物理教育実験の考察(第1報)★
三力のつり合いの実験におけるばね秤りの目盛補正 高 原 光
(=orrcct三〇rl for Scale of Spring Bahnce in the Exper三ment on Bilance of Three Forccs
Hikaru Takahara
Abstraet
By the experiment on the balan:e of thre e fore?.s, we notice that o:一e force ean bot bec]rne equal to the result−
ant of the other two forces when we use a spring balance horri−z{ntally or obliquely.
This errer is eaused by rnaking an erroneous u・e of a spring balance which ought to be used vertically, that is,
the gravity of a hook in a sprin.cr balanee eauses the error.
Accordingly, we must correet the error of the scale of a spring balanee when we use it horizontally or obliquels.
This report shows the eorreetion value for the seale in gase of making use of a spring balanee horizontally.
Moreover, we show the eomparison between a experimental value and a eorrect ion one.
1. 緒 言
私達が,三島のつり合いの実験を行う時に,ばね秤りを水 平及び斜めに使用した時の法りの示す値によれば,一力が他 の二力の合力と等しくならない事に気づく。この差は,実験 の測定誤差の範囲を,はるかに超えていて,その誤差の因子 と考えられる四面とばね秤りの間の摩擦等を小さくする事に よって,実験の精度をいかにあげても,取り除くことができ ない。この原因を考察すると,全く根本的で,当然すぎる話 であるが,一般に,垂直に使用すべき筈のばね秤りを,水平 もしくは斜めに使用したためである。即ち,ばね秤りは,か ぎの部分の重量を加味した上で,目盛をしてあるのであっ て,垂直方向以外,即ち,ばね漁りを水平及び斜めに使用す るときには,目盛の指示値に,補正値を加えなければならな いのである。.そこで,本文では,ばね秤りを水平に使用した 場合の目盛の補正値を実験的に定め,更に,耐力のつり合い の実験例を示して,測定値と,その測定値に補正値を加えた 場含の値との比較を示す。
2. 実験装置及び方法
ばね秤りの大体の構造は,F三9.1のようである。
Fig. 1
Y
θ=㊦赦醸
Fig.2は,ばね秤りに重量をかけて,かぎ の部分が引き伸ばされたものである。
図で斜線を施した所が,かぎの部分で,こ
.れが,ばね秤りを垂直方向以外に使用しtc時 の目盛の補正に関係するのである。
実験装置は,Fi讐.3 のようで,ばね秤り を水平にして,かぎにひもをつけ,滑車で垂 直方向に向きをかえて,そのひもを皿に結び つけ,皿の上に分銅を乗せて,分銅と,ばね 秤りの目盛の指示値との関係を調べた。
霞
Fig. 2
☆ 本論文の要旨は1963年11月24日 日本物理学会・応用物理学会・中国四国支部例会に於て講演している
一43一
高原光 物哩教育実験の考察(第1報)
Fコ
140
150 160 170 190 180
102 116 120 136 150 144
840460334334
Fig. 3 3. 結果と考察
3.1 秤里2009のばね秤り(マリス製)
一⊥
ばね秤りを水平に使用した場合に,分銅の値と,ばね秤り1 の目盛の指示値を示す。第1表は,分銅を,109間隔で増 加していった時の,ばね秤りの指示値である。
第1表 秤量2009 最小目盛29
(分銅を増加していった場合 ばね秤りの指示随(g)
第1表と第2表から,ばね認りの,かぎの部分の平均重量 は,37.19重となる。故に,ばね秤りを,水平に使用し た場合の真の値は,ばね隔りの指示値に,この補正値(かぎ の部分の重量)を加えたものである。
即ち,〔真の値〕=〔指示値〕+37.1(9)
3。2 秤量2 kgのばね回り(アイチ製)
3。1と同様にして,第3表を得る。
第3表 秤量2陶 最小目盛209
分銅(9)
40 50 60 70 80 90
100 110 120 130 140 150 160 180 170 190
・5
14 24 32 43 53 61 72 86 95
106 112 121 131 144 150
差(9)
56687798454899603333333333333334
分銅(の
70100 130
!60
220
!90260 300 330 360 420 390 450 480 500
ばね秤りの指示値(s)
10 50 80
110 130 210 170 250 280 310 330 370 390 420 440
差(9)
000000000000000655565555565666
第2表は,分銅を減少していった時の.igfね秤りの指示値 を示す。
第2表 秤量2009 最:小目盛 29
分銅(s)
40 50 60 70 80 90
100 110
120130
(分銅を減少していった場合)
ばね秤りの指示値(9)
413 2332 41 51
62
72 86 91差(9)
67789988493333333333
第3表より,ばね秤りのかぎの部分の平均重量は,53.3 9重となる。
即ち,〔真の値〕一〔指示値〕+53.3(9)
3。3 秤量5匂のばね由り(アイチ製1 3.1と同様にして,第4表を得る。
第4表 秤量5Kg 最小目盛i 509
分銅(9)
100 150 200 250 300 350 400 450 500
ばね秤りの指示値(の
20 80
130 180
24−0
290 340 440 380
差(g)
000000000877766676
一一一S4一
津山高専紀要(第1巻)
第4表より,ばね秤りの,かぎの部分の平均重量は,66.
79重となる。
即ち,〔真の1直〕諏〔指示値〕十66.7夢
3.4 測定結果の検討
3.4。1 秤量2009のばね測り
ばね秤りを,水平に使用した時の,ばね秤りの指示値の相 対誤差は,次式で表わされる。
〔最小の欄誤差〕一疇響〕
上式に数値を代入すると,
37. 1 〔最小の相対誤差〕=
=O.186 200
即ら,相対誤差は,少くとも,18.6%となる。
及びその相対誤差を示す。
次に,ばね秤りの指示値に,補正値を加えた場合の値,
:F Q,F 3の合成値F 4,と, F 1との差,及び,その相対誤差 を示す。
第5表
ラロβ度 ︵
α
︵度
測定回 F2
(g)
F,1 Fi
(g)1(g)
O﹂6濯什06067﹃︾虞﹂︵07
400︵0ρ06
5ρ0ρQ︻∪7rOOOlQ︶4−−Q﹂20σ22=﹂りQ80RU10QQU OQ4224只︶ 123456 121
130 122 126 106 99
F4
(9)
103 111 101 98
95. 5
88 Fl−F4
(g)
18
19
21
28
10. 51
11
Fl−F4 Fl
O.175 0.171 0. 208
ド1−J・ノ4
(9)
o. 2s6 l
O. 110 1
o.i2s 1
539424
[
}.t戟│1!4!
F/1
O. 0326 0. O176i O. 0536 0. 0240
0. Ol 30 e. 02s61
E 3.4.2 秤量2 kgのばね秤り
53.3 〔最小の相対誤差〕=
=一 O. 0267 2000
即ち,相対誤差は,少くとも,2.67%となる。
3.4.3 秤量5匂のばね生り
〔最小の瀾継〕一ξ編一・…33
即ち,相対誤差は,少くとも,1.33%となる。
4 秤量2009のばね孕りを使用した時の実験例 三力のつり合いの実験を行う時,ばね秤りを,水平な机の 上にのせて,用紙の上に,力の大きさに比例した長さを画
き,iig.4 のようにする。
青ア 肩
Fig. 4
髪、
屋く 、
よ
万一 一一 Jer一プκ
弓( / 庁
図で,F1, F2, F3,は,実際に,ばね坐りによって測定 した値である。F4は, F2とF3の合成値で,理論上では,
Flと:F4は等しくならなければならない筈であるが,常に,
F!の方が,、F4より大きくなる。 次に, F1, F2, F3,に補 正値を加えて,夫々,F1, F 2, F 3,とし,その合成値F 4
とF 1との差を求めた。α,β,は,夫々,対角線と,F2, F3 とのなす角である。第5表に,角度α,β,三力 Fl, F2,
F3の大きさを種々に変えた場合の,合成値F4とF1との差,
補正値を加えた場合は,測定値のまSに比べて,相対誤差 が,凡そ,1桁程度,小さくなっている。この補正値を加え ても尚,誤差が生じたのは,机面とばね秤りとの聞の摩擦,
ばね慮りを引張っている手の不安定さ等によっていると思わ
れる。
5. 結 語
秤量2009,秤量2忽,及び秤量5忽のばね秤りを,水 平に使用した場合の目盛の指示値の,最小の相対誤差は,す でに求めたように,
(1)秤量2009の場合 18.G%
(2)秤量 2 kgの場合 2.67%
(3)秤量 5 kgの場合 1.33%
である。
これから考察すると,秤量5勿の場合の目盛の指示値の最
ノ
小の相対誤差は,大体,測定誤差の範囲内と思われるが,秤
:量2009のばね細りの場合になると,18.6%にもなっ て,測定誤差の範囲を,遙かに,超遍しているものと思われ る。一方,通常,学生実験用に使用するばね秤りは,秤量2 009程度のものが多く,秤量tWkg程度のものを用いる事 は,寧ろ,稀である。これらの事を考慮すると,三力のつり 合い及び平行力の合成の実験等,ばね秤りを垂直方向以外の 向きに使用したときに,ばね秤りの目盛の指示値に,補正値 を加える事は,非常に重要になってくる。
最後に,この研究の遂行にあたり,終始,御懇切なる御指 導を頂きました本校校長,山下敬治博士に,深甚の敬意を表
する。
一45一