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氏名 笠倉カサクラ

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Academic year: 2021

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(1)

氏 名 笠倉

カ サ ク ラ リョウ

亮 太

所 属 都市環境科学研究科 都市環境科学専攻 都市基盤環境学域 学 位 の 種 類 博士(工学)

学 位 記 番 号 都市環境博 第

259

号 学位授与の日付 平成

31

3

25

日 課程・論文の別 学位規則第4条第

1

項該当

学 位 論 文 題 名 高強度繊維補強モルタルと帯状鋼材を用いて補強した RC部材の性能評価に関する研究

論 文 審 査 委 員 主査 教 授 宇治 公隆 委員 准教授 上野 敦 委員 准教授 中村 一史

【論文の内容の要旨】

兵庫県南部地震では,鉄道構造物に倒壊等の甚大な被害が生じており,これを契機に,

ラーメン高架橋をはじめとした

RC

構造物の耐震化が進められてきた.一方で,近年では,

建設就業者の高齢化による離職,若年入職者の減少による担い手不足が進行し,労働力不

足が深刻化している.このような社会情勢の下,国土交通省や土木学会では,建設業の生

産性向上のため,配筋の合理化,プレキャストコンクリート構造の採用等,多岐にわたる

対策が講じられている.重要社会基盤である鉄道構造物の補修・補強工事は,利用者の利

便性や列車運行を阻害することなく,工事を安全に進める必要があり,営業終了後の夜間

作業や狭隘部など厳しい制約の中で施工することが求められる.このため,耐震補強工事

では,様々な制約のなかで生産性の向上を図り,構造物の安全性を確保することが必要と

なる.そこで,これらの課題を解決するため,補強鋼材を兼ねた組立鋼材を用いてプレキ

ャストパネルを既設柱の周囲に配置し,隙間に高強度繊維補強モルタル(High strength

Fiber reinforced Concrete,以下,HFC)を充填する耐震補強工法を開発した.HFC

は,鋼

繊維径

0.2mm,繊維長15mm,繊維混入率1.75Vol.%とした自己充填性を有する繊維補強モル

タルであり,その強度特性から,薄肉部材としても耐荷力を期待することができ,施工ス

ペースや躯体自重の増加等に課題がある補修・補強工事においても,活用できるものと考

えられる.これまでに

HFC

は新設桁部材を対象にした研究がなされているものの,柱部材

の補修・補強に用いられた場合の研究は少なく,その強度特性を考慮した性能評価手法の

提案は行われていない.本論文は,HFC を充填材として用いた補強

RC

部材のせん断耐荷特

性および変形性能を明らかにすることを目的とし,さらに,

HFC

の強度特性を考慮した性能

評価手法の提案を行ったものであり,全

7

章から構成される.

(2)

1

章では,社会情勢,耐震補強の動向とともに,耐震補強工法における生産性向上の 必要性を述べ,本研究の目的,開発した工法および論文の構成について述べた.

2

章では,新設の鉄道構造物ならびに道路構造物の耐震設計について示すとともに耐 震補強の設計について整理した.また,基礎の負担を増加させることなく,変形性能を向 上させることが可能なせん断,じん性補強の代表的な工法の概要について取りまとめ,さ らに,

HFC

の材料特性や耐荷特性に関する既往の研究を調査し,薄肉部材に使用される場合,

繊維の配向性を明らかとし,その性能評価手法の確立が必要であることを示した.

3

章では,

HFC

の基本的強度特性値を示すとともに,充填方法が引張強度に与える影響 を評価した.

HFC

の引張強度と繊維の配向性は,部材断面や充填方法の影響を受けることが 知られている.そこで,実施工を想定して製作した試験体の引張強度試験を実施し,X 線透 過撮影により,一定方向に対する全繊維の投影長さと全繊維の長さの比である配向係数を 算出した.その結果,耐震補強において

HFC

を層状に充填した場合,下層では流動方向に 一様な,上層では

2

次元ランダム配向に近い配向係数となることを示し,配向係数と引張 強度には,概ね線形関係が成り立つことを明らかとした.

4

章では,本工法により補強した梁試験体の載荷試験を実施し,

HFC

のせん断耐荷特性 について述べた.本工法の

HFC

は,鋼繊維の架橋効果により最大引張応力後も一定の応力 を保持した後にひずみ軟化を生じる材料である.本工法のように既設部材の巻立て補強に 用いた場合,

HFC

は,既設部材に斜めひび割れが発生した後もその開口を抑制しており,最 大せん断力時には,

HFC

は引張応力を保持できるひずみ領域にあるため,補強鋼材と同様に せん断力に抵抗していることを明らかとした.また,

HFC

は上述の耐荷機構を示すため,修 正トラス理論における引張材として,補強鋼材と併せて,せん断耐力を累加する耐力算定 式を提案した.

5

章では,本工法にて補強した実大柱試験体の正負交番載荷試験を実施し,変形性能 と損傷の程度について述べた.

HFC

を補強鋼材とともに柱周囲に巻き立てることで,従来の 鋼板巻立て補強と比較して,HFC のじん性的な挙動により,軸方向鉄筋の座屈が抑制され,

最大曲げ耐力となる変位が増加する.一方,最大耐力以降,変形性能に対する

HFC

の補強 効果は,HFC が引張応力を保持できるひずみ領域を超過するため,減少することを示した.

また,新設構造物の照査と同様に,部材の損傷の程度と変形性能を関連付け,

HFC

の補強量 と変形性能の関係を明らかとし,HFC の補強量による変形性能算定式を提案した.加えて,

これまで明らかとなっていなかった大断面(部材幅

2.0m)での部材幅が変形性能に与える

影響を実験的に検証するとともに,最大曲げ耐力となる変位以降の軸方向鉄筋の拘束効果 の減少を,基礎と補強部材のあきの関係により評価することで,変形性能を精度よく評価 できることを示した.

6

章では, 提案したせん断耐力算定式および変形性能算定式を用いた照査事例を示し,

鋼板巻立て補強の算定式と比較することで,本提案式の有用性を示した.また,本研究の

成果を用いた実施工例を示した.

(3)

7

章では,本研究で得られた知見をまとめ,今後の課題を示した.

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