• 検索結果がありません。

宮城県総合教育センターH26年度研究報告書(特別支援教育グループ)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "宮城県総合教育センターH26年度研究報告書(特別支援教育グループ)"

Copied!
20
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

特別支援教育 小・中学校における児童生徒への障害理解を推進するための指導の在り方 - 学習ニーズに応じた指導プランの提案を通して - 平成26年度 特別支援教育研究グループ 専門研究員 大和町立大和中学校 我妻 純子 宮城県立名取支援学校 千葉 拓哉 宮城県立金成支援学校 古内 美紀 指導主事 特別支援教育班 西城 長一 特別支援教育班 片岡 明恵 特別支援教育班 加茂 純 教職研修班 大枝 香苗 概 要 国が共生社会1の形成を目指す中,本県では「共に学ぶ教育」の推進を図り,特別支 援学校及び小・中学校等において,障害のある児童生徒と障害のない児童生徒を対象 とし,交流及び共同学習,各教科等を通じて,障害理解教育を実践してきた。本研究 では,これまでの実践を継承しつつ,更に小・中学校における児童生徒への障害理解 を推進するために,文献研究及び調査研究から現状と課題を明らかにし,学習ニーズ に応じた指導プランの提案を試みることで効果的な指導の在り方を探るものである。 1 主題設定の理由 1.1 インクルーシブ教育システム2構築における障害理解 中央教育審議会初等中等教育分科会は 2012 (平成 24)年に「共生社会の形成に向けたインクルーシ ブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」を発表し,「特別支援教育は,共生社会 の形成に向けて,インクルーシブ教育システム構築のために必要不可欠なもの」であると位置付けた。 その中で特別支援教育を発展させるポイントとして,①障害のある子供の教育の充実,②共に学ぶこ とができる配慮,③障害者理解の推進の3点を挙げている。 これらの観点で特別支援教育を推進していくことで,共に学ぶ教育が充実し,障害のある児童生徒 だけでなく全ての児童生徒に良い効果をもたらすことができると述べている。 国の障害理解教育は,交流及び共同学習とその前身である交流教育を中心に推進されてきている。 交流教育は,1971(昭和 46)年告示の特殊教育諸学校小学部・中学部学習指導要領に明記され,特殊 教育の対象となっている障害のある児童生徒と障害のない児童生徒とが,学校教育の一環として活動 を共にする機会が設けられてきた。 また,2004(平成 16)年の障害者基本法の一部改正に伴い,交流教育は教科等のねらいを共有し, 対等の関係で学び合う共同学習の側面が加えられた。 さらに,2007(平成 19)年には,学校教育法等の一部改正により特殊教育から特別支援教育へと転 1 これまで必ずしも十分に社会参加できるような環境になかった障害者等が,積極的に参加・貢献していくことができる社会であり, 誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い,人々が多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会 2 人間の多様性の尊重等の強化,障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ,自由な社会に効果的に参加す ることを可能とするとの目的の下,障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組み

(2)

小・中学校における児童生徒への障害理解を推進するための指導の在り方 換が図られ,通常の学級に在籍する発達障害のある児童生徒及びその可能性のある児童生徒も特別な 支援や配慮を受ける対象として広がった。 このような特別支援教育の充実に向けた流れを受け,交流及び共同学習を基盤とする特別支援教育 を充実していくことは,障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が同じ場で共に学ぶことを追求す るインクルーシブ教育システム構築に向けた重要な方策であると言える。 1.2 宮城県の障害理解教育の取組について 宮城県においては,2005(平成 17)年に「宮城県障害児教育将来構想」が策定され,「障害の有無に よらず全ての子どもが地域の小・中学校で共に学ぶ教育を子どもや保護者の希望を尊重し展開する。」 というインクルーシブ教育の実現を目指す「共に学ぶ教育」の実践が進められてきた。 「共に学ぶ教育」に向けた取組の柱は「居住地校学習推進事業」と「学習支援室システム整備事業」 である。基本理念に沿って「居住地校学習推進事業」は,特別支援学校の児童生徒が居住地の小・中学 校で交流及び共同学習を行う事業として定着し,成果として以下の5点が挙げられている。 ・特別支援学校の児童生徒が小・中学校の児童生徒と共に生き生きと学ぶ姿が見られた。 ・居住地校学習を繰り返す中で,特別支援学校の児童生徒が安心感をもちながら参加できるように なり,小・中学校の児童生徒に教えてもらってうれしそうにする様子が見られた。 ・特別支援学校の児童生徒が,小・中学校の児童生徒に地域の公園や商店等で声を掛けられること があり,地域とのつながりを感じた。 ・小・中学校の児童生徒が,特別支援学校の児童生徒に対して積極的に関わろうとする姿が見られた。 ・事前に障害理解の学習を行うことで,児童生徒の関わりが深まった。 「学習支援室システム整備事業」は,障害のある児童生徒を通常の学級の在籍とし,学習支援室担 当の教員が,個に応じたきめ細やかな指導及び支援を行い,共に学ぶ学習を進める事業である。主な 成果として以下の2点が挙げられている。 ・障害のない児童生徒が障害のある児童生徒への接し方で気遣いを示すなど,関わり合いの中で, 双方に心の成長が見られたこと ・学習支援室担当教員の指導・支援の様子をモデルとすることで,校内の教員全体の特別支援教育 に対する理解と指導力の向上が見られたこと これらの成果から,継続した取組により,児童生徒の関わり方に良い変化が見られたこと,モデル となる教員の児童生徒の実態に応じた関わりが,学校全体の教員の特別支援教育に対する理解や指導 力の向上に影響を及ぼしたことが分かる。 今後は,これまでの「共に学ぶ教育」の成果を生かし,実践されてきた取組を参考にしながら,新 たに答申された「宮城県特別支援教育将来構想」の実現に向けて障害理解を更に推進することが重要 な課題である。 1.3 文献研究及び調査研究を通した障害理解教育について 小・中学校における児童生徒への障害理解を推進するための効果的な指導の在り方を探る手掛かり を得るため,障害理解教育に関する他県における先行研究についての文献研究及び宮城県内の小・中学 校,特別支援学校(抽出校の教員)を対象とした調査研究を行った結果,以下のようなことが明らか になった。 〔文献研究を通して〕 ・障害疑似体験,交流及び共同学習を実施している学校が多いこと ・比較的全ての学年において実施されていること ・国際生活機能分類(ICF)3の考え方が障害理解の推進に生かせること ・障害理解には長期的な視点での指導が必要であること ・障害理解教育には学習内容の組合せが有効であること 〔本県の小・中学校,特別支援学校(抽出校の教員)を対象とした調査を通して〕

3 (International Classification of Functioning, Disability and Health) 2001 年に WHO(世界保健機関)が採択した人の健 康(生活機能と障害)に関する状況を表すための標準的な概念的・言語的枠組み。生活機能と障害の構成要素として,「心身機能・ 身体構造」,「活動」,「参加」の3要素を挙げている。2007 年に ICF-CY(Children and Youth Version 児童版)が出された。

(3)

小・中学校における児童生徒への障害理解を推進するための指導の在り方 ・自閉症・情緒障害,発達障害等の障害について,説明や指導の難しいケースが多いこと ・教員の障害理解教育への意識を高めていくこと ・教員が日々の障害理解教育を充実していくこと これらの結果を中学校(抽出校)における授業実践の結果と合わせて考察し,障害理解を推進する ための効果的な指導の一助となる提案につなげていきたいと考えた。文献研究及び調査研究の詳細に ついては後述する。 2 主題,副題について 文献研究及び調査研究を通して,本研究主題と副題について次ページ図1のように捉えた。 2.1 研究対象「小・中学校」について 小・中学校では多くの学校に特別支援学級が設置されている。このような現状の中,障害のある児 童生徒と障害のない児童生徒が日常の生活の中で,関わり合える環境が整っていると言える。そこで 障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が,自他の違いに気付き始める小学校低学年から,自我を 確立する中学校までの9年間を見据えた継続的な障害理解教育の推進が可能であると考えた。新しい 取組を組み込む視点ではなく,2005(平成 17)年から取り組んできた「共に学ぶ教育」の成果を生か す視点で,無理なく実施できる方法を考えたい。これまでの宮城県での取組である「共に学ぶ教育」 の成果を生かしながら,各学校において,児童生徒の障害に対する理解を深めることと,関わり合お うとする態度や実践力の育成に迫れるものと考える。 障害理解は生涯にわたる経験の中で,それぞれの価値観が深められることで身に付くものとおさえ る。しかし,社会人として必要とされる基礎的な知識や態度を身に付ける義務教育段階において,障 害理解に対する意識を高めておくことは,共生社会の実現に向けた大きな力になると考え,対象を小・ 中学校とした。 2.2 「障害理解」について 中央教育審議会初等中等教育分科会報告(2012(平成 24)年)では,「特別支援教育に関連して, 障害者理解を推進することにより,周囲の人々が,障害のある人や子どもと共に学び合い生きる中で, 公平性を確保しつつ社会の構成員としての基礎を作っていくことが重要である。」と述べている。障 害のない児童生徒が,共生社会の一員として,障害のある児童生徒と共に日常生活に積極的に参加し, 互いに相手の思いを尊重した関わりができることが求められている。 本来,障害理解は,障害のある児童生徒と障害のない児童生徒相互の生活,学習活動を通じて行わ れるものである。そこで,障害理解について,障害の要因や特性を理解し,障害のある児童生徒の良 さや困難さについて考えることを大切にしながら,「障害特性についての理解」と「障害のある児童生 徒に対する理解」の両方を組み合わせて深めていくものと捉えた。 2.3 「障害理解教育」について 障害理解を推進するために取り組まれる障害理解教育は,共生社会の実現に向けて共に学び,互い を認め合い,人間性豊かな児童生徒の育成を目指すものである。障害のない児童生徒と障害のある児 童生徒が共に学ぶ経験を積み重ねることは,児童生徒自身の自己理解を深めることにも通じる。学校 教育においては,既に障害理解に関する教育活動が各教科等の中で行われてきている。交流及び共同 学習,障害疑似体験,各教科等において,人権教育や福祉教育の観点で進められてきた実績がある。 そこで本研究では,各教科等の中で実施されている障害理解に関する指導の観点を捉え直し,小・ 中学校9年間で連続性のあるものとして整理したい。さらに,指導内容を発展的に継続するために, 小学校低学年,小学校中学年,小学校高学年,中学校の四つの発達段階に区切って,目指す児童生徒 像を設定する。各段階で目指す児童生徒像は,各教科等の中で実施されている障害理解に関する指導 の観点を基に総合的に作成する。 これらの内容を計画的に実施するために,小・中学校9年間で取り組む障害理解教育全体計画を示 したいと考える。

(4)

小・中学校における児童生徒への障害理解を推進するための指導の在り方 小学校低学年 小学校中学年 小学校高学年 中学校 互いの良さや違いに 気付き,みんなで助け 合って活動できる児 童 障害について学習し たことを基に,障害の ある人と一緒に活動 できる児童 障害のある人の気持 ちに寄り添って,主体 的に行動できる児童 障害のある人の立場 に立って,自分の関わ り方や,環境の改善に ついて考え,行動でき る生徒 目指す児童生徒像 図1 主題,副題の捉え 障害理解教育の 主な現状 研究課題 研究課題解決の 内容と方法 目指す児 童生徒像 目的

研 究 目 標

各 教 科 等 に 教 育 内 容 が 内 包 単 発 的 な 指 導 日 々 の 指 導 の 困 難 さ の 改 善 と 指 導 の 充 実 学 校 全 体 で の 指 導 実 践 計 画 的 ・ 継 続 的 な 指 導 実 践 中学校 小学校 高学年 小学校 中学年 小学校 低学年

学習 ニーズに 応 じた 指導 プランの 提案 就 学 前

高等学校 大学・ 社会人 共 に 学 び 、 互 い を 認 め 合 い 、 人 間 性 豊 か な 児 童 生 徒 の 育 成 日 常 的 な 意 識 付 け に よ る 実 践 的 態 度 の 育 成 既 存 の 内 容 と 各 教 科 等 を 関 連 付 け た 全 体 計 画 補充・深化 推進

(5)

2.4 「学習ニーズに応じた指導プラン」について これまで進められてきた障害理解教育は,障害のある児童生徒への指導の充実に重点が置かれてき た経緯がある。しかし,これからは障害のある児童生徒も障害のない児童生徒も「共に学ぶ」という 対等の関係で学び合いを深めていくことが求められている。 特別支援教育の対象が広がったことと,交流及び共同学習の積極的な実施が進むにつれ,教員が感 じる指導に対する困難さの解決が課題になっているとも言える。 そこで,学習ニーズに応じた指導プランを示し,特別支援教育の充実に向けた活用を提案したいと 考える。障害のある児童生徒の実態及び学級の状況に応じて,障害のある児童生徒への支援の充実を 基本としながら,学級の児童生徒全体への障害理解を推進していくための実践例を示したい。 指導実践を進めるに当たり,基盤となるのは障害理解教育全体計画(試案:以下試案は省略)であ る。障害理解教育を学校の教育活動全体を通じて,計画的・継続的に指導していくために,全体の流 れを把握できるようにする必要がある。各学校において進められてきた障害理解に関する実践を含め, 小・中学校9年間を見据えて各教科等で扱う障害理解に関する学習内容を一覧にまとめ,指導の観点 表(試案:以下試案は省略)を作成する。更に,児童生徒の実態及び学級の状況に応じ,障害のある 児童生徒への支援を前提としながら,学級集団の中で児童生徒が互いの良さや違いを認め,支え合い, 学び合えるようになるための具体例を「学習ニーズに応じた指導プラン」として示す。 障害理解について,各教科等での学習に併せ,日常的に考えることができる機会を設定し,障害を 身近なこととして捉える知識と実践的態度を育んでいきたいと考える。 3 研究目標 小・中学校における障害理解教育の現状と課題について,文献研究及び調査研究,授業実践から把 握し,教員が学習ニーズに応じて活用できる障害理解を推進するための指導プランを提案する。 4 研究内容と方法 4.1 研究構想図 (別紙1) 4.2 文献研究 本研究テーマに迫るため,先行研究に関する文献研究を行い,障害理解を推進するための指導の在 り方を探る手掛かりを得るために活用する。 4.3 調査研究 宮城県内の小・中学校及び特別支援学校(抽出校)を対象に,障害理解教育の現状や課題について アンケート調査を実施し,結果と考察をまとめ,障害理解を推進するために必要と思われる指導の在 り方の提案に活用する。 4.4 指導プランの作成と提案 本研究における指導プランは,これまで行われてきた障害理解教育を継承し,学校全体で計画的・ 継続的に実施していくことを可能にするための指導プランである。活用することにより,小・中学校 における児童生徒の障害理解を推進することが期待できるように作成する。 その内容は以下の二つで構成する。 (1) 障害理解教育全体計画 ・小・中学校9年間を見据え,各教科等で扱う障害理解に関する学習内容を関連付けて,学校教育活 動全体で継続的に学習指導を進めるための全体計画 ・各教科等における障害理解に関する指導の観点表 (2) 学習ニーズに応じた指導のポイント及び実践例 ・障害理解教育全体計画を活用し,学校全体で計画的・継続的に指導実践するための補助資料 ・県内の教員が指導に困難さを感じる障害を取り上げた指導の実践例 指導の実践例については,児童生徒及び学級の状況を仮想の例で示し,指導の流れを示したい。

(6)

本指導プランは,日々の児童生徒の指導や教員相互の共通理解に活用し,各学校がこれまでの実践 を生かし,実状に応じて全体計画の作成や各教科等における指導の充実を図りながら,障害理解を推 進できるようにするために提案する。 5 実践研究の実際 5.1 文献研究の概要 5.1.1 障害理解教育の変遷について 1979(昭和 54)年,養護学校義務制の実施を契機に,文部省によって「心身障害児理解・認識推進 事業」が策定され,小・中学校の教員等に心身障害児に対する正しい理解と認識を深めるための手引 き書が配布されるなど,交流教育は進められた。 また,心身障害児理解推進校として,各都道府県の小・中学校が指定され,盲・聾・養護学校との 交流の在り方の実践研究が行われた。その後も手引き書の配布と文部省の研究協力校の取組は継続さ れ,当初は障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が学習の場を共にするだけだったものが,相互 理解を深められる活動へと発展してきた。 福祉教育の分野では,1977(昭和 52)年,国庫補助事業による「学童・生徒のボランティア活動普 及事業」が始まった。この事業は,障害者等との交流体験などの福祉体験活動を中心に,ボランティ ア活動を進めることで,児童生徒が様々な人々を自然に受け入れ,交流できる態度や福祉への関心を 高めることを目的に実施された。この流れを受けて,1989(平成元)年の学習指導要領改訂により, 福祉教育が盛り込まれた。さらに,2002(平成 14)年の総合的な学習の時間の導入により,一層福祉 教育の推進が図られ,その一分野として障害理解が取り上げられている。 人権教育の分野では,2002(平成 14)年に閣議決定された人権教育・啓発に関する基本計画に各人 権課題に対する取組として「障害者」が取り上げられている。人権教育は,学校教育において,各教 科,道徳,特別活動,総合的な学習の時間それぞれの特質に応じ,教育活動全体を通じて推進される ものとされ,不平等や差別の解消に努めるために重要な内容である。 障害の捉え方については,2001(平成 13)年に世界保健機関(WHO)が国際生活機能分類(IC F)を発表した。文部科学省は 2009(平成 21)年に特別支援学校学習指導要領解説自立活動編におい て,障害の捉え方の変化について説明し,「障害による学習上または生活上の困難」についてICF との関連で捉える必要性を述べている。そして,ICFの視点で捉えるとは「個々の幼児児童生徒の 実態に応じて環境を整えつつ,指導内容・方法の創意工夫に努め,幼児児童生徒の自立と社会参加の 質の向上につながる指導を進めること」と述べている。現在,ICFは児童生徒の実態把握や支援プ ログラム立案等のツールとして,広く活用されている。 以上のことから,障害理解については,これまでも,学校教育活動を通じ,いろいろな機会を通し て学習してきた経緯があり,現在も,各教科等に内包されていることが分かった。 5.1.2 障害理解教育の先行研究について 今枝他(2013)4はO市の小・中学校における障害理解教育の実施状況について調査し,次の3点に ついて明らかにした。 (1) 障害疑似体験,交流及び共同学習を実施している学校が多いこと (2) 障害理解教育を実施している教科・領域では総合的な学習の時間が多く,各教科における実施は 少ないこと(総合的な学習の時間の減少に伴い,今後は各教科との連携が重要) (3) 視覚障害では障害疑似体験が多く,知的障害では在籍児童生徒の説明が多いなど,障害種別で, 実施内容に違いがあること 4 今枝史雄,楠敬太,金森裕治:「通常の小・中学校における障害理解教育の実態に関する研究(第Ⅰ報)―実施状況及び教員の意 識に関する調査を通して―」,「通常の小・中学校における障害理解教育の実態に関する研究(第Ⅱ報)―障害種別に見る実施状況 の分析を通して―」

(7)

堤他(2009) 5は,S市の小学校における障害理解教育の実施状況について調査し,次の2点につ いて明らかにした。 (1) 学校によって障害理解教育の取組に違いがあり,複数の内容を計画的に取り組んでいる学校があ る一方,いくつかの内容を学年で単発的に取り組んでいる学校もあること (2) 絵本等の読書教材やビデオ教材等について半数程度の学校が取り組んでおり,系統的な教材選択 と活用が必要であること 楠他(2012)6 は,小学校における障害理解教育の系統的プログラムを実践し,学習したことを社 会での般化につなげるため,長期的な視点で児童生徒に障害理解を伝えていく必要性があることを明 らかにした。 5.1.3 文献研究の結果と考察 文献研究の結果から,以下のことが明らかになった。 障害理解教育の実施状況については,交流及び共同学習,福祉教育,人権教育等をテーマとして 多岐にわたっており,学習の対象もあらゆる学年で行われている。その学習に当たっては障害疑似 体験や読書教材,ビデオ教材などを扱いながら,工夫された取組が展開されている。 一方,それらの多くは単発での指導になりがちであることから,障害理解教育でよりよい効果を 上げるためには下記の内容が有効であることが分かった。 ・学習内容の理解を深める方法の組合せ ・学んだことを社会生活での般化につなげるため,長期的な視点で児童生徒に障害理解を進めて いくこと 以上のことから,障害理解を推進するための指導の在り方について,以下の2点を吟味し,具体 化していきたいと考えた。 (1) 長期的な視点をもち,障害理解教育を計画的に継続して実践できるようにしていくこと (2) 各教科等における,障害理解教育に関わる内容を把握すること 5.2 調査研究の概要 5.2.1 目的 調査Ⅰ:障害理解教育の現状と課題の把握 調査Ⅱ:県立特別支援学校における居住地校学習の現状と課題の把握 センター的機能を通した障害理解教育の現状と課題の把握 5.2.2 対象及び調査期間 調査Ⅰ:(1) 総合教育センター10 年経験者研修対象の小・中学校の学級担任(通常の学級) [8月 19 日(火)] (2) 平成 25 年度にK支援学校及びN支援学校と交流及び共同学習を行った小・中学校(19 校)の学級担任(通常の学級)及び特別支援教育コーディネーター(以下コーディネー ター) [8月 26 日(火)~9月 17 日(水)] 調査Ⅱ:小・中学部を設置している全ての県立特別支援学校(19 校)のコーディネーター [8月 26 日(火)~9月 17 日(水)] 5.2.3 調査方法及び回答方法 調査方法は,アンケート用紙による記述回答とする。 回答方法は,選択肢法と自由記述とした。 5.2.4 調査研究の結果 調査により 400 名から回答を得られた。調査対象の内訳は次のとおりである。 (1) 小・中学校の学級担任(小 226 名・中 126 名) 5 堤佳弘,今枝史雄,山本壮則,金森裕治:障がい理解学習の現状と実践的課題についての基礎的研究-通常の学級における授業 実践についての報告Ⅱ- 6 楠敬太,金森裕治,今枝史雄:児童の発達段階に応じた系統的な障害理解教育に関する実践的研究-教育と福祉の連携を通して-

(8)

(2) 小・中学校のコーディネーター(小 10 名・中9名) (3) 特別支援学校のコーディネーター(29 名) 5.2.4.1 障害理解教育の実施状況につ いて 障害理解に関する教育について小・中学校の 学級担任が最も多く実践している内容は「福祉 体験や疑似体験」であり,小・中学校のコーデ ィネーターでは,「障害特性の理解」であった。 しかし,両者ともに,「障害特性の理解」,「思 いやりの心の育成」,「福祉体験や疑似体験」,「障 害のある人の接し方」の4項目については,40% 以上の回答があり,小・中学校において障害理 解教育は幅広い内容で行われていると言える (図2:複数回答)。 障害理解教育の指導時数に関する回答では, 一つの指導内容につき「1~2時間」が最も高く, 全体の過半数を占めた。次いで,「2~5時間」 であった(図3)。 障害理解教育の教育課程上の位置付けに関す る回答は,「時間を特定して編成」が最も高く, 次いで,「必要に応じて指導」であった(図4)。 これらの結果から,小・中学校では,「福祉体 験や疑似体験」を中心に幅広い内容で障害理解 教育の実践が行われていることが明らかになっ た。 また,実践においては,時間を特定して編成 した単発的な指導や,教員が必要に応じて行う 指導が多いことが推察されるので,更に障害理 解を推進していくためには,各教科を関連付け た指導や,日常における日々の指導と関連付け て,指導を継続していく必要があるのではない かと考えた。 学級担任が,障害理解教育を実践している中 で説明や指導が難しいとの回答は,「自閉症・情 緒障害」と「発達障害」が高く,次いで,「知的 障害」であった(図5:複数回答)。これらの3 障害が難しい理由としては,自由記述の内容か ら,周囲の児童生徒へ障害特性を説明すること の難しさと,説明や体験により十分に理解が深 まらなかった場合に,障害のある児童生徒に対 する差別や偏見につながる心配があることが多 く挙げられた(次ページ表1)。これらの障害に ついては,説明や指導の困難さを感じている教 員が多いことから,特に指導の充実が求められ ている状況にあることが分かった。 0 20 40 60 80 100 障害特性の理解 思いやりの心の育成 福祉体験や疑似体験 障害のある人の社会的立場 障害のある人への接し方 その他 実践したことがない (%) 小学校 中学校 小中コーディネーター 図2 これまで実践したことのある障害理解教育 図3 障害理解教育の指導時数 56% 26% 10% 2%3% 3% 1~2時間 2~5時間 5~10時間 10~15時間 15時間以上 その他 図4 障害理解教育の教育課程上への位置付け 40% 39% 19% 2% 時間を特定して編成 必要に応じて指導 継続的に編成 その他 図5 説明や指導が難しい障害種 0 10 20 30 40 肢体不自由 視覚障害 聴覚障害 病弱・虚弱 知的障害 自閉症・情緒障害 言語障害 発達障害 (%) 小学校 中学校

(9)

図7 教員の意識や実践力を高めるために必要なこと 0 20 40 60 80 100 児童生徒の的確な実態把握 ニーズに応じた授業実践 ケース会議 校内研修 その他 (%) 小学校 中学校 小中コーディネーター 特支コーディネーター 5.2.4.2 障害理解教育を推進してい く上での課題について 障害理解教育を推進していく上での課題に ついての回答では,小・中学校の学級担任は 「児童生徒同士の障害理解」が最も高く,コ ーディネーターは「教員の意識や実践力」が 最も高かった(図6)。教員の意識や実践力を 高めるために必要なことについての回答では, 「児童生徒の的確な実態把握」,「ニーズに応 じた授業実践」,「ケース会議」について,学 級担任,コーディネーターともに高く,日々 の指導実践に必要とされる内容を重要視して いることが分かった。それに加えて,コーデ ィネーターは,校内研修への回答も高く,障 害理解教育について更に研修を深めることに より,一層の指導の充実が図れると考えてい ることが分かった(図7:複数回答)。 5.2.4.3 調査結果の結果と考察 調査の結果から,障害理解教育については 小・中学校において幅広い内容で行われ,学 級担任,コーディネーターともに児童生徒へ の日々の指導の困難さの改善と指導の充実を 考えている。このことから,これまでの障害 理解教育の取組を継承しつつ,各教科等にお ける教育内容や教育活動全体を通した指導, 校内支援委員会やケース会議の在り方等を工 夫,改善し,効果的な指導の方策を検討して いく必要があると考えた。さらに,複数の教 員で情報を共有しつつ,共通理解して指導に 当たる必要があると考えた。 5.3 授業実践の概要 目的: T中学校(抽出校)の,1年A組において,障害理解に関する授業を行い,学習指導にお ける有効な手立てや課題を探り,その成果と課題を「指導プラン」の作成に生かす。 5.3.1 授業実践Ⅰ (1) 日時 平成 26 年 11 月7日(金) 2校時 (2) 授業の概要 障害名 説明や指導が難しい理由 知的障害 ・外見上,通常の学級の児童生徒と変わらず,理解できにくい場合がある。 ・きちんと説明したつもりでも,障害名を聞くとマイナスな発言をする児童生 徒がいる。 自閉症・情緒障害 ・一人一人の障害の特徴が様々で説明に迷う。 ・説明すると学級にいる特定の児童生徒が連想されてしまう。 発達障害 ・頑張っているのに困難なことや発達のアンバランスについて説明に迷う。 ・本人に自覚がなかったり,周囲に知らせていなかったりするケースがある。 表1 説明や指導が難しい理由(記述内容より抜粋) 図6 障害理解教育を推進していく上での課題 0 20 40 60 児童生徒同士の障害理解 教員の意識や実践力 学校での障害理解教育 教育環境や指導体制 保護者への啓発 学校間や地域での推進 その他 小学校 中学校 小中コーディネーター 特支コーディネーター(%)

(10)

文献研究における指導実践例を参考とし,肢体不自由のある人の困難さや心情を理解して,支えよ うとする態度を育むことをねらいとした。 (3) 授業の考察 1時間の授業では,生徒の障害のある人に対する感想を引き出すことはできたが,困難さや心情を 理解して支えようとする態度を育むことは難しかった。今後,生徒の障害理解を深めるためには,障 害理解に関わる各教科等の指導内容の取り扱いや指導方法等を工夫,改善し,計画的な指導を積み重 ねていくことが必要であると考えた。 5.3.2 授業実践Ⅱ (1) 日時 平成 26 年 11 月 18 日(火) 2校時 (2) 授業の概要 調査研究において,障害理解教育で指導の難しさがあり,T中学校で最もニーズの高い発達障害(A DHD)のある人の理解について,困難さや心情等に関する話合いを通して,障害に対する理解や支 えようとする意識を高めることをねらいとした。 (3) 授業の考察 障害のある人の思いに対する生徒相互の意見交換はできたが,障害理解を深めることは難しかった。 障害理解を深めていくためには生徒自身が学んだことを振り返り,日常生活において,自ら思考,判 断し,行動できる力を身に付けられるよう,見通しをもった継続的な指導が必要であると考えた。 5.3.3 授業実践の考察 授業実践を通して,計画的,継続的な指導により,徐々に障害理解を深めていく必要があると考え た。そのためには,特設した 1 時間の授業を生かし,各教科等における指導と関連付けた実践が必要 であり,授業で学んだことを実際の生活に生かせるよう,日々の生活場面において,繰り返し障害理 解について考える学習経験が必要であると考えた。 5.4 文献研究及び調査研究,授業実践の結果と考察から 文献研究及び調査研究,授業実践の結果と考察から,小・中学校における児童生徒の障害理解の推進 に必要な視点を以下のように押さえた。 〔文献研究から〕 ・複数の指導内容を組み合わせ,長期的な視点をもって障害理解教育を実施すること 〔調査研究から〕 ・複数の教員で児童生徒の情報を共有し,共通理解して指導に当たるとともに,校内支援委員会や ケース会議の在り方等を工夫,改善していくこと 〔授業実践から〕 ・特設した 1 時間の授業を生かし,授業で学んだことを実際の生活に生かせるよう,日々の生活 場面において,繰り返し障害理解について考える学習経験が必要であること 以上のことから,小・中学校における児童生徒の障害理解を推進するためには,小・中学校9年間を 見据え長期的視点をもち,これまでの障害理解教育の取組と各教科等で扱われている障害理解に関す る指導を関連付けて指導する必要があると考えた。学年を超えた縦のつながりと,各教科等を超えて 学校教育活動全体で指導するための横のつながりを大切にし,教員一人一人が共通理解して指導に当 たるためには,障害理解教育の全体計画が必要である。また,各教科等に含まれる障害理解に関する 指導の観点を把握し,計画的に指導するための観点表も必要になる。さらに,日常生活においても, 繰り返し障害理解について考える学習経験を設定することで,計画的,継続的な障害理解の指導が可 能になると考えた。 5.5 指導プランの作成 5.5.1 指導プランの構成 本指導プランは,児童生徒の障害理解を推進するため,小・中学校9年間を見据え,学校全体で計画 的・継続的な障害理解教育の実践を目指すために活用できるようにするものであり,表2に示した内 容で構成する。

(11)

5.5.2 指導プランの活用について 本指導プランは小・中学校の9年間を見据えた「障害理解教育全体計画」を基盤とするものである。 教員が「障害理解教育全体計画」と併せ「障害理解に関する指導の観点表」「指導のポイント及び実践 例」を活用することにより,共に学び,互いを認め合う人間性豊かな児童生徒の育成を目指すもので ある。本指導プランを活用することにより,教員は各教科等における障害理解に関する学習を計画的 表2 指導プランの構成について(概要) 目 的 児童生徒の障害理解を推進するため,小・中学校9年間を見据え,学校全体 で計画的・継続的な障害理解教育の実践を目指すために活用できるようにす る。 章 内 容 1 障害理解教育 に当たって 1 障害理解教育に当たって 2 障害理解教育のために (1)障害理解と障害理解教育について (2)ICFの視点による障害の捉え方について (3)障害者理解のための実態把握の大切さ (4)障害特性についての知識・理解の大切さ 3 学校全体での取組 2 学習ニーズに 応じた指導につ いて 1 障害理解教育全体計画 (1)小・中学校9年間を見据えて取り組むための障害理解教育全体計画 (2)小・中学校における障害理解教育全体計画 ① 小学校の例 ② 中学校の例 (3)障害理解教育の補充・深化について ① 「各教科に含まれる障害理解に関する学習内容」 ② 「日常生活において継続的に取り組む障害理解教育」 (4)各学校の障害理解教育の推進に向けて ① 「なぜ,障害理解教育全体計画が必要ですか?」 ② 「各学校に応じた障害理解教育全体計画を作成してみませんか!」 ③ 「障害理解教育全体計画作成の手順」(小学校の例) (5)「障害理解に関する指導の観点表」 ① 小学校低学年 ② 小学校中学年 ③ 小学校高学年 ④ 中学校 2 学習ニーズに応じた指導のポイント及び実践例 (1)障害理解の基本となる共に学ぶ学級づくりのために (2)指導のポイント及び実践例 事例1:Aさん(ADHD)が学級で安心して過ごせるようになるために (小学校第3学年 男子) 事例2:Bさん(ADHD)が学習意欲を高めて進路に希望をもてるようにな るために (中学校第3学年 女子) 事例3:Cさん(高機能自閉症)が学級で仲間と共に過ごす心地良さを感 じられるようになるために (中学校第1学年 男子 通級指導教室) 事例4:Dさん(言語障害)が学級でみんなと仲良く生活できるようにな るために (小学校第2学年 女子 通級指導教室) 事例5:特別支援学校のEさん(知的障害)との交流及び共同学習 (小学校第6学年 男子) 事例6:特別支援学級のFさん(聴覚障害)との交流及び共同学習 (小学校第1学年 女子)

(12)

図8 9年間を見据えた障害理解教育全体計画 に進め,障害理解の根底となる基礎的な知識 を児童生徒に身に付けられるようにすること ができると考える。また,日常生活において も,障害のある児童生徒の実態及び学級の状 況等に応じ,障害理解を進めるための心や態 度を育む機会を継続的に設定する。各教科等 で学ぶ学習と,日常的に障害のある友達と接 したり,障害について考え疑似体験したりす る活動を両輪として進めることを大事にした い。その中で,児童生徒一人一人が自分なり の障害観を深めたり,問い直し見つめ直した りできるようにする。そして,将来に向けて, 児童生徒一人一人の障害観を育み,深め,実 践的な態度につながるように指導プランを作 成する。 「障害理解教育全体計画」,「障害理解に関 する指導の観点表」,「指導のポイント及び実 践例」の活用は下記のように考える。 (1) 「障害理解教育全体計画」で,発達段階 ごとの目指す児童生徒像を把握する。 (2) 「障害理解に関する指導の観点表」で, 各教科等に含まれる障害理解に関する指導の 観点を把握する。 (3) 「指導のポイント及び実践例」で,障害 のある児童生徒の実態把握と,個と学級集団 に対する支援の2点を示す。障害は異なるが, ここに示した例から目の前の学級に応じた指 導を工夫し,展開できるようにする。 これらの流れを積み重ねながら,各学校の 取組を蓄積することができれば,学校や地域 の特性を生かした学校独自の障害理解教育の 推進を深めることにつながるのではないかと考える。 5.5.3 指導プラン活用の実際 (1) 小・中学校9年間を見据えて取り組む障害理解教育 本研究における障害理解教育全体計画は,小・中学校9年間を見据え実施するものである(図8)。 これまで実践されてきた障害理解教育の取組や各教科等で扱われている障害理解に関する内容を関 連付けて進める「各教科等に含まれる障害理解に関する学習内容」と,障害を身近なこととして実際 的に考えるための「日常生活において継続的に取り組む障害理解教育」を併せて進めることにより, 目指す児童生徒像の具現化に迫る。 障害理解教育全体計画は,小・中学校における障害理解教育の補充・深化を図り,9年間の教育活動 を積み重ねていくことで,児童生徒の障害理解の根底となる知識や態度の育成に迫るために活用する ものである。(図8:詳細は別紙2参照)。 将来的に目指したい「共に学び,互いを認め合い,人間性豊かな児童生徒」を育むために,目指す 児童生徒像を設定した。障害理解は児童生徒の生活年齢や学習経験を重ねることによって深まってい くものと考え,四つの段階に分けている。「小学校低学年」「小学校中学年」「小学校高学年」「中 学校」の四つである。目指す児童生徒像の設定に当たっては,各教科等に含まれる障害理解に関する 学習内容を洗い出し,障害理解に関する指導の観点表(次ページ図9)を作成した上で,発達段階を 加味して設定している。

(13)

小学校低学年は,障害を意識する前段階 である。低学年は「友達と仲良く助け合っ て活動する中で,友達の良さや自分と友達 の違いに気付く段階」と捉えた。 小学校中学年は,障害に関する学習内容 があり,障害について考え始める時期であ る。発達段階としては,仲間との関係や自 分自身への認識が深まる時期であり「障害 について学習したことを基に,友達と自分 との関係について考え,一緒に活動行動で きるようになる段階」と捉えた。 小学校高学年は福祉体験やボランティア 体験などの体験的な学習の中で,社会的な 視点から障害や人権について考える学習が 始まる。そして学級や学校の中で自分の役 割を意識し,役に立つ自分を考え始める時 期でもある。そこで「障害のある人の気持 ちに寄り添って,主体的に行動できるよう になる段階」と捉えた。 中学校は各教科等の中で,様々な視点か ら障害や社会の在り方について学ぶ時期で あり,それらの学習を参考にしながら自分 の生き方について考え始める時期である。 そこで「障害のある人の立場に立って,自分の関わり方や環境の改善について考え,行動できる段階」 と捉えた。 各段階において,目指す児童生徒像を具現化するように指導を進めていくことが,学習したことを 生かして障害観を育む素地となり,障害を身近なこととして繰り返し考える機会を得ることができる と考えた。さらに,学年が上がるにつれて,学ぶ内容や考え方が深まることになると考えた。 (2)各教科等に含まれる障害理解に関する学習内容 これまで宮城県では全国に先駆けて,様々な形で障害理解教育に取り組んできた経緯がある。交流 及び共同学習についても学校間交流を始め,学校の教育活動に根付いてきている。また,各教科等の 学習内容にも障害理解に関する内容が多く含まれていることが分かっている。 しかし調査研究の結果によれば,障害理解に関わる学習に継続的に取り組む必要性を考えている教 員が多いことが分かった。そこで学校教育活動全体を通じて更なる障害理解教育を推進するために, 各教科等に含まれる障害理解に関する学習内容を洗い出し,障害理解に関する指導の観点を一覧表に まとめた(図9)。 この障害理解に関する指導の観点表(図9)を活用することにより,学年ごとに学習する内容を確 認したり,学習内容の系統性を意識したりして指導することが可能になる。そして障害理解教育全体 計画に示す目指す児童生徒像の具現化に迫る方向性を確認することができる。 また,障害理解教育全体計画と障害理解に関する指導の観点表を併せて活用することで,これまで 数時間の特設で実施されてきた障害理解教育の取組と,各教科等で扱われている障害理解に関する学 習を関連付け,継続的発展的な学習を可能にすることもできる。 児童生徒に身に付けて欲しい内容を,教科の枠を超えて1年間でつなぐことと,小学校から中学校 までの9年間の学習を積み重ねていくことにより,より深く互いを認め合うこと,及び障害を自分に 関することとして身近に具体的に考えていけるようになるものと考える。内容の系統性,目指す児童 生徒像を把握しておくことは,教員が教えるべき内容をより具体化してイメージすることに役立つこ とになると考える。 図9 障害理解教育に関する指導の観点表

(14)

(3) 日常生活において継続的に取り組む障害理解教育 前述の各教科等に含まれる障害理解に関 する学習内容に加え,日常生活において障 害を身近なこととして実際的に考えるため の教育活動が重要になると考えた。 このことは先行研究で,重要視されてい た。児童生徒の障害理解は,数時間の疑似 体験やキャップハンディの活動,学校間交 流の体験だけでは困難であることが指摘さ れている。 学んだことを日常生活の中で実践しよう とする態度を育成するためには,各教科等 の中で学習したことを基に,日常生活の中 で継続的に障害のある人の気持ちに触れた り,障害について考えたり,疑似体験した りする機会と内容を繰り返し設定すること で効果的な成果が得られることが先行研究 から明らかになった。 そこで,各教科等で学習したことを基に, 日常生活において継続的に取り組む障害理 解教育の例を図 10 に示した。 小・中学校においては,特別支援教育の充 実と共に様々な学級の状況が見られるよう になった。通常の学級の中で発達障害の児 童生徒が共に学んだり,LD等通級指導教 室と通常の学級の両方の場で学ぶ児童生徒がいたり,特別支援学級に在籍しながら交流及び共同学習 で学んだり,様々な学習の場を活用し,学びやすい方法で一人一人の学習が保障されるようになって きている。このことを受けて,小・中学校の学級の状況に応じて何をどのように組み合わせて進める ことが可能か,指導展開例を提案したいと考えた。児童生徒が障害を身近なこととして捉えるために も,身近な環境の中で自分にできることを考えていくことが最も適切であろうと考える。 更に新たな教育活動を組み込むことには,教育課程の見直し等,調整や整理の困難さが伴うが,朝 の会や帰りの会または休み時間等,担任の工夫により展開できる場面に短時間でできることを組み込 めば,日常生活において継続的に取り組む障害理解教育は可能になると考えた。 (4) 学習ニーズに応じた指導プランの6事例について 本指導プランでは,調査研究から県内の教員が指導に困難さを感じている発達障害,自閉症,知的 障害の児童生徒が在籍する学級のケースを中心に取り上げることにした。 発達障害ではADHDの2事例を取り上げた。ADHDの障害による行動の困難さは,小学校段階 と中学校段階では変化が見られることが多い。小学校段階では多動性や衝動性が目立つのに対して, 中学生段階では多動性が目立たなくなり反対に不注意が目立ってきたり,目立つ行動が少なくなるこ とによって,本人が抱える困難さが周囲に気付かれにくくなったりする等,新たな指導の難しさが表 れる。このことからADHDについて小学校3年生と中学校3年生の事例を挙げた。 通級指導教室で学ぶ児童生徒の事例としては,高機能自閉症を挙げた。学習面での遅れがないこと から,社会性の問題が大きく目立つ。また学年が上がるにつれて,集団の中で生活することが難しく なるケースも多い。進路指導も含め自己肯定感を低下させず支援することが重要なケースである。 さらに通級指導教室において小学校低学年では言語通級をしている児童が多いことから言語障害を 挙げている。 図 10 日常生活において継続的に取り組む障害理 解教育の例

(15)

知的障害については,宮城県内で定着してきている居住地校学習を事例として特別支援学校の児童 生徒と小・中学校との交流及び共同学習を挙げた。 特別支援学級で学ぶ児童生徒の事例は,コミュニケーションを取ることの難しさから支援が難しい 聴覚障害を挙げた。 事例1:Aさん(ADHD)が学級で安心して過ごせるようになるために 事例2:Bさん(ADHD)が学習意欲を高めて進路に希望をもてるようになるために 事例3:Cさん(高機能自閉症)が学級で仲間と共に過ごす心地よさを感じられるようになるために 事例4:Dさん(言語障害)が学級でみんなと仲良く生活できるようになるために 事例5:特別支援学校のEさん(知的障害)との交流及び共同学習 事例6:特別支援学級のFさん(聴覚障害)との交流及び共同学習 (5) 指導プランの活用の仕方 学習ニーズの把握に当たっては,障害のある児童生徒が学級集団の中でどのような関係にあるのか といった視点で学級の状況を捉える(①)。次に,障害のある児童生徒の実態を捉える(②)のだが, 行動面だけから捉えるとマイナス面が目立ってしまうので,問題行動の背景を障害特性(③)から読 み解き,児童の実態を捉え直す必要がある(④)。これにより障害のある児童生徒の困難さや思いを捉 えた個への支援(⑤)へつながる。さらに,支援のポイント(⑥)から,集団内の児童生徒への見方 や接し方をプラス方向に変えるためのヒントをつかむことができる(図 11・12)。 実態の捉 え直し④ 個への 支援⑤ 支援のポイント⑥ 図 11 学級の状況と児童生徒の実態・障害特性 学級の状況① 障害のある 児童の実態 (行動面の 捉え)② ADHDの 障害特性③ 図 12 実態の捉え直しと個への支援

(16)

集団への指導(⑦)と集団の中での個への支援(⑧)は同時に関連付けながら行うことで,共に学 びながら互いを理解することにつなげることができると考える。つまりは,障害のある児童生徒本人 だけではなく,同時に集団への指導を行うことで,学級全体への障害理解を深めることができると考 えた(図 13)。 さらに,障害理解教育と各教科等との関連や,日々の活動の中で機を捉えて指導するポイントとし て学習ニーズに応じた補充・深化の具体的な事例(⑨)を示した。その中で,重点的に指導している 学級のルールづくりに関する指導や障害のある児童生徒も含めて一人一人の良さを生かす活動等を, 日々の学級経営の中に入れていくようにする。これらの日常における指導を繰り返すことにより,児 童生徒は学級のルールや友達の良さなどについて,繰り返し考える機会をもつことができ,障害理解 に関する実践的態度を身に付けることができると考えた(図 14)。 調査の結果から,以上のような視点をもちながら,指導に難しさを感じている事例1から6の中で 解説している集団や個への指導を参考とすることで,実際の学級の状況に応じた指導のポイントを考 える際に役立てられるのではないかと考えた。さらに,個から集団へと指導を広げていく流れの中で, 教員同士の共通理解も深め,学校全体での障害理解教育へとつなげていきたい。 5.5.4 各学校における障害理解教育の推進に向けて 各学校において,各教科等の指導で障害理解教育は実践されており,その多くが学級担任を中心に, 学級集団等の状況を鑑みた指導に取り組まれている。そして,その成果を生かしながら継続した指導 を続けたり,学校全体へ障害理解教育の取組を広げたりすることに可能性を感じている。さらに,日々 の指導を充実させるとともに,小・中学校9年間を見据えて計画的・継続的に指導することが大事で あると考える。 集団に おける 個の 支援⑧ 集団 への 指導 ⑦ 図 13 集団での指導及び個への支援 図 14 学習ニーズに応じた日常的な指導のポイント 学習ニーズに応じた補充・深化⑨

(17)

今後,各校のこれまでの取組を基に,本指導プランを活用することで,各学校独自の障害理解教育 の推進を全校で考える一助になることを願い,自校化へのポイントについて,以下に述べる。 (1) 人権教育,福祉教育等の教育計画を生かして障害理解教育全体計画を作成する場合 これまで実践してきた学校 独自の内容を参考にし,障害 理解に関する取組を選択して, 障害理解教育全体計画に加え る。各教科等で扱う内容は本 プランの障害理解に関する指 導の観点表と照らし合わせて 作成する。具体的な作成の手 順は図 15 に示す。 (2) 障害理解教育全体計画作 成後,日常的な意識付けを図 る場合 全体計画に沿った指導実践 を見据え,障害理解教育に関 する内容について各教科等と の関連付けを明確にする。ま た,学習ニーズに応じた日常 的な意識付けについて確認し, 学級の状況に応じてどの機会 に指導するかを具体化する。 実践と評価を行いながら,必 要に応じて全体指導計画の改 善を行う。 (3) 支援のツールとして活用 する場合 校内支援委員会は,管理職 やコーディネーター,養護教 諭等が参加し,障害理解教育 を学校全体で推進するために 重要な役割を果たしている。 障害理解の推進について話し 合い,職員への障害理解教育 実施の周知や職員研修の仕方 等について方針を決めること ができれば,スムーズに学校 全体の体制を整えることがで きるのではないかと思われる。 ケース会議では,本人及び周 囲の児童生徒への具体的な支 援と指導について話し合う際 に,本指導プランが役立てら れるのではないかと考えた。 学習ニーズに応じた活用と 全校での体制整備との両面から働き掛けることが理想である。 図 15 小学校における障害理解教育全体計画の作成手順 <作成の手順> ①学校教育目標 の 実 現 に 向 け ,障 害 理 解 教 育で 取 り 組 む 課題 を 明 確 に し, 目 標 を 立てる。 ②各教科等の目 標 を基 に , 児 童 生徒 の 発 達 段 階 に 応 じ て ,障 害 理 解 教 育に お け る 目 指す 児 童 生 徒 像を 設 定 す る。 *中学校は, 学 年を 通 し て 共通 ③目指す児童生 徒 像を 基 に , 学 級経 営 に お け る重 点 目 標 を立てる。 ④障害理解教育 目 標の 達 成 に 向 け, 各 教 科 等 の教 育 活 動 ご とに , そ れ ぞ れの 特 質 に 応 じた 重 点 目 標を立てる。 *すでに人権教 育 ,福 祉 教 育 等 の全 体 計 画 が あ る 場 合 は ,そ れ ら の 内 容を 生 か し な がら , 障 害 理 解教 育 全 体 計 画を 作 成 す る。

(18)

6 研究のまとめ 6.1 研究の成果 本研究で,小・中学校における児童生徒への障害理解を推進するための効果的な指導の在り方を追究 してきた。主な成果は以下の3点である。 (1) 文献研究及び調査研究,授業実践を通して,これまで実践されてきた障害理解教育の現状と課題 を把握し,障害理解を推進するための方向性を確認できたこと (2) 児童生徒への障害理解を推進するための指導の在り方として,各教科等に含まれる障害理解に関 する内容を関連付けて進める学習と,日常生活において児童生徒が継続的に実際的な場面で思考, 判断,体験できる活動とを両輪として進めることを考案できたこと (3) 学習ニーズに応じた指導プラン(障害理解教育全体計画及び学習ニーズに応じた日常的な指導の ポイントなど,指導実践に生かすための資料)を作成し,各学校がこれまで実践してきている障害 理解教育を生かしながら,障害理解教育を推進するための試案を示せたこと 6.2 今後の課題 (1) 本研究で作成した指導プランを実際に学校現場で活用することにより,有効性を検証すること (2) 指導プランの実践と検証を通して,より効果的な活用の仕方や内容の改善と充実を図ること 主な参考文献 「*」は Web 上の資料 [1]文部科学省:「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援 教育の推進(報告)」 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/houkoku/1321667.htm * 2012 [2] 徳田克己,水野智美:「障害理解―心のバリアフリーの理論と実践」 誠信書房 2005 [3] 柘植雅義:「特別支援教育―多様なニーズへの挑戦」 中央公論新社 2013 [4] 宮城県教育委員会:「宮城県障害児教育将来構想」 http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/14423.pdf * 2005 [5] 宮城県教育委員会:「宮城県特別支援教育将来構想答申(最終案)」 http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/life/307530_389046_misc.pdf * 2014 [6] 冨永光昭:「小学校・中学校・高等学校における新しい障がい理解教育の創造―交流及び共 同学習・福祉教育との関連と 5 原則による授業づくり」 福村出版 2011 [7] 大阪府教育委員会:「大阪府福祉教育指導資料集『ぬくもり』 ~思いやりを行動へ~」 http://www.pref.osaka.lg.jp/shochugakko/nukumori/index.html * 2010 [8] 法務省:「人権教育・啓発に関する基本計画」 http://www.moj.go.jp/content/000073061.pdf * 2011 [9] 国立特別支援教育総合研究所:「特別支援教育におけるICFの活用 Part3―学びのニーズ に応える確かな実践のために」 ジアース教育新社 2013 [10] 今枝史雄,楠敬太,金森裕治:「通常の小・中学校における障害理解教育の実態に関する研 究(第Ⅰ報)―実施状況及び教員の意識に関する調査を通して―」 http://ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/dspace/handle/123456789/27428 大阪教育大学紀要 第Ⅳ部門 教育科学 61 巻 2号 2013 [11] 今枝史雄,楠敬太,金森裕治:「通常の小・中学校における障害理解教育の実態に関する研 究(第Ⅱ報)―障害種別に見る実施状況の分析を通して―」 http://ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/dspace/handle/123456789/27680 大阪教育大学紀要 第Ⅳ部門 教育科学 62 巻 1号 2013 [12] 堤佳弘,今枝史雄,山本壮則,金森裕治:障がい理解学習の現状と実践的課題についての基 礎的研究―通常の学級における授業実践についての報告(第Ⅱ報)― http://ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/dspace/handle/123456789/9863 大阪教育大学紀要 第Ⅳ部門 教育科学 58 巻 1号 2009 [13] 楠敬太,金森裕治,今枝史雄:児童の発達段階に応じた系統的な障害理解教育に関する実践 的研究―教育と福祉の連携を通して― http://ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/dspace/handle/123456789/26871 大阪教育大学紀要 第Ⅳ部門 教育科学 60 巻 2号 2012

(19)

平成26年度

特別支援教育研究グループ研究構想図

本県における「共に学ぶ教育」の継続 交流及び共同学習等の充実と推進

小・中学校における児童生徒への障害理解を推進するための指導の在り方

- 学習ニーズに応じた指導プランの提案を通して -

文献研究 ○障害理解に関する学習が各教科等に含まれ ていること ○障害理解には長期的な視点での指導が必要 であること ○障害理解教育には学習内容の組合せが有効 であること 調査研究 ○自閉症・情緒障害,発達障害等の障害の説明 や指導に困難を感じているケースが多いこと ○障害理解教育を推進していく意識を高めてい くこと ○日々の障害理解教育を充実していくこと 学習ニーズに応じた指導 学習ニーズに応じた指導とは,障害のある児童生徒の実態及び学級等の状況に応じた指導である。 各教科等で扱う障害理解に関する指導に加え,障害理解について日常的に考えられるようにする 指導を繰り返し設定することにより,児童生徒の障害理解に対する実践的態度を育むこと(補充・ 深化)を図り,障害理解の推進を目指すものである。 提案 1 指導プランの作成 (1)障害理解教育全体計画 (2)指導実践のための補助資料 2 指導プランの活用 3 学校全体での障害理解の推進 指導プラン作成のための授業実践 実践Ⅰ:肢体不自由のある人の理解 実践Ⅱ:ADHDのある人の理解

共に学び,互いを認め合い,人間性豊かな児童生徒の育成

小・中学校における障害理解教育を学校全体で計画的・継続的に指導実践すること

研究課題

共生社会の実現

インクルーシブ教育システムの構築

今日的課題

障害理解教育の捉え 小・中学校9年間の学校教育活動全 体を通して,段階的に深めていくもの

研究目標

小・中学校における障害理解教育の現状と課題について,文献研究及び調査研究,授業実践を通して把握し, 教員が学習ニーズに応じて活用できる,障害理解を推進するための指導プランを提案する。 [別紙1] 障害理解の捉え 障害特性についての理解と障害のあ る人に対する理解

(20)

共に学び,互いを認め合い,人間性豊かな児童生徒の育成

ねらい:小・中学校における9年間を見据えて学習指導を進めることと,日常生活の中で継続的

に思考・判断・体験する機会を設定することを通して,障害理解教育の「補充・深化」

を図り,児童生徒の障害理解を推進する。

各教科等に含まれる障害理解に 関する学習内容 各教科等にも,障害理解に関わる 学習内容が含まれています。それぞ れの学習を関連させながら,9年間 を見据え継続的に指導できるよう にします。 図5 小・中学校9年間を見据えて取り組むための障害理解教育全体計画(別冊指導プラン 10P参照) 日常生活において継続的に取 り組む障害理解教育 実践的態度を育むために,日 常生活の中で,障害理解につい て考える場面を意図的に設定し たり,機を捉え繰り返し指導し たりします。学級の状況に応じ た指導をすることで,児童生徒 が身近なこととして障害につい て考えられるようにします。 朝の会・帰りの会・特別活動・ 行事等へ組み込める,思考・ 判断・体験等の活動の積み重ね ・学習したことに関連する内容 を深める絵本の読み聞かせや映 像の視聴,疑似体験等 ・学級の状況に応じ,身近な友 達の障害について理解を深める ための学習 *短時間での取組を重ねます。 小学校中学年 障害について学習した ことを基に,障害のあ る人と一緒に活動でき る児童 小学校低学年 互いの良さや違いに気 付き,みんなで助け合 って活動できる児童 小学校高学年 障害のある人の気持ちに 寄り添って,主体的に行 動できる児童 中学校 障害のある人の立場に立 って,自分の関わり方や 環境の改善について考え 行動できる生徒 [別 紙2]

(1) 小・中学校における9年間を見据えて取り組むための

障害理解教育全体計画

参照

関連したドキュメント

バックスイングの小さい ことはミートの不安がある からで初心者の時には小さ い。その構えもスマッシュ

・学校教育法においては、上記の規定を踏まえ、義務教育の目標(第 21 条) 、小学 校の目的(第 29 条)及び目標(第 30 条)

副校長の配置については、全体を統括する校長1名、小学校の教育課程(前期課

取組の方向 0歳からの育ち・学びを支える 重点施策 将来を見据えた小中一貫教育の推進 推進計画

  総合支援センター   スポーツ科学・健康科学教育プログラム室   ライティングセンター

生活介護  2:1  *1   常勤2名、非常勤5名  就労継続支援B型  7.5:1+1  *2  

  総合支援センター   スポーツ科学・健康科学教育プログラム室   ライティングセンター

○現場実習生受け入れ 南幌養護学校中学部3年 3名 夕張高等養護学校中学部3年 1名