spent fuel pool, Void fraction, Loss of cooling, Drift velocity, Large diameter 1. 緒 言 東日本大震災とそれに続く福島原子力発電所 の事故が示したとおり、原子炉の安全性を確保す ることは、我が国のみならず世界全体において極 めて重要な課題である。原子炉の過酷事故(シビ アアクシデント)に関連して、福島事故でもその 安全性が懸念された使用済み燃料プール(SFP) の冷却の問題が極めて重要である。使用済み燃料 は、長い期間に亘って大量の発熱をしているため これを適切に冷却しなければ、燃料が溶融破損し て、放射性物質が環境に放出される危険性がある。 特に使用済み燃料プールは原子炉建屋内の格納 容器の外にあるため、一度燃料溶融が起きれば環 境への放射性物質の放出の危険性が大きい。従っ て福島事故以前から使用済み燃料プールの安全 性に関する実験と解析は行われてきた。福島事故 後には世界各国でこれについての研究が精力的 に進められている。通常、使用済み燃料プールで は使用済み燃料の発熱部のはるか上方まで水で 満たされ、燃料プール内の水はポンプにより循環 され、冷却が確保されている。しかしながら、電 源喪失等の事故により、水の循環が行われなくな ったり、事故によって、使用済み燃料プールの一 部が破損し燃料プールの水位が低下した場合に は使用済み燃料の冷却が確保されない可能性が ある。このような場合を想定して、使用済み燃料 プールの熱流動特性に関する実験が系統的かつ 広範な実験条件において実施され、使用済み燃料 プールの安全性を確保する上で極めて有用な実 験結果が得られている。我が国においても原子力 規制庁は使用済み燃料プールの安全性に関する 事業を行い、原子力安全規制のための研究結果を 蓄積している[1]。本研究では、原子力規制庁が実 施した当該の安全研究で得られたボイド率の測 「特集号論文推薦原稿」 混相流 34 巻 1号(2020) 99