132 香川大学農学部学術報告
陥c由翔ゆゐ加ゆα2n=10の核型および机ぶαgゐα
のモロッコ系2n=10との雑種について
山 本 喜 艮
工 持 田 従来われわれがn烏−〃∫α如αのモロッコ系2n=10と称しているものは,四国農業試験場の松岡匡・一博士が1952年に モロッコのラバト農業試験場から導入したものであって,Ⅴ.・柑烏■ぴαの普通系コモンべッチ2n==12よりやや生育は劣 るが早熟陸で,かつ近年Ⅴ・・Sα抽αに砿がりつつあるウイルス性の葉脈壊疫病に対する抵抗性が強いために,各種の 交雑親として使用されている送り状にyn5αわ■少αとなっているために,現在までy.5αf∠ぴαのモロッコ系と呼称 しているが,筆者の研究(89)によると本種の染色体数は2n=10で,Ⅴ∫郎励励仔について現在までに報告(=、3415・7) されている2n=12および14とほ異なっている・・また核型も他のⅤ.5αfよ■むαのそれとほかなり大きな差が認められ, むしろSvESCHNIKOVA(6)のV.ambhicarba2n=10ときわめて類似しているそこで前述のモロッコ系はV. 釧頭而−c■αグ♪〃ではなかろうかという疑問が生ずる。この点を明らかにするために種名の明瞭なy..α∽♪兢αγ♪αを西 ドイツのMEITIN博士に依頼して19占○年に導入,該種の核型を詳細に観察した‖その結果前述のモロッコ系の枚型(9) とⅤ.朗哩戯cα7・♪αの核塑とがよく−激し,かつ両者間のFlの減数分裂も正常で稔怯も高く仁従来甘‥鋼痢■ぴαのモロ ッコ系と呼称していたものは,実ほⅤりα椚♪ゐよcαタ♪αであることが明らかにされた本報はそれらの研究成果の大要 を述べたものである 木実験に対しいろいろ指導を賜わった香川冬夫,亦藤克己両博とならびに種子の分譲を受けた松岡ほ★・,METTIN 両博士に対してここに深甚なる謝意を表する. 皿 実験材料および方法 y−Sαfオ〝αのモロッコ系ほ前述のどとく松周博士が1952年モロッコから導入し,同年播種翌年採施したものを1955 年春にゆずり受け,爾来本学附属彪場に栽培してきたものであり,Ⅴ.α∽♪ゐ去cαγ♪αは前述のどとく19る0年西ドイツ より導入したものであって,原産地ほクレタ島の由である.竹‖の明摘ねの・♪αの染色体の観察は5個体の植物より根 端をそれぞれ採取し,さきに報告(9)した:Ⅴ.、朗離ぴαのモロッコ系で行なったと同様,0002モルの8オキンキノリ ン水溶液に200Cのもとで5時間前処理を行ない,直ちにアセトアルコール(95%アルコー・ル5:舶踏酸1)で固定 し,酪酸オルセイン染色おしつぶし法によったまた染色体の長さの測定に際してほ,各プレパラ−トビとに分裂像FiglSomatic chroznosomesin Vu・Saii’va Morocco strain 2n=10andl′amphicarpa 2n=1D left:Vsativa Morocco strain
第14巻第2号(1g63) 133 のうち出来るだけ各染色体とも水平に並んだ細胞を1個宛遜らび,各染色体の長さをろj碑まで測定した.なお測定 に当ってほ按眼移動測微計を用いた また両者の交雑は19dO年春y.α刑♪カタcα柑〃を母,y.ぶαfgがαのモロッコ系を父として行ない1爽5粒の種子を得 たが,これらを同年10月に播種し,さらに11月に1尺鉢に.移植して「育成したい FlのPMCの観察はカルノア液で固定 し,酪酸オ■ルセイン染色おしつぶし法によった Ⅷ 実験結果および考察 1.Ⅴ.、〃∽βカ∠cα′♪αの核型 y.α研♪滋彦■cα′♪αの根端細胞紅おける染色体の長さは第1表に,またy.・ゞαfよ−ぴ〃のモロッコ系およびル\〃椚Å鋸cα′♪α の染色体は第1図にそれぞれ示すごとくである‖ 第1表に見られるようにy.α∽♪ゐよ■cαγ如は2n=10であって,各染
Tablel.Length of so皿atic chromosomesin ViciJ7ambhicarba2n=10.
45.75 1 4155 1 41.17 i 59..口O 1 57.口0
The%of each chromosome length per total1ength of
a11cbIOmOSOmeS
Length wasindicatedin O.1p with mean value of homolgous chromosomes. S.a.:Short arm,la”:long arm,int。:interval,tr一:trabant.
色体聞の長さの差異闇少なく,染色体個々の識別は困難であるが,附随体を持つa4および短胱の比較的大きいa2ほ他 と区別される各染色体の概要ほ下記のようである al:最も大型で全長ほ約4・4βあり短腕ほ短かい a2:全長は約4.2〃.でalと大差ほないが短腕は他のいずれよりも大きく約0・9〆で他と区別され易いい a8:al,a2と同様大型で短腕の長さはalのそれとよく以ている a鼻:a8よりやや小さく,長腕の−・方の端把短腕が,他方には約05βはどの間隔をおいて約1〃1Jんはどの附随体を有 して:いる. a5:a4よりやや小型で長腕および短腕を有しているい 西ドイツから導入したy.射叫戯cαγ♪αの核型は上記のようであるがこれはすでに同槌についてSvESC王INIKOVA(8) の報馨している核型ときわめて類以している.. つぎに比較のために筆者の報告(9)したⅤ.1Sαfi−ぴαのモロソコ系の各染色体の長さを示めすと第2真のごとくであ り,さらに両者の核型を模式的に表わしたのが第2図である.既報(9)のごとく yい・ざα抽αのモロッコ系紅おいては
香=大学農学部学術報告 Table2。Length of somatic chromosomesin Viciasati2)a Morocco stIain2nニ10. 1S4 m8 Cb王OmOSOme Mean value s.a.1l..a。 s..a小11.a.1int”ltr. s.a.11.a.. s,a..1la…
.‥ :∴二! ̄ − ̄ _−ミ ∴ 二・.・..
41、80111.4514..45lう55馴4∩50152…95 59.95 l5−7.45 Tota11ength 1 46小05 1 45…95 The%of each chromosomelength per totallength of
allchromosomes. 18.01
Length wasindicatedin O。1p.with mean value of homologous chromosomes. int.:inte【Va王,tf1.:tfabant…
S.a:ShoIt arm,l.a=:long arm,
全染色体長を100としたときの各染色体長の割合ほmlの 22.1る%からm6の18.01%までであり,各染色体間の長さ の差異ほ少なく,y.甜ゆ妬制サ柁油けるalの21・占0%か らa5の18.28%の範囲とよく・−・致している.さらに短脱が 大きいので明らかに他と識別されるa2とm2,および附随 体をもつa4とm8ほその形態に.おいても,また長さについ でもきわめて.よく似ている.ただa4とm8と紅ついてほ長 さの順序はy.朗材戯c〃グー♪αでほ4番目であるのに対しモ ロッコ系では5番目に位置.している.これは(1)いずれの系 統軋おいても各染体間にほ長短の差異が少なくm8とm4, a$とa4との差はきわめて傾かであること,(2)a4とm$とほ 比較的変異の多い〟inter■Val”の相違が可なりあること, の2つの理由から両者の各染色体における順序ほ恐らくは 本質的な相違というよりも実験上の誤差によって生じたも のと考えられる” 以上述べたどとく染色体の形態からも,また各染色体の 部イ立の長さの測定結果からしても,γ.鋤ゆ軌御−♪αの染 色体と y.5αめαのモロッコ系のそれとは相対応する個 々についてまったく同様の長さ,および特性をもってお り,他方Ⅴ一.ぶαヂ∼ぴαにほ2n=10の報告がないことからし て恐らくはⅤ」射め−がαのモロッコ系と軋α明地−¢αγ♪αと は同一磯であって,モロソコ系がy.α研♪カg√α′如虻属す
薗 亜
酉ml m2 m8 皿4 m6 1花cね∴紬力ぴαMoICCO Stほin2n=10 4ル 5 2 1 0血周毎
間恥
F.銅材戯cαγ♪α2n=70Fig2,.Schema of the chromosomesin1月cia sativa Morocco strain 2n=10 and
y.の頃痛ね卯一夕α2n=10. るものと考えられる. 2.y.α桝♪ゐまcαr♪αとⅤ.ざα抽αMoIOCCO S加・ainとの雑種 上述のどとく核型分析によって得られた結果を一層確実にするため把,両者の間に交雑を行ない雑種を育成してそ の諸特性および減数分裂の観察を行なった‖ 第5図左上ほFlの植物体である。両親およびFl三者の形態的特性にほ ほとんど相違が見られず,生育については潜丈および分枝数紅おいてy.α研♪カ∠どβ′♪〃がやや大であり,Flほはば 中間的である.また超皮の色はγ\の明摘わ〝サ両班黄褐色を呈しているがy.・沌路摘のモロッコ系は黒褐色の地色に 黒色の斑点があり,Flは父親であるモロッコ系のそれと似ている つぎにPMCに.おける減数分裂では両親ほいずれも5Ⅱばかり現われ,接合が強いが,Flにおいても第5図右上, 左下に示めすごとくキアズマが正常に形成され,中期においては5Ⅱの強い接合を作り両親と同様異常が認められな い。さらに4分子時代には多分子は全く見られず,健全花粉率ほ約9占%できわめて高く,一賽中の種子数も約8い0粒 で高い稔性を示めす. 以上のようにⅤ.射吋凝血町如とⅤ..・ざα抽αのモロッコ系とは核型において差異がないぼかりでなく,両者のFl
135 第14巻第2号(1963) の減数分裂も正常で稔怯も 高いこのことは両者の染 色体ほすべて互いに相同性 を持つものと推定され,両 者は同一・種に属するものと 推定される, 摘 要 (1)佑行ね=柑烏■ぴαのモロ ッコ系2n=10は.染色体数お よび核型ともに従来から報 告されているⅤ..・ざαf壱ぴα 2n=12と異なり,むしろ yり 似呵が巌α7♪α2n=10の それに近いかかる点を明 確にするために種名の明ら b
Fig.5.Flplant and the reduction division in the hybIid
between l/7(ia allt♪hLcaT♪a 2n=10andl′.satibaMorocco Srain2n=10 a:FIPlant,bandc:reduction division,b:diakenesis,C: 1st Metaphase,5Ⅱ かなⅤ\卯ゆ紬αγ♪αの根 C 端細胞軋おける染色体の長さを詳しく測定し,さきに行なったⅤ“jⅦ勃即αのモロノコ系のそれと比較した結果全く 同・−・であることが明らかになった (2)さらに両者の間に交雑を行ない,Flの減数分裂を観察した結果5Ⅱを作り異常がなく稔怯も高いかかる理由 からy..5αf古びαのモロノコ系はy小α桝♪カ査cα㌢’♪αであることが推定された 引 用 文 献 (1)DARLINGLION,C.Dい,WYuE,A・P”: Ⅱ,り(8),21(19155)l
Chromosome Atlas of FloweringPlants,154,(5)SvESCHNIKOVA,IhNl:Ibidい,17,57(1927) London,George AllinandUnwin(1955). (6)一冊一打 :JlHeY■edりる1,549(1940)・
(2)平吉 功,松村正幸:育種学雑誌1,219(1952)・・(7)山本昏良:育種学雑誌,4・111(1954)い (3)METTIN,D。:Sondezdruck aus die Kulturlr (8)−‥香川大農学軌11,28(1959)
pflanze,Ⅵ,11る(1958). (9)州 :同上1る(1),15(19る1)・ (4)SAVCHENXO,P”F.,:助Il.abPl.Boi」,Ser・
On the karyotypeof Vici−a ambhicarPa2n=10and the hyb工id betweenl乃cia
ambhicarPa2n=10and Vicia saiiva Morocco strain2n=10
KiyoshiYAMAMOTO
Summ&ryThereisag工eatdifferencein the chromosome number and the karyotype between Vicia
saiiva Morocco strain 2n=10introduced from Morocco and Vicia15aiiva(COmmOn VetCh),and the
karyotypeofViciasaiiva Moroccostrain has aninclination ofVicia ambhicaY・Pa2n=10IepOrted by
svESCI‡NIKOVA.To make clear the difference of karyotype between Vicia saLi2}aMoroccostrainand
Vici・aam♪hicarba thelength of each homologous chromosomesin Viciaambhicarbaintroduced from
Germany,thespecies ofwhichisaccurate,WaSCOmparedwithmy result,meaSuredin Vicia sativa
Morocco strain and was reportedin the previouspaper,but no difference was observedt
IntheFIPlantbetweenVi・ciaambhicarbaandl′iciasativaMcroccostIain,nOrma15ⅡWaSObservedin
the paz・ent plants.
From the z・eaSOn above mentioned,itis pr・eSumed that Vicia sativa Mo工OCCO StrainintIOduced fIOm Moroccoand Vicia ambhicaTba fzIOm Germany are of the same species.