香 川 大 学 経 済 論 叢 第74巻 第 3号 2001年12月 5-51
高松市の予算編成と住民団体
ならび、に産業団体の役割については)*
一 一
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9
年の調査一一
目 次 多忙な方のための簡潔な要約 I はじめに II 調査の概要 III 回答者のプロフィールと回答の分析の方法西 山 一 郎
IV 高松市の予算編成にむけての要望提出の頻度ならびに要望の内容につ い て ( 閉 じ 閉 じ 問3の分析)……以上が本号掲載分 V 要望作成の方法,その要望を高松市に提出した者,要望の形式ならび に 市 役 所 と 市 議 会 と の 関 係 に つ い て ( 閉 し 問5,問 6の分析) 以下は次号掲載 VI 要望提出の時期とその要望を受け取った者について(間人間8の分 析) VII 要望が予算案に取り入れられた頻度と予算案に計上された程度(問9, 問1
0
の分析) VIII まとめ この調査は,住民団体ならびに産業団体の責任者の方々の真撃なご協力により実施でき たものであり,関係諸氏に心から感謝する。また,この調査の設計や実施に際して特別にお 世話になった方々は,同僚の経済学部教授(現在は,香川大学名誉教授で高松大学経営学部 教授)大薮和雄氏,高松市役所市良部保険年金課国民年金係長佐々原武氏,経済学部助手木 村住枝さんであり,心からお礼を申し上げる。さらに,関連する各種の資料等の提供を受け た高松市議会事務局や高松市公文書公開コーナー他の関係諸課のご協力にも感謝する。な お,回答の集計は,木村さんがその大部分を担当して下さった。-6ー 香川大学経済論議' 資料1 r⑫高松市の予算編成と住民団体ならびに産業団体の役割につい ての調査」 資料2 単純集計表 資料3 団体別回答集計表 資料4 高松市の予算編成について日頃感じていること 多忙な方のための簡潔な要約 390 L この調査は,高松市における住民団体と産業団体を対象として行い, それらの団体が高松市の予算編成に向けてどのような要望を出し,それ がどの程度予算案に計上されたかを検証しようとした。 2..当初調査の対象とした団体は,連合自治会,商庖街振興組合・商工振 興会,衛生組合協議会,国民年金貯蓄組合・納税貯蓄組合,土地改良区, 老人クラブ連合,文化団体,農業協同組合,森林組合,漁業組合,地区 社会福祉協議会であり,全部で
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2
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団体(最終的には2
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団体)であっ た。そして,回収された調査票は1
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通であったが,回答辞退と回答不 能を差引くと1
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通となり,実質回収率は7
5
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%
であった。3
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.
回収された1
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団体のうち1
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団体(
5
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“9%)
が過去1
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年間において 高松市の予算編成にむけて要望を全く出さなかったということが判明し た。そこで,回答の分析にあたっては,以上のようなd
ef
a
c
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な団体の分 類ではなく,少し体系的に団体を再分類した方がよいと判断した。 第1
次産業に属する農業協同組合,森林組合,漁業組合をまとめて「農 業協同組合他」とし,第2次・第 3次産業に属する商庖街振興組合・商 工振興会をまとめて「商庖街振興組合他」とした。土地改良区と連合自 治会はそのままとした。国民年金貯蓄組合と納税貯蓄組合はまとめて「納 税貯蓄組合他」とした。衛生組合協議会はそのまま「衛生組合」とした。 地区社会福祉協議会と老人クラブ連合はあわせて「地区社協他」とした。 最後に文化団体はそのままとした。391 高松市の予算編成と住民団体ならびに産業団体の役割について(1) - 7ー 4 問 1で過去 10年間くらいの聞に高松市の予算編成にむげて何か要望 を出したことがあるかどうかについてたずねた。その結果,先にのべた ように, 103団体 (59,9%)が過去 10年聞においては予算に関する要望 を高松市に提出したことが全くないと回答した。他方 i毎年要望を出し ている」という回答と「ほとんど毎年要望を出している」という回答を 合わせると,それは 26ゅ8%となり, 4団体に 1団体が要望をよく出して いる。 この回答を団体別に見ると,最も要望をよく出す団体は土地改良区で あり,比較的よく要望を出す団体は連合自治会,農業協同組合他,文化 団体,商庖街振興組合他,衛生組合であり,要望をほとんど出さない団 体は地区社協他と納税貯蓄組合他である。 5"問 2で,過去 10年聞に要望を全く出さないと答えた 103団体を除く
6
9
団体に要望の種類についてたずねた。それらの要望のうち,回答者数 にしめる割合が 10%を超えるものを挙げると次のようである。 第1位は道路の舗装や整備,第2位は農業用水路整備の補助金の申請, 第3位は農道拡幅のための補助金の申請,第4位はため池改修のための 補助金の申請,第5位は農業施設補助金の申請,第6位は排水溝・側溝 の設置や整備,第7位は街路灯の増設,第8位は各種行事の補助金の要 求,第 9位はゴミ処理,第 10位は運営補助金の増額,第 11位はカーブ ミラーやガードレ-}レの設置,第 12位は河川の改修,第 13位は商庖街 の活性化,第 14位は通学路の安全施設,第 15位は自治会集会所の新築, 第 16位は信号機や横断歩道の設置である。 このような要望は一見雑然としているが,団体別に見るとその特徴が 浮かび上がってくる。 土地改良区は,農業用水路整備のための補助金の申請,ため池改修の ための補助金の申請,農道拡幅のための補助金の申請,農業施設のため の補助金の申請が4
つの大きい要望事項である。 連合自治会の要望の第 1の特徴は,市内の 80%近い世帯を組織した団-8- 香川大学経済論叢 392 体であるため多様な内容の要望からなるということである。第2に,多 様な内容の要望であるといっても,道路の舗装や整備が第
1
位であるこ とから分かるように,カーブミラーやガードレーノレの設置,街路灯の増 設等のような生活道路の整備に関する要望が多いという特徴をもっ。 衛生組合の要望の第1
の特徴は,ゴミ処理が最も多いことである。 地区社協他は,運営補助金の増額,各種行事の補助金の要求が多い。 文化団体は,回答した全部の団体が各種行事の補助金の要求を挙げて いる。6
わ問3
についていえば,上記の諸要求のうち近年特に強く要望したもの を書いてもらったが,記入の労をいとわず、に書いてくれた団体数でいえ ば連合自治会と土地改良区が最も多く,それらの団体が予算編成に向け て最近強く高松市に要望した事項を多く持つ団体であるということを確 認するにとどめる。 7 問 4においては,予算編成にむけての要望をどのように作成したかを たずねた。単純集計では,役員会で協議して作成した,構成員からの要 望にもとづき作成した,代表者としての自分の判断と責任において作成 したという 3つがよく採用される方法であることが分かつた。 団体別に見ると,役員会で協議して作成したという回答は商庖街振興 組合他と土地改良区が多く,連合自治会は構成員からの要望にもとづき 作成したというのが多い。衛生組合は,代表者としての自分の判断と責 任で作成したというのが多い。文化団体は,構成する会員からの要望と 市からの要請を受けて作成するという特徴を持つ。 8"問 5では,予算編成にむけての要望を誰が高松市に提出したかをたず ねた。単純集計を見ると,役員だけで市役所を直接訪問して要望したと いう回答と高松市議会議員と一緒に役員が市役所を訪問して要望したと いう回答が最も多い。それらに続く回答として,代表者一人が市役所を 訪問して要望したという回答と「その他」がある。 この設問の回答では「その他」が多いがその内容を見ると,土地改良393 高松市の予算編成と住民団体ならびに産業団体の役割について(1) - 9ー 区の場合,高松市の土地改良課との結びつきが強く,ほとんどJレーティ ンとして土地改良事業に伴う補助金の申請が毎年行われていることが分 かった。 要望の提出者の特徴として第
1
に,住民団体と産業団体の代表者ない し役員が市役所を訪問して予算に関する要望を行っている場合が多いこ とである。第2に,先に紹介した単純集計の回答からも分かるように, 予算に関する要望が市役所に提出される際に市議会議員が重要な役割を はたしているということである。 団体別に見ると,役員が中心となって要望をする団体は,商庖街振興 組合他である。市議会議員と一緒に役員が市役所を訪問して要望すると いう形態が多い団体は,連合自治会である。衛生組合は,理事長一人が 市役所を訪問して要望するという回答が多い。 9 ..問6では,要望を市役所に提出する際の形式とそれを提出した先が市 役所か市議会かについてたずねた。単純集計を見ると,要望の形式と提 出先については書面として市役所に提出するということが中心であり, それに続くというか補完するものとして口頭で市役所に要望するという ことである。なお,請願や陳情は法制度上市長に提出されるということ はあり得ないが,現実には高松市においても請願や陳情は市議会と同時 に市長にも提出されていることが明らかになった。1
0
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.
問7
では,要望を提出する時期についてたずねた。単純集計の結果で は,要望が出来上がった都度という回答が最も多い。第2のグループは, 予算編成の時期に照準を合わせるという団体である。第3は,予算編成 の時期とは関係ない時期に要望を提出するというグループである。 そのような回答を団体別に見る。要望が出来上がった都度という団体 を回答の%が多い順に挙げると,まず連合自治会であり,ついで衛生組 合や納税貯蓄組合他,商庖街振興組合他である。予算編成時期に合わせ るという団体は,農業協同組合他,土地改良区,文化団体である。予算 編成の時期以外という団体は,地区社協他である。10- 香川大学経済論叢 394 11ぃ問8では,要望を受ける高松市の役職者についてたず、ねた。単純集計 の結果では,事業担当課長が最も多く,ついで係長,部長となる。やは り要望をうける中心の役職者は事業担当課の課長である。しかし,市長 が要望を聞くという回答も案外多く全体の25%近くに達する。これは全 国調査とも符合し,高松市だけの状況ではない。
1
2
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問9
では,諸国体の要望が高松市の予算案に取り入れられた頻度に ついてたずねた。その結果,要望が常に予算案に計上されたという回答 が435%であった。この回答に,要望がしばしば予算案に計上されたと いう回答を加えると 63..8%となり,要望の6割以上がかなりの頻度で予 算案に計上されているということが分かつた。他方,ほとんど予算案に 計上されなかったという回答はわずか4.3%にすぎない。したがって,諸 団体の要望はほとんどの場合,予算案に計上されるということになる。 13..問10では,諸国体の要望のどの程度が予算案に計上されたのかをたず ねた。単純集計では,-要望のすべて」ないし「ほとんど」が予算案に計 上されたという回答を合わせると 69..0%に達し,諸団体の要望の7割程 度が予算案にすべて,ないしほとんど計上されているということが明ら かになった。他方,要望の一部分が予算案に計上されたという回答は1
割 程度である。したがって,諸国体の要望のかなりな部分が予算案に計上 されているということになる。 そのような回答を団体別に見る。予算案に計上される程度の高い団体 を「要望のすべて」ないし「ほとんど」が予算案に計上されたという回 答を合わせた%の大きい順で見ると,地区社協他が100..0%で第1位 で ある。但し,それは回答した団体の4
つ全部が「ほとんどの要望が予算 案に計上された」という回答を選んだためである。第2
位は,土地改良 区で両回答の合計が870%,第3位は商庖街振興組合他で同じく両回答 の合計が85..8%,第4位は衛生組合で要望の「ほとんど」が予算案に計 上されたという回答が印刷0%,第5位は連合自治会で両回答の合計が 45.5%である。395 高松市の予算編成と住民団体ならびに産業団体の役割について(1) -11ー 14 以上の分析により高松市の予算編成にむけて住民団体と産業団体がど のように行動し,その結果どの程度の頻度と範囲で諸団体の要望が予算 案に計上されたかが明らかになったであろう。
I
は じ め に
小稿は,地方自治体の予算編成において住民団体ならびに産業団体がどのよ うに関係しているかを高松市におけるそれら諸団体を対象とした調査の分析を 通じて明らかにしようとするものである。 まず,そのような課題を設定した経緯をのべる。わが国の地方自治制度は二 元代表制を採用しており,住民は首長ないし議員に予算編成に関連してアプ ローチができる。そして,その形態や内容の解明は,地方自治体における財政 民主主義の内実を見る際にはきわめて重要であろう。 では,これまでこの分野に関してはどのような研究や調査があるのであろう か。それらは,管見にふれた限りで見れば次のようである。この分野の最初期 の調査に, 1979年から 1980年にかけて日本都市センターが行った都市(全国 646都市の財政担当部(課〕長が調査対象)における予算編成過程等に関する調 査があり,その1つの設聞に r最近3カ年に特定地域の住民にかかわりのある 公共事業,公共施設等の具体的プロジェクトについて,予算編成過程において 直接財政部局に対し,住民運動による反対の働きかけがありましたか」という のがあった。そして,住民運動による反対の働きかけがあったという回答は, 回答した584都市の内わずか25市, 4リ3%であった。次に,その4,,3%の団体に 対して,どのような団体が働きかけをしたのかという間に対して, 88..0% (複 数回答)が「町内会,自治会等地域を代表する団体」であるという回答を選ん だ。第2位は r労働組合,商工団体等職域を代表する団地」で24..0%であった から r町内会,自治会等地域を代表する団体」であるという回答の割合は圧倒 的であったといえるであろう。もっとも,この設聞は予算編成過程に対するい (1) 日本都市センター〔研究室)I都市における予算編成過程一執行部,議会等に関するア ンケート調査一J1980年3月, 34ページ。-12ー 香川大学経済論叢 396 わば正の運動ではなく,特定プロジェクトに反対する,いわば負の運動の傾向 を明らかにするものといえるであろうが,とにかく,特定プロジェクトに対す る反対運動を行う際には,町内会や自治会がその組織になるという点が明らか になったことにわれわれは注目すべきであろう。 ほぽ同じ時期に福山市を対象とする第
1
次調査を,1
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8
0
年代後半に神戸市を 対象とする調査を,そして1
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年代末に再び福山市の第2
次調査を精力的に行 い,社会学の側から都市行財政の分析を試みた蓮見教授のグループがいるが, 特に,矢j零教授は,第1
次福山調査において,地域政策形成過程と地域のリー ダーの役割を取り上げ,1
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7
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年に「地域リーダー調査J(面接調査)を行った。 この調査は,1
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年度の福山市の予算編成過程における地域リーダーの関与, 役割,政策認識のあり方を解明しようとしたものである。 もっとも,この調査でいう「地域リーダー」とは,市議会議員全員と福山市 の総合計画推進委員会委員から構成される。したがって,われわれの想定する こ元代表制の枠組みとは異なるから,その調査結果がもっ意義はわれわれに とっては限定されたものであろう。早い話,総合計画推進委員会委員は,表7
・
4の「推進委員」役職一覧から見ると,彼等は r行政側から委員を委嘱された 人びと」であり,われわれの想定する住民代表とは言い難い人々をも含む。 それにしても,福山市の予算編成過程において誰が(あるいはどのような形 で)市当局に働きかけるのかという設問では,総合計画推進委員会委員の回答 でもっとも多かったのは,町内会, PTA,婦人会,青年固などの「住民運動団 (3) 体」であったというのは示唆するところがあるであろう。 以上わずか2
例からの推測であるが,予算編成過程における住民の役割に焦 点を当てて系統的に調査した研究は,これまでになかったのではないかと思つ
。
(2 ) 矢漂澄子「第 7章 地方政治の構造と過程J,蓮見音彦編『地方自治体と市民生活』東 京大学出版会, 1983年, 254ページ。 (3 ) 向上, 261ページ。但し,町内会のような地域団体を「住民運動団体」と呼ぶのは,そ の定義がどのようになっているのか分からないがやや違和感がある。 (4 ) 地方自治体における予算編成に対する住民参加についてほんの少し言及した地方財政397 高松市の予算編成と住民団体ならびに産業団体の役割については) -13ー では,今日,予算編成過程における住民と地方議員あるいは自治体当局との 関係はどのようなっているであろうか。 私の調査により,予算編成過程における住民と議員の関係を,議員側から見 れば,次のような状況である。私は i香川県下の市町における予算編成と議員 の役害リ」というテーマで,香川県下の市町議会議員の全員 (1992年は722名, 1996年は714名)を対象に, 1992年と 1996年の2回調査を行った。回収率は, 1992年が79..2%,1996年が76..1%であった。 1996年の調査における設問の一つは i住民または住民団体から予算や財政 に関する要望をどの程度受けているか」であった。単純集計の結果を見ると, 最も多い回答は i予算や財政に関する要望を時々受けている」という回答で, 39ゅ8%,第 2位は i予算や財政に関する要望を,毎年受けている」という回答 で, 23..0%,第3位は i予算や財政に関する要望を,たいていの年度において 受けている」という回答で, 18..0%であった。そこで,予算や財政に関する要 望を住民ないし住民団体からよく受けている議員は,全体の41.0%になること (5) が分かつた。 また,予算や財政に関する要望を住民ないし住民団体からよく受けている議 員を市議会議員と町議会議員に分けてみると,前者が59..0%であるのに対し て,後者は36..9%であり,市議会議員の方がかなり多いということも分かつた。 そして,前者の内訳を見ると,予算や財政に関する要望を住民ないし住民団体 論の教科書に,能勢哲也・丸山高満編『現代地方財政学.1有斐閣フ。ックス, 1987年, 44ペー ジ,がある。しかし,最近の地方財政論の教科書においては,理由は分からないが,自治 体の予算編成と住民の関係はまったく言及されなくなっている。例えば,片桐・兼村・星 野編著『地方財政論』税務経理協会, 2000 年,第 3~ 地方自治体予算,を参照。また, 住民が視野に入っても,林教授のように r無限の要求をつきつけてくる国民全般,利益 集団,十!川...Jというように,やや十把ーからげ的に論じる(林正寿『地方財政論理論・ 制度・実証』ぎょうせい, 1999年, 326ページ)。ただ,最近出版された,宮本憲一・小 林昭・遠藤宏一編『セミナー現代地方財政 「地域共同社会」再生の政治経済学J(劾草 書房, 2000年)においては,横田茂教授がr(地方自治体における〕予算制度は地方自治 体の財政計画の意思決定に住民が参加することを保障する制度である。」と正当に住民の 役割をとらえている(向上書, 52ページ)。 (5 ) 拙稿「香川県下の市町における予算編成と議員の役割について(第 2回調査) (2・完) 1996年 J, ~'香川大学経済論叢』第 72 巻第 3 号, 1999年12月, 37ページ。
-14- 香川大学経済論叢 398 から毎年受けている市議会議員が41..9%,たいていの年度において受けている (6) 市議会議員が17.1%であった。 したがって,香川県下の市議会議員の場合,ほぽ6割が住民ないし住民団体 から予算や財政に関する要望をよく受けているということになり,住民ないし 住民団体と市議会議員の関係は,予算編成に関してはかなり密接であるという ことが分かる。 そして, この点が住民団体と産業団体に関する高松市の調査で 裏付けられるであろうか, それが私にとっては興味のあるところである。 ところで,予算編成過程における住民と自治体当局との関係はどのようであ ろうか。 この点に関しても,私が1994年に全国の1.074の市町村の財政主管課長を対 象に行った予算編成過程の調査がある。回収率は,
9
2
..4%であったが,その結 果の一部を紹介すれば次のようである。 この調査票の間33に「予算の編成に向けて住民から要望を聞くためにどのよ うな方法をとっていますか。」というのがあった。 この間に関しては一部不備な 点、が発見されたため,後日補充調査を行ったので,主として補充調査によって 見る。 問33に対する用意した回答のうちもっとも多い回答(複数回答)は r住民 の請願・陳情によって予算に対する要望を判断している」で64..6%であった。 第2位は「住民との普段の接触の中で,予算についての要望を判断している」 で, 45..4%,第 3位は r地区懇談会を開催し,予算に対する要望を聞いている」 で, 407%,第4位は r首長が住民から直接要望を聞いている」で, 34..4%で あった。 さらに r自治会長会を開催し,予算に対する要望を聞いている」とい う回答が34.1%で第5位 r各種団体の代表者と懇談会を聞き,予算に対する要 (7) 望を聞いている」 という回答が190%で第6位であった。 (6 ) 同上, 37~38 ページ。 (7) 拙稿「補説・わが国の市町村における予算編成過程一1994年の謁査一J,r香川大学経済 論叢』第69巻第4号, 1997年3月, 6ページ。なお,拙稿「わが国の市町村における予 算編成過程(3・完)ー1994年の調査一J,r香川大学経済論議』第69巻第2・3号, 1996 年11月, 29ページ,も参照。399 高松市の予算編成と住民団体ならび、に産業団体の役割について(1) -15-この調査から判断すると,財政課ないし総務課が住民から予算に関する要望 を聞くノレートは「住民の請願・陳情」が最も多いが,高松市の住民団体と産業 団体もやはり請願や陳情を行っているのであろうか。また,首長が住民から直 接予算に関する要望を聞くというのが案外多いが,高松市の場合も市長が諸団 体から予算に関する要望を聞いているのであろうか。また,財政課ないし総務 課が自治会長会とか各種団体の代表者から予算に関する要望を聞くというのも あるが,高松市では要望の受付窓口がどのようになっているのかも興味のある ところである。 以上のような調査ないし研究の状況をふまえ,今回,高松市という限定され た一都市を対象に住民団体ならびに産業団体に直接アンケートをすることに よって,自治体の予算編成過程における住民の役割を明らかにしようとしたの である。くり返せば,このような目的の下に行われた同種の調査は,寡聞にし て知らない。
I
I
調査の概要
(8) 高松市は現在3
3
万4
千人の人口を擁するが,母集団をそのうちの有権者(選 (9) 挙人名簿登録者)に限るとしても2
6
万5
千人(
2
0
0
0
年3
月現在)に達する。有 権者についての悉皆調査は不可能として,抽出調査を行うにしても,どれほどω
の有効回答が得られるのかについて不安であった。そこで,最初の試みとして は住民が組織する団体にたずねるほうが実りのある成果がえられるのではない かと判断した。 しかし,住民が組織する団体にたずねるとしても,それはどのような団体で (8) w高松市統計年報~ (平成 11年版), 2000年 3月, 5ページ。 (9) I 市政概況~ (平成12年度版), 2000年7月, 452ページ。 (10) 高松市において市民個人が予算編成に関連して市当局にどの程度要望を出しているか を市の市民相談係にたずねたところ,予算編成に関連する要望は全くないとのことであっ た。もちろん,高松市にも市長への提言」という制度があり,提言レター,提言テレ フォン,提言ファックス,提言Eメールがあるが,提言の内容は生活に密着する公園の維 持管理とかゴミの収集方法に関するものとかであり,予算に関連する事項ではないとの 返事であった。なお,同係の話では,予算に関連する事項は住民から直接担当の課へ要望 ないし陳情という形で行くのではないかとのことであった。16 香川大学経済論叢 400 あるのかを最初に決めなければならなかった。私は,当初,自治会や福祖団体, ス ポ ー ツ 団 体 , 婦 人 団 体 等 が 予 算 編 成 に 関 係 す る の で は な い か と 漠 然 と 思 っ た ( 1J) が I行 財 政 の 社 会 学 的 分 析 」 を 精 力 的 に 行 っ て い る 蓮 見 教 授 の グ ル ー プ の 一 員 で あ る 似 田 貝 教 授 の 都 市 社 会 に お け る 諸 国 体 の 分 類 に 示 唆 を え て , 住 民 が 組 織 す る 団 体 を 拡 大 し て 経 済 団 体 な ど を 調 査 対 象 に 加 え , 系 統 的 に 母 集 団 を 選 定 す る必要があると判断した。 そ の 結 果 , と り あ え ず
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年1
1
月 現 在 に お い て 予 算 編 成 に 関 係 す る 住 民 団 体 と 産 業 団 体 と し て は , 次 の よ う な 団 体 を 対 象 と す る こ と に し た 。 そ れ ら は , 各 地 区 に お い て 個 別 の 自 治 会 を 束 ね る 連 合 自 治 会(35団体),市内の各地域の商 底街振興組合・商工振興会など (32団体), 各 地 区 の 衛 生 組 合 協 議 会 (35団体), 各 校 区 の 国 民 年 金 貯 蓄 組 合 と 納 税 貯 蓄 組 合。
(35団体), 土 地 改 良 区 (31団体), 3 ) 老人クラブ連合(1団体) , 美 術 家 協 会 他 の 文 化 団 体 (8団体), 農 業 協 同 組 合 最近の市政相談受付の内訳は,次の表の通りである。 最近の市政栂談の内容 (単イ立 件) l 照 会 │ 相 談 │ 要 望 1997年度 653I 946I 52 1998年度 488I 696I 58I 58I 0 1999年度 505I 715I 64I 50I 3 〔出所〕高松市市民部市民生活課『市民生活課業務の概要』各年度版。 合 計 1,720 1.300 1.337 このうち, 1999年度の64件の「要望」のうち件数の多いものを見ると,土木部への「道 路の維持管理」が8件,健康福祉部への「生活防衛J,環境部への「ゴミの減量化・資源 イ 七J,都市開発部への「公園の維持管理」が各4件,市民部への「戸籍・住民登録・印鑑登 録J,健康福祉部への「高齢者の福祉J,環境部への「一般廃棄物の処理J,土木部への「交 通安全・事故相談J,,市営住宅の維持管理」が各3件で,合計35件,全体の5δ%となる。 (11) 似田貝香門・蓮見音彦編『都市政策と市民生活 福山市を対象にー』東京大学出版会, 1993年 は し が きJ,iiページ。 (12) 似国貝香門 '3 章現代社会の地域集団 J ,蓮見音彦編『地域社会学~ (ライブラリ社 会 学 =3),サイエンス社, 1995年, 106~107 ページ。他に,似回貝香門「第 6 草市民 生活と地域諸集団J,蓮見音彦・似回貝香門・矢津澄子編『都市政策と地域形成 神戸市 を対象にー』東京大学出版会, 1990年;清水洋行,(第1部〕第6章諸集団の構成と動 態J,似旧貝香門・蓮見音彦編『都市政策と市民生活』東京大学出版会, 1993年, も参照。 (13) 高松市にも各地区において老人たちが参加する老人会があるが,団体としての活動は 高松市老人クラブ連合会が一括して行っているということで,この関連の組織としては 1 団体のみと見なした。401 高松市の予算編成と住民団体ならびに産業団体の役割について(1)
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団体),森林組合(1団体),漁業協同組合(8
団体),各地区の社会福祉協 (14) 議会(34団体)であり,合計すれば, 226団体となった。 ( 15) しかし,脚注(15)に記したような事情で調査対象団体は 227団体となり,そ れらの団体の長の全員に対して,資料1のような調査票が 1999年 12月20日を ( 16) 締め切りとして,同年11月29日に発送された。 2000年 1月5日現在で 119通 (回収率, 52“4%)が回収され,同年 1月 13日に, 105団体に対して督促状が発 送された。同年3月6日に 176通目(回収率, 77 5%) が到着したのをもって 回収を終了した。なお, 176名の内 1名からは回答を辞退したいとの返事があっ た。さらに 1名は病気により回答不能とのことであったが,この方は,衛生 組合協議会々長,土地改良区理事長,地区社会福祉協議会々長の3役を兼ねて ( 1n
いるため 3通の回答がいただけないことになった。したがって,実質回収率 (14) 私は,調査対象にスポーツ団体と女性団体を加えようとした。しかし,前者に関しては, 市役所で関係者の話を聞いた結果,近年のスポーツ団体は予算編成に関連する特別の要 求をしていないことが判明した。また,女性団体に関しては,アンケートの設問が自治会 的な性格のものであり,市内にある20の婦人団体には関係がないと判断されるとの女性 団体の責任者の回答をえたので,除外した。 (15) 当初の調査対象団体は226団体であったが,国民年金貯蓄組合協議会会長の1人から, 自分が総括している非公式の土地改良区があり,そちらの方がむしろ高松市の予算編成 に関係しているので回答したいという申し出があり, 1999年 12月初旬に調査対象団体の 1つに加えた結果 227団体となった。したがって,土地改良区も 32団体となる。 (16) 会長,理事長などの名簿は,高松市役所の以下の部課他に調査の趣旨を説明して入手し た。それらは,高松市役所市民部保険年金課,環境部環境保全課,健康福祉部健康福祉総 務課,産業部商工労政課,産業部農林水産課,高松市教育委員会文化部文化振興課,高松 市社会福祉協議会である。関係機関各位のご協力に感謝する。農協,漁協,森林組合につ いては,高松市議会事務局発行の『市政概況~ (平成 11年度版), 253ページ,によって電 話で直接問い合わせ,責任者の氏名と住所を確認した。なお,一部の回答者fの聞で,なぜ、 名簿が私どもの手に渡ったのかについての疑義が出たと聞いたが,学術調査の趣旨をご 理解いただき,ご海容のほどを願い上げる。 (17) このことから分かるように, 227団体の長の役職者の特徴として, 1人が 2つ以上の長 を兼任しているというのがかなりあるということである。すなわち, 2つの団体の責任者 を兼ねている者が 19人, 3つの団体の責任者を兼ねている者が3名である。ところで, 住民自治組織において兼職が多いことは以前から指摘されている。例えば,高寄教授は, 神戸市の第6回住民自治組織実態調査(1977年)と広島市の町内会等住民自治体組織の実 態調査(1976年)に関連して会長の兼職が多いのは決して好ましい状況ではなJ(高寄 昇三『コミュニティと住民組織』動車書房, 1979年, 39ページ)いという。但し現在, その〔在職年数などとの関係で地域ボス化する〕ような弊害は起こっていないJ(向上) という。-18ー 香川大学経済論叢 402 は, 172通(回収率, 758%)である。 回収された調査票を審査したところ,過半の95通について問い合わせる必要 のあることが分かり
3
月中旬より木村住枝助手と手分けをして電話で問い合 わせをはじめた。しかし,私が4
月より管理職に就任したため,その作業は遅 延し,結局問い合わせは9月上旬に終了した。しかし,95名の内1名は病気のた め問い合わせができなかった。 各団体別の母集団数,回答者数そして回答率を示せば,第1表の通りである。 ご覧のように,回答率が100%であるのは団体数が1つの老人クラブ連合と森 林組合であり,回答率がやや低いのは,漁業協同組合と農業協同組合である。 第1表 団 体 別 の 回 答 率 団体の種類 団 体 数 回答者(人) 回答率(%) 連合自治会 35 26 74 3 商庖街振興会・商工振興会 32 23 719 衛生組合協議会 35 26 74 3 国民年金貯苔組合・納税貯蓄組合 35 27 77.1 土地改良区 32 27 84..4 老人クラブ連合 1 100.0 美術家協会他の文化団体 8 7 87.5 農業協同組合 6 3 50刷。 森林組合 1 1 100 0 漁業協同組合 8 3 37..5 地区社会福祉協議会 34 28 82 4 ぷE会コh 言十 227 172 75..8I
I
I
回答者のプロフィールと回答の分析の方法
172団体の責任者からの回答で特徴的なことは,後でもふれるが,過去10年 間くらいの聞において高松市の予算編成に向けての要望をまったく出さなかっ た団体が103団体,ほぽ6割もあるということである。これは問1でたずねた (18) この方からの回答も,もちろん分析に加えたが,問い合わせのできない問に関する回答 は「上記以外の回答」とした。403 高松市の予算編成と住民団体ならびに産業団体の役割について(1) -19ー 質 問 に 対 す る 回 答 で あ る が , そ の た め に , 団 体 の 分 類 を こ の ま ま 使 う と 問2以 下 の 回 答 を 分 析 す る 際 に 回 答 数 が 極 端 に 小 さ く な る 団 体 の で る こ と が 予 想 さ れ ることと,このような
d
ef
a
c
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な 団 体 の 分 類 で は な し 団 体 を や や 体 系 的 に 分 類 し た 方 が 回 答 を 分 析 す る 際 に 有 意 な 傾 向 が つ か め る で あ ろ う と 考 え , 試 論 的 で 09) はあるが,つぎのように団体の分類の再編成を試みた。 ま ず , こ の 調 査 で い う 「 産 業 団 体 」 で 分 類 す る 。 そ れ ら は , 農 業 ・ 漁 業 ・ 林 業 と い う 第1
次産業部門に属する農業協同組合,森林組合,漁業協同組合と, (却) 第2次・第3次産業部門に相当する商庖街振興組合・商工振興会などに分ける。 第 1は,農業協同組合,森林組合,漁業協同組合の 15団体である。この調査 に 必 要 な 限 り で こ れ ら の 団 体 に つ い て 簡 単 に 説 明 す れ ば つ ぎ の よ う で あ る 。 農 業 協 同 組 合 は r農 民 の 協 同 組 織 の 発 達 を 促 進 し , 以 て 農 業 生 産 力 の 増 進 と 農 民 の経済的社会的地位の向上を図」るために 1947年 に 施 行 さ れ た 農 業 協 同 組 合 法。
。
に よ り 設 立 さ れ た 組 織 で あ り , 高 松 市 に は 調 査 時 点 で は6組 合 が あ っ た 。 組 合 ω) 員数は,正組合員が 14,972名,准組合員が 12,102名で,合計 27,074名である。 そ れ ら の 農 協 に 対 す る 高 松 市 か ら の 財 政 支 出 は , 直 接 に は な い 。 た だ し , 高 松 市は, 1999年度の農業費(決算額)のうち,農業の振興として 2億 6,097万円, 緊 急 生 産 調 整 推 進 対 策 事 業 費 と し て 2,941万 円 , い き い き 香 川 の 米 づ く り 推 進 事 業 費 と し て 2,622万円,闘芸産地高付加価値化対策事業費として 8,903万円, 仰) 畜 産 の 振 興 と し て 7,560万円等を支出した。 森 林 組 合 は r森林所有者の協同組織の発達を促進することにより,森林所有 (19) 都市の諸団体を公権力との関係で分類した先行研究としては,似田貝香門'3翠 現 代 社会の地域集団 j ,蓮見音彦編『地域社会学~ 105~107 ページ,がある。似回貝「第 6 章 市民生活と地域集団j,蓮見・似回貝・矢津編著,前掲書, 123~132 ページ,も参照。な お,以下の私の分類は高松市の諸団体の実態に即して行ったものであり,似国貝教授の分 類とはやや異なる。 (20) 但し,この団体名が「商工」とあるが,第 2次産業の「工」をどの程度合んでいるかは 分からない。実態的には組合員の大部分は筒庖主のようである。 (21) 2000年 4月1日に,県下の 45単位農協が合併して「香川県農協」が発足した。しかし, 高松市農協と香川豊南農協はそれに参加しなかった。そこで,現在,高松市における単位 農協は,高松市農協のみである(,香川県農協スタートj,l'四国新聞J2000年 4月 3日)。 (22) I市政概況J(平成 12年度版), 273ページ。 (23) 高松市『主要施策の成果等説明書J(平成 11年度), 112~119 ページ。-20- 香川大学経済論叢 404 者の経済的社会的地位の向上並びに森林の保続培養及び森林生産力の増進を 図」ることを目指して, 1978年に施行された森林組合法により組織されたもの であるが,高松市における森林組合は,調査時点では
1
組合のみであり,組合 ( 幼 員数は383名である。森林組合に対する高松市の財政支出はないが,林業費と して, 1999年度を見れば,林道整備事業費,松くい虫防除事業費等で1億 2,389 (25) 万円が支出されている。 漁業協同組合は r漁民及び水産加工業者の共同高島織の発達を促進し,もって そ の 経 済 的 社 会 的 地 位 の 向 上 と 水 産 業 の 生 産 力 の 増 進 と を 図 」 る た め に 1948年に施行された水産業協同組合法により組織されたものであるが,高松市 には現在7組合あり,組合員数は正組合員614名,准組合員1,271名の,合計 (甜) 1,885名である。漁業協同組合に対する高松市の財政支出はないが,水産業費 として,同じく 1999年度を見れば,漁港建設費他に2億9,852万円が支出され ている。 以上の第1次産業部門の回答数は,全部で 7団体である。なお,回答の分析 においては,これらの団体を「農業協同組合他」と略称する。 第2は,第2次・第3次産業部門に属する商庖街振興組合・商工振興会であ る。高松市におけるそれらの団体は,現在大きく次のグループに分けられる。 高松中央商庖街振興組合連合会傘下の8つの商庖街振興組合,高松市南部商庖 連合会傘下の4つの商庖会,高松東部商底連合会傘下の2つの商業・商店振興 会,高松市商工振興連合会傘下の14の商工振興会,その他の3つの商工振興 会・商庖会,そして1
つの商工会であり,合計32団体である。 これらのうち高松中央商庖街振興組合連合会傘下の8
つの商庖街振興組合は 昭和37年に施行された商庖街振興組合法によって設立されたものであり,その 目的は r商庖街が形成されている地域において小売業又はサービス業に属する (24) この組合は, 2000年10月l臼の合併によって「香川東部森林組合J(長尾町)に合併さ れたため,現在高松市に森林組合はない (r県東部の10森林組合が合併J,r四国新聞J2000 年10月1日)。 (25) 高松市『主要施策の成果等説明書J(平成11年度), 123~124 ページ。 (26) r市政概況J(平成12年度版), 273ページ。405 高松市の予算編成と住民団体ならびに産業団体の役割について(1) -21ー 事業その他の事業を営む者等が協同して経済事業を行うとともに当該地域の環 境の整備改善を図る」ことである。しかし,それ以外の組織は,任意団体であ る。 これらの団体に対して最近高松市から支出されている補助金,育成費,事業 費は第2表のようである。このうち,中小企業指導団体育成費(これは,中小 企業指導団体補助金と同じである)は r中小企業者等の経営の近代化・合理化 の促進及び育成指導に努める」ために,高松市中小企業振興条例に基づき指導 団体を指定して事業助成を行う経費であり,商庖街振興組合・商工振興会に関 的) 係する団体としては高松市山田商工会と高松市商庖連盟がある。商庖街賑わい 創出事業費は,中央商庖街アーケードの夜間照明時間延長事業に対する補助金 である。商庖街共同施設事業費は,商庖街共同駐車場及びアーケードの新設・ 改設に対する助成金であり, 1998年度は兵庫町商庖街振興組合と常磐町商庖街 振興組合に対するアーケード改設事業の助成金, 1999年度は常磐町商庖街振興 自 由 組合に対するアーケード改設事業の助成金である。商!吉街活性化促進事業費 第2表 関連する最近の商工振興費 (単位千円) 1998年度 1999年度 項 目 金額(千円) % 金額(千円) % 中小企業指導団体育成費 22,800 20 9 中小企業指導団体補助金 22,800 25..8 商庖街賑わい創出事業費 3,117 2..9 3,079 3..5 商庖街共同施設事業費 50,996 46.6 50,000 56..6 商庖街活性化促進事業費 8,895 8..1 12,457 14 1 中心市街地活性化対策事業費 23,453 21 5 JE会コh 計 109,261 100..0 88,336 100..0 〔注〕 金額は決算額である。 〔出所〕 高松市『主要施策の成果等説明設J(平成10年度), 128~129ページ;同(平 成11年度), 129ページ。 (27) r市政概況~ (平成10年度版), 230ページ:同, (平成11年度版), 226ページ。 (28) 向上。
22- 香川大学経済論叢 406 は,魅力ある商届街づくりを行うために高松市商庖街活性化促進事業補助金交 付要綱に基づき街並み整備事業や空き庖舗活用モデ、ル事業を実施する商庖街団 体に対して県とともに行う補助金であり,例えば,
1
9
9
9
年度は空き庖舗活用モ デル事業を行った片原町西部商届街振興組合に交付された補助金等である。1
9
9
8
年度の中心市街地活性化対策事業費は,国の施策として中心市街地活性化 のための総合的な支援策の制度化が進められたため中心市街地活性化の基本計 画の策定やタウンマネージメント計画の策定事業に対して行われた補助金であ る。 以上の商店街振興組合・商工振興会からの回答は, 23団体であった。なお, 回答の分析においては,これらの団体の総称を「商庖街振興組合他」と略称す る。 (四) 第3は, 31の土地改良区である。土地改良区は r農用地の改良,開発,保全 及び集団化に関する事業を適正かつ円滑に実施するために必要な事項を定め て,農業生産の基盤の整備及び開発を図」るために,1
9
4
9
年に施行された土地 改良法により設立された公共組合である。調査時点において高松市にある 31のω
)
土地改良区の組合員数は1
9
9
9
年4
月1
日現在で2
1
,8
0
0
人である。高松市の土 地改良事業の基本方針は r農業生産の向上と農業の健全な発展を図り,さらに (31) 農村地域の環境整備を通じて,市民生活の向上を図ること」である。そのため の事業は農道の整備,農業用かんがい排水施設の整備,ため池の整備であるが, それらに必要な予算は国や県,市からの補助金によってまかなわれている。 最近の土地改良事業の実績を見れば,第3表のようである。ご覧のように, 最近の高松市の土地改良事業費の総額は3
7
億円ないし4
0
億円であるが,それ らのうち単独県費補助事業が過半をしめる。そして,それに続くのは単独市費 補助事業であり,両者で全体の8割前後をしめる。そして,このような土地改 良事業に高松市として支出している経費は,第4衰のとおりである。これを見 (29) すでに指摘したように,この調査における土地改良区は32団体である。 (30) r市政概況J(平成11年度版), 256ページ。 (31) 向上書, 254ページ。407 高松市の予算編成と住民団体ならびに産業団体の役割について(1) -23-第3表 土 地 改 良 事 業 実 績 平成 10年度 平成 11年度 金額(千円) % 金額(千円) % 県営事業 559.303 14 0 391,631 10..5 団体営事業 302,750 7 6 221,487 6 0 単独県費補助事業 2,178,270 54 7 2,249,602 60..5 単独市費補助事業 901,888 22.7 852,918 23.0 国費災害復旧事業 16,666
o
4 74。
。
単独市費災害復旧事業 22.679o
6 ぷ仁込ヨ 計 3,981,556 100.0 3,715,712 100 0 〔出所) I市政概況1(平成11年度版), 255ページ;I可(平成 12年度版), 276ペー シ。 第4表 高松市の土地改良事業費 平成10年度 平成 11年度 金額(千円) % 金額(千円) % 県営土地改良事業地元負担金等 43,194 2 2 30,169 1.6 県営土地改良事業補助金 80.686 4.0 55,276 2 9 団体営土地改良事業補助金 82,731 4.1 64,260 3..3 単独県費補助土地改良事業補助金 851,051 42 6 827,726 42 7 単独市費土地改良事業補助金等 787,670 39 4 745,583 38“5 国賓災害復旧事業補助金等 1,016 0.1 4,412o
2 単独市費災害復旧事業補助金 16,371 0.8 団体営農業生産基盤整備事業費 28,725 1 4 55,535 2..9 ため池景観整備事業費 81,691 4 1 129,819 6 7 香川用水事業費 26,445 1.3 26,239 1.4 ぷE斗コ 計 1,999,580 100..0 1,939,019 1000 〔注1) 金額は決算額である。 〔出所〕 高松市『主要施策の成果等説明書(平成10年度)J118~120ページ主要施策の 成果等説明書(平成11年度)J120~122ページ。 ると,ため池景観整備事業費と香川用水事業費は市単独の事業であるが,それ 以外は土地改良事業に対する各種の補助金の交付である。そして,単独県費補 助土地改良事業補助金が平成10年度と 11年度において土地改良事業費の43%
をしめ,それに続くのは,単独市費土地改良事業補助金で,両年度におい-24- 香川大学経済論叢 408 て 39%である。したがって,両者で土地改良事業費のほぼ8割をしめる。 このように土地改良区は国や香川県,高松市からの補助金を受けて事業を行 うが,市からの補助金の交付は, 1975年に施行された高松市土地改良事業補助 (32) 規程にもとづく所定の手続きにより行われている。 土地改良区の理事長からの回答数は,すでにのべたように 27名である。 なお,農業協同組合と土地改良区を別にしたのは
2
つの団体の目的とその 組織を編成する法律が異なるからである。 第4は,市内に住む個人と世帯を組織して住民の大部分を包含する,この調 査でいう「住民団体」の中心をなす連合自治会で,団体数は 35である。 高松市内における校区連合自治会数他を見れば,第5表のようである。かっω
ては自治会への世帯加入率は 90%前後であったが,ご覧のように,最近におい 第5表 自治会数と加入率の推移 1998年 3月末 1999年 3月末 2000年 3月末 校区連合自治会数 35 35 35 単位自治会数 1,498 1,510 1,526 加入世帯総数(戸) 102,249 102,309 102,257 世帯総数(戸) 126,698 130,140 130,047 自治会(世帯)加入率(%) 80 7 78.6 78.5 〔出所〕 高松市『主要施策の成果等説明吉~ (平成 9年度), 356ページ:同 (平成10年度), 348ページ;同(平成11年度), 339ページ。 (32) なお,向上規定および高松市農業用排水路しゅんせつ泥土護理事業補助金交付要綱に 基づき,補助対象事業,補助率,採択条件他を規定した高松市土地改良事業実施要領 (1978 年施行)がある。 (33) 1970年代の自治会への世帯加入率はつぎの表のようである。 1970年代中頃の高松市における自治会数と加入率 1975年4月l日現在 1976年4月l日現在 1977年4月1日現在 校区連合自治会数 34 34 34 単位自治会数 1,133 1,156 1,180 加入世帯総数 76,271 81,949 83,269 市世帯総数 86,093 90,753 92,598 自治会世帯加入率(%) 88..6 90..3 89..9 〔出所) w市民参加ーその実態と首長・議長の意見ー』地方自治協会, 1978年, 327ぺー シ。409 高松市の予算編成と住民団体ならびに産業団体の役割lについて(1) -25-ては加入率が80%を割り,漸減傾向にある。それでも,市の世帯総数の80%近 い世帯が加入している。また,行政側も,自治会の大きな役割を認識し,その
ω
組織化に努力している。 高松市の最近の住民組織活動推進費を見れば,第6表と第7表のようである。 1999年度に経費の分類が変わり,正確な傾向を見ることができない。また,こ の金額は主要施策の成果等説明書』に示された項目によるものであり,例え ば,自治会活動推進費の内訳を完全には示していない。したがって,つぎのよ うなことが大体いえるであろうということである。 まず,この3年間の総額の変化を見ると, 1997年度の8,787万円から 1999年 度の1億4,919万円へと L 7倍に増加している。内訳を見ると,もっとも大き いのは,自治会集会所新築等補助金であり,それは1998年度には68ド3 %に達し 第6表最近の住民組織活動推進費(その1) 1997年度 1998年度 項 日 金額(千円) % 金額(千円) % 自治会活動推進費 34,651 39 4 31.212 22 3 高松市連合自治会連絡協議会補助金 3,200 3 6 3.200 2..3 自治会集会所維持管理費末端活動補助金 7.000 8.0 7,000 5 0 自治会加入・結成奨励補助金 1,192 1 4 676o
5 自治会集会所新築等補助金 38,646 44 0 95.684 68..3 高松市民のねがい推進協議会費 3.562 4.1 3,500 2..5 高松市民のねがい推進事業補助金 3,500 4..0 3,500 2..5 地域ふれあい交流事業費 11,010 12..5 9.690 6.9 ぷ口合、 計 87,870 100.0 140.086 100..0 〔注〕 金額は決算額である。 〔出所〕 高松市『主要施策の成果等説明書~ (平成9年度), 40~41ページ;同(平成 10年度), 40~41 ページ。なお,決算額の一部の金額は,市民生活課から直接提供していただい た。 (34) 高松市は,平成10年度の主要施策の成果を説明した中で r住民の自治意識を高めるた め,自治会加入の促進等自治会組織の強化を図るとともに,住民の自治活動の促進に努め た。また,自治会活動に貢献した自治会長16人に市長感謝状を贈呈した。J(高松市『主 要施策の成果等説明書~ (平成10年度), 348ページ)といっている。-26ー 香川大学経済論叢 第7表最近の住民組織活動推進費(その2) 1999年度 項 日 金額(千円) % 自治会活動推進費 34.644 23.2 高松市連合自治会連絡協議会補助金 8,488 5.7 自治会活動補助金 19,829 13.3 自治会集会所維持管理補助金 2,670 1 8 自治会加入・結成奨励補助金 3,118 2 1 自治会集会所新築等補助金 101,658 68.2 高松市民のねがい推進協議会費 3,150 2 1 高松市民のねがい推進事業補助金 3,150 2.1 地域ふれあい交流事業費 9,742 6.5 dCb3h 計 149,194 100.0 〔注] 金額は決算額である。 〔出所) 高松市『主観施策の成果等説明書j(平成11年度), 36~39ペー ジ。なお,決算額の一部の金額は,市民生活課から直接提供し ていただいた。 410 ている。ついで多いのは,自治会活動推進費である。その内訳を1999年度につ いてみると,大きいのは,自治会活動補助金であり,
3
,4
6
4
万円の57.2%
をし める 1,983万円である。 (話) ところで,自治会(町内会を含む)については r行政の末端組織」ないし「行 政補助団体という性格が強い。」ともいわれるが,最近では r行政とも協力し (37 ) 犯 ) ながら」地域の共同管理を行う組織とみる論者もいる。ここでは,後者の説を 取れ自治会を住民によって組織された任意団体であり,行政との多面的な関 係はあるが,住民の下からの要望を汲み上げる側面をもっと考える。そのよう (35) 東海自治体問題研究所編(編集代表中田実) ,町内会・自治会の新展開』自治体研究社, 1996年, 105ページ。 (36) 向上。 (37) 向上書, 32ページ。 (38) 向上書の旧版であるが,東海自治体問題研究所編(中回実監修) rこれからの町内会・ 自治会ーいかしあいのまちづくりー』自治体研究社, 1981年, 28~29, 59, 72ページ, も参照。411 高松市の予算編成と住民団体ならびに産業団体の役割について(1) -27ー (却) に考える一つの根拠は,高松市の自治会についての実態調査である。 やや古いが, 1981年の自治省の調査によれば,-連合組織の業務の圧倒的部分 は,単位町内会・自治会の連絡調整と,行政との事務連絡や行政から単位の問 内会・自治会への事項の伝達である」とのことである。もっとも,高松市連合 自治会連絡協議会発行の『自治会長の手引』によれば,-地区(校区)連合自治 会」とは,-各地区(校区)内における単位自治会長によって組織され,住民と 市政につながる自主活動を推進し,自治会の事業および活動状況など意見交換 をして,共通事業については緊密な連絡をとりながらパイプの役割を果たして います。」と書いている。ここでも,-住民と市政につながる自主活動」の推進
ω
がうたわれているが,実際は行政との関係が大きいのかもしれない。そのよう な活動の中で,この調査は,連合自治会が高松市の予算編成に関連してどのよ うな役割をはたしているのかをみようとする。 連合自治会長からの回答は,2
6
名である。 第5は, 35の国民年金貯蓄組合と納税貯蓄組合である。国民年金貯蓄組合は, 高松市国民年金貯蓄組合奨励規程(昭和3
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年7
月施行)により設立されたもの (39) 高松市においても高松市連合自治会連絡協議会発行の『自治会長の手引J(2000年6月〕 というリーフレツトには,1 自治会は,同一地区に居住する方々が地域生活向上のた めにつくる自治組織です。引1 町3 自治会は,戦後の民主社会の中で生まれた住民による 自主的な任意団体であり,行政とは全く別の団体です。」と書いている。 しかし,高松市が1979年に市政モニター190名を対象に行った調査(回収率905%) によれば地域社会において自治会はどのような役割をはたしているとお考えですか」 という設問に対する回答では地域社会における世話役的な役割をはたしている」とい う問答が322%, '市からの情報などを伝えるパイプの役割をはたしている」という回答 が,同じく 32.2%で,それらが2大回答である(高松市『地域活動の振興と市政参加につ いて(市政アンケート調査結果報告 )J1979年3月, 76~77 ページ)。したがって,行政 とは別の自主的な任意団体とはいっても,行政との結びつきは,市民自身も大きいと考え ていることが分かる。 もっとも,回答者に今後,あなたが,自治会に特にやってほしいと思っていること」 を2つ挙げてもらうとレクリェーション・スポーツ・文化行事等を行い,町内の人た ちの健康増進や親睦をはかる」という回答が654%,'町内の意見をまとめて,市に働き かける窓口となる」という回答が,同じく 56.4%である(向上書, 77~78 ページ)。した がって,自治会が高松市の行政に対する市民の要望を届げるチャネルとなる機能も住民 は期待しているのである。 (40) r町内会・自治会の新展開j,79ページ。28 香川大学経済論議 412 であり,その目的は,-高松市が国民年金印紙の売りさばきの円滑化をはかるた め」である。他方,納税貯蓄組合とは,高松市納税貯蓄組合奨励規程(昭和
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年 12月施行)により設立されたものであり,その目的は,-納税貯蓄組合法に 基づいて納税貯蓄組合の設立を促進し,その健全な発達を図る」ことである。 しかし,両組合の長はほとんど同じである。そして,両組合の実際の役割は, 前者が,国民年金保険料の代理徴収を行い,後者が,市民の納付する個人市民 税・県民税(特別徴収を除く),固定資産税及び軽自動車税の納付を促進し完納 を行うことである。したがって,両者とも,国や県,市の徴税ないし年金保険 料徴収の代行をしている側面が強い。高松市も,それらの団体に対して奨励交 付金や完納補助金の交付を行っているのである。これら両組合は,むしろ行政 側の要請を満たすための組織であり,市の予算編成に関連してどの程度住民の 要望を汲み上げるチャネルになっているかは少し疑問であるが,今回の調査対 象に加えた。なお,国民年金貯蓄組合数と奨励交付金は第 8表のようであり, (42) 納税貯蓄組合数と完納補助金は第 g表のようである。 (41) いつ調査が行われたかは明確で込ないが,市民参加に関する地方自治協会の研究報告書 の中に,ケーススタディとして高松市が取り上げられており,その分析(大久保地生全国 知事会研究室研究員の執筆)の中で「連合自治会の事業内容のほとんどは,行政の代行な いし協力事業である。J(1市民参加 その実態と首長・議長の意見 』地方自治協会, 1978 年, 330ページ)といっているが,これはやや一面的であろう。なお, 1984年に,高松市 の連合自治会を含む香川県下の全住民自治組織を対象にした調査が地方行政システム研 究所によって行われた。そして,高松市の35の連合自治会を分析した山本英治東京女子 大学教授は,元県議・市議とその現職者が会長になっている連合自治会が9つもあること などを挙げこうした状況を考えると,連合自治会さらには市連合自治会連絡協議会は, 市の政治や行政に対してかなり強い発言権をもっているといえよう。J(1市町村における 住民自治組織に関する調査研究』地方行政システム研究所, 1985年3月, 78ページ)と いっている。この評価に関して1つコメン卜すれば,実態はそうかも知れないが発言 権」という言葉は穏当を欠くと思われる。しかし,それはそれとして,高松市の連合自治 会が行政の単なる代行ではなく,市の行政に対して大きな影響力を持っていることを山 本教授が認めたことにわれわれは注目すべきであろう。 (42) 納税貯蓄組合の完納補助金については, 1998年1月に横浜地方裁判所が小田原市の奨 励金について違法の判決を出したことの影響で全国の自治体において見直しの動きがあ る。高松市も,補助金の見直しを 1997年度に打ち出し,当時の補助金の算定基準, 100分 の3を1998年度から引き下げ, 2001年度には100分のlにする予定である。なお,河市 における組合員l人あたりの完納補助金は,1998年度で3,254円である (t朝日新聞J1999 年11月21臼:同, 1999年12月9日)。413 高松市の予算編成と住民団体ならびに産業団体の役割lについては) 第 8表 国民年金貯蓄組合数と奨励交付金 組合数 組合員数 奨励交付金(千円) 1999年度 933 3,956 7.292 〔出所〕 高松市『主要施策の成果等説明書1(平成 10年度),360ページ:同(平成11年度), 353 ページ。 第g表 納 税 貯 蓄 組 合 数 と 完 納 補 助 金 地域組合数 世帯数 組合員数 完納補助金(千円) I 1998年3月末現在 I1999年3月末現在 1,019 34,894 50,661 164,981 1,015 34,466 49,819 131,593 〔出所) 高松市『市政概況1(平成10年度), 74ページ;同(平成11 年度), 71ペ ジ主要施策の成果等説明書1(平成10年度), 44~45ページ;同(平成 11年度), 42~43ページ。 29 両組合からの回答は27であった。なお,回答の分析においては,これらの団 体を「納税貯蓄組合他」と略称する。 第 6は, 35の衛生組合である。これは,.地域住民によって自主的に組織さ (43) れ」たものであり,目的は,.地域社会を住みよい快適な環境とするため,生活 環境改善及び健康増進運動の推進,環境及び公衆衛生思想、の普及向上等」であ る。現在単位組合が
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組合,それを校区ごとに組織した地区衛生組合協議 会 が35ある。調査対象としたのは,地区協議会である。なお,衛生組合に対す る高松市からの助成措置の実績は,第10表のようである。したがって,助成措 置の70%以上は,衛生組合に対する運営補助金である。この他に,道路等散乱 ゴミ回収事業などに対する交付金があり,それが,例えば1
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年度では9
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万 円ほど交付されている。 (43) r市政概況~ (平成10年度版), 207ページ。 (44) 向。-30 香川大学経済論叢 414 第10表 衛 生 組 合 に 対 す る 助 成 措 置 実 績 1996年度 1997年度 1998年度 項 目 金額(千円) % 金額(千円) % 金額(千円) % 衛生害虫駆除器財補助金 387 12 1 456 131 424 12 2 連合会運営補助金 2,499 78..4 2,559 73 4 2,572 74..2 河川等一斉清掃事業補助金 300 9.4 470 13..5 470 13.6 メ仁』3 計 3,186 100 0 3,485 100..0 3,466 100 0 〔出所) I市政概況J(平成11年度版), 223ページ。 衛生組合からの回答は
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であった。 第7は, 34の地区社会福祉協議会と 1つの老人クラブ連合を合わせた 35団 体である。 まず社会福祉協議会であるが,それは, 1951年 6月に社会福祉法が施行され たのに伴い同年 11月に任意団体として高松市社会福証協議会が発足し, 1963 年に社会福祖法人となった。高松市社会福祉協議会の定款の第四条第1項によ れば分会をおくことができる。同項は iこの法人に,民生委員協議会等の区域 ごとに分会をおくことができる。」とあり,同条第2
項は i分会に関する規定 は,別に定める。」とある。そして,第2
項にもとづいて「社会福祉法人高松市 社会福紐協議会 分会・部会に関する規定」が制定されたが,その第1
条は, 「分会とは,民生委員協議会の区域ごとに組織された地区社会福祉協議会をい う。」という。分会の目的は,第2
条によれば i分会は,広く地域団体及び住 民の参加のもとに本会と協力して地域福祉の増進を図ることを目的とする。」と ある。そして,地区社会福祉協議会は,具体的には,敬老会事業,ホームヘル プサービス,身体障害者ガイドヘルパー派遣事業等を行っている。 地区社会福祉協議会に対して高松市から最近支出されている財政支出は,高 松市社会福祉協議会を通じて行われている敬老会事業費のみのようであり,そ (紛 れは,第 11表の通りである。 次に老人クラブである。老人クラブの目的は親睦であり,入会できるのは原 則として60歳以上である。老人クラブの発足は,全国的に見ると 1950年頃と415 高松市の予算編成と住民団体ならびに産業団体の役割について(1) -31-第11表 地区社会福祉協議会に対する敬老会事業費 費 業 事 老 敬 る す 対 談 料一協 )圃項一劃一組 円 一 業 一 会 千 一 事 一 社 一 会 一 区 額 一 老 一 地 金 一 敬 一 目 1999年度 67,101 64.259 〔注] 高松市社会福祉協議会を通じて地区社会福祉協議会に支出されている敬老会事業 費の金額は長寿社会対策課から提供された。但し, 1997年度は分からないとのこと であった。 [出所) I主要施策の成果等説明書J(平成9年度), 388ページ;同(平成10年度), 380 ページ:同(平成11年度), 376ページ。 のことであるが,.全国社会福祉協議会が呼びかけたのを機に,一気に広まっ ( 4日 た。」そして,今日においては会員
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人以上のクラブが申請をすれば,国や市 町村から 1クラブあたり月額3,880円の補助金がもらえる。この調査では,老 人クラブは1
団体なので,その普及に社会福祉協議会が一役買ったということ を根拠に,高松市老人クラブ連合会を社会福祉協議会に含めて集計する。 (45) たまたま知りえた,鹿島地区社会福祉協議会の助成金の内訳を見れば,次の表のようで ある。 屋島地区社会福祉協議会の助成金内訳 1998年度 1999年度 項 自 金 額 ( 円 ) % 金 額 ( 円 ) % 敬老会委託費 2,502,000 67 7 2.674.360 76..3 福祉活動促進費 100,000 2 7 100,000 2..9 地区社協活動費 127,300 3 4 127,300 3.6 老人との交流事業資 55l. 000 14..9 603,000 17..2 屋島地区連合自治会 314.150 8..5 共同募金 100,000 2 7 メE弘コ 計 3,694,450 100.0 3,504,660 100.0 〔注〕 金額は、決算額である。 これを見ると,助成金の3分のl前後が敬老会委託金であり,それは,高松市社会福祉 協議会を通じて交付される敬老会事業費であろう。その他の福祉活動促進費,地区社協活 動費,老人との交流事業費も高松市社会福祉協議会からの助成金とのことである。なお, 屋島地区社会福祉協議会の助成金の内訳の掲載については,責任者の了解をえている。 (46) r転機迎えた『老人クラフ。1 /助け合いの地域基盤にJ,I 日本経済新聞~2000年9月10 目。-32- 香川大学経済論議 416 高松市内の老人クラブ、は,第12衰のように 1999年度では 340あり,会員数 は約2万人である。そして,高松市からは年間3,500万円ないし 4,000万円近 い金額が活動助成金として交付されている。 第12表 老人クラブ数・会員数と活動助成金 クラプ数 会員数 老人クラブ活動助成金(千円) 1999年度 340 20.010 35,070 [出所] 高松市『主要施策の成果等説明書J(平成10年度) 62~63ページ;同(平成 11年度), 58~59ページ。 両団体からの回答は