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視覚障がいを有する医療者の臨床評価における困難事象の抽出

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視覚障がいを有する医療者の臨床評価における困難事象の抽出

福島正也

筑波技術大学 保健科学部 保健学科 鍼灸学専攻 キーワード:視覚障がい,医療,評価

筑波技術大学テクノレポート Vol.28 (1) Dec. 2020

成果の概要

[背景]本邦では,視覚障がい者の職業教育として,はり 師,きゅう師,あん摩マッサージ指圧師,理学療法士,柔道 整復師といった医療職の養成が行われている。多くの視覚 障がい者がこれらの医療職に従事しており,最も人数が多 いあん摩マッサージ指圧師では,その業に従事する視覚障 がい者は 2 万 5 千人にのぼる [1]。これらの医療職が取り 扱う疾患・症状は様々であるが,近年は “ 根拠に基づく医 療(EBM)” の概念の普及を背景として,治療効果(アウ トカム)に対する客観的な評価が求められている。

臨床現場では,様々な手法による評価が行われるが,

器具を用いた評価では器具の取り扱いや数値の読み取り において,また,評価票を用いた評価では書字や読字に おいて,視覚障がいに起因する困難が生じ得る。これら の困難事象に対する適切な支援を提供するためには,そ の実態の把握が必要である。これまでに,視覚障がいを 有する施術者(全盲)が関節可動域測定に際し,測定 が困難な部位と要因を検討した報告 [2] や,視覚障がい を有する施術者の関節可動域測定に際する困難事象を 調査した報告 [3] がみられるが,視覚障がいを有する医 療者の臨床での評価全般における困難事象を調査した 報告はみられない。

本研究は,視覚障がいを有する医療者の臨床での評 価における困難事象について調査を行い,適切な支援方 法を検討することを目的とする。

[方法]2019 年 10 月に,筑波技術大学で鍼灸学を専攻 する視覚障がいを有する学生(3・4 年生,大学院生)お よび研修生 34 名を対象とし,臨床での困難事象に関する アンケート調査を実施した。アンケート調査は,無記名のウェ ブアンケートとし,所属・視覚障がい・臨床での評価におけ る困難事象に関する各設問への回答を依頼した。本研究 は,筑波技術大学研究倫理委員会の承認を受け実施した。

[結果]23 名の回答が得られ(回収率 68%),うち 15 名 が重度視覚障がいであった。評価での困難事象に関する 設問への回答で「自分だけで正しくできる」が少なかった 設問は,①望診(視診)による評価:2 名,②動作分析:5 名,

③墨字の質問紙等の読み取り・集計:7 名,④角度計で の計測:8 名,姿勢・アライメントの評価:8 名であった。また,

評価の記録方法に関する設問において,「自分だけで正し くできる」は,墨字での記録:9 名に対し,デジタル機器で の記録:16 名であった。自由記述回答では,上記以外に,

画像所見を確認すること,患者に接近しないとみえないこと,

色が分からないこと,時間がかかること等が挙げられた。

[考察]視覚障がいを有する医療者・医療学生が視覚を 用いる評価法や文字・数値の読み取りに困難を感じている ことが示された。情報機器の活用等による測定器具や記

録方法の改善が支援として有効な可能性がある。

なお,本研究の成果は,第 21 回日本ロービジョン学会 学術総会で発表した。

参照文献

[1] 厚生労働省.平成 28 年度衛生行政報告例.e-stat.

(2018/9/4 閲 覧 ) http://www.e-stat.go.jp/SG1/

estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&list ID=000001185884

[2] 近藤 宏.全盲者における関節可動域測定時の視覚障 害技術支援機器の有用性について 音声式関節角度 計を用いた検討.理療教育研究.2011, 33(1),19-30.

[3] 玉井 伸典,黒田 修成,沼本 尚輝ルーカ,矢部 隆之,

和田 恒彦.視覚障害者が関節可動域を測定する際 の課題の検討.筑波大学理療科教員養成施設紀要.

2019,4(1),5-12.

筑波技術大学 紀要

 National University Corporation

Tsukuba University of Technology

参照

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