幾何学序論2 K.Ichihara
コンパクトの定義 コンパクトの定義 の同値性 連続写像とコンパ クト集合 練習問題 練習問題
幾何学序論2
第
2
章 ユークリッド空間の位相,2.6
コンパクト市原一裕
2017
年12
月04
日(月)2限幾何学序論2 K.Ichihara
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コンパクトの定義(1)
定義
2.6.1(点列コンパクト)
K ⊂ R mとする.K
内の任意の点列{ p n } n ∈NはK
の点に
収束する部分列を含むとき,K
を点列コンパクト
K
の点に 収束する部分列を含むとき,K
を点列コンパクト(sequentially compact)
であるという.定理
2.6.2
(1)
コンパクト集合の族{K λ } λ ∈ Λの共通部分∩
λ∈Λ K λ
は コンパクトである.(2)
有限個のコンパクト集合K 1 , . . . , K nの和
K 1 ∪ · · · ∪ K nはコンパクトである.
注意:コンパクト集合
K
がK ⊂ X ⊂ R mをみたすとき,
K
のコンパクト性を部分空間X
を用いて表すこともでき る.(詳細は省略)幾何学序論2 K.Ichihara
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コンパクトの定義(2)
定義
2.6.3(被覆コンパクト)
K
をR mの部分集合とする.次が成り立つとき,K
は被覆
コンパクト(compact)
であるという.
∀{ O λ } λ ∈ Λ : R mにおけるK
の開被覆
∃ Λ 0 ⊂ Λ (Λ 0 :
有限集合) K ⊂ ∪
λ ∈ Λ
0O λ
注意:通常,コンパクトといえば「被覆コンパクト」を指す.
定義
2.6.4
(開被覆){ O λ } λ ∈ ΛがR mにおけるK
の開被覆であるとは,次の2つ
の条件が満たされることである.
K
の開被覆であるとは,次の2つ の条件が満たされることである.(1) O λがユークリッド空間R mの開集合である.
(2) K ⊂ ∪
λ ∈ Λ O λ .
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コンパクトの定義の同値性
定理
2.6.5
K ⊂ R mとするとき,次の主張は同値である.
(1) K
は被覆コンパクトである.(2) K
はR mにおいて有界閉集合である.
(3) K
は点列コンパクトである.ここで,
K
が有界であるとは,∃ R (> 0) K ⊂ N R (O; R m )
となることである.(1)
と(2)
の同値を主張する命題はハイネーボレル
(Heine-Borel)
の被覆定理 と呼ばれる.幾何学序論2 K.Ichihara
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補題たち 補題
2.6.6
1.
被覆コンパクト集合K
はR mで有界閉集合である.
2.
任意のa > 0
に対して,I = [ − a, a]
としたとき,任意 の自然数n
に対して,n
次元正方形I n = I × · · · × I
は 点列コンパクトである.3.
被覆コンパクトな集合K ⊂ R mの閉部分集合F ⊂ K
はまた被覆コンパクトである.
ボルツァノ
-
ワイエルシュトラスの定理R m内の有界な点列は収束する部分列を持つ.
補題
2.6.7
R m内の収束する点列と,その収束する部分列があるとき,
その収束先は一致する.
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練習問題 練習問題
連続写像とコンパクト集合
定理
2.6.7
K
がコンパクトならば,連続写像f : K → Y
に対して,f (K)
はコンパクトである.つまり,コンパクト集合の連続 写像による像はコンパクトである.定理
2.6.8
X
がコンパクトであるとき,全単射連続写像f : X → Y
の 逆写像f −1 : Y → X
はまた連続である.最大値・最小値の原理
K ⊂ R mがコンパクト集合のとき,連続関数f : K → R
は
K
内で最大値,最小値を持つ.
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練習問題
(1)
練習問題
2.6.1
{ a, b } ⊂ R nが点列コンパクトであることを示しなさい.
練習問題
2.6.2
{a, b} ⊂ R nが被覆コンパクトであることを示しなさい.
練習問題
2.6.3
R 2が点列コンパクトでないことを定義にしたがって示しな さい.
練習問題
2.6.4
{ (x, y) | x 2 + y 2 < 1 } ⊂ R 2 が被覆コンパクトでないことを 定義にしたがって示しなさい.
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練習問題
(2)
練習問題
2.5.5
コンパクト集合